「手袋」の版間の差分
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{{otheruses|グローブや手袋全体|そのほかのグローブ|グローブ}} |
{{Otheruses|手袋という道具|ウクライナ民話およびそれをもとにした絵本|てぶくろ}}{{otheruses|グローブや手袋全体|そのほかのグローブ|グローブ}} |
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'''手袋'''(てぶくろ)とは、人の[[手]]を熱や寒さや危険物から保護するため、もしくは装飾のために利用される、手(形態によっては[[腕]]やその一部を含む)を覆う[[衣服]]<ref name="jpo-card-B2">[https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/bunrui/isyou_bunrui/document/index/B2.pdf 意匠分類定義カード(B2)] 特許庁</ref>である。 |
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[[File:Glove.png|thumb|right|工事作業用の手袋]] |
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[[File:Gloves1.jpg|thumb|right|パーティー仕様の女性用長手袋 ([[オペラ・グローブ]])]] |
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[[File:Gloves2.jpg|thumb|right|防寒用皮手袋]] |
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[[File:Dress Glove.JPG|thumb|right|白の布製のドレスグローブ、ピンタックが背面にある]] |
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[[File:Leather Glove.JPG|thumb|right|革製の黒の手袋]] |
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[[File:Leather fingerless gloves.JPG|thumb|right|指抜きグローブ]] |
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'''手袋'''(てぶくろ)は、保護や装飾のために[[手]](形態によっては腕やその一部を含む)を覆う[[衣服]]<ref name="jpo-card-B2">[https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/card/B2.pdf 意匠分類定義カード(B2)] 特許庁</ref>。 |
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[[親指]]と他の指が分かれている |
[[親指]]用と、他の指をまとめて入れるスペースが二つに分かれている手袋は、[[北海道方言]]でぼっこ手袋(「ぼっこ」は棒の意)、英語ではmitten<ref name="brit">『ブリタニカ国際大百科事典』、手袋</ref> (ミトン)と呼ぶ<ref name="jpo-card-B2"/>。それに対して5本指に分かれたものは英語では「glove [[グラブ]]([[グローブ]])」と呼んでいる<ref name="brit" />。 |
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また、5本指型で指が露出するタイプのものもあり<ref name="jpo-card-B2"/>、「[[オープンフィンガーグローブ]]」や「指抜きグローブ」などと呼ばれる。 |
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手袋 |
手袋の[[素材]]は多様で、[[木綿|綿]]や[[羅紗]]、[[ポリエステル]]、[[ナイロン]]、[[アクリル繊維]]の[[布]]、[[毛糸]]、[[フェルト]]、牛や豚や羊の[[革]]・[[人造皮革]]、[[ゴム]]、[[ラテックス]]、[[ニトリル]]、[[金属]]、[[耐熱手袋]]には[[アラミド繊維]]や[[シリコン樹脂]]も使われている。柔らかい布地で作られたウォッシンググローブ ({{lang-en-short|washing glove}}) というものがあり、体を洗うのに使う。 |
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[[ゴム]]、[[ラテックス]]、[[金属]]、[[耐熱]]手袋には[[アラミド繊維]]や[[シリコン樹脂]]も使われている。柔らかい布地で作られたウォッシンググローブ ({{lang-en-short|washing glove}}) というものがあり、体を洗うのに使う。 |
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数量単位は双。10双を[[デカ]]、12双を[[ダース]]として取引に用いられる。 |
数量単位は双。10双を[[デカ]]、12双を[[ダース]]として取引に用いられる。 |
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{{Gallery|title=さまざまな手袋|width=200px|height=200px |
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なお、日本では「革又は合成皮革を製品の全部又は一部に使用して製造した手袋」について[[家庭用品品質表示法]]の適用対象となっており雑貨工業品品質表示規程に定めがある<ref name="caa">{{Cite web|url=http://www.caa.go.jp/hinpyo/law/law_07.html|title=雑貨工業品品質表示規程|publisher=消費者庁|accessdate=2013-05-23}}</ref>。 |
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|File:Glove.png|工事作業用の手袋 |
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|File:Gloves2.jpg|防寒用皮手袋 |
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|File:Dress Glove.JPG|白の布製のドレスグローブ、ピンタックが背面にある |
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|File:Leather Glove.JPG|革製の黒の手袋 |
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|File:Leather fingerless gloves.JPG|指抜きグローブ |
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|File:Osaka_Fight_Gear_Pro_MMA_Gloves.jpg|格闘技用のオープンフィンガーグローブ。打撃する時、自身の[[第三関節]]([[MP関節]])は護るが、指先が出ているので相手をつかむこともできる。 |
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== 目的 == |
== 使用目的 == |
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手袋を着用する主な目的は手の保護である。 |
