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* [[2009年]](平成21年) - [[フランス]]の出版社・フュチュロポリスと[[ルーヴル美術館]]との共同企画『BD([[バンド・デシネ]])プロジェクト』の一環として、自身初のフルカラー漫画作品『Rohan au Louvre(邦題:[[岸辺露伴 ルーヴルへ行く]])』を執筆。本編公開に先駆け、フランス・[[ルーヴル美術館]]テーマ企画展:『小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを』にて表紙案とイメージボードを展示<ref>[https://web.archive.org/web/20090131190146/http://www.louvre.fr/llv/exposition/detail_exposition.jsp?CONTENT%3C%3Ecnt_id=10134198674118667&CURRENT_LLV_EXPO%3C%3Ecnt_id=10134198674118667&bmLocale=ja_JP 小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを](2009年1月31日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>し、[[2010年]](平成22年)に[[フランス語|仏語]]版単行本を発売。[[日本]]では2010年(平成22年)に『ウルトラジャンプ』にて日本語版をモノクロ掲載、[[2011年]](平成23年)に[[日本語]]版単行本化。
* [[2009年]](平成21年) - [[フランス]]の出版社・フュチュロポリスと[[ルーヴル美術館]]との共同企画『BD([[バンド・デシネ]])プロジェクト』の一環として、自身初のフルカラー漫画作品『Rohan au Louvre(邦題:[[岸辺露伴 ルーヴルへ行く]])』を執筆。本編公開に先駆け、フランス・[[ルーヴル美術館]]テーマ企画展:『小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを』にて表紙案とイメージボードを展示<ref>[https://web.archive.org/web/20090131190146/http://www.louvre.fr/llv/exposition/detail_exposition.jsp?CONTENT%3C%3Ecnt_id=10134198674118667&CURRENT_LLV_EXPO%3C%3Ecnt_id=10134198674118667&bmLocale=ja_JP 小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを](2009年1月31日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>し、[[2010年]](平成22年)に[[フランス語|仏語]]版単行本を発売。[[日本]]では2010年(平成22年)に『ウルトラジャンプ』にて日本語版をモノクロ掲載、[[2011年]](平成23年)に[[日本語]]版単行本化。
* [[2011年]](平成23年) - [[3月11日]]、故郷の仙台市が[[東日本大震災]]で被災。4月、初の荒木飛呂彦オフィシャルサイトである公式サイト「JOJO.com」をオープン。『ウルトラジャンプ』にて『ジョジョの奇妙な冒険Part8 [[ジョジョリオン]]』を連載開始。ファッションブランド『GUCCI』のブランド設立90周年と自身の執筆30周年を記念して短編のSpur×Gucci×荒木飛呂彦コラボ作品『[[岸辺露伴は動かない#岸辺露伴 グッチへ行く|岸辺露伴 グッチへ行く]]』をファッション雑誌『[[SPUR (雑誌)|SPUR]]』に掲載、グッチ店舗のウィンドディスプレイも手掛けた。9月には[[新宿]]で「'''岸辺露伴 新宿へ行く展'''<ref name="JOJONICLE" />」が開催され、『岸辺露伴 グッチへ行く』の原画などが展示された。[[達増拓也]][[岩手県知事]]の発表した『[[平泉|東北復興平泉宣言]]』のイメージイラストを手がけた。
* [[2011年]](平成23年) - [[3月11日]]、故郷の仙台市が[[東日本大震災]]で被災。4月、初の荒木飛呂彦オフィシャルサイトである公式サイト「JOJO.com」をオープン。『ウルトラジャンプ』にて『ジョジョの奇妙な冒険Part8 [[ジョジョリオン]]』を連載開始。ファッションブランド『GUCCI』のブランド設立90周年と自身の執筆30周年を記念して短編のSpur×Gucci×荒木飛呂彦コラボ作品『[[岸辺露伴は動かない#岸辺露伴 グッチへ行く|岸辺露伴 グッチへ行く]]』をファッション雑誌『[[SPUR (雑誌)|SPUR]]』に掲載、グッチ店舗のウィンドディスプレイも手掛けた。9月には[[新宿]]で「'''岸辺露伴 新宿へ行く展'''<ref name="JOJONICLE" />」が開催され、『岸辺露伴 グッチへ行く』の原画などが展示された。[[達増拓也]][[岩手県知事]]の発表した『[[平泉|東北復興平泉宣言]]』のイメージイラストを手がけた。
* [[2012年]](平成24年) - 『ジョジョの奇妙な冒険』の連載25周年を記念し、7月に国内初となる原画展'''「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町<ref name="JOJONICLE" />」'''を[[せんだいメディアテーク]]で、また10月には'''「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展<ref name="JOJONICLE" />」'''を[[森美術館|森アーツセンターギャラリー]]で開催。前年の『SPUR』表紙イラストが第3回雑誌大賞グランプリに選ばれた<ref>[http://zasshitaisho.com/award/2011-2nd-half/ 雑誌大賞 第3回受賞作品]</ref>。 『[[ダ・ヴィンチ]]』8月号、『[[AERA]]』10月22日号の表紙を自らのポートレイトで飾った。宮城県芸術選奨(メディア芸術部門)受賞。
* [[2012年]](平成24年) - 『ジョジョの奇妙な冒険』の連載25周年を記念し、7月に国内初となる原画展'''「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 in S市杜王町<ref name="JOJONICLE" />」'''を[[せんだいメディアテーク]]で、また10月には'''「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展<ref name="JOJONICLE" />」'''を[[森美術館|森アーツセンターギャラリー]]で開催。前年の『SPUR』表紙イラストが第3回雑誌大賞グランプリに選ばれた<ref>[http://zasshitaisho.com/award/2011-2nd-half/ 雑誌大賞 第3回受賞作品]</ref>。 『[[ダ・ヴィンチ (雑誌)|ダ・ヴィンチ]]』8月号、『[[AERA]]』10月22日号の表紙を自らのポートレイトで飾った。宮城県芸術選奨(メディア芸術部門)受賞。
* [[2013年]](平成25年) - 6月、[[イタリア]]の[[フィレンツェ]]にあるGUCCIショールームにて原画展『'''HIROHIKO ARAKI AN EXCLUSIVE MANGA EXHIBITION IN FLORENCE<ref name="JOJONICLE" />』'''を開催。
* [[2013年]](平成25年) - 6月、[[イタリア]]の[[フィレンツェ]]にあるGUCCIショールームにて原画展『'''HIROHIKO ARAKI AN EXCLUSIVE MANGA EXHIBITION IN FLORENCE<ref name="JOJONICLE" />』'''を開催。
* [[2016年]](平成28年) - 第45回[[ベストドレッサー賞]](学術・文化部門)受賞<ref>{{cite news|url=https://www.oricon.co.jp/news/2082236/full/|title=『ベストドレッサー賞』に菅田将暉、松下奈緒、『ジョジョ』荒木氏ら|newspaper=ORICON STYLE|date=2016-12-01|accessdate=2016-12-01}}</ref>。「いわて人間賛歌」のイラストを手がける<ref>{{cite news|url=https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/1011956/1011957.html|title=「いわて人間讃歌」イラストについて(岩手県)}}</ref>。
* [[2016年]](平成28年) - 第45回[[ベストドレッサー賞]](学術・文化部門)受賞<ref>{{cite news|url=https://www.oricon.co.jp/news/2082236/full/|title=『ベストドレッサー賞』に菅田将暉、松下奈緒、『ジョジョ』荒木氏ら|newspaper=ORICON STYLE|date=2016-12-01|accessdate=2016-12-01}}</ref>。「いわて人間賛歌」のイラストを手がける<ref>{{cite news|url=https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/1011956/1011957.html|title=「いわて人間讃歌」イラストについて(岩手県)}}</ref>。

