小松由佳 (登山家)
小松 由佳(こまつ ゆか、1982年(昭和57年)9月22日 - )は、日本の登山家・写真家。東京都在住[1]。
来歴
[編集]秋田県秋田市出身。秋田県立秋田北高等学校に入学してすぐに登山部へ入部[2]。1999年熊本国体、2000年岐阜インターハイに出場するなど競技登山に打ち込んだ[2]。のち東海大学文学部へ進学。山岳部へ入部し、本格的な登山を始める。同部は女性の入部が禁止されていたが、その決まりを知らない部員によって入部が認められた。4年次には同部初の女性主将となり[2]、中国の未踏峰へ海外遠征も行う。
大学卒業後の2006年8月、同大学山岳部創部50年記念事業のK2登山隊へ参加[3]、登頂に成功した(女性としては8人目[2]、日本人女性として初めての成功[3][4]。また、南南東支稜からの登頂は女性として世界初[5])。同年度の植村直己冒険賞を受賞した(女性としては山野井妙子、渡辺玉枝に続く3人目)。 また、同年に秋田県県民栄誉章を受章[6]。
勤務先は、登山用品店ICI石井スポーツを経て東京郊外の牧場、知的障害者の福祉施設、現在は若者の自立支援業務に携わる。
その後、風土と共に生きる人間の営みに魅せられ、東西アジアを旅しながらフォトグラファーに転身。多様な自然環境の中での人間の暮らしを撮影している。写真誌『名のない星』を個人的に発刊し、瀬戸内海の過疎化の進む島の暮らしや、秋田の冬の鮭の遡上の光景をフォトエッセイで表現している。
2012年からシリア難民をテーマに取材を続け、同年シリア人男性と結婚[7][8]。2児の母[2]。 2021年、シリア内戦を描いたノンフィクション『人間の土地へ』にて第8回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞[9]。
主な登山歴・取材歴
[編集]- 2004年 ルクン・ムスターグ(中国 新疆ウイグル自治区/6500m)初登頂
- 2005年 チョモランマ(中国 チベット/8850m)6500mまで
- 2006年 K2(パキスタン/8611m)南南東支稜より登頂
- 2007年 ヨーロッパアルプス メンヒ北壁(スイス)、モンブラン・デ・タキュール(フランス)など
- 2007年 シスパーレ(パキスタン/7611m)6000mまで
- 2008年 東京から沖縄まで自転車の旅
- 2008年 モンゴルの遊牧民を取材
- 2009年 シリア砂漠の遊牧民ベドウィン族・北イラクのクルド人・イランの遊牧民ゴラッボ族・カシュガイ族を取材
- 2010年 エジプトのオアシスの暮らし・ナイル流域の暮らしを取材。イエメンの山岳民族を取材
- 2011年 シリア砂漠の遊牧民ベドウィン族の取材
- 2012年 シリア内戦下の暮らしを取材
- 2013年 在ヨルダンシリア人難民キャンプを取材、難民への募金を運ぶ
著書
[編集]- 『オリーブの丘へ続くシリアの小道で:ふるさとを失った難民たちの日々』河出書房新社、2016年3月。ISBN 978-4-309-24755-7
- 『風土に生きる人々:写文集・生き物との暮らし』(電子書籍) ゼロメガ、2017年1月。
- 『人間の土地へ』集英社インターナショナル、2020年9月。ISBN 978-4-7976-7389-0
テレビ出演
[編集]- NNNドキュメント(日本テレビ)「サーメル 〜子連れ写真家とシリア難民〜」2017年9月24日[10]
- 衝撃のアノ人に会ってみた!(日本テレビ) 2018年[11]
- チコちゃんに叱られる!(NHK) 2019年4月26日[11]
- こころの時代「生きる根をみつめて」(2022年8月28日、NHK Eテレ)[12]
参考資料
[編集]- 東海大学K2登山隊編『K2 2006:日本人女性初登頂・世界最年少登頂の記録』(東海大学出版会,2007年) ISBN 9784486037026
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業”. 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業. 2022年9月3日閲覧。
- ^ a b c d e “登山家・小松由佳さんが本市で講演”. 北秋田市ホームページ 住民が主役のもりのまち. 2022年9月3日閲覧。
- ^ a b "日本人女性初のK2登頂から難民の妻に。小松由佳さんの困難との向き合い方". ニュースイッチ. 2021年1月1日. 2023年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。
- ^ "日本人女性初 K2に登頂! 小松由佳さん 「生きて帰って来られたのは"運"」". NHK. 2021年12月11日. 2021年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月17日閲覧。
- ^ “小松 由佳”. www.adnet-sakigake.com. 2022年9月3日閲覧。
- ^ “「秋田県県民栄誉章」の概要(これまでに顕彰された方々)”. 美の国あきたネット. 2022年9月3日閲覧。
- ^ ある日突然、恋人が「難民」となり、国を出て生き延び結婚するまで 現代ビジネス、2018年12月3日
- ^ 「だから、私は山へ行く」 #03 小松由佳さんランドネ、2020年4月14日
- ^ "第8回「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」が決定!授賞式は5月26日."アットプレス(2021年5月14日付). 2024年8月14日閲覧。
- ^ “サーメル 子連れ写真家とシリア難民”. 日本テレビ (2017年9月24日). 2022年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月21日閲覧。
- ^ a b “ABOUT テレビ/ラジオ”. 小松由佳公式ウェブサイト (2022年9月19日). 2022年9月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月19日閲覧。
- ^ "生きる根をみつめて". NHK. 2022年8月28日. 2022年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月21日閲覧。