「ダイズ」の版間の差分
Sakusakusaku1234 (会話 | 投稿記録) |
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== 日本文化 == |
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日本においては、[[節分]]の日に炒った大豆をまく「豆撒き」の[[風習]]がある。 |
日本においては、[[節分]]の日に炒った大豆をまく「豆撒き」の[[風習]]がある。 |
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大豆の生豆を噛みつぶし、それを子供の頭の上に塗ると[[かんの虫]]が切れるという伝統的風習が長野県[[秋山郷]]地方にある。<ref>『信州の民間薬』全212頁中20頁 医療タイムス社 昭和46年12月10日発行 信濃生薬研究会 林兼道編集</ref> |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
2015年10月1日 (木) 21:54時点における版
大豆 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ダイズ
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Glycine max | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ダイズ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
米: Soybean、英: Soya bean |
大豆(学名 Glycine max)は、マメ科の一年草。種子は食用となる。未成熟の種子を枝豆と呼ぶ。
特徴
農作物として世界中で広く栽培されている。日本には縄文時代に存在したと思われる大豆の出土例があり、『古事記』にも大豆の記録が記載されている。
ダイズ種子には苦み成分であるサポニン (Saponin) (ダイズサポニン)が多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。日本・ドイツでは「畑の(牛)肉」、アメリカ合衆国では「大地の黄金」とも呼ばれている。また、日本料理やその調味料の原材料として中心的役割を果たしている(後述)。
ダイズ種子貯蔵タンパク質のアミノ酸残基組成において、含硫アミノ酸であるメチオニンとシステイン残基が少なく、それらは制限アミノ酸となっていると言われたことがある。そのため、タンパク質の有効利用効率を示すアミノ酸スコアやプロテインスコアを下げていると言われていた。しかし、これらは成長期のラットに基づく数値であり、その後、ヒトに基づく数値に置き換えられ、具体的には、大豆のアミノ酸スコアが1973年には86点だったものが、1985年には100点と変更された。大豆は、牛乳や卵と同等の良質なタンパク質であるとの評価を得ている[3]。
古くからの在来種、固定種が多く現存しており、マメ科の特性もあり、両性花で自家受粉可能であるため自家採種のしやすい植物である。その反面、連作障害を起こしやすいため、次の年は輪作を行ない、違う作物を作付けし、連作を避けるか、連作を行なうために消毒や土壌改善を行う等の対策を練らねばならず、日本国内においては、この事が栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。ダイズは遺伝子組換え品種の割合が高く、2014年現在、世界におけるダイズの栽培面積の82%を組換え品種が占めている(ISAAA調査)[4]。
根粒菌との共生
ダイズを含む一部のマメ科植物は根に根粒もしくは茎に茎粒を持ち、根粒菌という細菌が共生している。根粒菌は植物からリンゴ酸などの効率のいい栄養分をもらって生活の場を提供して貰う代わりに、大気中の窒素を植物にとって使いやすいアンモニアに転換(窒素固定)する。窒素は植物にとって必須元素であり、肥料として取り入れる成分の一つであるが、自然界では一部の細菌と雷などでしか使用可能形態に転換できない。特に根粒ではその能力が高いため、それを持つ植物は自ら窒素肥料を作ることのできることになり、そのような植物はやせている土地でもよく育つものが多い[5]。このダイズの窒素固定能を有する根粒菌との共生により十分な量の窒素分を吸収し、豊富なアミノ酸を産生でき、ダイズはその種子に他の植物には見られないような豊富なタンパク質を含有させている。
