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{{Otheruseslist|長距離[[路線バス]]の形態を取るもの|空港輸送を目的とするもの|リムジンバス|[[企画旅行#募集型企画旅行|募集型企画旅行]]の形態をとるもの|ツアーバス|深夜時間帯のみ運行される近・中距離路線バス|深夜バス}}
[[Image:H654-08406 Kanto BKG-MS96JP SeishunDream.jpg|200px|right|thumb|[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]] [[ドリーム大阪号|青春ドリーム大阪号]]]]
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| 出典の明記 = 2021年3月
[[画像:Keihanbus-tokyouji-newselega-20070323.jpg|200px|right|thumb|[[京阪バス]] [[東京ミッドナイトエクスプレス宇治号]]]]
| 更新 = 2021年3月
'''高速バス'''('''こうそくバス''')とは、[[高速道路]]を主に通行する[[路線バス]]のことを指す。以下、特記ない限り、日本国内の高速バス([[道路運送法]]に規定される「一般乗合旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。
}}
[[ファイル:H654-08406 Kanto BKG-MS96JP SeishunDream.jpg|200px|right|thumb|[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]] [[西日本ジェイアールバス|西日本JRバス]] [[ドリーム大阪号|青春ドリーム大阪号]]]]
[[ファイル:Meitetsu-bus-1919.jpg|200px|right|thumb|[[名鉄バス]] [[さぬきエクスプレス名古屋|さぬきエクスプレス名古屋号]]]]
[[ファイル:Keihanbus-tokyouji-newselega-20070323.jpg|200px|right|thumb|[[京阪バス]] [[東京ミッドナイトエクスプレス京都号]]]]
'''高速バス'''(こうそくバス)とは、主に[[高速道路]]を通行する[[路線バス]]のことを指す。以下、特記の無い限り、日本国内の高速バス([[道路運送法]]第3条に規定される「一般乗合旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。


== 概要 ==
== 概要 ==
日本の法令では[[道路運送法]]第3条の規定のほか第5条において、路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送(路線定期運行)に関し、国土交通省へ許可申請が必要となる。道路運送法施行規則<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=326M50000800075 道路運送法施行規則] - e-gov 法令検索</ref> 第10条において「専ら一の市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域を越え、かつ、その長さが概ね五十キロメートル以上の路線又は[[空港法]]第二条に規定する[[空港]]若しくは同法附則第二条第一項の政令で定める[[飛行場]]を起点若しくは終点とする路線において、停車する停留所を限定して運行する自動車により乗合旅客を運送するもの」を'''長距離急行運送等'''として運賃届出が区分され、同15条の13にて運行計画の届出が定められている。日本の高速バスの多くが長距離急行運送等に該当する。
一般的には、距離が数十から数百キロの都市間輸送、ないしは[[都市]]と[[観光地]]を結ぶものの中で、高速道路を利用するものを指す。なお、[[国土交通省]]では用語の定義として高速バスを「都市間を結び停車する停留所を限定して運行する急行系統で、おおむね50キロメートル以上の系統を運行する乗合バス」<ref>[http://www.mlit.go.jp/chubu/jidosya/ryokaku_kouji/46_noriai.pdf 国土交通省中部運輸局HP内]</ref>と定義している。高速道路上([[道路標識]]など)では単純に「路線バス」と記載されている。[[観光バス]]などとの識別のため(高速道路の料金区分が大型バスの場合、路線バスは大型車、それ以外は特大車料金になるため)、バスのフロントガラスの運転席寄りに「路線バス」の標識を付けている。
: ※ただ、[[ETC]]の普及で、料金所での人手を介した通行券の受け取りや支払いがなくなったことから、「路線バス」の表示はない場合も出ている。


一般的には、距離が数十から数百 kmの[[都市]]間輸送([[北海道]]や[[沖縄県]]以外では都府県を跨ぐ事例が多い)、ないしは都市と[[観光地]]を結ぶものの中で、高速道路を利用するものを指す。ただ、「高速バス」という語の法律的な定義はされていない。そのため旅行業者が自社商品([[貸切バス]]を利用した[[ツアーバス]])を「高速バス」と呼称する事例もあった<ref>[http://travel.rakuten.co.jp/bus/ 高速バス予約]([[楽天トラベル]])や [http://www.bus-sagasu.com/ バスサガス](スタイルサーチ)など(両サイトで扱っている路線は全てツアーバスであった。「新高速乗合バス制度」のため現在はツアーバスは存在しない)。</ref>。高速道路上では「路線バス」と記載されている。[[観光バス]]などとの識別のため、バスのフロントガラスの運転席寄りに「路線バス」の表示を掲示している。
'''[[リムジンバス]]'''とも'''特急バス'''とも称されることもある、都市と[[空港]]への連絡バスや、[[都市内輸送]]をする路線バスの中にも、経路上高速道路等を常に通過するものも存在するが、それらについては一般に「高速バス」とは呼ばない。ただし、営業案内の中では[[一般道路]]を経由するものと区別するために、それらのことを「高速バス」と明示される場合がある。「[[はとバス]]」等[[定期観光バス]]で、経路上高速道路を常に通行するものも除かれる。また、高速道路は通過しないが高速バスと同じタイプの車両を使用している路線(例:[[盛岡市|盛岡]]~[[宮古市|宮古]]間の「[[106急行バス]]」や、[[熊本市|熊本]]~[[大分市|大分]]の[[やまびこ号 (特急バス)|やまびこ号]])も「高速バス」とは呼ばれないことが多いが、事業者によっては案内上は高速バスと同等に扱う場合もある。


[[空港]]へのアクセスを担う高速バスは事業者によって'''[[リムジンバス]]'''とも案内されるが、リムジンバスを高速バスの下位概念と見なすことがある<ref group="注">例えば[[千葉交通]]では成田空港リムジンバスと都市間高速バスを高速バスと称している。</ref>。高速道路は通過しないが中長距離の都市間連絡を担う特急・急行バスも場合によっては制度上は高速バスと同等に扱う<ref group="注">[[盛岡市|盛岡]]〜[[宮古市|宮古]]間の「[[106急行バス]]」や、[[熊本市|熊本]]〜[[大分市|大分]]の[[やまびこ号 (特急バス)|やまびこ号]]、[[京阪京都交通]]と[[京都京阪バス]]の[[立命館大学]](BKC)線など。</ref>。
なお、'''特急バス'''は上記のように、多くは一般道経由の長距離バスだが、事業者によっては高速バスを特急バスと称する場合もあり、路線名としてそのように称する場合もある。


'''[[急行バス|特急・急行バス]]'''は多くは一般道経由のバスとして高速バスと区別されるが、事業者によっては高速バス内の上位種別として特急・急行バスと称する場合や、路線名としてそのように称する場合もある。また、路線全長の内、高速道路走行区間が短い路線を'''[[JRバス中国#準高速バス|準高速バス]]'''と称する場合もある。
高速道路を通過する際には、法規によりバスの着席定員以上の乗客を乗せて運行することが禁じられているので、所要時間1~2時間程度までの短距離路線など一部を除き、事前に席を予約する[[座席指定券|座席指定制]]を採用することが多い。一部では、一般路線バスと同様に予約不要だが、定員以上は乗車できない'''定員制'''を採用している。また、ほぼすべての路線で全席禁煙となっている。


[[東名ハイウェイバス]]、[[名神ハイウェイバス]]、[[中国ハイウェイバス]]の各停便は、種別が'''急行'''となる。ただし、名神ハイウェイバスの急行便は[[2006年]](平成18年)現在名称上廃止している。<!--この前段すなわち国鉄バスが高速バスを運行する前には専用路線を運行していた[[白棚線]]では「白棚急行線」を名乗っていた。--白棚高速線だったはず-->
他の交通機関と比較して安価であることが多く、人気はあるが、[[鉄道]]と異なり[[道路]]を利用する関係上、[[天気]]などの[[気象]]状態のほか、大型連休・[[旧盆]]・[[年末年始]]などの行楽シーズンや、集中工事期間、突発的な交通事故などの発生による[[渋滞]]・通行止めなどにより、定時運行ができないリスクがあることを覚悟する必要がある。さらに、[[スキー]]道具や[[サーフボード]]のような大型手荷物を有する場合、利用できないことが多い<ref>[http://www.keikyu-bus.co.jp/keikyu-bus/highway/use.html 京急高速バス・ご利用にあたって]内に記載あり。</ref><ref>[http://www.seibu-group.co.jp/bus/kousoku/onimotsu/index.html 西武バス・高速バス車内へのお持込お荷物に関するお願い]内に記載あり。</ref>。特にダブルデッカー車両は荷物収納室が非常に狭いためさらに厳しくなる。また、一般の路線バスと異なり、いわゆる[[バリアフリー]]対象から除外されているため、[[車椅子]]などでの利用は困難を伴う(床下の荷物収納室に折りたたんで収納し、座席までは数段のステップを上り下りするため、かなりの労力が伴う<ref>[http://www.bus.or.jp/info/kousoku1.htm 日本バス協会・高速バス等を利用する高齢者・身体障害者等への対応について]</ref>)。特に電動式は利用できない<ref>[http://www.seibu-group.co.jp/bus/kousoku/index.html 西武の高速バス]内に記載あり。</ref><ref>[http://www.keikyu-bus.co.jp/keikyu-bus/faq.html 京急公式サイト]内に記載あり。</ref>。ただし、ダブルデッカーが使用される場合、1階席はもともとノンステップであるため、1階に車椅子スペースが設置されていることも多い<ref>[http://www.jrbuskanto.co.jp/tk/discount06.cfm JRバス関東・車イスでのご利用について。] ドリーム大阪号などダブルデッカー使用路線をバリアフリー対応としている。</ref>(この場合、スロープなども用意されており、電動式ももちろん利用可能)。


高速道路を通過する際には、法規によりバスの着席定員を超える乗客を乗せて運行することが禁止されているため、所要時間1〜2時間程度までの短距離路線などの一部を除き、事前に席を予約する[[座席指定券|座席指定制]]を採用することが多い。一部では、一般路線バスと同様に予約不要ではあるが定員を超えて乗車できない'''定員制'''を採用している。また、ほぼすべての路線で全席禁煙となっている。
客層は、短距離路線ではビジネス客も多いが、中・長距離では学生(いわゆる[[バックパッキング|バックパッカー]])など、金銭的な余裕はないが時間的な余裕は取れる層が多い。また近年では、時間的な余裕のある定年退職後の高齢者等が、鉄道に比べて乗り換えが少なくてすむことや、新幹線と比較して速度が遅いために車窓をより楽しめることを理由に(金銭面は理由とせず)、利用する例が増えつつある(ただ、一般的な高速バス用車両では、前述のように出入口から座席まで数段のステップを上下する必要があり、人によっては利用しにくいこともある)。


他の交通機関と比較して料金が安価である場合が多い。一方、[[鉄道]]と異なり[[道路]]を利用する関係上、[[天気]]などの[[気象]]条件のほか、大型連休・[[旧盆]]・[[年末年始]]などの行楽シーズンや、集中工事期間、突発的な交通事故などの発生による[[渋滞]]・交通規制などにより、定時運行ができないことがある。以下の記載は、基本的に路線バスとしての高速バスに限定して記述する。
近年、観光業者が高速道路を利用した[[ツアーバス]](バス会社ではなく[[旅行代理店]]が観光バス(道路運送法に規定される「一般貸切旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)を借りて、[[企画旅行]](旅行商品)として行うバス輸送サービス)を「高速バス」と称して乗客の募集を行うことがあり、利用者側の誤解を招くとして問題視されている。


== 車両 ==
以下の記載は、基本的に路線バスとしての高速バスに限定して記述する。
[[観光バス]]タイプの車両に類似するが、路線バスとして運行するため[[方向幕|行先表示器]]・[[車内放送|自動放送]]装置・[[降車ボタン]]・[[運賃表示器]]・[[運賃箱]]等の一般路線バス車両と同様の機器を取り付けている。逆に不要となる出入口部の[[バスガイド]]席や客席の[[マイクロフォン|マイク]]などは装備されていない。ただし、完全予約制の路線やツーマン運行の路線などについては自動放送装置・運賃表示器・運賃箱を有しない車両が使用される場合もある。


[[日本のバスの座席|室内の座席]]はほとんどが[[リクライニングシート]]で、昼行路線が3列(2+1)または4列、夜行路線が3列独立シートの場合が多く、車両によってはこれらを組み合わせて等級を設定していることもある。また、わずかながら2010年代後期あたりからホスピタリティを重視した2列独立かつ個室ブース化した座席も登場するようになった。なお2+1タイプの3列シートでは、出入口側に通路がある車両と運転席側に通路がある車両が混在する。
== 車輌 ==
[[画像:S670-98405-Reclining-Seat.jpg|right|thumb|200px|夜行高速バスの座席の例]]
観光バスタイプの車両に、[[方向幕|行き先表示装置]]・自動放送装置・[[運賃表示機]]・[[運賃箱]]等の路線バス車両と同様の機器を取り付けている。ただし、完全予約制の路線については自動放送装置・運賃表示機・運賃箱のない車両が利用される場合もある。[[日本のバスの座席|室内のシート]]は昼行路線が3列(2+1)または4列、夜行路線が3列独立シートが標準となっている。なお2+1タイプの3列シートでは、出入り口側に通路がある車両と運転席側に通路がある車両が混在する。


また、観光バスとして用いていた車運賃箱や放送装置などを取り付けて高速バスに転用した車も多い。観光バスからの転用の場合、る程度の距離を走る路線でもトイレ無しの場合がある。西日本鉄道などでは夜行車を昼行転用したケースも見受けられる。逆に、JRバス関東では昼行用を独立3列シートに改造の上夜行用に転用したことがある。
また、観光バスとして用いていた車に運賃箱や放送装置を取り付けて高速バスに転用した車も多い。観光バスからの転用の場合、る程度の距離を走る路線でもトイレ場合がある。[[西鉄バス|西日本鉄道]]等では夜行を昼行用に転用したことがある。逆に、[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]]では昼行用車を独立3列シートに改造の上夜行用に転用したことがある。


黎明期の高速バスでは、エンジン出力大きい専用のものを搭載したバスをメーカーに特別注文したものもあった(その代表例が[[国鉄専用型式]])が、通常の観光バスと比べ価格が高く、また市販の観光バスの車両も出力が大きくなったために必要性が薄れ、現在では製造されていない。
黎明期の高速バスでは、通常に比べ出力(馬力)の大きい専用のエンジンを搭載したバスをメーカーに特別注文したものもあった(その代表例が[[国鉄専用型式]])が、通常の観光バスと比べ価格が高く、また市販の観光バスの車両も出力が大きくなったために必要性が薄れ、現在では製造されていない。


ただし前述のように各メーカとも通常の観光バスをベースとして、先表示装置など路線バスとしての装備と、車内を最小限の簡素な仕様とした高速バス向けの車を用意している。さらに夜行高速車の場合、3列シート、床下仮眠室など夜行バス向けの装備と、高出力エンジンと制動力に優れたフルエアブレーキを装備したインターシティ仕様を各メーカが設定している。
ただし前述のように各メーカとも通常の観光バスをベース行先表示器([[行先標|サボ]]で代用する場合もある)など路線バスとしての装備と、車内を最小限の簡素な仕様とした高速バス向けの車を用意している。さらに夜行高速車の場合、3列シート、交代乗務員の床下仮眠室など夜行バス向けの装備と、高出力エンジンと制動力に優れた[[空気ブレーキ#自動車の空気ブレーキ|フルエアブレーキ]]を装備した'''インターシティ仕様'''を各メーカが設定している。


またコストダウンとバリアフリー化のため、近距離高速バスについては高出力エンジン仕様のトップドア路線バスや、いわゆる「[[ワンロマ]]」をベースとした車両もあり、一部事業者(特に首都圏や九州地方)で集中的に導入されている。
[[画像:Nishi-Nippon Railroad - 9412.jpg|right|thumb|200px|路線バスをベースとした車両の例(西日本鉄道)]]
近年コストダウンのため、近距離高速バスについては高出力エンジン仕様のトップドア路線バスをベースとした車輌もあり、一部事業者で集中的に導入されている。


一部事業者では、運行コスト削減のため[[マイクロバス]]を使用する事例もある([[中国バス]]が運行していた[[フライングフィッシュ号]]や[[オーシャンライナー]]、[[南部バス]]の軽米高速線、[[北九西鉄タクシー]]の[[福北リムジンバス]]、[[神園交通]]のすーぱーばんぺいゆなど)。また、曜日限定ではあるもののジャンボタクシー車両を使用した路線も存在した([[両備バス]]がかつて運行していた[[広島つやまエクスプレス]])。
[[画像:D674-03510-Water-Closet.jpg|right|thumb|200px|高速バスの車内便所の例]]
中長距離用の場合は最後部もしくは床下に便所を設けてあるものが多い。設置場所の制約から、コンパクトにまとめられている。ハイデッカー・スーパーハイデッカーでは中央部か最後部、ダブルデッカーでは1階の最後部に設置されている例が多く見られる。


中長距離用の場合、車両中央部の床下または最後部に[[便所#バスの便所|便所]]を設けてあるものが多いが、盆や正月などで増便する場合、観光バス車両などトイレを設置していないバスが使用されることがある。その場合には高速道路の[[サービスエリア]]・[[パーキングエリア]]での休憩時間をこまめに設定することがある<ref group="注">[[新直轄方式]]で建設された区間など、サービスエリアやパーキングエリアが設置されていない区間が長距離にわたる経路を走行する場合、高速道路を降りて[[インターチェンジ]]付近の[[道の駅]]で休憩をとる場合もある。</ref><ref group="注">バス路線によっては、乗務員交代や車両点検など乗客の休憩以外の目的でサービスエリアやパーキングエリアに停車する場合もある。</ref>。また、高速バス自体は[[禁煙]]となっているため、休憩先の[[喫煙所]]は、高速バスが停まっている間は混雑する傾向にある。トイレはハイデッカー・スーパーハイデッカーでは中央部か最後部、ダブルデッカーでは1階の最後部に設置されている例が多く見られる。設置場所の制約からコンパクトにまとめられており、下の写真にあるように、用を足すための最小限の広さのものが多いが、広さを横幅いっぱいに拡大し、便器のほかに洗面台や鏡を備えたパウダールームを設置している例もある。
<br style="clear:both"/>

床下には大きな荷物を収納するためのトランク(荷物入れ)が設置されており、車外から車体側面下部にあるトランクリッドを開けて荷物を出し入れするようになっている。また夜行高速車では床下もしくは最後部、2階建て車の場合は階下席前扉脇に[[カプセルホテル]]に似た形状の乗務員仮眠室も設置されており、運転しない乗務員は横になって仮眠することができる。床下配置の場合は中央床下トイレの脇に仮眠室の出入口があり、また外部からもトランクルーム同様のドアがあり出入りが可能になっている。続行便等で仮眠室を装備していない車両を使用する場合は、運転席後部の座席を仮眠スペースとして使用するケースが多い。[[JRバス]]各社では、中継地点で乗務員交代を実施する路線では夜行高速車であっても仮眠室を省略するケースがある。

かつては長距離路線を中心にAVサービス機器(ビデオやテレビ放送の放映、マルチチャンネルオーディオ、ラジオなど)が装備されていたが、近年は縮小・省略の傾向にある。座席に個別の液晶テレビを備えている例もある。また長距離路線を中心に[[給茶機]]・[[冷蔵庫]]によるセルフサービスでの飲物の提供、あるいは[[自動販売機]]による飲物の販売、100円硬貨もしくは[[テレホンカード]]専用[[自動車電話|車内電話]]などの設備・サービスが実施されていたが、これらも縮小・省略の傾向にある([[自動車公衆電話]]は、[[NTTドコモ]]のPDC方式の[[携帯電話]]が2012年3月31日を以て停波した際に自動車公衆電話サービス自体も終了しているため、それに先だってあるいはそれに併せる形でサービスを終了し、自動車公衆電話端末を撤去している)。一方、近年では乗客が[[ノートパソコン]]や[[スマートフォン]]を利用して車内で[[インターネット]]に接続することを可能にするため、車両に[[公衆無線LAN]]を導入したり、座席にモバイル機器充電用の[[配線用差込接続器|コンセント]]や[[ユニバーサル・シリアル・バス#USB給電|USBポート]]<ref>{{Cite web|和書|url= http://www.lecip.co.jp/lecip/news/16/0106.html |title = バス車内用USB充電器「すまぽうと」を開発~観光バスに乗りながら、スマートフォンが充電できる~ |publisher = レシップ株式会社 |date= 2016-01-06 |accessdate= 2016-09-23}}</ref> を設置したりする事例も増えている。

同一の区間で設備と運賃に格差をつけた複数の便が運行されている例がある。また同じ車両であっても設備と価格に格差をつけている場合がある。

高速バスで使用される車両の寿命は、目安として走行距離が100万kmを超えた頃とされており、運行距離が長い路線の車両では10年を待たずに新車と入れ替えて廃車にされるサイクルにあった。しかし、2010年代に入ると観光バスの需給が逼迫し始めたことから、徹底した整備を施し高速路線で運用を続けたり、観光バスへ転用される車両もみられるようになっている。中古車市場では、極端な多走行車であっても取引が行われる事例がある<ref>{{Cite web|和書|date= 2018-03-31|url= https://trafficnews.jp/post/80123/2|title= バスはどれほど長持ちするのか|publisher= 乗り物ニュース|accessdate=2018-03-31}}</ref>。

<gallery>
ファイル:Kamenoi Bus - Oita 200 ka 250 - Cabin.JPG|4列シートの高速バス車内の例
ファイル:Nishitetsu Highway Bus Interior.jpg|3列シートの高速バス車内の例
ファイル:Miyakobus-5662.JPG|観光バスの改造により高速バスに転用した車両の例(ミヤコーバス)
ファイル:Nishi-Nippon Railroad - 9367.JPG|路線バスをベースとした車両の例(西日本鉄道)
ファイル:Satsuki.liesse.jpg|小型車の例(さつき観光)
ファイル:D674-03510-Water-Closet.jpg|高速バスの車内トイレの例
ファイル:Mitsubishi Fuso Aero Ace Highway Liner Driver sleeping room.jpg|夜行高速バスの床下仮眠室の例(三菱ふそう・エアロエース ハイウェイライナー)
ファイル:Tokyu Bus NI3740 Super Cabin LECIP Sma-port USB Charger.jpg|高速バスの客席に設置された充電用USBポート
</gallery>
{{-}}


== 沿革 ==
== 沿革 ==
{{独自研究|section=1|date=2014年10月3日 (金) 09:11 (UTC)}}
=== 1950年代・高速道路開通前 ===
戦前にも省営自動車[[広浜線]](広島 - 浜田間)など長距離路線が存在したが、[[第二次世界大戦]]による燃料統制でバスの運行は極めて困難な状態となった。

戦後、燃料統制が解除された1950年代から再び長距離路線が増え始める。[[1950年]](昭和25年)には一畑電気鉄道(現[[一畑バス]])が[[グランドアロー号|広島 - 松江線]]を直通急行バスとして運行開始([[1960年]]には [[広電バス|広島電鉄バス]]も参入)。九州の[[ひのくに号|福岡 - 熊本間]]([[西鉄バス|西日本鉄道]]・[[九州産交バス|九州産業交通]])や[[とよのくに号|福岡 - 小倉 - 大分間]]などで長距離バスの運行が開始され、その後は自動車技術の発達や、舗装や拡幅、車線の上下完全分離などといった道路改良に伴って、各地に一般道路経由の長距離バスが誕生した。

* 1947年(昭和22年)6月 - [[全但バス|全但交通]]が 豊岡 - 姫路 - 神戸 間 で直通運行を開始(165.5&nbsp;km)
* 1950年(昭和25年)4月 - [[日ノ丸自動車]]・[[神姫バス|神姫合同自動車]]が、姫路 - 大原 - 鳥取 線を開業
* 1950年(昭和25年)10月 - [[一畑バス|一畑電気鉄道]]が[[グランドアロー号|松江 - 広島線]]を開業(195&nbsp;km)
* 1955年(昭和30年)- [[北海道中央バス]]が 札幌 - 千歳 - 室蘭 線を開業(131&nbsp;km<ref name=":2" />)
* [[1958年]](昭和33年)3月 - [[関門トンネル (国道2号)|関門国道トンネル]]開通に伴い[[関門急行線]](山口 - 福岡線)が開業(173&nbsp;km<ref name=":2" />)
* [[1961年]](昭和36年)7月 - 東京急行電鉄(現[[東急バス]])が東京 - 長野線を開設(230&nbsp;km<ref name=":2" />)
* [[1962年]](昭和37年)8月 - [[東北急行バス]]が東京 - 仙台・山形・会津若松線を開設(384&nbsp;km<ref name=":2" />)

関門急行線以降、長距離バスには[[パワーステアリング]]・エアブレーキ・[[空気ばね|エアサスペンション]]・冷房装置・[[リクライニングシート]]といった長距離輸送に適した装備を備える車両が使用されるようになっていった。

当時は、道路の方も[[一級国道]]でさえ未舗装区間や車両の行き違いの困難な道幅の狭い区間が残るなど道路事情は良くなかったが、まだ[[マイカー]]普及前で交通量も少なかったことで[[渋滞]]が少なかったうえ、[[日本国有鉄道|国鉄]]の輸送も近代化される前で幹線でも単線・非電化で輸送力の低い路線が多く、バス利用者も多かった。その頃の長距離バスは、鉄道のライバルというより、むしろ鉄道の補完的な役割であった。