手袋を着用する主な目的は手の保護である。冬の防寒具としては一般的であるほか、季節を問わず[[火傷]]や擦り傷、切り傷の防止、さらに汚れや素手で触ることが危険な[[化学物質]]、[[病原体]]からも手を保護する。[[ニトリル]]製、[[ラテックス]]や[[ポリ塩化ビニル|ビニル]]製の使い捨て手袋は、医療従事者の間で[[感染症]]を防ぐ有効な手段として使われている。直接手に触れることで価値や有効性が減る対象物を、人間の皮脂などから保護するためにも手袋は装着される。例として各種製造過程での製品接触、[[美術品]]や[[骨董品]]の取り扱い、警察の捜査等がある。 |
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フィンガーレスグローブは寒さから手を守る必要があり、なおかつ指先を自由に使えることが必要な状況で用いられる。手袋の中には、[[手首]]までではなく[[肘]]近くまで保護するものもあり、これらをガントレット([[籠手]])と呼んで区別することもある。 |
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手を保護する必要がない場合でも、装身具として用いられることも多い。 |
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== 生産地 == |
== 生産地 == |
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世界中で手袋は生産されており、 |
世界中で手袋は生産されており、各家庭で[[編み物|編まれる]]ことも多い<ref group="注釈">日本の「[[かあさんの歌]]」(1956年発表)の歌詞で描かれたように。</ref>。 |
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[[フランス]]、[[イタリア]]、[[デンマーク]]、[[ハンガリー]]や[[カナダ]]では高価な女性用の[[ブランド]]物手袋が作られている。[[アメリカ合衆国]][[ニューヨーク州]]、特に{{仮リンク|グラバーズヴィル|en|Gloversville, New York}}は手袋の産地であったことが知られているが、近年では多くの手袋が[[東アジア]]で作られている。[[日本]]では、国内製手袋の約90%が[[香川県]][[東かがわ市]]周辺で作られている。 |
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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現存する手袋で最古のものは古代[[エジプト]]の[[ツタンカーメン]]王の墓から発見されたもので、紀元前1343年 - 前1323年のものとされ、手首でむすぶタイプの[[麻]]製のものとされる<ref>[[ナショナル ジオグラフィック (雑誌)|ナショナルジオグラフィック]]日本語版公式サイト・2020年7月20日付、「意外とディープな手袋の歴史、石器時代から21世紀まで」の記事参考</ref>。 |
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手袋の歴史は少なくとも[[古代ギリシア]]時代に遡る。[[ホメロス]]の『[[オデュッセイア]]』のいくつかの[[翻訳]]によると、オデュッセウスの父[[ラーエルテース]]は庭を歩く時に手袋をしていたとしている。しかし、他の翻訳によると、ただ[[袖]]で手を覆っただけである。[[紀元前5世紀|紀元前440年]]に書かれた[[ヘロドトス]]の著書『[[歴史 (ヘロドトス)|歴史]]』の中に[[レオテュキデス (スパルタ王)|レオテュキデス]]という人物が手袋、あるいはガントレット一杯の[[銀貨]]を[[賄賂]]として受け取った罪に問われていることが記述されている。古代ローマ人の記述の中にも、度々手袋が登場する。西暦[[100年]]前後に活躍した[[ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス|小プリニウス]]によると、[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|大プリニウス]]は馬車に乗車中に口述筆記させていた[[速記者]]に[[冬]]の間は手袋を着用させ寒さの中でも文章を書けるようにしていたという。 |
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文献上では、[[古代ギリシア]]時代に遡る。[[ホメロス]]の『[[オデュッセイア]]』のいくつかの[[翻訳]]によると、オデュッセウスの父[[ラーエルテース]]は庭を歩く時に手袋をしていたとしている。しかし、他の翻訳によると、ただ[[袖]]で手を覆っただけである。[[紀元前5世紀|紀元前440年]]に書かれた[[ヘロドトス]]の著書『[[歴史 (ヘロドトス)|歴史]]』の中に[[レオテュキデス (スパルタ王)|レオテュキデス]]という人物が手袋、あるいはガントレット一杯の[[銀貨]]を[[賄賂]]として受け取った罪に問われていることが記述されている。古代ローマ人の記述の中にも、度々手袋が登場する。西暦[[100年]]前後に活躍した[[ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス|小プリニウス]]によると、[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|大プリニウス]]は馬車に乗車中に口述筆記させていた[[速記者]]に[[冬]]の間は手袋を着用させ寒さの中でも文章を書けるようにしていたという。 |
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[[ファッション]]、[[儀式]]、それに[[宗教]]のために手袋は用いられる。[[13世紀]] |
[[ファッション]]、[[儀式]]、それに[[宗教]]のために手袋は用いられる。[[13世紀]]頃から[[ヨーロッパ]]では女性の間でファッションとして手袋を着用するようになった。[[リネン]]や[[絹]]でできており、時には肘まである手袋が広まっていた。[[16世紀]]に[[イギリス]]の女王[[エリザベス1世]]が[[宝石]]や[[刺繍]]、[[レース (手芸)|レース]]で豪華に装飾されたものを着用した時に、手袋の流行は頂点に達した。[[オペラグローブ]]と呼ばれる肘上から[[腕#腕を表す日本語|二の腕]]まで至る長い手袋がエリザベス1世女王、[[カトリーヌ・ド・メディシス|キャサリンデメディチ]]王妃、[[メアリー2世]]女王などの[[王族]]によって[[愛用]]された。長い手袋は貴族や王族と密接に関連しており、数千年の[[王族]]と[[権威]]の[[象徴]]とされ、多くの架空の[[女王]]、[[王女]]、[[貴族]]は[[ドレス]]の一部としてそれらを身に着けているように描かれている<ref>[https://allthetropes.org/wiki/Opera_Gloves All The Tropes : Opera Gloves are ~]</ref>。 |
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刺繍と宝石で装飾された手袋は[[皇帝]]や[[王]]の[[徽章]]の一部となっている。[[1189年]]に[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]が埋葬された時には、[[戴冠式]]のときに着用した[[ローブ]]と[[西洋の冠|王冠]]、それに手袋とも共に埋められたと、[[マシュー・ペリー]]は記録している。[[1797年]]に[[ジョン (イングランド王)|イングランド王のジョン]]の墓を開いた時、それに[[1774年]]に[[エドワード1世 (イングランド王)|エドワード1世]]の墓を開いた時にも、手袋が発見されている。 |
刺繍と宝石で装飾された手袋は[[皇帝]]や[[王]]の[[徽章]]の一部となっている。[[1189年]]に[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]が埋葬された時には、[[戴冠式]]のときに着用した[[ローブ]]と[[西洋の冠|王冠]]、それに手袋とも共に埋められたと、[[マシュー・ペリー]]は記録している。[[1797年]]に[[ジョン (イングランド王)|イングランド王のジョン]]の墓を開いた時、それに[[1774年]]に[[エドワード1世 (イングランド王)|エドワード1世]]の墓を開いた時にも、手袋が発見されている。 |
