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「雨に唄えば」の版間の差分

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{{Otheruses|1952年の映画|楽曲|雨に唄えば (曲)|本作を基にしたミュージカル|雨に唄えば (ミュージカル)}}
{{出典の明記|date=2017年8月}}
{{分割提案|[[雨に唄えば (曲)]]|[[雨に唄えば (ミュージカル)]]|date=2022年5月}}
『'''雨に唄えば'''』(あめにうたえば、原題:''Singin' in the Rain'')は、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ポピュラーソング]]およびそれを主題歌にした[[1952年の映画|1952年]]公開の[[ミュージカル映画]]。

== 歌曲 ==
[[アーサー・フリード]]作詞、{{仮リンク|ナシオ・ハーブ・ブラウン|en|Nacio Herb Brown}}作曲によるポピュラーソング。[[1929年]]公開の[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]作品『'''[[ハリウッド・レヴィユー]]'''』で用いられ、「ウクレレ・アイク」こと[[クリフ・エドワーズ]]が歌って以来、[[スタンダード・ナンバー]]となった。

また『[[ザッツ・エンターテインメント]]』の冒頭でこの曲が紹介されるなど、作詞者フリードが後にMGMミュージカルの名[[プロデューサー]]として名をはせたこともあり、同社のミュージカル作品を象徴する曲としても知られる。

== 映画 ==
{{Infobox Film
{{Infobox Film
| 作品名 = 雨に唄えば
| 作品名 = 雨に唄えば
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| 製作総指揮 =
| 製作総指揮 =
| ナレーター =
| ナレーター =
| 出演者 = ジーン・ケリー<br />[[デビー・レイノルズ]]<br />[[ドナルド・オコーナー|ドナルド・オコナー]]
| 出演者 = ジーン・ケリー<br />[[ドナルド・オコーナー|ドナルド・オコナー]]<br />[[デビー・レイノルズ]]
| 音楽 = {{仮リンク|ナシオ・ハブラウ|en|Nacio Herb Brown}}
| 音楽 = レニー・ヘイト
| 主題歌 =
| 主題歌 = 「[[雨に唄えば (曲)|雨に唄えば]]」
| 撮影 = {{仮リンク|ハロルド・ロッソン|en|Harold Rosson}}
| 撮影 = ハロルド・ロッソン
| 編集 = {{仮リンク|アドリアン・フェイザン|en|Adrienne Fazan}}
| 編集 = アドリアン・フェイザン
| 製作会社 = [[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]
| 製作会社 = [[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]
| 配給 = {{Flagicon|USA}} MGM<br />{{Flagicon|JPN}} [[大映]]
| 配給 = {{Flagicon|USA}} MGM<br />{{Flagicon|JPN}} [[大映]]
| 公開 = {{flagicon|USA}} 1952年4月11日<br />{{flagicon|JPN}} 1953年4月1日
| 公開 = {{flagicon|USA}} [[1952年]][[4月11日]]<br />{{flagicon|JPN}} [[1953年]][[4月1日]]
| 上映時間 = 103分
| 上映時間 = 103分
| 製作国 = {{USA}}
| 製作国 = {{USA}}
| 言語 = [[英語]]
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| 製作費 = 2,500,000ドル<ref name="Mannix">{{Citation | title = The Eddie Mannix Ledger | publisher = Margaret Herrick Library, Center for Motion Picture Study | place = Los Angeles}}.</ref>
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| 興行収入 = 12,400,000ドル(北米)<br />17,500,000ドル(世界)<ref>{{Cite web|url=https://www.worldwideboxoffice.com/index.cgi?order=worldwide&start=1952&finish=1952&keyword=|title=List movies by worldwide gross|publisher=WorldwideBoxoffice.com|language=英語|accessdate=2009-6-26}}</ref>
| 興行収入 = {{flagicon|USA}} $12,400,000<br />{{flagicon|World}} $17,500,000<ref>{{Cite web|url=https://www.worldwideboxoffice.com/index.cgi?order=worldwide&start=1952&finish=1952&keyword=|title=List movies by worldwide gross|publisher=WorldwideBoxoffice.com|language=英語|accessdate=2009-6-26}}</ref>
| 配給収入 = 3,263,000ドル(北米)<br />2,367,000ドル(海外)<ref name="Mannix"/>
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[[File:Singin' in the Rain trailer (1952).webm|thumb|thumbtime=19|upright=1.5|予告編]]
[[File:Singin' in the Rain trailer (1952).webm|thumb|thumbtime=19|予告編]]
『'''雨に唄えば'''』(あめにうたえば、原題:''Singin' in the Rain'')は、[[1952年の映画|1952年]]に公開された[[アメリカ合衆国]]の[[ミュージカル映画]]。[[1929年]]の[[雨に唄えば (曲)|同名楽曲]]を原案とし、[[サイレント映画]]から[[トーキー映画]]に移る時代の[[ハリウッド]]を[[コメディ]]を交え描いた作品である。[[ジーン・ケリー]]と[[スタンリー・ドーネン]]が監督し、ケリー、[[ドナルド・オコーナー|ドナルド・オコナー]]、[[デビー・レイノルズ]]が主演した。
『[[トップ・ハット]]』『[[バンド・ワゴン]]』『[[巴里のアメリカ人]]』などと並ぶミュージカル映画の傑作として知られる。


ハリウッドを代表するミュージカル映画の傑作として知られ、批評家から「ミュージカル映画史上最高の作品」と評されることがよくあるなど、今なお、色あせることなく輝きを放っている<ref>Haley Jr., Jack: ''[[That's Entertainment!]]'', Frank Sinatra segments. [[Metro-Goldwyn-Mayer]], 1974</ref>{{R|元来渉}}。特に、ジーン・ケリーが土砂降りの雨の中、主題歌を歌いながら[[タップダンス]]を踊る場面は、映画史に残る名シーンとされる<ref>{{Cite web|author=小湊一凜 |url=https://hitocinema.mainichi.jp/article/m1t6jugttg6 |title=変わりゆく社会のなかで 映画公開70周年「雨に唄えば」|date=2022-03-25 |website=ひとシネマ |publisher=毎日新聞社 |accessdate=2022-05-10}}</ref>。
[[サイレント映画]]から[[トーキー映画]]に移る時代を描いたコメディあふれるバックステージ(舞台裏)・[[ミュージカル]]。[[ハリウッド]]を代表する名作のひとつであり、今なお、色あせることなく輝きを放っている。


[[1989年]]、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされ[[アメリカ国立フィルム登録簿]]に登録された<ref name="AFI">{{cite news |date=September 19, 1989 |title=ENTERTAINMENT: Film Registry Picks First 25 Movies |url=https://www.latimes.com/archives/la-xpm-1989-09-19-mn-347-story.html |work=[[Los Angeles Times]] |accessdate=April 22, 2020}}</ref>。また、[[アメリカン・フィルム・インスティチュート|アメリカ映画協会(AFI)]]が発表した[[ミュージカル映画ベスト]]の第1位{{R|AFI2}}、[[アメリカ映画主題歌ベスト100]]の第3位{{R|AFI3}}、[[アメリカ映画ベスト100]]の第10位{{R|AFI4}}、[[情熱的な映画ベスト100]]の第16位{{R|AFI5}}に選出された。
特にジーン・ケリーが土砂降りの雨の中で、主題歌を歌いながら[[タップダンス]]を踊る場面は、映画史に残る名[[シーン]]とされる。


== ストーリー ==
元々はアーサー・フリード(作詞)とナシオ・ハーブ・ブラウン(作曲)のコンビの過去のヒット曲を集めたミュージカルとして企画された。よって楽曲のほとんどはこの映画のために書かれたものではなく、特にタイトルナンバーはこの映画の前にも後にもたびたびMGMの映画で使われ、[[ジュディ・ガーランド]]など多くのスター達が歌っている。ドナルド・オコナーの歌う「メイク・エム・ラフ」は新曲だが、[[コール・ポーター]]の「ビー・ア・クラウン」のパロディ曲である。
サイレント映画全盛の時代、俳優ドンと大女優リナ・ラモントはドル箱の映画スターであり、大スター同士のカップルともてはやされていた。しかし実際は、リナが一方的にドンに惚れているだけであった。そんな中、ドンは駆け出しの女優キャシーと恋仲になってしまう。

[[アメリカン・フィルム・インスティチュート|アメリカ映画協会(AFI)]]が発表した[[ミュージカル映画ベスト]]の第1位、[[アメリカ映画主題歌ベスト100]]の第3位、[[アメリカ映画ベスト100]]の第10位、[[情熱的な映画ベスト100]]の第16位に選出された。

=== ストーリー ===
サイレント映画全盛の時代、俳優ドン([[ジーン・ケリー]])と大女優リナ・ラモント([[ジーン・ヘイゲン]])はドル箱の映画スターであり、大スター同士のカップルともてはやされていた。しかし実際は、リナが一方的にドンに惚れているだけであった。そんな中、ドンは駆け出しの女優キャシー([[デビー・レイノルズ]])と恋仲になってしまう。


やがて長編映画として世界初のトーキー「[[ジャズ・シンガー]]」が大成功をおさめたことにより、[[ハリウッド]]にトーキーの波が押し寄せる。
やがて長編映画として世界初のトーキー「[[ジャズ・シンガー]]」が大成功をおさめたことにより、[[ハリウッド]]にトーキーの波が押し寄せる。


