「寒ざらし」の版間の差分
m →外部リンク: kotobank 寒晒し |
|||
33行目: | 33行目: | ||
[[岐阜県]]の[[飛騨染]]では、絵柄を[[大豆]]の汁で溶いた[[顔料]]を用いて描いたのち、寒ざらしを行う<ref name="gifu">[[岐阜新聞]]「[http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20150122/201501220843_24159.shtml 雪景色彩る飛騨染 高山市で寒ざらし]」より(2015年01月22日付、2015年1月31日閲覧)。</ref>。これによって発色が良くなるほか<ref name="gifu" />、[[雪]]の作用によって生地の[[漂白]]も行われる<ref>[[朝日新聞デジタル]]「[http://www.asahi.com/articles/ASG1Y4J24G1YOHGB004.html 岐阜)鮮やか 飛騨染の寒ざらし 高山]」より(2015年01月30日付、2015年1月31日閲覧)。</ref>。[[郡上本染]]では[[郡上市]]内を流れる[[吉田川 (郡上市)|吉田川]]で寒ざらしを行う<ref name="gujo">渡辺染物店「[http://www.gujozome.jp/03.html 寒ざらし]」より(2015年1月31日閲覧)。</ref>。[[防染糊|糊]]を落として生地を引き締め、色彩を鮮やかにするというもので、特に[[大寒]]の日に行われる[[こいのぼり]]の寒ざらし作業は、当地の冬の[[風物詩]]となっている<ref name="gujo" />。 |
[[岐阜県]]の[[飛騨染]]では、絵柄を[[大豆]]の汁で溶いた[[顔料]]を用いて描いたのち、寒ざらしを行う<ref name="gifu">[[岐阜新聞]]「[http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20150122/201501220843_24159.shtml 雪景色彩る飛騨染 高山市で寒ざらし]」より(2015年01月22日付、2015年1月31日閲覧)。</ref>。これによって発色が良くなるほか<ref name="gifu" />、[[雪]]の作用によって生地の[[漂白]]も行われる<ref>[[朝日新聞デジタル]]「[http://www.asahi.com/articles/ASG1Y4J24G1YOHGB004.html 岐阜)鮮やか 飛騨染の寒ざらし 高山]」より(2015年01月30日付、2015年1月31日閲覧)。</ref>。[[郡上本染]]では[[郡上市]]内を流れる[[吉田川 (郡上市)|吉田川]]で寒ざらしを行う<ref name="gujo">渡辺染物店「[http://www.gujozome.jp/03.html 寒ざらし]」より(2015年1月31日閲覧)。</ref>。[[防染糊|糊]]を落として生地を引き締め、色彩を鮮やかにするというもので、特に[[大寒]]の日に行われる[[こいのぼり]]の寒ざらし作業は、当地の冬の[[風物詩]]となっている<ref name="gujo" />。 |
||
長野県[[長野市]][[鬼無里村|鬼無里]]では、[[明治|明治時代]]に[[アサ|麻]]の[[糸]]を寒ざらしして[[光沢]]を良くした[[畳]]糸を開発、「氷糸」の[[商標|商品名]]が付けられ、高値で売買された<ref>[[鬼無里村]]「[https://web.archive.org/web/20041205021218/http://www.vill.kinasa.nagano.jp/info/history/history.htm 鬼無里 歴史の旅]」より([[インターネット |
長野県[[長野市]][[鬼無里村|鬼無里]]では、[[明治|明治時代]]に[[アサ|麻]]の[[糸]]を寒ざらしして[[光沢]]を良くした[[畳]]糸を開発、「氷糸」の[[商標|商品名]]が付けられ、高値で売買された<ref>[[鬼無里村]]「[https://web.archive.org/web/20041205021218/http://www.vill.kinasa.nagano.jp/info/history/history.htm 鬼無里 歴史の旅]」より([[インターネットアーカイブ]]、2004年12月5日収集、2015年1月31日閲覧)。</ref>。 |
||
岐阜県[[美濃市]]を流れる[[板取川]]では、[[和紙]]([[美濃和紙]])の原料として用いる[[コウゾ]]の寒ざらしが行われている<ref name="mino">[[美濃市]]「[http://www.city.mino.gifu.jp/pages/18035 2015年1月16日 和紙の原料となるコウゾの寒ざらしが行われました]」より(2015年01月23日更新、2015年1月31日閲覧)。</ref>。流水にさらすことで原料に含まれる[[灰汁]]などを除去・漂白するというもので、[[現代 (時代区分)|現代]]ではあらかじめ用意された[[水槽]]の中で作業を行うことが多くなったが、美濃手すき和紙協同組合では[[伝統工芸|伝統技能]]の継承を目的として、毎年冬の時期に板取川での寒ざらしを行っている<ref name="mino" />。 |
