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勢力範囲については、2014年時点で公式には福岡県、[[長崎県]]、および[[山口県]]の3県とされていたものの、同年、[[首都圏 (日本)|首都圏]]にあたる[[千葉県]]内の事務所が新たに確認されている<ref>『[https://web.archive.org/web/20140913050009/http://www.asahi.com/articles/ASG9D5CR8G9DUTIL024.html 工藤会系組織、千葉に事務所 組員を名乗らず風俗店経営]』 2014年9月13日 [[朝日新聞]]</ref>。さらに[[東京都]]内の事務所の存在も表面化した<ref>『[http://www.sankei.com/premium/news/141229/prm1412290023-n1.html 【日本の議論】凶悪「工藤会」「弘道会」東京進出 変わる暴力団勢力図(1/3ページ)]』 2014年12月29日 [[産経ニュース]]</ref>。[[福岡県警察]]の報告によると、準構成員を含めた人員総数は2011年暮れの時点で1,020名<ref>『[https://web.archive.org/web/20130426184558/http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012122701000645.html 3暴力団を初の「特定」指定 福岡など5県、摘発強化へ]』 [[共同通信]] 2012年12月27日 [[47NEWS]]</ref>。2015年暮れの時点で810名<ref>『[https://web.archive.org/web/20160115102442/http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/218571 工藤会、7年連続減 福岡県内組員、過去最少]』 2016年1月15日 [[西日本新聞]]</ref>。[[アメリカ合衆国財務省]]の報告によれば、2014年なかばの時点でおよそ950名<ref>『[https://web.archive.org/web/20140703121102/http://www.yomiuri.co.jp/national/20140703-OYT1T50056.html 米で工藤会の資産凍結「最も暴力的な犯罪組織」]』 2014年7月3日 [[読売新聞]]</ref>。2009年2月の[[実話誌]]『[[実話時代]]』での報告によれば、2008年12月実施の2009年度「事始めの儀」の時点で、全構成員中、320名余りが服役中であった<ref>{{PDFlink|『[http://www.waseda.jp/prj-wipss/ShakaiAnzenSeisakuKenkyujoKiyo_03_Tamura.pdf 福岡県暴力団排除条例の意義と今後の課題>国の立法責任>11]』}} {{small|(p.43)}} 公開時期不詳 田村正博 [[早稲田大学|早稲田大学社会安全政策研究所]]</ref>。 |
勢力範囲については、2014年時点で公式には福岡県、[[長崎県]]、および[[山口県]]の3県とされていたものの、同年、[[首都圏 (日本)|首都圏]]にあたる[[千葉県]]内の事務所が新たに確認されている<ref>『[https://web.archive.org/web/20140913050009/http://www.asahi.com/articles/ASG9D5CR8G9DUTIL024.html 工藤会系組織、千葉に事務所 組員を名乗らず風俗店経営]』 2014年9月13日 [[朝日新聞]]</ref>。さらに[[東京都]]内の事務所の存在も表面化した<ref>『[http://www.sankei.com/premium/news/141229/prm1412290023-n1.html 【日本の議論】凶悪「工藤会」「弘道会」東京進出 変わる暴力団勢力図(1/3ページ)]』 2014年12月29日 [[産経ニュース]]</ref>。[[福岡県警察]]の報告によると、準構成員を含めた人員総数は2011年暮れの時点で1,020名<ref>『[https://web.archive.org/web/20130426184558/http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012122701000645.html 3暴力団を初の「特定」指定 福岡など5県、摘発強化へ]』 [[共同通信]] 2012年12月27日 [[47NEWS]]</ref>。