そこで彼らの映画会社では、当時作りかけだったドン&リナのサイレント映画を無理矢理トーキーにすることに決定。しかしながら、トーキーのノウハウを知らなかったことに加え、一番の問題はリナが致命的な悪声の持ち主であったために映画の試写会は散散な結果に終わる。そんな映画を公開したら俳優人生が崩壊してしまうと危機を感じたドンとその親友コズモ([[ドナルド・オコーナー|ドナルド・オコナー]])、キャシーの三人は映画を[[ミュージカル]]に作り替えることを思い立つ。あとはリナの声をどうするのかが問題だったが、コズモのアイデアでキャシーがセリフも歌も全て吹き替えることになる。こうして撮り直しは順調に進むが、吹替を知ったリナは、怒りと嫉妬から契約を盾にキャシーを自分の吹替専門担当にして表に出られないようにしてしまう。
そこで彼らの映画会社では、当時作りかけだったドン&リナのサイレント映画を無理矢理トーキーにすることに決定。しかしながら、トーキーのノウハウを知らなかったことに加え、一番の問題はリナが致命的な悪声の持ち主であったために映画の試写会は散散な結果に終わる。そんな映画を公開したら俳優人生が崩壊してしまうと危機を感じたドンとその親友コズモ、キャシーの三人は映画を[[ミュージカル]]に作り替えることを思い立つ。あとはリナの声をどうするのかが問題だったが、コズモのアイデアでキャシーがセリフも歌も全て吹き替えることになる。こうして撮り直しは順調に進むが、吹替を知ったリナは、怒りと嫉妬から契約を盾にキャシーを自分の吹替専門担当にして表に出られないようにしてしまう。


映画の完成披露試写会が開かれ、ドンとリナの歌声は観客から喝采を受ける。すると調子に乗ったリナが自らの声でスピーチをしてしまう。声が違うことを怪しんだ観客から、リナが生で歌うように迫られると、ドンと映画会社社長はリナを罠にはめることを思いつく。まず、リナの背後でカーテンに隠れてキャシーが代わりに歌い、リナには歌っているフリをさせる。そしてキャシーの歌声で「雨に唄えば」が披露されると、ドンたちはカーテンを開き、キャシーが吹き替えていることを観客に見せてしまう。こうしてキャシーはスターの座を手に入れ、ドンとキャシーは結ばれる。
映画の完成披露試写会が開かれ、ドンとリナの歌声は観客から喝采を受ける。すると調子に乗ったリナが自らの声でスピーチをしてしまう。声が違うことを怪しんだ観客から、リナが生で歌うように迫られると、ドンと映画会社社長はリナを罠にはめることを思いつく。まず、リナの背後でカーテンに隠れてキャシーが代わりに歌い、リナには歌っているフリをさせる。そしてキャシーの歌声で「雨に唄えば」が披露されると、ドンたちはカーテンを開き、キャシーが吹き替えていることを観客に見せてしまう。こうしてキャシーはスターの座を手に入れ、ドンとキャシーは結ばれる。


=== 出演 ===
== キャスト ==
{| class="wikitable" style="text-align:center"
{| class="wikitable" style="text-align:center"
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63行目: 50行目:
! colspan="3"|日本語吹替
! colspan="3"|日本語吹替
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! [[日本放送協会|NHK]]版 || [[フジテレビジョン|フジテレビ]]版 || [[パブリックドメインDVD|PDDVD]]版
! [[日本放送協会|NHK]]版<ref name="fukikae">{{Cite web |url= https://www2.nhk.or.jp/archives/chronicle/pg/page010-01-01.cgi?recId=0001000000000000%400000000000000000000000-621D-6800000000000000000000&hitCount=1836&sort=&programPage=133&cornerPage=&keyword=劇映画&op=AND&keyword_not=&op_not=OR&year_1=&month_1=&day_1=&year_2=&month_2=&day_2=&from_hour=&from_minute=&to_hour=&to_minute=&lgenre1=&lgenre2=&lgenre3=&genre_op=AND&rec_count=10&cal_edit= |title=アーカイブス放送履歴 |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2018-08-31 }}</ref> || [[フジテレビジョン|フジテレビ]]版 || [[パブリックドメインDVD|PDDVD]]版
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| ドン || [[ジーン・ケリー]] || [[愛川欽也]] || [[井上孝雄]] || [[堀川りょう]]
| ドン・ロックウッド || [[ジーン・ケリー]] || [[愛川欽也]] || [[井上孝雄]] || [[堀川りょう]]
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| キャシー || [[デビーレイノ]] || [[池田昌子]] || [[岡本茉莉]] || [[加納千秋]]
| コズモ・ブラウン || [[ドナルドオコーナー|ドナド・オコナー]] || [[八代駿]] || [[広川太一郎]] || [[大塚智則]]
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| コズモ || [[ドナルドオコーナー|ドナド・オコナー]] || [[八代駿]] || [[広川太一郎]] || [[大塚智則]]
| キャシー・セルダン || [[デビーレイノ]] || [[池田昌子]] || [[岡本茉莉]] || [[加納千秋]]
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| リナ || [[ジーン・ヘイゲン]] || [[桜京美]] || [[向井真理子]] || [[安藤麻吹]]
| リナ・ラモント || [[ジーン・ヘイゲン]] || [[桜京美]] || [[向井真理子]] || [[安藤麻吹]]
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| シンプソン社長 || [[ミラード・ミッチェル]] || [[河村弘二]] || [[中村正 (声優)|中村正]] || [[仲野裕]]
| R・F・シンプソン社長 || [[ミラード・ミッチェル]] || [[河村弘二]] || [[中村正 (声優)|中村正]] || [[仲野裕]]
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| ドンのダンスパートナー || [[シド・チャリシー]] || colspan="3" style="text-align:center" |※発言無し
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| デクスター監督 || {{仮リンク|ダグラス・フォーリー|en|Douglas Fowley}} || [[近石真介]] || [[勝田久]] || [[田坂浩樹]]
| デクスター監督 || {{仮リンク|ダグラス・フォーリー|en|Douglas Fowley}} || [[近石真介]] || [[勝田久]] || [[田坂浩樹]]
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| ゼルダ・ザンダース || [[リタ・モレノ]] || || [[中川まり子]] || [[小林美穂 (声優)|小林美穂]]
| ドンのダンスパートナー || [[シド・チャリシー]] || colspan="3" style="text-align:center" |※発言無し
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| ゼルダ || [[リタ・モレノ]] || 不明 || [[中川まり子]] || [[小林美穂 (声優)|小林美穂]]
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| 不明<br />その他 || ||||[[市川千恵子]] <br />[[加藤正之]]<br />[[石森達幸]]<br />小倉勝保<br />[[上田敏也]]<br />[[石丸博也]]<br />[[清川元夢]]<br />[[若本規夫]]<br />[[麻上洋子]]<br />半田晶子<br />[[塚田恵美子]]<br />[[中川まり子]]||中神亜紀<br />[[丸山壮史]]<br />七瀬みーな<br />[[安芸此葉]]<br />][[志摩淳]]
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| colspan="2"|演出 |||| [[春日正伸]]|| 
|-
| colspan="2"|翻訳 |||| 榎あきら||
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| colspan="2"|効果 |||| ||
|-
| colspan="2"|調整 |||| 山田太平||
|-
| colspan="2"|制作 |||| [[オムニバスプロモーション]]||
|-
| colspan="2"|解説 ||||||
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| colspan="2"|初回放送 ||[[1971年]][[6月5日]]<br />『劇映画』<br />14:10-15:40||[[1977年]][[12月30日]]<br />『[[ゴールデン洋画劇場]]』<br />21:00-22:54
|}
|}
※2022年6月3日発売の[[Ultra HD Blu-ray|4K ULTRA HD]]にフジテレビ版のみ収録
* NHK版:初回放送1971年6月5日14:10-15:40『劇映画』
*: [[テレビ東京]]で放送時にもこの音源が使用されている。
*フジテレビ版:初回放送1977年12月30日21:00-22:54『[[ゴールデン洋画劇場]]』
*:2022年6月3日発売の雨に唄えば 日本語音声追加収録版(4K ULTRA HD + Blu-ray)に収録。
*: 演出:[[春日正伸]]、翻訳:榎あきら、制作:[[オムニバスプロモーション]] その他:[[市川千恵子]]、[[加藤正之]]、[[石森達幸]]、[[小倉勝保]]、[[上田敏也]]、[[石丸博也]]、[[清川元夢]]、[[若本規夫]]、[[麻上洋子]]、[[半田晶子]]、[[塚田恵美子]]


== スタッフ ==
=== デビー・レイノルズの吹替 ===
* 監督: [[ジーン・ケリー]]、[[スタンリー・ドーネン]]
キャシー役の[[デビー・レイノルズ]]の歌のうち「''Would You''」<ref name="The Observer 18 March 2007">{{cite news |last=Kermode |first=Mark |title=The 50 greatest film soundtracks: 11. Singin' In The Rain |url=https://www.theguardian.com/music/2007/mar/18/features.musicmonthly14 |date=18 March 2007 |newspaper=[[The Observer]] |location=London |access-date=4 August 2015}}</ref>と「''You Are My Lucky Star''」<ref name="Debbie Reynolds My Life">{{cite book |last1=Reynolds |first1=Debbie |last2=Columbia |first2=David Patrick |name-list-style=amp |title=Debbie: My Life |publisher=[[Pocket Books]] |year=1989 |page=97 |isbn=978-0671687922}}</ref>の2曲は{{仮リンク|ベティ・ノイス|en|Betty Noyes}}が吹き替えている。また、キャシーがリナのセリフ「Nothing can keep us apart, our love will last 'til the stars turn cold」を吹き替えるシーンでは、リナ役の[[ジーン・ヘイゲン]]本人の普段の声が吹き替え後の声として使われている<ref name="The Observer 18 March 2007" /><ref name="Debbie Reynolds My Life"/><ref>Hess & Dabholkarm (2009), p.145</ref>。
* 製作: [[アーサー・フリード]]
* 脚本: [[アドルフ・グリーン]]、[[ベティ・コムデン]]
* 撮影: {{仮リンク|ハロルド・ロッソン|en|Harold Rosson}}
* 編集: {{仮リンク|アドリアン・フェイザン|en|Adrienne Fazan}}
* 作詞: [[アーサー・フリード]]
* 作曲: {{仮リンク|ナシオ・ハーブ・ブラウン|en|Nacio Herb Brown}}
* 音楽: {{仮リンク|レニー・ヘイトン|en|Lennie Hayton}}
=== 日本語版 ===
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|-
!-
! NHK版
! フジテレビ版
! PDDVD版
|-
! 演出
| [[好川阿津志|好川あつし]] || [[春日正伸]] || 粂田剛
|-
! 翻訳
| || 榎あきら || 別所里織
|-
! 制作
| || {{small|[[オムニバスプロモーション]]}} || {{small|株式会社ワールドピクチャー}}
|-
|}