運行距離が100km以上の長距離乗合バスは、昭和33年度末には102系統あったが、昭和37年度末には204系統、昭和40年度末には323系統と増加していった。<ref name=":2">{{Cite book|和書 |title=観光便覧 昭和39年版 |year=1964 |publisher=国民生活研究所 |pages=248-249 |author=総理府大臣官房審議室}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |title=日本自動車大鑑 1968年 |year=1967 |publisher=交通毎日新聞社 |pages=270-273}}</ref>

=== 1960年代・草創期 ===
=== 1960年代・草創期 ===
[[画像:RA900P.jpg|200px|right|thumb|初期の高速バス車両 国鉄・日野RA900P]]
[[ファイル:RA900P.jpg|200px|right|thumb|初期の高速バス車両 国鉄・日野RA900P]]
日本では、以下のバス路線が緒とされている。
日本では、以下のバス路線が緒とされている。
* [[1964年]](昭和39年)
* [[1964年]] - [[名神高速道路]]の開通により、[[国鉄バス]]・日本急行バス(現・[[名古屋観光日急]])・日本高速自動車(現・[[名阪近鉄バス]])各社による[[名神ハイウェイバス]](名古屋~京都・大阪・神戸間)が開業。ただし名神高速道路の部分開通時に[[近江鉄道]]が京都三条~八日市・日野間の運行を行っており、これが初の高速道路経由の定期バスとなる。
** [[名神高速道路]]の部分開通により、同年9月16日に、[[近江鉄道]](京都駅~木本地蔵、京都三条~八日市、京都三条~日野車庫系統)、[[京阪バス|京阪自動車]](京阪特急線 大阪天満橋~京都三条、八日市特急線 京都三条~八日市)、[[阪急バス]](京都急行線 大阪本町四丁目~京都河原町御池)に、高速道路を経由するバス路線の認可が下りた。近江鉄道は10月5日と9月29日に、京阪バスは10月8日、阪急バスは12月19日にそれぞれ開業した<ref name=":1">{{Cite book|和書 |title=高速自動車道における乗合自動車停留施設の設置基準の作成に関する調査 |date=1966.3 |publisher=建設省道路局高速道路課 |pages=48-49}}</ref>。これは、名神高速経由のバス乗入れ問題が未解決であった頃、運輸省は尼崎〜栗東間の部分開通に際して「'''起終点が変わらず、たまたま並行して高速道路がある関係上、速達を期し、かつ従来の路線上のサービス低下につながらないもの'''」「'''主要都市間の連絡を計画するもの'''」という条件のもとで措置がとられた<ref>{{Cite book|和書 |title=阪急バス50年史 |date=1979.4 |publisher=阪急バス |page=191}}</ref>。
* [[1968年]] - [[中央自動車道]]の一部区間の完成により、新宿~[[富士五湖]]間の長距離バスを中央自動車道(調布~八王子)に乗り入れ、[[中央高速バス]]として運行開始。
** 名古屋~新大阪・神戸・京都間には、1964年9月28日に[[国鉄バス]](現在は[[JRバス]]として、[[ジェイアール東海バス|JR東海バス]]・[[西日本ジェイアールバス|西日本JRバス]]の2社が共同運行)・[[日本急行バス]](後に[[名古屋観光日急]]〜[[名鉄観光バス]]を経て、現在は[[名鉄バス]]へ移管)、1965年2月17日に[[日本高速自動車]](現:[[名阪近鉄バス]])に認可が下り、国鉄バスは1964年10月5日、日本急行バスが1964年10月14日、日本高速自動車が1965年3月6日にそれぞれ運行を開始したことで、[[名神ハイウェイバス]](名古屋〜京都・大阪・神戸間)が開業した<ref name=":1" />。
* [[1969年]] - [[東名高速道路]]の開通により、国鉄バス・[[東名急行バス]](1975年廃業)2社による[[東名ハイウェイバス|東名高速バス]](東京~名古屋間)及び東京~関西地区を結ぶ[[ドリーム号 (高速バス)|夜行バス]]が開業。
* [[1968年]](昭和43年) - [[中央自動車道]]の一部区間の完成により、新宿〜[[富士五湖]]間の長距離バスを中央自動車道(調布〜八王子)に乗り入れ、[[中央高速バス]]として運行開始。
* [[1969年]](昭和44年) - [[東名高速道路]]の開通により、国鉄バス・[[東名急行バス]]([[1975年]](昭和50年)廃業)2社による[[東名ハイウェイバス|東名高速バス]](東京〜名古屋間)及び東京〜関西地区を結ぶ[[ドリーム号 (高速バス)|夜行バス]]が開業。

1960年代初頭~半ば頃からは、[[旧盆]]や年末に、貸切バスを利用した会員制「[[ツアーバス|'''帰省バス''']]」と銘打った大都市から地方都市への長距離バス(主に夜行)が運行されるようになる。当時は東名・名神以外の高速道路はまだ開通しておらず、ほとんどは一般国道での運行で所要時間もかかったが、帰省ピーク時でも座席が確保されるということもあって、好評を博していた。


また、一般道路経由の長距離バスも国道改良が更に進み、いわゆる「バス黄金時代」を迎えていたため多数の路線が開設され、その受け皿になる沿線バス事業者出資の[[急行バス|合弁バス事業者]]も数多く設立された。
これ以降、[[旧盆]]や年末に、貸切バスを利用した会員制「帰省バス」と銘打った大都市から地方都市への長距離バスが運行されるようになる。
* [[1965年]](昭和40年) - [[坊っちゃんエクスプレス|高松-松山間]]([[国鉄バス]]・[[四国急行バス]])が開業
* [[1966年]](昭和41年)7月 - 大阪-鳥取・倉吉・米子間「[[山陰特急バス]]」(澤タクシー(現・[[日本交通 (鳥取県)|日本交通]]))が開業
* [[1966年]](昭和41年)9月- 福岡-長崎間「[[九州号]]」([[九州急行バス]])が開業


=== 1970年代後半・冬の時代 ===
=== 1970年代後半・冬の時代 ===
[[1970年代]]後半は、[[新幹線]]などの鉄道輸送網が所要時間などの面で優位に立ち、その上2度にわたる[[オイルショック]]の影響も重なり、高速バス路線の運営が硬直化していったこともあって、本州の高速バスにとっては厳しい時代を迎える。
[[1970年代]]後半は、[[新幹線]]などの鉄道輸送網が所要時間などの面で優位に立ち、近距離では[[モータリーゼーション]]による[[自家用自動車|マイカー]]への転移が進み、その上2度にわたる[[オイルショック]]の影響も重なり、高速バス路線の運営が硬直化していったこともあって、本州の高速バスにとっては厳しい時代を迎える。
* [[東名急行バス]]の事業撤退([[1975年]]3月限り)
* [[東名急行バス]]の事業撤退([[1975年]](昭和50年)3月限り、会社自体が廃業
* 日本急行バス日本高速自動車が沿線合弁事業会社から単一企業系列会社(前者は[[名古屋鉄道]]系、後者は[[近畿日本鉄道]]系)へ転換した。さらに再編を経て、前者は[[名古屋観光日急]]、後者は[[名阪近鉄バス]]に改称された。
* 日本急行バス日本高速自動車の両社沿線合弁事業会社から単一企業系列会社(前者は[[名古屋鉄道]]系、後者は[[近畿日本鉄道]]系)へ転換した。さらに再編が行われ、前者は[[名古屋観光日急]]〜[[名鉄観光バス]]を経て現在は[[名鉄バス]]に移管された。また後者は、中部地区の近鉄系路線バス会社と合併し[[名阪近鉄バス]]に改称された後、同じ近鉄グループである[[三重交通]]と経営統合した([[三重交通グループホールディングス]]傘下へ)
* 名神ハイウェイバス名神茨木神戸間運行休止
* 名神ハイウェイバス名神茨木神戸間運行休止([[1977年]])
* [[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]東京神戸間運行休止
* [[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]東京神戸間運行休止(1977年)
* 国鉄自動車局のハイウェイバス拡大中止[[中国ハイウェイバス]]開業で国鉄[[姫新線]]乗客が減少したことが非難の的った)
* 国鉄自動車局のハイウェイバス拡大中止(1975年の[[中国ハイウェイバス]]開業で国鉄[[姫新線]]乗客が減少したことで自動車局圧力がかかった)
* [[1975年]](昭和50年)の[[中央自動車道]][[恵那山トンネル]]開通により、名古屋〜飯田間に[[中央道高速バス|中央道特急バス]]が運転を開始するなど、一部では新たな路線も開設された。

* [[1978年]]に[[北陸自動車道]][[黒埼インターチェンジ|新潟黒埼IC]]〜[[長岡インターチェンジ|長岡IC]]間が開通したことにより、[[長岡 - 新潟線|新潟〜長岡]]間に地方都市間高速バスが運転を開始。高速バス銀座となる路線が、このころ開設された。特にこの路線は、併走する[[信越本線]]や[[上越新幹線]]等、[[JR]]線(鉄道)の乗客を奪うほどの路線に成長しており、JR側がどちらかというと苦戦を強いられているところでもある。このためJRでは多数の[[特別企画乗車券|トクトクきっぷ]]を発売して対抗している。
* [[中央自動車道]][[恵那山トンネル]]開通により、名古屋~飯田間に[[中央道高速バス|中央道特急バス]]が運転を開始するなど、一部では新たな路線も開設された。

* [[1978年]]に[[関越自動車道]](当時。現[[北陸自動車道]])[[黒埼インターチェンジ|新潟黒埼IC]]~[[長岡インターチェンジ|長岡IC]]間が開通により、[[長岡 - 新潟線|新潟~長岡]]間に地方都市間高速バスが運転を開始するなど、高速バス銀座となる路線がこのころ開設された。特にこの路線は、併走する[[上越新幹線]]等の乗客を奪うくらいの路線に成長し、JR側がどちらかというと苦戦を強いられているところでもある(このためJRは多数の[[特別企画乗車券|トクトクきっぷ]]を発売して対抗している)。


=== 1980年代前半・現在の原型ができ、盛り返しの兆し ===
=== 1980年代前半・現在の原型ができ、盛り返しの兆し ===
[[ファイル:Echigokotsu134.JPG|200px|right|thumb|[[東京 - 新潟線]]([[越後交通]])]]
[[1980年代]]に入ると、[[日本国有鉄道|旧国鉄]]の運賃・料金値上げや夜行列車の削減・廃止が相次ぎ、鉄道輸送網が次第に競争力を下げてゆき、高速バスの運賃面での優位性が際立ってきた。また路線の運営面でもより合理的なシステムが生まれた。そのため次第に高速バス路線が増加の傾向を見せる様になった。
[[ファイル:Kyushu Kyuko Bus - Nagasaki 200 ka 436.JPG|200px|right|thumb| [[九州号]]([[九州急行バス]])]]
* [[クローズドドアシステム]](出発地周辺で乗車のみ、目的地周辺で降車のみ取り扱い、途中の経路地では乗降を行わない)導入により、大阪~[[新見駅|新見]]間([[阪急バス]])に久々の高速バス路線新設が行われた。
[[1980年代]]に入ると、[[日本国有鉄道|旧国鉄]]の運賃・料金値上げや夜行列車の削減・廃止が相次ぎ、さらにサービス水準も旧態依然のままであったため、鉄道輸送網が次第に競争力を下げてゆき、高速バスの運賃面での優位性が際立ってきた。また路線の運営面でもより合理的なシステムが生まれた。そのため次第に高速バス路線が増加の傾向を見せる様になった。
* [[中国自動車道]]では、他に[[日本交通]]・[[全但バス]]・[[中国ジェイアールバス|国鉄中国地方自動車局]](現・[[中国ジェイアールバス]])で高速道への乗せ替えが積極的に行われた。
* [[クローズドドアシステム]](出発地周辺で乗車のみ、目的地周辺で降車のみ取り扱い、途中の経路地では乗降を行わない)導入により、大阪〜[[新見駅|新見]]間([[阪急バス]])に久々の高速バス路線新設が行われた。
* [[1983年]]の大阪~[[博多駅|福岡]]間夜行高速バス[[ムーンライト号 (高速バス)|「ムーンライト号」]]では発着地の事業者([[阪急バス]]・[[西日本鉄道]])による共同運行方式及び運賃収入のプール精算制(均等配分)といった現在の高速バスの原型となる施策が始められた。
* [[中国自動車道]]では、他に[[日本交通 (鳥取県)|日本交通]]・[[全但バス]]・[[JRバス中国|国鉄中国地方自動車局]](現・[[JRバス中国]])で高速道への乗せ替えが積極的に行われた。
* さらに東北新幹線接続の「[[ヨーデル号]]」、大阪~[[三次駅|三次]]間といった都市間昼行路線の新設も進んだ。
* [[1983年]]の大阪〜[[博多駅|福岡]]間夜行高速バス[[ムーンライト号 (高速バス)|「ムーンライト号」]]では発着地の事業者([[阪急バス]]・[[西日本鉄道]])による共同運行方式及び運賃収入のプール精算制(均等配分)といった現在の高速バスの原型となる施策が始められた。
[[Image:Echigokotsu134.JPG|200px|right|thumb|[[越後交通]]]]
* さらに東北新幹線接続の「[[ヨーデル号]]」、大阪〜[[三次駅|三次]]間といった都市間昼行路線の新設も進んだ。
* 特に[[1985年]]に開業した「[[東京 - 新潟線]]」は、併走する[[上越新幹線]]等の乗客を奪うくらいの路線に成長し、高速バス開業ブームの火付け役の一つとなった。またこの時期は国鉄で[[夜行列車]]が削減されていた時代でもあったが、東京池袋~新潟線に対抗して、[[団体専用列車|企画ものの列車]]として全車指定の臨時快速『ムーンライト』を運転し、安売り切符を発売していった。これが現在の『[[ムーンライトえちご]]』である。
* 特に[[1985年]](昭和60年)に開業した「[[東京 - 新潟線]]」は、併走する[[上越新幹線]]等の乗客を奪うくらいの路線に成長し、高速バス開業ブームの火付け役の一つとなった。またこの時期は国鉄で[[夜行列車]]が削減されていた時代でもあったが、東京池袋〜新潟線に対抗して、[[団体専用列車|企画ものの列車]]として全車指定の臨時快速『ムーンライト』を運転し、安売り切符を発売していった。これが現在の『[[ムーンライトえちご]]』である。
* この頃から、国鉄は並行する鉄道路線への影響を理由として、危機感を抱くようになる。新宿~[[駒ヶ根駅|駒ヶ根]]・[[飯田駅|飯田]]間の高速バス路線開設に関する「[[中央高速バス#中央高速バス問題|中央高速バス問題]]」は、国鉄が公式に路線開設反対を唱えたということで、それが最初に表面化した路線であった。
* この頃から、国鉄は並行する鉄道路線への影響を理由として、危機感を抱くようになる。新宿〜[[駒ケ根駅|駒ケ根]]・[[飯田駅|飯田]]間の高速バス路線開設に関する「[[中央高速バス#国鉄・JRバスとの対立|中央高速バス問題]]」は、国鉄が公式に路線開設反対を唱えたということで、それが最初に表面化した路線であった。
* その一方、新宿~駒ヶ根・飯田間の高速バスは、赤字続きだったバス会社が運行開始の翌年度に単年度黒字を計上することになり、高速バスがバス会社にとって重要な位置付けになることが明らかになってくる。
* その一方、新宿〜駒ヶ根・飯田間の高速バスは、赤字続きだったバス会社が運行開始の翌年度に単年度黒字を計上することになり、高速バスがバス会社にとって重要な位置付けになることが明らかになってくる。
[[画像:Kyushu Kyuko Bus - Nagasaki 200 ka 466.jpg|200px|right|thumb|九州急行バス [[九州号]]]]
* 九州地方では[[九州自動車道]]の延伸と共に[[西日本鉄道]]、[[九州産業交通]]を先導に次々と高速バスを開設し、国鉄の[[特別急行列車|特急列車]]を圧倒する。また[[長崎自動車道]]の延伸が進んだころに長崎方面への便を出していた[[九州急行バス]]『[[九州号]]』も一般道経由から今の高速道路経由へと移行していった。
* 九州地方では[[九州自動車道]]の延伸と共に[[西日本鉄道]]、[[九州産交バス|九州産業交通]]を先導に次々と高速バスを開設し、国鉄の[[特別急行列車|特急列車]]を圧倒する。また[[長崎自動車道]]の延伸が進んだころに長崎方面への便を出していた[[九州急行バス]]『[[九州号]]』も一般道経由から今の高速道路経由へと移行していった。
* この時期までの座席は、昼行・夜行とも4列座席ばかりだった。
* この時期までの座席は、昼行・夜行とも4列座席ばかりだった。


=== 1980年代後半~[[1990年代]]前半・新規路線の増加 ===
=== 1980年代後半 - 1990年代前半・新規路線の増加 ===
この時代は、好景気や高速道路網の拡大相まって、大都市のバス事業者と地方の事業者が相互乗り入れ(共同運行)する形で路線拡大が急速に進み、全国ネットを確立していった時代である。
この時代は、好景気や高速道路網の拡大、さらには国鉄の分割民営化も相まって、大都市のバス事業者と地方の事業者が相互乗り入れ(共同運行)する形で路線拡大が急速に進み、全国ネットを確立していった時代である。
* [[ムーンライト号 (高速バス)|「ムーンライト号」]]で座席を一脚ずつの独立タイプとしてスペースにゆとりを持たせた初の独立3列シートを採用。これが東京発着の新規事業者に採用された。
* [[ムーンライト号 (高速バス)|「ムーンライト号」]]で座席を一脚ずつの独立タイプとしてスペースにゆとりを持たせた初の独立3列シートを採用。これが東京発着の新規事業者に採用された。
[[画像:Nocturne-shinagawa.jpg|200px|right|thumb|高速バスブームの立役者「ノクターン」([[京浜急行バス]]・[[弘南バス]])]]
[[ファイル:Nocturne-shinagawa.jpg|200px|right|thumb|高速バスブームの立役者「ノクターン」([[京浜急行バス]]・[[弘南バス]])]]
* 1986年の[[品川駅|品川]][[弘前駅|弘前]]「[[ノクターン号]]」では、それまでの夜行高速バスが大都市間を結んだ路線だったのに対し、初めて大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスとなった。「ノクターン号」の成功はバス業界全体にショックを与え、高速バス路線開設ブームへつながってゆく。
* [[1986年]]の[[品川駅|品川]] - [[弘前駅|弘前]]「[[ノクターン号]]」では、それまでの夜行高速バスが大都市間を結んだ路線だったのに対し、初めて大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスとなった。「ノクターン号」の成功はバス業界全体にショックを与え、高速バス路線開設ブームへつながってゆく。
* [[首都圏]]地域[[京阪神]]地域では[[大手私鉄]]系のバス会社が次々と参入していき、この時期から競合が激しくなったと言えよう。これに触発されて既設の[[JRバス]]の[[ドリーム号]]が4列シートから、3列独立シートへ移行していった。利用客も爆発的に伸び、各社も[[ダブルデッカー]]も使われるようになっていった。
* [[首都圏 (日本)|首都圏]]地域 - [[京阪神]]地域では[[大手私鉄]]系のバス会社が次々と参入していき、この時期から競合が激しくなったと言え。これに触発されて既設の[[JRバス]]の[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]が4列シートから、3列独立シートへ移行していった。利用客も爆発的に伸び、各社も[[ダブルデッカー]]も使われるようになっていった。
[[Image:Ashigara Service Area for Tokyo midnightbus.jpg|200px|right|thumb|明け方にサービスエリアで休憩する各社の高速バス]]
[[ファイル:Ashigara Service Area for Tokyo midnightbus.jpg|200px|right|thumb|明け方にサービスエリアで休憩する各社の高速バス]]
* この時期は「ノクターン号」・新宿~博多「[[はかた号]]」など東京と北海道・南九州地方を除く全国各地とを結ぶ長距離夜行路線が新規開設路線の中心であった。その当時の珍しいルートとしては品川徳島間の「エディ」(当時は京浜急行電鉄バスと徳島バス)で途中の[[神戸市]]内[[淡路島]]間では[[フェリー]]を使っていた。
* この時期は「ノクターン号」・新宿 - 福岡「[[はかた号]]」など東京と北海道・南九州地方を除く全国各地とを結ぶ長距離夜行路線が新規開設路線の中心であった。その当時の珍しいルートとしては品川 - 徳島間の「[[エディ号 (東京 - 徳島線)|エディ]]」(当時は京浜急行電鉄バスと徳島バス)で途中の[[神戸市]]内 - [[淡路島]]間では[[フェリー]]を使っていた。
* その後、新宿[[高山駅|高山]]間・難波[[東京ディズニーランド]]間など鉄道や[[航空会社|飛行機]]が直行しない路線にも広がりを見せた。
* その後、新宿 - [[高山駅|高山]]間・難波 - [[東京ディズニーランド]]間など鉄道や[[航空会社|飛行機]]が直行しない路線にも広がりを見せた。
* 筑波地区では<!--[[1985年]]の[[科学万博]]会場の跡地に筑波研究学園都市([[つくばセンター]])を開発し-->1980年代以降の[[筑波研究学園都市]]の発展に伴い、[[1987年]]より東京[[つくばセンター]]間の高速バス([[つくば号]])が開設された。運行後は、乗り切れない乗客が発生するケースも多く、絶頂期には輸送力増強を目的に一回りサイズの大きいバス([[メガライナー]])の導入も行われた。しかし[[2005年]]の[[首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス|つくばエクスプレス]](TX)の開業で、バス利用客の多くがTXに移行し、激しい競争にさらされている。
* 筑波地区では<!-- [[1985年]](昭和60年)の[[科学万博]]会場の跡地に筑波研究学園都市([[つくばセンター]])を開発し -->1980年代以降の[[筑波研究学園都市]]の発展に伴い、[[1987年]](昭和62年)より東京 - [[つくばセンター]]間の高速バス([[つくば号]])が開設された。運行後は、乗り切れない乗客が発生するケースも多く、絶頂期には輸送力増強を目的に一回りサイズの大きいバス([[メガライナー]])の導入も行われた。しかし[[2005年]](平成17年)の[[首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス|つくばエクスプレス]] (TX) の開業で、バス利用客の多くがTXに移行し、激しい競争にさらされている。
* [[大鳴門橋]]開通で[[徳島駅|徳島]]津名港(現在の[[淡路市]])に[[淡路交通]]・[[徳島バス]]共同運行として[[淡路・徳島線]]が新設され、乗客は津名港発着の[[神戸市|神戸]]中突堤・[[天保山]]・[[関西国際空港]]行き[[高速船]]に乗り換える形であった。
* [[大鳴門橋]]開通で[[徳島駅|徳島]] - 津名港(現在の[[淡路市]])に[[淡路交通]]・[[徳島バス]]共同運行として淡路・徳島線が新設され、乗客は[[共同汽船]]に乗り換える形であった。
* [[中国地方]](特に[[山陽地方|山陽]]地区)においては[[山陽自動車道]]の開通で広島市内発着([[広島バスセンター]]、[[広島駅]]前)から中国地方の各都市への路線が開設ラッシュとなり、特に福山広島間の「ローズライナー」はJR西日本の[[山陽新幹線|新幹線]]と[[山陽本線|在来線]]からシェアを奪っていった。
* [[中国地方]](特に[[山陽地方|山陽]]地区)においては[[山陽自動車道]]の開通で広島市内発着([[広島バスセンター]]、[[広島駅]]前)から中国地方の各都市への路線が開設ラッシュとなり、特に福山 - 広島間の「[[ローズライナー]]」はJR西日本の[[山陽新幹線|新幹線]]と[[山陽本線|在来線]]からシェアを奪っていった。
* [[九州地方]]では1980年代前半に引き続き路線の拡大が行われ、昼行路線にも3列シート(夜行用とは違い1-2列シート)が導入される路線が相次ぎ、3列シート化にグレードアップすることにより利用客を増やした路線もある([[させぼ号]]など)。対する[[九州旅客鉄道|JR九州]]も新型車両の導入や割引切符の拡充などで高速バスに応戦した。最近では利用客増で4列シートに戻した路線もある。
* [[九州地方]]では1980年代前半に引き続き路線の拡大が行われ、昼行路線にも3列シート(夜行用とは違い1-2列シート)が導入される路線が相次ぎ、3列シート化にグレードアップすることにより利用客を増やした路線もある([[させぼ号]]など)。対する[[九州旅客鉄道|JR九州]]も新型車両の導入や割引切符の拡充などで高速バスに応戦した。ただ最近では利用客増で4列シートに戻した路線もある。