2015年暮れの時点で810名<ref>『[https://web.archive.org/web/20160115102442/http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/218571 工藤会、7年連続減 福岡県内組員、過去最少]』 2016年1月15日 [[西日本新聞]]</ref>。[[アメリカ合衆国財務省]]の報告によれば、2014年なかばの時点でおよそ950名<ref>『[https://web.archive.org/web/20140703121102/http://www.yomiuri.co.jp/national/20140703-OYT1T50056.html 米で工藤会の資産凍結「最も暴力的な犯罪組織」]』 2014年7月3日 [[読売新聞]]</ref>。2009年2月の[[実話誌]]『[[実話時代]]』での報告によれば、2008年12月実施の2009年度「事始めの儀」の時点で、全構成員中、320名余りが服役中であった<ref>{{PDFlink|『[http://www.waseda.jp/prj-wipss/ShakaiAnzenSeisakuKenkyujoKiyo_03_Tamura.pdf 福岡県暴力団排除条例の意義と今後の課題>国の立法責任>11]』}} {{small|(p.43)}} 公開時期不詳 田村正博 [[早稲田大学|早稲田大学社会安全政策研究所]]</ref>。 |
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2014年9月、[[福岡県警]]はトップである[[野村悟]]総裁とナンバー2の田上不美夫会長を[[殺人罪 (日本)|殺人]]容疑等で逮捕。その後もナンバー3・理事長代行・総本部長等執行部を立て続けに逮捕した |
2014年9月、[[福岡県警]]はトップである[[野村悟]]総裁とナンバー2の田上不美夫会長を[[殺人罪 (日本)|殺人]]容疑等で逮捕。その後もナンバー3・理事長代行・総本部長等執行部を立て続けに逮捕した<ref name="北九州地区暴力団犯罪捜査課">[https://cakes.mu/posts/15244 【警察の実力2016】(07) 捜査4課…トップらを軒並み逮捕、福岡県警の暴力団壊滅作戦 (取材・文/ノンフィクションライター 窪田順生)]</ref>。翌15年6月、福岡県警捜査2課は[[福岡国税局|国税局]]とも連携して、配下の組員から集めた[[上納金]]のうち個人所得に当たる約2億2700万円を隠して[[所得税]]約8800万円を[[脱税]]したとして、野村総裁を[[所得税法]]違反容疑でも逮捕した<ref>[http://www.kouaniinkai.pref.fukuoka.jp/gidai/pdf/20150618gidai.pdf 福岡県公安委員会 活動状況 <定例会の主な議題及び要旨> 平成27年6月18日(木)【報告事項】 1 五代目工藤會総裁らによる所得税法違反事件の検挙について]</ref>。 |
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2020年2月19日、福岡県北九州市小倉北区神岳1-1-12にあった総本部が解体され跡地となり、[[暴力追放運動推進センター|福岡県暴力追放運動推進センター]]が仲介して、土地の所有権を工藤会側から福岡県内の民間業者に移す手続きが行われる。売却代金のうち、解体費などを差し引いた残り4,000万円は組員が関与したとされる市民襲撃事件の賠償に充てられる。跡地は、民間業者から北九州市でホームレスの自立支援をしているNPO法人「抱樸」が買い取ることで両者が基本合意。子どもの学習や高齢者の介護などを支援する福祉施設ができる予定である<ref>{{Cite web |date=2019-12-04|url=https://www.asahi.com/articles/ASMDF6V9MMDFTIPE03P.html |title=工藤会本部事務所、重機でほぼ解体 来年2月までに更地 |publisher=朝日新聞 |accessdate=2020-04-19}}</ref><ref>{{Cite web |date=2019-10-10 |url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/549968/ |title=工藤会跡地「福祉施設に」 購入意向の企業が意欲 |publisher=西日本新聞 |accessdate=2020-04-19}}</ref><ref>{{Cite web |date=2020-04-19 |url=https://this.kiji.is/624571346054022241?c=39546741839462401 |title=北九州の工藤会跡地、活用へ |publisher=共同通信 |accessdate=2020-04-19}}</ref>。 |