=== 批評 ===
== 楽曲 ==
元々アーサー・フリード作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲によるコンビが手掛けた曲を集めた作品として企画されたため、楽曲の大半は過去のMGMミュージカル映画で使用された曲の流用である<ref name="producer">Feltenstein, George (2002). "Producer's Note", included in the liner notes of the ''Music from the original motion picture soundtrack (deluxe edition) Singin' in the Rain'' double CD by [[Rhino Entertainment]] and [[Turner Classic Movies]]</ref>。新曲は2曲のみ。

特に明記されていない限り、曲はすべてフリード作詞、ブラウン作曲である<ref name="tracklist">Track list in the liner notes of the ''"Music from the original motion picture soundtrack (deluxe edition) Singin' in the Rain"'' double CD by [[Rhino Entertainment]] and [[Turner Classic Movies]].</ref>。書き下ろし曲は太字で表記。表題曲「雨に唄えば」は[[雨に唄えば (曲)|こちら]]を参照。
* ピンピンしてる/フィット・アズ・ア・フィドル(''Fit as a Fiddle'')- フリード作詞、アル・ホフマンとアル・グッドハート作曲による、1932年発表の楽曲。
* テンプテーション(''Temptation'')- 初出は1933年公開『[[虹の都へ]]』。本作ではインストゥルメンタルのみ。
* あなたの夢ばかり(''All I Do Is Dream of You'')- 初出は1934年公開『蛍の光』。
* '''奴らを笑わせろ/メイク・エム・ラフ'''(''Make 'em Laugh'')- フリード作詞、[[コール・ポーター]]作曲「ビー・ア・クラウン」のパロディ曲。ドーネンには「100%盗作」といわれたが、ポーターから訴えられることはなかった<ref name=SONG>{{Cite web|url=https://www.songfacts.com/facts/donald-oconnor/make-em-laugh|title=Make 'Em Laugh by Donald O'Connor - Songfacts|website=Songfacts.com|accessdate=2 May 2021}}</ref>。
* 邦題不明(''I've Got a Feelin' You're Foolin''')- 初出は1935年公開『踊るブロードウェイ』。
* 君は僕のために生まれてきた/ユー・ワー・メント・フォー・ミー(''You Were Meant For Me'')- 初出は1929年公開『[[ブロードウェイ・メロディ]]』。
* あなたは私の幸運の星(''You Are My Lucky Star'')- 初出は1935年公開『踊るブロードウェイ』。
* '''モーゼズ'''(''Moses Supposes'')- [[ベティ・コムデン]]・[[アドルフ・グリーン]]作詞・ロジャー・イーデンス作曲。アメリカの[[早口言葉]]「[[:en:Moses supposes his toeses are roses|Moses supposes his toeses are roses]]」を基にした曲。
* グッド・モーニング(''Good Morning'')- 初出は1939年公開『[[青春一座 (映画)|青春一座]]』。
* あなたは?(''Would You'')- 初出は1936年公開『[[桑港 (映画)|桑港]]』。
* ブロードウェイ・メロディ・バレー(''Broadway Rhythm Ballet'')- 初出は1929年公開『[[ブロードウェイ・メロディー]]』。1935年公開『踊るブロードウェイ』での楽曲「ブロードウェイ・リズム」と組み合わせ使用。

== 製作 ==
[[File:Singinintherain-japan-poster.jpg|thumb|日本公開時のポスター]]
=== 企画 ===
[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGMスタジオ]]のミュージカル部門の責任者であった[[アーサー・フリード]]は、彼自身が作詞し、{{仮リンク|ナシオ・ハーブ・ブラウン|en|Nacio Herb Brown}}が作曲した1929年の[[雨に唄えば (曲)|同名楽曲]]に基づいた映画を作ることを考案。二人のコンビによる過去のヒット曲を集めたミュージカルとして企画された。脚本は当初、[[1928年]]公開の映画『{{仮リンク|好いて好かれて|en|Excess Baggage (1928 film)}}』の翻案した内容であり、[[1949年]]にプロットが完成するも、同年内に企画は一度中断する<ref name="元来渉">{{Harvnb|元来渉|2021}}</ref><ref name="deepfocus">{{Cite web|last=Brian |first=Eggert |url=https://deepfocusreview.com/definitives/singin-in-the-rain/ |title=Singin’ in the Rain |date=December 3, 2017 |publisher=Deep Focus Review |accessdate=2022-05-12}}</ref>。

[[1950年]]末、フリードは題名と自身の曲を使う考えはそのままに、オリジナル脚本で製作することに方針を変えて企画が再始動する。そのアイデアを、作詞ができる脚本家としてコンビで活躍していた[[ベティ・コムデン]]と[[アドルフ・グリーン]]に伝え、二人はフリードの曲を聴き続けながら脚本執筆にとりかかった{{R|元来渉}}<ref>Comden & Green (1972), pp.1-4</ref>。二人は当初、フリードによる「『雨に唄えば』をはじめ過去に作った20曲以上の歌すべてが出てくる映画を作ってほしい」という指示に困惑したという<ref>{{Cite news|title=【雨に唄えば】ミュージカル映画の金字塔となった理由を徹底解説!古き良きアメリカを感じさせる演出とは?製作秘話も紹介 |publisher=シネマノーツ |date=2020-01-08|url=https://cinema-notes.com/article/12488/ |accessdate=2022-05-17}}</ref>。

コムデンとグリーンは、物語の時代設定を『雨に唄えば』をはじめフリードが多くの曲を発表し、[[サイレント映画]]が[[トーキー]]に取って代わられ[[ミュージカル映画]]が人気だった[[ハリウッド]]にすることにした。この時代は、二人が幼少から思春期を過ごし多くのハリウッドに関する出来事を知っていたこともあり、アイデアは豊富にあったという。当初、[[ハワード・キール]]が主演候補と聞いた二人は、かつて売れない西部劇俳優だった男が歌うカウボーイとして成功する物語を作り上げようとしたが、次第に俳優[[ジョン・ギルバート (俳優)|ジョン・ギルバート]]の経歴に触発され、冒険活劇のヒーローだった俳優が得意な歌と踊りを活かしサイレントからトーキーへの移行を生き残るという物語に変わっていった。同時に、二人は「これは[[ジーン・ケリー]]にふさわしい物語である」と考えるようになったという{{R|元来渉}}{{R|deepfocus}}<ref>Comden & Green (1972), pp.4-5</ref>。

=== キャスティング ===
ジーン・ケリーは当初、[[スタンリー・ドーネン]]と共に『[[巴里のアメリカ人]]』の製作に没頭していたため、このプロジェクトに参加していなかった<ref>Comden & Green (1972), pp.5-8</ref>。撮影を終えたケリーとドーネンは、古くからの付き合いであるコムデンとグリーンの脚本に興味を示したことでプロセスはスムーズに進み、すぐにスクリプトの書き直しと調整に関与するようになった{{R|元来渉}}。

ケリー演じるドンの相棒コズモ役に、フリードは当初{{仮リンク|オスカー・レヴァント|en|Oscar Levant}}を考えた。だがケリーら四人はこれに反対し、ケリーと共に踊ることができる軽やかな役者を求めた結果、[[ユニバーサル・ピクチャーズ]]所属の[[ドナルド・オコーナー|ドナルド・オコナー]]が貸し出される形で起用されることとなった{{R|元来渉}}。

ドンの恋人キャシー役には、当時女優としてのキャリア、ダンス経験が共に浅かった[[デビー・レイノルズ]]が抜擢された。これは、彼女がMGM所属で、同社からスターを作りたいと考えた[[ルイス・B・メイヤー]]の意向が大きかったとされる。キャリアの浅さに反し起用されたレイノルズにケリーは不満を表したとされる一方、ケリーとドーネンはレイノルズが歌う「アバ・ダバ・ハネムーン(''Aba Daba Honeymoon'')」を聞いて以来、彼女がキャシー役に最適と考えていたともされる{{R|元来渉}}。

リナ役に関して、当初コムデンとグリーンは親友だった[[ジュディ・ホリデイ]]を念頭に置いて脚本執筆をしていたが、彼女が既に大物になりすぎていたことなどから、最終的にMGM所属の女優だったジーン・ヘイゲンが選ばれた{{R|元来渉}}。

=== エピソード ===
撮影は、様々な場面を同時進行で行っていた。また、現場ではケリーとドーネンが「素晴らしい相互依存であり自立的関係でもあった」ことから、それぞれ別のシーンを撮影することもあったという{{R|元来渉}}。

[[File:Singin' in the Rain trailer screenshot.jpg|thumb|「雨に唄えば」の歌唱場面]]
有名な「雨に唄えば」を踊り歌う場面の撮影時、ケリーは39.4度の高熱をだしていた<ref>{{cite magazine |last=Sanburn |first=Josh |date=December 2, 2010 |title=Top Ten Movie Dance Scenes: A Wet, Soft Shoe in ''Singin' in the Rain |url=http://entertainment.time.com/2010/12/03/top-10-movie-dance-scenes/ |magazine=[[Time (magazine)|Time]]}}</ref><ref>{{cite web |title=The Biography Channel |url=http://www.thebiographychannel.co.uk/biography_story/255:304/1/Eugene_Gene_Kelly.htm |access-date=2008-06-03 |url-status=dead |archive-url=https://web.archive.org/web/20150402202717/http://www.thebiographychannel.co.uk/biographies/eugene-gene-kelly.html |archive-date=2015-04-02}}</ref>。使用された水により、ケリーのウールのスーツは撮影中に縮んだという<ref>{{cite web |last1=Sheridan |first1=Peter |title=The dark side of Singin' In The Rain star Gene Kelly |url=https://www.express.co.uk/life-style/life/799001/Gene-Kelly-Singing-In-The-Rain-An-American-In-Paris-biography |website=express.co.uk |date=May 2, 2017 |access-date=31 May 2020}}</ref>。なお、この撮影には「あらかじめ設置されたカメラにより、ケリーは撮影を曲全体通しの1テイクで終えた」「雨水にはカメラによりよく映るよう牛乳が混ぜられた」という逸話があるが、後年には共に否定され、撮影には2〜3日かかったこと、バックライトを工夫することで雨は水のみで撮れたことが明かされている<ref name="psm">{{cite web |url=https://pictureshowman.com/singing-in-the-rain/ |title=Singin' in the Rain (1952) – Hollywood's Greatest Musical! |date=December 16, 2020 |publisher=The Picture Show Man|accessdate=2022-05-10}}</ref><ref>{{cite news |last=Bubbeo |first=Daniel |title=Gene Kelly's widow Patricia chats about her late husband and 'Singin' in the Rain' |url=http://www.newsday.com/entertainment/movies/gene-kelly-s-widow-patricia-chats-about-her-late-husband-and-singin-in-the-rain-1.3832472 |accessdate=July 27, 2012 |newspaper=[[Newsday]] |date=July 11, 2012}}</ref><ref>[http://genekellyfans.com/musicals/myth-sitr/ The Basics: Was There Really Milk in Singin’ in the Rain?] {{webarchive |url=https://web.archive.org/web/20140819083756/http://genekellyfans.com/musicals/myth-sitr/ |date=2014-08-19}}</ref>。

