「アステュアナクス」の版間の差分
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[[マッテーオ・マリーア・ボイアルド]]の『[[恋するオルランド]]』(1495年)では、アンドロマケーがアステュアナクスを墓の中に隠し、ギリシア軍が来た時には別の子供とすり替える。アステュアナクスは[[シチリア]]に逃げ、[[アグリジェント]]王を殺し、[[メッシーナ]]を統治し、[[シラクサ]]の女王と結婚する。その後、アステュアナクスは[[アイギストス]]に殺されるが、妻と子供は逃げ延び、その子孫が英雄[[ルッジェーロ (架空の人物)|ルッジェーロ]]である。[[ローラン (シャルルマーニュ伝説)|オルランド]]の愛剣[[デュランダル]]はルッジエーロを負かしたサラセンの騎士から勝ち取ったものだが、それはヘクトールが昔使っていた剣だった。[[ルドヴィーコ・アリオスト]]の『[[狂えるオルランド]]』(1516年)はこの設定の翻案である。 |
[[マッテーオ・マリーア・ボイアルド]]の『[[恋するオルランド]]』(1495年)では、アンドロマケーがアステュアナクスを墓の中に隠し、ギリシア軍が来た時には別の子供とすり替える。アステュアナクスは[[シチリア]]に逃げ、[[アグリジェント]]王を殺し、[[メッシーナ]]を統治し、[[シラクサ]]の女王と結婚する。その後、アステュアナクスは[[アイギストス]]に殺されるが、妻と子供は逃げ延び、その子孫が英雄[[ルッジェーロ (架空の人物)|ルッジェーロ]]である。[[ローラン (シャルルマーニュ伝説)|オルランド]]の愛剣[[デュランダル]]はルッジエーロを負かしたサラセンの騎士から勝ち取ったものだが、それはヘクトールが昔使っていた剣だった。[[ルドヴィーコ・アリオスト]]の『[[狂えるオルランド]]』(1516年)はこの設定の翻案である。 |
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ジャン・ルメール・ド・ベルジュ([[:en:Jean Lemaire de Belges|Jean Lemaire de Belges]])の『Illustrations de Gaule et Singularités de Troie』(1510年 - 1512年)では、トロイアから生き延びたアステュアナクスは西ヨーロッパに辿り着き、フランクスと名を変えて[[ガリア|ゴール人]]の王になる。その王朝が[[ピピン3世]]や[[カール大帝|シャルルマーニュ]]の[[カロリング朝]]に繋がる<ref>{{fr icon}} Simonin, Michel (ed.) ''Dictionnaire des lettres françaises - Le XVIe siècle''. Paris: Fayard, 2001, p. 726, ISBN 2253056634</ref>。[[ピエール・ド・ロンサール]]の叙事詩『フランシアード』(1572年)はこの設定の翻案である。 |
ジャン・ルメール・ド・ベルジュ([[:en:Jean Lemaire de Belges|Jean Lemaire de Belges]])の『Illustrations de Gaule et Singularités de Troie』(1510年 - 1512年)では、トロイアから生き延びたアステュアナクスは西ヨーロッパに辿り着き、フランクスと名を変えて[[ガリア|ゴール人]]の王になる。その王朝が[[ピピン3世 (フランク王)|ピピン3世]]や[[カール大帝|シャルルマーニュ]]の[[カロリング朝]]に繋がる<ref>{{fr icon}} Simonin, Michel (ed.) ''Dictionnaire des lettres françaises - Le XVIe siècle''. Paris: Fayard, 2001, p. 726, ISBN 2253056634</ref>。[[ピエール・ド・ロンサール]]の叙事詩『フランシアード』(1572年)はこの設定の翻案である。 |
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2021年7月24日 (土) 22:23時点における版
アステュアナクス(古希: Ἀστυάναξ, Astyánax)とは、ギリシア神話に登場する人物。
- トロイア王子ヘクトールとアンドロマケーの子。本名はスカマンドリオス(古希: Σκαμάνδριος, Skamándrios)だが、そう呼ぶのはヘクトールだけで、それ以外の人々は「アステュアナクス」と呼んでいた[1]。
- ヘーラクレースとテスピオスの娘エピライスの子[2]。
トロイアのアステュアナクス
トロイア戦争の時、アステュアナクスは生まれたばかりの乳飲み子だった。トロイアが陥落する時、殺されるのだが、その詳細には諸説ある。
叙事詩の環の『小イーリアス』の断片では、ネオプトレモスが塔からアステュアナクスを突き落とした、と書かれている[3]。
一方、同じ叙事詩の環の『イーリオスの陥落』では、突き落とすのはオデュッセウスになっている[4]。
ウェルギリウスの『アエネーイス』[5]、ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの『神話集』[6]、オウィディウスの『変身物語』[7]、アポロドーロスの『ビブリオテーケー』[8]では誰が殺したかは書かれていないが、カッサンドラーの強姦などとともにギリシア軍の略奪と虐殺の1つとして描かれている。
エウリーピデースの悲劇『トロイアの女』では、アステュアナクスが成長して仇を討つことを警戒して、城壁から突き落として処刑される。セネカの『トロイアの女たち』やジャン・ラシーヌの『アンドロマック』はこの設定の翻案である。
中世・ルネサンス期になると、アステュアナクスはトロイアの滅亡から生き延びたという話が現れる。
マッテーオ・マリーア・ボイアルドの『恋するオルランド』(1495年)では、アンドロマケーがアステュアナクスを墓の中に隠し、ギリシア軍が来た時には別の子供とすり替える。アステュアナクスはシチリアに逃げ、アグリジェント王を殺し、メッシーナを統治し、シラクサの女王と結婚する。その後、アステュアナクスはアイギストスに殺されるが、妻と子供は逃げ延び、その子孫が英雄ルッジェーロである。オルランドの愛剣デュランダルはルッジエーロを負かしたサラセンの騎士から勝ち取ったものだが、それはヘクトールが昔使っていた剣だった。ルドヴィーコ・アリオストの『狂えるオルランド』(1516年)はこの設定の翻案である。
ジャン・ルメール・ド・ベルジュ(Jean Lemaire de Belges)の『Illustrations de Gaule et Singularités de Troie』(1510年 - 1512年)では、トロイアから生き延びたアステュアナクスは西ヨーロッパに辿り着き、フランクスと名を変えてゴール人の王になる。その王朝がピピン3世やシャルルマーニュのカロリング朝に繋がる[9]。ピエール・ド・ロンサールの叙事詩『フランシアード』(1572年)はこの設定の翻案である。
派生
淡水魚のカラシン科のアステュアナクス属(Astyanax)はトロイアのアステュアナクスから名前をつけられた。
脚注
- ^ ホメーロス『イーリアス』vi
- ^ アポロドーロス『ビブリオテーケー』ii.7.8
- ^ Fragments of the Little Iliad Archived 2005年6月25日, at the Wayback Machine. translated by H.G. Evelyn-White, 1914 (public domain)
- ^ Fragments of the Iliou persis Archived 2004年12月14日, at the Wayback Machine. translated by H.G. Evelyn-White, 1914 (public domain)
- ^ ウェルギリウス『アエネーイス』ii,iii
- ^ ヒュギーヌス『神話集』109
- ^ オウィディウス『変身物語』13.400
- ^ アポロドーロス『ビブリオテーケー』適要.v.23
- ^ (フランス語) Simonin, Michel (ed.) Dictionnaire des lettres françaises - Le XVIe siècle. Paris: Fayard, 2001, p. 726, ISBN 2253056634