2022年12月7日 (水) 21:35時点における版

あらき ひろひこ
荒木 飛呂彦
生誕 (1960-06-07) 1960年6月7日(64歳)
日本の旗 宮城県仙台市
国籍 日本の旗 日本
職業 漫画家
活動期間 1980年 -
ジャンル 少年漫画
青年漫画
バトル漫画
代表作ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ[1]
受賞 1980年:第20回手塚賞準入選 ※荒木利之名義
2006年:日本のメディア芸術100選マンガ部門(『ジョジョの奇妙な冒険』)
2013年:第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞(『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』)
2019年芸術選奨文部科学大臣賞メディア芸術部門(『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』)
公式サイト 荒木飛呂彦公式サイト
『JOJO.com』
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荒木 飛呂彦(あらき ひろひこ、1960年昭和35年〉6月7日 - )は、日本漫画家宮城県仙台市[1]若林区[2]出身。東北学院榴ケ岡高等学校卒業、仙台デザイン専門学校卒業。宮城教育大学中退。既婚者で二女の父。

1980年昭和55年)、「武装ポーカー」でデビュー荒木利之名義[3])。代表作は『週刊少年ジャンプ』(集英社1987年1・2号から連載開始された『ジョジョの奇妙な冒険[1]。同作品は複数の部に分かれ、主人公や舞台を変えながら30年以上に渡って連載され続けており、全シリーズを合わせた全世界累計発行部数は1億3000万部(2022年1月時点)を突破している[4]

