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'''吉田 豊'''（よしだ ゆたか）は[[日本中央競馬会]] (JRA) の[[騎手]]。
'''吉田 豊'''（よしだ ゆたか、[[1975年]][[4月19日]]<ref name="yushun9404">『優駿』1994年4月号、p.74</ref> - ）は[[日本中央競馬会]] (JRA) の[[騎手]]。


1994年デビュー。翌1995年より頭角を現し、1996年から1999年にかけては[[メジロドーベル]]でGI競走5勝を挙げた。ほか[[マイネルラヴ]]による[[スプリンターズステークス]]（1998年）、[[スマイルトゥモロー]]による[[優駿牝馬|優駿牝馬（オークス）]]（2002年）、[[ブルーメンブラット]]による[[マイルチャンピオンシップ]]（2007年）優勝などの実績がある。2013年には史上26人目のJRA通算1000勝を達成している。同じくJRA騎手の[[吉田隼人]]は弟<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20081003033418/http://www.jra.go.jp/school/schedule/h16/02_20graduation.html |title=騎手課程第20期生 卒業式 |author= |publisher=日本中央競馬会 |accessdate=2015年6月18日 |date=}}</ref>。
== 関連項目 ==

* [[騎手一覧]]
== 経歴 ==
* [[中央競馬通算1000勝以上の騎手・調教師一覧]]
=== 生い立ち ===
茨城県出身<ref name="yushun9711" />。実家の近郊には後に自身も所属する関東人馬の拠点・[[美浦トレーニングセンター]]があったが、その存在も含めて競馬のことはほとんど知らずに育った<ref name="lab">{{Cite web |url=http://keibalab.jp/column/interview/23/ |title=吉田豊騎手インタビュー |author= |publisher=競馬ラボ |accessdate=2015年6月18日 |date=2009-9-6}}</ref>。中学生時代には[[器械体操]]を経験し、高校受験を控えて親から騎手という職業があることを聞かされ、小柄だったこともあり[[競馬学校]]騎手課程の受験を決意<ref name="lab" />。また、競馬漫画『[[風のシルフィード]]』に影響されたともいう<ref name="yushun9405">『優駿』1994年5月号、p.99</ref>。全く乗馬経験がないながら合格<ref name="yushun9405" />。入学当初は乗馬未経験者へのカリキュラムを受けていたが、半年ほどで同期生の成績上位となり、やがてトップに立つようになる<ref name="yushun9405" />。とくに反応の鈍い馬を走らせることに長けた生徒であった<ref name="yushun9405" />。競馬学校卒業後は美浦トレーニングセンター・[[大久保洋吉]]厩舎に所属。大久保は早くから吉田に注目していたという<ref name="yushun9711">『優駿』1997年7月号、pp.30-33</ref>。なお、同期生には[[幸英明]]、[[渡辺薫彦]]、[[小林久晃]]、[[植野貴也]]、[[高山太郎]]などがいる<ref name="yushun9404" />。

=== 騎手時代 ===
1994年3月にデビュー。大久保厩舎所属馬のほとんどを任されながら初年度は6勝に終わったが、2年目は28勝と成績を上げ、関東のホープとして注目される<ref name="yushun9711" />。また穴馬をしばしば上位に食い込ませて関係者からの信頼を厚くし、有力馬への騎乗も増やしていった<ref>『優駿』1996年10月号、p.35</ref>。1996年12月、大久保厩舎の[[メジロドーベル]]で阪神3歳牝馬ステークスを制し、重賞初勝利をGI競走で果たす。翌1997年は同馬と牝馬三冠戦線の中心を担い、優駿牝馬（オークス）と秋華賞に優勝。83勝を挙げ、全国6位（関東4位）の位置につけた<ref>『優駿』1998年2月号、p.156</ref>。このころ、関西にトップジョッキーの[[武豊]]がいたことに準え、「東の豊」とも称された<ref>『優駿』1999年1月号、pp.88-89</ref>。翌1998年にはメジロドーベルでエリザベス女王杯を制したほか、スプリンターズステークスでは[[マイネルラヴ]]に騎乗し、当年日本調教馬としてはじめてヨーロッパのG1競走を制した[[シーキングザパール]]、そして単勝オッズ1.1倍の1番人気に支持されていた当年の年度代表馬・[[タイキシャトル]]を退けて優勝している<ref>『優駿』1999年2月号、p.16</ref>。

