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「中国電力ネットワーク」の版間の差分

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== 設備 ==
== 設備 ==
[[ファイル:180504 Omori of Iwami Ginzan Silver Mine Oda Shimane pref Japan01bs4.jpg|代替文=島根県大田市の大森地区の街並みの写真|サムネイル|300x300ピクセル|[[石州瓦]]の家々が軒を連ねる島根県[[大田市]]の[[大森 (大田市)|大森地区]]([[重要伝統的建造物群保存地区]])。[[世界遺産]]([[石見銀山]])への登録を機に、電柱が撤去された<ref>{{Cite journal|last=池本|first=吉信|year=2013|title=世界遺産「大森」の無電柱化整備について|journal=電気設備学会誌|volume=33|issue=8|pages=613-614|DOI=10.14936/ieiej.33.613}}</ref>。]]
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2019年(平成31年)3月時点で、'''送電設備'''として、架空電線路の亘長が7,959 km、地中電線路の亘長が648 km、支持物(鉄塔など)が47,255基ある<ref name=":6">{{Cite book|title=有価証券報告書(2018年度)|year=2019|publisher=中国電力株式会社|author=中国電力株式会社|page=23}}</ref>。また、'''変電設備'''として、変電所483箇所がある<ref name=":6" />。さらに、'''配電設備'''として、架空電線路の亘長が80,779 km、地中配電線路の亘長が3,159 km、支持物(電柱など)が1,674,534基、変圧器([[柱上変圧器]]など)が882,359台ある<ref name=":6" />。
2019年(平成31年)3月時点で、'''送電設備'''として、架空電線路の亘長が7,959 km、地中電線路の亘長が648 km、支持物(鉄塔など)が47,255基ある<ref name=":6">{{Cite book|title=有価証券報告書(2018年度)|year=2019|publisher=中国電力株式会社|author=中国電力株式会社|page=23}}</ref>。また、'''変電設備'''として、変電所483箇所がある<ref name=":6" />。さらに、'''配電設備'''として、架空電線路の亘長が80,779 km、地中配電線路の亘長が3,159 km、支持物(電柱など)が1,674,534基、変圧器([[柱上変圧器]]など)が882,359台ある<ref name=":6" />。


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中国電力の系統と[[四国電力]]の系統とは、[[電源開発]](Jパワー)が所有・運用する'''[[本四連系線]]'''で連系する。本四連系線は、四国電力讃岐変電所(香川県[[綾歌郡]][[綾川町]])と中国電力東岡山変電所(岡山県[[赤磐市]])とを結ぶ500 kV2回線の送電線で、亘長は127.0 kmである。[[瀬戸大橋]]に添架したOFケーブルで[[瀬戸内海]]を横断し、さらに、[[児島湾]]の入り口(岡山水道)を径間1,575 mの架空線で横断する。
中国電力の系統と[[四国電力]]の系統とは、[[電源開発]](Jパワー)が所有・運用する'''[[本四連系線]]'''で連系する。本四連系線は、四国電力讃岐変電所(香川県[[綾歌郡]][[綾川町]])と中国電力東岡山変電所(岡山県[[赤磐市]])とを結ぶ500 kV2回線の送電線で、亘長は127.0 kmである。[[瀬戸大橋]]に添架したOFケーブルで[[瀬戸内海]]を横断し、さらに、[[児島湾]]の入り口(岡山水道)を径間1,575 mの架空線で横断する。


