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屋根裏のラジャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
屋根裏のラジャー
The Imaginary
監督 百瀬義行
脚本 西村義明
原作 A.F.ハロルド
ぼくが消えないうちに
製作 映画「屋根裏のラジャー製作委員会」
製作総指揮 西村義明
音楽 玉井健二&agehasprings
主題歌 ア・グレイト・ビッグ・ワールド featuring レイチェル・プラッテン「Nothing's Impossible (ナッシングズ・インポッシブル)」
制作会社 スタジオポノック
製作会社 「屋根裏のラジャー」製作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗 2023年12月15日
上映時間 109分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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屋根裏のラジャー』(やねうらのラジャー)は、スタジオポノック制作による日本アニメーション映画[1]2023年12月15日に公開された[2]。監督は百瀬義行。プロデューサーは西村義明。音楽は玉井健二agehasprings。主題歌はグラミー賞アーティストア・グレイト・ビッグ・ワールドが『Nothing's Impossoble』を本作のために書き下ろした[3]

キャッチコピーは「ようこそ、イマジナリの世界へ。」、「世界は残酷で愛に溢れている。」。

概要

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スタジオポノックの長編アニメーション映画としては『メアリと魔女の花』以来6年ぶりの作品[4]監督を務めるのは、アニメーター演出家として『おもひでぽろぽろ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など数多くのスタジオジブリ作品で中核を担い、監督としてスタジオポノック作品の短編アンソロジーちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』の一篇『サムライエッグ』を手掛けた百瀬義行[4]

少女の想像によって生まれたイマジナリーフレンドを主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描いたファンタジーアドベンチャー[5]。愛を失った少女が生み出した"イマジナリ"という誰にも見えない少年・ラジャーが、想像の世界が消えようとするのを防ぐため仲間たちと"誰にも見えない戦い"に挑む姿を描く[1]

原作は、イギリス詩人作家A・F・ハロルドによる児童文学ぼくが消えないうちに英語: The Imaginary[2]。イギリス文学協会賞受賞をはじめ、ケイト・グリーナウェイ賞カーネギー賞などにノミネートされ、世界の文学賞を席巻した同作を基に映画化した[4]

主題歌は、グラミー賞受賞のアメリカの男性デュオア・グレイト・ビッグ・ワールドによる「Nothing's Impossible (ナッシングズ・インポッシブル)」[6]シンガーソングライターレイチェル・プラッテンも参加した[6]

主人公・ラジャー役の声優には、アニメーション映画初参加となる 寺田心が起用された[6]。また、ヒロイン・アマンダの母リジー役の安藤サクラ、イマジナリの老犬役を務める俳優・歌手の寺尾聰も同じくアニメ映画への参加はこれが初となる[7]

あらすじ

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少女アマンダの想像から生まれた誰にも見えない"イマジナリ"の少年ラジャーはアマンダとふたりで一緒に楽しい時間を過ごしていたが、ある日突然、アマンダがいなくなり、ラジャーはひとりになってしまう。ラジャーはアマンダに忘れられると、ラジャーはこの世界から消えてしまう。さらに子供たちの想像を食べるという不気味な男も現れて…。

登場人物

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ラジャー
声 - 寺田心
本作の主人公。少女アマンダの想像から生まれた"想像上の友達"であるイマジナリ。
アマンダ
声 - 鈴木梨央
ラジャーを生み出した少女。本屋の2階に暮らす。
リジー
声 - 安藤サクラ
アマンダの母。
「リジー」は愛称であり、本名は「エリザベス」。
シャッフルアップ書店の店長だったが、諸事情により閉店し、他に職を得る。
エミリ
声 - 仲里依紗
イマジナリの世界でラジャーが出逢う少女。
イマジナリの世界に上下関係などは無いのだが、事実上のリーダー格。
イマジナリの世界ではラジャー以外で唯一、人間風の容姿をしている。
オーロラ姫
声 - 杉咲花
ジンザン
声 - 山田孝之
ラジャーの前に現れる怪しげな猫で右眼が紅、左眼が蒼のオッドアイ
ラジャーに本人の行く末を説明し、イマジナリの世界に来るように案内する。
ラジャーのことは名前では呼ばずに「少年」と呼ぶなど、一歩引いた立場でラジャーに接する。
ダウンビートおばあちゃん/マダム・トワレ
声 - 高畑淳子
田舎で暮らすアマンダの祖母。/トイレのイマジナリ
レイゾウコ[注 1]
声 - 寺尾聰
イマジナリの老犬。
イマジナリの世界で思い悩むラジャーにきっかけを与える。
ミスター・バンティング
声 - イッセー尾形
謎の男。ラジャーをつけ狙っており、黒髪で黒い服装を着た無表情で無言の少女を常に従えている。
小雪ちゃん
声 - かぬか光明
ラジャーがイマジナリの世界で出逢うピンク色のカバ
骨っこガリガリ
声 - 一龍斎貞友
ラジャーがイマジナリの世界で出逢う幼児の背丈ほどの骸骨。
劇中、ひょんなことから「新しい友達」を見つけ、物語からは離脱する。
ドロン
声 - 大谷育江
ラジャーがイマジナリの世界で最初に出逢い、言葉を交わしたおもちゃのロボット。
ジュリア
声 - 平澤宏々路
アマンダの同級生。バレリーナを目指している。
ジョン君
声 - 川原瑛都
アマンダと同じ学校に通う黒人の少年。想像の中でラジャーと出逢う。

