「モダン・タイムス」の版間の差分
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『'''モダン・タイムス'''』(''Modern Times'')は、[[1936年]]の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ映画]]。[[チャールズ・チャップリン]]が監督・製作・脚本・作曲を担当した[[喜劇]][[映画]]で、彼の代表作のひとつである。[[モノクロ]]、[[サウンド版]]。 |
『'''モダン・タイムス'''』(''[[:en:Modern Times (film)|Modern Times]]'')は、[[1936年]]の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ映画]]。[[チャールズ・チャップリン]]が監督・製作・脚本・作曲を担当した[[喜劇]][[映画]]で、彼の代表作のひとつである。[[モノクロ]]、[[サウンド版]]。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
2022年10月13日 (木) 23:29時点における版
モダン・タイムス | |
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Modern Times | |
監督 | チャールズ・チャップリン |
脚本 | チャールズ・チャップリン |
製作 | チャールズ・チャップリン |
出演者 |
チャールズ・チャップリン ポーレット・ゴダード ヘンリー・バーグマン チェスター・コンクリン |
音楽 |
チャールズ・チャップリン アルフレッド・ニューマン |
撮影 |
ローランド・トザロー アイラ・モーガン |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 |
1936年2月5日 1938年2月 1972年11月(リバイバル上映) |
上映時間 | 87分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $1,500,000 |
映像外部リンク | |
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『モダン・タイムス』を鑑賞する。 | |
モダン・タイムス (予告編) - Association Chaplin, YouTube. | |
モダン・タイムス (Eating Machine) - Kennis LAB, YouTube. |
『モダン・タイムス』(Modern Times)は、1936年のアメリカ映画。チャールズ・チャップリンが監督・製作・脚本・作曲を担当した喜劇映画で、彼の代表作のひとつである。モノクロ、サウンド版。
概要
チャップリンがユナイテッド・アーティスツで製作した5作目の映画であり、資本主義社会や機械文明を題材に取った作品で、労働者の個人の尊厳が失われ、機械の一部分のようになっている世の中を笑いで表現している。自動給食マシーンの実験台にされるシーンや、チャップリンが歯車に巻き込まれるシーン、ラストのチャップリンとヒロインが手をつないで道を歩いてゆくシーンなどが有名である。
この作品は前作の『街の灯』(1931年)に続いてのサウンド版で、一部にセリフが入る以外は音楽の伴奏と効果音のみによるパート・トーキー映画となっている。また、チャップリンが初めてスクリーンで肉声を発した映画であり、キャバレーでインチキ外国語(一説にはフランス語風と言われる。[要出典]また、「taxi」と聞き取れる部分がある)による「ティティーナ」を歌うシーンで、チャップリン自身の歌声を聴くことができる。自作の映画音楽も映像にのせており、前述の「ティティーナ」とラストシーンで印象的な「スマイル」を作曲し、その音楽的才能も開花させている(後述)。公開当時はすでにトーキー映画が普及していたため、この作品は「時代遅れ」と呼ばれて、あまり高い評価は得られなかった[要出典]。
公私にわたるチャップリンのパートナーで、本作でヒロインを務めたポーレット・ゴダードは、チャップリンによる次作で反ナチス・ドイツ映画の『独裁者』(1940年)においてもチャップリンと共演している。他キーストン時代からチャップリンと共演しているチェスター・コンクリンが出演し、キーストン社時代に演じた「ウォルラス氏」の扮装で登場した。
本作はルネ・クレール監督作品『自由を我等に』と内容が酷似している(ベルトコンベアが走る流れ作業、それから起こるドタバタ騒ぎ、ラストの野原の直線道路を行く構図などが似ているといわれる)。(1937年)そのため『自由を我等に』のドイツの製作会社・トビス社(Tobis Film)はチャップリンを著作権侵害で告訴しようとした。しかし、証人に立ったルネ・クレールは、「もし『モダン・タイムス』が自分の映画からヒントを得ているならば、光栄に思う」と証言したため、告訴は取り下げられている[要出典]。
