コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

安濃鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
安濃鉄道株式会社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
三重県津市大字刑郎508
設立 1918年(大正7年)8月20日
業種 陸運業
事業内容 旅客鉄道事業
代表者 社長 鈴木喜一
資本金 106,000円
発行済株式総数 2,120株
特記事項:1972年度現在(『私鉄要覧 昭和47年度版』 90頁)
テンプレートを表示
概要
現況 廃止
起終点 起点:
新町駅(本線)
安東駅(片田支線)
終点:
林駅(本線)
片田駅(片田支線)
駅数 20駅(うち片田支線6駅)
運営
開業 1914年12月29日 (1914-12-29)
休止 1944年1月11日
廃止 1972年8月31日 (1972-8-31)
所有者 安濃鉄道
使用車両 車両の節を参照
路線諸元
路線総延長 14.5 km (9.0 mi)(新町-林間)
5.1 km (3.2 mi)(安東-片田間)
軌間 762 mm (2 ft 6 in)
電化 全線非電化
路線図

本線

exKBHFa
0.0 新町駅
exBHF
1.8 納所駅
exBHF
2.5
0.0
安東駅
exABZgl exSTR+r
片田支線
exBHF exLSTR
3.7 鹿毛駅
exBHF
4.9 曽根駅
exBHF
5.7 内多駅
exBHF
7.4 安濃駅
exBHF
8.8 荒木駅
exBHF
9.5 岡本駅
exBHF
10.1 萩野駅
exBHF
11.0 安西駅
exBHF
12.5 椋本口駅
exSTR POINTERg@f
1944年休止
exBHF
12.8 椋本駅
exSTR POINTERf@g
1925年休止
exKBHFe
14.5 林駅

片田支線

exLSTR
POINTERf@g exSTR
1925年休止
exBHF
0.6 跡部駅
exBHF
1.8 分部駅
exBHF
3.6 産品駅
exDST
4.1 志袋駅(貨) -1924
exBHF
4.5 志袋駅
exKBHFe
5.1 片田駅
テンプレートを表示

安濃鉄道(あのうてつどう)とは、かつて三重県津市と同県河芸郡椋本村(現在の津市芸濃町椋本)を結ぶ鉄道路線を運営していた会社である。他の鉄道路線とは接続していない孤立路線であった。

概要

[編集]

安濃川に沿って阿漕間、また途中の安東で交差して一身田と片田方面を結ぶ計画だったが、中間部分の新町 - 林間、安東 - 片田間しか建設されなかった。1920年代半ばに末端部の椋本 - 林間、支線の安東 - 片田間が廃止され、太平洋戦争に入り資材供出のため1944年に不要不急線として残る新町 - 椋本間が休止となった。戦後も会社は存続し、運行再開を目指し何度か休止延長願を運輸省に提出していたが、資金調達ができず、1972年に正式に廃止された。

路線データ

[編集]
  • 路線距離:
    • 本線:14.5km(新町 - 林)
    • 片田支線:5.1km(安東 - 片田)
  • 駅数:本線14駅、片田支線6駅
  • 軌間:762mm
  • 動力:蒸気・内燃
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 複線区間:なし(全線単線

沿革

[編集]

駅一覧

[編集]
本線
新町駅 - 納所駅 - 安東駅 - 鹿毛駅 - 曽根駅 - 内多駅 - 安濃駅 - 荒木駅 - 岡本駅 - 萩野駅 - 安西駅 - 椋本口駅 - 椋本駅 - 林駅
片田支線
安東駅 - 跡部駅 - 分部駅 - 産品駅 - 志袋駅(貨物) - 志袋駅 - 片田駅

輸送・収支実績

[編集]
年度 輸送人員(人) 貨物量(トン) 営業収入(円) 営業費(円) 営業益金(円) その他益金(円) その他損金(円) 支払利子(円) 政府補助金(円)
1915 125,802 1,494 10,599 12,330 ▲ 1,731 410 4,127
1916 142,699 2,906 13,054 14,392 ▲ 1,338 雑損192 817 8,400
1917 206,625 2,615 18,327 18,509 ▲ 182 償却金1,078 1,760 10,841
1918 222,211 3,903 22,884 27,311 ▲ 4,427 雑損金及創立費償却金622 3,164 12,994
1919 169,394 3,800 26,006 31,831 ▲ 5,825 雑損金183 3,605 13,092
1920 150,730 2,364 30,863 36,954 ▲ 6,091 雑損108借入金償却金400 5,700 13,360
1921 136,843 2,333 29,445 33,513 ▲ 4,068
1922 151,645 3,309 32,202 35,004 ▲ 2,802
1923 164,366 3,520 33,080 38,604 ▲ 5,524 雑損110 4,637 13,405
1924 171,615 2,398 32,958 38,103 ▲ 5,145 雑損29 4,282 13,478
1925 156,247 3,089 30,269 35,247 ▲ 4,978 雑損106,446 3,975 2,127
1926 135,584 2,961 26,232 26,933 ▲ 701 4,066
1927 140,781 4,472 27,895 31,462 ▲ 3,567 雑損8 4,481
1928 130,128 5,691 27,371 29,761 ▲ 2,390 4,842
1929 125,310 3,699 26,493 24,573 1,920 減資益金184,000 雑損57,435 5,078
1930 121,867 2,380 21,553 22,391 ▲ 838 584
1931 122,385 2,311 18,441 17,769 672 雑損569 585
1932 109,433 2,183 15,964 15,655 309 369
1933 110,075 2,549 16,529 16,105 424 516
1934 109,885 2,367 16,202 15,367 835 雑損623 233
1935 112,048 1,995 15,910 15,363 547 雑損600 210
1936 113,722 1,886 16,691 16,551 140 202
1937 112,183 1,721 17,579 17,015 564 償却金548 174
  • 鉄道院年報、鉄道院鉄道統計資料、鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

