小尾恵一郎
人物情報 | |
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生誕 | 1927年5月22日 |
死没 | 1997年10月16日(70歳没) |
出身校 | 慶応義塾大学 |
学問 | |
研究分野 | 計量経済学 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
学位 | 経済学博士 |
称号 | 慶応義塾大学名誉教授 |
影響を受けた人物 | ラグナー・フリッシュ |
小尾 恵一郎(おび けいいちろう、1927年〈昭和2年〉5月22日[1] - 1997年〈平成9年〉10月16日[1])は、日本の経済学者。慶応義塾大学経済学部名誉教授。専門は計量経済学。労働供給に関する理論・実証研究で知られる.
学歴
[編集]1940年慶応義塾幼稚舎卒業、1944年慶応義塾普通部(旧制)卒業、1947年慶応義塾大学(旧制)予科卒業、1950年慶応義塾大学(旧制)経済学部卒業、1966年慶応義塾大学経済学博士(慶応義塾大学第220号)[2]。
職歴
[編集]慶応義塾大学経済学部副手・助手・助教授を経て、1967年同教授,1963年-1964年ハーバード大学訪問研究員、1993年慶応義塾大学名誉教授,1987-1991年慶応義塾大学産業研究所所長、更に経済企画庁経済審議会計量部会委員、労働省中央審議会専門委員、行政管理庁統計審議会専門委員、総務庁統計審議会委員、文部省学術国際局学術審議会専門員を兼任した[2]。 小尾恵一郎と尾崎巌と辻村江太郎は慶応大学の計量経済学・統計学の三羽烏と呼ばれた[3]。
主な学術業績とその影響
[編集]小尾は日本における労働供給研究の草分けとされる[4][5]。 特に、家計における核所得者(家計内の最も所得の高い構成員)と非核所得者(家計内の最も所得の高い構成員以外の構成員)の概念を明示的に示し、いわゆるダグラス・有沢の法則に基礎を置く精緻な労働供給の理論モデルを開発した[注 1] [6] [7][8] [9] [10]。 労働供給に関する小尾の研究は,牧厚志,樋口美雄等の慶応義塾大学商学部を中心とする研究者にその後大きな影響を与えた[11] [12] [注 2]。 一方、女性の教育水準上昇・男女雇用均等法の施行などにより、ダグラス・有沢の法則が妥当しなくなってきているとの研究結果も得られている [14] [15] [16] [17]。
注釈
[編集]- ^ 神代[5]に依れば,ケインズは「労働供給曲線を切り捨てたまま放置」し、ジョン・ヒックスは「労働供給をもっぱら労働者個人の賃金率への反応、能率への影響として論じていた」から、「労働供給曲線は,本当はどのような形をしているのか,また労働供給の主体は何なのか,は不分明なままであった」.この中にあって,「この問題を正面から取り上げた」のが小尾[6]であった. しかし、小尾の研究は、国際学術雑誌などではなく、もっぱら日本語で発表されているので、その国際的評価は困難である.
- ^ 家計の労働供給理論のほかに自営就業(内職)と雇用就業との関係,および賃金格差と労働需給の順位均衡に渡る「小尾理論の全体像」[5]が遺稿集[13]で詳細に展開されている.
文献引用
[編集]- ^ a b 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年~平成23年 2 (学術・文芸・芸術篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年、271頁。
- ^ a b 小尾恵一郎教授略歴・著作目録 三田学会雑誌 Vol. 85, No. 4, 1993, pp. 735-739
- ^ 宮川 公男,『一橋学園と私: 経済学部から商学部へ移って』一橋大学創立 150年史準備室ニューズレター No.6 (2020.3) https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/sc/64131/HU150NEWSL0000600170.pdf
- ^ 岩田暁一・西川俊作 『KEO実証経済学』慶応義塾大学産業研究所 KEOモノグラフシリーズ, p. iv No. 6, 1995年
- ^ a b c 神代和欣. 「労働経済学」 『日本労働研究雑誌』 621 (2012). pp. 2-7.
- ^ a b 小尾恵一郎 「労働の供給について-経験的事実と理論の再考」『経済研究』8-3, 1957.7
- ^ 武内真美子「『ダグラス=有澤法則』に関する一考察」『国際公共政策研究』第11巻第2号、大阪大学大学院国際公共政策研究科、2007年3月、125-141頁、CRID 1050845762777683328、hdl:11094/9841、ISSN 13428101。
- ^ 小尾恵一郎(1969) 「臨界核所得分布による勤労家計の労働供給の分析」 『三田学会雑誌』第62巻1号 pp. 17-45
- ^ Keiichiro Obi, Household's Labor Supply Function in Terms of Numerical Income-Leisure Preference Field, KEO Occasional Paper, E-12, April, 1991
- ^ 小尾恵一郎(1979) 「家計の労働供給の一般理論について」 『三田学会雑誌』第72巻6号 pp. 720-745
- ^ 牧厚志, 宮内環, 浪花貞夫, 縄田和満 (2001) 「労働供給分析」『応用計量経済学 Ⅱ』第2章, 多賀出版株式会社
- ^ 樋口美雄 (1982)「既婚女子の労働供給行動」『三田商学研究』第25巻4号
- ^ 小尾恵一郎 宮内環 『労働市場の順位均衡』東洋経済新報社 1988
- ^ 浜田浩児「夫婦所得の世帯間格差に対する妻の所得の寄与度」『生活経済学研究』第25巻、生活経済学会、2007年、93-104頁、CRID 1390282680743835264、doi:10.18961/seikatsukeizaigaku.25.0_93、ISSN 13417347。
- ^ 眞鍋倫子「夫の収入と妻の就業の関係の変化 : その背景と帰結」『東京学芸大学紀要. 第1部門教育科学』第56巻、東京学芸大学紀要出版委員会、2005年3月、71-78頁、CRID 1050288469017215360、hdl:2309/2068、ISSN 0387-8910。
- ^ 大石, 亜希子 「有配偶女性の労働供給と税制・社会保障制度」『季刊社会保障研究』Vol.39, No.3, 2003年, pp.286-300.
- ^ 佐々木昇一「日本における学歴同類婚と妻の労働供給が家計所得の変動に与える影響に関する実証分析」『生活経済学研究』第50巻、生活経済学会、2019年9月、19-34頁、CRID 1390565134843197568、doi:10.18961/seikatsukeizaigaku.50.0_19、ISSN 13417347。