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「寺地山」の版間の差分

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2021年5月14日 (金) 00:35時点における版

寺地山
東側の北ノ俣岳の登山道から望む寺地山(2017年9月30日撮影)
東側の北ノ俣岳から望む寺地山
標高 1,996.04[注釈 1][1] m
所在地 日本の旗 日本
富山県富山市
岐阜県飛騨市
位置 北緯36度25分31秒 東経137度28分27秒 / 北緯36.42528度 東経137.47417度 / 36.42528; 137.47417座標: 北緯36度25分31秒 東経137度28分27秒 / 北緯36.42528度 東経137.47417度 / 36.42528; 137.47417[1]
山系 飛騨山脈立山連峰
寺地山の位置(日本内)
寺地山
寺地山の位置
プロジェクト 山
テンプレートを表示

寺地山(てらじやま)は、富山県富山市岐阜県飛騨市[注釈 2]にまたがる標高1,996 m立山連峰[2][3]

概要

飛騨山脈(北アルプス)中央部西端付近に位置する。北東側の山域は中部山岳国立公園の特別地域の指定を受けている[4]。山域にはイワイチョウコバイケイソウタムシバ[5]ツバメオモトオオバユキザサクロマメノキナナカマド[6]ミズバショウニッコウキスゲブナネズコ[7]シラビソダケカンバなどが分布し、山頂部はキタゴヨウ、ネズコなどの針葉樹林に囲まれたなだらかな台地状となっている。山頂部の西側に池塘があり、その鏡池平周辺では水生植物モウセンゴケ[3]などの湿性植物が分布している[2]。小広い平坦な山頂に、三等三角点(点名「大山」、標高1,996.04 m[1])が設置されているが、展望はない[8]。山域には鳥獣保護区が設定されている[9]

登山

登山の対象となる山で[7]、残雪期に山スキーで訪問されることもある[5]。岐阜県山岳連盟により、ぎふ百山の一つに選定されている[10]。『岐阜県北アルプス地区における山岳遭難の防止に関する条例[11]により登山届の提出が義務化(登山届提出条例)された対象エリアの山であり、寺地山および北ノ俣岳登山口[12]に登山届(および下山届)ポストが設置されている[13]。飛越トンネル登山口から本山へ至る登山ルート(無雪期・天候良好時)は、岐阜県による「岐阜県 山のグレーディング」で、技術的難易度が「ランクB/(A-E)」(低い-中程度)、体力度が「3/1-10」(小程度、日帰りが可能)とされている[14]。厳冬期に特別豪雪地帯である山域で救助要請が行われた山岳遭難が発生している[15]

登山ルート

山頂部付近西側の鏡池平にある池塘

主な登山ルートを以下に示す。大規模林道大山高山線が開設後、1995年に飛越新道が開設されて[8]からは、神岡新道に替って飛越新道が多く利用されるようになった[2]薬師岳黒部五郎岳を登山時に、北ノ俣岳からの西尾根ルートで登頂されることもある[8]登山道は湿地帯で晴れた日でもぬかるみが多く滑りやすく、再整備が必要とされている[16]

  • 飛越新道:飛越トンネル登山口 - まむし洞峠 - 神岡新道との分岐(1,842 m標高点) - 鏡池平 - 寺地山[8]、大規模林道の高山大山線県境を貫通する飛越トンネルの南側が飛越新道の登山口となる[7]。1,842 m標高点で神岡新道に合流する[7]
  • 神岡新道:打保 - 打保乗越 - 飛越新道との分岐 - 鏡池平 - 寺地山[7][8]1956年昭和31年)に開設された登山道[6]。中腹には水ノ平と呼ばれるミズバショウが自生する湿原がある[8]

周辺の山小屋

登山口や稜線上には、山小屋[17]キャンプ指定地[18]などがある。

名称 所在地 標高
(m)
寺地山からの
方角と距離 (km)
[注釈 3]
収容
人数
キャンプ
指定地
備考
薬師岳山荘 薬師岳直下南西 2,701 北東 6.8 60 2010年新装オープン[19]
太郎平小屋 太郎山北東の太郎兵衛平 2,330 北東 4.6 150 テント100張
(薬師峠)
夏に山岳警備隊が常駐[20]
薬師沢小屋 黒部川本流の薬師沢出合 1,920 南東 6.5 70 [21]
北ノ俣避難小屋 寺地山と北ノ俣岳との鞍部 2,000 東 1.6 10 飛越新道[22]

地理

立山連峰の主稜線上にある北ノ俣岳から西方に延びる尾根上にあるピーク[2][3][23]

周辺の主な山

周辺の立山連峰の主要な山を以下に示す[23]