=== 1990年代後半・淘汰の時代 ===
=== 1990年代後半・淘汰の時代 ===
[[ファイル:Honshikaikyobus-MO201-20070308.jpg|200px|right|thumb|関西から[[淡路島]]・[[四国]]への高速バスも盛況(写真は本四海峡バス)]]
全国の高速バス路線網が一通り完成して「開設ブーム」が終わり、新規路線拡大が落ち着きを見せる。不況とも相まって、利用者のニーズに合わない路線が淘汰されていった時代といえる。
[[ファイル:Keikyu-shinaki.jpg|200px|right|thumb|アクアライン高速バス(写真は[[京浜急行バス]]の品川〜木更津線)]]
全国の高速バス路線網が一通り完成して「開設ブーム」が終わり、新規路線拡大が落ち着きを見せる。[[バブル崩壊]]後の不況とも相まって、利用者のニーズに合わない路線が淘汰されていった時代といえる。
* 利用客が伸び悩み、採算の取れない路線の多くが廃止されていった。
* 利用客が伸び悩み、採算の取れない路線の多くが廃止されていった。
* 運行時間が5時間以上に及ぶ長距離昼行便は全体的に利用が伸びず、廃止されたケースが多かった。
* 運行時間が5時間以上に及ぶ長距離昼行便は全体的に利用が伸びず、廃止されたケースが多かった<ref group="注">当時の長距離昼行便は同じ区間を走行する夜行便と車両を共通運用していたケースが多く、ダイヤの設定が事業者側の都合で決められがちで、必ずしも利用者のニーズに合致していなかったということも一因であった。</ref>
* 大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスにおいて、大都市側の事業者が運行から撤退するケースが相次いだ。[[東急バス]]の様に夜行高速バス自体から完全撤退した例もある。これは大都市側では乗務員の人件費が高いことに加え、一般に大都市と地方都市を結ぶ高速バスは、地方都市の事業者の方が利用者も多く運行に熱心であることも影響しているといわれる。
* 大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスにおいて、大都市側の事業者が運行から撤退するケースが相次いだ。[[東急バス]]の様に夜行高速バス自体から完全撤退した例もある<ref group="注">1998年9月の東急バスの夜行高速バス事業の撤退後、2016年4月より子会社の[[東急トランセ]]が夜行高速バス事業に再参入した。</ref>。これは大都市側では乗務員の人件費が高いことに加え、一般に大都市と地方都市を結ぶ高速バスは、地方都市の事業者の方が利用者も多く運行に熱心であることも影響しているといわれる。
* 加えて、[[首都圏]]・[[近畿圏]]では[[ディーゼルエンジン|ディーゼル自動車]]の排気ガスによる[[大気汚染]]を規制する[[自動車NOx・PM|自動車NOx法]]が施行されたことから、主力事業である[[路線バス]]で年式の古い車両(おおむね車齢が10年以上)の大量代替を迫られたことも、大都市圏事業者において高速バスの縮小・撤退や子会社移管が進んだ一因と考えられる。
* 加えて、[[首都圏 (日本)|首都圏]]・[[近畿圏]]では[[ディーゼルエンジン|ディーゼル自動車]]の排気ガスによる[[大気汚染]]を規制する[[自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置]](自動車NOx・PM)」が施行されたことから、主力事業である[[路線バス]]で年式の古い車両(おおむね車齢が10年以上)の大量代替を迫られたことも、大都市圏事業者において高速バスの縮小・撤退や子会社移管が進んだ一因と考えられる。

[[画像:Honshikaikyobus-MO201-20070308.jpg|200px|right|thumb|関西から[[淡路島]]・[[四国]]への高速バスも盛況(写真は本四海峡バス)]]
==== 明石海峡大橋・アクアラインの開通と高速バス ====
* 一方では[[明石海峡大橋]]が[[1998年]]に開通したことで[[京阪神]]と[[淡路島]]・[[四国地方]]を結ぶ路線が次々と開設され、[[瀬戸大橋]]とは異なり、平行する[[鉄道]]路線が無いため現在に至るまで増便が繰り返されている程の盛況である。なお、徳島~津名港間の淡路・徳島線は津名港発着の高速船がすべて廃止されたことから利用客が激減し便数が特急10便・急行6便から特急1便・急行5便に減らされ、淡路交通単独運行に切り替えた。同時に淡路島・四国方面のフェリー航路は次々と廃止に追い込まれ、フェリー会社の離職者対策として高速バス会社が設立された([[本四海峡バス]]<!--[[高松エクスプレス]]は時期が違う-->など)。また本四海峡バスとJR系のバスでは淡路島、四国(徳島・高松)方面では「'''BLUEネットワーク'''」を形成し、さらには[[JR神戸線]]の[[舞子駅]]に[[快速列車|快速電車]]、[[山陽電気鉄道本線]]の[[舞子公園駅]]に[[直通特急 (阪神・山陽)|直特]]・[[特別急行列車|特急]](ただし、舞子公園駅は明石海峡大橋開通から8.5年後の2006年10月より毎日停車)を停車させて、高速バスとの接続を改善するなど、連携の構築を計った。
* 一方では[[明石海峡大橋]]が[[1998年]]に開通したことで[[京阪神]]と[[淡路島]]・[[四国地方]]を結ぶ路線が次々と開設され、[[瀬戸大橋]]とは異なり、平行する[[鉄道]]路線が無いため現在に至るまで増便が繰り返されているほどの盛況である。なお、徳島〜津名港間の淡路・徳島線は津名港発着の高速船がすべて廃止されたことから利用客が激減し便数が特急10便・急行6便から特急1便・急行5便に減らされ、淡路交通単独運行に切り替えた。同時に淡路島・四国方面のフェリー航路は次々と廃止に追い込まれ<ref group="注">四国への航空路線も[[大阪国際空港|伊丹]]と[[徳島飛行場|徳島]]・[[高松空港|高松]]を結ぶ路線は、明石海峡大橋開通後は廃止に追い込まれている。</ref>、フェリー会社の離職者対策として高速バス会社が設立された([[本四海峡バス]]<!--[[高松エクスプレス]]は時期が違う-->など)。また本四海峡バスとJR系のバスでは淡路島、四国(徳島・高松)方面では「'''BLUEネットワーク'''」を形成し、さらには[[JR神戸線]]の[[舞子駅]]に[[快速列車|快速電車]]、[[山陽電気鉄道本線]]の[[舞子公園駅]]に[[直通特急 (阪神・山陽)|直特]]・[[特別急行列車|特急]](ただし、舞子公園駅は明石海峡大橋開通から8.5年後の[[2006年]](平成18年)[[10月]]より毎日停車)を停車させて、高速バスとの接続を改善するなど、連携の構築を計った。
[[画像:Keikyu-shinaki.jpg|200px|right|thumb|アクアライン高速バス(写真は[[京浜急行バス]]の品川~木更津線)]]
* [[房総半島]]方面では[[東京湾アクアライン]]が開通し、東京都心部・羽田空港・川崎・横浜への所要時間が大幅に短縮された。このために品川駅、羽田空港、[[川崎駅]]から木更津方面のバスがフェリーの代替で新設された。明石海峡大橋と同じく通行料が高いため高速バスへの乗り継ぎ需要が大きく、東京湾アクアライン周辺では[[袖ケ浦バスターミナル]]、[[木更津金田バスターミナル]]、[[君津バスターミナル]]など高速バス利用を前提とした[[パークアンドライド]]が推進されている。これにより、房総地区から[[東京国際空港|羽田空港]]アクセス、[[東京駅]]・[[品川駅]]への新幹線接続の利便が向上した。またこのルートでは通勤客の利用が多いことが特徴であり、2000年代に入って、高速バスの[[定期乗車券|定期券]]が発売されるようになったり、深夜バス(運賃は2倍になる)の新設を行うなど通勤・通学客に特化したサービスを展開している。通行台数が少なく赤字が続くアクアラインであるが、高速バスによって東京湾東西方向の利便性は格段に向上した。
* [[房総半島]]方面では[[東京湾アクアライン]]が開通し、東京都心部・羽田空港・川崎・横浜への所要時間が大幅に短縮された。このために品川駅、羽田空港、[[川崎駅]]から木更津方面のバスがフェリーの代替で新設された。明石海峡大橋と同じく通行料が高いため高速バスへの乗り継ぎ需要が大きく、東京湾アクアライン周辺では[[袖ケ浦バスターミナル]]、[[木更津金田バスターミナル]]、[[君津バスターミナル]]など高速バス利用を前提とした[[パークアンドライド]]が推進されている。これにより、房総地区から[[東京国際空港|羽田空港]]アクセス、[[東京駅]]・[[品川駅]]への新幹線接続の利便が向上した。またこのルートでは通勤客の利用が多いことが特徴であり、2000年代に入って、高速バスの[[定期乗車券|定期券]]が発売されるようになったり、深夜バス(運賃は2倍になる)の新設を行うなど通勤・通学客に特化したサービスを展開している。通行台数が少なく赤字が続くアクアラインであるが、高速バスによって東京湾東西方向の利便性は格段に向上した。


=== [[2000年代]]・新たな生き残りの模索 ===
=== 2000年代・新たな生き残りの模索 ===
[[画像:NishinihonJRbus 749-2994 megadream.jpg|200px|right|thumb|[[西日本JRバス]] [[ネオプラン・メガライナー|メガライナー]]]]
[[ファイル:West JR Bus Seishun Mega Dream.jpg|200px|right|thumb|[[西日本JRバス]] [[ネオプラン・メガライナー|メガライナー]]]]
2001年2月の改正[[道路運送法]]施行により、バスの新規路線開設、さらにバス事業自体の免許制から許可制への移行など、[[規制緩和]]されたことから、新規参入が活発に行われるようになり、高速バスは厳しい競争の時代を迎える。また過剰な設備を排し、高速バスの最大のメリットである低運賃を今までよりさらに追求していく傾向が出て来た。
2001年2月の改正[[道路運送法]]施行により、バスの新規路線開設、さらにバス事業自体の免許制から許可制への移行など、[[規制緩和]]されたことから、貸切バス事業を中心とした新規参入、さらにこれを利用した会員制都市間ツアーバスの運行が活発に行われるようになり、高速バスは厳しい競争の時代を迎える。また過剰な設備を排し、高速バスの最大のメリットである低運賃を今までよりさらに追求していく傾向が出て来た。また、JRバスグループはその頃から、既に利用者が減少して不採算に陥っていた地方の一般路線を廃止・縮小し、利用が堅調な高速バス(特に大都市発着の路線)に特化させる傾向が強まった。

* JRバスグループは生き残りのため、従来は考え得なかった夜行便より運賃を下げ(8,610円→6,000円)、550km以上を日中に長距離走行する東京・新宿~大阪・京都間の[[昼特急]]を新設した。JRバスグループは乗り換えを億劫がる高齢層をターゲットに考えていたが、実際は学生など予算は抑えたいが時間は取れる客層の方に受け、学生の長期休暇などの時期では予約が困難なほどの人気を博している。
==== 首都圏 - 京阪神圏での激しい競合 ====
* この昼特急の人気は、長引く不況などによる乗客のニーズの変化で、不人気で廃止路線が多かった長距離昼行便の需要が高まって来たことの証左とも言え、東京~弘前間の「[[ノクターン号|スカイターン号]]」のようにこれまで夜行便しかなかった路線に昼行便が運行開始された例もあったが、(「[[ノクターン号|スカイターン号]]」は、「昼特急」のように夜行便より運賃を下げている訳ではなく、夜行便と同一運賃で設定されたが、後に後発格安便の「[[青森上野号]]」に統合されている。)1990年代後半~2000年代前半に昼行便を廃止した路線で見直されたところは意外にも殆どなかった。
* JRバスグループは生き残りのため、従来は考え得なかった夜行便より運賃を下げ(8,610円→6,000円)、550 [[キロメートル|km]]以上を日中に長距離走行する東京・新宿〜大阪・京都間の「[[昼特急]]」を新設した。JRバスグループは乗り換えを億劫がる[[高齢者|高齢層]]をターゲットに考えていたが、実際は[[学生]]など予算は抑えたいが時間は取れる客層にも受け、学生の長期休暇などの時期では予約が困難なほどの人気を博している。
[[画像:Kamigo-sa-20070601.jpg|200px|thumb|高速バスとツアーバスの競争が激化している([[京急観光バス|京急]]高速バス「[[ラメール号]]」(右)とツアーバス(左))]]
* この「昼特急」の人気は、長引く不況などによる乗客のニーズの変化で、不人気で廃止路線が多かった長距離昼行便の需要が高まって来たことの証左とも言え<ref group="注">昼特急の車両は夜行便との共通運用だが、事業者側の都合を優先したダイヤではなく、あくまでも昼行便として利用しやすい時間帯に設定されたことも成功した一因であった。</ref>、東京〜弘前間の「[[ノクターン号|スカイターン号]]」のようにこれまで夜行便しかなかった路線に昼行便が運行開始された例もあったが(「[[ノクターン号|スカイターン号]]」は、「昼特急」のように夜行便より運賃を下げている訳ではなく、夜行便と同一運賃で設定されたが、後に後発格安便の「[[青森上野号]]」に統合されている)、1990年代後半〜2000年代前半に昼行便を廃止した路線で見直されたところはほとんどなかった。
* 東京(周辺)~大阪([[京阪神]])間をはじめとする主要都市間では、[[企画旅行|主催旅行(ツアー)]]の形態を取った格安(東京~大阪間で片道3,000円台から)夜行[[ツアーバス]]([[観光バス|貸切バス]])の設定が増加している。バスターミナルが利用できないため、周辺の駐車場等からの発着が多い。きっぷは当日購入できなかったり、取り消しや変更の制約が大きい場合が多い、集客状況によって経由地でバス乗換など、通常の路線バスと異なる面もあるが、価格の優位性から利用を伸ばしている。
[[ファイル:Kamigo-sa-20070601.jpg|200px|thumb|高速バスとツアーバスの競争が激化している([[京急観光バス|京急]]高速バス「[[京急観光バス#ラメール号|ラメール号]]」(右)とツアーバス(左))]]
** これに対抗して、東京~大阪間では[[1980年代]]前半以前に主流だった4列座席に戻し、さらに所要乗務員を減らすため運行時間を長く(途中で2時間以上の仮眠時間を設定すればワンマン運行可能)して運賃を下げた(東京~大阪間で5,000円)「[[ドリーム号 (高速バス)|青春ドリーム号]]」「[[ツィンクル号|カジュアルツィンクル号]]」「[[フライングライナー号|フライングスニーカー大阪号]]」の夜行便が設定され、逆に座席や車内設備をデラックス化して運賃を少し上乗せした便の運行を始めたりするなど、多様なニーズに対応している。
* 東京(周辺)〜大阪([[京阪神]])間をはじめとする主要都市間では、[[企画旅行|主催旅行(ツアー)]]の形態を取った格安(東京〜大阪間で片道3,000円台から)夜行[[ツアーバス]]([[観光バス|貸切バス]])の設定が増加している。[[バスターミナル]]が利用できないため、周辺の駐車場等からの発着が多い。きっぷは当日購入できなかったり、取り消しや変更の制約が大きい場合が多い、集客状況によって経由地でバス乗換など、通常の路線バスと異なる面もあるが、価格の優位性から利用を伸ばしている。
** 一方で、ツアーバスが台頭し始めた2005年ころから、高速路線バスの運行から撤退したり、路線を再編・廃止したりするケースが相次いでいる。
** これに対抗して、東京〜大阪間では[[1980年代]]前半以前に主流だった4列座席に戻し、さらに一部の路線では所要乗務員を減らすため運行時間を長く(途中で2時間以上の仮眠時間を設定すればワンマン運行可能)して運賃を下げた(東京〜大阪間で5,000円)「[[ドリーム号 (高速バス)|青春ドリーム号]]」「[[西東京バス#新宿 - 大阪線|カジュアルツィンクル号]]」「[[フライングライナー号|フライングスニーカー大阪号]]」の夜行便が設定され、逆に座席や車内設備をデラックス化して運賃を上乗せした便の運行を始めたり、それぞれのグレードに女性専用便を設定するなど、多様なニーズに対応している。
** [[南東北]]では、各都市と東京との間で格安のツアーバスが参入する一方、[[仙台市]]を中心とする[[東北地方]]内の都市間高速バス路線の値引き競争・新規路線開拓が続いており、陸上交通の再編が起きた(詳細は→[[仙台経済圏#仙台経済圏の交通環境の変化|仙台経済圏の交通環境の変化]])。
** 一方で、ツアーバスが台頭し始めた[[2005年]]頃から、高速路線バスの運行から撤退したり、路線を再編・廃止したりするケースが相次いでいる。
* 行き先のニーズによって立ち寄る停留所を増やす傾向もある。[[東名ハイウェイバス]]では、東京・名古屋間をノンストップで走っていた「ノンストップライナー」を利用者の多い[[江田バスストップ|東名江田]]に停車させたり、[[新宿高速バスターミナル|新宿]]と四国(松山・高松)を結ぶ「[[オレンジライナーえひめ号]]」と「[[ハローブリッジ号]]」では、中央道上の[[日野バスストップ|中央道日野]]に停車させ、乗客の利便性を図っている。<br/>一方で老舗の[[名神ハイウェイバス]]は、開業時から運行していた急行便を廃止し、途中の停留所を削減・集約している。
* 行き先のニーズによって立ち寄る停留所を増やす傾向もある。東名高速道路経由便は[[江田バスストップ|東名江田]]、[[向ヶ丘バスストップ|東名向ヶ丘]]に、中央道経由便(主に新宿駅発着)は[[日野バスストップ|中央道日野]]に停車させ、乗客の利便性を図っている。一方で京阪神側では2010年7月のダイヤ改正で京都駅始終着便を廃止したり、神戸での発着地を三ノ宮駅のみに集約した上で本数を減便するなどで発着地の集約を行っている。
* 九州地区では[[九州旅客鉄道|JR九州]]の特急ネットワークの充実ぶりを意識し、[[西日本鉄道|西鉄]]系高速バス路線を先導に運賃を片道1000円や1500円といったでわかりやすい運賃設定に値下げしたり、もしくは運賃を下げず[[往復乗車券]]・[[回数乗車券]]を値下げしたりする事例が相次いだ。また、都市高速と九州道が直結し定時性が確保されてきたことで、各路線で利用者が増え、増便となった路線が多い。最近では高速バス路線の集中する[[基山パーキングエリア|高速基山]]での乗り継ぎによる割引制度を導入し、対福岡間以外でも利便性の向上を図っている。

** さらに、九州地区では[[2005年]][[3月1日]]から高速バス乗り放題乗車券「[[SUNQパス]]」を発売した。当初は乗り放題の対象は高速バスのみで、利用できる範囲も[[福岡県]]・[[佐賀県]]・[[長崎県]]・[[熊本県]]・[[大分県]]に限られていたが、[[2006年]][[4月1日]]からは路線バスも乗り放題の対象にするとともに、[[宮崎県]]・[[鹿児島県]]でも使用できるようにした'''全九州版'''の発売も開始された(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県のみを対象とするパスも、同じく路線バスを乗り放題の対象に加えて'''北部九州版'''として発売している)。
==== 高速道路の延伸による地方部への展開 ====
* 四国地方(特に[[香川県]]と[[徳島県]])では、京阪神方面への高速バスの充実ぶりによって新たなる動きが見られる。高速バス利用者を対象に、バスターミナル付近の駐車場の駐車料金を24時間または48時間以内なら無料にするいわゆる「[[パークアンドライド]]」のシステムの採用が増えてきている。特に四国東部は[[公共交通機関]]が乏しく、マイカーの利用が主流になっている。またマイカーで京阪神方面に行くとなると、高速道路や[[本州四国連絡橋]]の料金などで割高(片道でも6000円前後になる)になるので、このように各地から京阪神方面へ安く行こうという利用者を狙っている施策であると考えられる。[[淡路島]]内でも、島内の路線バスの便数が少なくマイカー利用が中心であるため、神戸淡路鳴門自動車道上の淡路I.Cと淡路島南I.Cを除くすべてのバスストップや東浦バスターミナル、[[志知バスストップ|陸の港西淡]]に無料の駐車場が設置されている。ただ、問題点として、駐車料金が無料であるため、高速バス利用者以外の駐車や、数日間に渡っての長時間駐車、駐車場によっては未舗装や駐輪場未設置などがある。
[[画像:Shizutetu-shimizuliner-20070516.jpg|200px|right|thumb|しみずライナー([[しずてつジャトライン]])]]
[[ファイル:KO-42-K50362.jpg|200px|right|thumb|[[新宿・渋谷 - 浜松線|渋谷・新宿ライナー浜松号(開設当初浜松新宿ハイウェイバス)]]([[京王バ]])]]
[[画像:Fujikyu-yakisobaexp-20070516.jpg|200px|right|thumb|やきそばエクスプレス([[富士急静岡バス]])]]
[[ファイル:JR-bus-kanto-H658-05404.JPG|200px|right|thumb|[[しみずライナー]]([[ジェイアールバス関東]])]]
[[ファイル:Fujikyu-yakisobaexp-20070516.jpg|200px|right|thumb|[[やきそばエクスプレス]]([[富士急静岡バス]])]]
* 最近では鉄道では直行できない区間を走る高速バスが急速に増えつつある。
[[ファイル:JR-tokai bus kofu.jpg|thumb|200px|right|[[名古屋ライナー甲府号]]([[ジェイアール東海バス]])]]
** [[渋谷マークシティ|渋谷]]・[[新宿高速バスターミナル|新宿]]から静岡県各都市を結ぶ高速バス路線や、[[東京駅]]~([[清水駅 (静岡県)|清水駅]]経由)折戸車庫間「[[しみずライナー]]」、東京駅~[[富士駅]]・[[富士宮駅]]間「[[やきそばエクスプレス|かぐや姫エクスプレス・やきそばエクスプレス]]」といった東京駅と静岡県各都市の中心部を直行する路線、東京駅~[[知多半田駅]]間「[[知多シーガル号]]」(夜行便を含む)などが新規に開設された。<br/>各都市から東京への移動需要がありながらも新幹線の駅から離れていたり、東海道新幹線「[[のぞみ (列車)|のぞみ]]」が新横浜から名古屋まで無停車であり、静岡県内・愛知県東部から利用できる新幹線「ひかり」の本数も1~2時間に1本程度と少ないこと、かたや在来線は近年のダイヤ改正で東京へ直通する列車が大幅に減少するなど、各地域から東京へ直行できる鉄道がなくなったことが背景であり、直行需要を狙って高速バス路線を開設したものである
* 1980年代後半より、鉄道では直行便がない、または廃止された区間を走る高速バスが急速に増えつつある。
** [[名古屋駅]]・栄発着においても[[東京都]]内~[[東海地方]]間と似たような動きがあり、豊田市、可児、関・郡上八幡、高山(いずれも名鉄系)の系統では増発傾向にある。特に高山系統は長年[[名鉄犬山線]]直通列車としての伝統を誇った「[[北アルプス (列車)|北アルプス]]」が廃止されるほどの勢いとなった。
** [[北関東]]ではJRバス関東を主導に鉄道では乗り換えが強いられる新宿駅発着のバスを新設する傾向が続いている。
** 京阪神地区では大阪梅田~伊賀上野の路線が新規に開設され、さらに[[新名神高速道路]]開通に伴い、[[近鉄特急]]では大回りになる京都と三重県北中部とを直行する路線を新たに開設した。また[[舞鶴若狭自動車道]]の延伸で福井県の若狭地区へのバスも新設されている。
** 名古屋以東では東京都とを結ぶ「[[知多シーガル号]]」(夜行便を含む)、「[[新宿・渋谷 - 浜松線|浜松新宿ハイウェイバス]]」、「[[しみずライナー]]」、「[[やきそばエクスプレス|かぐや姫エクスプレス・やきそばエクスプレス]]」などが相次いで開設された。<br />各都市から東京への移動需要がありながらも新幹線の駅から離れていたり、東海道新幹線「[[のぞみ (列車)|のぞみ]]」が新横浜から名古屋まで無停車であり、静岡県内・愛知県東部から利用できる新幹線「ひかり」の本数も1〜2時間に1本程度と少ないこと、かたや[[在来線]]は近年のダイヤ改正で東京へ直通する列車が大幅に減少するなど、各地域から東京へ直行できる鉄道がなくなったことが背景であり、直行需要を狙って高速バス路線を開設したものである。なおこれらの路線や[[東名ハイウェイバス]]では[[首都高速道路|首都高速]]での渋滞を懸念し、[[東急田園都市線]]の[[用賀駅]]で乗り継いだ際に運賃割引を行う社会実験を経て本格運用した。
* 反対に、大都市内の道路渋滞を避け、かつ従来はバスの通過を横目で見ていた大都市郊外の居住者層をターゲットとするため、敢えて都市圏の外縁部にターミナルを設定する高速バスも登場している。大都市圏では鉄道の本数が多く、乗り換えてもさほどタイムロスにならないため、渋滞のリスクと速達性の観点からいえば、高速バスの利点の一つである「直行性」を放棄してでも有効となりえるが「あだたら号」([[新越谷駅]]~[[郡山駅 (福島県)|郡山駅]]間)や[[守谷駅|守谷]]~[[日立駅|日立]]線(2008年7月で廃線)といったそれを意図した路線が頻繁にダイヤ改正を行うなど試行錯誤を繰り返し苦戦している現状である。
** それまで中央高速バス以外の路線が存在しなかった[[山梨県]]では[[2000年]]に大阪・京都〜[[甲府駅]]間「[[クリスタルライナー]]」を皮切りに名古屋〜甲府駅間「[[名古屋ライナー甲府号]]」、大阪・京都〜[[富士山駅]](開業当初は富士吉田駅)間「[[フジヤマライナー]]」、横浜〜[[河口湖駅]]間「[[レイクライナー]]」が相次いで開通。また中央高速バスも新宿から[[南アルプス市]]・[[身延山]]へ行く「身延線」や山梨県北部の中央本線から外れたところを走る「[[北杜市|北社]]・[[白州町|白州]]線」などそれまで直通する交通機関のなかった都市間の高速バスが次々と開通した。特にクリスタルライナーと名古屋ライナー甲府号、中央高速バス身延線は利用率が好調で、車両の大型化や専用車両の導入、増発などが行われている。
** [[名古屋駅]]・[[オアシス21|栄]]発着の東海・中部地方内路線においても[[名鉄バス|名鉄]]系が拡大[[戦略]]をとっており、[[豊田市駅|豊田市]]、[[可児]]、[[関市|関]]・[[美濃市|美濃]]、[[郡上八幡インターチェンジ#郡上八幡バスストップ|郡上八幡]]、[[高山濃飛バスセンター|高山]]の系統では増発傾向にある。特に高山系統は長年[[名鉄犬山線]][[直通運転|直通列車]]としての伝統を持っていた「[[名鉄特急|北アルプス]]」の廃止に至るなど、鉄道から高速バスへの転換が進む格好となった。
** 京阪神地区では大阪梅田〜伊賀上野の路線が新規に開設され、さらに[[新名神高速道路]]開通に伴い、[[近鉄特急]]では大回りになる[[京都 - 四日市・津・伊勢線|京都と三重県北中部とを直行する路線]]を新たに開設した。また[[舞鶴若狭自動車道]]の延伸で[[福井県]]の[[若狭町|若狭]]地区へのバスも新設されている。
* 反対に、[[大都市]]内の道路[[渋滞]]を避け、かつ従来はバスに素通りされていた大都市[[郊外]]の[[居住]]者層をターゲットとするため、敢えて都市圏の外縁部の[[ベッドタウン]]を起終点とする高速バスも登場した。一例として、「あだたら号」([[新越谷駅]]〜[[郡山駅 (福島県)|郡山駅]]間)や、[[ひのくに号]]のうち、[[熊本市]]ではなく隣接する[[菊陽町]]([[九州産交光の森営業所|光の森営業所]]〜[[福岡市]])に発着する便などが該当するが、頻繁にダイヤ改正を行うなど試行錯誤を繰り返し苦戦している現状である。
* [[南東北]]では、各都市と東京・大阪・名古屋などとの間で格安のツアーバスが参入する一方、一時期[[仙台市]]を中心とする[[東北地方]]内の都市間高速バス路線における新規参入事業者と既存運行会社との値引き競争<!--・新規路線開拓-->が行われたことにより、陸上交通の再編が起きた。
* 九州地区では福岡・北九州都市高速と九州自動車道等の高速道路が直結し、福岡発着路線の福岡側の定時性の確保と所要時間の短縮がなされるとともに、片道運賃ないしは[[往復乗車券]]・[[回数乗車券]]をわかりやすい運賃に値下げする戦略が取られるようになった。例えば[[昭和自動車]]の「[[からつ号]]」「[[いまり号]]」ように既存事業者([[西鉄バス]])の撤退により大幅な増便や運賃[[回数券]]の値下げといった独自の拡大戦略が可能となり急成長した路線もある。
** [[2005年]]には、[[宮崎県|宮崎]]、[[鹿児島県|鹿児島]]以外の[[九州]]地区の高速バスが乗り放題となる「[[SUNQパス]]」を発売した。翌[[2006年]]からは路線バスも乗り放題の対象にするとともに、[[宮崎県]]・[[鹿児島県]]でも使用できる'''全九州版'''も発売された(従来の[[福岡県]]・[[佐賀県]]・[[長崎県]]・[[熊本県]]・[[大分県]]のみを対象とするパスも、同じく路線バスを乗り放題の対象に加えて'''北部九州版'''として発売中)。[[2008年]]からは全券種ともに[[山口県]][[下関市]]の[[サンデン交通]]バスでも使用が可能となり、九州への渡航客が多い[[大韓民国|韓国]]でも発売されている。さらに[[2018年]]からは[[熊本県]]・[[宮崎県]]・[[鹿児島県]]のみを対象とする'''南部九州版'''の発売も開始された。また、高速バス路線の集中する[[基山パーキングエリア|高速基山]]での高速バス間の[[乗り継ぎ料金制度|乗り継ぎによる割引制度]]を導入し、福岡県を介さない九州各県同士の移動の利便性の向上を図っている。
* 四国地方(特に[[香川県]]と[[徳島県]])では、京阪神方面への高速バスの充実ぶりによって新たなる動きが見られる。高速バス利用者を対象に、バスターミナル付近の[[駐車場]]の駐車料金を24時間または48時間以内なら無料にするいわゆる「[[パークアンドライド]]」システムの採用が増えてきている。特に四国東部は[[公共交通機関]]が乏しく、[[自家用車]]の利用が主流になっていることを主眼にした施策とも言える。
* 一方で老舗の[[名神ハイウェイバス]]は、モータリーゼーションの進捗に伴うマイカーへの転移や、並行する鉄道路線の輸送改善などによって<ref group="注">特に[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]が[[新快速]]の運転区間拡大・増発・スピードアップを図り、[[滋賀県]] - 京阪神の交通は高速バスよりも鉄道(JR)が優位に立ったことも原因である。</ref>、岐阜・滋賀両県内にある途中停留所で乗降する利用客が減少したため、[[2002年]]に開業時から運行していた急行便を廃止し、途中の停留所を大幅に削減・集約して、[[中京圏]] - 京阪神の都市間輸送に特化した。その傾向は、[[2008年]]の[[新名神高速道路]]開通後はさらに顕著になっている。

