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江刺郡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岩手県江刺郡の範囲

江刺郡(えさしぐん)は岩手県陸奥国陸中国)にあった

郡域

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明治11年(1878年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。

歴史

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近代以前の沿革

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  • 802年延暦21年)坂上田村麻呂は造胆沢城使として、胆沢城の造営を開始、同時に周辺地域の支配体制を確立。804年(延暦23年)に江刺・胆沢・磐井の「胆沢三郡」が成立した。10世紀、磐井郡は国府多賀城領に編入され、岩手・志和・稗抜・和賀・江刺・伊沢の「奥六郡」が成立した[1]

近代以降の沿革

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幕末時点では陸奥国に所属し、全域が仙台藩領であった。「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点に存在した村は以下の通り。(41村)

村名 所属代官区 所轄郡奉行
片岡村・一関村・二関村・三関村・浅井村・石関村・石山村・伊手村・鶯沢村・歌書村・上門岡村・下門岡村・鴨沢村・軽石村・上口内村・下口内村・倉沢村・栗生沢村・黒石村・黒田助村・小池村・菅生村・高寺村・大田代村・小田代村・田茂山村・田谷村・次丸村・土谷村・角掛村・野手崎村・羽黒堂村・枛木田村・原体村・人首村・二子町村・増沢村・水押村・三照村・餅田村・横瀬村 岩谷堂代官所
(片岡村)
奥郡奉行
  • 明治元年
  • 明治2年8月18日(1869年9月23日) - 花巻県が江刺県に編入される。
  • 明治4年
  • 明治8年(1875年10月17日 - 以下の各村の統合が行われる。(15村)
    • 片岡村 ← 片岡村、増沢村、餅田村
    • 梁川村 ← 野手崎村、菅生村、栗生沢村
    • 広瀬村 ← 一関村、軽石村、鴨沢村、歌書村
    • 稲瀬村 ← 上門岡村、下門岡村、石関村、二関村、三関村
    • 福岡村 ← 上口内村、下口内村、小池村、水押村、枛木田村
    • 愛宕村 ← 高寺村、田谷村、二子町村
    • 羽田村 ← 羽黒堂村、田茂山村、黒田助村、鶯沢村
    • 田代村 ← 大田代村、小田代村
    • 石原村 ← 石山村、原体村、土谷村
    • 照沢村 ← 三照村、倉沢村
    • 玉里村 ← 次丸村、角掛村
    • 藤里村 ← 浅井村、横瀬村
    • 人首村は米里村に改称。
  • 明治9年(1876年4月18日 - 第2次府県統合により岩手県の管轄となる。
  • 明治11年(1878年11月26日 - 郡区町村編制法の岩手県での施行により、行政区画としての江刺郡が発足。「胆沢江刺郡役所」が胆沢郡塩竈村に設置され、同郡とともに管轄。

町村制以降の沿革

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1.岩谷堂町 2.愛宕村 3.羽田村 4.黒石村 5.田原村 6.藤里村 7.伊手村 8.米里村 9.玉里村 10.梁川村 11.福岡村 12.広瀬村 13.稲瀬村(赤:奥州市 紫:北上市)

変遷表

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自治体の変遷
藩政期 明治8年 明治22年
4月1日
町村制施行
明治22年 - 大正15年 昭和元年 - 昭和64年 平成元年 - 現在 現在
片岡村 片岡村 岩谷堂町 岩谷堂町 昭和30年2月10日
江刺町
昭和33年11月3日
市制 江刺市
平成18年2月20日
奥州市
奥州市
増沢村
餅田村
歌書村 広瀬村 広瀬村 広瀬村
鴨沢村
軽石村
一関村
二関村 稲瀬村
三関村
上門岡村 一部 稲瀬村 稲瀬村
一部 昭和30年7月10日
北上市に編入
平成3年4月1日
北上市
北上市
下門岡村 一部
一部 昭和33年11月3日
市制 江刺市
平成18年2月20日
奥州市
奥州市
石関村
三照村 照沢村
倉沢村
伊手村 伊手村 伊手村 伊手村
高寺村 愛宕村 愛宕村 愛宕村
田谷村
二子町村
次丸村 玉里村 玉里村 玉里村
角掛村
大田代村 田代村 田原村 田原村
小田代村
石山村 石原村
原体村
土谷村
浅井村 藤里村 藤里村 藤里村
横瀬村
野手崎村 梁川村 梁川村 梁川村
栗生沢村
菅生村
人首村 米里村 米里村 米里村
黒石村 黒石村 黒石村 黒石村 昭和29年4月1日
水沢市
羽黒堂村 羽田村 羽田村 羽田村
田茂山村
鶯沢村
黒田助村
上口内村 福岡村 福岡村 福岡村 昭和29年4月1日
北上市
平成3年4月1日
北上市
北上市
下口内村
枛木田村
小池村
水押村

行政

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胆沢・江刺郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 出納貞武 明治12年(1879年)1月28日 明治13年(1880年)8月21日
2 直江兼重 明治13年(1880年)10月23日 明治14年(1881年)10月6日
3 板垣四郎 明治14年(1881年)10月7日 明治18年(1885年)12月26日
4 下田栄光 明治19年(1886年)8月25日 明治27年(1894年)3月21日
5 鈴木愿治 明治27年(1894年)3月22日 明治30年(1897年)3月31日 廃官
胆沢郡長へ転任
江刺郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 板垣征徳 明治30年(1897年)4月1日 明治33年(1900年)4月21日
2 石塚昇 明治33年(1900年)4月21日 明治34年(1901年)8月21日
3 小野茂理 明治34年(1901年)8月30日 明治35年(1902年)4月22日
4 加賀美安之助 明治35年(1902年)4月22日 明治37年(1904年)1月29日
5 沢田専吉 明治37年(1904年)2月17日 明治39年(1906年)9月29日
6 関定孝 明治39年(1906年)9月29日 明治41年(1908年)1月24日
7 岩崎亀太郎 明治41年(1908年)1月24日 明治43年(1910年)10月20日
8 斎藤行三 明治43年(1910年)10月20日 大正元年(1912年)12月10日
9 大塚順吉 大正元年(1912年)12月10日 大正3年(1924年)2月12日
10 石川発盛 大正3年(1924年)2月12日 大正6年(1917年)10月30日
11 平野喜平 大正6年(1917年)10月30日 大正8年(1919年)11月17日
12 宮川恭一 大正8年(1919年)11月17日 大正9年(1920年)12月4日
13 笹井初之進 大正9年(1920年)12月4日 大正12年(1923年)2月23日
14 坪松唯三郎 大正12年(1923年)2月23日 大正13年(1924年)12月16日 任期途中、郡会廃止
15 黒沢喜一郎 大正13年(1924年)12月16日 大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 「奥六郡」と呼ばれた岩手
  2. ^ 明治元年12月23日(1869年2月4日)の「諸藩取締奥羽各県当分御規則」(法令全書通番明治元年太政官布告第1129)に従って設置された県だが、明治政府が権知県事を任命したわけではなく、そのため明治政府の公文書には全く記録が残っておらず、正式な県とは認められていない。

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3 岩手県、角川書店、1985年2月7日。ISBN 4040010302 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • 江刺市史(岩手県江刺市)
    • 第2巻(1985年)
    • 第3巻(1987年)

関連項目

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