しかし、第二次世界大戦後1947年にトビス社は再び訴えを起こし、それをうっとうしく思ったチャップリンサイドは、僅かばかりの支払いをした。ドイツの映画会社トビスによる(二度目の)訴えについて、チャップリンサイドは反ナチス・ドイツ映画『独裁者』への報復であろうと確信している[1]。チャップリンは『独裁者』で、チャップリンの友人コンラッド・ベルコヴィチから盗作訴訟を起こされた[2]。
作品は資本主義を批判していることから、作品を「共産主義的である」と非難した評論家もいたという[要出典]。そのため当時ファシズム政権にあったドイツなどの国家では、作品が共産主義的であるとみなして、上映を禁止されていた[要出典]。
日本では1938年2月に封切られており、同年度のキネマ旬報ベストテン第4位にランクインされている。なお、当時タイトルに「流線形時代」というサブタイトルが添えられた[3]。
ストーリー
巨大な製鉄工場で働く主人公の男は、ベルトコンベアーを流れる部品のナットをスパナで締め続けるという単純作業を繰り返していた。その様子はテレビモニターで監視され、トイレで煙草を吸っていてもすぐにばれてしまう。ある日、男は労働者の食事時間を節約するために作られた自動給食マシーンの実験台にとなり散々な目に合わされる。やがて単純作業の連続に耐えられなくなって男は精神的におかしくなり、トラブルを起こして精神病院送りになってしまう。
ようやく退院を迎えた日、トラックから落ちた赤旗を拾い、運転手に返そうと追いかけていくうちに、いつの間にか労働者のデモ隊の先導をきってしまい、そのリーダーと間違われて逮捕され、拘置所に入れられてしまう。ひょんなことから脱獄囚を撃退した功績で模範囚として放免され、造船所の仕事を紹介されるものの、ちょっとしたミスから造りかけの船を海に沈めてしまい、職を失ってあてもなく街をうろつく生活に陥る。
そんな中、男は少女がパンを盗もうとして警察に逮捕される現場に居合わせる。少女は貧しい父子家庭の長女だったが、父親が死んだため孤児となり、妹たちが施設に送られてしまい、逃げ出して路上生活をしていたのだった。拘置所が恋しくなっていた男は彼女の窃盗の罪をわざとかぶり護送車に乗せられるが、結局、通りがかりの人の証言で少女が後から載せられてくる。護送車が急カーブで横転し、外へ投げ出された男と少女は逃亡する。
少女と意気投合した男はうち捨てられた郊外のあばら屋を見つけて二人で暮らすようになった。二人のために家を建てるという夢を胸に男は働き出すが、勤め始めたばかりの製粉工場はストライキで閉鎖。デパートの夜警の仕事では泥酔したあげく売り場で寝込んでしまってクビ。工場の技師の助手の仕事も上手くいかない。
一方、少女はダンスの才能を見込まれてキャバレー[4]で働き始め、彼女の推薦で男もウェイターの職を得る。ショウタイムには店長に命じられ、「ティティナ」という歌を即興で歌って大受けするが、その直後、施設から逃げ出した罪で少女を捕まえるために男たちが踏み込んでくる。何とか逃げ出し、道端に座り込んだ2人だが、やっと手に入れた幸せすらも許されない無情な現実に少女は悲嘆の涙を流す。そんな姿を見た男は、あきらめないで強く生きれば道はきっと開けると強く励まし、少女はその言葉に希望を見出す。
こうして、現代社会の冷たさと束縛に囚われない自由な生活を求め、二人ははるか向こうに続く一本道へと歩き去っていくのだった。
キャスト
- 工員:チャールズ・チャップリン
- 浮浪少女:ポーレット・ゴダード
- キャバレーの主人:ヘンリー・バーグマン
- 工場の技師:チェスター・コンクリン
- 製鉄会社社長:アラン・ガルシア
- ビッグ・ビル(チャップリンと同じ工場で働く工員、後にデパートの強盗):スタンレー・サンドフォード
- 強盗:ハンク・マン、ルイ・ナトー
- 少女の父:スタンリー・ブリストーン
- 工員と同房の服役囚:リチャード・アレクサンダー
- 牧師:セシル・レイノルズ
- 牧師夫人:マイラ・マッキニー
- カフェーの給仕:フレッド・マラテスタ
- タービンの交換手:サミー・スタイン
- 流れ作業の工員:チャールズ・コンクリン
- 流れ作業の職長:ウォルター・ジェームズ
- 工員:ボビー・ワーカー、C・ハミルトン、ジャック・ロン
- 囚人:フランク・モラン
- 少女の妹:グロリア・デ・ヘイヴン
- 造船会社の労働者:フランク・ハグニイ
- 警官:パット・ハーモン
- 医師:エドワード・キンボール
- デパートの売り場主任:J・C・ニュージェント
- ウエイター:ジョン・ランド
製作
スタッフ
- 製作・監督・脚本・作曲:チャールズ・チャップリン
- 撮影:ローランド・トザロー、アイラ・モーガン
- 美術:チャールズ・D・ホール、ラッセル・スペンサー
- 編曲:アルフレッド・ニューマン、デイヴィッド・ラクシン
- 演奏指揮:エドワード・バウエル
音楽
ティティナ
前述した「ティティナ」は、1917年にフランスの作曲家レオ・ダニデルフによって "Titine Je cherche après Titine" というタイトルで作曲され、本作で使用されて世界的に有名なメロディとなった。