==== ETC休日特別割引に対する懸念 ====
* [[2009年]](平成21年)[[3月]]からの[[ETC割引制度#生活対策|ETC大幅割引]]によって<ref name="etc01">[https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000059.html 高速道路料金の引下げの実施について] 国土交通省</ref> 普通車・軽自動車で高速道路を安価で移動することができるようになり、出発日・到着日共に土日・祝日となる便で普通車・軽自動車利用へのシフトによる高速バスの乗客減少が懸念されている。
** また、ETC大幅割引によって高速道路上の普通車・軽自動車の交通量が増えるために[[渋滞]]が起こりやすく、かつ高速道路上に[[バスレーン]]が無いため<ref group="注">[[日本の高速道路]]にはバスレーンが無いが、海外では[[京釜高速道路]]の一部区間でバスレーンがある。</ref>、高速バスの出発日・到着日共に土日・祝日となる便で渋滞に巻き込まれて定時運行が困難になることも懸念され、その懸念が的中して、[[鳴門・淡路エクスプレス号]]の廃止<ref>[http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/01/2010_126352033565.html 鳴門-阪神線21日廃止 高速バス路線で初、「1000円」影響]([[徳島新聞]] [[2010年]][[1月15日]])</ref><ref>[http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000001001160003 高速バス廃止相次ぐ 「上限千円」が影響]([[朝日新聞]] 2010年[[1月16日]])</ref><ref>[http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/01/2010_126412346131.html 鳴門-阪神線が廃止 高速バス、他社も路線削減の動き](徳島新聞 2010年[[1月22日]])</ref> や西鉄では高速バス12路線の減便<ref>[http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1540940.article.html 福岡空港―佐賀、3月から減便 西鉄高速バス]([[佐賀新聞]] [[2009年]][[7月31日]])</ref> など廃止・減便が生じている路線がある。
** また、高速バス利用減に伴い高速バスの収益によって過疎路線を補填してきた会社([[岩手県北自動車]]・[[信南交通]]等)において過疎路線の廃止に拍車がかかる事が懸念されている<ref>[https://www.j-cast.com/2009/09/29050358.html 高速料金「上限1000円」 地方にもたらした意外な弊害] J-CASTニュース 2009年9月29日</ref>。
** なお、今後はこの割引が観光バス・高速バスにも適用される予定(30 [[パーセント|%]]割引)となっている<ref name="etc01"/><ref group="注">高速バスは明言されていないが、割引対象車種には「一般乗合旅客自動車運送業を営むものが運行するバス」も含まれている。</ref>。
**なお[[2011年]](平成23年)3月11日に発生した[[東日本大震災]]の影響で[[6月]]にETC休日割引、高速道路無料化の[[社会実験]]は取りやめになった。しかし東北地方では[[復興]]支援として高速道路無料措置<ref>[http://www.e-nexco.co.jp/road_info/important_info/h23/1121/ お客さまへの大切なお知らせ]</ref> が行われており、依然として定時運行を難しくさせている。

=== 2010年代・ツアーバス系との競合と座席の高級化 ===
*[[2010年代]]の初年度である[[2010年]]はこれまでと比較して近距離の都市間バスも設定されることが多くなった(例:厳密には[[2009年]]設定であるが[[京成バス]]グループの[[マイタウン・ダイレクトバス]]や、[[京阪バス]]の[[ダイレクトエクスプレス直Q京都号]]など)。また、一般路線バスを専門とする事業者の高速バス事業への参入(例:[[遠鉄バス|遠州鉄道]]の[[e-LineR]])など、更なる競争激化の一途を辿る。
*大都市では中心駅周辺の再開発に伴うバスターミナルの整備が進んでいる。福岡では[[2011年]](平成23年)[[3月]]の[[九州新幹線]]鹿児島ルートの全通開業に向けた[[博多駅]]再開発に伴い、博多駅交通センターのリニューアルが行われ更に[[博多バスターミナル]]と改称された。大阪では2011年5月に大阪駅北側の[[ノースゲートビルディング]]が完成し、駅南側の桜橋口にあったJRバス系の高速バス乗り場が[[大阪駅周辺バスのりば#大阪駅JR高速バスターミナル(西日本JRバス)|大阪駅JR高速バスターミナル]]として同ビル1階に移転した。東京では、東京駅周辺の再開発事業により既に2007年に[[八重洲]]南口のJRハイウェイバスのりばが少々北側へ移動しているが、工事の状況によっては若干の乗り場変更や再移動の可能性もある。また、新宿では新宿駅南口地区基盤整備事業に伴い、今まで事業者毎に分散していた高速バス乗り場を一本化した[[バスタ新宿]]が2016年4月にオープンした。
*首都圏と京阪神を結ぶドリーム号はツアーバスとの競争に晒されながら好調を維持してきたが、更に競争力をつけるため、2010年7月よりプレミアムシートを装備した「プレミアムドリーム」を大増発する一方、その分通常の「ドリーム号」は減便となっている。プレミアム化は他社でも広がっており、ドリーム号の四国方面便(2009年から、[[JR四国バス]]運行便のみ)や「はかた号」でも2009年末ダブルデッカーに置換えと同時に[[プレミアムシート]]とエコノミーシートを導入した。また安さを求めるニーズがある廉価版は「青春エコドリーム号」に一本化する一方で運賃制度を多様化した。
**更に[[中国バス]]は座席は2列シート定員僅か14名の個室付きの「[[メイプルハーバー|ドリームスリーパー]]」の運行を開始した。
**プレミアムシートの導入は夜行便のみならず、首都圏発着の昼行便でも進んでいる。
<!--*「[[静岡甲府線]]」のように開業当初は[[急行バス]]として一般国道のみを走行し、その後のモータリゼーションと地域過疎化のため長年にわたり運休していた路線が高速バスとして復活するケースも現れた。再開した[[2012年]]の時点で高速道路を走行する区間は[[新東名高速道路]]1区間と[[中部横断自動車道]]2区間のみでそれ以外は急行バス時代同様一般国道を利用し、途中の休憩もサービスエリアではなく[[道の駅]]を使用している。ただし中部横断自動車道が延伸した場合は順次高速道路を走行する区間が増える予定である。-->
*関西圏では2010年に[[第二京阪]]全通後、京阪間の短距離高速バスの拡充を行った。[[京阪バス]]の[[ダイレクトエクスプレス直Q京都号]]を皮切りに新規参入路線として[[大阪バス]]の[[京都特急ニュースター号]]や[[近鉄バス]]の八尾・京都特急線が運行開始となった。いずれも大阪東部と京都駅を直結する路線で鉄道では大阪市内経由で乗り継ぎが要する一方で高速道路ではほぼ直結できるという利便性を買っている。また同時に[[松井山手駅]]の近くに[[高速京田辺|高速京田辺バスストップ]]を新設し、[[南海バス]]の高速路線バスやドリーム号の客扱いも開始している。
<!--*アクアライン高速バスについて、さらなる拡大の動きが目立った。[[2012年]][[4月]]にはアクアラインの木更津側の入口となる[[木更津金田インターチェンジ|木更津金田IC]]近くに、[[三井アウトレットパーク 木更津]](以下、MOP木更津と記述)がオープンし、東京駅・品川駅・新宿駅・川崎駅・横浜駅とMOP木更津を結ぶ路線が新設された。そして、[[2012年]][[12月]]からは[[相模大野駅]]・[[町田駅]]とMOP木更津を結ぶ路線が新設され、鉄道では直通できない地域を結ぶアクセスが強化された。これまでの路線展開は内房方面が中心となっていたが、[[2013年]][[4月27日]]に[[首都圏中央連絡自動車道]](圏央道 千葉県区間)が開業したことにより、外房方面への路線が強化された。[[茂原駅]]と[[東京駅]]を結ぶ路線が圏央道経由で新設されたほか、これまでより運行されていた茂原駅と羽田空港・横浜駅を結ぶ路線、勝浦駅・安房小湊と東京駅を結ぶ路線についても圏央道経由に変更され、外房方面へのアクセスが改善された。-->
*2012年になると従来のツアーバスとの競争に加え、[[格安航空会社]](LCC)との競争も無視できなくなった。一部の路線では「キャンペーン運賃」と銘打って運賃を半額近くに値引く例もあるが<ref>{{PDFlink|[http://www.nishitetsu.co.jp/release/2013/oshirase/130531_getsumokubargain.pdf 「どんたく」「ムーンライト」片道運賃大幅割引キャンペーン]}} 西鉄バスインフォメーション</ref>、一方で競争激化に耐えられず廃止される路線も出てきている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.nagasaki.jp/koho/hodo/upfile/20130218153418.pdf 高速乗合バス長崎-大阪線の廃止について]|長崎県報道発表資料(交通局営業部運輸課) 2013年2月18日}}</ref>。
*2013年8月には「ツアーバス」の形態による都市間バスの運行ができなくなり、乗合バスに一本化された([[#ツアーバスとの一本化|次項]])。
**また、新高速乗合バスとの一本化に伴い曜日別や便別など多様な運賃設定が可能になり、多くの従来からの高速乗合バスが幅運賃を採用した。例えば西武バス・越後交通・新潟交通が運行する「東京―新潟線」は2000年代まではどの日・どの便でも同一運賃だったが、2014年現在では東京―新潟間が6,200〜3,100円と同じ路線でありながら2倍の差がついている<ref>[http://www.seibubus.co.jp/kousoku/fare/niigata.html 西武高速バス 新潟線運賃表]</ref>。
*その後新高速乗合バスとの競争激化や更なるニーズの増加などの情勢をふまえ、「[[e-LineR|横浜イーライナー]]」や「[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム静岡・浜松号]]」など、比較的近距離においては4列シートの夜行便が新規に運行を開始したり3列シートから車両変更したりする例が現れている。
*2010年代後半よりバス運転士不足が社会問題化してきたが、高速バスにもその影響が出てきている。繁忙期の[[続行便]]を大幅に減らしたり<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39457630X21C18A2TJ2000/ 夜行バス臨時便、年末年始なのに運行減 運転手不足で] –日本経済新聞電子版 2018年12月27日掲載 2019年11月23日閲覧</ref>、路線の休廃止する<ref>[https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=583934&comment_sub_id=0&category_id=112 芸陽バス、高速2系統休止] –中国新聞デジタル 2019年10月30日掲載 2019年11月23日閲覧</ref> 事業者も出始めている。
==== ツアーバスとの一本化 ====
2010年以前から「[[ツアーバス]]」形態について各種の問題点が指摘され、ツアーバスのあり方が検討されてきたが、2012年に発生した[[関越自動車道高速バス居眠り運転事故]]を受けてツアーバスと高速路線バス(乗合バス)の一本化が行われることとなった。一本化後の制度は「'''新高速乗合バス'''」として、[[2013年]][[7月31日]]夜から運用開始されている<ref>[https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000146.html 7月31日夜からの新高速乗合バスの運行開始について] [[国土交通省]]自動車局旅客課、2013年7月30日(2013年8月5日閲覧)。</ref>。

この過程で従来の乗合バス事業に対しても、運賃設定や[[管理の受委託 (バス)|管理の受委託]]などに関する規制緩和が行われ、既存事業者にもそれらの制度を活用する例が現れた。その一方で、ツアーバス事業者のうち新高速乗合バスに移行したものは3割程度にとどまっている<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130730-OYT1T01076.htm?from=ylist 高速ツアーバス、7割撤退…8月から規制強化で] [[読売新聞社]]、2013年7月31日(2013年8月5日閲覧)。</ref>。旧ツアーバスの事業者については、新高速乗合バスへ移行後にさらに新規路線を運行開始する事業者もある一方、いったんは新高速乗合バスへ移行して運行開始したものの、その後に事業を廃止し、路線を休廃止したり他社に譲渡したりした事業者もある。{{main|ツアーバス#「新高速乗合バス」制度の施行}}また、既存事業者と旧ツアーバス事業者の共同運行による新路線開設も進んでいる<ref>[[WILLER EXPRESS]]佐賀・福岡〜広島/大阪・京都線(運行会社:日本高速バス、[[祐徳自動車]])や、[[高山~白川郷・高岡線]](運行会社:[[濃飛乗合自動車]]、[[加越能バス]]、[[イルカ交通]])など。</ref>。

=== 2020年代・新型コロナウイルス感染症と運転手不足の影響 ===
==== 新型コロナウイルス感染症の影響 ====
* [[2010年代|2020年]]に入り、日本国内でも[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス(COVID-19)]]の[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|感染拡大]]による影響が高速バスにおいても現れた。
**2020年[[4月16日]]に[[緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置|緊急事態宣言]]が全国に対して発令されたことで、大都市と地方都市を結ぶ路線を中心に多くの都市間高速バスが運休となった。
** 運休となった路線の中には緊急事態宣言が解除された後も運行を再開することなく、そのまま休止・廃止となった路線もある。
***[[京浜急行バス]]は需要の回復が見込めないとして、2021年3月15日限りで長距離夜行バス事業から完全に撤退した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB222MG0S1A220C2000000/|title=京急、長距離バスから撤退 東北・四国・山陰路線(日本経済新聞)|accessdate=2021-10-03}}</ref>。「[[キャメル号]]」([[日ノ丸自動車]]、[[日本交通 (鳥取県)|日本交通]]との共同運行)と「[[エディ号 (東京 - 徳島線)|エディ号]]」([[徳島バス]]との共同運行)に至っては共同運行会社も運行継続を断念したため、路線廃止となった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.traicy.com/posts/20210221199275/|title=京浜急行バス、長距離夜行高速バスから事実上の撤退(TRAICY)|accessdate=2021-10-03}}</ref>。
***[[北陸鉄道]]は1992年から運行していた「金沢 - 仙台線」([[富山地方鉄道]]との共同運行。かつては[[宮城交通]]と「エトアール号」として共同運行。)を緊急事態宣言の解除を受けて一度は運行を再開するも、2021年4月1日より再び運休し、同年9月1日付けで路線廃止となった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.hokutetsu.co.jp/media/archives/39645/39645.pdf|title=高速バス「金沢・富山~山形・仙台線」の路線廃止について(北陸鉄道ニュースリリース)|accessdate=2021-10-03}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC105LE0Q1A810C2000000/|title=富山地方鉄道と北陸鉄道 高速バス仙台線廃止(日本経済新聞)|accessdate=2021-10-03}}</ref>。
***[[西日本ジェイアールバス]]でもコロナ禍以降運休していた「北陸ドリーム四国号」を運行再開することなくそのまま2023年9月をもって廃止したり、需要がコロナ禍前に戻らないことで関西と北陸や広島を結ぶ「昼特急」を大幅に減便するなどしている。
**国土交通省の調査では高速バスも含めた乗合バスの2020年8月の輸送人員・運送収入は、コロナ流行前の2019年8月に対して約6〜7割減となっていることが明かされている<ref name=":0">{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/common/001363025.pdf|title=新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響について(国土交通省)|accessdate=2021-10-03}}</ref>。
**こうした事態に対し、従業員を休業させることで国から支給される雇用調整助成金を約7割の事業者が活用しているとされている<ref name=":0" />。
**一方で、貸切バス需要の激減による減収を補うために新たに都市間高速バス事業に参入する貸切バス事業者が現れている<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/96885?display=1 コロナ禍で売り上げ8割以上減のバス会社 Wi-Fi、トイレなし「格安高速バス」で活路]</ref>。

==== 運転手不足の表面化と2024年問題 ====
**2023年5月には新型コロナウイルス感染症の[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律]](感染症法)上の位置付けが5類に移行され、行動制限が解除されたことで需要が回復しつつあるにもかかわらず、コロナ前と比較してバス運転士不足が更に深刻さを増し、休廃止される路線が相次いでいる<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/715098 高速バス「運転手不足」で路線廃止が続く深刻度] – 東洋経済ONLINE 2023年11月20日付記事 2024年1月28日閲覧</ref>。
**加えて、2024年4月1日には改正労働基準法による自動車運転業務における時間外労働の上限規制の猶予期間が終了することや、それに伴ってバス運転士の労働時間や勤務形態に対して厚生労働省が設定した「バス運転者の改善基準告示」も改正されることから、2023年以降、休廃止や減便される路線が相次いでいる。(いわゆる[[2024年問題]])
***この背景には運転手不足によって現行のダイヤを維持するのが困難な状況の中、路線バスや自治体から委託を受けて運行するコミュニティバスなどの生活路線を確保しなければならないことから、運転手を捻出するために高速バス路線の減便や廃止を選択する事業者が増えている。
***廃止、減便される路線はコロナ禍を経て需要が減少した長距離夜行バスだけでなく、昼行便でしかも運行本数も多い路線についても「札幌ー函館線([[高速はこだて号]])」([[北海道中央バス]]、[[北都交通]]、[[函館バス]])などが減便、「長野ー松本線」([[アルピコ交通]])、「富山ー金沢線」([[富山地方鉄道]]、[[北鉄金沢バス]])などが廃止されるなどしている。


