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'''新井 素子'''(あらい もとこ、[[1960年]][[8月8日]] - )は、[[日本]]の女性[[小説家]]である。[[ライトノベル]]作家の草分け的存在として知られている([[久美沙織]]による解説([[#外部リンク]])を参照)。夫は、書評や文庫解説などを手がけている[[手嶋政明]]。本名、手嶋素子<ref>『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.441</ref>。[[日本SF作家クラブ]]元会長。[[日本推理作家協会]]会員。 |
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2020年5月20日 (水) 09:11時点における版
新井 素子 (あらい もとこ) | |
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ペンネーム |
新井 素子 (あらい もとこ) |
誕生 |
1960年8月8日(64歳) 日本・東京都練馬区 |
職業 | 小説家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
教育 | 文学士 |
最終学歴 | 立教大学文学部ドイツ文学科卒業 |
活動期間 | 1977年 - |
ジャンル |
サイエンス・フィクション ライトノベル |
代表作 |
『星へ行く船』 『グリーン・レクイエム』 『ネプチューン』 『扉を開けて』 『ひとめあなたに…』 『……絶句』 『おしまいの日』 『チグリスとユーフラテス』 その他 |
主な受賞歴 |
第12回星雲賞日本短編部門(『グリーン・レクイエム』) 第13回星雲賞日本短編部門受賞(『ネプチューン』) 第20回日本SF大賞(『チグリスとユーフラテス』) |
デビュー作 | 『あたしの中の……』 |
影響を受けたもの
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ウィキポータル 文学 |
新井 素子(あらい もとこ、1960年8月8日 - )は、日本の女性小説家である。ライトノベル作家の草分け的存在として知られている(久美沙織による解説(#外部リンク)を参照)。夫は、書評や文庫解説などを手がけている手嶋政明。本名、手嶋素子[1]。日本SF作家クラブ元会長。日本推理作家協会会員。
略歴
東京都練馬区生まれ。両祖父、両親が共に講談社に勤めており、実家には常に大量の本があったため、幼い頃から多くの本に接して育った。
1977年、東京都立井草高等学校2年生のときに、第1回奇想天外SF新人賞に応募した『あたしの中の……』が佳作入選した。審査員の星新一が絶賛し最優秀作に推したが、小松左京や筒井康隆らが目新しい文体に違和感を覚え反対したため佳作となった。星は入選決定後に、新井素子の父が東京大学農学部での同級生だったことを知った。また、新井も星のファンであり、初めて読んだSFが星の『妖精配給会社』であった(星の著書「未来いそっぷ」の解説文も書いている)。
高校2年生という若さでの受賞及びデビューは文学界にも衝撃を与え、『ふぁんろーど』の特集などで「SF界のプリンセス」と称された。北野勇作や久美沙織ら同世代の作家に強い影響を与えたといわれている。
立教大学文学部ドイツ文学科に在籍しながら作家活動を続け、1981年に『グリーン・レクイエム』で第12回星雲賞日本短編部門を受賞、1982年、『ネプチューン』で第13回星雲賞日本短編部門を受賞した。1999年には『チグリスとユーフラテス』で第20回日本SF大賞を受賞している。
文体と作品傾向
デビューがSF誌『奇想天外』だったこともあり、しばらくはSFを中心に執筆していたが、1980年には高校生向け雑誌『高一コース』誌上で『星へ行く船』を連載した。また集英社文庫コバルトシリーズ(コバルト文庫)から『いつか猫になる日まで』を上梓するなど、活動の場をジュニア小説へも広げた。
同時代の口語表現を積極的に取り入れ、一段落を「が。」の2文字で終わらせて改行するなど規範を大きく逸脱した文体を高橋源一郎は『ラカンのぬいぐるみ』で「新口語文」と評価した。当時の口語表現を文体に反映した端的な例として、一人称「あたし」、二人称「おたく」という砕けた人称代名詞を多用したことなどが挙げられる。