中国四国間の連系は、大正時代から構想されていたが、1962年(昭和37年)10月に運転を開始した電源開発の'''中四幹線'''で初めて実現した<ref name=":0">{{Cite journal|last=林|first=潔|year=1962|title=中四連絡送電線の設計|journal=電気学会雑誌|volume=82|issue=891|pages=1980-1988|DOI=10.11526/ieejjournal1888.82.1980}}</ref>。中四幹線は、電源開発伊予変電所(愛媛県[[西条市]])と中国電力広島変電所([[広島市]])との間の125 kmにわたる220 kV送電線であった<ref name=":0" />。瀬戸内海横断部分は、愛媛県[[今治市]]波止浜から[[芸予諸島]]を経て広島県[[竹原市]][[忠海]]に上陸するルートで([[大三島]]までは[[しまなみ海道]]と同様のルート)、全て架空線であった<ref name=":0" />。中でも、[[大久野島]]と忠海との間は、径間2,357 mの架空線であり、両側の鉄塔の高さは、[[避雷針]]を含め226 mという日本の送電用鉄塔では前例のないものであった<ref name=":0" />。
中国四国間の連系は、大正時代から構想されていたが、1962年(昭和37年)10月に運転を開始した電源開発の'''中四幹線'''で初めて実現した<ref name=":0">{{Cite journal|last=林|first=潔|year=1962|title=中四連絡送電線の設計|journal=電気学会雑誌|volume=82|issue=891|pages=1980-1988|doi=10.11526/ieejjournal1888.82.1980}}</ref>。中四幹線は、電源開発伊予変電所(愛媛県[[西条市]])と中国電力広島変電所([[広島市]])との間の125 kmにわたる220 kV送電線であった<ref name=":0" />。瀬戸内海横断部分は、愛媛県[[今治市]]波止浜から[[芸予諸島]]を経て広島県[[竹原市]][[忠海]]に上陸するルートで([[大三島]]までは[[しまなみ海道]]と同様のルート)、全て架空線であった<ref name=":0" />。中でも、[[大久野島]]と忠海との間は、径間2,357 mの架空線であり、両側の鉄塔の高さは、[[避雷針]]を含め226 mという日本の送電用鉄塔では前例のないものであった<ref name=":0" />。


2000年(平成12年)に本四連系線2回線が完成したため、中四幹線は廃止された。本州-大久野島-大三島の区間は、中国電力が設備を譲り受け、110 kV'''大三島支線'''の一部となった。
2000年(平成12年)に本四連系線2回線が完成したため、中四幹線は廃止された。本州-大久野島-大三島の区間は、中国電力が設備を譲り受け、110 kV'''大三島支線'''の一部となった。

2020年1月25日 (土) 18:22時点における版

中国電力ネットワーク株式会社
当社の本社(中国電力本社)
当社の本社(中国電力本社)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
広島県広島市中区小町4番33号
設立 2019年(平成31年)4月1日
業種 電気・ガス業
法人番号 5240001054140 ウィキデータを編集
代表者 松岡 秀夫(代表取締役社長
資本金 1千万円
決算期 3月31日
主要株主 中国電力(100%)
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中国電力ネットワーク株式会社(ちゅうごくでんりょくネットワーク)は、2020年(令和2年)4月に中国地方5県と隣接県の一部(中国エリア)を供給区域とする一般送配電事業者となる予定の会社。中国電力の100%子会社。

概要

当社は、中国電力が営む一般送配電事業を引き継ぎ、送電線変電所などを維持・運用し、発電事業者や小売電気事業者のような事業者を相手に、発電量調整供給、接続供給などの送配電サービスを提供する予定の会社である。電気事業法の大改正(電力システム改革)によって、2020年(令和2年)4月には、一般送配電事業の中立性の確保のため、一般送配電事業者が発電事業や小売電気事業を兼営することが原則、禁止される(法的分離)。このため、中国電力は、自社の一般送配電事業の移管先として、当社を設立した。

当社は、2019年(平成31年)4月1日に設立された。2020年(令和2年)4月1日に、中国電力から一般送配電事業、離島における発電事業などを承継する予定である。

電気事業の概要 

中国電力ネットワークは、2019年(令和元年)7月時点では、事業を行っていない。以下は、当社が承継する予定の事業(現時点では中国電力の事業)に関する記述である。

供給区域 

当社が経済産業省から許可を受けて一般送配電事業を営む供給区域(供給エリア)は、次のとおりである(中国エリア)。エリアの面積は、32,282 km2[1]