2004年には、ロサンゼルス出身の歌手J-FIVEによって "Modern times" というタイトルで、チャップリンの歌とともにカバーされ、ヨーロッパを中心に大ヒットした。なお、この曲のミュージック・ビデオにはチャップリンの孫娘ドロレスが出演している。
近年、日本国内のCMソングとしてたびたび使われている(トヨタ・ist、キヤノンのピクサス、NTTの企業CM)。
スマイル
音楽・音声外部リンク | |
---|---|
チャップリンによる原曲を試聴する。 | |
Smile - Charlie Chaplin's Modern Times - Nostalgia Music Catalogue on YouTube. |
本作のラストシーンで印象的な「スマイル」は、チャップリンが作曲したもので、彼が作曲した音楽の中では特に有名である。
この曲は映画の中盤、少女(ポーレット・ゴダード)とチャーリーが警察の護送車から飛び降りて逃亡した後に断続して2回流れる。次に、少女がチャーリーに住むところ(粗末なロッジ)を見つけた報告をする場面(0:52:16から)。次に、少女がおしゃれをしてチャーリーを待つ場面(1:06:39から)。最後に、映画の最終局面、絶望してふさぎ込む少女をチャーリーが元気付け希望へといざなう場面で流れ(1:21:25から)、曲の盛大なフィナーレと共に映画は幕切れする。
1954年、その物悲しい曲調とは裏腹に「スマイル」という曲名が付けられ、ナット・キング・コールによって歌詞付きの歌が歌われた。その後、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス、エルヴィス・コステロらがカバーしている。
また、チャップリンがアメリカを追放されてから20年後、再び同国の地を踏む契機となった第44回アカデミー賞授賞式のフィナーレで、彼がオスカー像を受け取る際、会場のゲスト全員で歌詞の付いたこの曲が歌われた。
評価
本作はチャップリンの作品の中でも特に傑作と呼ばれ、『黄金狂時代』『街の灯』『独裁者』と並ぶチャップリンの代表作と称される。
1989年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
ランキング
- 「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会発表)※10年毎に選出
- 「AFIアメリカ映画100年シリーズ」
- 1998年:「アメリカ映画ベスト100」第81位
- 2000年:「コメディ映画ベスト100」第33位
- 2007年:「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」第78位
- 2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第67位
- 2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』発表)第65位
以下は日本でのランキング
- 1980年:「外国映画史上ベストテン(キネマ旬報戦後復刊800号記念)」(キネマ旬報発表)第8位
- 1988年:「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋発表)第16位
- 1989年:「外国映画史上ベストテン(キネ旬戦後復刊1000号記念)」(キネ旬発表)第14位
- 1995年:「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネ旬発表)第29位
- 1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第13位
波及
- フランスの哲学者サルトル、ボーヴォワール、メルロー=ポンティは、彼らの雑誌名『レ・タン・モデルヌ』(仏: Les Temps modernes)を本映画の仏語題である仏: Les Temps modernesから命名した[5]。
脚注
- ^ Filming Modern Times. Charlie Chaplin - Official Website. 2015年閲覧。
- ^ Chaplin Dictator In Plagiarism: Suit Conrad Bercovici Sues Comedian For Use of Film Idea. The Montreal Gazette - Apr 15, 1941. 2015年閲覧。
- ^ 1972年公開時パンフレット 淀川長治解説
- ^ 今日見られる男性向けのものとは違い、ダンスステージつき居酒屋のような場所。
- ^ Lisa Appignanesi (2005-10-30) (英語). Simone De Beauvoir. Life & Times Series (New ed.). London, UK: Haus Pub. p. 82. ISBN 978-1904950097