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天然存在比

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

天然存在比てんねんそんざいひ: Natural abundance)または同位体比どういたいひ)はある元素について、同位体の種類ごとに自然界に存在する割合である[1]。通常、周期表では元素の重量について、同位体を含んだ加重平均の値が記されている。天然存在比は場所ごと、惑星ごとに違うが、短い期間の中では比較的一定である。

例として、ウランにはウラン238ウラン235ウラン234の3つの同位体が主に天然に存在する。それぞれの天然存在比は、99.2739–99.2752%、0.7198–0.7202%、 0.0050–0.0059%である[2]。もし100,000個のウラン原子を分析した場合、約99,274個のウラン238原子と、約720個のウラン235原子と、とても少数の(おそらく5個か6個の)ウラン234原子が見つかることが期待される。ウラン238が他の同位体に比べて圧倒的に多い理由は、各同位体の半減期が示すように、ウラン238がウラン235やウラン234よりもずっと安定しているからである。各同位体の半減期は、ウラン238が4.468 × 109年であるのに対して、ウラン235が7.038 × 108年でウラン234が245,500年である。

半減期はウランの同位体ごとに違うため、太古にはウランの天然存在比が今と異なっていた。例えば、今はウラン235の天然存在比は0.7%だが、1.7×109年前には3.1%だった。そのため、今ではありえない天然原子炉が存在していた。

しかし、天然存在比は核種合成親核種の量にも影響される。サマリウムの例では、放射性同位体のサマリウム147やサマリウム148は安定同位体のサマリウム144よりはるかに天然存在比が高い。

主な元素の天然存在比

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次の表は主な元素の陸上の天然存在比を表している。リンやフッ素などのいくつかの元素は天然に単一の同位体しか存在しておらず、その同位体の天然存在比は100%である。

主な元素の天然存在比[3]
同位体 天然存在比(%) 原子量
1H 99.985 1.007825
2H 0.015 2.0140
12C 98.89 12 (基準)
13C 1.11 13.00335
14N 99.64 14.00307
15N 0.36 15.00011
16O 99.76 15.99491
17O 0.04 16.99913
18O 0.2 17.99916
28Si 92.23 27.97693
29Si 4.67 28.97649
30Si 3.10 29.97376
32S 95.0 31.97207
33S 0.76 32.97146
34S 4.22 33.96786
35Cl 75.77 34.96885
37Cl 24.23 36.96590
79Br 50.69 78.9183
81Br 49.31 80.9163

脚注

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  1. ^ 天然存在比 - ATOMICA -”. 2023年1月19日閲覧。
  2. ^ Uranium Isotopes”. 14 March 2012閲覧。
  3. ^ Lide, D. R., ed (2002). CRC Handbook of Chemistry and Physics (83rd ed.). Boca Raton, FL: CRC Press. ISBN 0-8493-0483-0 

関連項目

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外部リンク

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