兵庫県のうち中国エリアにあるのは、赤穂市福浦のみである。その他は、関西エリアである。

香川県のうち中国エリアにあるのは、瀬戸内海に浮かぶ小豆島直島諸島のみである。その他は、四国エリアである。

愛媛県のうち中国エリアにあるのは、芸予諸島の島々のうち、大島以北である。芸予諸島の愛媛県側のうち、来島小島馬島は、四国エリアである。

中国エリアの電力系統の概要

中国エリアの標準周波数は、60 Hzである。

2018年度(平成30年4月~平成31年3月)1年間の中国エリアの需要電力量は、61,073百万kWhであり、同じ1年間の日本全国の需要電力量(896,473百万kWh)の約6.8%であった[2]。中国エリアの需要電力量は、10エリア中第6位であり、第1位の東京エリア(289,387百万kWh)の2割強の規模であった[2]

2018年度の最大需要電力は、7月23日(月曜日)午後5時に記録した1,106万kWであった[3]。一方、2018年度の最小需要電力は、5月6日(日曜日)午前1時に記録した439万kWであった。最大需要電力は、最小需要電力の約2.5倍であった[3]

2013年度~2017年度(平成25年4月~平成30年3月)の5年間の平均で、中国エリアの低圧電灯需要家1軒当たりの停電回数は、年間0.28回であり、1軒当たりの停電時間は、1年当たり22分間であった[4]。日本全国では、同じ期間の平均で、低圧電灯需要家1軒当たりの停電回数は、年間0.20回、1軒当たりの停電時間は、1年当たり20分間であった[4]。なお、日本で最も停電が少なかったのは、関西エリアであり(停電回数0.09回、停電時間7分間)、次に停電が少なかったのは、東京エリア(停電回数0.11回、停電時間8分間)であった[4]

事業内容

中国電力ネットワークは、一般送配電事業者として、中国エリアの送電設備・変電設備・配電設備(送配電網)を建設・所有・保守するとともに、中国エリアの電力系統を運用し、エリア内で各種の送配電サービスを提供する予定である。

接続供給

接続供給は、発電所など(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れるのと同時に、当社の供給エリア内の需要家の負荷設備(供給地点)に当社の送配電網から電気を供給するサービス(要するに、電気の宅配サービス)である。電気の需要家が直接、申し込むサービスではなく、発電所から調達した電気を需要家に販売する小売電気事業者が利用するサービスである。

中国エリアでは、需要家に電気を供給する電気方式・電圧・周波数は、次のとおりとなっている。

  • 低圧電灯
  • 低圧動力
  • 高圧
    • 交流3相3線式・6,000 V・60 Hz
  • 特別高圧
    • 交流3相3線式・20,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・60,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・100,000 V・60 Hz

振替供給

当社の送配電網は、他社の送配電網と会社間連系点でつながっている。振替供給は、発電所など(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れるのと同時に、受け入れた地点とは異なる会社間連系点で当社の送配電網から電気を供給するサービスである。当社の送配電網に連系する発電所から会社間連系点までの振替供給を地内振替と称し、会社間連系点から別の会社間連系点までの振替供給を中継振替と称する。

発電量調整供給

発電量調整供給は、発電所(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れる際に、計画値の電力量に対する不足分(不足インバランス)を補給し、余剰分(余剰インバランス)を引き取るサービスである。発電所を運営する発電事業者が契約するサービスである。

需要抑制量調整供給

需要抑制量調整供給は、当社のエリア内の需要家が需要抑制した分の電力量を、需要家の代わりにネガワット事業者が引き取る際に、計画値の電力量に対する不足分(不足インバランス)があれば補給し、余剰分(余剰インバランス)があれば引き取るサービスである。

最終保障供給

最終保障供給は、いずれの小売電気事業者からも電気の供給を受けていない高圧・特別高圧の需要家に対し、1年未満の契約期間中、電気を供給するサービスである。

離島供給

離島供給は、島根県の隠岐諸島と山口県萩市見島の需要家に電気を供給するサービスである。

再生可能エネルギー電気の固定価格買取

当社の送配電網に連系する再生可能エネルギー発電設備のうち、固定価格買取制度の認定を受けたものから、一定期間、電気を固定価格で買い取る。買い取った電気は、自社で使用する分以外は、小売電気事業者に卸供給する。買取価格と卸供給価格との間に生ずる逆ザヤは、費用負担調整機関(低炭素投資促進機構)から受け取る交付金で穴埋めする。この交付金の原資は、小売電気事業者が需要家から電気料金と合わせて徴収する再生可能エネルギー発電促進賦課金である。

