コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

天下一品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
天一食品商事から転送)
株式会社天一食品商事
Tenichi Shokuhin Shoji K.K.
天下一品 総本店
京都府京都市左京区一乗寺築田町)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
520-2141
滋賀県大津市大江八丁目字池ノ内78番地3
設立 1981年昭和56年)11月16日
業種 小売業
法人番号 5160001001357 ウィキデータを編集
事業内容 中華そば専門店のフランチャイズ展開、ラーメンスープの製造及び販売
代表者 木村勉代表取締役会長
木村一仁(代表取締役社長
資本金 1,000万円
従業員数 95名
主要子会社 株式会社天下一品
株式会社タックフーズ
株式会社アドバンフーズ
株式会社CREST
外部リンク www.tenkaippin.co.jp ウィキデータを編集
テンプレートを表示

天下一品(てんかいっぴん、: Tenkaippin)は、株式会社天一食品商事が運営するラーメンチェーン店またはフランチャイズチェーン店のブランド。京都府京都市を発祥地とし、全212店舗を構える。

略称は天一(てんいち)もしくは天品(てんぴん)。高級天ぷら料理店の「銀座天一」とは関係がない[1]

沿革

[編集]

創業者は木村勉。1971年に銀閣寺周辺[2]で開いた屋台がその発祥である。交流のあった石材店の社長からの好意で、その店舗の敷地の一部に屋台を固定[3]、1975年8月に初の店舗を構える[2]

商品構成

[編集]
総本店のこってりラーメン
赤い器の他に、白い器も使用される

スープ

[編集]

スープは、「こってり」と「あっさり」の2種類が基本となっている。

「こってり」はと11種類の野菜[4]からつくられたスープで、ポタージュの様にドロリとしており、麺に絡みつくかのような粘着感を持っている[4]。このスープはどろりとはしているものの、一部の愛好家から意外と脂っこくはないと評されることもあった[4][5]。このスープは「箸が立つ」[5]、「ラーメンとは別のジャンル」[5]、「ラーメンを超えたラーメン」[4]などと形容され、かつては鯨油牛脂が使われているのではないかとの噂も囁かれた[6]

あっさりを注文する客の割合は、2021年の時点では3割ほどであった[7]

追加可能な調味料・具材

[編集]

薬味ネギには、青ネギ等が使われている。一部の直営店では、ネギが青いプラスチック製の(ざる)に入れられて提供されている。カウンターには、発酵した芳香のある唐辛子味噌が備えられている。

なお、これらは店舗により若干の違いが有る。

その他のメニュー

[編集]
味がさね(くずは店)

こっさり・2号

[編集]

「こってり」と「あっさり」のスープを半々に混ぜた「こっさり」が存在する。「こってり」を「1号」、「あっさり」を「3号」と呼ぶのが厨房符牒であり、こってりとあっさりの中間であることから「2号」とも呼ばれる。また「屋台の味」という名前で正式に提供されている店舗もある。

4号・味がさね

[編集]

2004年1月から一部店舗において「味がさね」というスープの濃度を客が調整可能な野菜入り味噌ラーメンを取り扱っていたが、後述の味噌ラーメン販売開始に伴い終売。

ちょこってり

[編集]

ちょこってりは、通常のラーメン「こってり」の量を減らしたミニラーメン。イメージキャラクターを務めるSILENT SIRENひなんちゅが考案した。

味噌ラーメン

[編集]

2020年9月21日から順次全国展開する。北海道の赤味噌と愛知県の豆味噌をブレンドし、炒めた香味野菜の風味を利かせた上で、天下一品のスープを融合させたものとなっている[8]

牛すじラーメン

[編集]

本店である京都の左京区一乗寺「総本店」でだけオーダーできるオリジナルメニュー。その他にも「牛すじキムチラーメン」、「豚重定食」という2種類の本店限定メニューが存在する[9]

こってりMAX

[編集]

2023年6月12日から順次全国展開する。「こってり」がさらにこってりになった新商品である。元々は一部店舗で「絶品MAX」が人気を博していたが名称新たにデビューした。 こってりのコクと旨味を限界まで追求している。

天一の日

[編集]
毎年10月1日に配布されるラーメン1杯無料券

開始時期は不明であるが、毎年10月1日は、天一の日として各店舗でキャンペーンが行われている。当日に麺類や麺類を含む定食を注文すると2ヶ月間有効のラーメン1杯無料を配布するなどというものである。また、翌2日からの1週間はスピードくじが配布される。2010年代に入ってからは無料券はスマホアプリのクーポンの形で配布されている。

店舗

[編集]

