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工藤元男

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工藤 元男
くどう もとお
人物情報
生誕 (1950-01-01) 1950年1月1日(74歳)
山形県
出身校 早稲田大学
学問
研究分野 東洋史
研究機関 文教大学、早稲田大学
博士課程指導教員 古賀登
博士課程指導学生 柿沼陽平
学位 博士(文学)
主要な作品 『睡虎地秦簡よりみた秦代の国家と社会』(1998年)
学会 早稲田大学東洋史懇話会、史学会東洋史研究会東方学会、日本秦漢史学会、日本道教学会、日本中国学会、中国出土資料学会、史学会(早稲田大学)[1][2]
主な受賞歴 東方学会賞(1982年)
公式サイト
早稲田大学 工藤研究室
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工藤 元男(くどう もとお、1950年昭和25年)1月1日 - )は、日本東洋史学者早稲田大学名誉教授[2]。専門は中国古代史[3](主に春秋戦国から秦漢[4])。学位は、博士(文学)早稲田大学[5]

略歴

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1950年1月1日[6]山形県生まれ[4][7]1974年早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業[1]1982年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程(東洋史専攻)単位取得退学[7][1][8]。指導教授は古賀登が務めた[9]1998年、博士号取得[5]1990年から1994年まで文教大学国際学部専任講師[1][10]。1994年から1999年まで早稲田大学文学部助教授[1]。1999年からは同学部教授[1]2004年9月より早稲田大学が学術院制度を導入したことに伴い[11]早稲田大学文学学術院教授[10]2020年、同学術院教授を定年退職した[12]。それに当たり、「中国古代の地方官吏と『日書』」と題した最終講義を行った[12]

また、1993年から1994年まで東京大学文学部、1993年から1996年まで青山学院大学文学部、1996年に茨城大学教養部2000年から2001年まで東京大学文学部、2001年から2003年まで慶應義塾大学文学部、2003年に山口大学人文学部2008年中央大学大学院文学研究科と明治大学文学部で非常勤講師を務めた[1]。2000年から2001年まで武漢大学中国伝統文化与現代化研究中心兼職教授、2001年から2004年まで武漢大学客座教授にも在職していた[1]

なお、1989年から比較法研究所兼任研究員、2006年から2015年までアジア研究所研究所員、2010年から2014年まで東アジア「仏教」文明研究所研究所員、2007年から朝鮮文化研究所研究所員、2016年から先史考古学研究所研究所員となっている[1]。2000年からは長江流域文化研究所長を務めている[6][1]

1982年、「戦国秦の都官―主として睡虎地秦墓竹簡による」およびこれと関連する研究活動により、第1回東方学会賞を受賞した[13]

研究分野

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新石器時代以降に中国各地で生まれた地域文化が、の成立に従っていかに吸収され、どのように新たな地域文化を作り出したのかを解き明かそうとしている[2]

特に睡虎地秦簡などの出土文字資料を手がかりとした、中国古代の法制史や社会史、宗教史の研究で知られる[14][7]。とりわけ法制史研究は、武漢大学との間で行われた戦国から秦漢期までの簡牘資料に関する共同研究へとつながった[14]。これは、湖北省で多く出土した竹簡や金文を解読するために、高性能の赤外線カメラを武漢大学へ提供して行われたものである[15]。また、「日書」を始めとする宗教史や社会史の研究についても、羌族・白馬チベット族や宝墩遺跡などを対象とした四川大学との共同調査に発展した[14]。この結果、黄河文明長江文明が同根である可能性について指摘した[16]

なお、2000年に長江流域文化研究所が発足する以前は、早稲田大学長江流域文化調査隊を編成して中国の大学との共同研究を進めていた[17]

主な指導学生には、早稲田大学文学部教授の柿沼陽平などがいる[18][19]

著作

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学位論文

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  • 工藤元男「睡虎地秦簡よりみた秦代の国家と社会」早稲田大学 博士論文(文学)乙第1406号、1998年、NAID 5000001736812021年8月25日閲覧 

単著

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  • 工藤元男『中国古代文明の謎』光文社〈光文社文庫 グラフィティ・歴史謎事典〉、1988年10月。ISBN 978-4334708337NCID BA54921621 
  • 工藤元男『睡虎地秦簡よりみた秦代の國家と社會』創文社〈東洋學叢書〉、1998年2月。ISBN 978-4423192443NCID BA35183782 
  • 『中国古代文明の形成と展開』早稲田大学文学部、トランスアート(発売)〈早稲田大学オンデマンド出版シリーズ〉、2003年3月。ISBN 978-4924956988NCID BA61892669 
  • 『占いと中国古代の社会 : 発掘された古文献が語る』東方書店〈東方選書 42〉、2011年12月。ISBN 978-4497211101NCID BB07729932 
  • 工藤元男 著、廣瀬薫雄、曹峰 訳『睡虎地秦簡所見秦代国家与社会』上海古籍出版社〈早期中国研究叢書〉、2018年9月。ISBN 978-7532589722 [1]

