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「人形劇 三国志」の版間の差分

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2020年8月15日 (土) 00:41時点における版

人形劇 三国志
ジャンル 人形劇
出演者 島田紳助
松本竜介
ほか
オープニング 作曲:細野晴臣
エンディング 「三国志ラヴ・テーマ〜三国志の歌〜」(小池玉緒
製作
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1982年10月2日 - 1984年3月24日
放送時間土曜 18:00 - 18:45
放送分45分
回数68
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人形劇 三国志』(にんぎょうげき さんごくし)は、1982年10月2日から1984年3月24日までNHKでテレビ放送された人形劇である。

概要

番組の特徴

三国志演義』(立間祥介訳)をモチーフに三国の興亡を描いた作品で、美しい人形は人形美術家・川本喜八郎が担当した。番組開始時および人形劇本編の合間には、司会ストーリーテラーとして漫才師の紳助・竜介[注 1]が出演した。

ストーリーは劉備(その死後は諸葛亮)を巡る説話が中心であり、呂布の弟として登場する海賊首領「呂王」などのオリジナルキャラクターやオリジナルストーリーを取り入れつつ、桃園の誓い(作中では168年と設定)から五丈原の戦い(234年)までを描く。10代の少年少女を主なターゲットとしていたため[1]、分かりやすさに重点を置いたセリフや展開になっており、『演義』よりも荒唐無稽・勧善懲悪の要素がより強調される。

使用された人形の大半は川本の好意により「人形の町」として知られる長野県飯田市に寄贈され、同市に設立された川本喜八郎人形美術館に展示された。なお、さまざまな展覧会で展示され照明を浴び続けたため、いくつかの人形、特に曹操のものは色あせが激しく、放送当初の鮮やかな色彩は失われた。

本作以降のNHK人形劇は全て映像が保存されているため、NHKアーカイブスにて全話を視聴することができる。また、2014年4月30日までNHKオンデマンドでの配信も行われた。

2010年8月23日に川本は亡くなったが、奇しくも8月23日は諸葛孔明の命日にあたる。

劇内の特色

放送時間は、人形劇としては異例の1話45分と大河ドラマと同等の長時間に及ぶ。人形劇に機械仕掛けやコンピューターを導入するなど新しい技法が取り入れられた[2]

また、専門の声優ではなく俳優を起用する。先にセリフを収録し、それに合わせて人形を操作するプレスコ技法が使用されたほか、赤壁の戦いなどの合戦シーンでは、人形劇では初めて本物の炎が使われるなど新しい試みも行われた[3]。また、川や池などにも本物の水が使用されており[3]、特に死を前にした劉備から後事を託された孔明が雨の中慟哭する場面では、人形の頭部が水で溶けてしまう危険性があるにもかかわらず、孔明の人形を実際に雨に見立てた水に濡らして迫真の演技をさせた。

主要人物の一人である張飛について、大の蛇嫌いという設定を加えたり、董卓を暇さえあれば知恵の輪遊びに興じさせるなど、番組独自のアレンジもされた。一部人物の性格や言動が、登場人物を絞り込んだことや勧善懲悪の強調によって、演義と比較して大幅に変更した点があり、呉将呂蒙の扱いが批判されることもあった[注 2][注 3]

また各回での合間に挿入されている紳助・竜介の解説場面をニュース番組のパロディーに仕立て、司会者の紳助が実況映像枠の中の(政治部記者に扮した)竜助と会話し、続けて竜助が等身大サイズのまま人形サイズである渦中の人物達(曹操、袁紹、劉備等)に取材、相手は作中にて稀代の悪役や高慢な人格といった設定であっても、快く取材に応じ、コメントを返すなどする[注 4]

最終回のラストは紳助・竜介が蜀が263年に滅亡したことをナレーションし、視聴者にこれまでの視聴に対するお礼を述べた後、人形たちに代わってあいさつをしようとしたところ、劇中から飛び出してきたほぼ全ての人形たちがそろって「ありがとうございました」と言って手を振るという演出であった。

ことわざ三国志

1983年12月26日27日28日の3日間にかけて、三国志から生まれたことわざを当時NHKアナウンサーの迫田朋子と翻訳を手がけた立間祥介を中心に解説していくというもの。最終回である3日目は最後に小池玉緒本人が登場して三国志ラヴ・テーマを披露している。

主なキャスト

声の出演

この作品では、1人の声優が複数の登場人物を兼務する。同じ声優が演じている人物同士で会話する場面もある。また、話によって声優が異なる登場人物(程昱など)も存在した。また、ほとんどの登場人物は他の登場人物からで呼ばれたが、劉備・諸葛亮・司馬懿の3人はほぼ終始一貫して(玄徳・孔明・仲達)で呼ばれた。

三国志大戦コラボでの配役

セガのアーケードゲーム「三国志大戦(第2期)」にLE枠として登場。各勢力から参戦しているが晋国や漢帝国からの参戦はない。キャストはオリジナルより変更されている。カードイラストにも実際の人形の写真を使用している。