山容 山名 標高(m)
[1][24]
三角点等級
基準点名[1]
寺地山からの
方角距離(km)
備考
北ノ俣岳から望む薬師岳、左奥に奥大日岳と剱岳、雪解け後の斜面にハクサンイチゲの大群落とハイマツの群落(2015年8月8日) 薬師岳 2,925.99  二等
「薬師ケ岳」
北東 8.0 日本百名山
太郎山と薬師峠方面から太郎平小屋へ向かう登山道の木道(2015年8月8日) 太郎山 2,372.98 三等
「太郎」
北東 4.3
北ノ俣岳から望む寺地山(2015年8月8日) 寺地山 1,966.04 三等
「大山」
0 ぎふ百山
薬師岳から望む北ノ俣岳、稜線上に薬師岳山荘と太郎平小屋(2015年8月8日) 北ノ俣岳 2,662 三等
「北俣岳」
(2,661.29
東 3.4 ぎふ百山
新・花の百名山
桑崎山 1,727.99  三等
「深戸」
南西 9.7 ぎふ百山

周辺の峠

薬師峠(立山連峰の主稜線上、標高2,294 m、薬師岳と太郎山との鞍部)のキャンプ指定地、2015年8月

周辺の主なを以下に示す[23]

  • 薬師峠 - 山頂の北東5.5 km、太郎山と薬師岳との鞍部。標高2,294 m。キャンプ指定地があり、管理棟、トイレと給水施設が設置されている。
  • 唐尾峠[7] - 山頂の西6.2 km、西へと延びる尾根上にある鞍部。標高約1,590 m。
  • 中俣乗越 - 山頂の東南東5.1 km、赤木岳黒部五郎岳との鞍部。標高約2,450 m。

源流の河川

常願寺川高原川神通川水系)のそれぞれの支流分水嶺となる山で、以下の河川源流となる山で[23]日本海側富山湾へ流れる。有峰ダムの南南東7.4 kmに位置する。

  • 和田川、真川[2] - 常願寺川の支流
  • 北ノ俣川[2] - 高原川の支流

交通・アクセス

岐阜県飛騨市国道471号から富山県の有峰林道東谷線に大規模林道大山高山線が通じ、その県境を貫通する飛越トンネル、トンネルの南側が飛越新道の登山口

有峰林道が周辺の山域の北西側を通る。岐阜県飛騨市の国道471号から富山県の有峰林道東谷線に接続する大規模林道高山大山線(林道和佐府線)の飛越トンネルが、県境の西山腹を貫通する。特別豪雪地帯にあり、大規模林道高山大山線の飛騨市神岡町和佐府から北側の区間においては毎年11月上旬から6月初旬まで冬期通行止めが実施される[25]。山域の南西側の打俣川沿いに岐阜県道484号打保神岡停車場線が通り、その起点である飛騨市神岡町打保から神岡新道の登山道が本山へと延びる。富山地方鉄道立山線有峰口駅の南南東18 kmに位置し、東海旅客鉄道(JR東海)高山本線飛騨古川駅の北東33 kmに位置する。中部縦貫自動車道安房峠道路平湯インターチェンジの北北西27 kmに位置し、北陸自動車道立山インターチェンジの南南東 31kmに位置する。

寺地山からの眺望

山頂は木々に覆われて眺望はないが、山頂の少し東側の登山道からは東側の視界が開け、飛騨山脈の山並みが見渡せる[8]

脚注

注釈

  1. ^ 基準点の標高は、2014年3月13日の国土地理院による標高改算値。
  2. ^ 2005年4月1日の富山県富山市との市町村合併前の上新川郡大山町と、2004年2月1日の合併して飛騨市となった岐阜県吉城郡神岡町とにまたがっていた山。
  3. ^ 寺地山からの山小屋までの距離は、登山経路上の距離ではなく、2地点の直線距離。

出典

参考文献

  • 一般質問、北ノ俣岳登山道の整備を」(PDF)『飛騨市議会だより』第31巻、飛騨市議会議長、2010年11月16日。 
  • 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474 
  • 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 島田靖、堀井啓介、木下喜代男『岐阜県の山』山と溪谷社〈分県登山ガイド〉、1998年1月10日。ISBN 4635021807 
  • 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2009年12月。ISBN 9784635023702 
  • 昭文社地図編集部 編『立山昭文社山と高原地図2015年版〉、2015年3月9日。ISBN 978-4398762368 
  • 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • PEAKS特別編集 編『日本山小屋ガイド』エイ出版社〈エイムック3043〉、2015年3月19日。ISBN 978-4777935079 
  • 飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年12月。ISBN 978-4-779-50504-1 
  • 平塚晶人「ケース3 豪雪の果てに--北アルプス寺地山付近・山岳会「登研」の救助要請 (特別企画 ターニングポイント 正月山行と遭難) -- (遭難の現実)」『岳人』第667巻、中日新聞東京本社、2003年1月、NAID 40005415836 
  • 山と溪谷社 編『山と溪谷2011年1月号付録』山と溪谷社〈山の便利手帳2011〉、2010年12月、ASIN B004DPEH6G頁。 
  • 渡辺幸雄、次田経雄、熊沢正幸、中村成勝『上高地穂高』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド19〉、2000年4月。ISBN 4-635-01319-7 

関連項目

外部リンク