ハルモニアー
ハルモニアー(古希: Ἁρμονία, Harmoniā, ラテン語: Harmonia)は、ギリシア神話の女神で、調和(ハーモニー)を司る。日本語では長母音を省略してハルモニアとも呼ぶ。
アレースとアプロディーテーの娘とされる[1]。テーバイの始祖カドモスと結婚し子供を生んだが、子供たちはことごとく不幸な死に方をしたため、神の呪いがこれ以上テーバイに降りかからないようにと、カドモスと連れ添いテーバイを出て放浪の旅に出た。
カドモスが蛇に変化する際に、ずっと抱き続け最後には自らも蛇に変じてしまった。その後二人はエーリュシオンの野に住むこととなる。
カドモスとの結婚式の際に祝いの品としてもらった首飾りと婚礼衣装はテーバイ王家に代々受け継がれ、それぞれテーバイ攻めの七将、エピゴノイにて買収工作に利用された[2]。
結婚式の贈り物
[編集]カドモスとハルモニアーの結婚式はオリュンポスの神々が参列した、初めての、人間同士の結婚式であり、すべての神々が贈り物を携えてカドモスの家を訪れた[3]。その際に贈られたものの中でも有名なものが、長衣(ペプロス)と、ヘーパイストスによって作られた首飾りであった[1]。これらは、それぞれアテーナーとヘーパイストスからの贈り物とも[1]、ゼウスがエウローペーに贈ったものをカドモスが譲り受けたとも[1]、アプロディーテーが贈ったともいわれる[3]。これらの贈り物は、身に着ける者に美しさや気品を与えた[4]。ハルモニアーがアレースとアプロディーテーの子であることを憎んだアテーナーとヘーパイストスが、長衣に媚薬を浸して与え、ハルモニアーの子孫の呪いとなったという説もある[1]。そのほかに、ヘルメースは竪琴を、カドモスは豪奢な上衣を彼女に贈り、デーメーテールは豊穣を約束した[5]。
系図
[編集]その他の女性
[編集]- ニュムペー。ロドスのアポローニオスによると、アクモニアの山の谷間でアレースと交わり、アマゾーン族を生んだ[6]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『オデュッセイア/アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- ロバート・グレイヴズ 著、高杉一郎 訳『ギリシア神話 新版』紀伊國屋書店、1998年。ISBN 4-314-00827-X。
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年。ISBN 4-00-080013-2。
関連項目
[編集]- ハーモニー:ハルモニアに由来する言葉、和声、調和等。
- コンコルディア
- ハルモニア (小惑星)