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福知山線

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福知山線(ふくちやません)は、兵庫県尼崎市の尼崎駅から京都府福知山市の福知山駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線幹線)である。東海道本線の大阪~尼崎間を含む大阪~篠山口間にJR宝塚線の愛称がある。尼崎~谷川間が大阪近郊区間に含まれる。塚口・尼崎間で東海道本線に合流し大阪駅に至る。

山陰方面・兵庫県北部への大阪からのルートの一つであるとともに、兵庫県東部の各都市から大阪への通勤・通学路線となっている。

尼崎~篠山口間のJR宝塚線各駅ではJスルーカードICOCA、及び東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuicaが使用できる。

路線データ

  • 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者
  • 路線距離(営業キロ):106.5km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:30駅(起終点駅含む。JR宝塚線としては23駅)
  • 複線区間:尼崎~篠山口間
  • 電化区間:全線電化(直流1500V)

沿線風景

1986年まで客車普通列車が走っていたり、生瀬~道場付近では武庫川の渓流の眺めを楽しめたのどかな路線であったが、沿線開発が進み、電化やJR東西線の開業により新型電車が行き交う路線に姿を変えた。

それでもこの線は川との関係が深い。宝塚駅から古市駅までは何度も交差しながら武庫川を遡り、篠山口駅から谷川駅は加古川支流の篠山川の渓流沿いに下る。福知山線の最大特徴はトンネル無しに分水嶺を越えること。石生駅周辺は太平洋と日本海を分ける分水嶺の高度が本州で最も低い所(この辺りでは分水田圃)。田圃の中を走っているうちにいつの間にか日本海へ注ぐ由良川沿いの福知山駅に到着する。福知山駅の手前では、最近再建された福知山城天守閣が見える。

運行形態

福知山線は尼崎駅が起点だが、全ての列車が東海道本線を通って大阪駅(特急は新大阪駅)または尼崎駅からJR東西線を経由し片町線(学研都市線)に乗り入れる。大阪駅方面への一部の列車はさらにJR京都線に直通し高槻駅・京都駅方面まで運転される。福知山駅からは特急列車が山陰本線北近畿タンゴ鉄道に直通している。

優等列車

以下の列車が福知山線全線を通して運転され、さらに北近畿タンゴ鉄道・宮津方面、山陰本線・豊岡/城崎(下り)方面まで運転されている。2004年10月16日に急行「だいせん」が廃止されてからは、夜行列車の運転は無くなり、昼行列車のみの運転となっている。

普通列車

1999年10月から山陰本線と直通する普通列車はなくなり、篠山口駅を跨ぎ全線を直通する列車も少なくなった。全線直通運転を行う普通列車(快速含む)は、朝・夕方以降に限定されており、昼間は大阪~篠山口間、篠山口~福知山間で運行系統が分かれている。また大阪~篠山口間には丹波路快速が運転されている。

  • 普通列車(各駅停車)
    JR京都線と直通し京都・高槻~大阪~新三田間に運転される列車が中心。早朝・深夜などに大阪~福知山間の列車やJR東西線直通列車がある。また、大阪~篠山口間の快速と接続して篠山口~福知山間の列車が運転されている。篠山口~福知山間では主に昼間の列車でワンマン運転を行っている。
    JR京都線と直通する列車は塚本駅に停車するが、早朝などに見られる大阪駅3・4番線から発車、9~11番線(尼崎駅7番線)に到着する大阪駅始発・終着列車は塚本駅を通過する。
  • 快速
    大阪~篠山口(一部の列車は福知山)間のほか、JR東西線・学研都市線と直通する列車が尼崎~篠山口間を走っている。後者の大半は新三田駅まで、昼間時間帯は宝塚駅までの運転である。快速列車は、国鉄時代にも1日に数本ほど設定されていたことがあるが、多数運転されるようになったのは1989年3月からである。
  • 丹波路快速
    221系電車によって大阪~篠山口間に運行されている快速列車の愛称。昼間から夕方の時間帯に運転される。停車駅は他の快速と同一である。快速に221系電車が増投入された2000年3月のダイヤ改正で登場した。早朝・夕方以降にも221系電車によって運行される快速列車があるが、この列車は丹波路快速とは呼ばれない。