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祭服としての手袋は、主に[[教皇]]や[[枢機卿]]、僧侶たちが着用している。教義により[[ミサ]]を祝う時にのみ着用を許されている。 |
祭服としての手袋は、主に[[カトリック教会]]の[[教皇]]や[[枢機卿]]、僧侶たちが着用している。教義により[[ミサ]]を祝う時にのみ着用を許されている。この習慣は[[10世紀]]に遡り、儀式の際に手をきれいにしておきたいという単純な欲求が始まりかも知れないが、[[特権階級]]として豊かになった聖職者たちが己の身を飾るためにつけたものが始まりかも知れない。[[フランク王国]]から[[ローマ]]にこの習慣は広まり、[[11世紀]]の前半にはローマでも一般的になった。 |
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日本では、鎌倉時代に |
日本では、[[鎌倉時代]]に武士が身につける[[籠手]]として発達した。当時は「手覆」(ておおい)とも呼ばれた。日本の手袋は分類して、「[[藁]]手袋」と「[[布]]手袋」に別けられ<!-- 後述書 p.10. -->、藁製は拇指と四指の二分に分かれている<!-- 後述書 p.10. -->。[[民俗学]]の分野では、布製も「ワラテ」と呼ぶことから、布製は藁製よりのちに作られるようになったと考察される<ref>文化庁文化財保護部監修 『日本民俗資料事典』 [[第一法規]] 1969年 p.10.p.11に[[青森県]][[上北郡|上北地方]]の藁手袋の写真が載せられている。</ref>。 |
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15 - 16世紀に[[南蛮貿易]]によって西洋式の手袋が輸入され、珍重された。やがて国内生産も始まり、手袋づくりは貧乏武士の[[内職]]として盛んになっていく。手袋は[[俳句]]における冬の[[季語]]でもある。 |
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女性[[皇族]]は常に白の手袋を携帯しているが、これは[[帽子]]と共にその[[貴族]]性を象徴する為の物である。 |
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女性[[皇族]]は常に白の手袋を携帯しているが、これは[[帽子]]と共にその[[貴族]]性を象徴する為の物である。[[皇室]]の[[晩餐会]]や儀式などの特別に改まった場面において[[ローブ・デコルテ]]と併せて[[オペラグローブ]]を着用し、[[ティアラ]](小さな王冠)を付けることを基本としており、[[宮中]]ではこれを女性の最上級礼装としている<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=kX25DAAAQBAJ&pg=PT142&lpg=PT142&dq=%22%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96%22+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A4%BC%E5%84%80%E4%BD%9C%E6%B3%95%EF%BD%9E%E5%AE%AE%E5%AE%B6%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%97%E3%81%88%EF%BD%9E&source=bl&ots=qAlsFRaFiO&sig=-wp9YK4g0o7JO5QGPSOIgYWRhTI&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwierv29j8bbAhVFUrwKHRhBAAYQ6AEIKDAA#v=onepage&q=%22%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96%22%20%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A4%BC%E5%84%80%E4%BD%9C%E6%B3%95%EF%BD%9E%E5%AE%AE%E5%AE%B6%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%97%E3%81%88%EF%BD%9E&f=false 日本の礼儀作法~宮家のおしえ~]</ref>。 |
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[[北海道]][[アイヌ]]の手袋は[[テン]]や[[イヌ]]の毛皮が多用された<ref>[[山崎幸治]]『もっと知りたいアイヌの美術』[[東京美術]]、2022年、p.19.</ref>。 |
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== 分類・種類 == |
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さまざまな分類法がある。 |
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ひとつは最初に説明したように、形状で ミトン / グラブ と分類する方法である。 指が露出している形状は[[フィンガーレスグローブ]]と分類し、腕まで覆うタイプを[[アームカバー]]と分類する。 |
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ほかには使用目的で分類する方法もあり、医療用 / スポーツ用 / 作業用手袋 / 運転用手袋...といった分類がある。 |
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=== スポーツ・武道用手袋 === |
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スポーツ用もさらに下位分類することができ [[ボクシンググローブ|ボクシング用]] / [[スキー用手袋|スキー用]] /サッカー用 / 野球用 / ダイビング用...などと多種類ある。 |
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なお[[ゴルフ]]用や、[[サッカー]]の[[ゴールキーパーグローブ|ゴールキーパー用]]などは、手の保護に加えて、掴んだものを滑りにくくする[[滑り止め|グリップ性]]も重視している。 |
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野球用[[グラブ (野球)|グラブ]]・[[ミット]]、[[ボクシンググローブ]]など競技ごとに特化した手袋も存在する。<br> |
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ただし一般的に専用の形状をしている物は手袋とは呼ばない事が多く、グローブなどと呼ぶ事が多い。 |
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;サッカー用 |
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:[[サッカー]]用としては、チームでただひとり手を使う選手、ゴールキーパーが着用する手袋、[[ゴールキーパーグローブ]]が重要である。 |
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;野球用 |
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:[[野球]]は手袋が捕球のための道具として進化してきた歴史がある。ピッチャーや野手が使う[[グラブ (野球)|野球用グラブ]]や、キャッチャーが使う[[ミット]]がある。バッターが使う{{仮リンク|バッティンググローブ|en|Batting glove}}もある。 |
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;スキー用 |