1999年8月、美浦トレーニングセンター内の独身寮で[[後藤浩輝]]から[[木刀]]で殴打されるなどの暴行を受ける。後藤は4カ月の騎乗停止処分となったが、この一件は吉田の態度や言動に起因したものだともされ、吉田への批判もあった<ref>『競馬名馬＆名勝負年鑑・1999～2000』（宝島社、2000年）pp.30-37</ref>。のち11月にはメジロドーベルでエリザベス女王杯を連覇。競走後には感泣した姿を見せ、インタビューではその理由について「今年はいろいろとあったから」と語った<ref>『優駿』1999年12月号、p.33</ref>。メジロドーベルは牝馬最多（当時）のGI5勝の実績と共に引退。吉田は後に「デビュー間もない僕を乗せ続けてくれたのは、先生のおかげ以外の何物でもない」と大久保への感謝を述べた<ref name="yushun0311">『優駿』2003年11月号、pp.44-47</ref>。また大久保も「豊にとってデビュー3年目にメジロドーベルと出会えたのは大きかったと思いますし、幸せだったと思いますよ。この馬で競馬を覚えたというのはあると思います。大きなレースで勝つためにはどのような競馬をするのか、そういう意味では一番影響が大きかったのではないでしょうか」と述べている<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20150317051657/http://keibalab.jp/column/interview/1363/ |title=ドーベルらを輩出 そして受け継がれる師弟関係・大久保洋師 |author= |publisher=競馬ラボ |accessdate=2015年6月18日 |date=2015-2-22}}</ref>。

2002年には[[スマイルトゥモロー]]でオークス2勝目を挙げる。2003年6月、落馬事故で肋骨4本を折る重傷を負ったが1カ月で復帰し、直後の8月からはフランスで1カ月間の滞在騎乗を行った<ref name="yushun0311" />。翌2004年末には[[ショウナンパントル]]で[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]優勝。2008年には[[ブルーメンブラット]]で[[マイルチャンピオンシップ]]を制した。このときは管理調教師の[[石坂正]]から「理想通りの乗り方」と称えられた<ref>『優駿』2009年1月号、p.53</ref>。

デビュー20年目を迎えた2013年4月、史上26人目のJRA通算1000勝を達成。「所属の大久保厩舎の馬で達成したかったのですが、（同厩舎で）一緒に仕事をしてきた高橋文雅先生の馬で勝てて良かった」と語った<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20130422064524/http://daily.co.jp/horse/2013/04/22/0005919832.shtml |title=吉田豊1000勝“縁”が呼んだ記念星 |author= |publisher=デイリースポーツonline |accessdate=2015年6月18日 |date=2013-4-22}}</ref>。2015年2月には大久保が70歳定年のため引退<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20150619133931/http://www.hochi.co.jp/horserace/20150228-OHT1T50234.html |title=通算878勝・大久保洋師、調教師生活に幕「いい時代にやらせてもらえた」 |author= |publisher=スポーツ報知 |accessdate=2015年6月19日 |date=2015-3-1}}</ref>。これに伴い吉田は3月よりフリーとなる<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20150619134411/http://race.sanspo.com/keiba/news/20150228/etc15022811380008-n1.html |title=【所属変更】吉田豊騎手はフリーに |author= |publisher=SANSPO.com |accessdate=2015年6月19日 |date=2015-2-28}}</ref>。