デビュー直後の『毎日新聞』インタビューで「マンガ『ルパン三世』の活字版を書きたかったんです」と述べたことから、当初その文体は漫画やアニメとの関係で論じられることが多かったが、この発言自体は記事を書いた記者の曲解によって発生したもので、本人の発言意図と乖離したものであることが判明している[2]。その後の本人の発言では、アニメや漫画の影響下で出来上がった文体でないことが語られている。本人によれば、影響を受けたのは小林信彦の、女の子の主人公の一人称口語文体の小説『オヨヨ島の冒険』であり、自分の文体を作ろうと思い立った中学1年生の時、『オヨヨシリーズ』を読んで感じた「会話の妙」と「間」を手本としている[3]。
新しい世代の言語感覚による「文章で書いた漫画」であると指摘されており[要出典]、後の作家に対する影響力は無視できない[4]。新井素子の文体は後のライトノベル文体に少なからず影響を与え、元祖的もしくは雛形的存在と称されることもある。
作品傾向としては、20代前半までは同年代の女性を主人公とするSF小説が主だった。25歳で結婚した後は、自らの結婚体験を元にした『結婚物語』などのコメディや、『おしまいの日』などのサイコホラー小説のような新たなジャンルにも挑戦した。また、自身の不妊体験を下敷きにしたかのような「産むということ」や「不妊ということ」「女性というもの」について独特の視点に基づいた小説を発表するなど、執筆活動の幅を拡げていった。そして、それらの文体はジャンルや読者層に合わせ、デビュー当時のものとは大きく変えている。
身近に起こった出来事を明るく軽妙に綴るエッセイでも知られる。
ぬいぐるみ
新井素子は、ぬいぐるみ好きとしても知られ、4000体以上のぬいぐるみとともに生活している[5][6]。「ぬいぐるみは呼吸も新陳代謝もしないが、ぬいぐるみパワーとでも呼ぶべき未知のものによって生きており、一種の精神生命体である」と常々主張している[要出典]。
ぬいぐるみ関連の著書として次のようなものがある。
- 『わにわに物語』『わにわに物語II』
- 白いワニのぬいぐるみ「わにわに」が語ったエッセイを新井素子が口述筆記したとされるもの。 ISBN 4062630222, ISBN 406263371X
- 『くますけと一緒に』
- 「ぬいぐるみホラー」を目指して書かれたとされる小説。両親を亡くしぬいぐるみと話す少女の、ぬいぐるみ「くますけ」との交流や内面を描く。 ISBN 4199050779
- 『ぬいぐるみさんとの暮らし方』(グレン・ネイプ著)
- ぬいぐるみの生態や接し方について述べた本を新井素子が邦訳したもの(共訳:土屋裕)。ISBN 4105220012
- 『テディベアに会えた日』
- テディベアの写真集に新井素子が短い物語を付けたもの。 ISBN 4537024372
著作
小説
- 『あたしの中の……』 奇想天外社、1977年。集英社文庫コバルトシリーズ(以下コバルト文庫と表記)、1981年
- 『星へ行く船』シリーズ コバルト文庫
- 『いつか猫になる日まで』、1980年
- 『グリーン・レクイエム』 奇想天外社、1980年(「週に一度のお食事を」「宇宙魚顛末記」併録)。講談社文庫、1983年
- 『ひとめあなたに…』 双葉社(1981年)、角川文庫(1985年)、創元SF文庫(2008年)
- 『扉を開けて』 CBSソニー(1982年)コバルト文庫(1985年)
- 『ラビリンス―迷宮―』 徳間書店(1982年)、トクマノベルス(1984年)、徳間文庫(1987年)、徳間デュエル文庫(2000年)
- 『二分割幽霊綺譚』 講談社(1983年)、講談社文庫(1986年)
- 『……絶句』 上下巻、早川書房 (1983年)。ハヤカワ文庫(1987年)
- 『ブラック・キャット』シリーズ コバルト文庫
- 『あなたにここにいて欲しい』 文化出版局、1984年。講談社文庫、1987年
- 『ディアナ・ディア・ディアス』 徳間書店、1985年。徳間文庫、1989年
- 結婚物語シリーズ
- 『今はもういないあたしへ…』 大陸書房、1987年。ハヤカワ文庫、1990年 「ネプチューン」併録
- 『ふたりのかつみ』 カドカワノベルス(1989年)。角川文庫(1996年)
- 『緑幻想:グリーン・レクイエム II』 講談社(1990年)。講談社文庫(1993年)
- 『くますけと一緒に』 大陸書房(1991年)のち新潮文庫(1993年)
- 『おしまいの日』 新潮社(1992年)新潮文庫(1995年)
- 『わにわに物語』 1-2巻、講談社(1992-93年)。講談社文庫(1995-96年)