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:スキー用手袋は、米国の輸入カテゴリーとしては次の項目を満たすものと定義されている: 1.[[ナスカン]]がついていること、2.掌側に補強層があること、3.[[甲]]側[[関節]]部に補強層があること、4.[[手首]]に伸縮処理があること。 |
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;ダイビング用 |
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:[[ダイビング]]{{要曖昧さ回避|date=2023年5月}}に使う手袋はダイビング・グローブと言う。 |
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;鷹狩用 |
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:[[鷹狩]]は世界のさまざまな地域で行われているが、英語では手袋タイプはglove、甲がけタイプはgauntletと分類し、(falcon用は)falconry gloveやfalconry gauntlet, (eagle用は)eagle gloveやeagle gauntletと言う。日本の鷹匠用のものは「餌掛け」(えがけ、ゆがけ)などと言い、鹿革でつくる{{r|jfa}}。 |
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;弓道用 |
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:日本の弓道用には「[[ゆがけ]]」という手袋がある。 |
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;剣道用 |
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:剣道用には[[籠手]](こて)という手袋がある。 |
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== 用途 == |
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=== 医療用手袋 === |
=== 医療用手袋 === |
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[[File:Disposable_nitrile_glove.jpg|thumb|right|医療用ゴム手袋]] |
[[File:Disposable_nitrile_glove.jpg|thumb|150px|right|医療用ゴム手袋]] |
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[[手術]]や[[鑑識]]の際に着用される医療用手袋の基礎となるゴム手袋は「レジデント制度の父」と呼ばれる[[ジョンズ・ホプキンス大学]]の[[ウィリアム・スチュワート・ハルステッド]]が[[1890年]]に自身の恋人であった[[看護婦]]のキャロラインの為に発案した |
[[手術]]や[[鑑識]]の際に着用される医療用手袋の基礎となるゴム手袋は、「レジデント制度の父」と呼ばれる[[ジョンズ・ホプキンス大学]]の[[ウィリアム・スチュワート・ハルステッド]]が[[1890年]]に自身の恋人であった[[看護婦]]のキャロラインの為に発案した。 |
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当時は消毒のために強力な[[消毒薬|消毒液]]に手を漬けて手術に挑まなければならず、手の皮膚が弱いキャロラインが消毒液による手荒れを防げるよう、ゴム手袋を発案した。殺菌性についても、既存の消毒液に手を漬けて行うものよりも強力であったために注文が殺到し、全世界の手術の現場で普及することになる<ref>{{Cite web|和書|date= 2005-11-15|url= http://www.shin-toku.com/others/column/vol009.html|title= 院長コラム Vol.09 外科医の恋心から生まれた手術用手袋|publisher= 医療法人徳洲会 新庄徳洲会病院|accessdate=2016-08-27}}</ref>。 |
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=== スポーツ用手袋 === |
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[[サッカー]]の[[ゴールキーパーグローブ]]や[[野球]]の{{仮リンク|バッティンググローブ|en|Batting glove}}、[[ゴルフ]]用、ドライブ用などのものは通常の手袋の目的の一つである手の保護以外にも、掴んだものを滑りにくくする[[滑り止め|グリップ性]]を重視している。 |
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ちなみにその後、二人はこのことがきっかけで結婚することになったが、当のキャロラインはハルステッドと結婚して看護婦を引退したため、このゴム手袋を使うことは無かった。ラテックス製の手袋は、[[1964年]]に[[オーストラリア]]の[[アンセル]]社が開発した。 |
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野球用[[グラブ (野球)|グラブ]]・[[ミット]]、[[ボクシンググローブ]]、[[乗車用手袋]]の様に特殊な用途に特化したものも存在する。 |
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一般に[[食品産業]]や精密作業などで使用されるものは、100枚や50枚単位で箱に収め、ポップアップして使えるようになったものが利用されている。一方、手術用は衛生管理のため一双ずつ梱包してある。更に[[感染症]]を防ぐため[[滅菌]]処理を行っているため、価格も10倍以上違う。 |
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=== 作業用手袋 === |
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[[工場]]や[[農作業]]での作業用として用いられる手袋は一般に[[軍手]]を指す場合が多いので、軍手の項目を参照のこと。また、水仕事などを行うために用いられる[[ゴム]]製や[[合成樹脂]]製の手袋もある。油や[[電動工具]]の[[研磨]]などを取り扱う場合は怪我防止や[[粉塵]]に触れないために[[皮革#豚|豚革]]や[[皮革#牛|牛革]]の手袋を使うこともある(軍手は繊維を巻き込むので危険のため使えない)。シンナーやトルエンなどの溶剤は専用のゴム手袋を使う。 |
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2020年現在、世界で使われる医療用手袋の生産量の3/5はマレーシアで生産されている。同年3月から4月にかけて、マレーシア国内で[[SARSコロナウイルス2|新型コロナウイルス]]の感染拡大に伴い[[ロックアウト]]が実施された際には、医療用手袋の供給不安を招いた<ref>{{Cite web|和書|date=2020-03-28 |url=https://jp.reuters.com/article/medical-glove-coronavirus-idJPKBN21E0G8 |title=医療用手袋が世界で不足、最大の生産国マレーシア封鎖 |publisher=ロイター |accessdate=2020-03-27}}</ref>。 |
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=== 礼装用手袋(ドレスグローブ) === |
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[[モーニングコート]]等の[[礼服]]に用いられたり、[[警備員]]が[[手旗]]の代わりに用いたり、タクシー等の[[運転手]]が礼装をアピールしたり手やハンドルを汚さない為に用いる。なお、礼服ではドレスグローブという言い方をし、[[ボタン (服飾)|ボタン]]かスナップで留めるのが特徴。材質は革か布、色は白か灰色である。礼装は白・灰共に用いられ、ピンタックという三ツ山の装飾が外側に付いている。女性向けの礼装用ドレスグローブには、二の腕あたりまですっぽりと覆うロンググローブタイプのもの([[オペラ・グローブ]])もある。 |