メディアへの展開

[編集]

テレビCMなどのメディア広告には、長らく木村と河内家菊水丸が登場。テレビCMについては、2015年から横須賀出身の北乃きい出演のバージョンを、2016年からは京都出身のチュートリアル出演のバージョンを主に放送している。かつては、筒井康隆ベッキーも出演していた。

2014年までCMに出演していたベッキーは当初、「味がさね」のイメージキャラクターとして起用。後にキャラクター契約の範囲を拡大したうえで、テレビCMの一部で木村と共演するようになった。北乃出演のバージョンでも、ベッキー出演のバージョンの内容を事実上引き継いでいる。

映像外部リンク
SILENT SIREN
『天下一品のテーマ』MV

2017年には、当時SILENT SIRENのドラマーだった梅村妃奈子がCMに出演。高校生時代に東京都内の店舗にアルバイトとして3年間勤務した縁によるもので、同年12月23日からは、SILENT SIRENのメンバー4人全員をイメージキャラクターに起用している[10]

2020年1月からは、SILENT SIRENに加えて、大の天一ファンを公言していたギタリスト、SUGIZOLUNA SEAX JAPAN)もCMに出演している[11]

トラブル

[編集]
  • 天一食品商事の役員らに強迫され、1,800万円の示談金を支払うという念書を書かされたとして、京都市の広告会社から京都地方裁判所に、債務不存在の確認を求めた民事訴訟を起こされ、2014年7月、被告天一食品商事の敗訴となった。2012年10月、滋賀県大津市内のリゾート施設の一室で、天一食品商事の役員ら7人が広告会社の代表1人と面会。天一食品商事の役員らは、広告会社が担当した テレビCMの放送時間帯や番組の視聴率が悪く、損害を被ったと主張。1,800万円の示談金を支払う念書の作成を要求した。広告会社代表は拒否したが、天一食品商事の役員らは「家を担保に入れたら借りられる」などと発言し、脅迫行為に及んだため、やむなく念書の作成に応じた。裁判において天一食品商事側は「畏怖を生じさせる発言はしておらず、脅迫には当たらない。金銭について切り出したのは原告であり、何ら要求・強要は無かった」と反論したものの、判決では「天一食品商事の役員らによる、強圧的で異常な言動で念書を書かされ、脅迫行為があった」と認定、広告会社代表の訴えを認め、債務の不存在を確認した。敗訴した天一食品商事側弁護士は「事実認定は間違っており、不当な判決」と述べた[12]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ お知らせ
  2. ^ a b “こってりスタミナスープ 天下一品の味”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ): p. 7. (2009年5月16日) 
  3. ^ テレビドラマデータベース「天下一品物語~すべては屋台から始まった~」
  4. ^ a b c d 『京都のラーメンはカルチャーだ』
  5. ^ a b c 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン。』
  6. ^ 『やっぱり京都人だけが知っている』
  7. ^ 50周年のラーメン「天下一品」。こってり誕生秘話と、意外な「あっさり注文率」を聞いた(bizSPA!フレッシュ)”. Yahoo!ニュース. 2021年12月3日閲覧。
  8. ^ 天下一品に新ジャンル「味噌ラーメン」,ASCII.jp,2020年9月13日
  9. ^ ラーメン好きの“聖地”「天下一品総本店」でだけオーダーできる「特別メニュー」とは? 会長が自ら開発,ラジトピ,2022年4月7日
  10. ^ “SILENT SIREN「天下一品」のイメージキャラクターに就任”. 音楽ナタリー. ナターシャ. (2017年12月22日). https://natalie.mu/music/news/262430 2018年7月2日閲覧。 
  11. ^ グルテン無礼講!SUGIZO「天下一品」新CMでラーメンすする”. 音楽ナタリー (2020年1月2日). 2020年1月4日閲覧。
  12. ^ “ラーメン「天下一品」側敗訴 CMめぐり強迫 京都地裁”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2014年7月4日). http://www.asahi.com/articles/ASG7464K3G74PLZB02C.html 2018年7月2日閲覧。 

参考文献

[編集]
  • 入江敦彦、2002、『やっぱり京都人だけが知っている』、洋泉社 ISBN 4-89691-624-7 pp. ラーメン - こってり進化論
  • 京都新聞出版センター、2007、『京都のラーメンはカルチャーだ』、京都新聞出版センター ISBN 978-4-7638-0595-9 pp. 24
  • リーフ・パブリケーションズ、廣田幸祐 他(編)、2003、『ほんとにおいしい京都の100ラーメン。』、リーフ・パブリケーションズ pp. 6-7, 48

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]