永井克孝
永井 克孝(ながい よしたか、1931年〈昭和6年〉9月7日 - 2014年〈平成26年〉6月23日)は、日本の生化学者。理学博士、医学博士。日本生化学会名誉会員、日本基礎老化学会名誉会員、日本神経化学会名誉会員、日本神経免疫学会名誉会員、日本糖質学会名誉会員、日本脂質生化学会名誉会員、米国生化学分子生物学会(en:American Society for Biochemistry and Molecular Biology)名誉会員[1]、理化学研究所名誉研究員、東京大学名誉教授。専門は糖鎖生物学[2]。妻は永井和子。
略歴
[編集]新潟県新潟市出身。1950年(昭和25年)3月に新潟高等学校を卒業、4月に東京大学に入学、木村雄吉と前田護郎に師事[3][4][5]、1954年(昭和29年)3月に東京大学教養学部教養学科を卒業。
1958年(昭和33年)4月に東京大学伝染病研究所助手に就任、山川民夫に師事[5]、1963年(昭和38年)4月に東京大学教養学部助手に就任、12月に東京大学から理学博士号を取得。
1966年(昭和41年)4月に東京大学教養学部助教授に就任、1968年(昭和43年)4月に東京大学医科学研究所細胞化学研究部助教授に就任、1974年(昭和49年)4月に東京都老人総合研究所生化学部部長に就任。
1977年(昭和52年)1月に東京大学から医学博士号を取得、1979年(昭和54年)4月に東京大学医科学研究所癌細胞学研究部教授に就任、1981年(昭和56年)5月に東京大学医学部生化学第二講座教授に就任。
1984年(昭和59年)4月に新潟大学脳研究所客員教授に就任[注 1]、1991年(平成3年)4月に東京都臨床医学総合研究所所長に就任[注 2]、10月に理化学研究所 国際フロンティア研究システム 糖鎖機能研究グループ ディレクターに就任[注 3]。
1992年(平成4年)6月に東京大学名誉教授の称号を受称、1995年(平成7年)4月に三菱化学生命科学研究所取締役所長に就任[注 4]。1998年(平成10年)3月に理化学研究所 国際フロンティア研究システム システム長に就任。
1999年(平成11年)10月に理化学研究所 国際フロンティア研究システム アドバイザーに就任。2000年(平成12年)4月に理化学研究所 研究顧問に就任、2004年(平成16年)4月に三菱化学生命科学研究所顧問に就任[注 5]。
2014年(平成26年)6月23日午後9時に東京都内の病院で肺炎のため死去、葬儀・告別式は近親者で行った[6]。
糖脂質の生理活性に関する研究や、糖鎖を介した細胞外リン酸化酵素の発見などで、細胞生物学に大きな影響をもたらし、世界における糖鎖生物学のリーダーの一人となった[7][8]。
栄典・表彰
[編集]- 1988年(昭和63年)6月17日 - 藤原賞「生理活性ガングリオシドの研究」[9]
- 1994年(平成 6年)11月3日 - 紫綬褒章[10]
- 2002年(平成14年)11月3日 - 勲三等旭日中綬章[11]
- 2014年(平成26年)6月23日 - 従四位[12]
著作物
[編集]著書
[編集]編書
[編集]- 『生化学ハンドブック』井村伸正・大島泰郎・黒川正則・三浦謹一郎・水島昭二[共編]、丸善、1984年。
- 『続生化学実験講座 第5巻 免疫生化学研究法』大沢利昭[共編]、東京化学同人、1986年。
- 『レセプターの化学』野沢義則・林恭三[共編]、化学同人〈化学増刊 110〉、1987年。
- 『新生化学実験講座 第3巻 脂質I 糖タンパク質(上)』鈴木旺・山科郁男・大沢利昭・木幡陽[共編]、東京化学同人、1990年。
- 『新生化学実験講座 第4巻 脂質III 糖脂質』牧田章・脊山洋右[共編]、東京化学同人、1990年。
- 『新生化学実験講座 第3巻 脂質I 糖タンパク質(下)』鈴木旺・山科郁男・大沢利昭・木幡陽[共編]、東京化学同人、1990年。
- 『新生化学実験講座 第3巻 脂質II プロテオグリカンとグリコサミノグリカン』鈴木旺・山科郁男・大沢利昭・木幡陽[共編]、東京化学同人、1991年。
- 『生命-「もの」と「かたち」』木村雄吉[著]、金子務[共編]、学会出版センター、1991年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 1: 糖鎖の多様な世界』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1993年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 2: 糖鎖の細胞における運命』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1993年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 3: 細胞社会のグリコバイオロジー』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1993年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 6: グリコパソロジー』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1993年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 5: グリコテクノロジー』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1994年。