== 現状 ==
== 現状 ==
{{独自研究|section=1|date=2020年3月9日 (月) 22:42 (UTC)}}
* 夜行バスは3列独立座席が主流になった。また西日本地区になると昼行でも長距離を走るバスになると3列独立座席が主流となる。(例;京阪神~高知、松山(西日本ジェイアールバス、ジェイアール四国バス)、大阪・神戸~鳥取・米子(日本交通)一方で東日本地区では夜行バスでも比較的短い距離であれば4列シートのバスが運用に就くことがある。
=== 座席 ===
* 九州内昼行の各県相互では、JRとの競争からサービスの向上に取り組み、大半が2列-1列の座席配置である。(福岡~長崎県内(長崎;[[九州急行バス]]、佐世保;[[西肥自動車]])福岡~鹿児島([[西鉄]]・[[南国交通]]・[[いわさきバスネットワーク]]・[[JR九州バス]])、福岡~宮崎県内(宮崎;西鉄・[[九州産交バス]]・[[宮崎交通]]、延岡;西鉄・[[宮崎交通]]など) 福岡~大分(西鉄・[[亀の井バス]]・[[大分交通]];大分便の一部便は4列シート)
* 夜行バスは3列独立座席が主流になった。また、西日本地区では長距離を走るバスは昼行便でも3列独立座席が主流となる(例:[[京阪神]] - [[高知市|高知]]、[[松山市|松山]] 〈[[西日本ジェイアールバス|西日本JRバス]]、[[ジェイアール四国バス|JR四国バス]]〉、[[大阪]]・[[神戸]] - [[鳥取市|鳥取]]・[[米子市|米子]] 〈日本交通〉、九州地区の長距離路線)。一方、東日本地区では夜行バスでも比較的短い距離であれば4列シートのバスが運用に就くことがある。
* 北海道における高速バス
* [[北海道]]における高速バス
** 札幌発着の、多くの路線が[[北海道中央バス]]単独の運行か、他のバス会社との共同運行である。
** [[札幌駅バスターミナル|札幌]]発着の多くの路線が[[北海道中央バス]]単独の運行か、北海道中央バスが幹事会社となる他のバス会社との共同運行である。道内の[[東京バス]]グループ各社による路線も運行されている。
** 札幌発着の、夜行便もある4路線([[高速はこだて号]]、[[スターライト釧路号]]、[[ドリーミントオホーツク号]]、[[イーグルライナー]])では、昼行便にも3列独立座席(一部車両、後部4列)の車両が使われている。また、夜行便は運行時間が夜間のみに限られるため、途中の乗客のための休憩は無い。(乗務員休憩はある。)
** 札幌発着の夜行便もある4路線([[高速はこだて号]]、[[スターライト釧路号]]、ドリーミントオホーツク号、イーグルライナー)では、昼行便にも3列独立座席(一部車両、後部4列)の車両が使われている。また、夜行便は運行時間が夜間のみに限られるため、途中の乗客のための休憩は無い(乗務員休憩はある)。
[[画像:JRbus 744-0972P.JPG|200px|right|thumb|西日本ジェイアールバス「プレミアムドリーム号」744-0972]]
[[ファイル:NishinihonJRbus-PremiumDream.jpg|200px|right|thumb|西日本JRバス「プレミアムドリーム」]]
* 特別シートの設置
* 特別シートの設置など
** 以前より、弘南バスの「ノクターン号」に、『スーパーシート』(プラス3870円)が設置されていた。また、ジェイアールバス関東では『Gシート』(プラス500円)も増えている。ここにきて、西日本ジェイアールバスが一階が『プレミアムシート』(プラス1300円)・二階が『スーパーシート』(プラス700円)の改造車を登場させ。さらに『スーパーシート』のみの車両は西日本ジェイアールバスは改造車、ジェイアールバス関東では新車を投入させている。
** 他の座席より幅が広く座り心地の良い座席を数席程度設置し、通常の運賃に特別料金を足した金額を支払うことで利用できる特別シートを設置している路線がある。[[弘南バス]]の「[[ノクターン号]]」の『スーパーシート』(プラス3,870円)、[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]]の「[[上州ゆめぐり号]]」の『Gシート』(プラス500円)、[[西日本鉄道|西鉄]]の「[[はかた号]]」の『プレミアムシート』(プラス4,000円)など。JRバス関東・[[西日本ジェイアールバス|西日本JRバス]]の「[[ドリーム号 (東京 - 京阪神)|プレミアムドリーム号]]」は1階が『プレミアムシート』(プラス1300円)・2階が『スーパーシート』(プラス700円)であり全席とも同一路線の他の便より高額となる。
* [[運賃]]が鉄道の普通運賃並みで安価なこと、国鉄が分割民営化前に中距離の昼行[[急行列車]]を軒並み[[特別急行列車|特急]]に格上げさせ料金を上げたこと、さらに幹線から支線への直通列車や座席付き[[夜行列車]]を国鉄が減便させたのも相まって、特に女性や学生からの人気を獲得している。
*** 座席を幅広く座り心地の良いものにするだけでなく、座席の前後と通路に仕切りを設け、個室のようになる特別シートもある。[[海部観光]]の「マイフローラ」や、[[中国バス]]の「[[メイプルハーバー|ドリームスリーパー]]」など。
* 安価な都市間交通手段として以下の路線で人気がある。
** 逆に、幅が狭く、通常の運賃より安い価格で利用できる座席を設置している路線もある。[[福岡 - 宮崎線|フェニックス号]]の『セレクトシート』など。
** 東京都内([[東京駅]]・[[新宿駅]])~名古屋・京都・大阪・神戸市内や東京都内~仙台、大阪市内~金沢・広島・博多などの昼行便(JR系会社([[ジェイアールバス東北]]・[[ジェイアールバス関東]]・[[ジェイアール東海バス]]・[[西日本ジェイアールバス]]・[[中国ジェイアールバス]]・[[ジェイアール九州バス]]、[[ジェイアール四国バス]])・近鉄系([[防長交通]])の[[昼特急]]など)
** [[中央高速バス]]伊那・飯田線では、4列座席の車両を使用し、通常の運賃に追加料金を支払うことで隣り合う2席を独占できるサービスを実施している [https://news.mynavi.jp/article/20111109-a026/]。
** 観光バスと同様の4列座席にして定員を増やして運賃を下げた夜行便(JR系(ジェイアールバス関東・ジェイアール東海バス・西日本ジェイアールバス)の「青春ドリーム号」、京王・近鉄系([[多摩バス]]・[[近鉄バス]])の「カジュアルツインクル号」、東武・近鉄系([[東北急行バス]]・近鉄バス)の「フライングスニーカー号」)
*シートベルト着用義務他
[[画像:Rinkobus 3017.jpg|200px|right|thumb|アクアライン高速バス [[川崎駅]]~[[木更津駅]]線(川崎鶴見臨港バス)]]
**一般の高速道路を走行するバスでは、乗客全員[[シートベルト]]の着用が義務となる<ref>{{Cite web |url=https://www.jrbustohoku.co.jp/express/info_detail.php?id=7&c=4 |title=車内での安全(シートベルトの着用)について |publisher=JRバス東北 |date=2019 |accessdate=2023-12-21}}</ref> が、一定の要件を満たす場合には、急行バスなどで立ち席の乗車が認められることがある。この場合、シートベルトの装着は必ずしも義務ではない<ref>{{Cite web |url=https://nnr-nx.jp/article/detail/109 |title=西鉄の路線バスが都市高速をシートベルトなしで走れるのは |publisher=西日本鉄道 |date=2023-12-06 |accessdate=2023-12-21}}</ref>。

=== 鉄道との競合 ===
* [[運賃]]が鉄道の普通運賃並みかそれ以下と安価なこと、国鉄が分割民営化前に中距離の昼行[[急行列車]]を軒並み[[特別急行列車|特急]]に格上げさせ料金を上げたこと、さらに幹線から支線への直通列車や座席付き[[夜行列車]]を国鉄・JRが減便させたのも相まって、価格の特に安い旧ツアーバス系列の便を中心に女性や学生からの人気を獲得している。
* 安価な都市間交通手段として以下の路線で人気がある。煩わしく、時間のかかる[[乗換駅|乗り換え]]が不要で、必ず着席できることから[[通勤]]用としての需要もある<ref>[https://trafficnews.jp/post/80200 「高速バス通勤」の実態とは 住宅街から座って都心へ 理想的スタイルは現実的か] - 乗り物ニュース(2018.04.23版)2018年4月26日閲覧</ref>。
** 東京都内([[東京駅]]・[[新宿駅]]) - 名古屋・京都・大阪・神戸市内や東京都内 - 仙台、大阪市内 - 金沢・岡山・広島・福岡などの昼行便(JR系会社 〈[[ジェイアールバス東北|JRバス東北]]・JRバス関東・[[ジェイアール東海バス|JR東海バス]]・西日本JRバス・[[JRバス中国|中国JRバス]]・JR四国バス・JR九州バス〉 ・近鉄系 〈[[防長交通]]〉 の[[昼特急]]など)
** 観光バスと同様の4列座席とし、定員を増やして運賃を下げた夜行便(JR系 〈JRバス関東・JR東海バス・西日本JRバス〉 の「青春ドリーム号」、京王・近鉄系 〈[[多摩バス]]・[[近鉄バス]]〉 の「カジュアルツインクル号」、東武・近鉄系 〈[[東北急行バス]]・近鉄バス〉 の「フライングスニーカー号」)

[[ファイル:Rinkobus 3017.jpg|200px|right|thumb|アクアライン高速バス [[川崎駅]] - [[木更津駅]]線(川崎鶴見臨港バス)]]

* 鉄道利用よりバス利用の方が所要時間が短い路線もある<!--「本数希少」は別に述べる-->。このような路線も人気が高い。
* 鉄道利用よりバス利用の方が所要時間が短い路線もある<!--「本数希少」は別に述べる-->。このような路線も人気が高い。
**仙台市内 - 山形市内、([[宮城交通]]、[[山交バス (山形県)|山交バス]])
** [[東京湾アクアライン|アクアライン]]高速バス:東京都内(東京駅・[[品川駅]]・[[東京国際空港|羽田空港]])・神奈川([[横浜駅]]・[[川崎駅]])~房総半島 ([[京成バス]]・[[京浜急行バス]]・[[東京空港交通]]・[[川崎鶴見臨港バス]]・[[日東交通 (千葉県)|日東交通]]・[[鴨川日東バス]]・[[小湊鐵道]]・[[東京ベイサービス (バス会社)|東京ベイサービス]]・[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]])
**福島市内 - いわき・会津若松、会津若松 - 郡山 - いわき<ref group="注">ただし現在は郡山市内のルート変更と停留所の増加で以前ほど差はなくなっており、ラッシュ時では鉄道より遅くなる傾向にある。</ref>、([[福島交通]]、[[新常磐交通]]、[[会津乗合自動車]])
** [[中央高速バス]]:新宿~富士五湖、飯田、身延([[京王バス]]・[[富士急行]]・[[山梨交通]]・[[諏訪バス]]・[[信南交通]]・[[伊那バス]])
** 会津若松 - 新潟(会津乗合自動車、[[新潟交通]])
** [[中央道高速バス]]:名古屋~飯田・伊那・箕輪・駒ヶ根([[名鉄バス]]・信南交通・伊那バス)
** [[東京湾アクアライン|アクアライン]]高速バス:東京都内(東京駅・[[品川駅]]・[[東京国際空港|羽田空港]])・神奈川([[横浜駅]]・[[川崎駅]]) - 房総半島 ([[京成バス]]・[[京浜急行バス]]・[[東京空港交通]]・[[川崎鶴見臨港バス]]・[[日東交通 (千葉県)|日東交通]]・[[小湊鉄道]]・[[東京湾横断道路サービス]]・JRバス関東)
** [[中国ハイウェイバス]]:大阪駅~津山、北条、西脇(西日本ジェイアールバス、[[神姫バス]])
** [[かしま号]]:東京駅 - [[鹿島セントラルホテル]]・[[鹿島神宮駅]]・[[茨城県立カシマサッカースタジアム]](JRバス関東・京成バス・[[関東鉄道]])
** 京都・大阪・神戸市内~淡路島・四国方面(西日本ジェイアールバス、ジェイアール四国バス、本四海峡バス、[[淡路交通]]、[[日本交通]]【淡路島方面】、[[徳島バス]]【徳島・阿南方面】、[[四国高速バス]]【高松方面】、関西の大手私鉄系バスなど)
** [[中央高速バス]]:新宿 - 富士五湖、飯田、身延([[京王バス]]・[[富士急行]]・[[山梨交通]]・[[アルピコ交通]]・[[信南交通]]・[[伊那バス]])
** 名古屋~伊賀上野間の高速バス([[三重交通]])
** [[高速八幡線]]岐阜~郡上八幡郡上白鳥([[岐阜バス]]・[[岐阜バスコミュニティ八幡]]
** [[中央道高速バス]]:名古屋 - 飯田伊那・箕輪・駒ヶ根([[名鉄バス]]・信南交通・伊那バス)
** [[中国ハイウェイバス]]:大阪駅 - 津山、北条、西脇(西日本JRバス、[[神姫バス]])
** 広島([[広島駅]]・[[広島バスセンター]])~備北地区(三次・庄原)、山陰方面(出雲・浜田・松江)([[備北交通]]、[[広島電鉄]]バス、[[中国JRバス]]、[[一畑バス]]など)
** 京都・大阪・神戸市内 - 淡路島・徳島方面(西日本JRバス、JR四国バス、[[本四海峡バス]]、神姫バス、[[淡路交通]]【淡路島方面】、[[みなと観光バス (南あわじ市)]]【淡路島方面】、[[徳島バス]]【徳島・阿南方面】、関西の大手私鉄系バスなど)
** 福岡市内(天神、博多)~宮崎県内([[西日本鉄道|西鉄]]、[[宮崎交通]]、[[九州産交バス]])
** 名古屋 - 伊賀上野間の高速バス([[三重交通]])
** [[高速八幡線]]岐阜 - 郡上八幡・郡上白鳥([[岐阜乗合自動車]]([[岐阜バスコミュニティ八幡]]))
** 広島([[広島駅]]・[[広島バスセンター]]) - 備北地区(三次・庄原)、山陰方面(出雲・浜田・松江)([[備北交通]]、[[広電バス]]、[[JRバス中国]]、[[一畑バス]]など)
** 福岡市内(天神、博多) - 宮崎県内(西日本鉄道、JR九州バス、宮崎交通、九州産交バス)
* 抽選で当該路線の目的地の名物などが当たるキャンペーンなど、車外から利用促進キャンペーンを行う例も見られる。


== 罰則規定 ==
=== 客貨混載 ===
* バスの小荷物輸送
2000年代に行われたバス事業規制緩和と引き替えに、交通違反などの各種法令に違反した場合の罰則規定が新たに設定された。
** 九州の一部の高速バスでは1970年代から高速バスによる小荷物輸送を行っている<ref>[http://www.kyusanko.co.jp/sankobus/parcel/ 産交バスポータルサイト 便利な小荷物便] 2015年8月22日閲覧</ref>。
** [[東日本旅客鉄道|JR東日本]]グループの高速バスでは[[ジェイアール東日本物流]]および東北鉄道運輸とで設立した地域活性化物流LLP(有限責任事業組合)による地産品の輸送を行っている。
***2016年4月から[[ラ・フォーレ号]]の東京駅行きJRバス東北便で青森県産の「おやつタイムズ」南部せんべいラスクと長芋チップスを輸送する<ref>{{Cite web|和書|url=http://logistics.jp/media/2016/04/11/721 |publisher=物流ニッポン新聞社 |title=JR東日本物流、地域活性物流スタート 青森から第1号便 |date=2016-04-11 |accessdate=2016-08-15}}</ref>。
***2018年4月から[[いわき号]]の東京駅行きJRバス関東便で[[JRとまとランドいわきファーム]]産のトマトを輸送する<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jrbutsuryu.jregroup.ne.jp/pdf/20180424_01.pdf |format=PDF |publisher=地域活性化物流有限責任事業組合 |title=高速バスを活用した農産物の輸送開始について |date=2018-04-24 |accessdate=2018-07-03}}</ref>。
** [[新宿・東京 - 常陸太田線]]では、2016年10月4日から[[常陸太田市]]内で収穫された[[野菜]]を、[[道の駅ひたちおおた]]から都内([[中野区]])に向け輸送している<ref>{{Cite web|和書|author= |date=2016-10-04 |url=http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/102500/d023163.html |title=2016年10月4日 常陸太田市と連携 中野区内で朝採り新鮮野菜を販売 |publisher=中野区 |accessdate=2016-11-14}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author= |date=2016-07-21 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXLZO05052990Q6A720C1L83000/ |title=中野区と常陸太田市、高速バスで野菜直送 |publisher=日本経済新聞 |accessdate=2016-11-14}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author= |date=2016-10-26 |url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201610/CK2016102602000168.html |title=新鮮・早い・安い 高速バス「相乗り」野菜 常陸太田→都内 採れたて昼前に |publisher=東京新聞 |accessdate=2016-11-14}}</ref>。
** 京王バスでは中央高速バス高山線<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2017/nr170908_bus.pdf |format=PDF |publisher=京王電鉄 |title=高速バス路線を活用した“貨客混載”による 飛騨高山の農産物の販路拡大事業をスタートします |date=2017-09-08 |accessdate=2018-10-29}}</ref> と伊那線<ref>{{Cite web|和書|title=高速バス路線を活用した“貨客混載”による農産物等の販路拡大事業に長野県駒ヶ根市が加わります! |url=https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2018/nr180621_kakyakukonsai.pdf |format=PDF |publisher=京王電鉄 |date=2018-06-21 |accessdate=2018-10-03}}</ref> の新宿行きで野菜を輸送する。


=== 休憩 ===
違反した場合、[[道路運送法]]40条に基づき、状況に応じて事業者・営業所単位で違反点数(使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値)が付加され、累計違反点数が一定以上になると、50点以上でバス事業の停止、80点以上で取り消しの処分が行われる。そのため違反した事業者は、国土交通大臣及び各運輸局長・運輸支局長・自動車検査登録事務所長の命令により、一定期間違反した事業者・営業所での事業拡大(路線の開設や参入)が禁止される(このことを服喪期間という。ただし地元自治体などからの要請があれば特例で路線開設を認める場合もある)。
* 長時間にわたり運行する高速バスでは、適宜、サービスエリアなどで乗務員の休憩時間が設けられる。厚生労働省では連続2時間程度の運行ごとに10分以上の休憩を設けることが提案されているほか、法令(旅客自動車運送事業運輸規則)により最低でも連続運転で4時間ごとに30分の休憩、実車距離500km超の運行については1時間以上(1回20分以上で分割可)の休憩を取るように定められている<ref>{{Cite web |url=https://travel.willer.co.jp/willer-colle/6539/ |title=高速バス・夜行バスには休憩はある?高速バスの休憩時間と回数、過ごし方を解説 |publisher=ウィーラートラベル |date=2022年03月17日 |accessdate=2023-12-21}}</ref>。乗客が外に出ることが認められる休憩では、運転手から発車時刻が提示される。予定した時刻をすぎると外出した乗客が戻らなくとも発車することがある。この場合、乗車券は無効となり払戻し変更はできない<ref>{{Cite web |url=https://www.jrbustohoku.co.jp/information/detail.php?id=1253 |title=【ご案内】年末年始に高速バスをご利用のお客さまへ |publisher=JRバス東北 |date=2023 |accessdate=2023-12-21}}</ref>。


== 行政処分の規定 ==
違反点数の累計期間は3年間で、行政処分から3年経過した時点で消滅する。ただし、違反点数が付加されていない営業所において行政処分以前の2年間に違反行為がなく、かつ違反点数が付加された営業所において2年間違反行為がない場合は、行政処分から2年経過した時点で消滅する。なお事業者が分割・譲渡した場合は事業者・営業所単位の累積違反点数が承継される。
[[2000年代]]に行われたバス事業規制緩和と引き替えに、交通違反などの各種法令に違反した場合の行政処分の規定が新たに設定された。


[[違反]]した場合は[[道路運送法]]40条に基づき、状況に応じて事業者・営業所単位で違反点数(使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値)が付加され累計違反点数が一定以上になると、50点以上でバス事業の停止、80点以上で事業の許可取消処分が行われる。そのため、違反した事業者は国土交通大臣及び各運輸局長・運輸支局長・自動車検査登録事務所長の命令により、一定期間違反した事業者・営業所での事業拡大(路線の開設や参入)が禁止される(このことを服喪期間という。ただし地元自治体などからの要請があれば特例で路線開設を認める場合もある<ref group="注">一例として、[[名鉄バス]]は分社前の[[名古屋鉄道]]時代だった[[2003年]]に無免許運転の隠蔽事件を起こし2年間の新規バス路線の開設禁止処分を受けたが、これを適用すると[[2005年]]1月開港の[[中部国際空港]]への系統や同年開催の[[2005年日本国際博覧会|愛知万博]]関連の輸送系統が運行できなくなる事態が考慮されたためこの特例が認められ、実際に地元自治体からの要請により新規系統の開設が認可されている。</ref>)。
なお、[[2004年]][[8月1日]]に基準が改正され、事業拡大の禁止期間がそれまでの2年間から、5点以下の処分で3か月、19点以下で6か月、20点以上や悪質違反で1年間に緩和されたが、車両停止の処分については厳格化され、従来は使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値が整数でない場合は端数を切り上げていたが、改正後は使用停止車両のうち1台の使用停止日数を延長して整数となるように変更された(端数調整により日数が延長されるのでより厳しくなっている)。2006年5月には、飲酒運転を放置した事業者に対しては、違反点数に関係なく事業停止の処分が下せるようにするといった法案が提出され、早ければ同年夏ごろから適用される予定である。

違反点数の累積期間は原則3年間である。ただし、違反点数が付加されていない営業所において行政処分以前の2年間に違反行為がなく、かつ違反点数が付加された営業所において2年間違反行為がない場合は、行政処分から2年経過した時点で消滅する。なお事業者が分割・譲渡した場合は事業者・営業所単位の累積違反点数が承継される。

なお[[2004年]](平成16年)[[8月1日]]に基準が改正され、事業拡大の禁止期間がそれまでの2年間から5点以下の処分で3か月、19点以下で6か月、20点以上や悪質違反で1年間に緩和されたが、車両停止の処分については厳格化され従来は使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値が整数でない場合は端数を切り上げていたが、改正後は使用停止車両のうち1台の使用停止日数を延長して整数となるように変更された(端数調整により日数が延長されるのでより厳しくなっている)。[[2006年]](平成18年)[[5月]]には、飲酒運転を放置した事業者に対しては、違反点数に関係なく事業停止の処分が下せるようにするといった法案が提出された。


== 乗車券 ==
== 乗車券 ==
=== 座席定員制 ===
=== 座席定員制 ===
[[画像:Kominato-highway-20070702.jpg|thumb|200px|座席定員制を採る[[小湊鉄道]]のアクアライン高速バス]]
[[ファイル:Kominato-highway-20070702.jpg|thumb|200px|座席定員制を採る[[小湊鉄道]]のアクアライン高速バス]]
座席指定なしで発売。この場合は事前予約はできないので、乗車時にターミナルの窓口で乗車券を購入するか、一般路線バスの様に車内で直接運賃を支払うことになる。先着順に乗車し、空いている席に自由に座ることができる。満席となった場合は補助席を利用することになる。法令により高速道路では立っの乗車はできないため、補助席も埋まると乗車できず、次発の便に回されてしまう。近距離(100km程度まで)の高速バスはこの方式を採用している路線が多い。
座席指定なしで[[発売]]される。この場合は事前予約はできないので、乗車時に[[バスターミナル]]の窓口で[[乗車券]]を購入するか、一般路線バスの様に車内で直接[[運賃]]を支払うことになる。
先着順に乗車し、空いている席に自由に座ることができる。満席となった場合は[[補助席]]を利用することになる。しかし、[[法令]]により高速道路では立ぱなしの乗車はできないため、補助席も埋まると乗車できず、次発の便に回されてしまう。
近距離(100 km程度まで)の高速バスはこの方式を採用している路線が多い。
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=== 予約定員制 ===
=== 予約定員制 ===
[[画像:Odakyuhakone-hanedaline-20070826.jpg|thumb|200px|予約定員制を採る[[小田急箱根高速バス]]]]
[[ファイル:Odakyuhakone-hanedaline-20070826.jpg|thumb|200px|予約定員制を採る[[小田急箱根高速バス]]]]
基本的には座席定員制と同じだが、事前に乗車する便を指定して予約することが原則である。座席は指定せず、空いている席に自由に座ることができるが、予約していればその便の座席が1席分確保されているので満席で乗れない心配はない。予約せずに乗る場合は予約した乗客が優先されるため満席で乗れないこともり得る。その場合も座席定員制と同様、補助席を利用する。補助席も埋まると次発便へ回される。
基本的には座席定員制と同じだが、事前に乗車する便を指定して[[予約]]することが原則である。
座席は指定せず、空いている席に自由に座ることができるが、予約していればその便の座席が1席分確保されているので満席で乗れない心配はない。予約せずに乗る場合は予約した乗客が優先されるため満席で乗れないこともり得る。その場合も座席定員制と同様、補助席を利用する。補助席も埋まると次発便へ回される。
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=== 座席指定制 ===
=== 座席指定制 ===
[[画像:Chuo-Highway-Bus-Keio-E.jpg|200px|right|thumb|座席指定制を採る[[中央高速バス]]([[京王バス東]])]]
[[ファイル:Keio-bus-east-K60507.jpg|200px|right|thumb|座席指定制を採る[[中央高速バス]]([[京王バス東]])]]
予約指定制ともいう。
予約指定制ともいう。事前予約を原則とし、発券時に乗車便・座席も指定するもの。ほぼすべての夜行路線や、私鉄・専業系バスの中・長距離路線の大半で、この方式が採用されている。詳細は後述する。乗車券はバスターミナルなどにあるバス事業者の直営窓口や旅行会社で事前に購入する。購入前に電話で予約ができる路線がほとんどである。なお、バスターミナルや旅行会社以外での購入方法として、次のようなシステムがある。
事前予約を原則とし、発券時に乗車便・座席も指定するもの。ほぼすべての夜行路線や、[[私鉄]]・専業系バスの中・長距離路線の大半で、この方式が採用されている。乗車券はバスターミナルなどにある[[バス事業者]]の直営窓口や[[旅行会社]]で事前に購入する。購入前に電話で予約ができる路線がほとんどである。
* JR[[鉄道駅]]などの「[[みどりの窓口]]」
* [[高速バスネット]](会員制インターネット予約システム)
** [[JRバス]]の高速バスの大半([[ジェイ・アール北海道バス]]の路線を除く)。[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]・ニュードリーム号の大半、[[中央ライナー (高速バス)|中央ライナー]]、[[昼特急]]など。
* インターネット予約システム(JRバス以外の民営バスが中心)
** [[発車オ~ライネット]]
*** 私鉄系バスの中・長距離の大半路線
*** 東京~京阪神系統以外の主なJR高速バス
** ハイウェイバスドットコム
*** [[中央高速バス]]・[[中央道高速バス]]など、主に[[京王バス]]と[[名鉄バス]]が運行に関わる中・長距離路線
** ネットdeバス
*** [[両備ホールディングス]](両備バス)が運行に関わる中・長距離路線
** 楽バス
*** 九州のバス事業者(JR九州バスは除く)が運行に係わる中・長距離路線
* 一部[[コンビニエンスストア]]の多機能端末機([[マルチメディアステーション]])
** 大都市周辺発着の一部路線


==== 座席指定制路線におけるチケットの購入方法 ====
====バスターミナルや旅行会社以外での購入方法====
次のようなシステムがある。
本数の多い都市間路線の場合には、当日に乗り場へ赴いても[[乗車券]](チケット)が買えることが多い(よほどのケースを除いて満席になることがない)が、日中運行する最初の便や最終便、並びに夜行路線の場合には早くから予約を入れないと満席になっていることが多い。本数が少ない夜行路線の場合は、運行会社の指定する期日までに購入する必要がある。期日は、会社によってまちまちで、乗車日の5日前まで、予約してから4日以内…、など様々なので、予約時に確認しておく。確認しておかないと、購入期限切れとなって予約を取り消される場合もあるので注意が必要である。