2020年2月19日、福岡県北九州市小倉北区神岳1-1-12にあった総本部が解体され跡地となり、[[暴力追放運動推進センター|福岡県暴力追放運動推進センター]]が仲介して、土地の所有権を工藤会側から福岡県内の民間業者に移す手続きが行われる。売却代金のうち、解体費などを差し引いた残り4,000万円は組員が関与したとされる市民襲撃事件の賠償に充てられる。跡地は、民間業者から北九州市でホームレスの自立支援をしているNPO法人「抱樸」が買い取ることで両者が基本合意。子どもの学習や高齢者の介護などを支援する福祉施設ができる予定である<ref>{{Cite web |date=2019-12-04|url=https://www.asahi.com/articles/ASMDF6V9MMDFTIPE03P.html |title=工藤会本部事務所、重機でほぼ解体 来年2月までに更地 |publisher=朝日新聞 |accessdate=2020-04-19}}</ref><ref>{{Cite web |date=2019-10-10 |url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/549968/ |title=工藤会跡地「福祉施設に」 購入意向の企業が意欲 |publisher=西日本新聞 |accessdate=2020-04-19}}</ref><ref>{{Cite web |date=2020-04-19 |url=https://this.kiji.is/624571346054022241?c=39546741839462401 |title=北九州の工藤会跡地、活用へ |publisher=共同通信 |accessdate=2020-04-19}}</ref>。 |
2021年4月24日 (土) 13:18時点における版
設立者 | 工藤玄治 |
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設立場所 | 北九州・小倉 |
本部 | 福岡県北九州市小倉北区三郎丸3-11-6[1] |
首領 | 野村悟(総裁・四代目会長) 田上文雄(五代目会長) |
活動範囲 | 3県[2] |
構成員数 (推定) | 約430名[3] ┗構成員 約270人 ┗準構成員等 約220人 |
友好組織 | 道仁会、太州会、熊本會、住吉会 |
工藤會(工藤会[4]、くどうかい[5])は、日本の暴力団[6]。指定暴力団[2]。2012年から改正暴対法に基づく「特定危険指定暴力団」[7]。福岡県北九州市に本部を置き、2020年末時点の勢力は約430名(構成員:約270人、準構成員等:約220人)[3]。主たる活動地域は福岡県、山口県及び長崎県の3県、ならびに首都圏[8]とされている。北九州地区最大[9]かつ九州地方最大規模の暴力団組織である[10]。
概要
北部九州地方に根差した他の数多の暴力団組織と同様、極めて好戦的な傾向を有することが指摘されており、強烈な反警察志向、容易に激昂する、手段としての闘争ではなく闘争行動それ自体に価値を見出すなどの傾向を有することで知られる“九州ヤクザ”の好例であるとの評があり[11]、特に2012年には「今、最も先鋭的な武闘派組織として知られる団体」[12]と報じられた。
暴力団追放運動の関係者宅や一般企業に銃撃を加え、平然と手榴弾を投げ込むなど、いわゆる「カタギ」の市民をも攻撃対象とすることが特に知られており、関係事案の公判において、工藤会への恐怖から証言者5名のうち4名が証言を拒否するなどの異常事態が確認されている[13]。福岡県庁はこうしたことから「極めて凶悪な組織」[14]と、警察庁も「極めて悪質な団体」と形容[15]し、アメリカ合衆国財務省は「“世界最大の犯罪組織”にあたる“ヤクザ”の中でも最も凶暴な団体」と指摘している[16]。
反山口組の旗手としても知られ、九州地方の独立組織でつくる「四社会」という親睦団体を道仁会、太州会、および熊本會とともに結成している[17]。
来歴
代 | 会長 | 期間 |