ドナルド・オコナーが歌う曲は、もともとコムデンとグリーンが「元気づけの歌として台本に痛々しく押し込んだ」という「''The Wedding Of The Painted Doll''」の予定だったが、彼のコミカルな部分を活かすため、新曲の「奴らを笑わせろ」に置き換えられた。オコナーはこの場面の撮影時、[[コンクリート]]の床でジャンプやしりもち、さらにケリーの要望で若手時代以来となる2回の空中回転など体を張ったパフォーマンスをした結果、撮影後に打撲・体を擦った火傷などの痛みや倦怠感から数日の入院生活を送ることになった。だがその後、カメラのトラブルで上手く撮影できていなかったことが判明。結局この場面は退院後に撮り直しとなった{{R|Trivia}}<ref name="psm" /><ref>[[Ben Mankiewicz|Mankiewicz, Ben]] (2017) "Intro to ''Singin' in the Rain'' 65th Anniversary Theatrical Release" Accessed: January 15, 2017</ref>。

ドナルド・オコナーは、後年に撮影をあまり楽しめなかったことを明かしている。暴君のような振る舞いを見せることもあったケリーに気を遣うあまり、最初の数週間はミスを恐れながら演じていたといい、撮影時はたばこを1日4箱吸っていたという<ref name="Trivia">{{Cite web|url=https://m.imdb.com/title/tt0045152/trivia/?ref_=tt_ql_trv |title=Singin' in the Rain (1952) - Trivia |publisher=IMDb |accessdate=2022-05-13}}</ref>。

デビー・レイノルズは、ダンスに関してほぼ未経験の状態から約3か月の訓練だけで撮影に臨んでいた<ref>{{Cite news|author=UMISODACHI |title=デビー・レイノルズを偲んで、『雨に唄えば』をもう一度観よう |publisher=THE RIVER |date=2016-12-31 |url=https://theriver.jp/singin-in-the-rain-for-debbie-reynolds/ |accessdate=2022-05-13}}</ref>。このことから、完璧主義者のケリーは彼女を侮辱したこともあり、ピアノの下で隠れて泣くレイノルズを見た[[フレッド・アステア]]は彼女を慰めたり練習を手伝ったという{{R|元来渉}}<ref name="Unsinkable207">{{cite book |last=Reynolds |first=Debbie |title=Unsinkable: A Memoir |publisher=[[HarperCollins]] |year=2013 |page=207 |isbn=978-0-06-221365-5}}</ref>。ケリーは後年、当時レイノルズに親切でなかったことを認め、そんな自分へ撮影後も交流を続けてくれる彼女には驚いたと明かし「デビーは牡牛のように強く、[[レスリー・キャロン]]と違い何時間も練習ができた。それに彼女は真似をするのが上手くて、大した苦労もなく複雑なダンスを覚えることができた」と彼女を高く評価した{{R|元来渉}}。なお、レイノルズ本人は後年「彼の教えのおかげでその後も芸能活動を続けることができた」とする一方で「人生で一番辛かったのは出産と『雨に唄えば』だった」とも語っている<ref>Patrick Perry, "ON TOUR WITH DEBBIE REYNOLDS: Feisty and Fit Actress Speaks Out About An All-Too-Common Problem - Overactive Bladder", ''[[The Saturday Evening Post]]'', January/February 2003.</ref>。

「グッド・モーニング」の場面は、午前8時から午後11時までの長時間にわたる撮影となり、最後のダンスを終えソファーに倒れる場面は40回撮ったという。終了後、レイノルズの足は出血していたという<ref name="Unsinkable207">{{cite book |last=Reynolds |first=Debbie |title=Unsinkable: A Memoir |publisher=[[HarperCollins]] |year=2013 |page=207 |isbn=978-0-06-221365-5}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.youtube.com/watch?v=EEizqKN7dpA |title=Debbie Reynolds Talks About Singin' in the Rain |date=2020-04-20 |website=[[YouTube]] |publisher=Turner Classic Movies |accessdate=2022-05-18}}</ref>。

[[ジーン・ヘイゲン]]は役作りでリナの独特な声を作る際、下級労働者の役や話が長い先生の役、よく怒鳴る役で知られていた[[キャスリーン・フリーマン]]の協力を得たという{{R|Trivia}}。なお、フリーマンは本作に、声楽の講師役としてノンクレジットで出演している。

レイノルズの歌のうち「あなたは?」<ref name="The Observer 18 March 2007">{{cite news |last=Kermode |first=Mark |title=The 50 greatest film soundtracks: 11. Singin' In The Rain |url=https://www.theguardian.com/music/2007/mar/18/features.musicmonthly14 |date=18 March 2007 |newspaper=[[The Observer]] |location=London |access-date=4 August 2015}}</ref>と「あなたは私の幸運の星」<ref name="Debbie Reynolds My Life">{{cite book |last1=Reynolds |first1=Debbie |last2=Columbia |first2=David Patrick |name-list-style=amp |title=Debbie: My Life |publisher=[[Pocket Books]] |year=1989 |page=97 |isbn=978-0671687922}}</ref>の2曲は{{仮リンク|ベティ・ノイス|en|Betty Noyes}}が吹き替えている。また、キャシーがリナの台詞<ref>「Nothing can keep us apart, our love will last 'til the stars turn cold」</ref>を吹き替えるシーンでは、リナ役であるヘイゲン本人の地声が吹き替え後の声として使われている<ref name="The Observer 18 March 2007" /><ref name="Debbie Reynolds My Life"/><ref>Hess & Dabholkarm (2009), p.145</ref>。

本編冒頭でケリー演じるドンの主演作として流れた「ザ・ロイヤル・ラスカル」の映像は、ケリー主演の映画『[[三銃士 (1948年の映画)|三銃士]]』の映像が流用された{{R|Trivia}}。

最後のキャシーが泣く場面で、レイノルズは上手く泣くために玉ねぎを使っている{{R|Trivia}}。

== 評価 ==
MGMの記録によると、初公開中にアメリカとカナダで3,263,000ドル、海外で2,367,000ドルを稼ぎ、スタジオに666,000ドルの利益をもたらした。また、アメリカとカナダでその年の10番目に高い売上高の映画だった<ref name=numbers>{{cite web |title=Singin' in the Rain - Box Office Data |url=http://www.the-numbers.com/movies/1952/0SNTR.php |publisher=The Numbers |access-date=14 November 2011}}</ref><ref>'Top Box-Office Hits of 1952', ''Variety'', January 7, 1953</ref>。

初公開当時の評価は「良くできたミュージカル・コメディーの一つ」とさほど高いものではなく、当時のアカデミー賞では助演女優賞とミュージカル映画部門の音楽賞にノミネートにとどまった。だが、再公開やテレビ放映、ビデオ発売などをそれぞれ契機として、後の世代の人々にも幅広く目に触れるようになったことで、時代と共にその評価を高めて行ったという{{R|deepfocus}}。
* 「ズタ袋のような衣装はいただけないが、音楽は素晴らしい。」(ロンドン・イブニング・スタンダード誌)
* 「ズタ袋のような衣装はいただけないが、音楽は素晴らしい。」(ロンドン・イブニング・スタンダード誌)
* 「天国のように素晴らしい。ミュージカル映画史上最高の作品だね。ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンは監督として素晴らしい仕事をしているし、この映画のジーン・ケリーは、とにかく素敵だよ。ドナルド・オコナーのナンバー`Make Em Laugh`も奇跡的な素晴らしさだ。」([[メル・ブルックス]])
* 「天国のように素晴らしい。ミュージカル映画史上最高の作品だね。ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンは監督として素晴らしい仕事をしているし、この映画のジーン・ケリーは、とにかく素敵だよ。ドナルド・オコナーのナンバー`Make Em Laugh`も奇跡的な素晴らしさだ。」([[メル・ブルックス]])


