「労働政策審議会」の版間の差分
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2020年6月15日 (月) 22:47時点における版
労働政策審議会(ろうどうせいさくしんぎかい)とは、厚生労働省設置法第6条第1項に基づき、厚生労働省に設置されている審議会等の一つ。略称は労政審(ろうせいしん)。
中央省庁再編に伴い、従来の中央労働基準審議会や中央職業安定審議会など13の審議会を統合[1]し、2001年(平成13年)1月6日に設置された。
所管事務
労働政策審議会は、次に掲げる事務をつかさどる(厚生労働省設置法第9条)。
- 厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議すること。
- 厚生労働大臣又は経済産業大臣の諮問に応じてじん肺に関する予防、健康管理その他に関する重要事項を調査審議すること。
- 前二号に規定する重要事項に関し、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べること。
- 労働基準法、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法、労働安全衛生法、労働災害防止団体法、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、勤労者財産形成促進法、中小企業退職金共済法、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、職業安定法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律、建設労働者の雇用の改善等に関する法律、港湾労働法、中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、看護師等の人材確保の促進に関する法律、林業労働力の確保の促進に関する法律、雇用保険法、職業能力開発促進法、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、青少年の雇用の促進等に関する法律、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律及び家内労働法の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
審議会は、会議を原則公開とし、また、審議会の議事録は、原則公開とする(労働政策審議会運営規程第5条、第6条)。
分科会・部会
審議会には、審議事項の性質別に7つの分科会とそのもとに16の部会が置かれている。
- 労働条件分科会
- 安全衛生分科会
- じん肺部会
- 職業安定分科会
- 障害者雇用分科会
- 雇用環境・均等分科会
- 家内労働部会
- 同一労働同一賃金部会
- 勤労者生活分科会
- 人材開発分科会
- 監理団体審査部会
以下の2部会は、審議会直属の部会である。
- 労働施策基本方針部会
- 労働政策基本部会
委員
国際労働機関の公労使三者構成の原則を整えるため、委員は公益・労働者・使用者の各代表10名の計30名で組織され、厚生労働大臣によって任命される(労働政策審議会令第2条、第3条)。任期は2年で再任可能。また、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員をそれぞれ置くことができる。会長は、公益代表委員のうちから、委員が選挙する(労働政策審議会令第5条)。
審議会の会議は、厚生労働大臣の請求があったとき、会長が必要があると認めるとき又は委員の三分の一以上から請求があったときに会長が招集する(労働政策審議会運営規程第2条)。
第10期委員
(平成31年4月27日現在)[2] ○は会長
- 公益代表
- 阿部正浩 - 中央大学経済学部教授
- 荒木尚志 - 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 奥宮京子 - 弁護士(田辺総合法律事務所)
- 小畑史子 - 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
- ○鎌田耕一 - 東洋大学名誉教授
- 小杉礼子 - 労働政策研究・研修機構研究顧問
- 城内博 - 日本大学理工学部特任教授
- 内藤恵 - 慶應義塾大学法学部教授
- 中窪裕也 - 一橋大学大学院法学研究科教授
- 守島基博 - 学習院大学副学長・経済学部経営学科教授
- 労働者代表
- 相原康伸 - 日本労働組合総連合会事務局長
- 岸本薫 - 全国電力関連産業労働組合総連合会長
- 永井幸子 - UAゼンセン常任中央執行委員
- 中川育江 - 日本労働組合総連合会宮崎県連合会会長
- 難波淳介 - 全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委員長
- 野田三七生 - 情報産業労働組合連合会中央執行委員長
- 松谷和重 - 日本食品関連産業労働組合総連合会会長
- 安河内賢弘 - JAM会長
- 山中しのぶ - 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会中央執行委員
- 山本和代 - 日本労働組合総連合会副事務局長
- 使用者代表
- 伊藤學人 - 広島県中小企業団体中央会会長
- 井上久子 - (株)東京個別指導学院取締役副社長
- 浦野邦子 - (株)小松製作所取締役常務執行役員
- 工藤泰三 - 日本郵船(株)代表取締役会長・会長経営委員
- 進藤清貴 - 王子ホールディングス(株)取締役
- 冨田哲郎 - 東日本旅客鉄道(株)取締役会長
- 中西志保美 - アメニティ計画(株)代表取締役
- 中野奈津美 - (株)髙島屋友の会代表取締役社長
- 椋田哲史 - (一社)日本経済団体連合会専務理事
- 矢口敏和 - グローブシップ(株)代表取締役社長
課題
労働契約法18条の「5年」を、大学教員や研究所研究員等について「10年」と読み替える研究開発力強化法の改正が2013年12月になされた(施行は2014年4月~)が、その際には、通常見られる労働政策審議会での審議会は一切なされず、議員立法で成立した。政府サイドにおいて、労働政策審議会では労働者寄りの意見が出されて、迅速な審議ができないことが懸念された可能性があり、労働政策審議会の事実上の骨抜きとの批判が強い(労働法律旬報2014年1月合併号の各論文より)。
脚注
- ^ “平成13年1月に行った審議会の整理合理化について 厚生労働省”. 2014年9月14日閲覧。
- ^ 第10期労働政策審議会委員名簿厚生労働省