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クレウーサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プリアモスの娘クレウーサ。フェデリコ・バロッチの1598年の絵画『アエネアースの逃亡』の一部。ボルゲーゼ美術館所蔵。

クレウーサ古希: Κρέουσα, Kreoūsa, ラテン語: Creusa)は、ギリシア神話に登場する女性の名。この名前は「王女」を意味し、ギリシア神話には同名の女性が4人いる。長母音を省略してクレウサとも表記される。

ガイアの娘

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ガイアの娘にあたるナーイアスのクレウーサは、河神ペーネイオスとの間にラピテース族の王[1]ヒュプセウスと娘スティルベー[2]ダプネーを生んだ[3][4]

ヒュプセウスはアステュアギュイア[5]キューレーネー[6][7]テミストーの父[8][9][10][11]

スティルベーはアポローンとの間にラピテースケンタウロスを生んだが[2]、ダプネーはアポローンの愛を拒んで月桂樹となった[12][4]

クレオーンの娘

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コリントスクレオーンの娘クレウーサは、メーデイアと離婚したイアーソーンと結婚することになる。しかし、メーデイアは呪いをこめた衣裳をクレウーサに贈ることによって復讐を果たす。この呪いにより、衣裳はクレウーサの肉体に貼りつき、脱ごうとするやいなや彼女を燃やした。アポロドーロスの『ビブリオテーケー』などではグラウケー英語版という名で知られる[13]

エレクテウスの娘

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アテーナイエレクテウスの娘のクレウーサ[14][15]。母はプラークシテアーで、ケクロプス、パンドーロス、メーティオーンプロクリスオーレイテュイアクトニアーと兄妹[14]。姉妹たちはアテーナイを守るために死んだが、クレウーサは幼かったので助かった。クレウーサはクスートスと結婚し、息子アカイオス英語版イオーン[16]、娘ディオメーデーがいた[17]

エウリーピデースの『イオーン』ではクレウーサは重要な登場人物で、アポローンとの間にイオーンを、夫クスートスとの間にアカイオスとドーロスをもうけた。アポローンをイオーンの父とする文献はこれのみである。

プリアモスの娘

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プリアモスの娘クレウーサ[18]は、アイネイアース(ラテン語:アエネーアース)の妻で、アスカニオス(ラテン語:アスカニウス)の母。ウェルギリウス叙事詩アエネーイス』では、ギリシア軍によってトロイアが略奪されたさい、夫と我が子、アンキーセースとともにトロイアを脱出しようとするが、途中ではぐれて死ぬ。アイネイアースは無事に脱出したのち再びトロイアに戻り、クレウーサを探した。そこにクレウーサの霊が現れて語りかけ、新天地に向けて出港することを促して消える[19]

脚注

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  1. ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌14行。
  2. ^ a b シケリアのディオドーロス、4巻69・1。
  3. ^ オウィディウス『変身物語』1巻。
  4. ^ a b ヒュギーヌス、203話。
  5. ^ シケリアのディオドーロス、4巻69・3。
  6. ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌13行1-18行。
  7. ^ シケリアのディオドーロス、4巻81・1。
  8. ^ アポロドーロス、1巻9・2。
  9. ^ ヒュギーヌス、1話。
  10. ^ ヒュギーヌス、239話。
  11. ^ ヒュギーヌス、243話。
  12. ^ オウィディウス『変身物語』1巻452行-567行。
  13. ^ アポロドーロス、1巻9・28。
  14. ^ a b アポロドーロス、3巻15・1。
  15. ^ パウサニアース、1巻28・4。
  16. ^ アポロドーロス、1巻7・3。
  17. ^ アポロドーロス、1巻9・4。
  18. ^ アポロドーロス、3巻12・5。
  19. ^ ウェルギリウス『アエネーイス』2巻673行-794行。

参考文献

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