=== 研究 ===
== 受賞歴 ==
{| class="wikitable plainrowheaders"
明治大学政治経済学部教授で文学者のマーク・ピーターセンは、自著『続 日本人の英語』の中で"You Were Meant for Me"という劇中歌の歌詞"You Were Meant for Me"について、概して「『君は僕のために生まれてきたんだ』『あなたは私と出会うために現れた』という直訳は日本の男性が真面目な顔をして言えるようなセリフではなさそうだ」「実際、いきなり『君は僕のために生まれてきたんだ』と言われたら、好きでなくなるかもしれない」と前置きした上で「"Were Meant for"の主語は運命、もっと厳密に言えば創造主、神である。神や運命を信じない人でも平気でその表現を使うということも面白い」と解説している。同時に日本語字幕の「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」は映画のセリフを日本語で意訳する際の限度に近いとしている<ref>マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書、1990年)ISBN 978-4004301394 p8-11</ref>。
|-
! 賞
! 部門
! 対象
! 結果
!出典
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| rowspan="2"| [[第25回アカデミー賞]]
| [[アカデミー助演女優賞|助演女優賞]]
| [[ジーン・ヘイゲン]]
| {{nom}}
| rowspan="2"|<ref name="Oscars1953">{{cite web|url=http://www.oscars.org/oscars/ceremonies/1953 |title=The 25th Academy Awards (1953) Nominees and Winners |accessdate=2011-08-20 |publisher=Oscars.org ([[Academy of Motion Picture Arts and Sciences]]) |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110706093830/http://www.oscars.org/awards/academyawards/legacy/ceremony/25th-winners.html |archivedate=July 6, 2011 |url-status=live }}</ref>
|-
| [[アカデミー作曲賞|作曲賞]]
| レニー・ヘイトン
| {{nom}}
|-
| [[英国アカデミー賞|第6回英国アカデミー賞]]
| [[英国アカデミー賞 作品賞|作品賞]]
| -
| {{nom}}
| <ref>{{cite web |url=http://awards.bafta.org/award/1953/film |title=BAFTA Awards: Film in 1953 |website=[[BAFTA]] |year=1953 |accessdate=16 September 2016 |ref={{harvid|BAFTA|1953}}}}</ref>
|-
| [[全米監督協会賞|第5回全米監督協会賞]]
| [[全米監督協会賞 長編映画監督賞|長編映画監督賞]]
| [[ジーン・ケリー]]<br />[[スタンリー・ドーネン]]
| {{nom}}
| <ref>{{cite web |url=https://www.dga.org/Awards/History/1950s/1952.aspx?value=1952 |title=5th Annual DGA Awards |website=[[Directors Guild of America|DGA]] |year=1952 |accessdate=22 May 2021 |ref={{harvid|DGA|1952}}}}</ref>
|-
| rowspan="2"| [[第10回ゴールデングローブ賞]]
| [[ゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)|映画部門作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)]]
| -
| {{nom}}
| rowspan="2"| <ref>{{cite web |url=http://www.goldenglobes.com/film/singin-rain |title=Winners & Nominees: Singin' in the Rain |website=[[HFPA]] |accessdate=16 September 2016 |ref={{harvid|HFPA|1953}}}}</ref>
|-
| [[ゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)|映画部門主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)]]
| [[ドナルド・オコーナー]]
| {{won}}
|-
| {{small|[[ナショナル・ボード・オブ・レビュー]]}}
| トップ10の映画
| -
| {{draw|8位}}
| <ref>{{cite web |url=http://www.nbrmp.org/awards/past.cfm?year=1952 |title=National Board of Review of Motion Pictures :: Awards |publisher=Nbrmp.org |accessdate=8 August 2011 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110927184207/http://www.nbrmp.org/awards/past.cfm?year=1952 |archivedate=27 September 2011}}</ref>
|-
| [[全米脚本家組合賞|第5回全米脚本家組合賞]]
| ミュージカル脚本賞
| [[ベティ・コムデン]]<br />[[アドルフ・グリーン]]
| {{won}}
| <ref>{{cite web |url=http://www.wga.org/awards/awardssub.aspx?id=1551 |title=wga awards |publisher=Wga.org |accessdate=2011-10-30 |url-status=dead |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061001153001/http://www.wga.org/awards/awardssub.aspx?id=1551 |archivedate=2006-10-01}}</ref>
|}
[[アメリカン・フィルム・インスティチュート]]による以下のリストにランクインしている。
* 1998: [[アメリカ映画ベスト100]] – #10<ref name="AFI4">{{cite web|title=AFI's 100 Years...100 Movies |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/movies100.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>
* 2000: [[アメリカ喜劇映画ベスト100]] – #16<ref name="AFI3">{{cite web|title=AFI's 100 Years...100 Laughs |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/laughs100.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>
* 2002: [[情熱的な映画ベスト100]] – #16<ref name="AFI5">{{cite web|title=AFI's 100 Years...100 Passions |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/passions100.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>
* 2004: [[アメリカ映画主題歌ベスト100]]:
** "雨に唄えば" – #3<ref name=afisongs>{{cite web|title=AFI's 100 Years...100 Songs |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/songs100.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>
** "奴らを笑わせろ" – #49<ref name=afisongs />
** "グッド・モーニング" – #72<ref name=afisongs />
* 2006: [[ミュージカル映画ベスト]] – #1<ref name="AFI2">{{cite web |title=AFI's Greatest Movie Musicals |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/musicals25.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>
* 2007: [[アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)]] – #5<ref>{{cite web |title=AFI's 100 Years...100 Movies (10th Anniversary Edition) |url=http://www.afi.com/Docs/100Years/100Movies.pdf |publisher=[[American Film Institute]] |access-date=2016-07-17}}</ref>


[[1989年]]には、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされ[[アメリカ国立フィルム登録簿]]に登録。同登録簿に選ばれた最初の25本の映画の1つだった{{R|AFI}}。
===その他===
* 作品中(オープニングタイトル、エンドロール、など)に著作権表記が無かったため、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄とみなされ、[[パブリックドメイン]]となった<ref>[http://www.braintrust-dvd.com/img/PD_FILMS_LIST_new.pdf パブリックドメイン映画]</ref>。(このため、英語版ローカルに[[フェアユース]]扱いながら高解像度のスクリーンショット、英語版とウィキクオートにセリフの抜粋が収録されている)。
* 視点を変えることが大切で、経営学者のジョーン・マルケスは「困難な時期をすばらしい経験に変えることが人生での大切な技術かもしれない。雨を嫌うか、雨の中で踊るか、私たちは選択することができる」という。
* [[百貨店]]などでは、外で[[雨]]が降り出したことを店内に知らせるため、BGMとして用いられている場合がある。


== 舞台 ==
== 研究 ==
[[明治大学]]政治経済学部教授で文学者の[[マーク・ピーターセン]]は、"You Were Meant for Me"という劇中歌の歌詞"You Were Meant for Me"について、概して「『君は僕のために生まれてきたんだ』『あなたは私と出会うために現れた』という直訳は日本の男性が真面目な顔をして言えるようなセリフではなさそうだ」「実際、いきなり『君は僕のために生まれてきたんだ』と言われたら、好きでなくなるかもしれない」と前置きした上で「"Were Meant for"の主語は運命、もっと厳密に言えば創造主、神である。神や運命を信じない人でも平気でその表現を使うということも面白い」と解説している。同時に日本語字幕の「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」は映画のセリフを日本語で意訳する際の限度に近いとしている<ref>マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書、1990年)ISBN 978-4004301394 p8-11</ref>。
{{節スタブ|date=2016年5月}}
[[1983年]]に[[ロンドン]]の[[ウエスト・エンド (ロンドン)|ウエスト・エンド]]にてトミー・スティール主演により舞台化されて以降、世界各国にて上演されている。


経営学者のジョーン・マルケスは、 視点を変えることの大切さとして本作を引用し、「困難な時期をすばらしい経験に変えることが人生での大切な技術かもしれない。雨を嫌うか、雨の中で踊るか、私たちは選択することができる」と語っている<ref>{{Cite press release|author=小川正弘 |title=「雨に唄えば」の見どころ | publisher=第4回小美玉「聖書で読み解く映画カフェ」上映作品 |date=2017-01-28
=== 日本での舞台化 ===
|url=http://s2cc12e3b5c0bd79c.jimcontent.com/download/version/1435238663/module/12125864789/name/%E3%80%8C%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A6%8B%E3%81%A9%E3%81%93%E3%82%8D%EF%BC%88%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%94%A8%EF%BC%89.pdf |accessdate=2022-05-22}}</ref>。
* [[1996年]]

*: ドン・ロックウッド:[[東山紀之]]、キャシー・セルダン:[[薬師丸ひろ子]]、コズモ・ブラウン:[[川平慈英]]、リナ・ラモント:[[花山佳子]]
== その他 ==
* [[2003年]]
* 作品中(オープニングタイトル、エンドロール、など)に著作権表記が無かったため、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄とみなされ、[[パブリックドメイン]]となった<ref>[http://www.braintrust-dvd.com/img/PD_FILMS_LIST_new.pdf パブリックドメイン映画]</ref>。
*: [[宝塚歌劇団]][[星組 (宝塚歌劇)|星組]]
* 本作の[[テクニカラー|三色テクニカラー]]による[[ネガフィルム]]は、[[1978年]]の火災で1リールを残して失われた<ref name="film">{{Cite news|author=joeldamos |title=Singin’ in the Rain 70th Anniversary 4K Review: Break Out the Umbrella, This is a Keeper! |publisher=The Movie Mensch |date=2022-05-01 |url=https://themoviemensch.com/2022/05/01/singin-in-the-rain-70th-anniversary-4k-review-break-out-the-umbrella-this-is-a-keeper/ |accessdate=2022-05-18}}</ref>。その後、[[2002年]]に[[デジタルリマスター]]が行われ、[[2012年]]には火災で無事だったフィルムと数世代後の{{仮リンク|ファイングレインフィルム|en|Fine grain master positive}}を組み合わせた[[4K解像度|4K]]リマスターが作成された。この映像は、元の素材を考慮した上で「奇跡にほかならない」と評されている{{R|film}}<ref>{{Cite news|author=Anton van Beek
*: ドン・ロックウッド:[[安蘭けい]]、キャシー・セルダン:[[陽月華]]、コズモ・ブラウン:[[大和悠河]]、リナ・ラモント:[[真飛聖]]
|title=Singin' in the Rain |publisher=Home Cinema Choice |date=2012-12-20 |url=https://www.homecinemachoice.com/content/singin-rain |accessdate=2022-05-18}}</ref><ref>{{Cite news|author=David Krauss |title=Singin'in The Rain:60th Anniversary Ultimate Collector's Edition |publisher=High Def Digest |date=2012-07-20 |url=https://bluray.highdefdigest.com/4418/singin_rain_uce.html |accessdate=2022-05-18}}</ref>。
* [[2008年]]
*: 宝塚歌劇団[[宙組 (宝塚歌劇)|宙組]]
*: ドン・ロックウッド:[[大和悠河]]、キャシー・セルダン:[[花影アリス]](陽月華の休演に伴う代役)、コズモ・ブラウン:[[蘭寿とむ]]、リナ・ラモント:[[北翔海莉]]
* [[2018年]]
*: 宝塚歌劇団[[月組 (宝塚歌劇)|月組]]
*: ドン・ロックウッド:[[珠城りょう]]、キャシー・セルダン:[[美園さくら]]、コズモ・ブラウン:[[美弥るりか]]、リナ・ラモント:[[輝月ゆうま]]


