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「ファイナルファンタジー」の版間の差分

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2006年3月7日 (火) 20:52時点における版

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ファイナルファンタジー
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ(FC)
MSX
ワンダースワン(WS)
プレイステーション(PS)
iアプリ(i)
ゲームボーイアドバンス(GBA)
EZアプリ (BREW)(EZ)
開発元 スクウェア
MSX:マイクロキャビン
発売元 スクウェア
MSX:マイクロキャビン
人数 1人
メディア FC:2Mb+64KRAMカセット
発売日 FC:1987年12月18日
MSX:1989年
FC(I・II):1994年2月27日
WS:2000年12月9日
PS:2002年10月31日
i:2004年3月1日
GBA:2004年7月29日
EZ:2004年8月19日
売上本数 FC:約52万本
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ファイナルファンタジー』(Final Fantasy 、通称 ファイナルファンタジーI(-ワン)、略称 FFIFF1)は1987年12月18日スクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータゲームソフト

ジャンル種別はRPGファイナルファンタジーシリーズの第1作。販売本数約52万本。

概要

正式なタイトルは単に「ファイナルファンタジー」であるが、シリーズの人気が高まるにつれリメイクを重ねることとなり、その際に既に慣例的に呼ばれていた「I」の呼称が準正式的に付けられている。この名称は後に発売されたファミリーコンピュータ版およびプレイステーション版『ファイナルファンタジーI・II』とゲームボーイアドバンス版『ファイナルファンタジーI・IIアドバンス』で部分的に現れる。しかし、あくまでこの作品単体の正式名称は「ファイナルファンタジー」であり、これはゲームのタイトル画面で確認することができる。(本項目内「製品バリエーション」にて後述)

ちなみにタイトルロゴは「光の戦士」。キャラクターデザインを天野喜孝が受け持つ。

製品バリエーション

本作は移植・リメイクなどにより、次のようなバリエーションを持つ。

ゲームの特徴

ファイナルファンタジーシリーズはドラゴンクエストシリーズに比べ、グラフィック面を特に強化しているところが特長として見受けられる。ファミリーコンピュータ向けに製作された第一作目である本作より既にその傾向が見られる。

内容は、現代からすると確かに荒削りで乱雑な面が目立つが、当時としては大変素晴らしい完成度を持っており、開発者の熱意が感じられる。その証拠に高いグラフィック性だけでなく、第1作目にして既に「ジョブの概念」「クラスチェンジシステム」「サイドビューの戦闘画面」「攻撃回数の概念」など、当時の家庭用RPGとしては珍しい要素が取り入れられており、それは世界観も含め、後のシリーズの基礎を築いた。

また『II』以降のFFには見られない、独特な台詞があり、例えばアイテムの説明文などがユニークで愛嬌のある文章になっている。

ゲームスタート直後にはオープニングは流れず、ワールドマップ上にいきなり主人公たちが立っており、序盤のイベントを終えるとできる新たな道を行くときに初めてオープニングが流されるという、変則的な構成が試みられている。

ゲーム自体の難易度は他のシリーズ作品に比べると若干難しい。攻撃回数の概念により、特に序盤では攻撃をした際に概して回避され易く、さらにそのダメージ量の値が幅の大きいランダムな数値である為、攻撃に苦心しやすい。傷を回復する際も回復量がダメージ量と同様にランダム数値の幅が大きいため、少量しか傷が癒えなかったりすることもある。更に後のシリーズと比べて圧倒的に回復手段が乏しい。また、特殊な能力を有したモンスターもおり、即死攻撃や全体攻撃などが、かなり手こずる要因を作っている。

システム

本作は終始4人パーティであるが、FFシリーズでは、移動中に画面に表示されるプレイヤーキャラクターは先頭の1人だけである。

移動中におけるアイテム・魔法の使用やステータスの確認などは、メニュー画面と呼ばれるサブ画面を開いて行う。また、町やダンジョンなどでは、決定ボタンを1回押すだけで目の前の人との会話をしたり、物を調べたりすることができる。

