新書365冊
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『新書365冊』(しんしょさんびゃくろくじゅうごさつ)は、評論家、コメンテーターの宮崎哲弥の新書ガイドである。2006年に朝日新書から刊行された。
雑誌『諸君!』の2002年1月号から2003年6月号に連載された「解体『新書』」と2003年7月号から2006年3月号に連載された「『今月の新書』完全読破」をジャンル別に再構成、加筆したものである。連載記事、「解体『新書』」では毎月1冊を紹介するスタイルであったが、「『今月の新書』完全読破」ではその月に出版された新書を完全読破し、ベスト新書を1冊、ベター新書を5冊、ワースト新書を1冊選んでレビューし、注目される5冊を「さらに5冊」として寸評をそえて紹介するという構成であった。再構成されたこの新書では、「教養」「哲学・論理学・数学」「政治・国際問題」「経済と金融・会計」「法と自由」「歴史・文学・ことば」「社会・会社」「若者・教育」「犯罪と監視社会」「生きる・死ぬ」「科学」「脳・心・からだ」「メディア」「文化」「宗教」に節分けされ、ワースト新書を集めた「問題な新書」の章と連載終了後の新書をインタビュー形式で評価する「緊急インタヴューその後の「新書完全読破」」からなる。
連載の行われた時期は出版各社が新書シリーズの創刊を行った「新書ブーム」の時代であり、毎月60冊から100冊を手にした述べている。宮崎は「新書は世界にも稀な大衆啓蒙メディア」で、気軽に広範な知識を提供してきたことに存在意義を求めるが、「教養」や「啓蒙」に対するニーズが変質し、出版社間の過当競争で質が低下していることを嘆いている。
ベストがつけられた新書
[編集]- 『教養主義の没落』(竹内洋)
- 『正義を疑え!』(山口意友)
- 『アナーキズム』(浅羽通明)
- 『国際政治とは何か』(中西寛)
- 『テロ―現代暴力論』(加藤朗)
- 『劇場政治を超えて』(原田武夫)
- 『アメリカ保守革命』(中岡望)
- 『アメリカ外交とは何か』(西崎文子)
- 『ナショナリズムの練習問題』(井崎正敏)
- 『日本の「ミドルパワー」外交』(添谷芳秀)
- 『歴史認識を乗り越える』(小倉紀蔵)
- 『エコノミストは信用できるか』(東谷暁)
- 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉)
- 『人間にとって法とは何か』(橋爪大三郎)
- 『自由とは何か』(佐伯啓思)
- 『父と娘の法入門』(大村敦志)
- 『憲法対論』(奥平康弘、宮台真司)
- 『日露戦争―もうひとつの「物語」』(長山靖生)
- 『歴史学ってなんだ?』(小田中直樹)
- 『戦後和解』(小菅信子)
- 『ファスト風土化する日本』(三浦展)
- 『パラサイト社会のゆくえ』(山田昌弘)
- 『若者が《社会的弱者》に転落する』(宮元みち子)
- 『狂気と犯罪』(芹沢一也)
- 『死生観を問い直す』(広井良典)
- 『私の臓器はだれのものですか』(生駒孝彰)
- 『不幸論』(中島義道)
- 『もう牛を食べても安心か』(福岡伸一)
- 『自然をつかむ7話』(木村龍治)
- 『心の専門家はいらない』(小沢牧子)
- 『行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由』(杉山尚子)
- 『霊はあるか』(安斎育郎)
- 『夢の科学』(アラン・ホブソン)
- 『戦争報道』(武田徹)
- 『少年犯罪実名報道』(高山文彦編)
- 『動物化する世界の中で』(東浩紀、笠井潔)
- 『葉隠の武士道』(山本博文)
- 『イスラーム世界の女性たち』(白須英子)
- 『ドキュメント 女子割礼』(内海夏子)
- 『現代ロシアを読み解く』(袴田茂樹)
- 『さまよう死生観 宗教の力』(久保田展弘)
- 『いきなりはじめる浄土真宗』『はじめたばかりの浄土真宗』(内田樹、釈徹宗)
- 最終章でベストの評価した新書は
書誌情報
[編集]- 宮崎哲弥 『新書365冊』(朝日新書) ISBN 978-4-02-273106-7