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=== 作業・運転用手袋 === |
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== 色 == |
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[[工場]]や[[農作業]]、[[工事]]現場での作業時には[[軍手]]をはめる場合が多い。軍手は防水性がないため、水仕事など液体を扱う時には[[ゴム]]製や[[合成樹脂]]製の手袋を、油や[[電動工具]]の[[研磨]]などを取り扱う場合は、怪我防止や[[粉塵]]に触れないために[[皮革#豚|豚革]]や[[皮革#牛|牛革]]の手袋を使うこともある(軍手は繊維を巻き込み危険なので使えない)。[[シンナー]]や[[トルエン]]などを扱う時は、[[溶剤]]専用のゴム手袋を使う。 |
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作業用は白が多い。一部の警備会社では略して「白手」(しろて)と呼ぶ。本来は[[燕尾服]]や[[タキシード]]など夜の正装に用いて、モーニングコートなど昼には用いなかったが現在は関係なく用いられている。色は白が幅広く用いられているが厳密には燕尾服には白、モーニングコート・[[フロックコート]]には灰色、タキシードは黒となっている([[背広]]で代用した場合も同じ)が現在は気にせず白や灰色を用いることも多い。[[弔事]]には服装を問わず灰色や黒を用いる。 |
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また、[[自動車]]や[[オートバイ]]、[[自転車]]などを運転する時に滑り止めや防寒や安全のために、そのほか、[[警備員]]が[[手旗]]の代わりに用いたり、タクシー等の[[運転手]]が礼装をアピールしたり手やハンドルを汚さないために用いる。 |
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== 種類 == |
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* [[アームカバー]] |
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{{See also|耐熱手袋}} |
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* [[グラブ (野球)]]・[[ミット]] |
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* [[ゴールキーパーグローブ]] |
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=== スマホ用手袋 === |
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[[スマートフォン]]の操作に必要な指が発する[[静電気]]や[[指紋]]認証を妨げないように、導電性素材の使用や形状が工夫されている<ref>[https://time-space.kddi.com/digicul-column/digicul-joho/20171122/2168 手袋でも指紋認証可能!この冬おすすめの最新スマホ手袋3選&Androidの便利ワザ]KDDI「TIME&SPACE」(2017年11月22日)2018年2月11日閲覧</ref>。逆にタブレットPCで静電容量式スタイラスを用いるときに物理的にパームリジェクション機能を実現するための小指、薬指のみの絶縁体手袋もある。 |
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** 米国の輸入カテゴリーとして次の項目を満たすものと定義されている: ナスカンがついていること、掌側に補強層があること、甲側関節部に補強層があること、手首に伸縮処理があること。 |
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* [[ボクシンググローブ]] |
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=== 礼装用手袋 === |
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* [[フィンガーレスグローブ]] |
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[[File:Debutante-dress.jpg|thumb|180px|白の[[ボールガウン]]と[[オペラグローブ]]]] |
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* ミトン |
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{{main|オペラグローブ}} |
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** 親指と他の指を入れるところが二股に分かれている手袋。 |
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[[イブニングドレス]]や[[ウェディングドレス]]等の女性[[礼服]]に用いられる<ref>[http://hac.cside.com/manner/4shou/21setu.html#k2 作法心得 第4章-美容と服装 第21節-女子礼服の細部]</ref>長い手袋を[[:en:Evening glove|イブニンググローブ]]という。材質は革か布、色は白か黒色が多いが[[慶事]]では白色が主流である<ref>[https://www.gentlemansgazette.com/tuxedo-black-tie-guide/advanced/black-tie-white-women/ WHITE TIE DRESS CODE FOR WOMEN]</ref><ref>[https://www.mannersmentor.com/six-easy-tips-for-knowing-what-to-wear/ Six Easy Tips for Understanding Dress Codes and Knowing What to Wear]</ref>。手袋の長さはドレスの[[袖]]の長さによって選ぶべきもので<ref>[http://hac.cside.com/manner/4shou/26setu.html 作法心得 第4章-美容と服装 第26節-手袋]</ref>、袖が短いほど手袋は長くなり、袖なし([[ノースリーブ]])のイブニングドレスでは肘より上までの長いものも用いる<ref>[https://www.shibuya-and.tokyo/knowledge/gloves-2/ 解説:「新・田中千代服飾事典」より]</ref>。ウェディングドレスでは長い手袋ほど[[礼服|フォーマル]]性が高く、特に長いものは肘上から二の腕あたりまですっぽりと覆う長さがあり、これをオペラグローブという。 |
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* [[ゆがけ]] |
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* [[籠手]] |
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また、警察官や消防吏員も、[[出初式]]や年頭出動訓練など、礼装の際には白手袋をはめる。 |
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* [[乗車用手袋]] |
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=== 神事用手袋 === |