; [[みどりの窓口]]
従って、事前に何らかの手段で予約を入れ、乗車券を購入する必要があるが、現在のところ、後述記載の外部リンクの高速バス予約[[ウェブサイト]]参加路線以外では[[インターネット]]予約ができない路線が多い。また、共同運行の相手側の会社が参加していない場合もある。この場合はバス会社の予約窓口に電話予約し、座席を確保した上で、バス会社の直営窓口(バスターミナルや営業所など)や大手の[[旅行会社]]から乗車券を購入することになる。旅行会社から購入する場合には、JRや飛行機(航空券)と異なり、規定の運賃以外に「([[手配旅行]])取扱手数料」を徴収される場合もある(これはJR以外の私鉄有料特急や[[フェリー]]も同じ)。なお、運行バス会社系列の旅行会社(例えば[[小田急バス]]([[小田急シティバス]]・[[小田急箱根高速バス]])の高速バスなら[[小田急トラベルサービス]])で購入する場合は、手数料は徴収されないことが多い。また、JR券の発行ができる(マルス端末=みどりの窓口を持つ)旅行会社等で、JRバス系列の[[マルス (システム)|マルス]]収容の乗車券・指定券のみを発券する場合は、JR券発券とみなされ、手数料不要となる場合が多い(宿泊などを含めた複合手配の場合は、手配旅行となり、手配旅行取扱手数料の対象となることもある)。
: [[JRバス]]が運行に関わる中・長距離路線の中には全国のJR[[鉄道駅]]などに設置されている「[[みどりの窓口]]」で購入できる路線がある。なお、[[ジェイアール四国バス]]のようにみどりの窓口での発売を全廃したケースもある([[2016年]]6月時点で、[[ジェイアールバス東北]]では、[[みどりの窓口]]での取扱いを明言しているのは、[[北東北]] - 首都圏間を運行する2路線となっている。いずれも同社単独運行であり、電話予約も北東北側の出発地の担当支店ではなく、[[仙台駅のバス乗り場#仙台駅東口|仙台駅東口の同社高速バス案内所]]で受け付けている)。
; インターネット予約システム
: インターネットの普及に伴い、予約用[[ウェブサイト]]で空席の照会・予約を受け付けるサービスが1990年代末から始まり、多くの事業者に普及している。ウェブサイトにより空席照会・予約に登録を要するものと登録不要のものがある。予約後にバス事業者の窓口、または次に述べる主要[[コンビニエンスストア]]に設置されている多機能端末機([[マルチメディアステーション]])で申込券を発行してレジで運賃を支払い、乗車券の発券を受ける。また、予約時に予約サイト上で[[クレジットカード]]により支払い、乗車券を[[プリンター]]で印刷したり、乗車券の内容を携帯電話の画面に表示させることができる場合もある。
* [[高速バスネット]] - JRバス(原則としてJRバス関東・JR東海バス・西日本JRバスの3社が関与している路線のみ。例外は[[B&Sみやざき号]])の高速バスの大半。[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]([[ジェイアールバス東北]]路線分は、後述の[[発車オ〜ライネット]]との併用)の大半、[[中央ライナー (高速バス)|中央ライナー]]、[[昼特急]]など。
* [[発車オ〜ライネット]] - 私鉄系バスの中・長距離の大半路線、東京〜京阪神系統以外の主なJR高速バス、[[ジェイアールバス東北]]及び[[東北地方]]を主要基盤とするバス会社が担当する路線のほとんど
* [[ハイウェイバスドットコム]] - [[中央高速バス]]・[[中央道高速バス]]など、主に[[京王電鉄バス|京王バス]]と[[名鉄バス]]が運行に関わる中・長距離路線および九州のバス事業者が運行に係わる中・長距離路線
* 両備高速バス予約システム - [[両備ホールディングス]](両備バス)が運行に関わる中・長距離路線


; [[マルチメディアステーション]]
一部路線では、予約サイトで予約後に、次のような方法で乗車券を購入することもできる。
* [[セブン-イレブン]]を除くコンビニエンスストアの多機能端末機(マルチメディアステーション)([[ファミリーマート]]の[[Famiポート]]、[[ローソン]]の[[Loppi]]など)のチケット購入。端末機で空席照会・予約もできる路線もある
: 上記のように、コンビニエンスストアに備え付けられているマルチメディアステーションで乗車券を予約・購入し発券できる路線が多い
: この場合、マルチメディアステーションで路線や便を検索して直接予約する方法と、あらかじめ電話や前述のインターネットサイトで予約した便の乗車券を、マルチメディアステーションで予約番号などを入力の上で申込券を発券する方法がある(電話窓口や予約サイトでコンビニ払いを指定した場合)。取扱い路線はそれぞれ異なる。これらの場合、乗車券購入時にマルチメディアステーションで出力される申込券をレジへ持参し、運賃を支払った後、レジに接続されているプリンターから乗車券が発券される。
* セブン-イレブンの収納代行サービスによるチケット購入(控えレシートが乗車券の代わり)
* 自宅や会社などの[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]と[[プリンター]]を使った「インターネット乗車票」サービス(インターネットでバス会社や旅行会社の[[ウェブサイト]]にアクセスし、乗車票ページを印刷して乗車券の代わりとするもの。支払手段は[[クレジットカード]])
* [[iモード]]や[[Yahoo!ケータイ]]、[[EZweb]]に対応した[[携帯電話]]を利用したチケットレスサービス(バス会社や旅行会社の[[ウェブサイト]]にアクセスし、二次元[[バーコード]]をダウンロードして、電話機にバーコードを表示して乗車する。支払手段はクレジットカード)。


=====高速バス乗車券・乗車票・指定券一例=====
「[[ドリーム号 (高速バス)|ドリーム号]]」など[[JRバス]]の夜行便や「昼特急」の場合は、JR[[鉄道駅]]や大手旅行会社などの[[みどりの窓口]]で規定の運賃で乗車券の予約・購入が可能。ただし、[[マルス (システム)|マルス]]のシステム上、鉄道乗車券・指定券の発行より多少テクニックや操作知識・情報が必要であるため、特に、日ごろ高速バスの発券がない地方の駅や、遠方発着の乗車券を購入する場合などには、多少時間がかかるなどの覚悟は必要である。
<gallery>
File:Nocturne ticket.JPG|[[京浜急行電鉄]](当時)窓口発行
File:Ticket Hakone Highway Bus.jpg|小田急SRシステム発行
File:Ticket-JRTomei.jpg|[[ジェイアールバス関東|JRバス関東]]窓口発行 [[回数乗車券]]
File:BusTicket 04p0822sa.jpg|[[ジェイアール東海バス|JR東海バス]]車内発行
File:Ticket Hakone Highway Bus from farebox 1.jpg|[[小田急箱根高速バス]]車内発行[[PASMO]]精算
File:Ticket DreamMatsuyama 2 kousokubus.net.jpg|[[高速バスネット]] 窓口発行
File:Ticket Tomei51 kousokubus.net.jpg|高速バスネット 自動券売機発行
File:Kousokubus.net ticket.jpg|高速バスネット 携帯電話画面に表示
File:We liner ticket.JPG|[[日本旅行]]バスぷらざ 自身で印刷
File:Rhobi Highwaybus ticket Loppi.jpg|両備高速バス予約サイト [[ローソン]]にて発券
File:Seven-11 highwaybus ticket.jpg|[[発車オ〜ライネット]]予約 [[セブン-イレブン]]にて発券
</gallery>


===== 旧ツアーバス転換路線 =====
また、座席指定制路線でも、当日乗るときに空席があれば、乗車できることもある。
ツアーバスから移行した新高速乗合バスの場合、上記とは異なる独自の予約サイトを持ち、窓口を持たず支払方法を[[クレジットカード]]またはマルチメディアステーションでの支払いに限定し、乗車券を発券しない場合が多い。


また、新高速乗合バスでない高速乗合バスは乗車券を発券した際に座席も指定されるが、新高速乗合バスは運賃を支払ってもその時点では座席が指定されず、当日の乗車時に乗客の性別などを考慮して座席が設定され、各乗客に連絡される場合が多い。
==== マルスシステムでの高速バス乗車券・指定券発券 ====

* M型マルス端末時代 その地域で発券の多い路線はプリセット機能により[[列車愛称|列車名(バス愛称)]]略号や、乗降駅略号の入力が省略でき、スピーディに発券できるが、プリセットされていないバスや乗降駅の場合、列車名略号、乗降駅略号を手入力しなければならなかった。略号は[[タリフ]]と呼ばれる、バスごとに略号や発券方法、取扱条件などをまとめた分厚いマニュアルに記載されており、それを調べるため発行に時間がかかることもあった。また、鉄道駅と異なる乗降駅略号が設定されている場合が多く、鉄道駅と同じ略号を入力して再考(エラー)となることも多かった。
== 高速バスの愛称 ==
* MR型マルス端末と呼ばれる、タッチパネル式端末では、略号を調べて入力しなくても、画面上で一般的な愛称で列車名(バス愛称)が検索できる'''支援機能'''が搭載されると同時に、操作画面上も一般的なバス愛称名で取り扱いができるようになった。そのため、M型との混在期には、みどりの窓口扱いの高速バスのヘビーユーザーが、MR端末の列を選んで乗車券・指定券の購入を依頼したり、MR端末のある駅をわざわざ選ぶケースも散見された。ただ、MR型でも、愛称名が似ている路線名が複数ある場合の選択ミス、駅名ミスなどで再考となるケースはあった。
日本の高速バスでは便または路線ごとで愛称を付けているケースが多い。理由については様々だが座席指定制の場合は発券、事務処理上の便宜として付けているほか路線・目的地の宣伝広告の意味で付けているケースがほとんどである。自由席の路線でも路線・目的地のアピールとして付けているケースがある。つけ方としては以下のようなつけ方がみられる。
* JR東日本ではM型マルス端末の後継としてME型マルス端末が導入されたが、基本的にはMR型マルス端末と同様であった。発売頻度の高い列車名を登録し、自由席券・指定券画面で列車名検索をしなくてもタッチパネル上に表示可能であったため、バス券発売が多い駅ではあらかじめ登録している駅もあった(例えば[[青森駅]]では「ドリーム青森」をあらかじめ登録)。現在は後継機種のMEM型マルス端末となっているが、この機能は引き継がれている。

* マルス端末の支援機能は進歩し、現在では間違っている可能性がある箇所が表示されるなどの機能強化で、地方駅でもバス乗車券の購入は容易になってきている(ただし、[[自動券売機#指定券自動券売機|指定席券売機]]では、バス券の購入はできない。JR東日本の地方の一部駅にある通信機能付き指定席券売機「[[もしもし券売機Kaeruくん]]」はセンターの使用端末がMEM型マルス端末であり、バス券の発行・購入が可能だが払い戻しはできない)。
* 事業所毎…その事業所のすべての高速バス路線に付与する([[阪神バス]]「[[サラダエクスプレス]]」や、[[東京バス]]グループの「ニュースター号」など。また、[[ツアーバス]]から移行した事業者の大半がこれに該当する。)
* JRバス各社が、[[発車オ~ライネット]]を積極的に活用するようになると、マルス端末でも発車オーライネットの端末でもJRバスの乗車券・指定券の発行ができる路線が出現してきた。しかし、相互に接続されていないシステム同士の'''座席数振分'''が問題になった。マルス管理席が満席でも、発車オーライネット管理席に空席がある場合が発生し、両方のシステムに座席が収容されている路線が発着する場所に隣接しているJRバスのチケット発売所では、マルス端末と発車オーライネット端末の両方を用意し、席のある端末から発券する手間が発生するようになった。また、一方に予約が固まると、バス会社の座席管理部署でも、座席調整が必要となる場合もあった。なお、マルスと発車オーライネットに割振る座席の数の比率は、路線の事情により様々である。
* 路線・系統毎…その路線・系統のすべての便に付与する(福岡〜鹿児島間「[[桜島号]]」など)
** このような事情から、JRバスに限らず、ある予約システム上で満席の場合でも、別の予約システム枠、あるいは運行会社の直接管理枠に空席がある場合もあるので、あきらめずに当たってみると良い。
* 便毎…その路線の特定の便に対して付与される([[東名高速線]]「東名ライナー」など)
* [[西日本JRバス]]では、マルスと間接的に接続された、[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の指定券電話予約サービス[[5489サービス]]で、マルス収容のバス乗車券・指定券の電話予約を受け付ける時期があった。関東方面を結ぶ夜行バスは人気があったが、東日本エリアの事情から、マルス収容席の比率も多く、発車オーライネット枠が先に売り切れるケースが多かった。そのため、全席を発車オーライネットで管理し、最後の1席まで電話予約・インターネット予約ができる<ref>実際には同じ予約番号以外の男女が隣り合わせにならないようにしているため、「最後の1席まで」ということにはならない。</ref>私鉄系バスを好む利用者も多く、利用者確保の策であったともいえる。また、5489サービスで予約したバス乗車券・指定券は、みどりの窓口での発券時に、予約時に申告したクレジットカード番号をキーに予約を検索できるため、迅速な発券が可能である。
* 2006年から、マルスの管理・運営をしている[[鉄道情報システム]]が開発した[[高速バスネット]]の運用が始まった。JRバスグループの高速バスの座席が、電話・インターネット・窓口で予約できるほか、コンビニ支払いやインターネット乗車票の発行(路線によっては2~5%割引がある)など、マルスではできなかった取扱が可能になった。さらにマルスや発車オーライネットと相互接続されており、一方に予約が固まった場合に座席配分を自動調整できるなど、従来の問題点が徐々にクリアされてきている。鉄道情報システムが管理しているため、マルスとの連携も含めた、今後のマルスにおける高速バス券取扱いの行方が注目される。


== 日本国外の高速バス ==
== 日本国外の高速バス ==
[[ファイル:KKBus FC666 Front.jpg|200px|right|thumb|台湾の高速バスの例([[国光汽車客運]] MCI MC9)]]
鉄道や航路の未発達な途上国を中心に利用されているが、先進国・準先進国でも、高速道路が発達した地域では、多くの路線が設定されていることが多い。[[フィリピン]]や[[ペルー]]、[[ドイツ]]や[[台湾]]、[[大韓民国|韓国]]はそれぞれの例である([[韓国のバス]]も参照)。特に鉄道・航空機との競争が激しい台湾では、路線によっては2列シート、按摩、おしぼり、個人TV、バスガール付きの豪華な都市間高速バスが24時間体制で運行されている。
[[ファイル:Hyundai New Premium Universe Xpress Noble 2013.png|200px|right|thumb|韓国の高速バスの例(錦湖高速 現代ユニバースエクスプレスノーブル)]]
[[ファイル:ABU361 at Jinrong St, Yufa Rd (20190823134230).jpg|200px|right|thumb|中華人民共和国の高速バスの例(北京新国線客運 [[宇通客車|宇通]]ZK6115BEV5)]]
鉄道や航路の未発達な途上国を中心に利用されているが、先進国・準先進国でも、高速道路が発達した地域では、多くの路線が設定されていることが多い。[[フィリピン]]や[[ペルー]]、[[ドイツ]]や[[台湾]]、[[大韓民国|韓国]]はそれぞれの例である([[台湾のバス交通]]及び[[韓国のバス]]も参照)。特に鉄道・航空機との競争が激しい台湾では、路線によっては2列シート・按摩・[[おしぼり]]・個人[[テレビ]]・バスガール付きの豪華な都市間高速バスが24時間体制で運行されている。[[中華人民共和国]]でも都市部の急激な経済成長による[[出稼ぎ]]労働者の増加に伴って高速バスが発展しており中には車内に寝台を備え付けた「寝台バス」も運行されている。


一方[[アメリカ合衆国]]では、[[アラスカ州|アラスカ]]を除く本土全土に路線網を有する「[[グレイハウンド_(バス)|グレイハウンド]]」高速バスがあるが、鉄道の[[アムトラック]]同様以下の理由により都市間交通は高速な航空機([[格安航空会社]])の独擅場と化し、都市間バスは淘汰されつつある。
一方[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では長い歴史を持ち、[[アラスカ州|アラスカ]]を除く本土全土に路線網を有する「[[グレイハウンド (バス)|グレイハウンド]]」高速バスがあるが、鉄道の[[アムトラック]]同様以下の理由により都市間交通は高速な航空機([[格安航空会社]])の独擅場と化し、[[都市間バス]]は淘汰されつつある。
* 国土が広いため、全土の移動手段としては時間が掛かり過ぎる(日本の高速バスの距離程度の[[サンフランシスコ]][[ロサンゼルス]]間で8~10時間程度、大陸横断では乗り継ぎで4日程度要する)。
* 国土が広いため、全土の移動手段としては時間が掛かり過ぎる(日本の高速バスの距離程度の[[サンフランシスコ]][[ロサンゼルス]]間で8〜10時間程度、大陸横断では乗り継ぎで最短でも3日程度要する)。
* [[1980年代]]以降の航空自由化により国内線航空運賃の値下げが行われた結果、[[飛行機|航空機]]での移動が一般的になり、高速バスの客層が低所得者層主体になり雰囲気が悪化した。
* [[1980年代]]以降の航空自由化により国内線航空運賃の値下げが行われた結果、[[飛行機|航空機]]での移動が一般的になり、高速バスの客層が低所得者層や移民、[[バックパッカー]]らが主体になた。
* [[バスターミナル]](デポーまたはディーポ)周辺環境の悪化。特に[[ニューヨーク]]や[[ロサンゼルス]]などの都市部では夜間は危険な場所にあることが多い。
* [[バスターミナル]](デポーまたはディーポ)周辺環境の悪化。特に[[ロサンゼルス]]などの都市部では夜間は危険な場所にあることが多いといわれる。そのため、白人を中心とする中間層が遠ざかるようになった


[[ヨーロッパ]]では、ほとんどの国が陸続きになっていることから国際(EU域内)間の路線バスも多く、各国のバス会社が加盟する[[ユーロラインズ]]という協業組織がある。
== 注記 ==
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== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[都市間バス]]
* [[直行便]]
* [[直行便]]
* [[青春18きっぷ]]
* [[青春18きっぷ]]
* [[急行バス]]
* [[急行バス]]
* [[水曜どうでしょう]] - 「[[サイコロの旅]]」内で出演者一行が度々夜行高速バス(番組では『深夜バス』と表現)に乗車。
* [[水曜どうでしょう]] - [[水曜どうでしょうの企画 (日本国内)#サイコロの旅|サイコロの旅]]で夜間の移動手段に好んで夜行バスを利用していた。また、番組内では「'''深夜バス'''」と呼んでいるが、深夜バスは通常は通勤バスの深夜便のことである。ただし、夜行高速バスというのは正式な名称ではないため(法的には「路線バス」という以外の呼び方は決められていない)、「深夜に走行するバス」という意味で使用しているものとも思われる。
* [[沖縄本島のバス路線#111番|111番・高速バス]] - 路線の系統名そのものが「高速バス」である。[[沖縄自動車道]]全区間([[那覇インターチェンジ|那覇]][[許田インターチェンジ|許田]]間)を経由する。予約制、及び切符制ではなく、乗車のとき[[整理券]]を取り、降車の時に運賃を払う、一般路線バスとほとんど同じ方式を取る。
* [[沖縄本島のバス路線#111:高速バス/117:高速バス(美ら海直行)|111番/117番・高速バス]] - 路線の系統名そのものが「高速バス」である。[[沖縄自動車道]]全区間([[那覇インターチェンジ|那覇]][[許田インターチェンジ|許田]]間)を経由する。予約制、及び切符制ではなく、乗車のとき[[乗車整理券|整理券]]を取り、降車の時に運賃を払う、一般路線バスとほとんど同じ方式を取るが、運賃は一般道経由の路線に比べ最大190円高くなっている。
* [[名古屋市営バス鳴尾営業所#高速1系統|高速1号系統]] - 路線の系統名に「高速」が入っており、区間途中で[[名古屋高速道路3号大高線|名古屋高速3号線]]([[高辻出入口|高辻]][[大高出入口|大高]]間)を通行する。前後に一般道区間を多く含むこともあり通常の路線バスと同様の乗車方法であが、高速区間を跨いで乗車する場合は運賃の他に追加料金として10円が必要。
* [[名古屋市営バス鳴尾営業所#高速1系統|高速1号系統]] - 2022年3月まで運行していた[[名古屋市営バス]]の路線。路線の系統名に「高速」が入っており、区間途中で[[名古屋高速3号大高線|名古屋高速3号線]]([[高辻出入口|高辻]][[大高出入口|大高]]間)を通行していた。前後に一般道区間を多く含むこともあり通常の路線バスと同様の乗車方法であったが、高速区間を跨いで乗車する場合は運賃の他に追加料金として10円が必要であった
* [[高速バス限定の旅]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [https://www.mlit.go.jp/jidosha/index.html 国土交通省自動車局]
* [http://www.jftc.go.jp/pressrelease/03.may/03051401.pdf 乗合バス事業者に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について](2003年5月14日 [[公正取引委員会]])
** [https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000020.html バス産業勉強会] - {{PDFlink|[https://www.mlit.go.jp/common/000162028.pdf 報告書]}}
** [https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000040.html バス事業のあり方検討会] - {{PDFlink|[https://www.mlit.go.jp/common/000211900.pdf 報告書]}}
* [https://www.bus.or.jp/ 公益社団法人 日本バス協会]


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2024年11月24日 (日) 14:01時点における最新版

JRバス関東 西日本JRバス 青春ドリーム大阪号
名鉄バス さぬきエクスプレス名古屋号
京阪バス 東京ミッドナイトエクスプレス京都号

高速バス(こうそくバス)とは、主に高速道路を通行する路線バスのことを指す。以下、特記の無い限り、日本国内の高速バス(道路運送法第3条に規定される「一般乗合旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。

概要

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日本の法令では道路運送法第3条の規定のほか第5条において、路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送(路線定期運行)に関し、国土交通省へ許可申請が必要となる。道路運送法施行規則[1] 第10条において「専ら一の市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域を越え、かつ、その長さが概ね五十キロメートル以上の路線又は空港法第二条に規定する空港若しくは同法附則第二条第一項の政令で定める飛行場を起点若しくは終点とする路線において、停車する停留所を限定して運行する自動車により乗合旅客を運送するもの」を長距離急行運送等として運賃届出が区分され、同15条の13にて運行計画の届出が定められている。日本の高速バスの多くが長距離急行運送等に該当する。

一般的には、距離が数十から数百 kmの都市間輸送(北海道沖縄県以外では都府県を跨ぐ事例が多い)、ないしは都市と観光地を結ぶものの中で、高速道路を利用するものを指す。ただ、「高速バス」という語の法律的な定義はされていない。そのため旅行業者が自社商品(貸切バスを利用したツアーバス)を「高速バス」と呼称する事例もあった[2]。高速道路上では「路線バス」と記載されている。観光バスなどとの識別のため、バスのフロントガラスの運転席寄りに「路線バス」の表示を掲示している。

空港へのアクセスを担う高速バスは事業者によってリムジンバスとも案内されるが、リムジンバスを高速バスの下位概念と見なすことがある[注 1]。高速道路は通過しないが中長距離の都市間連絡を担う特急・急行バスも場合によっては制度上は高速バスと同等に扱う[注 2]

特急・急行バスは多くは一般道経由のバスとして高速バスと区別されるが、事業者によっては高速バス内の上位種別として特急・急行バスと称する場合や、路線名としてそのように称する場合もある。また、路線全長の内、高速道路走行区間が短い路線を準高速バスと称する場合もある。

東名ハイウェイバス名神ハイウェイバス中国ハイウェイバスの各停便は、種別が急行となる。ただし、名神ハイウェイバスの急行便は2006年(平成18年)現在名称上廃止している。

高速道路を通過する際には、法規によりバスの着席定員を超える乗客を乗せて運行することが禁止されているため、所要時間1〜2時間程度までの短距離路線などの一部を除き、事前に席を予約する座席指定制を採用することが多い。一部では、一般路線バスと同様に予約不要ではあるが定員を超えて乗車できない定員制を採用している。また、ほぼすべての路線で全席禁煙となっている。

他の交通機関と比較して料金が安価である場合が多い。一方、鉄道と異なり道路を利用する関係上、天気などの気象条件のほか、大型連休・旧盆年末年始などの行楽シーズンや、集中工事期間、突発的な交通事故などの発生による渋滞・交通規制などにより、定時運行ができないことがある。以下の記載は、基本的に路線バスとしての高速バスに限定して記述する。

車両

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観光バスタイプの車両に類似するが、路線バスとして運行するため行先表示器自動放送装置・降車ボタン運賃表示器運賃箱等の一般路線バス車両と同様の機器を取り付けている。逆に不要となる出入口部のバスガイド席や客席のマイクなどは装備されていない。ただし、完全予約制の路線やツーマン運行の路線などについては自動放送装置・運賃表示器・運賃箱を有しない車両が使用される場合もある。

室内の座席はほとんどがリクライニングシートで、昼行路線が3列(2+1)または4列、夜行路線が3列独立シートの場合が多く、車両によってはこれらを組み合わせて等級を設定していることもある。また、わずかながら2010年代後期あたりからホスピタリティを重視した2列独立かつ個室ブース化した座席も登場するようになった。なお2+1タイプの3列シートでは、出入口側に通路がある車両と運転席側に通路がある車両が混在する。

また、観光バスとして用いていた車両に運賃箱や放送装置等を取り付けて高速バスに転用した車両も多い。観光バスからの転用の場合、ある程度の距離を走る路線でもトイレが無い場合がある。西日本鉄道等では夜行用車両を昼行用に転用したことがある。逆に、JRバス関東では昼行用車両を独立3列シートに改造の上で夜行用に転用したことがある。

