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月の囁き

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
月の囁き
作者 谷崎潤一郎
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 映画脚本
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『現代』1921年1月号・2月号、4月号
出版元 大日本雄弁会講談社
刊本情報
収録 『AとBの話』
出版元 新潮社
出版年月日 1921年10月
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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月の囁き』(つきのささやき)は、谷崎潤一郎映画脚本。映画化を企図して書かれたが、実現できずに終わった作品である[1]1921年大正10年)、雑誌『現代』(大日本雄弁会講談社刊行)の1月・2月号、4月号に連載された[2][1][注釈 1]

アマチュア倶楽部』に続き、大正活映の製作で上山珊瑚を主演に撮られることが決まっていたが延期されてしまい、そのまま製作されなかった[3][注釈 2]

撮影用の台本をそのまま掲載したのか、読者用に手を加えたのかは不明。セリフの字幕化を想像させるような、サイレント映画を念頭においた記述もあるが、登場人物が音声を発しているように読める記述もある。当時トーキーは普及以前であり、あまりシナリオとしての実践性にこだわらずに書かれたようにも読める。

あらすじ

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御茶ノ水の橋の近くで、首に鎖を巻いた青年の死体が発見された。場面は塩原町温泉宿に移り、麹町から来た美女、彼女に魅せられる青年、女を見守る乞食の老人などが織り成すドラマが始まる。

おもな収録本

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  • 『AとBの話』(新潮社、1921年10月)
    • 収録作品:「私」「途上」「不幸な母の話」「倹閲官」「鶴唳」「月の囁き」「蘇東坡」
  • 『無明と愛染』(プラトン社、1924年5月)
    • 収録作品:「無明と愛染」「腕角力」「月の囁き」「蘇東坡」
  • 『谷崎潤一郎全集第7巻』(中央公論社、1967年)
    • 収録作品:「途上」「鮫人」「蘇東坡」「月の囁き」「私」「不幸な母の話」「鶴唳」「AとBの話」「廬山日記」「生れた家」「検閲官」「或る調書の一節」
  • 『谷崎潤一郎全集第7巻』(中央公論社、1981年11月)
    • 収録作品:「途上」「検閲官」「鮫人」「蘇東坡」「月の囁き」「私」「不幸な母の話」「鶴唳」「AとBの話」「廬山日記」「生れた家」「或る調書の一節」

関連作品

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  • 月光の囁き喜国雅彦の漫画およびそれを原作とした塩田明彦監督の映画。喜国は谷崎ファンで、谷崎の世界観を目指したとされる[4]。ストーリー的には無関係だが、温泉宿周辺の情景には共通点がある。

脚注

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注釈

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  1. ^ ちなみに、『現代』は、この出版社が「講談社」に社名変更された後に発刊された同名の月刊誌とは別の雑誌である。
  2. ^ 川本三郎は『大正幻影』(岩波現代文庫)のなかで、「(谷崎が)映画を空想して書いた」のではないかとしている。

出典

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  1. ^ a b 「谷崎潤一郎略年譜」(平凡社 2016, pp. 153–158)
  2. ^ 小谷野敦. “谷崎潤一郎詳細年譜”. 比較文学者 小谷野敦のウェブサイト. 2013年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月26日閲覧。
  3. ^ 文豪の映画礼讃~谷崎潤一郎の映画製作~”. Octopus's Page. 2011年8月14日閲覧。
  4. ^ 喜国雅彦. “喜国雅彦の漫画単行本”. 喜国雅彦&国樹由香. 2009年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月14日閲覧。

参考文献

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  • 笠原伸夫 編『谷崎潤一郎』新潮社〈新潮日本文学アルバム7〉、1985年1月。ISBN 978-4-10-620607-8 
  • 『文藝別冊 谷崎潤一郎 没後五十年、文学の奇蹟』河出書房新社〈KAWADE夢ムック〉、2015年2月。ISBN 978-4-309-97855-0 
  • 千葉俊二 監修『谷崎潤一郎 私はきつと、えらい芸術を作つてみせる』平凡社〈別冊太陽 日本のこころ236〉、2016年1月。ISBN 978-4-582-92236-3 
  • 千葉伸夫『映画と谷崎』青蛙房、1989年12月。ISBN 4-7905-0340-2 
  • 佐藤未央子「谷崎潤一郎「月の囁き」考 映画を書く/読む行為の諸相から」『同志社国文学』第83号、2017年、38-52頁、doi:10.14988/pa.2017.0000015363 

関連項目

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