---|---|---|
初 | 工藤玄治 | 創立 - 1987 |
二 | 草野高明 | 1987 - 1990 |
三 | 溝下秀男 | 1990 - 2000 |
四 | 野村悟 | 2000 - 2011 |
五 | 田上文雄 | 2011 - 現在 |
前身は戦前の小倉に結成された「工藤組」という博徒組織で、その初代が工藤玄治であった。
1950年、若松市の暴力団・梶原組の組員が、工藤組草野組・草野高明組長の弟を刺殺。梶原組と草野組は和解することなく対立を続けた。1963年には三代目山口組若頭の地道行雄が北九州市内の安藤組と長畠組、そして梶原組を傘下に収める。その後梶原国弘は北九州市での力道山のプロレス興行の実施を地道を通して三代目山口組田岡組長に依頼し、これを田岡が即座に了承。ところがこれを知った草野高明が、梶原への対抗から、市内での北原謙二の公演の開催を決定。これを直接のきっかけとして、工藤組組員らが山口組系組員らを河原で虐殺する、いわゆる紫川事件が発生した。
紫川事件から服役するに至った草野高明が出所後に工藤組を離脱したうえで「草野一家」を結成。そこから抗争状態に突入した工藤会と草野一家は、双方の幹部に死者を出しながら福岡県下全域で激しい銃撃戦を展開した。特に傘下田中組組長・田中新太郎が草野一家「極政会」によって殺害された1980年を境に抗争は激化の一途を辿った。[18]
そうして激しい抗争を続けたものの、1987年をもってついに草野一家と再統合[17]。それまでの“工藤会”から“工藤連合草野一家”へ名を変え、草野一家の総長であった草野高明が当代の総長に就任、やがて若頭であった溝下秀男が1990年に三代目を襲名[19]。1992年(平成4年)に暴力団対策法に基づく指定暴力団となった[20]。
1999年をもって“工藤會”と名を変え、翌2000年に野村悟が四代目を継承[21]。やがて最大傘下組織・田中組の組長であった田上文雄が2011年に五代目を襲名、前会長の野村は総裁に退いた[22]。
情勢
旧本部の所在地は、小倉競輪場ほど近くの商住地域の福岡県北九州市小倉北区神岳1-1-12に位置していた[23][24]。現在は、福岡県北九州市小倉北区三郎丸3-11-6に本部を置いている[1]。その主な資金獲得活動には、みかじめ料の要求、違法薬物の密売、公共工事などへの不当介入、さらには一般の商取引および経済取引部門への介入などが含まれるものと見られている[25]。
勢力範囲については、2014年時点で公式には福岡県、長崎県、および山口県の3県とされていたものの、同年、首都圏にあたる千葉県内の事務所が新たに確認されている[26]。さらに東京都内の事務所の存在も表面化した[27]。福岡県警察の報告によると、準構成員を含めた人員総数は2011年暮れの時点で1,020名[28]。2015年暮れの時点で810名[29]。アメリカ合衆国財務省の報告によれば、2014年なかばの時点でおよそ950名[30]。2009年2月の実話誌『実話時代』での報告によれば、2008年12月実施の2009年度「事始めの儀」の時点で、全構成員中、320名余りが服役中であった[31]。
2014年9月、福岡県警はトップである野村悟総裁とナンバー2の田上不美夫会長を殺人容疑等で逮捕。その後もナンバー3・理事長代行・総本部長等執行部を立て続けに逮捕した[32]。翌15年6月、福岡県警捜査2課は国税局とも連携して、配下の組員から集めた上納金のうち個人所得に当たる約2億2700万円を隠して所得税約8800万円を脱税したとして、野村総裁を所得税法違反容疑でも逮捕した[33]。
2020年2月19日、福岡県北九州市小倉北区神岳1-1-12にあった総本部が解体され跡地となり、福岡県暴力追放運動推進センターが仲介して、土地の所有権を工藤会側から福岡県内の民間業者に移す手続きが行われる。売却代金のうち、解体費などを差し引いた残り4,000万円は組員が関与したとされる市民襲撃事件の賠償に充てられる。跡地は、民間業者から北九州市でホームレスの自立支援をしているNPO法人「抱樸」が買い取ることで両者が基本合意。子どもの学習や高齢者の介護などを支援する福祉施設ができる予定である[34][35][36]。
2020年6月3日、総本部事務所が撤去・売却されたことを受けて、福岡県公安委員会は、北九州市内の二代目矢坂組事務所を新たな活動拠点として公示した[1]。
2019年9月10日の朝日新聞によれば、2019年時点で、組員約300人の内、およそ半分が、拘留または刑務所で服役中の状態にある[37]。また、宮崎学によれば福岡県警の工藤會壊滅作戦により、活動範囲が狭まり、末端の組員は生活基盤が崩壊、「難民」化し、自殺を選ぶ者もでているという[38]。