使用車両

利用状況

福知山線は大阪と北近畿を福知山駅経由で「南北」に結ぶ鉄道である。 従来、福知山線は単線の地方ローカル線として運行されていた。

乗車人員が少ない駅が多かったが、1986年の全線電化、尼崎~新三田間複線化を機に、篠山口駅以南では沿線の開発が急ピッチで進められ、その上並行する阪急電鉄から大幅に乗客がシフトしたこともあって乗客数は急増。JR発足時は、1日の運転本数が100本足らずだった福知山線は、1997年のJR東西線開業以降は1日360本を超えるダイヤへと変化していった。篠山口駅以南の複線化により、大阪駅へのアクセスが飛躍的に便利になり、JR東西線の開業で大阪市内や奈良方面とのアクセスも充実したことで更に利用者が増加した。 宝塚駅は福知山線で最も利用者の多い駅であり、2004年度現在で1日の乗降客数は約6万人である。2番目に利用者の多い駅は駅前再開発以来急激に利用者が増加した伊丹駅で4万2千人、3番目は川西池田駅で3万8千人である。

篠山口駅以北では沿線人口が少ないこともあってまだ単線で、アーバンネットワークに含まれる篠山口以南が便利になるのと反比例して全線直通電車も減らされいっそう不便になっている。ワンマン電車や特急列車が中心で電車の本数は1時間に1~3本ほどしかなく、乗降客の少ない駅が多い。


歴史

福知山線の発祥は、川辺馬車鉄道が開業させた尼ヶ崎(のちの尼崎港)~伊丹間の馬車鉄道である。これを摂津鉄道が買収して蒸気動力の軽便鉄道に改築し尼ヶ崎~池田(現在の川西池田)間を開業させた。当時の池田駅は呉服橋西詰付近にあった。

摂津鉄道は、大阪から舞鶴までの鉄道を計画していた阪鶴鉄道に合併され、改軌した上で宝塚駅まで開業。以後順次延伸されて、1899年には福知山南口駅(堀内田町付近)まで開通した。

1904年、軍部から要請で対ロシア戦略の軍用鉄道として舞鶴鎮守府までの開通を急がされた福知山~綾部~新舞鶴(現在の東舞鶴)間が官設で開通。阪鶴鉄道も現在の福知山駅(天田)まで延伸し、福知山~新舞鶴間の貸与を受けて、大阪~舞鶴間を結ぶ鉄道が完成した。

阪鶴鉄道は1907年に国有化され、官設区間とあわせて阪鶴線と呼ばれていたが、山陰本線の京都~出雲今市(現在の出雲市)間が1912年に開通したのを機に、神崎(現在の尼崎)~福知山間、尼ヶ崎~塚口間が福知山線となった。

武庫川中流、武田尾付近には旧線跡が今も残る

1980年代頃から近代化が進められた。1980年代前半まで腕木式信号機が現存したがCTC化により姿を消し、1986年には尼崎駅から新三田駅までの複線化、福知山駅までの全線電化が完成する。この時、生瀬~道場間がトンネルの連続する新線に切り替えられた。 民営化後の1997年には、篠山口駅までの複線化が完成し、JR東西線・片町線(学研都市線)との直通運転が開始された。

その陰で、福知山線最初の開業区間でもあった尼崎港~塚口間の通称尼崎港線が、旅客営業を1981年に廃止した後、1984年に廃止された。1898年に東海道本線の尼崎駅への連絡線を設けて大阪方面との直通運転を始めてからは、尼崎港~塚口間は盲腸線と化していた。晩年の旅客列車の本数は1日2往復であった。