岐阜県[[美濃市]]を流れる[[板取川]]では、[[和紙]]([[美濃和紙]])の原料として用いる[[コウゾ]]の寒ざらしが行われている<ref name="mino">[[美濃市]]「[http://www.city.mino.gifu.jp/pages/18035 2015年1月16日 和紙の原料となるコウゾの寒ざらしが行われました]」より(2015年01月23日更新、2015年1月31日閲覧)。</ref>。流水にさらすことで原料に含まれる[[灰汁]]などを除去・漂白するというもので、[[現代 (時代区分)|現代]]ではあらかじめ用意された[[水槽]]の中で作業を行うことが多くなったが、美濃手すき和紙協同組合では[[伝統工芸|伝統技能]]の継承を目的として、毎年冬の時期に板取川での寒ざらしを行っている<ref name="mino" />。 |
2017年9月5日 (火) 01:28時点における版
寒ざらし(かんざらし、寒晒し)は、食品や布といった物を、寒中の空気や水にさらして置くこと[1]。冬の季語[1]。
食品の寒ざらし
寒中、穀類やじゃがいも、ショウガといった食品を水(寒水)に浸したのち、陰干しすることを「寒ざらし」という[2]。
白玉粉
「寒ざらし粉」の別名をもつ白玉粉は、米粉を寒ざらしすることによって作ることができる[1][2]。長崎県島原市では、冷やした白玉団子に蜜をかけたものを「寒ざらし」と呼んでいる[3]。
蕎麦
蕎麦(蕎麦粉)の製造工程に寒ざらしの手法を用いることがある。秋の新蕎麦を実のままで俵に詰め、清流に寒のうちの30日間、漬けておく。晴天の続いた日を見計らって、よく干し上げる。食べる時は、外皮を取り去り、挽き出すと、色も白く舌ざわりもよい。
『本朝食鑑』では、旧暦12月に、熟した秋蕎麦を粒のままで水に30日間浸した後、立春の日に取り出し日光でよく乾かして、俵に入れ、冷暗所に保管すると、数年を経ても腐ることがない。食する時には必要な量だけ取り出して製粉する、ということが書かれている。
長野県伊那市高遠町は寒冷な土地であり、川もあることから寒ざらしの蕎麦を作るのに適していた。江戸時代には、徳川将軍家への献上品として寒ざらしの蕎麦を送る慣例があった。
山形県では、古文書に基づいて、寒ざらしそばを復活再現している[4]。
岐阜県の高山市荘川でも、荘川そばの店で、寒ざらしそばが期間限定として、毎年6月に出されている[5]。
長野県上水内郡信濃町の郷土料理に、打った蕎麦を寒ざらししてつくる凍り蕎麦がある[6][7][8]。
寒天
ところてんは、原料となるテングサなどの紅藻を煮て溶かし、固めたものであるが、これを凍結・乾燥させたものが寒天である[9]。天然の寒天は、冬に屋外で自然凍結・自然解凍・天日乾燥させることで作ることができ、「寒ざらしで作るところてん」という意味で「寒天」と名付けられた[9]。
布・繊維の寒ざらし
染め物における染色の工程で、寒ざらしの手法を用いることがある。
岐阜県の飛騨染では、絵柄を大豆の汁で溶いた顔料を用いて描いたのち、寒ざらしを行う[10]。これによって発色が良くなるほか[10]、雪の作用によって生地の漂白も行われる[11]。郡上本染では郡上市内を流れる吉田川で寒ざらしを行う[12]。糊を落として生地を引き締め、色彩を鮮やかにするというもので、特に大寒の日に行われるこいのぼりの寒ざらし作業は、当地の冬の風物詩となっている[12]。
長野県長野市鬼無里では、明治時代に麻の糸を寒ざらしして光沢を良くした畳糸を開発、「氷糸」の商品名が付けられ、高値で売買された[13]。
岐阜県美濃市を流れる板取川では、和紙(美濃和紙)の原料として用いるコウゾの寒ざらしが行われている[14]。流水にさらすことで原料に含まれる灰汁などを除去・漂白するというもので、現代ではあらかじめ用意された水槽の中で作業を行うことが多くなったが、美濃手すき和紙協同組合では伝統技能の継承を目的として、毎年冬の時期に板取川での寒ざらしを行っている[14]。
脚注
- ^ a b c デジタル大辞泉「寒晒し」より(コトバンク、2015年1月31日閲覧)。
- ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ)「寒晒し」より(コトバンク、2015年1月31日閲覧)。
- ^ 島原温泉観光協会「島原の郷土料理」より(2015年2月1日閲覧)。
- ^ 植原路郎『改訂新版 蕎麦辞典』「寒ざらし」(東京堂出版 2002年)より。
- ^ 荘川町まちづくり協議会: 「寒ざらしそば」より。
- ^ 信州・長野県観光協会「さわやか信州旅.net 凍りそば」より(2015年2月9日閲覧)。
- ^ 北東製粉「寒中に作る凍りそば」より(2015年2月9日閲覧)。
- ^ All About「女将の打つそばの名店!工房若月とつる忠」より(2015年2月9日閲覧)。
- ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ)「寒天」より(コトバンク、2015年2月9日閲覧)。
- ^ a b 岐阜新聞「雪景色彩る飛騨染 高山市で寒ざらし」より(2015年01月22日付、2015年1月31日閲覧)。
- ^ 朝日新聞デジタル「岐阜)鮮やか 飛騨染の寒ざらし 高山」より(2015年01月30日付、2015年1月31日閲覧)。
- ^ a b 渡辺染物店「寒ざらし」より(2015年1月31日閲覧)。
- ^ 鬼無里村「鬼無里 歴史の旅」より(インターネットアーカイブ、2004年12月5日収集、2015年1月31日閲覧)。
- ^ a b 美濃市「2015年1月16日 和紙の原料となるコウゾの寒ざらしが行われました」より(2015年01月23日更新、2015年1月31日閲覧)。
参考文献
- 植原路郎著、中村綾子編集『改訂新版 蕎麦辞典』東京堂出版、2002年7月。ISBN 4490106041