コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

松本雅夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

松本 雅夫(まつもと まさお、本名:一義〈かずよし〉、1915年大正4年〉3月17日 - 1996年平成8年〉5月10日)は、日本箏曲家作曲家。現代邦楽作曲家連盟会員[1]

略歴

[編集]

新潟県新潟市出身[2]。15歳の時にフランス作曲家 クロード・ドビュッシー楽曲ヴァイオリン・ソナタ』に感動して独学で作曲を始める[3]

1932年昭和7年)3月に新潟中学校を卒業、作曲した箏曲が認められて現在の東京都新宿区市谷左内町の正派生田流初代家元中島雅楽之都内弟子となり、4年間の修業で大師範となると[4]満洲で正派生田流の門人への指導にあたる[3]

1943年(昭和18年)12月に日本陸軍召集されると[4]、独立輜重兵第55中隊指揮班に配属され[5]1944年(昭和19年)3月にインパール作戦に参加[6]1945年(昭和20年)8月にビルマタトンで終戦[7][注 1]、最終階級は陸軍兵長[9]

1947年(昭和22年)5月に復員[10]、知人を頼って1950年(昭和25年)に北海道旭川市ヴァイオリン奏者となり[4]1952年(昭和27年)6月に旭川フィルハーモニー協会を設立[11]1960年(昭和35年)から旭川音楽学校で教鞭を執る[3]

1970年代後半(昭和50年代前半)に埼玉県狭山市に移住[12]

1996年平成8年)5月10日急性心筋梗塞のため死去[13]

邦楽の常識にとらわれることなく洋楽の感覚で邦楽の楽曲を作曲した[14]

表彰

[編集]

作曲作品

[編集]
  • 『箏のためのインヴェンション』1956年。
  • 『木と石の詩』1957年。
  • 『雲』1957年。
  • 『蝦夷の春』1958年。
  • 『日本海』1958年。
  • 『三角洲(デルタ)』1958年。
  • 『祝典序曲』1958年。
  • 『春の水』1959年。
  • 『箏と弦楽四重奏のための嬉遊曲』1960年。
  • 『流』1960年。
  • 『セクパン(火焔樹)』1961年。
  • 『漆』1962年。
  • 『三つのレリーフ』1962年。
  • 『年輪』1963年。
  • 『葦のうた』1963年。
  • 『古潭の石』1963年。
  • 『小さな四季』1964年。
  • 『梢』1964年。
  • 『軌跡』1964年。
  • 『空洞』1965年。
  • 『対話』1966年。
  • 『箏協奏曲』1966年。
  • 『COSMOS』1967年。
  • 『鼎』1967年。
  • 『弧』1968年。
  • 『斗栱』1968年。
  • 『北辺の四季』1968年。
  • 『礎石』1968年。
  • 『裳階』1968年。
  • 『星のように』1969年。
  • 『座標』1969年。
  • 『遠い日』1970年。
  • 『敦煌』1970年。
  • 『野の花達』1970年。
  • 『樹の園』1971年。
  • 『風雪の群像』1971年。
  • 『道』1973年。
  • 『邂逅』1973年。
  • 『枯草庵にて』1974年。
  • 『蒼生第一番』1974年。
  • 『Pictograph』1976年。
  • 『木の意匠』1976年。
  • 『蒼生第二番』1977年。
  • 『秋の組曲』1977年。
  • 『琵琶湖に想う』1977年。
  • 『憧』1978年。
  • 『山なみの灯』1978年。
  • 『旅の組曲』1978年。
  • 『百済観音に寄せて』1978年。
  • 『巣立ち』1978年。
  • 『木蔭』1978年。
  • 『かぎろい』1978年。
  • 『足跡』1979年。
  • 『ペンタグラム』1979年。
  • 『図形』1979年。
  • 『インヴェンション第五番』1979年。
  • 『桂』1979年。
  • 『クラスメイト』1979年。
  • 『賞花亭にて』1980年。
  • 『ペーザー(貝葉)』1980年。
  • 『呉竹』1980年。
  • 『相模野』1981年。
  • 『あべまき』1981年。
  • 『霜月』1982年。
  • 『遠い映像』1982年。
  • 『蒼生第三番』1982年。
  • 『川』1982年。
  • 『如月』1983年。
  • 『椿』1983年。
  • 『パラマ・アヌ(極微)』1983年。
  • 『香』1985年。
  • 『帆』1985年。
  • 『弥勒』1985年。
  • 『影絵』1986年。
  • 『3:4:5』1987年。
  • 『吉祥天女像』1988年。
  • 『海に浮かぶ女神の社』1989年。
  • 『不二』1990年。
  • 『カゲツの花』1991年。
  • 『豊ノ樹々』1992年。
  • 『虹』1994年。
  • 『Pentagram』1995年。
  • 『空への序曲』1995年。
  • 『斑鳩にて』1995年[20]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 捕虜収容所で音楽が好きな日本人捕虜たちが楽団を作り、松本雅夫は第1ヴァイオリン首席奏者を務め(指揮者歩兵第119連隊第2大隊本部の青山政雄作曲家〉)、流行歌行進曲ジャズ舞曲箏曲など、多くの楽曲を演奏して日本人捕虜たちを慰めた[8]
  2. ^ 『木と石の詩』は1958年昭和33年)10月中旬から11月中旬までパリのユネスコホールで開催された世界音楽祭(ユネスコ国際音楽評議会共催)で唯是震一中島靖子によって特別演奏されて好評を博した[16]

