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田中啓文

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(たなか ひろふみ、1962年11月9日[1] -)は、日本小説家ホラー作家SF作家推理作家大阪府大阪市生まれ[2]神戸大学経済学部卒業。

1993年、長編「背徳のレクイエム」(受賞時のタイトルは『凶の剣士』[3])で集英社が主催する第2回ファンタジーロマン大賞で佳作入選しデビュー(受賞作は藤原京『龍王の淡海(うみ)』)。同年、鮎川哲也が編集を務める公募短編アンソロジー『本格推理2 奇想の冒険者たち』にジャズを題材にしたミステリ短編「落下する緑」が採用される。デビューして5年ほどはヤングアダルト作品を発表していたが、1998年に初のホラー長編『水霊 ミズチ』を、2001年に初のSF短編集『銀河帝国の弘法も筆の誤り』を発表。同短編集の表題作で第33回星雲賞(日本短編部門)受賞。2009年、短編「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(曽根圭介「熱帯夜」と同時受賞)[4]。 2016年 短編「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」で第47回星雲賞(日本短編部門)を受賞。

経歴

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人物・作風

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上方落語の愛好者。地口(駄洒落)を作品構成の主要部分とし、グロテスクな描写を執拗に繰り返す点に特徴がある。規定枚数以上に原稿を書いてしまい、後から削ることが多いという。

作品の人名やタイトルなどに駄洒落を多用し、話のオチの多くが地口落ちである(地口落ちとは落語の用語で話の落ちを地口(駄洒落)で締めることをいう)。

また、テナーサックス奏者でTHE UNITED JAZZ ORCHESTRAのバンドマスターを務める。

バンドマスターを務めるTHE UNITED JAZZ ORCHESTRAのCD「NEW CINEMA PARADISE」(CASBA RECORD)

関西在住作家の小林泰三牧野修田中哲弥と合わせて「まんがカルテット」と呼ばれる。ミステリー作家の我孫子武丸を加えて「まんがクインテット」と呼ばれることもある。

2005年から、月亭文都による、関西在住の作家が書いた新作落語を演じる会「ハナシをノベル!!」に「まんがクインテット」を中心しとしたメンバー(田中啓文、北野勇作田中哲弥我孫子武丸浅暮三文牧野修飯野文彦森奈津子)で参加した。作家チームが、舞台で雑談をする場合には、「田中啓文とザ・ノベラーズ」と名乗っている。