黎明期の高速バスでは、通常に比べ出力(馬力)の大きい専用のエンジンを搭載したバスをメーカーに特別注文したものもあった(その代表例が国鉄専用型式)が、通常の観光バスと比べ価格が高く、また市販の観光バスの車両も出力が大きくなったために必要性が薄れ、現在では製造されていない。

ただし前述のように各メーカとも、通常の観光バスをベースに行先表示器(サボで代用する場合もある)など路線バスとしての装備と、車内を最小限の簡素な仕様とした高速バス向けの車両を用意している。さらに夜行高速車の場合、3列シート、交代乗務員の床下仮眠室など夜行バス向けの装備と、高出力エンジンと制動力に優れたフルエアブレーキを装備したインターシティ仕様を各メーカーが設定している。

またコストダウンとバリアフリー化のため、近距離高速バスについては高出力エンジン仕様のトップドア路線バスや、いわゆる「ワンロマ」をベースとした車両もあり、一部事業者(特に首都圏や九州地方)で集中的に導入されている。

一部事業者では、運行コスト削減のためマイクロバスを使用する事例もある(中国バスが運行していたフライングフィッシュ号オーシャンライナー南部バスの軽米高速線、北九西鉄タクシー福北リムジンバス神園交通のすーぱーばんぺいゆなど)。また、曜日限定ではあるもののジャンボタクシー車両を使用した路線も存在した(両備バスがかつて運行していた広島つやまエクスプレス)。

中長距離用の場合、車両中央部の床下または最後部に便所を設けてあるものが多いが、盆や正月などで増便する場合、観光バス車両などトイレを設置していないバスが使用されることがある。その場合には高速道路のサービスエリアパーキングエリアでの休憩時間をこまめに設定することがある[注 3][注 4]。また、高速バス自体は禁煙となっているため、休憩先の喫煙所は、高速バスが停まっている間は混雑する傾向にある。トイレはハイデッカー・スーパーハイデッカーでは中央部か最後部、ダブルデッカーでは1階の最後部に設置されている例が多く見られる。設置場所の制約からコンパクトにまとめられており、下の写真にあるように、用を足すための最小限の広さのものが多いが、広さを横幅いっぱいに拡大し、便器のほかに洗面台や鏡を備えたパウダールームを設置している例もある。

床下には大きな荷物を収納するためのトランク(荷物入れ)が設置されており、車外から車体側面下部にあるトランクリッドを開けて荷物を出し入れするようになっている。また夜行高速車では床下もしくは最後部、2階建て車の場合は階下席前扉脇にカプセルホテルに似た形状の乗務員仮眠室も設置されており、運転しない乗務員は横になって仮眠することができる。床下配置の場合は中央床下トイレの脇に仮眠室の出入口があり、また外部からもトランクルーム同様のドアがあり出入りが可能になっている。続行便等で仮眠室を装備していない車両を使用する場合は、運転席後部の座席を仮眠スペースとして使用するケースが多い。JRバス各社では、中継地点で乗務員交代を実施する路線では夜行高速車であっても仮眠室を省略するケースがある。

かつては長距離路線を中心にAVサービス機器(ビデオやテレビ放送の放映、マルチチャンネルオーディオ、ラジオなど)が装備されていたが、近年は縮小・省略の傾向にある。座席に個別の液晶テレビを備えている例もある。また長距離路線を中心に給茶機冷蔵庫によるセルフサービスでの飲物の提供、あるいは自動販売機による飲物の販売、100円硬貨もしくはテレホンカード専用車内電話などの設備・サービスが実施されていたが、これらも縮小・省略の傾向にある(自動車公衆電話は、NTTドコモのPDC方式の携帯電話が2012年3月31日を以て停波した際に自動車公衆電話サービス自体も終了しているため、それに先だってあるいはそれに併せる形でサービスを終了し、自動車公衆電話端末を撤去している)。一方、近年では乗客がノートパソコンスマートフォンを利用して車内でインターネットに接続することを可能にするため、車両に公衆無線LANを導入したり、座席にモバイル機器充電用のコンセントUSBポート[3] を設置したりする事例も増えている。

同一の区間で設備と運賃に格差をつけた複数の便が運行されている例がある。また同じ車両であっても設備と価格に格差をつけている場合がある。

高速バスで使用される車両の寿命は、目安として走行距離が100万kmを超えた頃とされており、運行距離が長い路線の車両では10年を待たずに新車と入れ替えて廃車にされるサイクルにあった。しかし、2010年代に入ると観光バスの需給が逼迫し始めたことから、徹底した整備を施し高速路線で運用を続けたり、観光バスへ転用される車両もみられるようになっている。中古車市場では、極端な多走行車であっても取引が行われる事例がある[4]

沿革

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1950年代・高速道路開通前

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戦前にも省営自動車広浜線(広島 - 浜田間)など長距離路線が存在したが、第二次世界大戦による燃料統制でバスの運行は極めて困難な状態となった。

戦後、燃料統制が解除された1950年代から再び長距離路線が増え始める。1950年(昭和25年)には一畑電気鉄道(現一畑バス)が広島 - 松江線を直通急行バスとして運行開始(1960年には 広島電鉄バスも参入)。九州の福岡 - 熊本間西日本鉄道九州産業交通)や福岡 - 小倉 - 大分間などで長距離バスの運行が開始され、その後は自動車技術の発達や、舗装や拡幅、車線の上下完全分離などといった道路改良に伴って、各地に一般道路経由の長距離バスが誕生した。

関門急行線以降、長距離バスにはパワーステアリング・エアブレーキ・エアサスペンション・冷房装置・リクライニングシートといった長距離輸送に適した装備を備える車両が使用されるようになっていった。

当時は、道路の方も一級国道でさえ未舗装区間や車両の行き違いの困難な道幅の狭い区間が残るなど道路事情は良くなかったが、まだマイカー普及前で交通量も少なかったことで渋滞が少なかったうえ、国鉄の輸送も近代化される前で幹線でも単線・非電化で輸送力の低い路線が多く、バス利用者も多かった。その頃の長距離バスは、鉄道のライバルというより、むしろ鉄道の補完的な役割であった。

運行距離が100km以上の長距離乗合バスは、昭和33年度末には102系統あったが、昭和37年度末には204系統、昭和40年度末には323系統と増加していった。[5][6]

1960年代・草創期

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初期の高速バス車両 国鉄・日野RA900P

日本では、以下のバス路線が緒とされている。

  • 1964年(昭和39年)
    • 名神高速道路の部分開通により、同年9月16日に、近江鉄道(京都駅~木本地蔵、京都三条~八日市、京都三条~日野車庫系統)、京阪自動車(京阪特急線 大阪天満橋~京都三条、八日市特急線 京都三条~八日市)、阪急バス(京都急行線 大阪本町四丁目~京都河原町御池)に、高速道路を経由するバス路線の認可が下りた。近江鉄道は10月5日と9月29日に、京阪バスは10月8日、阪急バスは12月19日にそれぞれ開業した[7]。これは、名神高速経由のバス乗入れ問題が未解決であった頃、運輸省は尼崎〜栗東間の部分開通に際して「起終点が変わらず、たまたま並行して高速道路がある関係上、速達を期し、かつ従来の路線上のサービス低下につながらないもの」「主要都市間の連絡を計画するもの」という条件のもとで措置がとられた[8]
    • 名古屋~新大阪・神戸・京都間には、1964年9月28日に国鉄バス(現在はJRバスとして、JR東海バス西日本JRバスの2社が共同運行)・日本急行バス(後に名古屋観光日急名鉄観光バスを経て、現在は名鉄バスへ移管)、1965年2月17日に日本高速自動車(現:名阪近鉄バス)に認可が下り、国鉄バスは1964年10月5日、日本急行バスが1964年10月14日、日本高速自動車が1965年3月6日にそれぞれ運行を開始したことで、名神ハイウェイバス(名古屋〜京都・大阪・神戸間)が開業した[7]
  • 1968年(昭和43年) - 中央自動車道の一部区間の完成により、新宿〜富士五湖間の長距離バスを中央自動車道(調布〜八王子)に乗り入れ、中央高速バスとして運行開始。
  • 1969年(昭和44年) - 東名高速道路の開通により、国鉄バス・東名急行バス1975年(昭和50年)廃業)2社による東名高速バス(東京〜名古屋間)及び東京〜関西地区を結ぶ夜行バスが開業。

1960年代初頭~半ば頃からは、旧盆や年末に、貸切バスを利用した会員制「帰省バス」と銘打った大都市から地方都市への長距離バス(主に夜行)が運行されるようになる。当時は東名・名神以外の高速道路はまだ開通しておらず、ほとんどは一般国道での運行で所要時間もかかったが、帰省ピーク時でも座席が確保されるということもあって、好評を博していた。

また、一般道路経由の長距離バスも国道改良が更に進み、いわゆる「バス黄金時代」を迎えていたため多数の路線が開設され、その受け皿になる沿線バス事業者出資の合弁バス事業者も数多く設立された。

1970年代後半・冬の時代

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1970年代後半は、新幹線などの鉄道輸送網が所要時間などの面で優位に立ち、近距離ではモータリーゼーションによるマイカーへの転移が進み、その上2度にわたるオイルショックの影響も重なり、高速バス路線の運営が硬直化していったこともあって、本州の高速バスにとっては厳しい時代を迎える。

1980年代前半・現在の原型ができ、盛り返しの兆し

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東京 - 新潟線越後交通
九州号九州急行バス

1980年代に入ると、旧国鉄の運賃・料金値上げや夜行列車の削減・廃止が相次ぎ、さらにサービス水準も旧態依然のままであったため、鉄道輸送網が次第に競争力を下げてゆき、高速バスの運賃面での優位性が際立ってきた。また路線の運営面でもより合理的なシステムが生まれた。そのため次第に高速バス路線が増加の傾向を見せる様になった。

  • クローズドドアシステム(出発地周辺で乗車のみ、目的地周辺で降車のみ取り扱い、途中の経路地では乗降を行わない)導入により、大阪〜新見間(阪急バス)に久々の高速バス路線新設が行われた。
  • 中国自動車道では、他に日本交通全但バス国鉄中国地方自動車局(現・JRバス中国)で高速道への乗せ替えが積極的に行われた。
  • 1983年の大阪〜福岡間夜行高速バス「ムーンライト号」では発着地の事業者(阪急バス西日本鉄道)による共同運行方式及び運賃収入のプール精算制(均等配分)といった現在の高速バスの原型となる施策が始められた。
  • さらに東北新幹線接続の「ヨーデル号」、大阪〜三次間といった都市間昼行路線の新設も進んだ。
  • 特に1985年(昭和60年)に開業した「東京 - 新潟線」は、併走する上越新幹線等の乗客を奪うくらいの路線に成長し、高速バス開業ブームの火付け役の一つとなった。またこの時期は国鉄で夜行列車が削減されていた時代でもあったが、東京池袋〜新潟線に対抗して、企画ものの列車として全車指定の臨時快速『ムーンライト』を運転し、安売り切符を発売していった。これが現在の『ムーンライトえちご』である。
  • この頃から、国鉄は並行する鉄道路線への影響を理由として、危機感を抱くようになる。新宿〜駒ケ根飯田間の高速バス路線開設に関する「中央高速バス問題」は、国鉄が公式に路線開設反対を唱えたということで、それが最初に表面化した路線であった。
  • その一方、新宿〜駒ヶ根・飯田間の高速バスは、赤字続きだったバス会社が運行開始の翌年度に単年度黒字を計上することになり、高速バスがバス会社にとって重要な位置付けになることが明らかになってくる。
  • 九州地方では九州自動車道の延伸と共に西日本鉄道九州産業交通を先導に次々と高速バスを開設し、国鉄の特急列車を圧倒する。また長崎自動車道の延伸が進んだころに長崎方面への便を出していた九州急行バス九州号』も一般道経由から今の高速道路経由へと移行していった。
  • この時期までの座席は、昼行・夜行とも4列座席ばかりだった。

1980年代後半 - 1990年代前半・新規路線の増加

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この時代は、好景気や高速道路網の拡大、さらには国鉄の分割民営化も相まって、大都市のバス事業者と地方の事業者が相互乗り入れ(共同運行)する形で路線拡大が急速に進み、全国ネットを確立していった時代である。

  • 「ムーンライト号」で座席を一脚ずつの独立タイプとしてスペースにゆとりを持たせた初の独立3列シートを採用。これが東京発着の新規事業者に採用された。
高速バスブームの立役者「ノクターン」(京浜急行バス弘南バス
  • 1986年品川 - 弘前ノクターン号」では、それまでの夜行高速バスが大都市間を結んだ路線だったのに対し、初めて大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスとなった。「ノクターン号」の成功はバス業界全体にショックを与え、高速バス路線開設ブームへつながってゆく。
  • 首都圏地域 - 京阪神地域では大手私鉄系のバス会社が次々と参入していき、この時期から競合が激しくなったと言える。これに触発されて既設のJRバスドリーム号が4列シートから、3列独立シートへ移行していった。利用客も爆発的に伸び、各社もダブルデッカーも使われるようになっていった。
明け方にサービスエリアで休憩する各社の高速バス
  • この時期は「ノクターン号」・新宿 - 福岡「はかた号」など東京と北海道・南九州地方を除く全国各地とを結ぶ長距離夜行路線が新規開設路線の中心であった。その当時の珍しいルートとしては品川 - 徳島間の「エディ」(当時は京浜急行電鉄バスと徳島バス)で途中の神戸市内 - 淡路島間ではフェリーを使っていた。
  • その後、新宿 - 高山間・難波 - 東京ディズニーランド間など鉄道や飛行機が直行しない路線にも広がりを見せた。
  • 筑波地区では1980年代以降の筑波研究学園都市の発展に伴い、1987年(昭和62年)より東京 - つくばセンター間の高速バス(つくば号)が開設された。運行後は、乗り切れない乗客が発生するケースも多く、絶頂期には輸送力増強を目的に一回りサイズの大きいバス(メガライナー)の導入も行われた。しかし2005年(平成17年)のつくばエクスプレス (TX) の開業で、バス利用客の多くがTXに移行し、激しい競争にさらされている。
  • 大鳴門橋開通で徳島 - 津名港(現在の淡路市)に淡路交通徳島バス共同運行として淡路・徳島線が新設され、乗客は共同汽船に乗り換える形であった。
  • 中国地方(特に山陽地区)においては山陽自動車道の開通で広島市内発着(広島バスセンター広島駅前)から中国地方の各都市への路線が開設ラッシュとなり、特に福山 - 広島間の「ローズライナー」はJR西日本の新幹線在来線からシェアを奪っていった。
  • 九州地方では1980年代前半に引き続き路線の拡大が行われ、昼行路線にも3列シート(夜行用とは違い1-2列シート)が導入される路線が相次ぎ、3列シート化にグレードアップすることにより利用客を増やした路線もある(させぼ号など)。対するJR九州も新型車両の導入や割引切符の拡充などで高速バスに応戦した。ただ最近では利用客増で4列シートに戻した路線もある。

1990年代後半・淘汰の時代

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関西から淡路島四国への高速バスも盛況(写真は本四海峡バス)
アクアライン高速バス(写真は京浜急行バスの品川〜木更津線)

全国の高速バス路線網が一通り完成して「開設ブーム」が終わり、新規路線拡大が落ち着きを見せる。バブル崩壊後の不況とも相まって、利用者のニーズに合わない路線が淘汰されていった時代といえる。

  • 利用客が伸び悩み、採算の取れない路線の多くが廃止されていった。
  • 運行時間が5時間以上に及ぶ長距離昼行便は全体的に利用が伸びず、廃止されたケースが多かった[注 5]
  • 大都市と地方都市を結ぶ夜行高速バスにおいて、大都市側の事業者が運行から撤退するケースが相次いだ。東急バスの様に夜行高速バス自体から完全撤退した例もある[注 6]。これは大都市側では乗務員の人件費が高いことに加え、一般に大都市と地方都市を結ぶ高速バスは、地方都市の事業者の方が利用者も多く運行に熱心であることも影響しているといわれる。
  • 加えて、首都圏近畿圏ではディーゼル自動車の排気ガスによる大気汚染を規制する「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)」が施行されたことから、主力事業である路線バスで年式の古い車両(おおむね車齢が10年以上)の大量代替を迫られたことも、大都市圏事業者において高速バスの縮小・撤退や子会社移管が進んだ一因と考えられる。

明石海峡大橋・アクアラインの開通と高速バス

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  • 一方では明石海峡大橋1998年に開通したことで京阪神淡路島四国地方を結ぶ路線が次々と開設され、瀬戸大橋とは異なり、平行する鉄道路線が無いため現在に至るまで増便が繰り返されているほどの盛況である。なお、徳島〜津名港間の淡路・徳島線は津名港発着の高速船がすべて廃止されたことから利用客が激減し便数が特急10便・急行6便から特急1便・急行5便に減らされ、淡路交通単独運行に切り替えた。同時に淡路島・四国方面のフェリー航路は次々と廃止に追い込まれ[注 7]、フェリー会社の離職者対策として高速バス会社が設立された(本四海峡バスなど)。また本四海峡バスとJR系のバスでは淡路島、四国(徳島・高松)方面では「BLUEネットワーク」を形成し、さらにはJR神戸線舞子駅快速電車山陽電気鉄道本線舞子公園駅直特特急(ただし、舞子公園駅は明石海峡大橋開通から8.5年後の2006年(平成18年)10月より毎日停車)を停車させて、高速バスとの接続を改善するなど、連携の構築を計った。
  • 房総半島方面では東京湾アクアラインが開通し、東京都心部・羽田空港・川崎・横浜への所要時間が大幅に短縮された。このために品川駅、羽田空港、川崎駅から木更津方面のバスがフェリーの代替で新設された。明石海峡大橋と同じく通行料が高いため高速バスへの乗り継ぎ需要が大きく、東京湾アクアライン周辺では袖ケ浦バスターミナル木更津金田バスターミナル君津バスターミナルなど高速バス利用を前提としたパークアンドライドが推進されている。これにより、房総地区から羽田空港アクセス、東京駅品川駅への新幹線接続の利便が向上した。またこのルートでは通勤客の利用が多いことが特徴であり、2000年代に入って、高速バスの定期券が発売されるようになったり、深夜バス(運賃は2倍になる)の新設を行うなど通勤・通学客に特化したサービスを展開している。通行台数が少なく赤字が続くアクアラインであるが、高速バスによって東京湾東西方向の利便性は格段に向上した。

2000年代・新たな生き残りの模索

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西日本JRバス メガライナー

2001年2月の改正道路運送法施行により、バスの新規路線開設、さらにバス事業自体の免許制から許可制への移行など、規制緩和されたことから、貸切バス事業を中心とした新規参入、さらにこれを利用した会員制都市間ツアーバスの運行が活発に行われるようになり、高速バスは厳しい競争の時代を迎える。また過剰な設備を排し、高速バスの最大のメリットである低運賃を今までよりさらに追求していく傾向が出て来た。また、JRバスグループはその頃から、既に利用者が減少して不採算に陥っていた地方の一般路線を廃止・縮小し、利用が堅調な高速バス(特に大都市発着の路線)に特化させる傾向が強まった。

首都圏 - 京阪神圏での激しい競合

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  • JRバスグループは生き残りのため、従来は考え得なかった夜行便より運賃を下げ(8,610円→6,000円)、550 km以上を日中に長距離走行する東京・新宿〜大阪・京都間の「昼特急」を新設した。JRバスグループは乗り換えを億劫がる高齢層をターゲットに考えていたが、実際は学生など予算は抑えたいが時間は取れる客層にも受け、学生の長期休暇などの時期では予約が困難なほどの人気を博している。
  • この「昼特急」の人気は、長引く不況などによる乗客のニーズの変化で、不人気で廃止路線が多かった長距離昼行便の需要が高まって来たことの証左とも言え[注 8]、東京〜弘前間の「スカイターン号」のようにこれまで夜行便しかなかった路線に昼行便が運行開始された例もあったが(「スカイターン号」は、「昼特急」のように夜行便より運賃を下げている訳ではなく、夜行便と同一運賃で設定されたが、後に後発格安便の「青森上野号」に統合されている)、1990年代後半〜2000年代前半に昼行便を廃止した路線で見直されたところはほとんどなかった。
高速バスとツアーバスの競争が激化している(京急高速バス「ラメール号」(右)とツアーバス(左))
  • 東京(周辺)〜大阪(京阪神)間をはじめとする主要都市間では、主催旅行(ツアー)の形態を取った格安(東京〜大阪間で片道3,000円台から)夜行ツアーバス貸切バス)の設定が増加している。バスターミナルが利用できないため、周辺の駐車場等からの発着が多い。きっぷは当日購入できなかったり、取り消しや変更の制約が大きい場合が多い、集客状況によって経由地でバス乗換など、通常の路線バスと異なる面もあるが、価格の優位性から利用を伸ばしている。
    • これに対抗して、東京〜大阪間では1980年代前半以前に主流だった4列座席に戻し、さらに一部の路線では所要乗務員を減らすため運行時間を長く(途中で2時間以上の仮眠時間を設定すればワンマン運行可能)して運賃を下げた(東京〜大阪間で5,000円)「青春ドリーム号」「カジュアルツィンクル号」「フライングスニーカー大阪号」の夜行便が設定され、逆に座席や車内設備をデラックス化して運賃を上乗せした便の運行を始めたり、それぞれのグレードに女性専用便を設定するなど、多様なニーズに対応している。
    • 一方で、ツアーバスが台頭し始めた2005年頃から、高速路線バスの運行から撤退したり、路線を再編・廃止したりするケースが相次いでいる。
  • 行き先のニーズによって立ち寄る停留所を増やす傾向もある。東名高速道路経由便は東名江田東名向ヶ丘に、中央道経由便(主に新宿駅発着)は中央道日野に停車させ、乗客の利便性を図っている。一方で京阪神側では2010年7月のダイヤ改正で京都駅始終着便を廃止したり、神戸での発着地を三ノ宮駅のみに集約した上で本数を減便するなどで発着地の集約を行っている。

高速道路の延伸による地方部への展開

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渋谷・新宿ライナー浜松号(開設当初浜松新宿ハイウェイバス)京王バス東
しみずライナージェイアールバス関東
やきそばエクスプレス富士急静岡バス
名古屋ライナー甲府号ジェイアール東海バス
  • 1980年代後半より、鉄道では直行便がない、または廃止された区間を走る高速バスが急速に増えつつある。
  • 反対に、大都市内の道路渋滞を避け、かつ従来はバスに素通りされていた大都市郊外居住者層をターゲットとするため、敢えて都市圏の外縁部のベッドタウンを起終点とする高速バスも登場した。一例として、「あだたら号」(新越谷駅郡山駅間)や、ひのくに号のうち、熊本市ではなく隣接する菊陽町光の森営業所福岡市)に発着する便などが該当するが、頻繁にダイヤ改正を行うなど試行錯誤を繰り返し苦戦している現状である。
  • 南東北では、各都市と東京・大阪・名古屋などとの間で格安のツアーバスが参入する一方、一時期仙台市を中心とする東北地方内の都市間高速バス路線における新規参入事業者と既存運行会社との値引き競争が行われたことにより、陸上交通の再編が起きた。
  • 九州地区では福岡・北九州都市高速と九州自動車道等の高速道路が直結し、福岡発着路線の福岡側の定時性の確保と所要時間の短縮がなされるとともに、片道運賃ないしは往復乗車券回数乗車券をわかりやすい運賃に値下げする戦略が取られるようになった。例えば昭和自動車の「からつ号」「いまり号」ように既存事業者(西鉄バス)の撤退により大幅な増便や運賃回数券の値下げといった独自の拡大戦略が可能となり急成長した路線もある。
  • 四国地方(特に香川県徳島県)では、京阪神方面への高速バスの充実ぶりによって新たなる動きが見られる。高速バス利用者を対象に、バスターミナル付近の駐車場の駐車料金を24時間または48時間以内なら無料にするいわゆる「パークアンドライド」システムの採用が増えてきている。特に四国東部は公共交通機関が乏しく、自家用車の利用が主流になっていることを主眼にした施策とも言える。
  • 一方で老舗の名神ハイウェイバスは、モータリーゼーションの進捗に伴うマイカーへの転移や、並行する鉄道路線の輸送改善などによって[注 9]、岐阜・滋賀両県内にある途中停留所で乗降する利用客が減少したため、2002年に開業時から運行していた急行便を廃止し、途中の停留所を大幅に削減・集約して、中京圏 - 京阪神の都市間輸送に特化した。その傾向は、2008年新名神高速道路開通後はさらに顕著になっている。

ETC休日特別割引に対する懸念

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  • 2009年(平成21年)3月からのETC大幅割引によって[9] 普通車・軽自動車で高速道路を安価で移動することができるようになり、出発日・到着日共に土日・祝日となる便で普通車・軽自動車利用へのシフトによる高速バスの乗客減少が懸念されている。
    • また、ETC大幅割引によって高速道路上の普通車・軽自動車の交通量が増えるために渋滞が起こりやすく、かつ高速道路上にバスレーンが無いため[注 10]、高速バスの出発日・到着日共に土日・祝日となる便で渋滞に巻き込まれて定時運行が困難になることも懸念され、その懸念が的中して、鳴門・淡路エクスプレス号の廃止[10][11][12] や西鉄では高速バス12路線の減便[13] など廃止・減便が生じている路線がある。
    • また、高速バス利用減に伴い高速バスの収益によって過疎路線を補填してきた会社(岩手県北自動車信南交通等)において過疎路線の廃止に拍車がかかる事が懸念されている[14]
    • なお、今後はこの割引が観光バス・高速バスにも適用される予定(30 %割引)となっている[9][注 11]
    • なお2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災の影響で6月にETC休日割引、高速道路無料化の社会実験は取りやめになった。しかし東北地方では復興支援として高速道路無料措置[15] が行われており、依然として定時運行を難しくさせている。