略歴

中学時代に剣道部に所属[5]。幼少期から「ひとりの世界」に浸るのが好きで、早くから漫画も描いていた。当時は梶原一騎の漫画作品『巨人の星』(川崎のぼる画)、『あしたのジョー』(ちばてつや画)などを愛読[5]、また白土三平忍者歴史漫画サスケ』と『カムイ伝』の理論的な作風に影響を受けた[6]。小説では江戸川乱歩や『シャーロック・ホームズ』シリーズをよく読んでいたという[5]。なお荒木には4つ下に双子の妹がおり、この2人の仲が良かったことから、「家族の中で疎外感を抱いいたため、ひとりで何かを楽しむことが余計に好きになったのだと思う」とインタビューで語っている[5][6]

高校時代はロードレース部に所属[5]。この頃に横山光輝サスペンス作品を愛読する。特に学生服の主人公が古代遺跡を探検する『バビル2世』は『ジョジョの奇妙な冒険』Part3のモチーフに影響を与えており[5]、インタビューでは「自分の原点」とも述べている[7]

16歳の時に同い年のゆでたまごが『週刊少年ジャンプ』でデビューしたことに焦りを感じ、高校3年の時に初投稿、以後何度か投稿を重ね、専門学校在学中の1980年(昭和55年)に「武装ポーカー」で第20回手塚賞[注釈 1]に準入選しデビュー。

デビュー後は仙台在住のまま『週刊少年ジャンプ』で『魔少年ビーティー』を執筆していた。上京後は『バオー来訪者』の短期連載を経て、1987年(昭和62年)より『ジョジョの奇妙な冒険』の連載を開始し、2003年平成15年)までに6部の物語を執筆する長期連載となった。2004年(平成16年)に同誌にて『ジョジョ』のPart7にあたる『スティール・ボール・ラン』の連載を開始し、連載途中の2005年(平成17年)より月刊誌『ウルトラジャンプ』に移籍。『ジョジョ』シリーズは2010年(平成22年)には通算100巻を達成、2011年(平成22年)に『スティール・ボール・ラン』を完結させた後、同年『ジョジョ』のPart8である『ジョジョリオン』の連載を開始し、2021年まで連載した。

洋楽

荒木はいつも仕事中に洋楽を聴いているという大の洋楽好きとして知られ、洋楽ならばジャンルを問わず何でも聴くと発言している。また、代表作『ジョジョの奇妙な冒険』内ではキャラクター名やスタンド名などの大半を洋楽の楽曲名から引用している。音楽を聴きながら作品を描く理由としては「音楽をかけるのはミュージシャンの考えやファッション、時代に対する姿勢だとかを隣において、感じるためでもあるんです」「ミュージシャンやアーティストたちが、苦しさとかトラブルを抱えながら創作した音楽を届けてくれているんだと思うと、励みになるんですよ」と述べている[8]

なお、生涯のベストアルバム5選には『危機イエス)』『レイト・フォー・ザ・スカイジャクソン・ブラウン)』『ヒステリアデフ・レパード)』『フィジカル・グラフィティレッド・ツェッペリン)』『ビヨンド・ザ・ミズーリ・スカイ(チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー)』を、好きなジャケットデザイン5選には『危機(イエス)』『不死蝶サンタナ)』『ブラインド・フェイス(ブラインド・フェイス)』『ブレックファスト・イン・アメリカスーパートランプ)』『アンダーカレント(ビル・エヴァンス&ジム・ホール)』をそれぞれ挙げている[9]

プリンス

荒木は洋楽アーティストの中でも特にプリンスのファンであることを公言しており、好きな理由として、「動かせない運命の流れみたいなものがアルバムの中にあり、聴いていて完璧な世界に浸れる」という点を挙げている。他にも「プリンスにはセクシーさを出している曲がありますけど、「前向きに生きていこう」っていう生命力のメッセージがあるんですよね。ちょっとしたゲスさも入ったりもするけど、それがまたいいんです」、「いつも創作に勇気を与えてくれる人です。心強いですよ。過去の作品を聞くと、いつも迷った時に「プリンスだったら、つまんないことにこだわらないだろうな」とか「そこを突破していくだろうな」っていうことを思い出すんです」とも語る[8]

作風

評論家の加藤幹郎は、高度な技術で過去の作品の引用を行うその作風から荒木をマニエリスムの作家と評している[10]

一方で連載開始時から「人間讃歌」をメインテーマとして掲げる『ジョジョの奇妙な冒険』は「ある意味で少年漫画の王道」と評されており[11][12]、荒木自身「昔からある少年漫画の伝統を受け継いでいるつもり」と話している[11]。しかし、荒木は「子ども向けに描いたつもりはない」とも発言している。