他団体関係
道仁会、太州会、熊本會とは「四社会」を通して“攻守同盟”とも言われる盟友関係にある[17]。住吉会とは親戚団体の関係にある[39]。山口組関係者の言によると、司六代目体制に入った山口組が組織ぐるみの縁を築いていない組織は、道仁会と工藤会のみである[40]。
かつては山口県の合田一家や兵庫県の忠成会、広島県の共政会、岡山県の浅野組などとともに、反山口組を掲げる親睦団体「関西二十日会」を結成していた[41]。
2001年の警察白書は、その前年に発生した暴力団抗争事件の目立った事例として、工藤会の山口組との抗争事件を採り上げ、福岡県と山口県を舞台に頻発したその抗争事件の過程で起きた、工藤会による山口組傘下組織組長の射殺を報告している[42]。2008年に三代目会長の溝下秀男が死去した折には、斯界すなわち暴力団界の代紋頭や最高幹部などの大物陣が日本全国各地から葬儀に参列、いわゆる指定暴力団組織に着目すれば、全22団体中、九州誠道会のみを除いた全団体の頭目ないしはその名代が駆けつけた[39]。
2011年に執り行われた「五代目工藤會」発足の儀の折には、道仁会、太州会、および熊本會という「四社会」の加盟各団体の首領らに加え、住吉会の首領にあたる福田晴瞭、計4名が“特別見届け人”として列席している[17]。
暴追関係
暴力団対策法実施後の1994年、当局から受けていた再発防止命令を無視してみかじめ料の要求を行ったとして、傘下組織の組員が検挙された。これは全国初の同法違反に基づく検挙例であった[43]。2006年には福岡県警の製作による反暴力団関係のビデオ(『許されざる者』[44])に関し、これの学校での上映を検討していた市教委に対して、上映の中止を要望する旨の申し入れを行ったことが注目を集めた。
最高顧問の林武男名義で送付されたその請願書は、当該ビデオの上映を人権侵害に当たる行為であるとし、それによって起こりうる組員の子息らへのいじめの誘発への懸念の旨などを記していた。これに対して市教委は返答が可能な段階には未だ至っていないとし、県警側は指摘されたような内容のものにはあたらないとの反論を示した[45]。
北九州市小倉南区に新たな事務所を設立した2010年には、その立地が小学生児童らの通学路に隣していたことが問題となった。これを受けて北九州市は、近辺への監視カメラの配置を決定。それからほどなくして福岡県では暴力団排除条例が実施の運びに至り、警察庁長官の安藤隆春が現地を視察。工藤会を壊滅に追い込む「頂上作戦」を実行するよう捜査員らに訓示している[46]。
福岡県警察元警部が、市内で銃撃を受けるという事件が発生した2012年には、警視庁からの市内への機動隊員(150名)の派遣が決定[47]。さらに、銃器や薬物の捜査を担う専従捜査員10名の長期派遣が決定[48]。他道府県への専従捜査員の派遣は同庁にとって極めて異例のことであった[49]。
改正暴力団対策法に基づく「特定危険指定暴力団」への指定(2012年)[50]を経て、2014年にはアメリカ合衆国財務省の金融制裁対象となる[51]。日本の暴力団において、山口組・住吉会・稲川会に続く4例目の指定であった[52]。
防犯標榜活動
工藤会はいわゆる『中国人犯罪の排除』を提唱し、1990年代の後半頃からというもの、組員数十人を動員したうえで、北九州市内の繁華街における中国人経営の風俗店や酒場の存在を調査させ、発見次第それらを街から追放するという活動を行ってきた。市内小倉の繁華街にあっては、中国人経営のスナックが放火されるなどの事件が相次ぎ、中国人の経営によるその種の店舗が街から姿を消した状態となっている[53]。警察当局の「工藤會対策」が激化する2006年頃までは、夜間の繁華街において、複数の組員を動員してのいわゆる「夜回り」を行っていた。警察当局はこれを示威(等)を目的とする行動と見ていた[54]。
重武装化
かねてから重武装で知られており、2010年以降も、工藤會の関与が疑われる武器の摘発が相次いでいた。
2011年には、組織の武器庫の一つであったものと見られる福岡市内のマンションの一室で、アメリカ合衆国製の回転式拳銃やサイレンサー付きの半自動拳銃、イスラエル国防軍製ウージー短機関銃やM4カービン自動小銃など、殺傷能力の高い銃火器が大量に押収された[55]。これについては、件の容疑者が裁判において、密売目的の所持であったと証言しており、工藤會の組織的関与が認められるには至っていない[56]。