2010年代・ツアーバス系との競合と座席の高級化

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  • 2010年代の初年度である2010年はこれまでと比較して近距離の都市間バスも設定されることが多くなった(例:厳密には2009年設定であるが京成バスグループのマイタウン・ダイレクトバスや、京阪バスダイレクトエクスプレス直Q京都号など)。また、一般路線バスを専門とする事業者の高速バス事業への参入(例:遠州鉄道e-LineR)など、更なる競争激化の一途を辿る。
  • 大都市では中心駅周辺の再開発に伴うバスターミナルの整備が進んでいる。福岡では2011年(平成23年)3月九州新幹線鹿児島ルートの全通開業に向けた博多駅再開発に伴い、博多駅交通センターのリニューアルが行われ更に博多バスターミナルと改称された。大阪では2011年5月に大阪駅北側のノースゲートビルディングが完成し、駅南側の桜橋口にあったJRバス系の高速バス乗り場が大阪駅JR高速バスターミナルとして同ビル1階に移転した。東京では、東京駅周辺の再開発事業により既に2007年に八重洲南口のJRハイウェイバスのりばが少々北側へ移動しているが、工事の状況によっては若干の乗り場変更や再移動の可能性もある。また、新宿では新宿駅南口地区基盤整備事業に伴い、今まで事業者毎に分散していた高速バス乗り場を一本化したバスタ新宿が2016年4月にオープンした。
  • 首都圏と京阪神を結ぶドリーム号はツアーバスとの競争に晒されながら好調を維持してきたが、更に競争力をつけるため、2010年7月よりプレミアムシートを装備した「プレミアムドリーム」を大増発する一方、その分通常の「ドリーム号」は減便となっている。プレミアム化は他社でも広がっており、ドリーム号の四国方面便(2009年から、JR四国バス運行便のみ)や「はかた号」でも2009年末ダブルデッカーに置換えと同時にプレミアムシートとエコノミーシートを導入した。また安さを求めるニーズがある廉価版は「青春エコドリーム号」に一本化する一方で運賃制度を多様化した。
    • 更に中国バスは座席は2列シート定員僅か14名の個室付きの「ドリームスリーパー」の運行を開始した。
    • プレミアムシートの導入は夜行便のみならず、首都圏発着の昼行便でも進んでいる。
  • 関西圏では2010年に第二京阪全通後、京阪間の短距離高速バスの拡充を行った。京阪バスダイレクトエクスプレス直Q京都号を皮切りに新規参入路線として大阪バス京都特急ニュースター号近鉄バスの八尾・京都特急線が運行開始となった。いずれも大阪東部と京都駅を直結する路線で鉄道では大阪市内経由で乗り継ぎが要する一方で高速道路ではほぼ直結できるという利便性を買っている。また同時に松井山手駅の近くに高速京田辺バスストップを新設し、南海バスの高速路線バスやドリーム号の客扱いも開始している。
  • 2012年になると従来のツアーバスとの競争に加え、格安航空会社(LCC)との競争も無視できなくなった。一部の路線では「キャンペーン運賃」と銘打って運賃を半額近くに値引く例もあるが[16]、一方で競争激化に耐えられず廃止される路線も出てきている[17]
  • 2013年8月には「ツアーバス」の形態による都市間バスの運行ができなくなり、乗合バスに一本化された(次項)。
    • また、新高速乗合バスとの一本化に伴い曜日別や便別など多様な運賃設定が可能になり、多くの従来からの高速乗合バスが幅運賃を採用した。例えば西武バス・越後交通・新潟交通が運行する「東京―新潟線」は2000年代まではどの日・どの便でも同一運賃だったが、2014年現在では東京―新潟間が6,200〜3,100円と同じ路線でありながら2倍の差がついている[18]
  • その後新高速乗合バスとの競争激化や更なるニーズの増加などの情勢をふまえ、「横浜イーライナー」や「ドリーム静岡・浜松号」など、比較的近距離においては4列シートの夜行便が新規に運行を開始したり3列シートから車両変更したりする例が現れている。
  • 2010年代後半よりバス運転士不足が社会問題化してきたが、高速バスにもその影響が出てきている。繁忙期の続行便を大幅に減らしたり[19]、路線の休廃止する[20] 事業者も出始めている。

ツアーバスとの一本化

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2010年以前から「ツアーバス」形態について各種の問題点が指摘され、ツアーバスのあり方が検討されてきたが、2012年に発生した関越自動車道高速バス居眠り運転事故を受けてツアーバスと高速路線バス(乗合バス)の一本化が行われることとなった。一本化後の制度は「新高速乗合バス」として、2013年7月31日夜から運用開始されている[21]

この過程で従来の乗合バス事業に対しても、運賃設定や管理の受委託などに関する規制緩和が行われ、既存事業者にもそれらの制度を活用する例が現れた。その一方で、ツアーバス事業者のうち新高速乗合バスに移行したものは3割程度にとどまっている[22]。旧ツアーバスの事業者については、新高速乗合バスへ移行後にさらに新規路線を運行開始する事業者もある一方、いったんは新高速乗合バスへ移行して運行開始したものの、その後に事業を廃止し、路線を休廃止したり他社に譲渡したりした事業者もある。

また、既存事業者と旧ツアーバス事業者の共同運行による新路線開設も進んでいる[23]

2020年代・新型コロナウイルス感染症と運転手不足の影響

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新型コロナウイルス感染症の影響

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  • 2020年に入り、日本国内でも新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による影響が高速バスにおいても現れた。
    • 2020年4月16日緊急事態宣言が全国に対して発令されたことで、大都市と地方都市を結ぶ路線を中心に多くの都市間高速バスが運休となった。
    • 運休となった路線の中には緊急事態宣言が解除された後も運行を再開することなく、そのまま休止・廃止となった路線もある。
      • 京浜急行バスは需要の回復が見込めないとして、2021年3月15日限りで長距離夜行バス事業から完全に撤退した[24]。「キャメル号」(日ノ丸自動車日本交通との共同運行)と「エディ号」(徳島バスとの共同運行)に至っては共同運行会社も運行継続を断念したため、路線廃止となった[25]
      • 北陸鉄道は1992年から運行していた「金沢 - 仙台線」(富山地方鉄道との共同運行。かつては宮城交通と「エトアール号」として共同運行。)を緊急事態宣言の解除を受けて一度は運行を再開するも、2021年4月1日より再び運休し、同年9月1日付けで路線廃止となった[26][27]
      • 西日本ジェイアールバスでもコロナ禍以降運休していた「北陸ドリーム四国号」を運行再開することなくそのまま2023年9月をもって廃止したり、需要がコロナ禍前に戻らないことで関西と北陸や広島を結ぶ「昼特急」を大幅に減便するなどしている。
    • 国土交通省の調査では高速バスも含めた乗合バスの2020年8月の輸送人員・運送収入は、コロナ流行前の2019年8月に対して約6〜7割減となっていることが明かされている[28]
    • こうした事態に対し、従業員を休業させることで国から支給される雇用調整助成金を約7割の事業者が活用しているとされている[28]
    • 一方で、貸切バス需要の激減による減収を補うために新たに都市間高速バス事業に参入する貸切バス事業者が現れている[29]

運転手不足の表面化と2024年問題

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    • 2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)上の位置付けが5類に移行され、行動制限が解除されたことで需要が回復しつつあるにもかかわらず、コロナ前と比較してバス運転士不足が更に深刻さを増し、休廃止される路線が相次いでいる[30]
    • 加えて、2024年4月1日には改正労働基準法による自動車運転業務における時間外労働の上限規制の猶予期間が終了することや、それに伴ってバス運転士の労働時間や勤務形態に対して厚生労働省が設定した「バス運転者の改善基準告示」も改正されることから、2023年以降、休廃止や減便される路線が相次いでいる。(いわゆる2024年問題
      • この背景には運転手不足によって現行のダイヤを維持するのが困難な状況の中、路線バスや自治体から委託を受けて運行するコミュニティバスなどの生活路線を確保しなければならないことから、運転手を捻出するために高速バス路線の減便や廃止を選択する事業者が増えている。
      • 廃止、減便される路線はコロナ禍を経て需要が減少した長距離夜行バスだけでなく、昼行便でしかも運行本数も多い路線についても「札幌ー函館線(高速はこだて号)」(北海道中央バス北都交通函館バス)などが減便、「長野ー松本線」(アルピコ交通)、「富山ー金沢線」(富山地方鉄道北鉄金沢バス)などが廃止されるなどしている。

現状

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座席

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  • 夜行バスは3列独立座席が主流になった。また、西日本地区では長距離を走るバスは昼行便でも3列独立座席が主流となる(例:京阪神 - 高知松山西日本JRバスJR四国バス〉、大阪神戸 - 鳥取米子 〈日本交通〉、九州地区の長距離路線)。一方、東日本地区では夜行バスでも比較的短い距離であれば4列シートのバスが運用に就くことがある。
  • 北海道における高速バス
    • 札幌発着の多くの路線が北海道中央バス単独の運行か、北海道中央バスが幹事会社となる他のバス会社との共同運行である。道内の東京バスグループ各社による路線も運行されている。
    • 札幌発着の夜行便もある4路線(高速はこだて号スターライト釧路号、ドリーミントオホーツク号、イーグルライナー)では、昼行便にも3列独立座席(一部車両、後部4列)の車両が使われている。また、夜行便は運行時間が夜間のみに限られるため、途中の乗客のための休憩は無い(乗務員休憩はある)。
西日本JRバス「プレミアムドリーム」
  • 特別シートの設置など
    • 他の座席より幅が広く座り心地の良い座席を数席程度設置し、通常の運賃に特別料金を足した金額を支払うことで利用できる特別シートを設置している路線がある。弘南バスの「ノクターン号」の『スーパーシート』(プラス3,870円)、JRバス関東の「上州ゆめぐり号」の『Gシート』(プラス500円)、西鉄の「はかた号」の『プレミアムシート』(プラス4,000円)など。JRバス関東・西日本JRバスの「プレミアムドリーム号」は1階が『プレミアムシート』(プラス1300円)・2階が『スーパーシート』(プラス700円)であり全席とも同一路線の他の便より高額となる。
      • 座席を幅広く座り心地の良いものにするだけでなく、座席の前後と通路に仕切りを設け、個室のようになる特別シートもある。海部観光の「マイフローラ」や、中国バスの「ドリームスリーパー」など。
    • 逆に、幅が狭く、通常の運賃より安い価格で利用できる座席を設置している路線もある。フェニックス号の『セレクトシート』など。
    • 中央高速バス伊那・飯田線では、4列座席の車両を使用し、通常の運賃に追加料金を支払うことで隣り合う2席を独占できるサービスを実施している [1]
  • シートベルト着用義務他
    • 一般の高速道路を走行するバスでは、乗客全員シートベルトの着用が義務となる[31] が、一定の要件を満たす場合には、急行バスなどで立ち席の乗車が認められることがある。この場合、シートベルトの装着は必ずしも義務ではない[32]

鉄道との競合

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  • 運賃が鉄道の普通運賃並みかそれ以下と安価なこと、国鉄が分割民営化前に中距離の昼行急行列車を軒並み特急に格上げさせ料金を上げたこと、さらに幹線から支線への直通列車や座席付き夜行列車を国鉄・JRが減便させたのも相まって、価格の特に安い旧ツアーバス系列の便を中心に女性や学生からの人気を獲得している。
  • 安価な都市間交通手段として以下の路線で人気がある。煩わしく、時間のかかる乗り換えが不要で、必ず着席できることから通勤用としての需要もある[33]
    • 東京都内(東京駅新宿駅) - 名古屋・京都・大阪・神戸市内や東京都内 - 仙台、大阪市内 - 金沢・岡山・広島・福岡などの昼行便(JR系会社 〈JRバス東北・JRバス関東・JR東海バス・西日本JRバス・中国JRバス・JR四国バス・JR九州バス〉 ・近鉄系 〈防長交通〉 の昼特急など)
    • 観光バスと同様の4列座席とし、定員を増やして運賃を下げた夜行便(JR系 〈JRバス関東・JR東海バス・西日本JRバス〉 の「青春ドリーム号」、京王・近鉄系 〈多摩バス近鉄バス〉 の「カジュアルツインクル号」、東武・近鉄系 〈東北急行バス・近鉄バス〉 の「フライングスニーカー号」)
アクアライン高速バス 川崎駅 - 木更津駅線(川崎鶴見臨港バス)

客貨混載

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休憩

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  • 長時間にわたり運行する高速バスでは、適宜、サービスエリアなどで乗務員の休憩時間が設けられる。厚生労働省では連続2時間程度の運行ごとに10分以上の休憩を設けることが提案されているほか、法令(旅客自動車運送事業運輸規則)により最低でも連続運転で4時間ごとに30分の休憩、実車距離500km超の運行については1時間以上(1回20分以上で分割可)の休憩を取るように定められている[42]。乗客が外に出ることが認められる休憩では、運転手から発車時刻が提示される。予定した時刻をすぎると外出した乗客が戻らなくとも発車することがある。この場合、乗車券は無効となり払戻し変更はできない[43]

行政処分の規定

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2000年代に行われたバス事業規制緩和と引き替えに、交通違反などの各種法令に違反した場合の行政処分の規定が新たに設定された。

違反した場合は道路運送法40条に基づき、状況に応じて事業者・営業所単位で違反点数(使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値)が付加され累計違反点数が一定以上になると、50点以上でバス事業の停止、80点以上で事業の許可取消処分が行われる。そのため、違反した事業者は国土交通大臣及び各運輸局長・運輸支局長・自動車検査登録事務所長の命令により、一定期間違反した事業者・営業所での事業拡大(路線の開設や参入)が禁止される(このことを服喪期間という。ただし地元自治体などからの要請があれば特例で路線開設を認める場合もある[注 13])。

違反点数の累積期間は原則3年間である。ただし、違反点数が付加されていない営業所において行政処分以前の2年間に違反行為がなく、かつ違反点数が付加された営業所において2年間違反行為がない場合は、行政処分から2年経過した時点で消滅する。なお事業者が分割・譲渡した場合は事業者・営業所単位の累積違反点数が承継される。

なお2004年(平成16年)8月1日に基準が改正され、事業拡大の禁止期間がそれまでの2年間から5点以下の処分で3か月、19点以下で6か月、20点以上や悪質違反で1年間に緩和されたが、車両停止の処分については厳格化され従来は使用停止台数と使用停止日数の積を10で割った数値が整数でない場合は端数を切り上げていたが、改正後は使用停止車両のうち1台の使用停止日数を延長して整数となるように変更された(端数調整により日数が延長されるのでより厳しくなっている)。2006年(平成18年)5月には、飲酒運転を放置した事業者に対しては、違反点数に関係なく事業停止の処分が下せるようにするといった法案が提出された。

乗車券

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座席定員制

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座席定員制を採る小湊鉄道のアクアライン高速バス

座席指定なしで発売される。この場合は事前予約はできないので、乗車時にバスターミナルの窓口で乗車券を購入するか、一般の路線バスの様に車内で直接運賃を支払うことになる。

先着順に乗車し、空いている席に自由に座ることができる。満席となった場合は補助席を利用することになる。しかし、法令により高速道路では立ちっぱなしの乗車はできないため、補助席も埋まると乗車できず、次発の便に回されてしまう。

近距離(100 km程度まで)の高速バスはこの方式を採用している路線が多い。

予約定員制

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予約定員制を採る小田急箱根高速バス

基本的には座席定員制と同じだが、事前に乗車する便を指定して予約することが原則である。

座席は指定せず、空いている席に自由に座ることができるが、予約していれば、その便の座席が1席分確保されているので満席で乗れない心配はない。予約せずに乗る場合は予約した乗客が優先されるため満席で乗れないことも有り得る。その場合も座席定員制と同様、補助席を利用する。補助席も埋まると次発便へ回される。

座席指定制

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座席指定制を採る中央高速バス京王バス東

予約指定制ともいう。 事前予約を原則とし、発券時に乗車便・座席も指定するもの。ほぼすべての夜行路線や、私鉄・専業系バスの中・長距離路線の大半で、この方式が採用されている。乗車券はバスターミナルなどにあるバス事業者の直営窓口や旅行会社で事前に購入する。購入前に電話で予約ができる路線がほとんどである。

バスターミナルや旅行会社以外での購入方法

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次のようなシステムがある。

みどりの窓口
JRバスが運行に関わる中・長距離路線の中には全国のJR鉄道駅などに設置されている「みどりの窓口」で購入できる路線がある。なお、ジェイアール四国バスのようにみどりの窓口での発売を全廃したケースもある(2016年6月時点で、ジェイアールバス東北では、みどりの窓口での取扱いを明言しているのは、北東北 - 首都圏間を運行する2路線となっている。いずれも同社単独運行であり、電話予約も北東北側の出発地の担当支店ではなく、仙台駅東口の同社高速バス案内所で受け付けている)。
インターネット予約システム
インターネットの普及に伴い、予約用ウェブサイトで空席の照会・予約を受け付けるサービスが1990年代末から始まり、多くの事業者に普及している。ウェブサイトにより空席照会・予約に登録を要するものと登録不要のものがある。予約後にバス事業者の窓口、または次に述べる主要コンビニエンスストアに設置されている多機能端末機(マルチメディアステーション)で申込券を発行してレジで運賃を支払い、乗車券の発券を受ける。また、予約時に予約サイト上でクレジットカードにより支払い、乗車券をプリンターで印刷したり、乗車券の内容を携帯電話の画面に表示させることができる場合もある。
マルチメディアステーション
上記のように、コンビニエンスストアに備え付けられているマルチメディアステーションで乗車券を予約・購入し発券できる路線が多い。
この場合、マルチメディアステーションで路線や便を検索して直接予約する方法と、あらかじめ電話や前述のインターネットサイトで予約した便の乗車券を、マルチメディアステーションで予約番号などを入力の上で申込券を発券する方法がある(電話窓口や予約サイトでコンビニ払いを指定した場合)。取扱い路線はそれぞれ異なる。これらの場合、乗車券購入時にマルチメディアステーションで出力される申込券をレジへ持参し、運賃を支払った後、レジに接続されているプリンターから乗車券が発券される。
高速バス乗車券・乗車票・指定券一例
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旧ツアーバス転換路線
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ツアーバスから移行した新高速乗合バスの場合、上記とは異なる独自の予約サイトを持ち、窓口を持たず支払方法をクレジットカードまたはマルチメディアステーションでの支払いに限定し、乗車券を発券しない場合が多い。

また、新高速乗合バスでない高速乗合バスは乗車券を発券した際に座席も指定されるが、新高速乗合バスは運賃を支払ってもその時点では座席が指定されず、当日の乗車時に乗客の性別などを考慮して座席が設定され、各乗客に連絡される場合が多い。

高速バスの愛称

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日本の高速バスでは便または路線ごとで愛称を付けているケースが多い。理由については様々だが座席指定制の場合は発券、事務処理上の便宜として付けているほか路線・目的地の宣伝広告の意味で付けているケースがほとんどである。自由席の路線でも路線・目的地のアピールとして付けているケースがある。つけ方としては以下のようなつけ方がみられる。

  • 事業所毎…その事業所のすべての高速バス路線に付与する(阪神バスサラダエクスプレス」や、東京バスグループの「ニュースター号」など。また、ツアーバスから移行した事業者の大半がこれに該当する。)
  • 路線・系統毎…その路線・系統のすべての便に付与する(福岡〜鹿児島間「桜島号」など)
  • 便毎…その路線の特定の便に対して付与される(東名高速線「東名ライナー」など)

日本国外の高速バス

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台湾の高速バスの例(国光汽車客運 MCI MC9)
韓国の高速バスの例(錦湖高速 現代ユニバースエクスプレスノーブル)
中華人民共和国の高速バスの例(北京新国線客運 宇通ZK6115BEV5)

鉄道や航路の未発達な途上国を中心に利用されているが、先進国・準先進国でも、高速道路が発達した地域では、多くの路線が設定されていることが多い。フィリピンペルードイツ台湾韓国はそれぞれの例である(台湾のバス交通及び韓国のバスも参照)。特に鉄道・航空機との競争が激しい台湾では、路線によっては2列シート・按摩・おしぼり・個人テレビ・バスガール付きの豪華な都市間高速バスが24時間体制で運行されている。中華人民共和国でも都市部の急激な経済成長による出稼ぎ労働者の増加に伴って高速バスが発展しており中には車内に寝台を備え付けた「寝台バス」も運行されている。

一方アメリカでは長い歴史を持ち、アラスカを除く本土全土に路線網を有する「グレイハウンド」高速バスがあるが、鉄道のアムトラック同様以下の理由により都市間交通は高速な航空機(格安航空会社)の独擅場と化し、都市間バスは淘汰されつつある。

  • 国土が広いため、全土の移動手段としては時間が掛かり過ぎる(日本の高速バスの距離程度のサンフランシスコロサンゼルス間で8〜10時間程度、大陸横断では乗り継ぎで最短でも3日程度は要する)。
  • 1980年代以降の航空自由化により国内線航空運賃の値下げが行われた結果、航空機での移動が一般的になり、高速バスの客層が低所得者層や移民、バックパッカーらが主体になった。
  • バスターミナル(デポーまたはディーポ)周辺環境の悪化。特にロサンゼルスなどの都市部では夜間は危険な場所にあることが多いといわれる。そのため、白人を中心とする中間層が遠ざかるようになった。

ヨーロッパでは、ほとんどの国が陸続きになっていることから国際(EU域内)間の路線バスも多く、各国のバス会社が加盟するユーロラインズという協業組織がある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 例えば千葉交通では成田空港リムジンバスと都市間高速バスを高速バスと称している。
  2. ^ 盛岡宮古間の「106急行バス」や、熊本大分やまびこ号京阪京都交通京都京阪バス立命館大学(BKC)線など。
  3. ^ 新直轄方式で建設された区間など、サービスエリアやパーキングエリアが設置されていない区間が長距離にわたる経路を走行する場合、高速道路を降りてインターチェンジ付近の道の駅で休憩をとる場合もある。
  4. ^ バス路線によっては、乗務員交代や車両点検など乗客の休憩以外の目的でサービスエリアやパーキングエリアに停車する場合もある。
  5. ^ 当時の長距離昼行便は同じ区間を走行する夜行便と車両を共通運用していたケースが多く、ダイヤの設定が事業者側の都合で決められがちで、必ずしも利用者のニーズに合致していなかったということも一因であった。
  6. ^ 1998年9月の東急バスの夜行高速バス事業の撤退後、2016年4月より子会社の東急トランセが夜行高速バス事業に再参入した。
  7. ^ 四国への航空路線も伊丹徳島高松を結ぶ路線は、明石海峡大橋開通後は廃止に追い込まれている。
  8. ^ 昼特急の車両は夜行便との共通運用だが、事業者側の都合を優先したダイヤではなく、あくまでも昼行便として利用しやすい時間帯に設定されたことも成功した一因であった。
  9. ^ 特にJR西日本新快速の運転区間拡大・増発・スピードアップを図り、滋賀県 - 京阪神の交通は高速バスよりも鉄道(JR)が優位に立ったことも原因である。
  10. ^ 日本の高速道路にはバスレーンが無いが、海外では京釜高速道路の一部区間でバスレーンがある。
  11. ^ 高速バスは明言されていないが、割引対象車種には「一般乗合旅客自動車運送業を営むものが運行するバス」も含まれている。
  12. ^ ただし現在は郡山市内のルート変更と停留所の増加で以前ほど差はなくなっており、ラッシュ時では鉄道より遅くなる傾向にある。
  13. ^ 一例として、名鉄バスは分社前の名古屋鉄道時代だった2003年に無免許運転の隠蔽事件を起こし2年間の新規バス路線の開設禁止処分を受けたが、これを適用すると2005年1月開港の中部国際空港への系統や同年開催の愛知万博関連の輸送系統が運行できなくなる事態が考慮されたためこの特例が認められ、実際に地元自治体からの要請により新規系統の開設が認可されている。

出典

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  1. ^ 道路運送法施行規則 - e-gov 法令検索
  2. ^ 高速バス予約楽天トラベル)や バスサガス(スタイルサーチ)など(両サイトで扱っている路線は全てツアーバスであった。「新高速乗合バス制度」のため現在はツアーバスは存在しない)。
  3. ^ バス車内用USB充電器「すまぽうと」を開発~観光バスに乗りながら、スマートフォンが充電できる~”. レシップ株式会社 (2016年1月6日). 2016年9月23日閲覧。
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  11. ^ 高速バス廃止相次ぐ 「上限千円」が影響朝日新聞 2010年1月16日
  12. ^ 鳴門-阪神線が廃止 高速バス、他社も路線削減の動き(徳島新聞 2010年1月22日
  13. ^ 福岡空港―佐賀、3月から減便 西鉄高速バス佐賀新聞 2009年7月31日
  14. ^ 高速料金「上限1000円」 地方にもたらした意外な弊害 J-CASTニュース 2009年9月29日
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関連項目

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外部リンク

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