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{Reflist}}
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
*Comden, Betty & Green, Adolph (1972) "Introduction" ''Singin' in the Rain''. New York: Viking. SBN 670-01946-1
*{{cite book |last1=Hess |first1=Earl J. |last2=Dabholkar |first2=Pratibha A. |name-list-style=amp |title=Singin' in the Rain: The Making of an American Masterpiece |url=https://archive.org/details/isbn_9780700616565 |publisher=[[University Press of Kansas]] |location=Lawrence, KS |year=2009 |isbn=978-0-7006-1656-5}}
* {{cite book |last1=Comden |first1=Betty |last2=Green |first2=Adolph |name-list-style=amp |title=Singin' in the Rain |location=New York |publisher=Lorrimer Publishing |date=1986 |isbn=0-85647-116-X |oclc=13125781 |url=https://archive.org/details/singininrainclas00bett}}
* {{cite web |url=http://www.filmsite.org/sing.html |title=FilmSite Review: ''Singin' in the Rain'' (1952) |website=[[Filmsite.org]] |author=Dirks, Tim |publisher=[[AMC (TV channel)|AMC]] |access-date=February 14, 2016}}
* {{cite web |url=http://www.cinemademerde.com/Essay-Singin_Rain.shtml |last=Telek |first=Scott |title=Speaking vs. Dancing in the Rain |website=Cinema de Merde |date=11 November 2007 |access-date=2016-02-14}}
* {{cite book |last=Wollen |first=Peter |title=Singin' in the Rain |location=London |publisher=BFI Publishing |date=1992 |isbn=0-85170-351-8 |oclc=27108548}}
* {{Cite book|和書|author=元来渉|title=踊る大ハリウッド ケリー、アステアから考えるミュージカル映画の深化|date=2021|publisher=[[幻冬舎]]|isbn=978-4344931541|ref=harv}}


==関連項目==
== 関連項目 ==
{{wikiquotelang|en|Singin' in the Rain}}
{{wikiquotelang|en|Singin' in the Rain}}
{{commonscat}}
{{commonscat}}
* [[時計じかけのオレンジ]] - 映画版で[[グロテスク]]な[[パロディー]]がある。
* [[時計じかけのオレンジ]] - 映画版で[[グロテスク]]な[[パロディー]]がある。
* [[北北西に進路を取れ]] - [[ケーリー・グラント]]が逃亡中に滞在したホテル内で、この曲をハミングしながらバスルームに入るシーンがある。
* [[ブロードウェイ・メロディー]] - MGMミュージカルの第一作であるこの作品の製作過程が本作に反映されている。
* [[空の境界]]:劇中にて、雨の中この音楽を口ずさむシーンがある。
* [[オースティン・パワーズ]]・ゴールドメンバー - オープニングで、[[カメオ出演]]する[[クインシー・ジョーンズ]]が劇伴の指揮を取り、スクリーンを見ながらサウンドトラックをダビングするシーンで、オースティンがスクリーンの中(実は舞台)で、雨の中、傘を持ちタップを踏む、[[オマージュ]]・シーンが描かれている。
* [[オースティン・パワーズ]]・ゴールドメンバー - オープニングで、[[カメオ出演]]する[[クインシー・ジョーンズ]]が劇伴の指揮を取り、スクリーンを見ながらサウンドトラックをダビングするシーンで、オースティンがスクリーンの中(実は舞台)で、雨の中、傘を持ちタップを踏む、[[オマージュ]]・シーンが描かれている。
* [[ここは今から倫理です]] - 退屈を持て余して夜遊びを続ける生徒に主人公の教師が、家にある母親所有のDVDを見ることを勧め、たまたま見始めた同作品をきっかけに、会話の少なかった母親と生徒の[[コミュニケーション]]が復活する挿話がある。
* [[カート・ブラウニング]] - フィギュアスケートの演目としてブラウニングの作品を代表するのがこの曲である。
* [[ここは今から倫理です]]([[漫画]]・[[ドラマ]]) - 退屈を持て余して夜遊びを続ける生徒に主人公の教師が、家にある母親所有のDVDを見ることを勧め、たまたま見始めた同作品をきっかけに、会話の少なかった母親と生徒の[[コミュニケーション]]が復活する挿話がある。


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* https://asa10.eiga.com/cinema/04.html
* {{Allcinema title|1220|雨に唄えば}}
* {{Allcinema title|1220|雨に唄えば}}
* {{Kinejun title|445|雨に唄えば}}
* {{Kinejun title|445|雨に唄えば}}
* {{Amg movie|44857|Singin' in the Rain}}
* {{Amg movie|44857|Singin' in the Rain}}
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2022年6月6日 (月) 06:11時点における版

雨に唄えば
Singin' in the Rain
監督 ジーン・ケリー
スタンリー・ドーネン
脚本 アドルフ・グリーン
ベティ・カムデン
原作 アドルフ・グリーン
ベティ・カムデン
製作 アーサー・フリード
出演者 ジーン・ケリー
ドナルド・オコナー
デビー・レイノルズ
音楽 レニー・ヘイトン
主題歌雨に唄えば
撮影 ハロルド・ロッソン
編集 アドリアン・フェイザン
製作会社 MGM
配給 アメリカ合衆国の旗 MGM
日本の旗 大映
公開 アメリカ合衆国の旗 1952年4月11日
日本の旗 1953年4月1日
上映時間 103分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,500,000[1]
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $12,400,000
世界の旗 $17,500,000[2]
配給収入 アメリカ合衆国の旗 $3,263,000
世界の旗 $2,367,000[1]
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予告編

雨に唄えば』(あめにうたえば、原題:Singin' in the Rain)は、1952年に公開されたアメリカ合衆国ミュージカル映画1929年同名楽曲を原案とし、サイレント映画からトーキー映画に移る時代のハリウッドコメディを交え描いた作品である。ジーン・ケリースタンリー・ドーネンが監督し、ケリー、ドナルド・オコナーデビー・レイノルズが主演した。

ハリウッドを代表するミュージカル映画の傑作として知られ、批評家から「ミュージカル映画史上最高の作品」と評されることがよくあるなど、今なお、色あせることなく輝きを放っている[3][4]。特に、ジーン・ケリーが土砂降りの雨の中、主題歌を歌いながらタップダンスを踊る場面は、映画史に残る名シーンとされる[5]

1989年、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされアメリカ国立フィルム登録簿に登録された[6]。また、アメリカ映画協会(AFI)が発表したミュージカル映画ベストの第1位[7]アメリカ映画主題歌ベスト100の第3位[8]アメリカ映画ベスト100の第10位[9]情熱的な映画ベスト100の第16位[10]に選出された。

ストーリー

サイレント映画全盛の時代、俳優ドンと大女優リナ・ラモントはドル箱の映画スターであり、大スター同士のカップルともてはやされていた。しかし実際は、リナが一方的にドンに惚れているだけであった。そんな中、ドンは駆け出しの女優キャシーと恋仲になってしまう。

やがて長編映画として世界初のトーキー「ジャズ・シンガー」が大成功をおさめたことにより、ハリウッドにトーキーの波が押し寄せる。

そこで彼らの映画会社では、当時作りかけだったドン&リナのサイレント映画を無理矢理トーキーにすることに決定。しかしながら、トーキーのノウハウを知らなかったことに加え、一番の問題はリナが致命的な悪声の持ち主であったために映画の試写会は散散な結果に終わる。そんな映画を公開したら俳優人生が崩壊してしまうと危機を感じたドンとその親友コズモ、キャシーの三人は映画をミュージカルに作り替えることを思い立つ。あとはリナの声をどうするのかが問題だったが、コズモのアイデアでキャシーがセリフも歌も全て吹き替えることになる。こうして撮り直しは順調に進むが、吹替を知ったリナは、怒りと嫉妬から契約を盾にキャシーを自分の吹替専門担当にして表に出られないようにしてしまう。

映画の完成披露試写会が開かれ、ドンとリナの歌声は観客から喝采を受ける。すると調子に乗ったリナが自らの声でスピーチをしてしまう。声が違うことを怪しんだ観客から、リナが生で歌うように迫られると、ドンと映画会社社長はリナを罠にはめることを思いつく。まず、リナの背後でカーテンに隠れてキャシーが代わりに歌い、リナには歌っているフリをさせる。そしてキャシーの歌声で「雨に唄えば」が披露されると、ドンたちはカーテンを開き、キャシーが吹き替えていることを観客に見せてしまう。こうしてキャシーはスターの座を手に入れ、ドンとキャシーは結ばれる。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
NHK フジテレビ PDDVD
ドン・ロックウッド ジーン・ケリー 愛川欽也 井上孝雄 堀川りょう
コズモ・ブラウン ドナルド・オコナー 八代駿 広川太一郎 大塚智則
キャシー・セルダン デビー・レイノルズ 池田昌子 岡本茉莉 加納千秋
リナ・ラモント ジーン・ヘイゲン 桜京美 向井真理子 安藤麻吹
R・F・シンプソン社長 ミラード・ミッチェル 河村弘二 中村正 仲野裕
ドンのダンスパートナー シド・チャリシー ※発言無し
デクスター監督 ダグラス・フォーリー英語版 近石真介 勝田久 田坂浩樹
ゼルダ・ザンダース リタ・モレノ 中川まり子 小林美穂
不明
その他
市川千恵子
加藤正之
石森達幸
小倉勝保
上田敏也
石丸博也
清川元夢
若本規夫
麻上洋子
半田晶子
塚田恵美子
中川まり子
中神亜紀
丸山壮史
七瀬みーな
安芸此葉
]志摩淳
演出 春日正伸  
翻訳 榎あきら
効果
調整 山田太平
制作 オムニバスプロモーション
解説
初回放送 1971年6月5日
『劇映画』
14:10-15:40
1977年12月30日
ゴールデン洋画劇場
21:00-22:54