  • 1891年9月 川辺馬車鉄道が尼ヶ崎(のちの尼崎港)~伊丹間を開業。
  • 1892年6月 摂津鉄道が川辺馬車鉄道を買収。
  • 1893年12月12日 摂津鉄道が尼ヶ崎~池田(現在の川西池田)間を軌間762mmの軽便鉄道に改築して開業。
  • 1897年2月16日 阪鶴鉄道が摂津鉄道を合併。
  • 1897年12月27日 池田~宝塚間が開業。全線を1067mm軌間に改軌。池田駅移転。
  • 1898年6月8日 宝塚~有馬口(現在の生瀬)間、神崎(現在の尼崎)~塚口間開業。
  • 1899年1月25日 有馬口~三田間が開業。
  • 1899年3月25日 三田~篠山(現在の篠山口)間が開業。
  • 1899年5月25日 篠山~柏原間が開業。
  • 1899年7月15日 柏原~福知山南口(のちに廃止)間が開業。
  • 1901年 尼ヶ崎~塚口間が休止。東海道線との立体交差化のため。
  • 1904年11月3日 福知山南口~福知山間が開業。福知山~綾部~新舞鶴(現在の東舞鶴)間が官設で開通し阪鶴鉄道に貸与される。
  • 1905年7月13日 尼ヶ崎~塚口間を貨物線として再開。東海道線と立体交差化。
  • 1907年8月1日 阪鶴鉄道を国有化。
  • 1909年10月12日 線路名称制定。神崎~福知山~新舞鶴(現在の東舞鶴)間、尼ヶ崎~塚口間などを阪鶴線とする。
  • 1911年9月6日 尼ヶ崎~塚口間の旅客営業再開。
  • 1912年3月1日 神崎~福知山間、尼ヶ崎~塚口間が福知山線となる。
  • 1979年9月27日 塚口~北伊丹間が複線化。
  • 1980年12月5日 北伊丹~中山寺間が複線化。
  • 1980年12月11日 中山寺~宝塚間が複線化。
  • 1981年4月1日 尼崎~宝塚間が電化。尼崎港~塚口間の旅客営業廃止。
  • 1984年2月1日 貨物支線(尼崎港線) 塚口~尼崎港間が廃止。
  • 1986年8月1日 宝塚~三田間が複線化。生瀬~道場間を新線に切り替え。
  • 1986年10月15日 三田~新三田間が複線化。
  • 1986年11月1日 宝塚~福知山間が電化。西宮名塩駅・新三田駅開業。貨物営業廃止。
  • 1987年4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。
  • 1988年3月13日 大阪~篠山口間の愛称としてJR宝塚線を採用。
    当初は新三田までであったが、発表直後に多紀郡(現篠山市)が反発し、篠山口までとなった。
  • 1993年3月18日 207系電車(JR東西線仕様の銀色の車両)投入。
  • 1997年3月8日 新三田~篠山口間が複線化。JR東西線を経て片町線と直通運転開始。
  • 2000年3月11日 「丹波路快速」運転開始。
  • 2003年8月 103系電車が福知山線から引退。
  • 2005年4月25日 尼崎~塚口間で脱線事故。死者107人、負傷者は549名。これにより尼崎~宝塚間が不通となる。詳細はJR福知山線脱線事故を参照。


将来の福知山線

現在、大阪国際空港には大阪モノレールが乗り入れているが、JRの路線は乗り入れていない。そこで大阪国際空港に近いJR伊丹駅から大阪国際空港までの空港アクセス路線を建設する「JR福知山線分岐構想」と言われる構想がある。1990年代に入り計画され、実現に向けて取り組まれている。福知山線は今やアーバンネットワーク(大阪近郊路線群)内では重要路線となっている。

駅一覧

営業中の区間

●:停車、▲:一部の列車が通過、|:通過
快速:丹波路快速を含む。丹波路快速は大阪~篠山口間の運転
普通:高槻・京都方面直通列車は▲の駅(塚本駅)に停車。大阪駅始発・終着列車は通過
駅名 尼崎からの営業キロ 普通 快速 接続路線 所在地
東海道本線
大阪駅 7.7 西日本旅客鉄道:東海道本線JR京都線)・大阪環状線
阪神電気鉄道:本線梅田駅
阪急電鉄:京都本線宝塚本線神戸本線(梅田駅)
大阪市営地下鉄:御堂筋線(梅田駅)、谷町線東梅田駅)、四つ橋線西梅田駅
大阪府 大阪市北区
塚本駅 4.3   大阪市淀川区
福知山線
尼崎駅 0.0 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR神戸線)・JR東西線 兵庫県 尼崎市
塚口駅 2.5  
猪名寺駅 3.9  
伊丹駅 5.8   伊丹市
北伊丹駅 7.9  
川西池田駅 11.0 阪急電鉄:宝塚本線(川西能勢口駅
能勢電鉄:妙見線(川西能勢口駅)
川西市
中山寺駅 14.5   宝塚市
宝塚駅 17.8 阪急電鉄:宝塚本線・今津線
生瀬駅 19.7   西宮市
西宮名塩駅 21.9  
武田尾駅 25.1   宝塚市
道場駅 30.1   神戸市北区
三田駅 33.7 神戸電鉄:三田線 三田市
新三田駅 36.9  
広野駅 39.7  
相野駅 44.0  
藍本駅 48.2  
草野駅 50.2   篠山市
古市駅 53.5  
南矢代駅 56.1  
篠山口駅 58.4  
丹波大山駅 60.7  
下滝駅 68.7   丹波市
谷川駅 73.0 西日本旅客鉄道:加古川線
柏原駅 80.0  
石生駅 83.2  
黒井駅 87.5  
市島駅 94.0  
丹波竹田駅 98.2  
福知山駅 106.5 西日本旅客鉄道:山陰本線
北近畿タンゴ鉄道:宮福線
京都府福知山市

廃止区間

駅一覧
尼崎港駅 - 金楽寺駅 - 尼崎駅 - 塚口駅
接続路線
  • 尼崎駅:東海道本線
  • 塚口駅:福知山線(宝塚・福知山方面)

※1981年旅客営業廃止当時のもの。JR東西線は未開業。尼崎港線の尼崎駅は東海道本線の駅とは約300m離れていた。

関連項目

外部リンク