パーティ

プレイヤーはゲームスタート時、4人の光の戦士を「戦士」「シーフ」「モンク」「赤魔術士」「白魔術士」「黒魔術士」の6種のジョブから選んで編成する。メンバーの名前はプレイヤーが自由に付けることができる。

ジョブは一度決定すると変更はできないが、イベントにより上級ジョブに「クラスチェンジ」ができる。クラスチェンジ後は、それまで扱うことのできなかった武器や魔法などが扱えるようになる。

また、本作では隊列の概念があり、前にいるキャラクターほど敵に狙われやすくなっている。

戦闘システム

戦闘は、当時のRPGで主流となっていた「ターン制」となっている。ターン開始前にキャラクター全員の行動をコマンド入力により指示し、コマンド入力が終わるとターンが始まるというシステムである。敵を全滅させるか、あるいは敵から逃げることに成功すると戦闘が終了する。敵を全滅させた場合は経験値とギル(所持金)を入手できる。また、主人公たち4人全員が死亡あるいは石化状態になるとゲームオーバーとなり、前回セーブを行った場面からやり直さなければならない。

戦闘画面は、画面右側に主人公たち4人が縦に並び、画面左側に敵モンスターのグラフィックが表示されるサイドビュー方式。主人公たちが行動するときはキャラクターが実際に剣を振ったりする動作が見られ、HPが少なくなったりステータス異常に陥ったりするとキャラクターが座り込むようになっている。このように、「戦闘時に自分たちのキャラクターが画面に映ってアニメーションする」RPGは、ドラゴンクエストのような「敵モンスターだけが画面に表示される」方式が主流であった当時としては珍しかった。また、キャラクターやモンスターの行動時の文字表現は「○○のこうげき」「○○は××をとなえた」のような文章を使わず、行動したキャラクターと相手の名前、魔法や特殊攻撃などの名前、攻撃回数、ダメージポイントがそれぞれ小さなウィンドウ内に表示されるだけである。このようなことから、本シリーズは第1作目から既にビジュアル重視の傾向にあることがうかがえ、さらに後の作品になるにつれ、文字によるキャラクターの行動の説明は次第に少なくなっていくこととなる。

魔法

黒魔術士、白魔術士、赤魔術士などは魔法を使用することができるが、本作では魔法はレベルアップによって覚えるのではなく、町の中にある「魔法屋」(黒魔法屋・白魔法屋)で購入することによって覚えるシステムである。購入するときに覚えさせるキャラクターを決める方式であり、購入するとその時点からその魔法が使えることになる。

魔法は1~8までのレベル別に別れており、各レベルごとに白魔法・黒魔法それぞれ4つが存在する。ただし1キャラクターが覚えられる魔法数の限度は1つのレベルにつき3つまで。また、魔法の使用回数は魔法のレベルごとに決められており、キャラクターのレベルが上がるほど、魔法の使用回数も増えていく(本作における「MP」とはこの「使用回数」のことを指し、宿屋に泊まることによりすべて回復する)。

乗り物

本作に登場する乗り物は3種類。なお、船や飛空船に乗っているときは、それぞれ波の音、プロペラの音が効果音として鳴るようになっている。

  • - 海の上を移動することができる。移動スピードは徒歩の2倍。なお、本作では上陸できる場所は「港」に限られるが、カヌーを持っていれば川の河口に船を止めてそこからカヌーに乗り換えることができる。
  • カヌー - 川や湖の上を進むことができる。これを持っていれば、川・湖に入ったときに自動的にカヌーに乗ることができる。
  • 飛空艇 - 船にプロペラがついたもので、どんな地形の上でも空を飛んで移動することができる。移動スピードは徒歩の4倍で、飛行中はモンスターとのエンカウントが発生しない。着陸できるのは平地のみ。(シリーズではおなじみの飛空船の開発者シドが初めて語られているが、ある1人の村人の台詞でのみの登場だったため実際には登場せず、IIで初登場とも言える)