劇内オリジナルキャラクター

勝平(しょうへい)
戦災孤児で実父・勝傑(しょうけつ)を探しており、関羽を慕う。中盤で勝傑と再会するが、実は曹操軍の間者である王傑が扮していた。王傑の口から勝傑の戦死が判明し、王傑が自殺を図った後、関羽の養子となり関平を名乗る。演義とは異なり関羽の死後も生き続け、蜀の主力として活躍。
王傑(おうけつ)
曹操軍の間者。勝平の父・勝傑と偽って玄徳軍に潜入し、馬騰と黄奎が謀反を企てていた事を密告して玄徳軍の陣営を乱すことを謀るが、孔明と龐統に見破られる。本物の勝傑は戦死したことを告げた直後に自殺する。
美芳(みいふぁん)
屋台の居酒屋を営み、店の客である張飛とはケンカが絶えない。張飛が長坂橋への出陣の条件として劉備の命令で張飛の妻となる。物語の中では紳々、竜々と共に初回から最終回まで登場した。
玲玲(りんりん)
張飛、美芳の間に生まれた娘。
呂王(りょおう)
呂布の弟。呂布には仕えず海賊になるが、兄の悪評によって不遇を託ち散々に苦労する。長坂の戦いで孔明の説得に応じ援軍に現れる。
淑玲(すうりん)
黄巾の乱で劉備と出会い、漢の献帝の侍女を勤めた後劉備の妻になり、阿斗を儲ける。長坂の戦いで阿斗と共に蜀軍からはぐれて手傷を負い、駆けつけた趙雲に阿斗を託すと井戸へ身を投げて死亡した。彼女を失った後に呉を訪れた劉備は、孫権の妹・貞姫に淑玲の面影を見出し、妻に迎えることとなる。
紳々、竜々(しんしん、ろんろん)
司会者の島田紳助、松本竜介の分身で、声優もそれぞれ本人が担当。狂言回しコミックリリーフ的な役割を担う。武名を上げ将軍になる夢を抱いて様々な勢力に仕官し、黄巾党何進丁原董卓呂布曹操孫権と渡り歩く。仕える主人がことごとく落ち目になるという法則がある。赤壁の敗北で曹操軍を離れて孫権軍に入るも合肥侵攻の惨敗を予想して脱走する。しかし結果は引き分けであった。浪人になった二人はひょんな事から左慈の弟子になって翻弄された末に、最後は成都で屋台を営むようになる。物語初回から顔見知りの張飛が上客だった。黄巾党時の紳々は玄徳を見て「あれはアカン」と言っていた。その後、玄徳に仕えようとした事も度々あったが全てフイになっている。
何故か現代的な価値観を持っているせいで敵兵を殺せない、武人の節義よりも命あっての物種、捕まると聞かれてもいない事までベラベラ喋るなど全体的にドジが多い。本人たちの意識していないところで策略に利用されることもあり、曹操軍では官渡の戦いで袁紹側に偽情報を流し、蜀では司馬懿を失脚させるための張り紙を魏国内に貼る役目を与えられるなど話の節目で重要な役割を果たす事もある。最終回では、劉備、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮の墓を見ながら「わしらの知ってる人達は皆あの中へ入ってしもうたなあ」としみじみつぶやいている。第10話では、紳助、竜介と時空を超えた会話をした。

主なスタッフ

各話リスト

話数 サブタイトル 本放送日
1 桃園の誓い 1982年
10月2日
2 黄巾の嵐 10月9日
3 張角の最期 10月16日
4 英雄 動乱の都へ 10月23日
5 都に嵐吹く 10月30日
6 怪物 都を制す 11月6日
7 燃える都 11月13日
8 帝を救え! 11月20日
9 連環の計 11月27日
10 龍虎 相搏つ 12月4日
11 豪傑張飛の涙 12月11日
12 野望空し 猛将 呂布 12月18日
13 許田の巻狩り 1983年
1月8日
14 帝の陰謀 1月15日
15 関羽の決心 1月22日
16 関羽の義 1月29日
17 決死の千里行 2月5日
18 張飛の虎退治 2月12日
19 官渡の戦い 2月19日
20 わざわいを呼ぶ馬 2月26日
21 玄徳の結婚 3月5日
22 軍師登場 3月12日
23 三顧の礼 3月19日
24 天下三分の計 4月9日
25 水魚の交わり 4月16日
26 孔明 新野を焼く 4月23日
27 不吉な赤い星 5月7日
28 淑玲 死す 5月14日
29 決戦! 百万対一万 5月21日
30 孔明の大論戦 5月28日
31 謎の水上大要塞 6月4日
32 苦肉の計 6月11日
33 赤壁の戦い 6月18日
34 曹操を逃すな! 6月25日
35 風雲 南郡城 7月2日
36 玄徳虎穴に入る 7月9日
37 王覇の業 7月16日
38 玄徳の失敗 7月23日
39 父子再会 7月30日
40 氷の城 8月6日
41 蜀への地図 8月13日
42 戦乱の英雄たち[注 5] 9月3日
43 引き裂かれた愛 9月10日
44 三つの日輪 9月17日
45 凶星西の空に輝く 9月24日
46 落鳳坡に死す 10月1日
47 龐統の仇を討て! 10月8日
48 葭萌関の決闘 10月15日
49 関羽危うし! 10月22日
50 曹操の野心 10月29日
51 怪物登場 11月5日
52 許昌炎上 11月19日
53 名将の死 11月26日
54 玄徳 王位に即く 12月3日
55 五虎大将関羽 出陣す 12月10日
56 関羽の涙 12月17日
57 暗雲 荊州城 12月24日
58 関羽死す 1984年
1月14日
59 関羽の亡霊 1月21日
60 曹操の死 1月28日
61 漢王朝滅亡 2月4日
62 痛恨! 張飛憤死す 2月11日
63 関羽・張飛よ安らかに 2月18日
64 玄徳の死 2月25日
65 孔明の愛の鞭 3月3日
66 出師の表 3月10日
67 泣いて馬謖を斬る 3月17日
68 孔明五丈原に死す 3月24日