設備

島根県大田市の大森地区の街並みの写真
石州瓦の家々が軒を連ねる島根県大田市大森地区重要伝統的建造物群保存地区)。世界遺産石見銀山)への登録を機に、電柱が撤去された[5]

2019年(平成31年)3月時点で、送電設備として、架空電線路の亘長が7,959 km、地中電線路の亘長が648 km、支持物(鉄塔など)が47,255基ある[6]。また、変電設備として、変電所483箇所がある[6]。さらに、配電設備として、架空電線路の亘長が80,779 km、地中配電線路の亘長が3,159 km、支持物(電柱など)が1,674,534基、変圧器(柱上変圧器など)が882,359台ある[6]

中国エリアで採用する電圧階級は、500 kV、220 kV、110 kV、66 kV、22 kV、6.6 kVである。

本州の電力系統を本土系統と称する。当社の供給区域内の有人離島のうち、瀬戸内海にあるものは全て、海底ケーブルなどで本州の系統と連系しており、「本土系統」の一部である。日本海にある有人離島は、隠岐諸島と見島を除き、本土系統の一部である。

島根県隠岐諸島の有人4島(知夫里島中ノ島西ノ島島後)は、海底ケーブルや架空線でつながった一体の電力系統を構成し、これを隠岐系統と称する。

山口県萩市見島は、この1島のみでほかの電力系統から隔絶した見島系統を構成する。

当社の電力系統図(特別高圧のみ)は、当社公式サイト「系統アクセス情報の公開」中の「系統空容量マップ」で公開されている。

本土系統

中国地方を縦貫する500 kV(50万ボルト)送電線は、中国山地の山陽側と山陰側に各1ルートある。山陽側のルートは、東岡山変電所(岡山県赤磐市)-新岡山幹線(亘長62.0 km)-新岡山変電所(岡山県高梁市)-新広島幹線(亘長74.5 km)-新広島変電所(広島県東広島市)-新西広島幹線(亘長55.7 km)-新西広島変電所(広島県廿日市市)-東山口幹線(亘長52.4 km)-東山口変電所(山口県周南市)-新山口幹線(亘長77.4 km)-新山口変電所(山口県美祢市)である。山陰側のルートは、智頭変電所(鳥取県八頭郡智頭町)-中国東幹線(亘長84.4 km)-日野変電所(鳥取県西伯郡伯耆町)-中国中幹線(亘長152.8 km)-西島根変電所(島根県益田市)-中国西幹線(亘長106.7 km)-新山口変電所である。

中国山地を横断する500 kV送電線が2ルートある。日野幹線(亘長58.1 km)は、新岡山変電所と日野変電所とを結ぶ。西島根幹線(亘長46.6 km)は、新西広島変電所と西島根変電所とを結ぶ。

関西中国間連系線

中国電力の系統と関西電力の系統とは、2ルートの500 kV送電線で連系する。関西電力西播変電所(兵庫県相生市)と中国電力東岡山変電所(岡山県赤磐市)とを結ぶのが、西播東岡山線であり、関西電力山崎開閉所(兵庫県宍粟市)と中国電力智頭変電所(鳥取県八頭郡智頭町)とを結ぶのが山崎智頭線である。

中国四国間連系線

大久野島の写真
大久野島にそびえ立つ旧・中四幹線(本文参照)の鉄塔。本州と大三島とを結ぶ送電線を支持するために、現役である。

中国電力の系統と四国電力の系統とは、電源開発(Jパワー)が所有・運用する本四連系線で連系する。本四連系線は、四国電力讃岐変電所(香川県綾歌郡綾川町)と中国電力東岡山変電所(岡山県赤磐市)とを結ぶ500 kV2回線の送電線で、亘長は127.0 kmである。瀬戸大橋に添架したOFケーブルで瀬戸内海を横断し、さらに、児島湾の入り口(岡山水道)を径間1,575 mの架空線で横断する。