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[[神社]]で[[神職]]が[[御霊代]]奉戴などを行う時、手が触れないように専用の手袋を用いる。白布製で拇指と四指とに分けた仕立てで、手元の紐で手首を括るようになっている<ref>神社本庁『神社有職故実』1951年7月15日発行全129頁中70頁</ref>。 |
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== 色 == |
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作業用は白が多い。一部の警備会社では略して「白手」(しろて)と呼ぶ。本来は[[燕尾服]]や[[タキシード]]など夜の正装に用いて、モーニングコートなど昼には用いなかったが現在は昼夜関係なく用いられている。色は白が幅広く用いられているが厳密には燕尾服には白、モーニングコート・[[フロックコート]]には灰色、タキシードは黒となっている([[背広]]で代用した場合も同じ)が現在は気にせず白や灰色を用いることも多い。[[ウェディングドレス]]の場合は、手袋の色はドレスの色を乱さないよう白色が[[世界標準|標準]]である。[[弔事]]には服装を問わず灰色や黒を用いる。 |
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== 製造方法 == |
== 製造方法 == |
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* 工程:裁断後、マチを介し掌と甲を縫い合わせ、親指をつける。裏地も同様に縫製したあと本体に挿入し指先を本体に止める。手首を縫い合せる(折り返しやパイピングなど)。手の型をした金属片または[[アイロン]]にかぶせ熱で[[アイロン]]がけする。検品後、タグ付けし袋詰めする。 |
* 工程:裁断後、マチを介し掌と甲を縫い合わせ、親指をつける。裏地も同様に縫製したあと本体に挿入し指先を本体に止める。手首を縫い合せる(折り返しやパイピングなど)。手の型をした金属片または[[アイロン]]にかぶせ熱で[[アイロン]]がけする。検品後、タグ付けし袋詰めする。 |
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* [[毛糸]]手袋や[[軍手]]は縫製ではなく編み([[ニット]])手袋で、軍手は右手・左手に関係なく親指を広げた平面に全体を編む。対して毛糸手袋は本体を円筒形に編み、親指は後付する。ニットの伸縮性により手首の柔軟性に問題はない。手を入れると手の大きさにあわせて全体が拡張する「のびる手袋」は、弾力性のある糸で編んだあと洗濯して縮ませ、アイロンをかける。 |
* [[毛糸]]手袋や[[軍手]]は縫製ではなく編み([[ニット]])手袋で、軍手は右手・左手に関係なく親指を広げた平面に全体を編む。対して毛糸手袋は本体を円筒形に編み、親指は後付する。ニットの伸縮性により手首の柔軟性に問題はない。手を入れると手の大きさにあわせて全体が拡張する「のびる手袋」は、弾力性のある糸で編んだあと洗濯して縮ませ、アイロンをかける。 |
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== 日本と手袋 == |
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なお、日本では「革又は合成皮革を製品の全部又は一部に使用して製造した手袋」について、[[家庭用品品質表示法]]の適用対象となっており、雑貨工業品品質表示規程に定めがある<ref name="caa">{{Cite web|和書|url=http://www.caa.go.jp/hinpyo/law/law_07.html|title=雑貨工業品品質表示規程|publisher=消費者庁|accessdate=2013-05-23}}</ref>。 |
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== 用語 == |
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*三本飾り |
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== 「片手袋」にまつわる文化 == |
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通常は2つで1セットとして扱われる手袋が、不注意などで片方だけ[[遺失物|落とし物]]となり、路上などに放置されることがある。こうした「片手袋」に注目する人もおり、[[ドイツ]]の[[版画]]家[[マックス・クリンガー]]は1880年代、こうした片手袋を女性が拾ったことから始まる連作『手袋』を制作した。 |
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アメリカの俳優[[トム・ハンクス]]は街などで見掛けた落とし物を[[Twitter]]で発信しており、その中には片手袋も多い<ref>[https://www.buzzfeed.com/jp/juliareinstein/tom-saving-gloves?utm_term=.irAKWnEmw#.bgdlw0Yex トム・ハンクスが、なぜが「街の落し物」をツイートし続けている]BuzzFeed(2016年3月22日)2018年2月11日閲覧</ref>。 |
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日本でも石井公二が片手袋の写真を数千枚撮影し、場所や状況などを記録・分類する研究を行っている<ref>[http://katatebukuro.com/index.html 片手袋大全](2018年2月11日閲覧)</ref><ref>「ワンダフルライフ:“片手袋”のある風景を撮り続けて13年。東京という大都市で人生が交差する――石井 公二さん」[https://www.bigissue.jp/backnumber/326/ 『ビッグイシュー日本版』326号]</ref>。 |
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*[[決闘]]:欧米では、白手袋を相手に投げる、又はそれで相手を叩いて決闘の挑戦とする伝統があった。 |
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== 外部リンク == |
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2024年12月5日 (木) 11:58時点における最新版
手袋(てぶくろ)とは、人の手を熱や寒さや危険物から保護するため、もしくは装飾のために利用される、手(形態によっては腕やその一部を含む)を覆う衣服[1]である。
親指用と、他の指をまとめて入れるスペースが二つに分かれている手袋は、北海道方言でぼっこ手袋(「ぼっこ」は棒の意)、英語ではmitten[2] (ミトン)と呼ぶ[1]。それに対して5本指に分かれたものは英語では「glove グラブ(グローブ)」と呼んでいる[2]。 また、5本指型で指が露出するタイプのものもあり[1]、「オープンフィンガーグローブ」や「指抜きグローブ」などと呼ばれる。
手袋の素材は多様で、綿や羅紗、ポリエステル、ナイロン、アクリル繊維の布、毛糸、フェルト、牛や豚や羊の革・人造皮革、ゴム、ラテックス、ニトリル、金属、耐熱手袋にはアラミド繊維やシリコン樹脂も使われている。柔らかい布地で作られたウォッシンググローブ (英: washing glove) というものがあり、体を洗うのに使う。
数量単位は双。10双をデカ、12双をダースとして取引に用いられる。
- さまざまな手袋
使用目的
[編集]手袋を着用する主な目的は手の保護である。冬の防寒具としては一般的であるほか、季節を問わず火傷や擦り傷、切り傷の防止、さらに汚れや素手で触ることが危険な化学物質、病原体からも手を保護する。ニトリル製、ラテックスやビニル製の使い捨て手袋は、医療従事者の間で感染症を防ぐ有効な手段として使われている。直接手に触れることで価値や有効性が減る対象物を、人間の皮脂などから保護するためにも手袋は装着される。例として各種製造過程での製品接触、美術品や骨董品の取り扱い、警察の捜査等がある。
