コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

人文地理学会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地理学文献目録から転送)
人文地理学会
The Human Geographical Society of Japan
前身 西日本地理学会
設立 1946年(西日本地理学会)
1948年(人文地理学会)
種類 学会
法人番号 9130005014057 ウィキデータを編集
法的地位 一般社団法人
目的 人文地理学を研究し,その進歩普及を図ること
本部 京都府京都市左京区吉田河原町14番地 近畿地方発明センター合同ビル内
座標 北緯35度1分27.1秒 東経135度46分23.5秒 / 北緯35.024194度 東経135.773194度 / 35.024194; 135.773194座標: 北緯35度1分27.1秒 東経135度46分23.5秒 / 北緯35.024194度 東経135.773194度 / 35.024194; 135.773194
貢献地域 人文地理学
会員数
1394人(2011年9月30日現在)
公用語 日本語
会長 野間晴雄
主要機関 都市圏研究部会
歴史地理研究部会
地理教育研究部会
地理思想研究部会
提携 地理学連携機構
予算 1752万円(2011年度)
ウェブサイト hgsj.org/
テンプレートを表示

一般社団法人人文地理学会(じんぶんちりがっかい、英語: The Human Geographical Society of Japan)は、人文地理学を中心に地理学的な研究を行う日本学会。本部を京都市に置く。2011年(平成23年)9月30日現在の会員数は1394人[1]

1948年(昭和23年)3月に発足[2]。人文地理学を研究し、その進歩普及を図ることを目的とする(会則第2条)。日本学術会議協力学術研究団体[3]、地理学連携機構[4]に参加している。

学会の事業として機関誌『人文地理』の発行、大会・例会・研究部会・公開セミナーの開催を行う[5]

歴史

[編集]

第二次世界大戦後、日本の地理学界では東京都以外に本部を置く地方地理学会が相次いで設立された[6]。その中で最初に誕生したのが1946年(昭和21年)9月に設立された西日本地理学会であった[6]。西日本地理学会は関西在住の地理学者で組織されたが、機関誌はなく、会員の意見交換や親睦を図るにとどまっていた[7]

こうした中、新教育制度下で社会科が新設され、その中に「人文地理」が置かれたことから人文地理学への関心が高まり、西日本地理学会を発展的に解消し[7]1948年(昭和23年)3月に人文地理学会が発足した[6]。会員は約200名であった[7]。同年6月には機関誌『人文地理』を創刊、人文地理学の向上発展と一般大衆への人文地理学への知識・関心の普及を目指した[8]。しかし財政難によって機関誌の運営は不安定で、第4号にようやく柳原書店から発行できることになり、文部省から出版物助成も得られ、一応の安定を見ることになった[9]。1948年(昭和23年)11月15日には第1回の学術大会を京都大学東方文化研究所(現在の京都大学人文科学研究所)で開催した[10]1965年(昭和30年)より他学会との共催による大会の開催を盛んに行っている[11]

発足から20年が経過した1968年(昭和33年)には会員数が1500人に達した[12]。同時期は大学闘争の真っただ中にあり、学会事務所がある建物が封鎖され、わずかな書類だけを搬出して執務することもあった[13]。これを契機として京都大学文学部地理学教室からの移転が検討され、1985年(昭和60年)10月に現在の近畿地方発明センター合同ビルの一室に移転した[14]

1998年(平成10年)11月14日京都会館において人文地理学会創立50周年記念式典が挙行され、『人文地理学会50年史』が刊行・配布された[15]。また記念講演が同時開催され、成田孝三・竹内啓一佐々木高明が講演した[15]2014年(平成26年)10月1日一般社団法人への登記申請を行い、同日付で受理されたことにより、一般社団法人に移行した[16]

運営組織

[編集]

役員

[編集]