スタッフ

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制作

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スタジオジブリで高畑勲監督の右腕として活躍した百瀬義行監督の指揮のもと、作画監督に同じく元スタジオジブリの小西賢一を迎え、背景美術はスタジオジブリの美術スタッフが中心になって設立したでほぎゃらりーが担当した[8]美術監督は『この世界の片隅に』の林孝輔[2]

スタジオジブリ由来の伝統の手描きアニメーションと、新たなデジタル技術を用いたフランスのクリエイターたちとのコラボレーションにより、従来の手描きアニメーションでは実現できなかった質感表現と光と影による画期的な映像表現で、登場人物たちに実在感を与えている[2]。手描きのセルは10万枚以上に及んだという[9]

しかし、新たなアニメ表現のために新技術の導入に踏み切った結果、コロナ禍の影響も重なって制作状況が悪化。制作の遅れによって残存期間ではクオリティの維持、向上が困難な状況となったため、公開スケジュールを延期して制作を続行するか、それとも断念するかの決断を迫られた[10][11]。制作を続行すればスタッフの人件費がかさんで予算オーバーとなることは免れず、相当な金銭的な負担が予想され、2022年1月頃にはポノックの存続の危機、解散も視野に入ってきた[9]。だが、2022年3月2日に同年夏に予定していた公開が延期されることが発表され、制作は続行。何とか完成までこぎつけることができた[2]

公開

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2023年12月15日全国公開[5]。当初は2022年夏の公開を予定していたが、制作スケジュールの遅れにより1年以上の延期となった[6][11]

全国公開に先駆け、同年11月16日に東京都TOHOシネマズ六本木ヒルズでジャパンプレミアが行われた[5]

2024年7月5日NETFLIXによる全世界独占配信が開始となった。

評価

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公開後の2023年12月18日に発表された週末興行成績ランキングでは初登場第9位にランクインした[12]。2024年のアヌシー国際アニメーション映画祭長編アニメーションコンペティション部門に選出。

絵本

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ハッピーセットほんのハッピーセットに本映画とのタイアップ絵本「そうぞうのおともだちラジャー」が12月8日から登場。[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ 公式サイトでは「老犬」とのみ紹介されている。

出典

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  1. ^ a b スタジオポノック5年ぶり長編アニメ映画「屋根裏のラジャー」来夏公開 監督は百瀬義行”. アニメハック. エイガ・ドット・コム (2021年12月8日). 2022年1月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e スタジオポノック長編映画『屋根裏のラジャー』1年余りの公開延期を経てほぼ完成を報告 手描きアニメーションの“進化”に手応え”. ORICON NEWS. オリコン (2023年8月22日). 2023年11月25日閲覧。
  3. ^ 屋根裏のラジャー”. 2023年8月20日閲覧。
  4. ^ a b c スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』公開! 主人公は“誰にも見えない”少年”. cinemacafe.net. イード (2021年12月8日). 2022年1月17日閲覧。
  5. ^ a b c スタジオポノック「屋根裏のラジャー」試写会、天国の"イマジナリーフレンド"高畑勲監督のために席を用意”. アニメハック. エイガ・ドット・コム (2023年11月17日). 2023年11月25日閲覧。
  6. ^ a b c d アニメ映画『屋根裏のラジャー』スタジオポノック長編、想像から生まれた“誰にも見えない”少年の冒険”. FASHION PRESS. 株式会社カーリン (2023年11月6日). 2023年11月25日閲覧。
  7. ^ “寺尾聰、俳優デビュー55年で声優初挑戦 杉咲花は謎の存在演じる 映画「屋根裏のラジャー」”. 日刊スポーツ. (2023年10月23日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202310220001158.html 2023年11月25日閲覧。 
  8. ^ 『屋根裏のラジャー』新しいアニメーション表現に挑戦したキャラクターポスターお披露目”. ORICON NEWS. オリコン (2023年11月16日). 2023年11月25日閲覧。
  9. ^ a b スタジオポノック「屋根裏のラジャー」"経営危機"乗り越え完成へ 西村義明プロデューサー「大変な製作だった」”. 映画.com. エイガ・ドット・コム (2023年8月21日). 2023年11月25日閲覧。
  10. ^ “倒産危機乗り越え映画製作 スタジオポノック6年ぶりアニメ「屋根裏のラジャー」西村Pが秘話 (2)”. 日刊スポーツ. (2023年9月11日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202309110000125.html?Page=2 2019年4月24日閲覧。 
  11. ^ a b スタジオポノックの長編アニメ「屋根裏のラジャー」公開延期”. 映画.com. エイガ・ドット・コム (2022年3月2日). 2023年11月25日閲覧。
  12. ^ 国内映画ランキング(2023年12月15日~2023年12月17日)”. 映画.com (2023年12月18日). 2023年12月18日閲覧。
  13. ^ “マクドナルド「ほんのハッピーセット」、ミニ図鑑「まどあけずかん きょうりゅう」と絵本「そうぞうのおともだち ラジャー」登場”. グルメWatch (インプレス). (2023年12月1日). https://gourmet.watch.impress.co.jp/docs/news/1550653.html 2024年7月5日閲覧。 

外部リンク

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