共生成立までの過程に於いて、Nodファクターと受容体による経路[6][7]とIII型分泌系による経路[8]の複数の経路が有ることが解明されている。
有害なトリプシン・インヒビターなど
多くのマメ科植物の種子と同様に、ダイズ種子中には有毒なタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビター(トリプシン・インヒビター、セリンプロテアーゼ・インヒビター)やアミラーゼ・インヒビターやレクチンが含まれて消化を阻害するため、生食はできない。そのため、加熱してプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターを変性・失活させて消化吸収効率を上げている。なお、加熱してもプロテアーゼ・インヒビターの失活は十分ではないので、納豆菌などを繁殖させて納豆菌の分泌するプロテアーゼによってダイズ種子中のタンパク質とともにタンパク質性のトリプシン・インヒビターを分解させると、分解されたタンパク質と相まって消化酵素であるトリプシンが正常に機能してタンパク質の消化吸収効率が増大する。
トリプシンインヒビター活性の高い生大豆を飼料としてラットに摂取させると成長阻害や膵臓肥大などの有害作用が引き起こされることが報告されている[9]。この膵臓肥大は、腸内で阻害されるトリプシンを補うための膵臓の機能亢進の結果として生じると考えられる[10]。生大豆粉はラットの膵臓癌と相関することが知られているが[11]、加熱調理済みの大豆粉の発ガン性は認められていない[12][13]。大豆がヒトの膵臓癌を促進する可能性があるかどうかの研究はまだ十分でないため不明である。ラットに与えられている大豆の量は、人間が通常摂食する量に比べてはるかに大きい[14]。
大豆乳の加熱処理について、100℃10分間の加熱処理した大豆乳には加熱未処理試料のトリプシン・インヒビター活性の約34%が残存し、また100℃20分間では約30%、120℃10分間では約10%、120℃20分間でも約5%のトリプシン・インヒビター活性が残存した[15]。
黒大豆を95℃で加熱した場合のトリプシン・インヒビターの活性変化について、1%のNaCl(食塩)溶液中、16%のショ糖溶液中では、いずれも60分の加熱でトリプシン・インヒビターの70%の活性が残存していたが、0.1%の重曹溶液中の45分の加熱でトリプシン・インヒビターの活性は完全に失われた[16]。
原産地・世界への伝来
説が各種あり、定かではないが、原産地は中国東北部からシベリアとの説が有力で、日本にも自生しているツルマメが原種と考えられている。
栽培の歴史も諸説あるが、約4,000年前に中国でツルマメの栽培が始められ、ダイズとして作物化されたと考えられている。日本には朝鮮半島を経由して、縄文時代後期中頃[17][18]に伝来したと考えられている。日本列島においては縄文時代においてアズキやリョクトウなどの炭化種実が検出されているためマメ類の利用が行われていた可能性が考えられており、縄文農耕論の観点からも注目されている。近年はダイズに関して九州地方や中部地方においてを土器内部の植物圧痕として確認された例があり、縄文中期から後期にかけては日本列島における存在が確認されている[19]。
これらの発見により日本列島においては縄文中期中葉段階で栽培種ダイズが存在し、この時期以前に大陸から栽培種ダイズがもたらされたか、あるいは日本列島において独自にツルマメからの栽培化が起こった可能性が考えられている。また、山梨県の酒呑場遺跡から出土した土器のダイズ圧痕は蛇体装飾の把手部分から検出されており、これは偶然混入したものではなく意図的に練りこまれた可能性が想定されており、その祭祀的意図をめぐっても注目されている。
ヨーロッパやアメリカに伝わったのは意外にも新しく、ヨーロッパには18世紀、アメリカには19世紀のことである。ヨーロッパにダイズの存在を伝えたのはエンゲルベルト・ケンペルだといわれており、彼が長崎から帰国した後、1712年に出版した『廻国奇観』において、ダイズ種子を醬油の原料として紹介した。故にダイズの英名はshoyu(醬油)bean(豆)からSoybeanとなっている。ヨーロッパでは1739年にフランスでの試作、アメリカでは1804年にペンシルベニア州での試作が最初の栽培とされている。ベンジャミン・フランクリンの手紙の中に、1770年にイギリスにダイズ種子を送る旨が記してある。ヨーロッパでそれ以前にダイズの存在を知られていなかった理由として、既に他の豆類が栽培されていた事や、土壌が合わなかったこと、根粒菌が土壌にない場合があったことなどが挙げられている。