== 成績 ==
{| class="wikitable"
!年!!開催!!勝利!!出走!!勝率!!重賞勝利騎乗馬（勝利競走）
|-
||1994年||中央||6勝||269回||.022||
|-
|rowspan="4"|1995年||中央||28勝||438回||.064||
|-
|地方||1勝||4回||.250||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||29勝||442回||.066||
|-
|rowspan="4"|1996年||中央||51勝||536回||.095||[[メジロドーベル]]（'''阪神3歳牝馬ステークス'''）
|-
|地方||0勝||11回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||51勝||547回||.093||
|-
|rowspan="4"|1997年||中央||83勝||647回||.128||トキオエクセレント（[[青葉賞]]）<br />メジロドーベル（'''優駿牝馬'''、[[オールカマー]]、'''秋華賞'''）
|-
|地方||2勝||17回||.118||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||85勝||664回||.128||
|-
|rowspan="4"|1998年||中央||62勝||619回||.100||[[サイレントハンター]]（[[新潟大賞典]]）<br />メジロドーベル（[[府中牝馬ステークス]]、'''エリザベス女王杯'''）<br />[[マイネルラヴ]]（'''スプリンターズステークス'''）
|-
|地方||2勝||16回||.125||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||64勝||635回||.101||
|-
|rowspan="4"|1999年||中央||58勝||576回||.101||サイレントハンター（[[中山金杯]]、[[大阪杯]]）<br />メジロドーベル（'''エリザベス女王杯'''）
|-
|地方||0勝||9回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||58勝||585回||.099||
|-
|rowspan="4"|2000年||中央||55勝||538回||.102||
|-
|地方||0勝||9回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||55勝||547回||.101||
|-
|rowspan="4"|2001年||中央||42勝||586回||.072||サイレントハンター（新潟大賞典）<br />[[メジロダーリング]]（[[アイビスサマーダッシュ]]）<br />[[クリスザブレイヴ]]（[[富士ステークス]]）
|-
|地方||1勝||16回||.068||[[リージェントブラフ]]（[[ダイオライト記念]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/200143031410/ |title=第46回ダイオライト記念（G2） |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||0勝||1回||.000||
|-
|計||43勝||603回||.071||
|-
|rowspan="4"|2002年||中央||59勝||640回||.092||[[スマイルトゥモロー]]（'''優駿牝馬'''）
|-
|地方||2勝||18回||.111||リージェントブラフ（'''[[川崎記念]]'''<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/200245013010/ |title=第51回川崎記念(G1) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||61勝||658回||.093||
|-
|rowspan="4"|2003年||中央||42勝||524回||.080||
|-
|地方||1勝||17回||.059||リージェントブラフ（[[名古屋グランプリ]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/200348122310/ |title=第3回名古屋グランプリ(G2) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||43勝||541回||.079||
|-
|rowspan="4"|2004年||中央||56勝||606回||.092||[[ショウナンパントル]]（'''阪神ジュベナイルフィリーズ'''）
|-
|地方||1勝||6回||.167||
|-
|国外||0勝||1回||.000||
|-
|計||57勝||613回||.093||
|-
|rowspan="4"|2005年||中央||50勝||640回||.078||メジロマントル（[[鳴尾記念]]）
|-
|地方||0勝||7回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||50勝||647回||.077||
|-
|rowspan="4"|2006年||中央||57勝||759回||.075||
|-
|地方||0勝||9回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||57勝||768回||.074||
|-
|rowspan="4"|2007年||中央||49勝||717回||.068||[[ユメノシルシ]]（新潟記念）<br />エイシンロンバード（[[武蔵野ステークス]]）<br />マキハタサイボーグ（[[ステイヤーズステークス]]）
|-
|地方||1勝||8回||.125||シャーベットトーン（[[マーキュリーカップ]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/200735071610/ |title=第11回マーキュリーカップ(G3) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||50勝||725回||.069||
|-
|rowspan="4"|2008年||中央||64勝||794回||.081||タイセイアトム（[[ガーネットステークス]]）<br />[[ミヤビランベリ]]（七夕賞）<br />[[ブルーメンブラット]]（府中牝馬ステークス、'''マイルチャンピオンシップ'''）
|-
|地方||0勝||8回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||64勝||802回||.080||
|-
|rowspan="4"|2009年||中央||50勝||749回||.067||[[サンカルロ]]（[[ニュージーランドトロフィー]]）
|-
|地方||1勝||3回||.333||ニシノナースコール（[[エンプレス杯]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/200945022510/ |title=第55回エンプレス杯(G2) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||51勝||752回||.068||
|-
|rowspan="4"|2010年||中央||76勝||858回||.089||
|-
|地方||2勝||11回||.182||[[オーロマイスター]]（'''[[マイルチャンピオンシップ南部杯]]'''<ref>{{Cite web |url=http://www.jbis.or.jp/race/result/20101011/210/10/ |title=マイルChS南部杯（中央交流）|author= |publisher=JBISサーチ |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||78勝||869回||.090||
|-
|rowspan="4"|2011年||中央||50勝||749回||.067||サンカルロ（[[阪急杯]]、[[阪神カップ]]）
|-
|地方||3勝||13回||.231||シビルウォー（[[ブリーダーズゴールドカップ]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/201130081111/ |title=第23回ブリーダーズゴールド(G2) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>、[[白山大賞典]]<ref>{{Cite web |url=http://db.netkeiba.com/race/201146100410/ |title=第31回白山大賞典(G3) |author= |publisher=netkeiba.com |accessdate=2015年6月19日 |date=}}</ref>）
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||53勝||762回||.070||
|-
|rowspan="4"|2012年||中央||48勝||781回||.061||ケイアイドウソジン（[[ダイヤモンドステークス]]）<br />サンカルロ（阪神カップ）
|-
|地方||0勝||5回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||48勝||786回||.061||
|-
|rowspan="4"|2013年||中央||48勝||736回||.065||
|-
|地方||0勝||1回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||48勝||737回||.065||
|-
|rowspan="4"|2014年||中央||42勝||734回||.057||ケイアイエレガント（[[福島牝馬ステークス]]）<br />[[ショウナンラグーン]]（青葉賞）
|-
|地方||0勝||2回||.000||
|-
|国外||－||－||－||
|-
|計||42勝||736回||.057||
|}
#出典：日本中央競馬会ホームページ・騎手名鑑「吉田豊」。掲載されていない情報については個別に出典を付す。
#競走名太字は国際G1、中央および地方競馬と統一されたGI・JpnI。