さらにその翌2012年には、工藤會関係者の管理下にあった北九州市内の倉庫にて、多数の自動式拳銃などとともに装弾済みのロケットランチャーが押収されている[57]。のちの鑑定によれば、この品はロシア連邦軍製の対戦車兵器用ロケットランチャー「RPG-26」[58]で、その摘発の舞台となった倉庫も同様に、組織の武器庫であったものと目された[59]。
市民対象暴力
工藤会はいわゆる「カタギ」の一般市民をも攻撃対象とするという点で特に知られてきた[60]。
著名な事例としては、歴史的なものでは、福岡の中国総領事館を散弾銃で攻撃(1988年)[61]、福岡県警元暴力団担当警部宅にガソリンを撒布し放火(1988年)[62]、パチンコ店や区役所出張所などを17件前後にわたって連続的に銃撃(1994年)、などが挙げられ、2000年代以降のものでは、暴力団事務所撤去の運動に取り組んでいた商店に車両で突撃[62]、暴力追放を公約に掲げて当選した中間市長の後援市議を襲撃[62]、警察官舎敷地内の乗用車に爆弾を設置[62]、九州電力の松尾新吾会長宅に爆発物を投擲[63]、西部ガスの田中優次社長宅への手榴弾投擲及び同社関連会社と同社役員の親族宅を銃撃[64]、暴力団追放運動主導者の経営するクラブに手榴弾を投擲[65]、次期総理大臣であった安倍晋三の下関市の自宅と後援会事務所に火炎瓶を投擲した安倍晋三宅火炎瓶投擲事件[66]、トヨタ自動車九州の小倉工場に爆発物を投擲[67]、工藤会追放運動を推進していた自治連役員宅を銃撃[68]、みかじめ料の要求を断ったパチンコ店を火炎瓶や放火などをもって執拗に攻撃[69]、元工藤会担当県警警部を路上で銃撃[70]、などが幅広い報道の対象となった。
なかでも「手榴弾を用いたクラブ襲撃事件」は、福岡県警が大規模な取り締まり強化態勢を布いていたさなかの出来事であり、この件を受けて県警幹部は、これを「市民に対する“テロ行為”」と断言、「工藤会は越えてはならない一線を越えた」との声明を発した[62]。西部ガスの件を全国ニュースとして報道したNHKは、工藤会関係者を名乗る男からの脅迫電話を受けている[71]。
2013年1月、野村総裁は自身が受けた陰茎増大や脱毛の美容整形外科手術に不満を持ち、その報復として元幹部の男に指示し手術を担当した女性看護師を刺傷させた。女性は頭を3か所切られるなど重傷を負った。2017年2月に初公判が開かれた[72]。
五代目工藤會
- 出典:『実話時代 2011年9月号』
- 総裁 野村悟
- 会長 田上文雄
- 最高顧問 林武男
- 執行部
- 理事長 五代目田中組組長・菊池啓吾
- 総本部長 石田組組長・石田正雄
- 舎弟頭 長谷川組組長・長谷川泰三
- 組織委員長兼渉外委員長 篭縞組組長・篭縞武志
- 懲罰委員長 木原組組長・木原浩
- 総務委員長 山中組組長・山中政吉
- 事務局長 田中(十)組組長・田中十四春
- 理事長補佐 瓜田組組長・瓜田大
- 理事長補佐 四代目極政組組長・内蔵成喜八
- 顧問 添島組組長・添島弘之
- 常任相談役
- 中島組組長・中島直人
- 玉井組組長・玉井金芳
- 緒方組組長・緒方紀年
- 三代目土谷組・奥平政義
- 松本組組長・松本光将
- 林(政)組組長・林政美
- 二代目矢坂組組長・山本和義
- 会長舎弟 二代目津川組組長・木村博 (殺人罪,2017.07.10福岡高裁判決無期懲役)
- 会長舎弟 本田組組長・本田三秀 (傷害罪,2020.09.17福岡地裁判決懲役6年)
- 総裁秘書 木政組組長・木村政勝
- 総裁付
- 白石組組長・白石孝
- 大原組組長・大原康昭
- 久保組組長・久保恵
- 丸本組組長・丸本哲雄
- 二代目木下組組長・船田茂樹
- 直若
- 今田組組長・今田雄二
- 山本組組長・山本峰貢
- 山下組組長・山下義徳
- 五代目林組組長・林孝章
- 反田組組長・反田信政
- 伊崎組組長・伊崎年春
- 吉原組組長・吉原聖吉
- 井塚組組長・井塚則夫
- 池田組組長・池田一男
- 高野組組長・高野基司 (非現住建造物等放火未遂罪,2007.3.9福岡地裁小倉支部判決懲役20年)
- 中村組組長・中村数年 (殺人罪,2006.5.12福岡地裁小倉支部判決無期懲役)
- 二代目村上組組長・森隆志
- 三明組組長・三明和夫
- 四代目田口組組長・大原弘
- 武本組組長・武本友裕
- 新屋組組長・新屋実
- 川谷組組長・川谷隆雄
- 福山組組長・福山幸一
- 古本組組長・古本健二
- 大場組組長・大場雅己
- 小川組組長・小川幸司
- 下川組組長・下川直也
- 影浦組組長・影浦壱治
- 馬場組組長・馬場資房
- 玉田組組長・玉田圭司
- 二代目緒方哲組組長・緒方裕太
出典
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