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2020年6月18日 (木) 11:36時点における版
未来派宣言(伊: Manifesto del futurismo, 仏: Manifeste du futurisme, 英: Futurist Manifesto)はイタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティにより、1909年にフィガロ紙上で発表された芸術思想文書。共産党宣言にならって"Manifesto"の語が使われた。
未来派運動はこの文章の発表から始まった。
未来派宣言
(全文 鈴木重吉訳[1]より引用)
一 われわれは危険を愛し、エネルギッシュで勇敢であることを歌う。
二 われわれの詩の原理は、勇気、大胆、反逆をモットーとする。
三 在来の文学の栄光は謙虚な不動性、恍惚感と眠りであった。われわれは攻撃的な運動、熱に浮かされた不眠、クイック・ステップ、とんぼ返り、平手打ち、なぐり合いを讃えよう。
四 われわれは、世界の栄光は、一つの新しい美、すなわち速度の美によって豊かにされたと宣言する。爆発的な息を吐く蛇にも似た太い管で飾られた自動車……霰弾に乗って駈るかのように咆哮する自動車は《サモトラのニーケ》よりも美しい。
五 われわれは軌道の上に自らを投げた地球を貫く軸を持った舵輪を握る人を歌う。
六 詩人は熱狂と光彩と浪費に熱中すべきである。その根源的要素たる熱狂的な情熱をかきたてるために。
七 争い以上に美しいものはない。攻撃なしには傑作は生れない。詩と歌は未知の力を人間に屈服させるための、激しい突撃でなければならぬ。
八 われわれは世紀の突端をなす岬に立っている。不可能なるものの神秘の門を破らなければならぬとき、なぜ後を振り向かねばならぬか?時間と空間は昨日すでに死んだ。われわれは永遠にして普遍なる速力を創造した。故にもはやわれわれは絶対の中に生きている。
九 われわれは戦争ーそれはこの世の唯一つの健康の泉だー軍国主義、愛国心、アナーキストの破壊力、殺すことの美的傾向、女性蔑視を讃えよう。
十 われわれは博物館、図書館を破壊し、道徳主義、フェミニズム、一切の便宜的、功利的卑劣と闘おう。
十一 われわれは労働、快楽、さては反抗によって刺激された大群衆を、近代の首府における革命の多色多音な波動を、電気のどぎつい月の下にある兵器廠や造船所の振動を、煙を吐く蛇を呑み込む貪婪なる停車場を、黒鉛の束によって雲にまで連なる工場を、体操家のように日に輝く河の兇暴は刃物を飛び越えている橋梁を、水平線を嗅いで行く冒険的な郵船を、長い筒で緊められた鋼鉄製の巨大な馬に似てレールの上を跳躍する大きな胸をした機関車を、プロペラの唸りが翼のはばたき、熱狂興奮した群衆の喝采にも似て滑走飛揚する飛行機の歌を歌う。 [1]
出典
- ^ a b Erich Fromm 鈴木重吉訳 (1965). 悪について. 紀伊國屋書店. pp. 70–71. ISBN 978-4314000284
外部リンク
- マリネッティによる未来派宣言 - ウェイバックマシン(2004年2月19日アーカイブ分)[リンク切れ](森鷗外による翻訳)
- The Founding and Manifesto of Futurism (English Translation)
- The Futurist Manifesto - F. T. Marinetti[リンク切れ]