2018年社員総会 - 2020年社員総会の役員

  • 会長:野間晴雄
  • 常任理事:小島泰雄、福田珠己、島津俊之、香川貴志、松田隆典
  • 理事:20名
  • 監事:出田和久、伊東理

歴代会長

[編集]
会長 在任期間 備考
初代 織田武雄 1948-1954  
2代 帷子二郎 1954-1958
3代 織田武雄 1958-1962 2度目
4代 藤岡謙二郎 1962-1966  
5代 村松繁樹 1966-1968
6代 織田武雄 1968-1970 3度目
7代 山口平四郎 1970-1972  
8代 西村睦男 1972-1974
9代 谷岡武雄 1974-1976
10代 水津一朗 1976-1980
11代 浮田典良 1980-1984
12代 水津一朗 1984-1986 2度目
13代 末尾至行 1986-1988  
14代 矢守一彦 1988-1992
15代 末尾至行 1992-1994 2度目
16代 成田孝三 1994-1996  
17代 足利健亮 1996-1999
18代 石原潤 1999-2002
19代 千田稔 2002-2006
20代 金田章裕 2006-2010
21代 山野正彦 2010-2014
22代 石川義孝 2014-2018
23代 野間晴雄 2018-
この表の出典:[17]

委員会

[編集]

各委員会に理事が1名いる。(以下の委員数に理事は含まない。)

  • 庶務委員会:3名
  • 会計委員会:2名
  • 編集委員会:15名
  • 集会委員会:4名
  • 企画委員会:3名
  • 広報委員:2名

機関誌「人文地理」

[編集]
人文地理 

人文地理の創刊号(『人文地理 人間と環境 1』)
学術分野 地理学
言語 日本語(一部英語
詳細
出版社 人文地理学会
出版国 日本の旗 日本
出版歴 創刊1948年
出版間隔 季刊
オープンアクセス 創刊号から2005年発行分までの内容が無料公開
分類
ISSN 0018-7216 (印刷物用)
1883-4086 (ウェブ用)
外部リンク
プロジェクト:出版Portal:書物
テンプレートを表示

『人文地理』(じんぶんちり、英語: Japanese Journal of Human Geography)は、人文地理学会の機関誌。人文地理学全般を網羅した学術雑誌は日本国外では珍しい存在である[18]。論文は「論説」・「展望」・「研究ノート」・「文献解題」に分かれ、年に1度「学界展望」を掲載している[18]。投稿者は20代が44.7%、30歳が31.1%を占め、若手研究者が多い[19]。課題として、中堅以上の研究者の投稿論文が少ないこと、日本語主体であるため、国際的な評価を得ているとは言えないことが金田章裕によって指摘されている[19]

1948年(昭和23年)6月に創刊し、2020年(令和2年)5月現在、72巻1号まで刊行している[20]。刊行当初は季刊であったが論文の増加により、第4巻から隔月刊となった[9]。ただし、第68巻(2016年)からは季刊に変更された[21]。また刊行当初は経済的基盤がなかったため、一般読者を取り込もうと地理教育を中心とした誌面構成を試みるも失敗、また印刷会社破産によって損害を被るなど不安定であったが、柳原書店から刊行することになってからは、高等学校用の教科書『人文地理』の発行などを通して財政基盤を整え、純粋な学会誌へと成長していった[9]1978年(昭和43年)には懸案であった『人文地理』の大型化が実現し、雑誌サイズがB5版となった[22]

地理学文献目録

[編集]

『地理学文献目録』(ちりがくぶんけんもくろく)は、日本国内で刊行された地理学に関する文献をまとめたデータベース[23]。編者は第1集から第8集まで人文地理学会、第9集以降が人文地理学会文献目録編集委員会である。1945年(昭和20年)以降の文献を収録、出版社を変えながらほぼ5年間隔で刊行してきた[24]。地理学(人文地理学のみならず、地理学全般を対象)を中心に、地質学農学歴史学経済学社会学など、隣接分野の文献についても収録している[23]。文献は、地理学史地形気候人口都市など32のテーマに分類して掲載されている[25]

収録期間 出版社 発行年 ISBN
第1集 1945年 - 1951年 柳原書店 1953年  
第2集 1952年 - 1956年 1957年
第3集 1957年 - 1961年 1963年
第4集 1962年 - 1966年 大明堂 1968年
第5集 1967年 - 1971年 1973年
第6集 1972年 - 1976年 1978年
第7集 1977年 - 1981年 1984年 ISBN 4-470-67005-7
第8集 1982年 - 1986年 1989年 ISBN 4-470-67007-3
第9集 1987年 - 1991年 古今書院 1993年 ISBN 4-7722-1831-9
第10集 1992年 - 1996年 1998年 ISBN 4-7722-5017-4
第11集 1997年 - 2001年 2004年 ISBN 4-7722-5090-5
第12集 2002年 - 2006年 2009年 ISBN 978-4-7722-5225-6