共著

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編著

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共編著

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  • 冉光榮、工藤元男主編 編『四川岷江上游历史文化研究』四川大学出版社、1996年12月。ISBN 978-7561414330NCID BA32534326 
  • 盧丁、工藤元男主編 編『中国四川西部人文历史文化综合研究』四川大学出版社〈中国西部南北游牧文化走廊研究报告 2〉、2003年1月。ISBN 978-7561425053NCID BA62258705 
  • 彭浩、陳偉、工藤元男 編『二年律令與奏讞書 : 張家山二四七號漢墓出土法律文獻釋讀』上海古籍出版社、2007年8月。ISBN 978-7532546688NCID BA84118335 
  • 工藤元男、李成市 編『東アジア古代出土文字資料の研究』雄山閣〈アジア研究機構叢書 人文学篇 第1巻〉、2009年3月。ISBN 978-4639020844NCID BA89674766 
  • 工藤元男、李成市 編『アジア歴史・思想論』弘文堂〈早稲田大学アジア研究機構叢書 アジア学のすすめ 第3巻〉、2010年6月。ISBN 978-4335501135NCID BB02283348 

監修

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  • コリンヌ・ドゥベーヌ=フランクフォール 著、南条郁子 訳『古代中国文明 : 長江文明と黄河文明の起源を求めて』工藤元男監修、創元社〈「知の再発見」双書 86〉、1999年9月。ISBN 978-4422211466NCID BA43215090 

テレビ番組

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 取材協力

  • NHKスペシャル 中国文明の謎 第三集 始皇帝 “中華”帝国への野望

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 工藤 元男”. 早稲田大学 研究者データベース. 早稲田大学. 2019年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月22日閲覧。
  2. ^ a b c 工藤 元男 - 研究者”. researchmap (2019年11月28日). 2019年12月22日閲覧。
  3. ^ アジア史コース教員・学生”. 早稲田大学アジア史コース・東洋史学専修. 2019年12月22日閲覧。
  4. ^ a b 工藤元男 教授”. 早稲田大学 工藤研究室. 早稲田大学 文学研究科 史学(東洋史)専攻. 2019年12月22日閲覧。
  5. ^ a b 博士論文.
  6. ^ a b 中国古代の禹の神話と四川の羌族”. 新鐘67 早稲田に聞け!「アジア」 (2002年12月16日). 2019年12月22日閲覧。
  7. ^ a b c 工藤.睡虎地秦簡.1998, p. 奥付.
  8. ^ 工藤元男 プロフィール”. HMV&BOOKS online. 2019年12月22日閲覧。
  9. ^ 工藤.睡虎地秦簡.1998.
  10. ^ a b 工藤 元男 (60225167)”. KAKEN. 2019年12月22日閲覧。
  11. ^ 社会科学総合学術院とは”. 早稲田大学 社会科学総合学術院. 2019年12月22日閲覧。
  12. ^ a b 2019年度定年退職教員最終講義”. 早稲田大学 (2019年12月9日). 2020年4月5日閲覧。
  13. ^ 東方学会賞受賞者一覧”. 一般財団法人東方学会. 2019年12月22日閲覧。
  14. ^ a b c 中国古代の法・政・俗”. 汲古書院. 2019年12月22日閲覧。
  15. ^ “[グローバル・アイ]漢字研究の日中協力 「共通財」もっと活用を=西川恵”. 毎日新聞: 東京朝刊8面. (2004年8月23日) 
  16. ^ “【イブニングマガジン】考古学 早稲田大学 シルクロードと中国 工藤元男教授”. 産経新聞: 東京夕刊特集. (2000年8月28日) 
  17. ^ “早大に研究所ラッシュ、今年度既に40件――ただし5年限定・援助なし。”. 日本経済新聞: 朝刊38面. (2000年7月22日) 
  18. ^ 修士論文一覧”. 早稲田大学アジア史コース・東洋史学専修. 2019年12月22日閲覧。
  19. ^ 中国古代貨幣経済史の研究」早稲田大学 博士論文(文学)甲2935号、2009年、NAID 5000005131832021年8月25日閲覧 

外部リンク

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