※2022年6月3日発売の4K ULTRA HDにフジテレビ版のみ収録

スタッフ

日本語版

- NHK版 フジテレビ版 PDDVD版
演出 好川あつし 春日正伸 粂田剛
翻訳 榎あきら 別所里織
制作 オムニバスプロモーション 株式会社ワールドピクチャー

楽曲

元々アーサー・フリード作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲によるコンビが手掛けた曲を集めた作品として企画されたため、楽曲の大半は過去のMGMミュージカル映画で使用された曲の流用である[11]。新曲は2曲のみ。

特に明記されていない限り、曲はすべてフリード作詞、ブラウン作曲である[12]。書き下ろし曲は太字で表記。表題曲「雨に唄えば」はこちらを参照。

  • ピンピンしてる/フィット・アズ・ア・フィドル(Fit as a Fiddle)- フリード作詞、アル・ホフマンとアル・グッドハート作曲による、1932年発表の楽曲。
  • テンプテーション(Temptation)- 初出は1933年公開『虹の都へ』。本作ではインストゥルメンタルのみ。
  • あなたの夢ばかり(All I Do Is Dream of You)- 初出は1934年公開『蛍の光』。
  • 奴らを笑わせろ/メイク・エム・ラフMake 'em Laugh)- フリード作詞、コール・ポーター作曲「ビー・ア・クラウン」のパロディ曲。ドーネンには「100%盗作」といわれたが、ポーターから訴えられることはなかった[13]
  • 邦題不明(I've Got a Feelin' You're Foolin')- 初出は1935年公開『踊るブロードウェイ』。
  • 君は僕のために生まれてきた/ユー・ワー・メント・フォー・ミー(You Were Meant For Me)- 初出は1929年公開『ブロードウェイ・メロディ』。
  • あなたは私の幸運の星(You Are My Lucky Star)- 初出は1935年公開『踊るブロードウェイ』。
  • モーゼズMoses Supposes)- ベティ・コムデンアドルフ・グリーン作詞・ロジャー・イーデンス作曲。アメリカの早口言葉Moses supposes his toeses are roses」を基にした曲。
  • グッド・モーニング(Good Morning)- 初出は1939年公開『青春一座』。
  • あなたは?(Would You)- 初出は1936年公開『桑港』。
  • ブロードウェイ・メロディ・バレー(Broadway Rhythm Ballet)- 初出は1929年公開『ブロードウェイ・メロディー』。1935年公開『踊るブロードウェイ』での楽曲「ブロードウェイ・リズム」と組み合わせ使用。

製作

日本公開時のポスター

企画

MGMスタジオのミュージカル部門の責任者であったアーサー・フリードは、彼自身が作詞し、ナシオ・ハーブ・ブラウン英語版が作曲した1929年の同名楽曲に基づいた映画を作ることを考案。二人のコンビによる過去のヒット曲を集めたミュージカルとして企画された。脚本は当初、1928年公開の映画『好いて好かれて英語版』の翻案した内容であり、1949年にプロットが完成するも、同年内に企画は一度中断する[4][14]

1950年末、フリードは題名と自身の曲を使う考えはそのままに、オリジナル脚本で製作することに方針を変えて企画が再始動する。そのアイデアを、作詞ができる脚本家としてコンビで活躍していたベティ・コムデンアドルフ・グリーンに伝え、二人はフリードの曲を聴き続けながら脚本執筆にとりかかった[4][15]。二人は当初、フリードによる「『雨に唄えば』をはじめ過去に作った20曲以上の歌すべてが出てくる映画を作ってほしい」という指示に困惑したという[16]

コムデンとグリーンは、物語の時代設定を『雨に唄えば』をはじめフリードが多くの曲を発表し、サイレント映画トーキーに取って代わられミュージカル映画が人気だったハリウッドにすることにした。この時代は、二人が幼少から思春期を過ごし多くのハリウッドに関する出来事を知っていたこともあり、アイデアは豊富にあったという。当初、ハワード・キールが主演候補と聞いた二人は、かつて売れない西部劇俳優だった男が歌うカウボーイとして成功する物語を作り上げようとしたが、次第に俳優ジョン・ギルバートの経歴に触発され、冒険活劇のヒーローだった俳優が得意な歌と踊りを活かしサイレントからトーキーへの移行を生き残るという物語に変わっていった。同時に、二人は「これはジーン・ケリーにふさわしい物語である」と考えるようになったという[4][14][17]

キャスティング

ジーン・ケリーは当初、スタンリー・ドーネンと共に『巴里のアメリカ人』の製作に没頭していたため、このプロジェクトに参加していなかった[18]。撮影を終えたケリーとドーネンは、古くからの付き合いであるコムデンとグリーンの脚本に興味を示したことでプロセスはスムーズに進み、すぐにスクリプトの書き直しと調整に関与するようになった[4]

ケリー演じるドンの相棒コズモ役に、フリードは当初オスカー・レヴァント英語版を考えた。だがケリーら四人はこれに反対し、ケリーと共に踊ることができる軽やかな役者を求めた結果、ユニバーサル・ピクチャーズ所属のドナルド・オコナーが貸し出される形で起用されることとなった[4]

ドンの恋人キャシー役には、当時女優としてのキャリア、ダンス経験が共に浅かったデビー・レイノルズが抜擢された。これは、彼女がMGM所属で、同社からスターを作りたいと考えたルイス・B・メイヤーの意向が大きかったとされる。キャリアの浅さに反し起用されたレイノルズにケリーは不満を表したとされる一方、ケリーとドーネンはレイノルズが歌う「アバ・ダバ・ハネムーン(Aba Daba Honeymoon)」を聞いて以来、彼女がキャシー役に最適と考えていたともされる[4]

リナ役に関して、当初コムデンとグリーンは親友だったジュディ・ホリデイを念頭に置いて脚本執筆をしていたが、彼女が既に大物になりすぎていたことなどから、最終的にMGM所属の女優だったジーン・ヘイゲンが選ばれた[4]

エピソード

撮影は、様々な場面を同時進行で行っていた。また、現場ではケリーとドーネンが「素晴らしい相互依存であり自立的関係でもあった」ことから、それぞれ別のシーンを撮影することもあったという[4]

「雨に唄えば」の歌唱場面

有名な「雨に唄えば」を踊り歌う場面の撮影時、ケリーは39.4度の高熱をだしていた[19][20]。使用された水により、ケリーのウールのスーツは撮影中に縮んだという[21]。なお、この撮影には「あらかじめ設置されたカメラにより、ケリーは撮影を曲全体通しの1テイクで終えた」「雨水にはカメラによりよく映るよう牛乳が混ぜられた」という逸話があるが、後年には共に否定され、撮影には2〜3日かかったこと、バックライトを工夫することで雨は水のみで撮れたことが明かされている[22][23][24]

ドナルド・オコナーが歌う曲は、もともとコムデンとグリーンが「元気づけの歌として台本に痛々しく押し込んだ」という「The Wedding Of The Painted Doll」の予定だったが、彼のコミカルな部分を活かすため、新曲の「奴らを笑わせろ」に置き換えられた。オコナーはこの場面の撮影時、コンクリートの床でジャンプやしりもち、さらにケリーの要望で若手時代以来となる2回の空中回転など体を張ったパフォーマンスをした結果、撮影後に打撲・体を擦った火傷などの痛みや倦怠感から数日の入院生活を送ることになった。だがその後、カメラのトラブルで上手く撮影できていなかったことが判明。結局この場面は退院後に撮り直しとなった[25][22][26]

ドナルド・オコナーは、後年に撮影をあまり楽しめなかったことを明かしている。暴君のような振る舞いを見せることもあったケリーに気を遣うあまり、最初の数週間はミスを恐れながら演じていたといい、撮影時はたばこを1日4箱吸っていたという[25]

デビー・レイノルズは、ダンスに関してほぼ未経験の状態から約3か月の訓練だけで撮影に臨んでいた[27]。このことから、完璧主義者のケリーは彼女を侮辱したこともあり、ピアノの下で隠れて泣くレイノルズを見たフレッド・アステアは彼女を慰めたり練習を手伝ったという[4][28]。ケリーは後年、当時レイノルズに親切でなかったことを認め、そんな自分へ撮影後も交流を続けてくれる彼女には驚いたと明かし「デビーは牡牛のように強く、レスリー・キャロンと違い何時間も練習ができた。それに彼女は真似をするのが上手くて、大した苦労もなく複雑なダンスを覚えることができた」と彼女を高く評価した[4]。なお、レイノルズ本人は後年「彼の教えのおかげでその後も芸能活動を続けることができた」とする一方で「人生で一番辛かったのは出産と『雨に唄えば』だった」とも語っている[29]

「グッド・モーニング」の場面は、午前8時から午後11時までの長時間にわたる撮影となり、最後のダンスを終えソファーに倒れる場面は40回撮ったという。終了後、レイノルズの足は出血していたという[28][30]

ジーン・ヘイゲンは役作りでリナの独特な声を作る際、下級労働者の役や話が長い先生の役、よく怒鳴る役で知られていたキャスリーン・フリーマンの協力を得たという[25]。なお、フリーマンは本作に、声楽の講師役としてノンクレジットで出演している。

レイノルズの歌のうち「あなたは?」[31]と「あなたは私の幸運の星」[32]の2曲はベティ・ノイス英語版が吹き替えている。また、キャシーがリナの台詞[33]を吹き替えるシーンでは、リナ役であるヘイゲン本人の地声が吹き替え後の声として使われている[31][32][34]

本編冒頭でケリー演じるドンの主演作として流れた「ザ・ロイヤル・ラスカル」の映像は、ケリー主演の映画『三銃士』の映像が流用された[25]

最後のキャシーが泣く場面で、レイノルズは上手く泣くために玉ねぎを使っている[25]

評価

MGMの記録によると、初公開中にアメリカとカナダで3,263,000ドル、海外で2,367,000ドルを稼ぎ、スタジオに666,000ドルの利益をもたらした。また、アメリカとカナダでその年の10番目に高い売上高の映画だった[35][36]