ダイズが伝播した後も、専ら搾油用やプラスチックの原料など、ダイズ種子の工業用途が主な栽培理由であった。1910年代以前は、ダイズはアジア圏以外では重要な作物とはみなされていなかった。ヘンリー・フォードもプラスチックの原料を安く調達するために大豆農園を作っていた。食料として注目されるようになったのは1920年代以降の事であり、ヨーロッパで食料として初めて収穫されたのは1929年の事とされる。アメリカで本格的にダイズが栽培されるようになったのは、1915年にワタミハナゾウムシの侵入によってアメリカ南部の綿花が大打撃を受け、それまでアメリカの製油業の中心であった綿実油が不足してからである。ワタに代わる新たな製油材料として、それまでも徐々に栽培を拡大させてきたダイズは一気に脚光を浴びることとなった。1920年代には製油用や飼料用としての需要の高まりにより、さらに大規模に栽培されるようになった[20]。タンパク質含有量の高いダイズ種子は用途が広く、様々な食品の製造に加工されている。そのタンパク質以外の成分である脂質からは食用油以外にもレシチンなどが抽出され、利用されている。
日本では非常に重用され、米・麦・粟・稗(ひえ)・豆(大豆)を五穀とし、節分には大豆を用いた豆まきが行なわれるほどである。
利用
ダイズ種子(大豆)はタンパク質や脂肪、鉄分、カルシウムなど、ミネラルを多く含む。
食用
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 1,866 kJ (446 kcal) |
30.16 g | |
糖類 | 7.33 g |
食物繊維 | 9.3 g |
19.94 g | |
飽和脂肪酸 | 2.884 g |
一価不飽和 | 4.404 g |
多価不飽和 | 11.255 g |
36.49 g | |
トリプトファン | 0.591 g |
トレオニン | 1.766 g |
イソロイシン | 1.971 g |
ロイシン | 3.309 g |
リシン | 2.706 g |
メチオニン | 0.547 g |
シスチン | 0.655 g |
フェニルアラニン | 2.122 g |
チロシン | 1.539 g |
バリン | 2.029 g |
アルギニン | 3.153 g |
ヒスチジン | 1.097 g |
アラニン | 1.915 g |
アスパラギン酸 | 5.112 g |
グルタミン酸 | 7.874 g |
グリシン | 1.88 g |
プロリン | 2.379 g |
セリン | 2.357 g |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 1 µg(0%) 13 µg0 µg |
チアミン (B1) |
(76%) 0.874 mg |
リボフラビン (B2) |
(73%) 0.87 mg |
ナイアシン (B3) |
(11%) 1.623 mg |
パントテン酸 (B5) |
(16%) 0.793 mg |
ビタミンB6 |
(29%) 0.377 mg |
葉酸 (B9) |
(94%) 375 µg |
ビタミンB12 |
(0%) 0 µg |
コリン |
(24%) 115.9 mg |
ビタミンC |
(7%) 6 mg |
ビタミンD |
(0%) 0 IU |
ビタミンE |
(6%) 0.85 mg |
ビタミンK |
(45%) 47 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 2 mg |
カリウム |
(38%) 1797 mg |
カルシウム |
(28%) 277 mg |
マグネシウム |
(79%) 280 mg |
リン |
(101%) 704 mg |
鉄分 |
(121%) 15.7 mg |
亜鉛 |
(51%) 4.89 mg |
マンガン |
(120%) 2.517 mg |
セレン |
(25%) 17.8 µg |
他の成分 | |
水分 | 8.54 g |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース |
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 19.94 |
飽和脂肪酸 | 2.884 |
14:0(ミリスチン酸) | 0.055 |
16:0(パルミチン酸) | 2.116 |
18:0(ステアリン酸) | 0.712 |
一価不飽和脂肪酸 | 4.404 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.055 |