作品リスト

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単著

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  • 背徳のレクイエム 凶の剣士グラート(1993年9月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 青い触手の神 凶の剣士グラート(1993年12月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • SHADOWS in the SHADOW 十兵衛錆刃剣(1995年2月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • DANCING in the SHADOW 十兵衛錆刃剣(1995年7月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • FIRE in the SHADOW 十兵衛錆刃剣(1995年10月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 神の子はみな踊る 神の子ジェノス(1996年12月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 神の子は来りて歌う 神の子ジェノス(1997年2月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 緊縛の救世主 蒼き鎖のジェラ(1997年12月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 蒼白の城XXX(1998年12月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 水霊 ミズチ(1998年12月 角川ホラー文庫)
  • 慟哭の城XXX(1999年3月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 異形家の食卓(2000年10月 集英社 / 2003年2月 集英社文庫)
  • 銀河帝国の弘法も筆の誤り(2001年2月 ハヤカワ文庫JA)
  • 禍記 マガツフミ(2001年4月 徳間書店 / 2008年9月 角川ホラー文庫)
  • ネコノメノヨウニ…(2001年7月 集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 鬼の探偵小説(2001年8月 講談社ノベルス)
  • 星の国のアリス(2001年10月 祥伝社文庫)
  • ベルゼブブ(2001年11月 トクマ・ノベルズ)
    • 【改題】蝿の王(2008年1月 角川ホラー文庫)
  • UMAハンター馬子1 湖の秘密(2002年1月 学研M文庫)
  • 蓬莱洞の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会(2002年10月 講談社ノベルス / 2008年11月 講談社文庫)
  • UMAハンター馬子 闇に光る目(2003年7月 ウルフ・ノベルス)
  • 忘却の船に流れは光(2003年7月 早川書房 / 2007年5月 ハヤカワ文庫JA)
  • 陰陽師九郎判官(2003年11月 コバルト文庫)
  • 邪馬台洞の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会(2003年11月 講談社ノベル / 2009年3月 講談社文庫)
  • 蹴りたい田中(2004年6月 ハヤカワ文庫JA)
  • 笑酔亭梅寿謎解噺(2004年12月 集英社)
    • 【改題】ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺(2006年8月 集英社文庫)
  • UMAハンター馬子 完全版1(2005年1月 ハヤカワ文庫JA)
  • UMAハンター馬子 完全版2(2005年2月 ハヤカワ文庫JA)
  • 天岩屋戸の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会(2005年2月 講談社ノベル / 2009年7月 講談社文庫)
  • 落下する緑 永見緋太郎の事件簿(2005年11月 創元クライム・クラブ / 2008年7月 創元推理文庫)
  • ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2(2006年8月 集英社 / 2008年5月 集英社文庫)
  • ハナシがはずむ! 笑酔亭梅寿謎解噺3(2008年5月 集英社 / 2010年2月 集英社文庫)
  • 辛い飴 永見緋太郎の事件簿(2008年8月 創元クライム・クラブ / 2010年11月 創元推理文庫)
  • チュウは忠臣蔵のチュウ(2008年9月 文藝春秋 / 2011年4月 文春文庫)
  • あんだら先生とジャンジャラ探偵団(2009年11月 理論社)
  • 元禄百妖箱(2009年12月 講談社)
  • ハナシがうごく! 笑酔亭梅寿謎解噺4(2010年2月 集英社 / 2011年10月 集英社文庫)
  • ミミズからの伝言(2010年9月 角川ホラー文庫)
  • 獅子真鍮の虫 永見緋太郎の事件簿(2011年3月 創元クライム・クラブ / 2014年3月 創元推理文庫)
  • 罪火大戦ジャン・ゴーレ1(2011年4月 早川書房)
  • ハナシはつきぬ! 笑酔亭梅寿謎解噺5(2011年10月 集英社 / 2013年12月 集英社文庫)
  • こなもん屋馬子(2011年10月 実業之日本社)
    • 【改題】こなもん屋うま子(2013年8月 実業之日本社文庫)
  • 茶坊主漫遊記(2012年2月 集英社文庫)
  • 猿猴(2012年5月 講談社文庫)
  • ウィンディ・ガール サキソフォンに棲む狐1(2012年9月 光文社)/ 2014年11月 光文社文庫
  • 鍋奉行犯科帳(2012年12月 集英社文庫)
    • 道頓堀の大ダコ 鍋奉行犯科帳(2013年8月 集英社文庫)
    • 浪花の太公望 鍋奉行犯科帳(2014年5月 集英社文庫)
    • 京へ上った鍋奉行 (2014年12月、集英社文庫)
    • お奉行様の土俵入り (2015年5月 集英社文庫)
    • お奉行様のフカ退治 (2015年12月 集英社文庫)
  • シャーロック・ホームズたちの冒険(2013年5月 東京創元社 / 2016年10月 創元推理文庫)
  • オニマル 異界犯罪捜査班 鬼と呼ばれた男(2013年11月 角川ホラー文庫)
  • オニマル 異界犯罪捜査班 結界の密室(2014年2月 角川ホラー文庫)
  • オニマル 異界犯罪捜査班 鬼刑事VS殺人鬼(2014年6月 角川ホラー文庫)
    • オニマル 異界犯罪捜査班【全3冊 合本版】 (2016年8月 角川ホラー文庫)
  • ストーミー・ガール サキソフォンに棲む狐2(2014年8月 光文社)/ 2017年2月 光文社文庫 
  • こなもん屋うま子 大阪グルメ総選挙(2014年10月 実業之日本社文庫)
  • イルカは笑う (2015年9月 河出文庫)
  • 大魔神伝奇 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ) (2015年9月 創土社)
  • アケルダマ (2015年10月 新潮文庫)
  • あんだら先生と浪花少女探偵団 (2015年11月 ポプラ文庫)
  • 猫と忍者と太閤さん (2016年5月 集英社文庫)
  • 地獄八景 (2016年9月 河出文庫)
  • 落語少年サダキチ (2016年9月 福音館創作童話シリーズ)
  • 漫才刑事 (2016年11月、実業之日本社文庫)
  • 超・少年探偵団NEO 大宮一仁脚本 田中啓文著(2017年1月、ポプラ社)
  • シャーロック・ホームズたちの新冒険(2018年2月 東京創元社 / 2021年11月 創元推理文庫)
  • 力士探偵シャーロック山(2018年10月 実業之日本社文庫)
  • 元禄八犬伝 (2020年9月-2022年5月、集英社文庫) - 連作中編集、全5巻。

共著

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  • 三人のゴーストハンター 国枝特殊警備ファイル(2001年5月 集英社 / 2002年9月 チュンソフト / 2003年9月 集英社文庫)
  • ハナシをノベル!!花見の巻 (2007年11月、講談社)
    • 共著:月亭八天、我孫子武丸、牧野修、北野勇作、浅暮三文、飯野文彦、森奈津子、田中哲弥
  • 郭公の盤(2010年11月 早川書房)
    • 共著:牧野修