- 『チグリスとユーフラテス』 集英社、1999年。集英社文庫、上下巻、2002年
- 『ハッピー・バースディ』 角川書店、2002年。角川文庫(2005年)
- 『窓のあちら側』 出版芸術社、2007年(自選作品集)
- 『ちいさなおはなし』 集英社、2007年
- 『グリーン・レクイエム/緑幻想』 創元SF文庫、2007年
- 『もいちどあなたにあいたいな』 新潮社、2010年。新潮文庫、2013年
- 『イン・ザ・ヘブン』 新潮社、2013年。新潮文庫、2016年。
- 『未来へ……』 角川春樹事務所、2014年。ハルキ文庫、上下巻、2017年
- 『ゆっくり十まで』 キノブックス、2019年
- 『この橋をわたって』 新潮社、2019年
- 新井素子SF&ファンタジーコレクション 柏書房、2019年 日下三蔵編
- 『いつか猫になる日まで グリーン・レクイエム』(「緑幻想 グリーン・レクイエムII」併録)
- 『扉を開けて 二分割幽霊綺譚』(「斉木杳の憂鬱」併録)
- 『ラビリンス〈迷宮〉 ディアナ・ディア・ディアス』(「週に一度のお食事を」「宇宙魚顛末記」併録)
エッセイ
- 『ひでおと素子の愛の交換日記』 吾妻ひでおとの共著、1~4巻、角川書店、1984-87年。角川文庫、1987-88年
- 『新井素子の未知との遭遇』 講談社、1990年。講談社文庫、1993年
- 『とり散らかしておりますが』 講談社文庫、1994年
- 『近頃、気になりません?』 廣済堂出版、1994年。講談社文庫、1999年
- 『もとちゃんの夢日記』 角川文庫、1995年
- 『もとちゃんの痛い話』 角川文庫、1997年
- 『素子の読書あらかると』 中央公論新社、2000年。中公文庫、2005年
- 『明日も元気にいきましょう』 角川文庫、2004年
- 『お元気ですか』 廣済堂出版、2004年
- 『今日もいい天気』 廣済堂出版、2007年
- 『素子の碁 - サルスベリがとまらない』 中央公論新社、2018年
対談集
- 『ネバーランド・パーティ 新井素子と15人の漫画家』 新書館、1985年
- 『新井素子のサイエンス・オデッセイ』 新潮文庫、1985年
- 『新井素子の?(ハテナ)教室』 徳間書店、1987年
- 『ネリマ大好き』 徳間書店、1992年
その他
- 『ぬいぐるみさんとの暮らし方』 グレン・ネイプ著、新潮社、1989年 翻訳書(土屋裕との共訳)
- 『季節のお話』 徳間書店、1990年。ブッキング、2005年 絵本(絵:古川タク)
- 『テディベアに会えた日』 日本文芸社、1994年 写真と文(撮影:角田正治)
アンソロジー
- 『S-Fマガジン・セレクション1981』 ハヤカワ文庫、1983年 「ネプチューン」収録
- 『血と薔薇の誘う夜に―吸血鬼ホラー傑作選』 角川ホラー文庫、2005年 「週に一度のお食事を」収録
- 『人工知能の見る夢は AIショートショート集』 文春文庫、2017年 「お片づけロボット」「幻臭」収録
- 『猫ミス!』 中公文庫、2017年 「黒猫ナイトの冒険」収録
- 『ショートショートドロップス』 新井素子編、キノブックス 、2019年 「のっく」収録
他メディアへの展開
漫画
- 『週に一度のお食事を』 漫画:森脇真末味(1980年)
- 『二分割幽霊綺譚』 漫画:くりた陸(未単行本化)
- 『グリーン・レクイエム』 漫画:文月今日子(講談社、1984年)、春名里日(講談社、2003年)
- 『扉を開けて』 漫画:亜藤潤子(白泉社、1986年)
- 『星へ行く船』 漫画:よしまさこ(「星へ行く船」「雨の降る星 遠い夢」漫画化。週刊マーガレットにて連載、白泉社、1988年)
テレビドラマ
ラジオドラマ
映画
- 『グリーン・レクイエム』 1985年制作、1988年公開。監督:今関あきよし、出演:鳥居かほり、坂上忍ほか
- 『あなたにここにいて欲しい』 1992年。監督:小中和哉、出演:高橋かおりほか
- 『おしまいの日』 1999年制作、2000年公開。監督:君塚匠、出演:裕木奈江ほか
アニメ
脚注
外部リンク
- 久美沙織『創世記』 - 久美沙織による初期のジュニア小説の歴史解説。新井素子の位置づけについても言及されている。
- 新井素子『グリーン・レクイエム/緑幻想』創元SF文庫版あとがき
- 新井素子『ひとめあなたに…』創元SF文庫版あとがき
- 新井素子研究会 - 新井素子に関する情報の収集と公開を目的とするファンサイト