18:1(オレイン酸) | 4.348 |
多価不飽和脂肪酸 | 11.255 |
18:2(リノール酸) | 9.925 |
18:3(α-リノレン酸) | 1.33 |
項目 | 分量 |
---|---|
炭水化物 | 28.2 g |
食物繊維総量 | 17.1 g |
水溶性食物繊維 | 1.8 g |
不溶性食物繊維 | 15.3 g |
日本では色々な形に加工され、利用されている。まず、大豆を暗所で発芽させるとモヤシ、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でると枝豆、さらに育てて完熟したら大豆となる。大豆を搾ると大豆油、油を絞った粕は大豆粕として食用・醤油製造や飼料へ、煎って粉にするときな粉、蒸した大豆を麹菌と耐塩性酵母で発酵させると醬油・味噌、また蒸した大豆を納豆菌で発酵させると納豆となる。熟した大豆を加水・浸漬・破砕・加熱したものを搾ると液体は豆乳、その残りはおから、豆乳を温めてラムスデン現象によって液面に形成される膜を湯葉、にがりを入れて塩析でタンパク質を固めると豆腐、豆腐を揚げると「油揚げ」「厚揚げ」、焼くと「焼き豆腐」、凍らせて「凍み(高野)豆腐」となる。大豆にはサポニン等水溶性の低分子化合物やタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターやレクチンなどの有毒成分が含まれており、これらの加工には有毒成分の除去や解毒の意味もある。
年 | みそ | 醤油 | 豆腐・油揚げ | 納豆 | 凍豆腐 | 豆乳 | 煮豆・惣菜 | きなこ | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1997 | 165 | 26 | 494 | 122 | 30 | 3 | 33 | 14 | 132 | 1,019 |
1998 | 162 | 26 | 495 | 128 | 30 | 4 | 33 | 16 | 152 | 1,046 |
1999 | 166 | 30 | 492 | 127 | 29 | 6 | 33 | 17 | 117 | 1,017 |
2000 | 166 | 30 | 492 | 122 | 29 | 7 | 33 | 17 | 114 | 1,010 |
2001 | 149 | 32 | 492 | 129 | 29 | 9 | 33 | 17 | 125 | 1,015 |
2002 | 149 | 35 | 494 | 141 | 29 | 11 | 33 | 17 | 126 | 1,035 |
2003 | 138 | 38 | 494 | 137 | 30 | 19 | 33 | 17 | 128 | 1,034 |
2004 | 139 | 37 | 496 | 139 | 33 | 29 | 33 | 18 | 129 | 1,053 |
2005 | 141 | 40 | 494 | 131 | 33 | 32 | 33 | 18 | 130 | 1,052 |
2006 | 140 | 40 | 492 | 130 | 33 | 30 | 33 | 18 | 130 | 1,046 |
2007 | 139 | 40 | 497 | 130 | 30 | 25 | 33 | 19 | 132 | 1,045 |
2008 | 137 | 39 | 496 | 129 | 29 | 25 | 33 | 19 | 130 | 1,037 |
2009 | 131 | 39 | 490 | 125 | 27 | 29 | 33 | 19 | 100 | 993 |
2010 | 127 | 39 | 480 | 123 | 26 | 32 | 33 | 19 | 97 | 976 |
2011 | 126 | 35 | 465 | 122 | 24 | 34 | 31 | 18 | 95 | 950 |
2012 | 124 | 33 | 450 | 123 | 22 | 40 | 30 | 17 | 93 | 932 |
生薬
蒸した黒豆(黒大豆)を発酵させてから乾燥させたものは、香豉(こうし、別名:豆豉(ずし))という生薬であり[23][24]、陶弘景校定による『名医別録』には「豉」として収載されている[23]。香豉には発汗作用、健胃作用があるとされ、香豉を含有する漢方薬には梔子豉湯、瓜蔕散などがある[23][24]。本来、黒豆の発酵・乾燥品を用いるが、現在では納豆を乾燥させたものを代用する[24]。
大豆油