フィンガーレスグローブは寒さから手を守る必要があり、なおかつ指先を自由に使えることが必要な状況で用いられる。手袋の中には、手首までではなく肘近くまで保護するものもあり、これらをガントレット(籠手)と呼んで区別することもある。
手を保護する必要がない場合でも、装身具として用いられることも多い。
生産地
[編集]世界中で手袋は生産されており、各家庭で編まれることも多い[注釈 1]。
フランス、イタリア、デンマーク、ハンガリーやカナダでは高価な女性用のブランド物手袋が作られている。アメリカ合衆国ニューヨーク州、特にグラバーズヴィルは手袋の産地であったことが知られているが、近年では多くの手袋が東アジアで作られている。日本では、国内製手袋の約90%が香川県東かがわ市周辺で作られている。
歴史
[編集]現存する手袋で最古のものは古代エジプトのツタンカーメン王の墓から発見されたもので、紀元前1343年 - 前1323年のものとされ、手首でむすぶタイプの麻製のものとされる[3]。
文献上では、古代ギリシア時代に遡る。ホメロスの『オデュッセイア』のいくつかの翻訳によると、オデュッセウスの父ラーエルテースは庭を歩く時に手袋をしていたとしている。しかし、他の翻訳によると、ただ袖で手を覆っただけである。紀元前440年に書かれたヘロドトスの著書『歴史』の中にレオテュキデスという人物が手袋、あるいはガントレット一杯の銀貨を賄賂として受け取った罪に問われていることが記述されている。古代ローマ人の記述の中にも、度々手袋が登場する。西暦100年前後に活躍した小プリニウスによると、大プリニウスは馬車に乗車中に口述筆記させていた速記者に冬の間は手袋を着用させ寒さの中でも文章を書けるようにしていたという。
ファッション、儀式、それに宗教のために手袋は用いられる。13世紀頃からヨーロッパでは女性の間でファッションとして手袋を着用するようになった。リネンや絹でできており、時には肘まである手袋が広まっていた。16世紀にイギリスの女王エリザベス1世が宝石や刺繍、レースで豪華に装飾されたものを着用した時に、手袋の流行は頂点に達した。オペラグローブと呼ばれる肘上から二の腕まで至る長い手袋がエリザベス1世女王、キャサリンデメディチ王妃、メアリー2世女王などの王族によって愛用された。長い手袋は貴族や王族と密接に関連しており、数千年の王族と権威の象徴とされ、多くの架空の女王、王女、貴族はドレスの一部としてそれらを身に着けているように描かれている[4]。
刺繍と宝石で装飾された手袋は皇帝や王の徽章の一部となっている。1189年にヘンリー2世が埋葬された時には、戴冠式のときに着用したローブと王冠、それに手袋とも共に埋められたと、マシュー・ペリーは記録している。1797年にイングランド王のジョンの墓を開いた時、それに1774年にエドワード1世の墓を開いた時にも、手袋が発見されている。
祭服としての手袋は、主にカトリック教会の教皇や枢機卿、僧侶たちが着用している。教義によりミサを祝う時にのみ着用を許されている。この習慣は10世紀に遡り、儀式の際に手をきれいにしておきたいという単純な欲求が始まりかも知れないが、特権階級として豊かになった聖職者たちが己の身を飾るためにつけたものが始まりかも知れない。フランク王国からローマにこの習慣は広まり、11世紀の前半にはローマでも一般的になった。
日本では、鎌倉時代に武士が身につける籠手として発達した。当時は「手覆」(ておおい)とも呼ばれた。日本の手袋は分類して、「藁手袋」と「布手袋」に別けられ、藁製は拇指と四指の二分に分かれている。民俗学の分野では、布製も「ワラテ」と呼ぶことから、布製は藁製よりのちに作られるようになったと考察される[5]。
15 - 16世紀に南蛮貿易によって西洋式の手袋が輸入され、珍重された。やがて国内生産も始まり、手袋づくりは貧乏武士の内職として盛んになっていく。手袋は俳句における冬の季語でもある。
女性皇族は常に白の手袋を携帯しているが、これは帽子と共にその貴族性を象徴する為の物である。皇室の晩餐会や儀式などの特別に改まった場面においてローブ・デコルテと併せてオペラグローブを着用し、ティアラ(小さな王冠)を付けることを基本としており、宮中ではこれを女性の最上級礼装としている[6]。
分類・種類
[編集]さまざまな分類法がある。
ひとつは最初に説明したように、形状で ミトン / グラブ と分類する方法である。 指が露出している形状はフィンガーレスグローブと分類し、腕まで覆うタイプをアームカバーと分類する。
ほかには使用目的で分類する方法もあり、医療用 / スポーツ用 / 作業用手袋 / 運転用手袋...といった分類がある。
スポーツ・武道用手袋
[編集]スポーツ用もさらに下位分類することができ ボクシング用 / スキー用 /サッカー用 / 野球用 / ダイビング用...などと多種類ある。
なおゴルフ用や、サッカーのゴールキーパー用などは、手の保護に加えて、掴んだものを滑りにくくするグリップ性も重視している。
野球用グラブ・ミット、ボクシンググローブなど競技ごとに特化した手袋も存在する。
ただし一般的に専用の形状をしている物は手袋とは呼ばない事が多く、グローブなどと呼ぶ事が多い。
- サッカー用
- サッカー用としては、チームでただひとり手を使う選手、ゴールキーパーが着用する手袋、ゴールキーパーグローブが重要である。
- 野球用
- 野球は手袋が捕球のための道具として進化してきた歴史がある。ピッチャーや野手が使う野球用グラブや、キャッチャーが使うミットがある。バッターが使うバッティンググローブもある。
- スキー用
- スキー用手袋は、米国の輸入カテゴリーとしては次の項目を満たすものと定義されている: 1.ナスカンがついていること、2.掌側に補強層があること、3.甲側関節部に補強層があること、4.手首に伸縮処理があること。
- ダイビング用
- ダイビング[要曖昧さ回避]に使う手袋はダイビング・グローブと言う。
- 鷹狩用
- 鷹狩は世界のさまざまな地域で行われているが、英語では手袋タイプはglove、甲がけタイプはgauntletと分類し、(falcon用は)falconry gloveやfalconry gauntlet, (eagle用は)eagle gloveやeagle gauntletと言う。日本の鷹匠用のものは「餌掛け」(えがけ、ゆがけ)などと言い、鹿革でつくる[8]。
- 弓道用
- 日本の弓道用には「ゆがけ」という手袋がある。
- 剣道用
- 剣道用には籠手(こて)という手袋がある。
医療用手袋
[編集]手術や鑑識の際に着用される医療用手袋の基礎となるゴム手袋は、「レジデント制度の父」と呼ばれるジョンズ・ホプキンス大学のウィリアム・スチュワート・ハルステッドが1890年に自身の恋人であった看護婦のキャロラインの為に発案した。
当時は消毒のために強力な消毒液に手を漬けて手術に挑まなければならず、手の皮膚が弱いキャロラインが消毒液による手荒れを防げるよう、ゴム手袋を発案した。殺菌性についても、既存の消毒液に手を漬けて行うものよりも強力であったために注文が殺到し、全世界の手術の現場で普及することになる[9]。
ちなみにその後、二人はこのことがきっかけで結婚することになったが、当のキャロラインはハルステッドと結婚して看護婦を引退したため、このゴム手袋を使うことは無かった。ラテックス製の手袋は、1964年にオーストラリアのアンセル社が開発した。
一般に食品産業や精密作業などで使用されるものは、100枚や50枚単位で箱に収め、ポップアップして使えるようになったものが利用されている。一方、手術用は衛生管理のため一双ずつ梱包してある。更に感染症を防ぐため滅菌処理を行っているため、価格も10倍以上違う。
2020年現在、世界で使われる医療用手袋の生産量の3/5はマレーシアで生産されている。同年3月から4月にかけて、マレーシア国内で新型コロナウイルスの感染拡大に伴いロックアウトが実施された際には、医療用手袋の供給不安を招いた[10]。
作業・運転用手袋
[編集]工場や農作業、工事現場での作業時には軍手をはめる場合が多い。軍手は防水性がないため、水仕事など液体を扱う時にはゴム製や合成樹脂製の手袋を、油や電動工具の研磨などを取り扱う場合は、怪我防止や粉塵に触れないために豚革や牛革の手袋を使うこともある(軍手は繊維を巻き込み危険なので使えない)。シンナーやトルエンなどを扱う時は、溶剤専用のゴム手袋を使う。
また、自動車やオートバイ、自転車などを運転する時に滑り止めや防寒や安全のために、そのほか、警備員が手旗の代わりに用いたり、タクシー等の運転手が礼装をアピールしたり手やハンドルを汚さないために用いる。