=== 受賞 ===
*フェアプレー賞（関東）5回（1996年、1999年－2001年、2003年）


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
* [[騎手一覧]]
* [[中央競馬通算1000勝以上の騎手・調教師一覧]]


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2015年6月20日 (土) 07:07時点における版

吉田豊
2011年阪急杯表彰式
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 茨城県
生年月日 (1975-04-19) 1975年4月19日（49歳）
身長 159cm[1]
体重 48kg[1]
騎手情報
所属団体 日本中央競馬会
所属厩舎 大久保洋吉・美浦（1994年－2015年2月）
→フリー・美浦（2015年3月－）
初免許年 1994年
免許区分 平地
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吉田 豊（よしだ ゆたか、1975年4月19日[2] - ）は日本中央競馬会 (JRA) の騎手。

1994年デビュー。翌1995年より頭角を現し、1996年から1999年にかけてはメジロドーベルでGI競走5勝を挙げた。ほかマイネルラヴによるスプリンターズステークス（1998年）、スマイルトゥモローによる優駿牝馬（オークス）（2002年）、ブルーメンブラットによるマイルチャンピオンシップ（2007年）優勝などの実績がある。2013年には史上26人目のJRA通算1000勝を達成している。同じくJRA騎手の吉田隼人は弟[3]。

経歴

生い立ち

茨城県出身[4]。実家の近郊には後に自身も所属する関東人馬の拠点・美浦トレーニングセンターがあったが、その存在も含めて競馬のことはほとんど知らずに育った[5]。中学生時代には器械体操を経験し、高校受験を控えて親から騎手という職業があることを聞かされ、小柄だったこともあり競馬学校騎手課程の受験を決意[5]。また、競馬漫画『風のシルフィード』に影響されたともいう[6]。全く乗馬経験がないながら合格[6]。入学当初は乗馬未経験者へのカリキュラムを受けていたが、半年ほどで同期生の成績上位となり、やがてトップに立つようになる[6]。とくに反応の鈍い馬を走らせることに長けた生徒であった[6]。競馬学校卒業後は美浦トレーニングセンター・大久保洋吉厩舎に所属。大久保は早くから吉田に注目していたという[4]。なお、同期生には幸英明、渡辺薫彦、小林久晃、植野貴也、高山太郎などがいる[2]。

騎手時代

1994年3月にデビュー。大久保厩舎所属馬のほとんどを任されながら初年度は6勝に終わったが、2年目は28勝と成績を上げ、関東のホープとして注目される[4]。また穴馬をしばしば上位に食い込ませて関係者からの信頼を厚くし、有力馬への騎乗も増やしていった[7]。1996年12月、大久保厩舎のメジロドーベルで阪神3歳牝馬ステークスを制し、重賞初勝利をGI競走で果たす。翌1997年は同馬と牝馬三冠戦線の中心を担い、優駿牝馬（オークス）と秋華賞に優勝。83勝を挙げ、全国6位（関東4位）の位置につけた[8]。このころ、関西にトップジョッキーの武豊がいたことに準え、「東の豊」とも称された[9]。翌1998年にはメジロドーベルでエリザベス女王杯を制したほか、スプリンターズステークスではマイネルラヴに騎乗し、当年日本調教馬としてはじめてヨーロッパのG1競走を制したシーキングザパール、そして単勝オッズ1.1倍の1番人気に支持されていた当年の年度代表馬・タイキシャトルを退けて優勝している[10]。