ダイズから得られる大豆油は、パーム油に次ぐ代表的な食用油であり、大豆需要の87%を占めている。主要な生産国は、中国、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンで、上位5カ国で8割を占める。日本では菜種油が好まれるため、大豆油の生産量は40万トン前後と菜種油の半分以下に留まる。 近年では環境配慮型の素材とされる大豆インキの原料としての需要も拡大している。
残渣の油粕は醤油の原料や家畜の飼料、大豆ミートとして粗タンパク質源に利用されていたが、最近は『ヘルシー』を売りにした小麦粉代替食品としても拡販が進んでいる。
飼料
飼料としての大豆はタンパク質源として良質で、肉牛を肥えさせたり、鳥の産卵率を上昇させるのに大きく寄与している。ただし、含有タンパク質中のメチオニンやシステイン残基含量が少ないため、タンパク質の有効利用効率を上げるために、メチオニンやシステインを多く含む他の飼料と混合して利用されている。近年、特にBSE問題によって飼料のタンパク質源として肉骨粉の利用が規制されたため、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の需要は増している。 かつては温帯・亜熱帯でしか栽培可能でなかったが、技術の向上により、栽培できる地域が拡大した。
生産
順位 | 国 | 生産量 (トン) |
順位 | 国 | 生産量 (トン) |
---|---|---|---|---|---|
1 | アメリカ合衆国 | 91.417.300 | 9 | ウクライナ | 1.043.500 |
2 | ブラジル | 56.960.732 | 10 | ウルグアイ | 1.028.600 |
3 | アルゼンチン | 30.993.379 | 11 | インドネシア | 974.512 |
4 | 中国 | 14.500.141 | 12 | ロシア | 943.660 |
5 | インド | 10.217.000 | 13 | ナイジェリア | 610.000 |
6 | パラグアイ | 3.855.000 | 14 | 南アフリカ共和国 | 516.000 |
7 | カナダ | 3.503.700 | 15 | イタリア | 468.200 |
8 | ボリビア | 1.499.376 | 世界総計 | 222.268.904 |
輸入国 | 2006 /7 |
2007 /8 |
2008 /9 |
200 9/0 |
2010 /1 |
2011 /2 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中国 | 28.7 | 37.8 | 41.1 | 50.3 | 52.3 | 2004/5年度は25.8百万トンで倍増している。 | |
メキシコ | 3.8 | 3.7 | 3.3 | 3.7 | 3.5 | ||
オランダ | 4.0 | 4.0 | 3.5 | 3.3 | 3.2 | ||
スペイン | 2.5 | 3.3 | 2.9 | 3.2 | 3.1 | ||
日本 | 4.1 | 4.0 | 3.4 | 3.4 | 2.9 | 2004/5年度から2007/8年度は 4百万トン前後の輸入であった[27]。 | |
ドイツ | 2.8 | 2.7 | 2.5 | 2.4 | 2.6 | ||
台湾 | 2.4 | 2.1 | 2.2 | 2.5 | 2.5 |
日本は現在大部分を輸入に頼っているため、2003年に世界的不作から価格が高騰したときには大きな影響を受けた。最大の生産国はアメリカ合衆国、次いでブラジル、アルゼンチン、中華人民共和国と続く。アメリカの大豆生産量は増減が激しいが、近年アルゼンチンとブラジルの大豆生産量が大きな伸びを示している。輸出国は、アメリカ合衆国、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、カナダの順である。日本の輸入量は、中華人民共和国、EU 27カ国に次ぐ世界第3位である。中華人民共和国では経済成長に伴う食生活の変化により消費量が増加しており、これからも増え続けると見られている[28]。この需要に応えるため、ブラジルでは天然林伐採を伴う大豆農地の拡大が進んでおり、問題視されている。また、ダイズ農場は一つの農場当りに必要とされる労働者が少ないため、失業問題にも繋がっている。
日本国内のダイズ生産量は平成22年度で222800トンであり、県別では北海道が57100トンで最大産地となっており、以下宮城県の18100トン、佐賀県の17700トン、福岡県の16100トンと続く。日本でダイズ生産量が1万トンを超えるのはこの4道県のみである[29]。