スマホ用手袋
[編集]スマートフォンの操作に必要な指が発する静電気や指紋認証を妨げないように、導電性素材の使用や形状が工夫されている[11]。逆にタブレットPCで静電容量式スタイラスを用いるときに物理的にパームリジェクション機能を実現するための小指、薬指のみの絶縁体手袋もある。
礼装用手袋
[編集]イブニングドレスやウェディングドレス等の女性礼服に用いられる[12]長い手袋をイブニンググローブという。材質は革か布、色は白か黒色が多いが慶事では白色が主流である[13][14]。手袋の長さはドレスの袖の長さによって選ぶべきもので[15]、袖が短いほど手袋は長くなり、袖なし(ノースリーブ)のイブニングドレスでは肘より上までの長いものも用いる[16]。ウェディングドレスでは長い手袋ほどフォーマル性が高く、特に長いものは肘上から二の腕あたりまですっぽりと覆う長さがあり、これをオペラグローブという。
また、警察官や消防吏員も、出初式や年頭出動訓練など、礼装の際には白手袋をはめる。
神事用手袋
[編集]神社で神職が御霊代奉戴などを行う時、手が触れないように専用の手袋を用いる。白布製で拇指と四指とに分けた仕立てで、手元の紐で手首を括るようになっている[17]。
色
[編集]作業用は白が多い。一部の警備会社では略して「白手」(しろて)と呼ぶ。本来は燕尾服やタキシードなど夜の正装に用いて、モーニングコートなど昼には用いなかったが現在は昼夜関係なく用いられている。色は白が幅広く用いられているが厳密には燕尾服には白、モーニングコート・フロックコートには灰色、タキシードは黒となっている(背広で代用した場合も同じ)が現在は気にせず白や灰色を用いることも多い。ウェディングドレスの場合は、手袋の色はドレスの色を乱さないよう白色が標準である。弔事には服装を問わず灰色や黒を用いる。
製造方法
[編集]手袋製造のポイントは、親指の位置に起因する3次元性と、着脱時手幅と装着時手首幅の両方を受け入れる手首部分の柔軟性にある。
- ラテックスを含むゴム手袋は、手の形をした立体型に層を形成して製造する。素材の伸縮性により手首の柔軟性に問題はない。
- 裁断方法:革手袋や繊維生地手袋(縫い手袋)は、立体性を持たせるため主な裁断方法に「手型」と「ガンカット型」がある。前者は指4本を含む本体(掌と甲)をマチ(手の厚みである指側面)を中間に置いて縫い合わせ、後者は人差指と小指のマチを一体で裁断し 中指と薬指部分をマチ一体で別途裁断して縫い合わせる(中指と薬指の「付け根」を本体に縫い合わせる)。革の作業手袋など素材価格より縫製コストを抑えたい場合や躍動的感覚を持たせたい場合は後者となる。手首は、手が入りやすいように型に広がり(フレア)をつけておくか、ベンツ(開き)をつけておくか、伸縮性のあるマチまたは手首部分の材料を使うかのいずれかを施す。高級皮革手袋では、皮革を事前に湿らせて引き伸ばした状態で粗裁ちし、型抜きするテーブルカットという手法で、皮革自体に伸縮性を持たせる。園芸用やムートン手袋は、生地費用を節約するため、端材を利用できるような裁断・縫製を施すことがある。
- 縫製方法:素材の表面同士を縫い合わせて裏返す「内縫い」、素材の裏面同士をミシンや手で縫う「ゲージ縫い」、素材の裏面同士まつり縫いする「まつり縫い」、素材の表面と裏面をあわせる「ピケ縫い」がある。
- 工程:裁断後、マチを介し掌と甲を縫い合わせ、親指をつける。裏地も同様に縫製したあと本体に挿入し指先を本体に止める。手首を縫い合せる(折り返しやパイピングなど)。手の型をした金属片またはアイロンにかぶせ熱でアイロンがけする。検品後、タグ付けし袋詰めする。
- 毛糸手袋や軍手は縫製ではなく編み(ニット)手袋で、軍手は右手・左手に関係なく親指を広げた平面に全体を編む。対して毛糸手袋は本体を円筒形に編み、親指は後付する。ニットの伸縮性により手首の柔軟性に問題はない。手を入れると手の大きさにあわせて全体が拡張する「のびる手袋」は、弾力性のある糸で編んだあと洗濯して縮ませ、アイロンをかける。
日本と手袋
[編集]なお、日本では「革又は合成皮革を製品の全部又は一部に使用して製造した手袋」について、家庭用品品質表示法の適用対象となっており、雑貨工業品品質表示規程に定めがある[18]。
用語
[編集]- ラテックス (語源:英: latex)
- 編み手袋
- 掌
- 甲
- マチ
- 手首
- 手首広がり
- ベンツ (語源:英: vents)
- ゲージ (語源:英: gauge、gage)
- 内縫い
- まつり
- ピケ (語源:英: pique)
- 半ピケ
- ガンカット (語源:英: guncut)
- 指下(親指最下部から手首までの長さ:一般に日本で売られる物は短い)
- 裏地
- 三本飾り
「片手袋」にまつわる文化
[編集]通常は2つで1セットとして扱われる手袋が、不注意などで片方だけ落とし物となり、路上などに放置されることがある。こうした「片手袋」に注目する人もおり、ドイツの版画家マックス・クリンガーは1880年代、こうした片手袋を女性が拾ったことから始まる連作『手袋』を制作した。
エウゲーニー・M・ラチョフによる民話『てぶくろ』では、片手のみの手袋に様々な動物が入って行く様子が描かれている。
アメリカの俳優トム・ハンクスは街などで見掛けた落とし物をTwitterで発信しており、その中には片手袋も多い[19]。
日本でも石井公二が片手袋の写真を数千枚撮影し、場所や状況などを記録・分類する研究を行っている[20][21]。
「清古尊手形」の収集者として知られる清古尊は、約200枚の片方の軍手を吊り下げて仕立てたマントを制作している[22]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 意匠分類定義カード(B2) 特許庁
- ^ a b 『ブリタニカ国際大百科事典』、手袋
- ^ ナショナルジオグラフィック日本語版公式サイト・2020年7月20日付、「意外とディープな手袋の歴史、石器時代から21世紀まで」の記事参考
- ^ All The Tropes : Opera Gloves are ~
- ^ 文化庁文化財保護部監修 『日本民俗資料事典』 第一法規 1969年 p.10.p.11に青森県上北地方の藁手袋の写真が載せられている。
- ^ 日本の礼儀作法~宮家のおしえ~
- ^ 山崎幸治『もっと知りたいアイヌの美術』東京美術、2022年、p.19.
- ^ "道具について". NPO法人日本鷹匠協会. 2021年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月17日閲覧。
- ^ “院長コラム Vol.09 外科医の恋心から生まれた手術用手袋”. 医療法人徳洲会 新庄徳洲会病院 (2005年11月15日). 2016年8月27日閲覧。
- ^ “医療用手袋が世界で不足、最大の生産国マレーシア封鎖”. ロイター (2020年3月28日). 2020年3月27日閲覧。
- ^ 手袋でも指紋認証可能!この冬おすすめの最新スマホ手袋3選&Androidの便利ワザKDDI「TIME&SPACE」(2017年11月22日)2018年2月11日閲覧
- ^ 作法心得 第4章-美容と服装 第21節-女子礼服の細部
- ^ WHITE TIE DRESS CODE FOR WOMEN
- ^ Six Easy Tips for Understanding Dress Codes and Knowing What to Wear
- ^ 作法心得 第4章-美容と服装 第26節-手袋
- ^ 解説:「新・田中千代服飾事典」より
- ^ 神社本庁『神社有職故実』1951年7月15日発行全129頁中70頁
- ^ “雑貨工業品品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
- ^ トム・ハンクスが、なぜが「街の落し物」をツイートし続けているBuzzFeed(2016年3月22日)2018年2月11日閲覧
- ^ 片手袋大全(2018年2月11日閲覧)
- ^ 「ワンダフルライフ:“片手袋”のある風景を撮り続けて13年。東京という大都市で人生が交差する――石井 公二さん」『ビッグイシュー日本版』326号
- ^ “中学生たちの芸術グループ「チョキサウルス協会」が作品展 廿日市市で20日まで | 中国新聞デジタル”. 中学生たちの芸術グループ「チョキサウルス協会」が作品展 廿日市市で20日まで | 中国新聞デジタル (2024年10月10日). 2024年10月12日閲覧。