大蔵省接待汚職事件
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大蔵省接待汚職事件(おおくらしょうせったいおしょくじけん)とは、1998年(平成10年)に発覚した大蔵省を舞台とした汚職事件である。大蔵省の職員らが銀行から接待を受けた際に、中国人女性が経営する東京都新宿区歌舞伎町のノーパンしゃぶしゃぶ店「
官僚7人(大蔵省4人、大蔵省出身の証券取引等監視委員会の委員1人、日本銀行1人、大蔵省OBの日本道路公団理事)の逮捕・起訴に発展。起訴された官僚7人は、執行猶予付きの有罪判決が確定した。この責任を取り三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁が引責辞任し、財金分離と大蔵省解体の一つの要因となった。
概要
[編集]第一勧業銀行総会屋利益供与事件において、大蔵省の検査の甘さにより総会屋への融資拡大が焦げ付きを招いた問題が浮上した。それをきっかけとして、東京地方検察庁特別捜査部は捜査を開始。特捜部は過去の強制捜査や任意提出で都市銀行、長期信用銀行、大手証券会社などから業務日誌や接待伝票を把握した。
時系列
[編集]- 1998年1月18日、東京地検特捜部は日本道路公団の外債発行幹事証券会社の選定に際し、野村證券から贈賄があったとして、公団経理担当理事(大蔵省OB)と、野村證券の元副社長らを贈収賄の容疑で逮捕[1]。
- 1月26日、東京地検特捜部はあさひ銀行・第一勧業銀行・三和銀行・北海道拓殖銀行から贈賄を受け検査日程を漏らしていたとして、大蔵省検査官2名を逮捕[2][1]。
- 3月5日、東京地検特捜部は、大蔵官僚2名を野村証券への収賄容疑にて逮捕[3]。
- 3月11日、東京地検特捜部は日本興業銀行・三和銀行から収賄を受け機密情報を流出させたとして、日本銀行証券課長を逮捕[3]。
- 4月27日、大蔵省は民間金融機関に関する内部調査の結果を公表し、銀行局審議官の杉井孝を停職、証券局長の長野庬士らを減給とする等、計112人(停職1人・減給17人・戒告14人、訓告22人、文書厳重注意33人、口頭厳重注意25人)に対する処分を行った。
関係者一覧
[編集]- 逮捕
- 辞任
- 自殺
その他
[編集]- この事件がきっかけとなって注目された、キャリア大蔵官僚が20代後半で税務署長を務める人事慣行(若殿研修)は「宴席で上座に座らされ、過剰なエリート意識を生んだ」として、若手キャリア官僚の税務署長出向が接待慣れの温床になってると批判が相次いだことを受け、松永光大蔵大臣も見直しを表明して1998年度は自粛し、1999年度から税務署長は原則として35歳以上とする方針を発表される形で、若手キャリア官僚の税務署長出向の人事慣行は廃止となった[6][7][8]。
- この事件がきっかけとなって、国家公務員倫理法が制定された。
脚注
[編集]- ^ a b c 『大蔵省による官僚汚職事件の全容解明と腐敗構造の改革をもとめる』(プレスリリース)日本国家公務員労働組合連合会、1998年1月28日 。
- ^ a b c 『大蔵省現職キャリア職員の逮捕に当たって』(プレスリリース)社会民主党、1998年3月5日 。
- ^ a b c d e “■『激論!大蔵省の功罪と日本!!』を見る資料■”. テレビ朝日. 2012年9月29日閲覧。
- ^ a b 児玉 博 (2008年4月24日). “去りゆく大蔵官僚”. 日経ビジネス (日経BP) 2017年8月15日閲覧。
- ^ 特報 セーラー万年筆の社長解職劇 ・前社長・中島氏は真向反論も、市場は静観察・ 2015.12.22 日本証券新聞 12面 (全1,630字)
- ^ “大蔵省 若いキャリア職員の税務署長出向廃止 「若殿研修」やめます”. 毎日新聞. (1998年6月24日)
- ^ “政府決定 税務署長など対象に若手官僚出向見直し”. 読売新聞. (1998年6月30日)
- ^ “接待漬け官僚“第一歩”阻止 地方出向は35歳以上 政府方針”. 日本経済新聞. (1998年6月27日)
関連書籍
[編集]- 村山治『市場検察』文芸春秋、2008年。ISBN 4163701605
関連項目
[編集]- 接待 - MOF担 - ノーパンしゃぶしゃぶ
- UFJ銀行#金融庁との対立と特別検査
- 金融腐蝕列島
- 東北新社役職員による総務省幹部接待問題 - 23年後に発覚した同様の事件