初公開当時の評価は「良くできたミュージカル・コメディーの一つ」とさほど高いものではなく、当時のアカデミー賞では助演女優賞とミュージカル映画部門の音楽賞にノミネートにとどまった。だが、再公開やテレビ放映、ビデオ発売などをそれぞれ契機として、後の世代の人々にも幅広く目に触れるようになったことで、時代と共にその評価を高めて行ったという[14]

  • 「ズタ袋のような衣装はいただけないが、音楽は素晴らしい。」(ロンドン・イブニング・スタンダード誌)
  • 「天国のように素晴らしい。ミュージカル映画史上最高の作品だね。ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンは監督として素晴らしい仕事をしているし、この映画のジーン・ケリーは、とにかく素敵だよ。ドナルド・オコナーのナンバー`Make Em Laugh`も奇跡的な素晴らしさだ。」(メル・ブルックス

受賞歴

部門 対象 結果 出典
第25回アカデミー賞 助演女優賞 ジーン・ヘイゲン ノミネート [37]
作曲賞 レニー・ヘイトン ノミネート
第6回英国アカデミー賞 作品賞 - ノミネート [38]
第5回全米監督協会賞 長編映画監督賞 ジーン・ケリー
スタンリー・ドーネン
ノミネート [39]
第10回ゴールデングローブ賞 映画部門作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - ノミネート [40]
映画部門主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) ドナルド・オコーナー 受賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー トップ10の映画 - 8位 [41]
第5回全米脚本家組合賞 ミュージカル脚本賞 ベティ・コムデン
アドルフ・グリーン
受賞 [42]

アメリカン・フィルム・インスティチュートによる以下のリストにランクインしている。

1989年には、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされアメリカ国立フィルム登録簿に登録。同登録簿に選ばれた最初の25本の映画の1つだった[6]

研究

明治大学政治経済学部教授で文学者のマーク・ピーターセンは、"You Were Meant for Me"という劇中歌の歌詞"You Were Meant for Me"について、概して「『君は僕のために生まれてきたんだ』『あなたは私と出会うために現れた』という直訳は日本の男性が真面目な顔をして言えるようなセリフではなさそうだ」「実際、いきなり『君は僕のために生まれてきたんだ』と言われたら、好きでなくなるかもしれない」と前置きした上で「"Were Meant for"の主語は運命、もっと厳密に言えば創造主、神である。神や運命を信じない人でも平気でその表現を使うということも面白い」と解説している。同時に日本語字幕の「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」は映画のセリフを日本語で意訳する際の限度に近いとしている[45]

経営学者のジョーン・マルケスは、 視点を変えることの大切さとして本作を引用し、「困難な時期をすばらしい経験に変えることが人生での大切な技術かもしれない。雨を嫌うか、雨の中で踊るか、私たちは選択することができる」と語っている[46]

その他

脚注

  1. ^ a b The Eddie Mannix Ledger, Los Angeles: Margaret Herrick Library, Center for Motion Picture Study .
  2. ^ List movies by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月26日閲覧。
  3. ^ Haley Jr., Jack: That's Entertainment!, Frank Sinatra segments. Metro-Goldwyn-Mayer, 1974
  4. ^ a b c d e f g h i j k 元来渉 2021
  5. ^ 小湊一凜 (2022年3月25日). “変わりゆく社会のなかで 映画公開70周年「雨に唄えば」”. ひとシネマ. 毎日新聞社. 2022年5月10日閲覧。
  6. ^ a b “ENTERTAINMENT: Film Registry Picks First 25 Movies”. Los Angeles Times. (1989年9月19日). https://www.latimes.com/archives/la-xpm-1989-09-19-mn-347-story.html 2020年4月22日閲覧。 
  7. ^ a b AFI's Greatest Movie Musicals”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  8. ^ a b AFI's 100 Years...100 Laughs”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  9. ^ a b AFI's 100 Years...100 Movies”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  10. ^ a b AFI's 100 Years...100 Passions”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  11. ^ Feltenstein, George (2002). "Producer's Note", included in the liner notes of the Music from the original motion picture soundtrack (deluxe edition) Singin' in the Rain double CD by Rhino Entertainment and Turner Classic Movies
  12. ^ Track list in the liner notes of the "Music from the original motion picture soundtrack (deluxe edition) Singin' in the Rain" double CD by Rhino Entertainment and Turner Classic Movies.
  13. ^ Make 'Em Laugh by Donald O'Connor - Songfacts”. Songfacts.com. 2021年5月2日閲覧。
  14. ^ a b c Brian, Eggert (2017年12月3日). “Singin’ in the Rain”. Deep Focus Review. 2022年5月12日閲覧。
  15. ^ Comden & Green (1972), pp.1-4
  16. ^ “【雨に唄えば】ミュージカル映画の金字塔となった理由を徹底解説!古き良きアメリカを感じさせる演出とは?製作秘話も紹介”. シネマノーツ. (2020年1月8日). https://cinema-notes.com/article/12488/ 2022年5月17日閲覧。 
  17. ^ Comden & Green (1972), pp.4-5
  18. ^ Comden & Green (1972), pp.5-8
  19. ^ Sanburn, Josh (December 2, 2010). “Top Ten Movie Dance Scenes: A Wet, Soft Shoe in Singin' in the Rain”. Time. http://entertainment.time.com/2010/12/03/top-10-movie-dance-scenes/. 
  20. ^ The Biography Channel”. 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月3日閲覧。
  21. ^ The dark side of Singin' In The Rain star Gene Kelly”. express.co.uk (2017年5月2日). 2020年5月31日閲覧。
  22. ^ a b Singin' in the Rain (1952) – Hollywood's Greatest Musical!”. The Picture Show Man (2020年12月16日). 2022年5月10日閲覧。
  23. ^ Bubbeo, Daniel (2012年7月11日). “Gene Kelly's widow Patricia chats about her late husband and 'Singin' in the Rain'”. Newsday. http://www.newsday.com/entertainment/movies/gene-kelly-s-widow-patricia-chats-about-her-late-husband-and-singin-in-the-rain-1.3832472 2012年7月27日閲覧。 
  24. ^ The Basics: Was There Really Milk in Singin’ in the Rain? Archived 2014-08-19 at the Wayback Machine.
  25. ^ a b c d e Singin' in the Rain (1952) - Trivia”. IMDb. 2022年5月13日閲覧。
  26. ^ Mankiewicz, Ben (2017) "Intro to Singin' in the Rain 65th Anniversary Theatrical Release" Accessed: January 15, 2017
  27. ^ UMISODACHI (2016年12月31日). “デビー・レイノルズを偲んで、『雨に唄えば』をもう一度観よう”. THE RIVER. https://theriver.jp/singin-in-the-rain-for-debbie-reynolds/ 2022年5月13日閲覧。 
  28. ^ a b Reynolds, Debbie (2013). Unsinkable: A Memoir. HarperCollins. p. 207. ISBN 978-0-06-221365-5 
  29. ^ Patrick Perry, "ON TOUR WITH DEBBIE REYNOLDS: Feisty and Fit Actress Speaks Out About An All-Too-Common Problem - Overactive Bladder", The Saturday Evening Post, January/February 2003.
  30. ^ Debbie Reynolds Talks About Singin' in the Rain”. YouTube. Turner Classic Movies (2020年4月20日). 2022年5月18日閲覧。
  31. ^ a b Kermode, Mark (2007年3月18日). “The 50 greatest film soundtracks: 11. Singin' In The Rain”. The Observer (London). https://www.theguardian.com/music/2007/mar/18/features.musicmonthly14 2015年8月4日閲覧。 
  32. ^ a b Reynolds, Debbie & Columbia, David Patrick (1989). Debbie: My Life. Pocket Books. p. 97. ISBN 978-0671687922 
  33. ^ 「Nothing can keep us apart, our love will last 'til the stars turn cold」
  34. ^ Hess & Dabholkarm (2009), p.145
  35. ^ Singin' in the Rain - Box Office Data”. The Numbers. 2011年11月14日閲覧。
  36. ^ 'Top Box-Office Hits of 1952', Variety, January 7, 1953
  37. ^ The 25th Academy Awards (1953) Nominees and Winners”. Oscars.org (Academy of Motion Picture Arts and Sciences). 2011年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月20日閲覧。
  38. ^ BAFTA Awards: Film in 1953”. BAFTA (1953年). 2016年9月16日閲覧。
  39. ^ 5th Annual DGA Awards”. DGA (1952年). 2021年5月22日閲覧。
  40. ^ Winners & Nominees: Singin' in the Rain”. HFPA. 2016年9月16日閲覧。
  41. ^ National Board of Review of Motion Pictures :: Awards”. Nbrmp.org. 2011年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月8日閲覧。
  42. ^ wga awards”. Wga.org. 2006年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月30日閲覧。
  43. ^ a b c AFI's 100 Years...100 Songs”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  44. ^ AFI's 100 Years...100 Movies (10th Anniversary Edition)”. American Film Institute. 2016年7月17日閲覧。
  45. ^ マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』(岩波新書、1990年)ISBN 978-4004301394 p8-11
  46. ^ 小川正弘 (28 January 2017). "「雨に唄えば」の見どころ" (PDF) (Press release). 第4回小美玉「聖書で読み解く映画カフェ」上映作品. 2022年5月22日閲覧
  47. ^ パブリックドメイン映画
  48. ^ a b joeldamos (2022年5月1日). “Singin’ in the Rain 70th Anniversary 4K Review: Break Out the Umbrella, This is a Keeper!”. The Movie Mensch. https://themoviemensch.com/2022/05/01/singin-in-the-rain-70th-anniversary-4k-review-break-out-the-umbrella-this-is-a-keeper/ 2022年5月18日閲覧。 
  49. ^ Anton van Beek (2012年12月20日). “Singin' in the Rain”. Home Cinema Choice. https://www.homecinemachoice.com/content/singin-rain 2022年5月18日閲覧。 
  50. ^ David Krauss (2012年7月20日). “Singin'in The Rain:60th Anniversary Ultimate Collector's Edition”. High Def Digest. https://bluray.highdefdigest.com/4418/singin_rain_uce.html 2022年5月18日閲覧。 

参考文献

関連項目

外部リンク