消費
2007年のダイズの世界消費は、大豆油製造用が87%と圧倒的多数を占め、ついで飼料用が7%、食用が6%となっている[30]。また、ダイズから油を絞った後のダイズ搾りかすも飼料として価値が高く、世界の穀物取引の中心であるシカゴ商品取引所にはダイズとダイズ搾りかす(大豆ミール)がともに上場され、盛んに取り引きされている。日本国内のダイズ消費量は2005年度に534万8000トンであり、このうち大豆油用が429万6000トン、食用が105万2000トンである。ダイズが基幹食料となっている日本では食用消費の占める割合が世界消費に比べかなり多くなっているが、それでも20%弱に過ぎない。日本国内の食用消費の内訳は、豆腐が49万6000トンで半数近くを占め、ついで味噌・醬油用が17万1000トン、納豆用が13万6000トン、煮豆や惣菜用が3万3000トン、その他が21万5000トンとなっている。国産大豆は食用消費の21%を占めている[31]。
語源
英語の「soy bean」の由来は、大豆がまず醤油の原料として知られた事に由来する。
タイプ
- 用途別
- 蛋白大豆=食用
- 油大豆=油用
- 枝豆用
主な品種・ブランド
さまざまな大豆加工食品
現在日本でよく知られている大豆加工食品には以下のようなものがある。
- 大豆の原形をとどめるもの
- 乾燥大豆 - 大豆を保存する際の基本形であり、数時間以上水にもどしてから調理に用いる。また節分時のようにそのまま「炒り豆」にすることも。
- 煮豆 - 味をつけずに煮た「水煮」はやはり調理に用いられる。保存のきく缶詰やレトルトパックに個装されて市販もされている。枝豆も参照。
- 甘納豆
- 大豆を粉砕したり搾ったりしたもの
- 大豆油
- きな粉
- ずんだ - 未成熟の青い大豆を粉砕し、餡仕立てにしたもの
- 打豆(かち豆)- 大豆を粗く粉砕して乾燥させたもの。さまざまな調理に用いる。
- 大豆粉 - 乾燥大豆(主に、すずさやか)を炒らないで微粉末にしたもの。低糖質パンや低糖質スイーツなどの原料として注目されている。
- 呉 - 水煮した大豆を摩砕した状態のもの(豆乳とおからに分離する前段階のもの)
- 大豆を発酵させた加工食品
(ダイズの若芽)モヤシ | ||||
(未成熟のもの)枝豆 | ||||
(乾燥)乾燥大豆 | ||||
(粉砕せず加熱) | (炒る)炒り豆 | |||
(煮る)煮豆 | ||||
(砂糖で味付)甘納豆 | ||||
(粉砕・乾燥) | きな粉 | |||
打ち豆 | ||||
(圧搾・抽出) | 大豆油 | |||
(水とともに摩砕)呉 | (圧搾した液体)豆乳 | (加熱した皮膜)湯葉 | ||
(にがりで凝固)豆腐 | (揚げる) | 油揚げ | ||
生揚げ、厚揚げ | ||||
がんもどき | ||||
揚げ出し豆腐 | ||||
(凍結・乾燥)高野豆腐 | ||||
(発酵)豆腐餻、腐乳、臭豆腐 | ||||
(葛粉で凝固)ごどうふ | ||||
(発酵)豆汁 | ||||
(圧搾した残り)おから | ||||
(発酵) | 醬油 | |||
もろみ | ||||
ケチャップマニス | ||||
味噌 | ||||
納豆 | ||||
テンペ |
健康への影響
大豆はタンパク質やカルシウムを多く含むため、栄養源として重要である。大豆の可食部乾燥重量100g中に、417kcal、水分12.5g、タンパク質35.3g、脂質19.0g、炭水化物28.2gの栄養価がある[33]。
大豆オリゴ糖を含み整腸作用がある。大豆オリゴ糖を関与成分とした特定保健用食品が許可されている[34]。
さらに、大豆に含まれるゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどのイソフラボンは大豆イソフラボンと総称され、弱い女性ホルモン作用を示すことから骨粗鬆症や更年期障害の軽減が期待できる[35][36][37]。尿の中にでてくるイソフラボンの多い人ほど骨密度が高いことが指摘されている[38]。これらの作用から、大豆製品の中には特定保健用食品に指定されている物もある。骨粗鬆症予防効果、更年期障害の緩和に加えて、抗動脈硬化作用の可能性もある。また、乳がんや前立腺がん等の予防にも効果があることが、疫学的な調査で明らかになってきており、特にイソフラボン配糖体のゲニステインという物質に、腫瘍の血管新生を抑える効果があり、それにより腫瘍の増殖を抑制することがわかってきた[39]。大豆製品・イソフラボン摂取量について、イソフラボンは乳がん発生率減少と関連しており[40]、よく摂取するグループで限局性前立腺がんのリスクが低下し[41]、喫煙経験のない男性ではイソフラボン摂取が多いほど肺がんになりにくく[42]、全体として大腸がんとの関連はみられず[43]、イソフラボン摂取量が多いグループの女性の肝がんリスクは高かった[44]。
