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塩化スルフリル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
塩化スルフリル
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識別情報
CAS登録番号 7791-25-5 チェック
PubChem 24648
ChemSpider 23050 チェック
EC番号 232-245-6
ChEBI
特性
化学式 SO2Cl2
モル質量 134.965 g mol−1
外観 刺激臭のある無色の液体
放置すると黄色になる
密度 1.667 g cm−3 (20 °C)
融点

−54.1 °C, 219.1 K

沸点

69.4 °C, 342.6 K

への溶解度 加水分解
溶解度 ベンゼントルエンクロロホルム四塩化炭素氷酢酸に可溶
屈折率 (nD) 1.4437 (20 °C) [1]
危険性
EU分類 腐食性 (C)
EU Index 016-016-00-6
Rフレーズ R14, R34, R37
Sフレーズ (S1/2), S26, S45
引火点 不燃性
関連する物質
関連するハロゲン化スルフリル フッ化スルフリル
関連物質 塩化チオニル
塩化スルホン酸
硫酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化スルフリル(えんかスルフリル、sulfuryl chloride)は化学式 SO2Cl2 で表される化合物である。室温では辛味のある悪臭を持つ無色の液体である。水により速やかに加水分解するため天然には存在しない。

同じく硫黄のオキシ塩化物である塩化チオニル(塩化スルフィニル、)と混同されることがあるが、これら2つの性質は異なる。塩化チオニルは塩化物イオン () の発生源であるが、塩化スルフリルは塩素 () の発生源である。

性質

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水と激しく反応し、塩化水素が発生する。

沸点より約 40 ℃ 高い 100 ℃ 以上に加熱すると分解する。放置すると二酸化硫黄と塩素に分解するため、塩化スルフリルは黄色みを帯びるようになる。

塩化スルフリルの硫黄原子は四面体構造を持ち、その酸化数硫酸中の硫黄原子と同じく +6 である。

合成法

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二酸化硫黄と塩素を活性炭などの触媒の存在下に反応させると得られる。

粗生成物は分留によって精製する。市販されているので実験室で調製を行う必要はない。

用途

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塩素の発生源として使われる。液体であるため、塩素ガスに比べ計量や保存が容易である。カルボニル基スルフィニル基などの活性化置換基に隣接した C−H 結合を C−Cl 結合に変換する試薬として広く用いられる。アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) などの開始剤を用いたラジカル反応によるアルカンアルケンアルキン芳香族化合物エポキシドの塩素化にも利用される。また、アルコールを塩化アルキルに変換する。工業的には殺虫剤の製造原料が主な用途である。

ウールが縮むのを防止する処理にも用いられる。

注意

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毒性、腐食性を持ち、催涙物質としてはたらく。水およびジメチルスルホキシドN,N-ジメチルホルムアミドなどの配位性を持つ溶媒と爆発性の混合物を形成する。

参考文献

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  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398

外部リンク

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