アンソロジー

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「」内が田中啓文の作品

異形コレクション

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  • 4 悪魔の発明(1998年5月 廣済堂文庫)「俊一と俊二」
  • 9 グランドホテル(1998年3月 廣済堂文庫)「新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け」
  • 11 トロピカル(1998年7月 廣済堂文庫)「オヤジノウミ」
  • 12 GOD(ゴッド)(1998年9月 廣済堂文庫)「怪獣ジウス」
  • 14 世紀末サーカス(2000年1月 廣済堂文庫)「にこやかな男」
  • 15 宇宙生物ゾーン(2000年3月 廣済堂文庫)「三人」
  • 20 玩具館(2001年9月 光文社文庫)「救い主」
  • 21 マスカレード(2002年1月 光文社文庫)「牡蠣喰う客」
  • 39 ひとにぎりの異形(2007年12月 光文社文庫)「あるいはマンボウでいっぱいの海」
  • 44 喜劇綺劇(2009年12月 光文社文庫)「地獄の新喜劇」

ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑

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  • ザ・ベストミステリーズ 2004 推理小説年鑑(2004年7月 講談社)「時うどん」
    • 【分冊・改題】孤独な交響曲 ミステリー傑作選(2007年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2005 推理小説年鑑(2005年7月 講談社)「子は鎹」
    • 【分冊・改題】仕掛けられた罪 ミステリー傑作選(2008年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2006 推理小説年鑑(2006年7月 講談社)「挑発する赤」
    • 【分冊・改題】セブンミステリーズ ミステリー傑作選(2009年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2008 推理小説年鑑(2008年7月 講談社)「辛い飴」
    • 【分冊・改題】Doubt きりのない疑惑 ミステリー傑作選(2011年11月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2009 推理小説年鑑(2009年7月 講談社)「渋い夢」
    • 【分冊・改題】Spiral めくるめく謎 ミステリー傑作選(2012年11月 講談社文庫)

その他

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  • 本格推理2 奇想の冒険者たち(1993年10月 光文社文庫)「落下する緑」
  • おぞけ(1999年12月 ノン・ポシェット)「塵泉の王」
  • リモコン変化 SFバカ本(2000年1月 廣済堂文庫)「怨臭の彼方に」
  • 血の12幻想(2000年5月 エニックス / 2002年4月 講談社文庫)「血の汗流せ」
  • 蚊 コレクション(2002年1月 電撃文庫)「赤い家」 - ゲーム「」のノベライズ
  • かまいたちの夜2オリジナルノベルズ 三日月島奇譚(2002年7月 チュンソフト)「香山さん探偵帳」
  • 秘神界 歴史編(2002年9月 創元推理文庫)「邪宗門伝来秘史(序)」
  • モンスターズ1970(2004年6月 C★NOVELS)「糞臭の村」
  • 平成都市伝説(2004年10月 C★NOVELS)「見るなの本」
  • ゴースト・ハンターズ(2004年11月 C★NOVELS)「『スマトラの大ネズミ』事件」
  • 黄昏ホテル(2004年11月 小学館)「ふたつのホテル」
  • 本格ミステリ06(2006年6月 講談社ノベルス)「砕けちる褐色」
    • 【改題】珍しい物語のつくり方(2010年1月 講談社文庫)
  • 密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー(2006年11月 東京創元社)「忠臣蔵の密室」
  • 本格ミステリ07(2007年5月 講談社ノベルス)「忠臣蔵の密室」
    • 【改題】法廷ジャックの心理学(2011年1月 講談社文庫)
  • ハナシをノベル!! 花見の巻(2007年11月 講談社)「真説・七度狐」「時たまご」 - 新作落語
  • NOVA 1 書き下ろし日本SFコレクション(2009年12月 河出文庫)「ガラスの地球を救え!」
  • 逆想コンチェルト 奏の1(2010年6月 徳間書店)「悟りの化け物」
  • 怪談実話 FKB 饗宴3(2012年5月 竹書房ホラー文庫)「怪(雑)談」
  • 鉄人28号 THE NOVELS(2012年11月 小学館)「夢のなかの巨人」
  • NOVA 9 書き下ろし日本SFコレクション(2013年1月 河出文庫)「本能寺の大変」
  • 日本SF短篇50 IV 1993-2002(2013年8月 ハヤカワ文庫JA)「嘔吐した宇宙飛行士」
  • SF宝石(2013年8月 光文社)「集団自殺と百二十億頭のイノシシ」
  • クトゥルーを喚ぶ声(2014年2月 創土社)「夢の帝国にて」
  • 私がデビューしたころ(2014年6月 東京創元社) - エッセイアンソロジー
  • 宝石ザミステリー2014冬(2014年12月 光文社)「天国惑星パライゾ」
  • 多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー 01(2015年7月 早川書房)「怪獣ルクスビグラの足形を取った男」
  • 人工知能の見る夢は AIショートショート集(2017年5月 文春文庫)「みんな俺であれ」
  • 推理の時間です(2024年1月 講談社)「ペリーの墓」

新書

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  • 聴いたら危険! ジャズ入門(2012年2月 アスキー新書)

ゲームシナリオ

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映像化作品

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映画

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脚注

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関連項目

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外部リンク

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インタビュー

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