- 『グリコバイオロジーシリーズ 4: グリコジーンとその世界』木幡陽・箱守仙一郎[共編]、講談社、1994年。
- 『糖鎖 I. 糖鎖と生命』東京化学同人、1994年。
- 『糖鎖 II. 糖鎖と病態』東京化学同人、1994年。
- 『糖鎖 III. 糖鎖の分子設計』東京化学同人、1994年。
- 『生命のかたち 木村雄吉の学問と思策』木村雄吉・ほか[著]、金子務[共編]、学会出版センター〈人と学問選書〉、2004年。
監修書
[編集]論文
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 『生命のかたち―木村雄吉の学問と思策 (人と学問選書)』著者略歴 - Amazon
- ^ 永井克孝氏が死去 東京大名誉教授: 日本経済新聞
- ^ 生化学者の無教会派 永井克孝兄へのオマージュ – 金子務公式サイト
- ^ 『財団ニュース』平成26年度第1号、4頁。
- ^ a b 『JSCR Newsletter』第18巻第2号、17頁。
- ^ 『新潟日報』2014年7月1日付朝刊、33面。
- ^ 『財団ニュース』平成26年度第1号、3頁。
- ^ 『JSCR Newsletter』第18巻第2号、17頁。『基礎老化研究』第38巻第3号、61頁。
- ^ 藤原賞受賞者 - 藤原科学財団
- ^ 「褒賞」『官報』号外第208号、18頁、大蔵省印刷局、1994年11月4日。
- ^ 「叙位・叙勲」『官報』号外第237号、3頁、財務省印刷局、2002年11月5日。
- ^ 「叙位・叙勲」『官報』第6340号、9頁、国立印刷局、2014年7月28日。
参考文献
[編集]- 『生命のかたち 木村雄吉の学問と思策』木村雄吉・ほか[著]、永井克孝・金子務[編]、学会出版センター〈人と学問選書〉、2004年。
- 「追悼 永井克孝学術参与 (PDF) 」『財団ニュース』平成26年度第1号、3頁、山田科学振興財団[編]、山田科学振興財団、2014年。
- 「永井克孝さんを悼む:思ひ出の数々 (PDF) 」『財団ニュース』平成26年度第1号、4-5頁、鈴木邦彦[著]、山田科学振興財団、2014年。
- 「永井克孝先生を悼む (PDF) 」『JSCR Newsletter』第18巻第2号、16-17頁、岩森正男[著]、日本糖質学会、2014年。
- 「永井克孝先生を偲ぶ (PDF) 」『JSCR Newsletter』第18巻第2号、17-18頁、星元紀[著]、日本糖質学会、2014年。
- 「永井克孝先生を偲んで (PDF) 」『基礎老化研究』第38巻第3号、61頁、遠藤玉夫[著]、日本基礎老化学会、2014年。
- 「永井克孝氏」『新潟日報』2014年7月1日付朝刊、33面、新潟日報社、2014年。
- 「永井克孝」『日本近現代 医学人名事典 別冊 1868-2019 増補』115頁、泉孝英[編]、医学書院、2021年。
- 「永井克孝」『現代 物故者事典 2012〜2014』405頁、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、2015年。
- 「永井克孝」『新潟県 人物・人材情報リスト 2021 第1巻』546頁、日外アソシエーツ[編]、日外アソシエーツ、2020年。
関連文献
[編集]- 「生理活性ガングリオシドの研究 永井克孝氏 56(東大医学部教授) ガンや神経細胞分化に関与する糖脂質を追究」『讀賣新聞』1988年6月9日付朝刊、15面、読売新聞社、1988年。
- 「組織改革で有望な研究を事業化 永井克孝さん (70) 三菱化学生命科学研究所長」『朝日𣂺聞』2001年10月26日付夕刊、19面、朝日新聞社、2001年。
- 『「永井克孝先生を偲ぶ会」のご案内 (PDF) 』日本糖鎖科学コンソーシアム、2014年。
- 『「永井克孝先生を偲ぶ会」発起人名簿 (PDF) 』日本糖鎖科学コンソーシアム、2014年。
外部リンク
[編集]学職 | ||
---|---|---|
先代 大沢利昭 |
日本生化学会会長 第37代:1987年9月 - 1988年10月 |
次代 沼正作 |
先代 今堀和友 |
三菱化学生命科学研究所所長 第4代:1995年4月 - 2004年3月 |
次代 関谷剛男 |
先代 設立 |
日本糖鎖科学コンソーシアム会長 初代:2004年2月 - 2010年5月 |
次代 川嵜敏祐 |
前回 齋藤國彦 |
日本医用マススペクトル学会会頭 第6回:1981年 |
次回 林陽 |
前回 瀬川富朗 |
日本神経化学会大会長 第34回:1991年 |
次回 田中亮 |