1999年8月、美浦トレーニングセンター内の独身寮で後藤浩輝から木刀で殴打されるなどの暴行を受ける。後藤は4カ月の騎乗停止処分となったが、この一件は吉田の態度や言動に起因したものだともされ、吉田への批判もあった[11]。のち11月にはメジロドーベルでエリザベス女王杯を連覇。競走後には感泣した姿を見せ、インタビューではその理由について「今年はいろいろとあったから」と語った[12]。メジロドーベルは牝馬最多（当時）のGI5勝の実績と共に引退。吉田は後に「デビュー間もない僕を乗せ続けてくれたのは、先生のおかげ以外の何物でもない」と大久保への感謝を述べた[13]。また大久保も「豊にとってデビュー3年目にメジロドーベルと出会えたのは大きかったと思いますし、幸せだったと思いますよ。この馬で競馬を覚えたというのはあると思います。大きなレースで勝つためにはどのような競馬をするのか、そういう意味では一番影響が大きかったのではないでしょうか」と述べている[14]。

2002年にはスマイルトゥモローでオークス2勝目を挙げる。2003年6月、落馬事故で肋骨4本を折る重傷を負ったが1カ月で復帰し、直後の8月からはフランスで1カ月間の滞在騎乗を行った[13]。翌2004年末にはショウナンパントルで阪神ジュベナイルフィリーズ優勝。2008年にはブルーメンブラットでマイルチャンピオンシップを制した。このときは管理調教師の石坂正から「理想通りの乗り方」と称えられた[15]。

デビュー20年目を迎えた2013年4月、史上26人目のJRA通算1000勝を達成。「所属の大久保厩舎の馬で達成したかったのですが、（同厩舎で）一緒に仕事をしてきた高橋文雅先生の馬で勝てて良かった」と語った[16]。2015年2月には大久保が70歳定年のため引退[17]。これに伴い吉田は3月よりフリーとなる[18]。

成績

年 開催 勝利 出走 勝率 重賞勝利騎乗馬（勝利競走）
1994年 中央 6勝 269回 .022
1995年 中央 28勝 438回 .064
地方 1勝 4回 .250
国外 － － －
計 29勝 442回 .066
1996年 中央 51勝 536回 .095 メジロドーベル（阪神3歳牝馬ステークス）
地方 0勝 11回 .000
国外 － － －
計 51勝 547回 .093
1997年 中央 83勝 647回 .128 トキオエクセレント（青葉賞）
メジロドーベル（優駿牝馬、オールカマー、秋華賞）
地方 2勝 17回 .118
国外 － － －
計 85勝 664回 .128
1998年 中央 62勝 619回 .100 サイレントハンター（新潟大賞典）
メジロドーベル（府中牝馬ステークス、エリザベス女王杯）
マイネルラヴ（スプリンターズステークス）
地方 2勝 16回 .125
国外 － － －
計 64勝 635回 .101
1999年 中央 58勝 576回 .101 サイレントハンター（中山金杯、大阪杯）
メジロドーベル（エリザベス女王杯）
地方 0勝 9回 .000
国外 － － －
計 58勝 585回 .099
2000年 中央 55勝 538回 .102
地方 0勝 9回 .000
国外 － － －
計 55勝 547回 .101
2001年 中央 42勝 586回 .072 サイレントハンター（新潟大賞典）
メジロダーリング（アイビスサマーダッシュ）
クリスザブレイヴ（富士ステークス）
地方 1勝 16回 .068 リージェントブラフ（ダイオライト記念[19]）
国外 0勝 1回 .000
計 43勝 603回 .071
2002年 中央 59勝 640回 .092 スマイルトゥモロー（優駿牝馬）
地方 2勝 18回 .111 リージェントブラフ（川崎記念[20]）
国外 － － －
計 61勝 658回 .093
2003年 中央 42勝 524回 .080
地方 1勝 17回 .059 リージェントブラフ（名古屋グランプリ[21]）
国外 － － －
計 43勝 541回 .079
2004年 中央 56勝 606回 .092 ショウナンパントル（阪神ジュベナイルフィリーズ）
地方 1勝 6回 .167
国外 0勝 1回 .000
計 57勝 613回 .093
2005年 中央 50勝 640回 .078 メジロマントル（鳴尾記念）
地方 0勝 7回 .000
国外 － － －
計 50勝 647回 .077
2006年 中央 57勝 759回 .075
地方 0勝 9回 .000
国外 － － －
計 57勝 768回 .074
2007年 中央 49勝 717回 .068 ユメノシルシ（新潟記念）
エイシンロンバード（武蔵野ステークス）
マキハタサイボーグ（ステイヤーズステークス）
地方 1勝 8回 .125 シャーベットトーン（マーキュリーカップ[22]）
国外 － － －
計 50勝 725回 .069
2008年 中央 64勝 794回 .081 タイセイアトム（ガーネットステークス）
ミヤビランベリ（七夕賞）
ブルーメンブラット（府中牝馬ステークス、マイルチャンピオンシップ）
地方 0勝 8回 .000
国外 － － －
計 64勝 802回 .080
2009年 中央 50勝 749回 .067 サンカルロ（ニュージーランドトロフィー）
地方 1勝 3回 .333 ニシノナースコール（エンプレス杯[23]）
国外 － － －
計 51勝 752回 .068
2010年 中央 76勝 858回 .089
地方 2勝 11回 .182 オーロマイスター（マイルチャンピオンシップ南部杯[24]）
国外 － － －
計 78勝 869回 .090
2011年 中央 50勝 749回 .067 サンカルロ（阪急杯、阪神カップ）
地方 3勝 13回 .231 シビルウォー（ブリーダーズゴールドカップ[25]、白山大賞典[26]）
国外 － － －
計 53勝 762回 .070
2012年 中央 48勝 781回 .061 ケイアイドウソジン（ダイヤモンドステークス）
サンカルロ（阪神カップ）
地方 0勝 5回 .000
国外 － － －
計 48勝 786回 .061
2013年 中央 48勝 736回 .065
地方 0勝 1回 .000
国外 － － －
計 48勝 737回 .065
2014年 中央 42勝 734回 .057 ケイアイエレガント（福島牝馬ステークス）
ショウナンラグーン（青葉賞）
地方 0勝 2回 .000
国外 － － －
計 42勝 736回 .057
  1. 出典：日本中央競馬会ホームページ・騎手名鑑「吉田豊」。掲載されていない情報については個別に出典を付す。
  2. 競走名太字は国際G1、中央および地方競馬と統一されたGI・JpnI。