中国四国間の連系は、大正時代から構想されていたが、1962年(昭和37年)10月に運転を開始した電源開発の中四幹線で初めて実現した[7]。中四幹線は、電源開発伊予変電所(愛媛県西条市)と中国電力広島変電所(広島市)との間の125 kmにわたる220 kV送電線であった[7]。瀬戸内海横断部分は、愛媛県今治市波止浜から芸予諸島を経て広島県竹原市忠海に上陸するルートで(大三島まではしまなみ海道と同様のルート)、全て架空線であった[7]。中でも、大久野島と忠海との間は、径間2,357 mの架空線であり、両側の鉄塔の高さは、避雷針を含め226 mという日本の送電用鉄塔では前例のないものであった[7]

2000年(平成12年)に本四連系線2回線が完成したため、中四幹線は廃止された。本州-大久野島-大三島の区間は、中国電力が設備を譲り受け、110 kV大三島支線の一部となった。

中国九州間連系線

下関市の火の山から見下ろした関門橋の写真。
下関市火の山から見下ろした関門橋。橋の手前側に関門連系線(本文参照)の鉄塔が見える。

中国電力の系統と九州電力の系統とは、電源開発(Jパワー)が所有・運用する関門連系線で連系する。関門連系線は、中国電力新山口変電所(山口県美祢市)と九州電力北九州変電所(北九州市小倉南区)とを結ぶ亘長64.2 kmの500 kV・2回線の送電線であり、関門橋の北東側に平行する架空線で関門海峡を跨ぐ。

関門海峡を最初に横断した送電線は、日本発送電関門鉄道トンネル内に設置した関門連絡線であり、1945年(昭和20年)6月から、三菱鉱業(現・三菱マテリアル)上山田炭鉱に60 Hzで送電した[8]

1945年(昭和20年)12月、日本発送電の110 kV関門幹線が完成し[9]、翌年3月、やはり三菱鉱業に60 Hzで電気を供給した。関門幹線が関門海峡を架空線で跨いだ最初の送電線である。

1959年(昭和34年)、関門幹線は、九州電力の手によって、220 kV新関門幹線に更新された。新関門幹線のルートは、1980年(昭和55年)に電源開発が運転開始した関門連系線に引き継がれた。

離島系統

島根県隠岐諸島の有人4島は、島前知夫里島中ノ島西ノ島と、島後である。島後に西郷発電所があり、西ノ島へは22 kV西郷黒木線で、中ノ島へは22 kV西郷海士線で電気を供給する。いずれも島前・島後間の海(島後水道)を海底ケーブルで越える。また、西ノ島には黒木発電所があり、西ノ島からは中ノ島と知夫里島に配電線がつながっている。以上により、4島が一体の「隠岐系統」を構成する。

山口県萩市見島は、単独で「見島系統」を構成する。

離島の発電所 

以下の発電所は、2020年(令和2年)4月に中国電力ネットワークが中国電力から承継する予定である。2020年(令和2年)4月の「法的分離」により、一般送配電事業者が発電事業を兼営することは原則、禁じられるが、一般送配電事業者による離島の需要に応ずる電気の供給(離島供給)のための発電事業の兼営は、禁止されない。

中国地方の離島の発電所
名称 種類 出力(kW) 所在地 座標
南谷発電所 水力 100 島根県隠岐郡隠岐の島町島後 北緯36度16分45秒 東経133度20分40秒 / 北緯36.279164度 東経133.344409度 / 36.279164; 133.344409 (南谷発電所)
油井発電所 水力 200 島根県隠岐郡隠岐の島町(島後) 北緯36度14分43秒 東経133度11分58秒 / 北緯36.245359度 東経133.199530度 / 36.245359; 133.199530 (油井発電所)
西郷発電所 内燃力 25,320 島根県隠岐郡隠岐の島町(島後) 北緯36度12分47秒 東経133度21分08秒 / 北緯36.213113度 東経133.352236度 / 36.213113; 133.352236 (西郷発電所)
黒木発電所 内燃力 7,380 島根県隠岐郡西ノ島町西ノ島 北緯36度06分27秒 東経133度02分15秒 / 北緯36.107434度 東経133.037504度 / 36.107434; 133.037504 (黒木発電所)
見島発電所 内燃力 2,900 山口県萩市見島 北緯34度45分48秒 東経131度09分07秒 / 北緯34.763243度 東経131.152078度 / 34.763243; 131.152078 (見島発電所)