車両

[編集]

蒸気機関車

[編集]
1 - 3
開業に備えてコッペルで製造されたB形5tタンク式蒸気機関車。気動車の増備により3は1933年(昭和8年)に、1・2は1938年(昭和13年)に廃車となった。
4
片田支線の開業に備えて1917年(大正6年)に大日本軌道で製造されたB形6tタンク式蒸気機関車。1933年(昭和8年)に廃車。

客車

[編集]
1 - 4
開業に備えて名古屋電車製作所で製造された2軸ボギー客車。出入台にドアのないオープンデッキ構造である。1935年(昭和10年)に3・4が廃車となり、3は中遠鉄道に譲渡された。1・2は全線休止まで使用された。
5・6
片田支線の開業に備えて1917年(大正6年)に加藤車輌で製造された2軸ボギー客車。1 - 4と同じくオープンデッキ構造だが、連結面に窓が設けられた。1935年(昭和10年)に5が廃車となった。6は全線休止まで使用された。

貨車

[編集]
ワ1・2
開業に備えて名古屋電車製作所で製造された3t積み2軸有蓋貨車。ワ1は開業翌年の1915年(大正4年)に火災により車体が焼失したため、郵便室付き有蓋緩急車ゴワ1に改造された。ワ2は1917年(大正6年)に火災により車体が焼失し、3t積み無蓋貨車ト3に改造された。改造後、どちらも1935年(昭和10年)に廃車となった。
ワ3・4
片田支線の開業に備えて1917年(大正6年)に加藤車輌で製造された3t積み2軸有蓋貨車。2両とも1923年(大正12年)3t積み無蓋貨車に改造され、ト4・5となった。1935年(昭和10年)にト4が廃車となり、ト5は2t積みに変更されて休止時まで使用された。
ト1・2
開業に備えて名古屋電車製作所で製造された3t積み2軸無蓋貨車。ト1は1933年(昭和8年)に廃車となった。ト2は休止時まで使用された。

気動車

[編集]

計3両が製造されている。いずれも戦時中は木炭ガス発生装置を装備し、休止時まで気動車として使用された。

ジ1
1928年(昭和3年)に丸山車輌で製造された単端式(片運転台)2軸ガソリンカー。エンジンはフォードT形 (18.75HP)。
ジ2
ジ1と同じく1928年(昭和3年)に丸山車輌で製造された単端式2軸ガソリンカー。エンジンは同じくフォードT形 (18.75HP)。車両後部に手荷物室を設けた。
カ10
1935年(昭和10年)に日本車輌で製造された単端式2軸ガソリンカー。エンジンはフォードBBF (43.5HP)。

脚注

[編集]
  1. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1912年2月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1915年1月12日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1915年1月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1915年3月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「軽便鉄道停留場設置」『官報』1915年11月12日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1917年4月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「輕便鐵道線路一部免許取消」『官報』1917年6月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「地方鉄道免許取消」『官報』1922年5月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 山崎(1986)63頁。9月1日とする資料もある「地方鉄道駅設置」『官報』1924年10月4日(国立国会図書館デジタルコレクション)、『停車場一覧 昭和2年版』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1924年11月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 日付は山崎(1986)61頁による「鉄道免許失効」『官報』1929年9月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 山崎(1986)62頁によれば7月24日許可10月31日実施「地方鉄道運輸営業廃止」『官報』1941年7月31日(国立国会図書館デジタルコレクション)では即日(7月24日)実施

参考文献

[編集]
  • 山崎寛「失われた鉄道・軌道をたずねて〔57〕安濃鉄道」『鉄道ピクトリアル』1986年3月号(通巻460号)、電気車研究会、1986年3月。 
  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳』 8 関西1、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790026-5 

外部リンク

[編集]