受賞

  • フェアプレー賞（関東）5回（1996年、1999年－2001年、2003年）

脚注

  1. ^ a b 日本中央競馬会ホームページ・騎手名鑑「吉田豊」（直接リンク不可）
  2. ^ a b 『優駿』1994年4月号、p.74
  3. ^ “騎手課程第20期生 卒業式”. 日本中央競馬会. 2015年6月18日閲覧。
  4. ^ a b c 『優駿』1997年7月号、pp.30-33
  5. ^ a b “吉田豊騎手インタビュー”. 競馬ラボ (2009年9月6日). 2015年6月18日閲覧。
  6. ^ a b c d 『優駿』1994年5月号、p.99
  7. ^ 『優駿』1996年10月号、p.35
  8. ^ 『優駿』1998年2月号、p.156
  9. ^ 『優駿』1999年1月号、pp.88-89
  10. ^ 『優駿』1999年2月号、p.16
  11. ^ 『競馬名馬＆名勝負年鑑・1999～2000』（宝島社、2000年）pp.30-37
  12. ^ 『優駿』1999年12月号、p.33
  13. ^ a b 『優駿』2003年11月号、pp.44-47
  14. ^ “ドーベルらを輩出 そして受け継がれる師弟関係・大久保洋師”. 競馬ラボ (2015年2月22日). 2015年6月18日閲覧。
  15. ^ 『優駿』2009年1月号、p.53
  16. ^ “吉田豊1000勝“縁”が呼んだ記念星”. デイリースポーツonline (2013年4月22日). 2015年6月18日閲覧。
  17. ^ “通算878勝・大久保洋師、調教師生活に幕「いい時代にやらせてもらえた」”. スポーツ報知 (2015年3月1日). 2015年6月19日閲覧。
  18. ^ “【所属変更】吉田豊騎手はフリーに”. SANSPO.com (2015年2月28日). 2015年6月19日閲覧。
  19. ^ “第46回ダイオライト記念（G2）”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  20. ^ “第51回川崎記念(G1)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  21. ^ “第3回名古屋グランプリ(G2)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  22. ^ “第11回マーキュリーカップ(G3)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  23. ^ “第55回エンプレス杯(G2)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  24. ^ “マイルChS南部杯（中央交流）”. JBISサーチ. 2015年6月19日閲覧。
  25. ^ “第23回ブリーダーズゴールド(G2)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。
  26. ^ “第31回白山大賞典(G3)”. netkeiba.com. 2015年6月19日閲覧。

関連項目

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