大豆をよく食べる女性グループで脳梗塞・心筋梗塞のリスクが低下した[45]。
順天堂大学の研究によれば、納豆の摂食頻度と月経状態・月経随伴症状は有意の関係がみられ、摂食頻度の増加は症状を軽減させている可能性があるとしている[46]。
大豆イソフラボンはサプリメントとしても用いられる。イソフラボンはヒトに対する悪影響も懸念されており(詳しくはイソフラボンを参照)、内閣府食品安全委員会は食品とサプリメントを合わせた安全な一日摂取目安量の上限値を、一日あたり70 - 75mgに設定している[47]。なお日本人の食品由来の大豆イソフラボン摂取量は15 - 22mg、多い人でも40 - 45mg程度である。イソフラボンは甲状腺へのヨウ素の取り込みを阻害する作用があるため、ヨウ素欠乏の状態で大豆製品を多食すると、甲状腺肥大をもたらす可能性がある。通常の日本食では海藻類にヨウ素が含まれている[48]。
雄の2型糖尿病マウスに大豆サポニンAグループと大豆サポニンBグループを別々に投与したところ大豆サポニンBグループに血糖値上昇抑制作用は認められたが大豆サポニンAグループにはその作用は認められなかった[49]。疫学調査では、大豆の摂取は肥満および閉経後女性で糖尿病発症のリスクが低下するものの、全体としては糖尿病発症との関連なしとされた[50]。
1970年代半ば(昭和50年代)に行われた調査報告によれば、村落単位で見た生活習慣では、労働が激しく、魚又は大豆を十分にとり、野菜や海草を多食する地域は長寿村であり、米と塩の過剰摂取、魚の偏食の見られる地域は短命村が多いことが指摘されている[51][52][53]。
全年齢では鶏卵38.7%、牛乳20.9%、小麦12.1%が3大アレルゲン(ピーナッツと魚卵を足し5大アレルゲン)であり大豆は1.5%の11位である[54]。アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、アトピーや喘息などアレルギー素因のある者は注意が必要である[55][56]。
2006年3月27日、アメリカ合衆国の健康専門月刊誌『ヘルス』による世界の5大健康食品が発表され、スペインのオリーブ油、日本の大豆、ギリシャのヨーグルト、インドのダール(豆料理)、大韓民国のキムチの5品目が選出された。
環境への影響
BSE問題が顕在した結果、それまで畜産飼料として利用されていた肉骨粉の利用が規制され、それに伴い、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の利用が急激に増えた[57]。需要が急増したため、南米諸国、特にブラジルやアルゼンチンでの栽培が増えた。その結果、アマゾンの熱帯雨林において、大豆生産のためのプランテーションの大規模な開発が行われており、それによる森林の消失が問題になっている[58]。
日本文化
日本においては、節分の日に炒った大豆をまく「豆撒き」の風習がある。
大豆の生豆を噛みつぶし、それを子供の頭の上に塗るとかんの虫が切れるという伝統的風習が長野県秋山郷地方にある。[59]
参考文献
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脚注
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関連項目
外部リンク
- 農林水産省による大豆のページ
- ダイズ - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 大豆オリゴ糖 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 大豆サポニン - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- イソフラボン - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- レシチン - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- リン脂質結合大豆ペプチド - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 大豆機能研究会サイト SNIJ(Soy Nutrition Institute Japan)