沿革

2013年(平成25年)4月、第2次安倍内閣は、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。内閣は、この方針のもと、2013年(平成25年)から2015年(平成28年)にかけ、電気事業法の大幅な改正案を3回に分けて国会に提出し、改正案は全て成立した。電力システム改革である。

第2弾の改正により、2016年(平成28年)4月、電気事業者の類型が整理され、一般電気事業者という類型が廃止された。従来、一般電気事業者として中国地方で発電・送配電・小売の全てを手掛けてきた中国電力は、改正電気事業法では、発電事業者 兼 一般送配電事業者小売電気事業者と位置付けられた。一般送配電事業は許可制として、中国電力が中国地方の送配電網をほぼ独占することになった。

発電と小売の分野で様々な事業者が公平な条件で健全な競争を行うためには、実質的に地域独占の一般送配電事業者が全ての発電事業者・小売電気事業者に対して中立の立場で公平に送配電サービスを提供することが必要である。一般送配電事業者による発電事業や小売電気事業の兼営は、一般送配電事業の中立性の確保を難しくするため、第3弾の改正で、これを禁止することになった(法的分離)。

このため、旧一般電気事業者各社は、一般送配電事業を子会社に移管するなど、第3弾改正の施行に対応する必要に迫られた。中国電力では、法的分離に備えるため、2017年(平成29年)10月、社内に「送配電カンパニー」を設置した[10]。そして、「送配電カンパニー」の事業の移管先として、2019年(平成31年)4月1日、中国電力ネットワーク株式会社が設立された[11]

同月、中国電力と中国電力ネットワークとの間で、吸収分割契約が結ばれた[12]。6月、中国電力の株主総会で、この契約が承認された。したがって、この契約が発効する2020年(令和2年)4月、中国電力から中国電力ネットワークに「送配電カンパニー」の事業が移管される。

出典

  1. ^ 経済産業省資源エネルギー庁, ed (2018). 2017年版電気事業便覧. 一般財団法人経済産業調査会. p. 27 
  2. ^ a b 電力広域的運営推進機関 (2019). 電力需給及び電力系統に関する概況: 2018年度の実績. 電力広域的運営推進機関. p. 7 
  3. ^ a b 電力広域的運営推進機関 (2019). 電力需給及び電力系統に関する概況: 2018年度の実績. 電力広域的運営推進機関. pp. 11-13 
  4. ^ a b c 電力広域的運営推進機関 (2018). 電気の質に関する報告書: 2017年度実績. 電力広域的運営推進機関. pp. 14-17 
  5. ^ 池本, 吉信 (2013). “世界遺産「大森」の無電柱化整備について”. 電気設備学会誌 33 (8): 613-614. doi:10.14936/ieiej.33.613. 
  6. ^ a b c 中国電力株式会社 (2019). 有価証券報告書(2018年度). 中国電力株式会社. p. 23 
  7. ^ a b c d 林, 潔 (1962). “中四連絡送電線の設計”. 電気学会雑誌 82 (891): 1980-1988. doi:10.11526/ieejjournal1888.82.1980. 
  8. ^ 九州周波数統一協議会 (1961). 九州周波数統一史. 九州周波数統一協議会. p. 846 
  9. ^ 九州周波数統一協議会 (1961). 九州周波数統一史. 九州周波数統一協議会. p. 2 
  10. ^ 中国電力株式会社 (2017年6月28日). “組織整備の実施について”. 中国電力株式会社. 2019年7月7日閲覧。
  11. ^ 中国電力株式会社 (2019年2月25日). “送配電部門の法的分離に向けた分社化のための分割準備会社設立について”. 中国電力株式会社. 2019年7月7日閲覧。
  12. ^ 中国電力株式会社 (2019年4月26日). “中国電力株式会社と中国電力ネットワーク株式会社の吸収分割契約締結について”. 中国電力株式会社. 2019年7月7日閲覧。

関連項目

外部リンク