出典

[編集]
  1. ^ 現代邦楽作曲家連盟会員 - 現代邦楽作曲家連盟
  2. ^ 音楽年鑑』昭和34年版、95-96頁。
  3. ^ a b c 日本の作曲家 近現代音楽人名事典』627頁。『新撰 芸能人物事典 明治〜平成』765頁。
  4. ^ a b c 旭川戦後文化運動ノート』198頁。
  5. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』6・17・35頁。
  6. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』6頁。
  7. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』46頁。
  8. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』255-263頁。
  9. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』380頁。
  10. ^ 南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』7・48頁。
  11. ^ 旭川市史 第7巻』733頁。『旭川戦後文化運動ノート』216頁。
  12. ^ 音楽年鑑』昭和54年版、365頁。『音楽年鑑』昭和58年版、341頁。
  13. ^ 現代 物故者事典 1994〜1996』529頁。『新潟県 人物・人材情報リスト 2000』683頁。
  14. ^ 尺八の歴史』326頁。『邦楽百科辞典 雅楽から民謡まで』357頁。
  15. ^ 日本音楽』第110号、32頁。
  16. ^ 旭川市史 第5巻』888頁。
  17. ^ 藝能』第59号、65・73頁。
  18. ^ 現代邦楽放送年表 - 京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター
  19. ^ 旭川市文化賞 文化奨励賞受賞者一覧 | 旭川市
  20. ^ 松本雅夫 - 現代邦楽作品データベース - 邦楽マルティメディアデータベース - 日本音楽国際交流会

参考文献

[編集]
  • 松本雅夫」『日本の作曲家 近現代音楽人名事典』627頁、細川周平片山杜秀[監修]、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、2008年。
  • 松本雅夫」『新撰 芸能人物事典 明治〜平成』765頁、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、2010年。
  • 「松本雅夫」『現代 物故者事典 1994〜1996』529頁、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、1997年。
  • 「松本雅夫」『新潟県 人物・人材情報リスト 2000』683頁、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、2000年。
  • 『尺八の歴史』上野堅實[著]、キョウワ出版社、1983年。
  • 『邦楽百科辞典 雅楽から民謡まで』吉川英史[監修]、音楽之友社、1984年。
  • 『音楽年鑑』昭和34年版、音楽之友社、1959年。
  • 『音楽年鑑』昭和54年版、音楽之友社、1979年。
  • 『音楽年鑑』昭和58年版、音楽之友社、1983年。
  • 『日本音楽』第110号、日本音楽社、1957年。
  • 『藝能』第59号、芸能学会、1964年。
  • 『旭川市史 第5巻』旭川市史編集委員会[編]、旭川市、1972年。
  • 『旭川市史 第7巻』旭川市[編]、旭川市、1973年。
  • 『旭川戦後文化運動ノート』谷口広志[著]、旭川市〈旭川叢書 第10巻〉、1976年。
  • 『南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』独立輜重兵第五十五中隊史編集会、1974年。

関連文献

[編集]
  • 「箏曲作曲家・松本雅夫さんを悼む 名曲への夢見続けた生涯 全身全霊を一音に込めて」『北海道新聞』1996年6月21日付夕刊、9面、佐薙のり子[著]、北海道新聞社、1996年。
  • 「異郷の思い出秘めて 小千谷小へ ビルマのバイオリン 元曹長の岡元さんが贈る」『新潟日報』1965年11月22日付夕刊、5面、新潟日報社、1965年。
  • 「ビルマのバイオリン 母校へ生きた教材に 小千谷の岡元さんが贈る 捕虜収容所で手製 20年間の思い出秘め」『南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』256頁、独立輜重兵第五十五中隊史編集会、1974年。
  • 「ビルマの文字」『南十字星とともに 独立輜重兵第五十五中隊史』232-233頁、松本一義[著]、独立輜重兵第五十五中隊史編集会、1974年。

外部リンク

[編集]