セーブ

FFシリーズでは第1作目である本作からバッテリーバックアップが採用されている。ただし、ファミコン版では、セーブファイルが1本のカセットにつき1つしかないのが欠点である。だが、当時のRPGは、ドラゴンクエストの「ふっかつのじゅもん」等に代表されるパスワード式(ゲームをやめるときパスワードをメモして、再開時にそのパスワードを入力する方式)が多かったため、セーブ機能があるだけでも画期的と言えた。

本作では、町の「宿屋」に泊まるか、あるいはワールドマップ上で「テント」「コテージ」などの宿泊用アイテムを使用することによってセーブするシステムである。

リメイク版での追加要素

ジョブ

矢印の右側に記したジョブは、クラスチェンジ後のジョブ名称である。

戦士→ナイト
武器を使った戦いを専門とするジョブ。クラスチェンジ後は一部の白魔法を習得する。
シーフ→忍者
すばやさが高く、戦闘での「逃げる」成功率が高い。クラスチェンジ後は一部の黒魔法を習得する。
モンク→スーパーモンク
素手での戦いを得意とするジョブ。
赤魔術士→赤魔道士
ある程度の白・黒魔法を使うことができ、武器攻撃もこなすバランスのとれたジョブ。
白魔術士→白魔道士
白魔法(主に回復魔法など)を使用できるジョブ。
黒魔術士→黒魔道士
黒魔法(主に攻撃魔法など)を使用できるジョブ。

注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


登場人物

光の戦士
プレイヤーキャラ。コーネリアに突如として現れた謎の4人。それぞれがクリスタルを持っている。
セーラ
コーネリア王女で今作のヒロイン的存在(と言っても、殆ど最初しか出番はないが)。ガーランドに誘拐される。
コーネリア王
古来から伝わる予言を信じて、セーラ救出を光の戦士たちに依頼する。妃はジェーン王妃。
ガーランド
コーネリアのナイトであったが、セーラを誘拐、財宝を盗んでカオス神殿に潜む。
マトーヤ
少し偏屈な魔女。大事な水晶を盗まれて困っている。言葉を話すホウキと暮らしている。
アストス
ダークエルフの王。エルフの王子に呪いをかけた。
バハムート
ドラゴンの王。光の戦士たちに称号を与えるべく、試練を課す。
4人のカオス
土のリッチ、火のマリリス、水のクラーケン、風のティアマット。

世界観

ゲームの世界観の中で、世界を支える根本にあるのは火、水、土、風の4つのクリスタルである。物語は、クリスタルの輝きが失われ、世界が滅亡へと進むところから始まる。

プレイヤー(光の戦士)の目的はクリスタルの輝きを取り戻し、世界を救うことである。その目的を達するまでの過程で、この世界の真実を知ることになる。

地名

  • コーネリア王国…二大国家の1つの国。森と海に囲まれた美しい町で、人々は"夢の都"と呼ぶ。
  • 港町プラボカ…アルディ内海に面した港町。海賊に占領されている。
  • エルフの国…二大国家の1つでエルフという種族の国。王子が5年間も眠り続けている。
  • メルモンド…西の大陸にある町。カオスの影響で大地が腐り、荒廃している。
  • クレセントレイク…三日月形の湖がある自然に囲まれた町。予言者ルカーンはここを目指したという。
  • オンラク…"情報の宝庫"と呼ばれる北西の大陸にある町。かつて水の力で栄えていた。
  • ガイア…北の大陸にある山に囲まれた大地の孤島。通称"鷹の目"。妖精の棲む泉があるといわれている。
  • ルフェイン人の町…北の大陸にある、かつて存在した高度文明の民の町。通称"鷹の翼"。

制作秘話

制作の経緯

スクウェアがRPGの製作に参入したのは、スタッフが当時発売されたばかりの『ドラゴンクエスト』をプレイし、「自分達もこんなゲームを作りたい」と思った事が始まりである。