作中で使用された人形

作中で使用された人形は長野県飯田市にある飯田市川本喜八郎人形美術館に展示されている[5]

渋谷ヒカリエ内にある川本喜八郎人形ギャラリーにも三国志の人形があるが、こちらは三国志を好んだ川本喜八郎が晩年に渋谷区から依頼を受けて制作した三国志のシリーズを展示したものである(死去によりシリーズは未完となった)[5]。なお、渋谷ヒカリエの川本喜八郎人形ギャラリーの所蔵する平家物語の人形のほうはNHKの人形劇「人形歴史スペクタクル 平家物語」で実際に使用されたものである[5]

作中で使用された楽曲

  • 三国志メイン・テーマ(オープニング、作曲:細野晴臣)
  • 三国志ラヴ・テーマ(エンディング、作曲:細野晴臣・歌:小池玉緒、別名「三国志の歌」)
    この2曲はEP盤・シングルCD(ともに廃盤)が発売されたほか、『決定版 細野晴臣 ベスト・セレクション』(廃盤)に収録された。『メイン・テーマ』は細野のベスト盤『HOSONO BOX 1969-2000』、『YEN BOX VOL.2 BONUS DISC/MALE』(ともに限定盤)に収録された。『ラヴ・テーマ』は『YEN BOX VOL.2 BONUS DISC/FEMALE』(限定盤)に収録された。
    『ラヴ・テーマ』のみ収録されているコンピレーション盤『イエロー・マジック・歌謡曲』、『青春ラジメニア 20周年記念アルバム アニソン玉手箱〜ひねくれの逆襲〜』がある。また、DVD『人形劇 三国志全集』の映像特典(#ことわざ三国志)にも、小池の歌唱映像が含まれる。
    このほか軍勢(特に大軍)の出陣シーンで流れる曲、主人公サイドの感動的なシーンで流れる曲、主人公サイドの重要人物が奇襲を受けるなど突然の不幸に見舞われるシーンで流れる曲など使用頻度の高い楽曲は、CD化はされていない。放送から今日までサウンドトラック等も発売も一切ない。一説には台詞等の音声と同時収録であったため楽曲のみの音源が存在しないともされるが、真偽は不明。

書籍

映像商品

  • 人形劇 三国志全集(DVD全17巻、アミューズ・ビデオ)

関連商品

脚注

注釈

  1. ^ 竜介は放送期間中に竜助に改名。そのことも放送内で触れられている。
  2. ^ 田中芳樹は著書で、呂蒙を中国史に名を残す武将として挙げた上で『人形劇 三国志』での呂蒙の扱いについて批判した[4]
  3. ^ 『演義』では、敵国の民衆に対しても公正な人物であったと描かれるが、本作では荊州の領民を見せしめに惨殺したうえ、それを止めさせるために投降した関羽をだまし討ちにかけ、哄笑しながらなぶり殺すなど狡猾かつ非情な将軍、さらには死に方も欲得丸出しの行動を取った挙句の自業自得の末として描かれた。
  4. ^ 特に曹操は「ノーコメント」と言いながらも持論を展開し、竜介に「ノーコメントの割りにはよくお話し頂きました」と突っ込まれている。
  5. ^ 視聴者のリクエストにより、これまでの物語のハイライトとして放送。

出典

  1. ^ 『NHK年鑑'83』, p. 163.
  2. ^ 『NHK年鑑'83』, pp. 163, 239.
  3. ^ a b 『NHK年鑑'83』, p. 239.
  4. ^ 田中芳樹『中国武将列伝』[要ページ番号]
  5. ^ a b c 川本喜八郎 人形ギャラリー”. 渋谷区. 2019年11月12日閲覧。

参考文献

  • 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'83』日本放送出版協会、1983年。 

関連項目

外部リンク

NHK総合テレビジョン 土曜18:00 - 18:40枠
前番組 番組名 次番組
人形劇 三国志
大草原の小さな家
(第2期)
NHK総合テレビ 夕方の人形劇
プリンプリン物語
(平日 18:25 - 18:40)
【半年のブランクあり】
人形劇 三国志
ひげよさらば
(平日 18:00 - 18:10)