機関誌『人文地理』と並ぶ重要な刊行物との位置付けであった[12]が、2010年(平成22年)11月20日奈良教育大学にて開催された人文地理学会2010年(2009年度)総会において、今後の『地理学文献目録』の発行を断念することが報告された[26]2011年(平成23年)11月12日立教大学にて開催された2011年(2010年度)協議員会には、『地理学文献目録』に代わる事業として『人文地理学事典』の刊行が進められ、丸善より2013年刊行予定であることが報告された[1]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 人文地理学会"人文地理学会2011年(2010年度)協議員会"2011年11月12日(2012年3月3日閲覧。)
  2. ^ 財団法人金属系材料研究開発センター"人文地理学会"産学プラザ、2007年6月25日(2012年3月3日閲覧。)
  3. ^ 日本学術会議"日本学術会議協力学術研究団体一覧(サ行)"(2012年3月5日閲覧。)
  4. ^ 地理学連携機構"JOGS:地理学連携機構"(2012年3月5日閲覧。)
  5. ^ 人文地理学会"概要>>人文地理学会"(2012年3月5日閲覧。)
  6. ^ a b c 竹内ほか(2000):250ページ
  7. ^ a b c 織田(1959):317ページ
  8. ^ 織田(1959):317 - 318ページ
  9. ^ a b c 織田(1959):318ページ
  10. ^ 山口(1970):608ページ
  11. ^ 山口(1970):609ページ
  12. ^ a b 山口(1970):607ページ
  13. ^ 水津(1979):1ページ
  14. ^ 矢守(1989):1ページ
  15. ^ a b 武藤(1999):108ページ
  16. ^ 一般社団法人 人文地理学会 編(2014):465ページ
  17. ^ 役員等一覧 « 一般社団法人 人文地理学会”. 2020年7月7日閲覧。
  18. ^ a b 金田(1999):711ページ
  19. ^ a b 金田(1999):713ページ
  20. ^ 『人文地理』72-1の刊行とJ-STAGE公開のお知らせ « 一般社団法人 人文地理学会” (2020年5月2日). 2020年7月7日閲覧。
  21. ^ 第68巻からの季刊化について « 一般社団法人 人文地理学会” (2015年11月21日). 2020年7月7日閲覧。
  22. ^ 水津(1979):2ページ
  23. ^ a b 国立情報学研究所"学術研究データベース・リポジトリ 地理学文献データベース"(2012年3月3日閲覧。)
  24. ^ 関西学院大学図書館"地理学研究のための文献案内"2008年3月1日(2012年3月3日閲覧。)
  25. ^ 古今書院"書籍情報:地理学文献目録 第11集[1997-2001]"(2012年3月3日閲覧。)
  26. ^ 人文地理学会"人文地理学会2010年(2009年度)総会"2010年11月20日(2012年3月3日閲覧。)

参考文献

[編集]
  • 一般社団法人 人文地理学会 編『人文地理 第66巻第5号』一般社団法人 人文地理学会、2014年10月28日、488p.
  • 織田武雄(1959)"人文地理学会の10年間の回顧"人文地理(人文地理学会).10(5・6):317-320.
  • 金田章裕(1999)"『人文地理』の役割と課題"地學雜誌(東京地学協会).108(6):711-714.
  • 水津一朗(1979)"人文地理学会の30年を回顧して―1969年〜78年の学会小史―"人文地理(人文地理学会).31(1):1-4.
  • 竹内啓一・浮田典良・西川治・中村和郎・成田孝三・海津正倫・森川洋田村俊和・金窪敏知・青木栄一・小口千明・正井泰夫・野々村邦夫・今野修平・寄藤昂・千葉立也・久武哲也・野澤秀樹(2000)"II 戦後復興と地理学の展開"地理学評論(日本地理学会).73A(4):248-287.
  • 武藤直(1999)"人文地理学会創立50周年記念事業報告"人文地理(人文地理学会).51:108.
  • 山口平四郎(1970)"人文地理学会の20周年を迎えて"人文地理(人文地理学会).22:605-611.
  • 矢守一彦(1989)"人文地理学会創立40周年記"人文地理(人文地理学会).41(1):1-5.

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]