本作の発売以前のスクウェアは、ソフト作りがあまりうまくいかなかったらしく、このゲームを作る時に「これが最後のチャンス」と思い、最後の夢を託す思いでこのゲームは作られた。この時の「最後の夢」を託して作った事から、このゲームには『ファイナルファンタジー』という名前が付けられた。また後にスタッフは「あんなに一生懸命ゲームを作ったのは初めてだった」と語っており、完成間近になった時にこのゲームが世の中に出られないのを惜しく感じ、必死に宣伝活動を行ったという。

本作は売上本数で『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に圧倒的な差をつけられたため、スタッフはもうゲーム製作をやめる事を考えていた。しかし、当時の社長は52万本という数字に十分な手ごたえを感じ、次回作の製作を命じた。その結果大ヒットとなり、その時の「最後の夢」が現在まで続いている状態になっている。

天野喜孝のデザイン

キャラクターデザインを天野喜孝が担当する事になったきっかけは、坂口博信率いるFF開発スタッフの中に熱烈な天野喜孝ファンがいたこと。どうしても天野のイラストを使いたかったそのスタッフがダメもとで天野に頼んでみた所、当初は断られるか、少なくともちょっと考えさせてくれ、と言われると思ったそうだが、意外にも天野は即答、「面白いからやりましょう」。さらに天野はスタッフに対し、「カクカクの画で描かないといけないんですか?」と質問し、実際にドット絵のようなカクカクの画を描いたそうである。スタッフは「普通に描いていただいていいんですよ」と言ったというエピソードがある。

その後、天野は主要キャラクターデザイン、イメージデザインの他にもモンスターデザインも手掛けることになり、FFシリーズに登場するモンスターは彼のデザインによる物が非常に多い。また『III』以降は召喚獣のデザインも手掛けている。ちなみに開発スタッフが天野喜孝の絵を見て刺激を受け、ゲーム内容を変更することもあるそうで、例えば天野の描いた「タコのようなものの絵」を見てインスピレーションを受けた開発スタッフがそのイメージのままに創り出したのが『VI』の名脇役「オルトロス」であるという。

サウンド

音楽は植松伸夫が担当しているが、植松がこのゲームの音楽を作るにあたって、一番最初にできた曲は、最初のイベントをクリアした後に橋を渡った時に流れる「オープニング・テーマ」という曲であり、後にファイナルファンタジーのメインテーマとなる曲である。植松はこの曲が自分にとってFFのイメージメロディーであると語っており、自分が作ったFFの曲の中で、この曲が一番の傑作だと語っている。この曲自体は意外にも実に簡単に作曲されたそうである。

パーティ制の導入

『ドラゴンクエスト』のパーティーが一人だったため、FFは多人数を売りにしようと考えていた。しかし製作中に『ドラゴンクエストII』が多人数パーティーで発売され、悔しい思いをした(『ドラゴンクエスト』のプレイヤーキャラクターが勇者一人であるのは、当時RPG自体がまだ浸透していなかったため、RPGの入門的なものとして一人にした)。

その他の情報

  • 本作は、物語後半になると、キャラクターがクラスチェンジ(パワーアップ)し、ステータスや戦闘能力が更にアップし、キャラクターのグラフィックも変わる。しかしファミコン版では、このグラフィックが、キャラクターの頭身が変わってしまい、まるで子供から大人に変身したかのような全くの別人の姿になってしまい、当時このグラフィックはあまり評判が良くなかったため、リメイク版では変わっている。
  • 本作は戦闘シーンの音楽が1曲しか存在せず、「ボス戦の曲」というものが存在しない。更に「ラストボス戦の曲」というものも存在しないため、ラストボス戦も普通の戦闘の曲で戦う事になる。しかし、後のFF作品では、戦闘のBGMはバリエーションに富んだものとなっていき、ボス戦の曲だけでも数曲が作られるという作品も登場する。
  • 物語の途中に登場する村には、「リンクのはか」というものが登場する。『ゼルダの伝説』の主人公リンクとどのような関連があるかは不明である。(ちなみに『ゼルダ~』の続編『リンクの冒険』では『ドラゴンクエスト』の勇者ロトの墓が登場している)