絵柄

荒木は自身の絵柄についてルネッサンス美術、特にミケランジェロに影響を受けたと公言しており[13]、「ジョジョ立ち」と呼ばれる独特のポージングもイタリア美術が発想の元となっている。また『ヴォーグ』などのファッション雑誌が好きで[14]1980年代ベルサーチフランコ・モスキーノ英語版などが『ジョジョ』のファッションのルーツだと語っている[5]。色は紫を好み[6]、カラーイラストでも多用される。絵柄についてはファッション・イラストレーターのアントニオ・ロペス(en:Antonio Lopez (illustrator))()やSFファンタジー画家のフランク・フラゼッタ、ヨーロッパの漫画家エンキ・ビラルユーゴ・プラット英語版などからの影響も指摘されている[13]。 また、絵の特徴やデザインはシンプルなほどよく、車田正美のような極限まで単純化された画面や物語が最高と語っている[15]

コマ割り

荒木の作品では非対称な変形コマを多用し、ページ全体が歪んで見えるようなコマ割りがしばしば行なわれる。「斜めになったコマ」はそれほど珍しいものではないが、「1ページのコマ割り全体が斜めになっている」のは他にあまり例がない[16]。この変形ゴマは『ジョジョ』Part3後半より使われるようになり次第に頻度が増え、それに従いコマ外の余白が増えていったが、Part7『スティール・ボール・ラン』では全ページがタチキリ(ページの端いっぱいまで絵を入れること)で描かれるようになったため余白が激減した。このタチキリの使用については、Part7の舞台である西部アメリカの広大さを意識して取られた方法ではないかと指摘されている[16]

台詞回し・擬音

台詞回しはしばしば翻訳調と言われており、荒木も「本を読んだ影響が残っているんじゃあないか」と話している[11]。また、この「じゃあないか」という口調も「じゃないか」に「あ」を加えた荒木独特のものであり、「じゃあない」、「じゃあないぜ」、「じゃあないのォ?」といったパターンも確認されており、作中の人物の特徴的な言い回しはネット上で改変されて使われることも多い[17]。また、緊迫シーンなどで「ゴゴゴゴゴゴ・・・」「ドドドドドド・・・」や「ドォーン」といった(物理的ではなく)心理的な状態を表現する独特の擬音が使われており、これらはサスペンス映画で使われるような効果音を漫画にも欲しいと思ったことが発想の元になったと述べている[11]。荒木の音楽好きは広く知られており、「ズギュウン」や「ズッギャーン」など、楽器の音をイメージした擬音が多い。なお、登場人物が必殺技の名前を叫ぶのは車田正美の影響である[11]

キャラクター設定

荒木は漫画を描く上で最も重要な要素を「キャラクター作り」と捉えており[18]、設定の際には履歴や家族構成、所属組織の他、趣味や癖、信条など60近い項目が存在する「キャラクター身上調査書 [2]」を用いてそのキャラクターのバックボーンを作り上げる方式を取っている。 また、悪役は前向きな性格にすると決めており、そうしないと「ストーリーが破綻しちゃうんで」と語っている[19]

ジョジョ立ち

ジョジョ立ちの例

『ジョジョの奇妙な冒険』には登場人物に腰の極端なひねりや捻転、奇矯な手足の動きなどを加えた独特のポージングが頻出する。これらのポーズは、荒木が20代のときに『北斗の拳』『リングにかけろ』『キャプテン翼』などの強い個性を持つ当時の『ジャンプ』連載陣の中で自分の独創性を模索していた頃、イタリアの彫刻芸術からヒントを得て作り上げられたものだという[7][17]。2013年に行われた第88回箱根駅伝では、順天堂大学アンカーの選手が、ゴールの際ジョジョ立ちをして話題になった[20]エゴン・シーレグスタフ・クリムトなどの、敬愛する画家が描いた人物そのままのポーズや顔を描く事も少なくない。

超能力の表現

作中の「波紋」(呼吸を中心とする特殊な身体技法)や「スタンド」の能力表現は、同郷の先輩である大友克洋が超能力の表現に使っていた「歪む背景」が、不可視であることに不満を持ったことが発想の元となったという[6][11](また「スタンド」に関してはつのだじろううしろの百太郎』にも言及している[17])。なお大友の作品に関しては、空間表現や緻密な描写などが大いに作画の勉強になったとも語っている[11]

執筆スタイル

荒木は基本的に徹夜をせず、毎朝10時に起床する生活をしており日曜日はネーム、月から木まで作画、金、土は休養(取材)というサイクルの執筆を10年以上続けている[11][21](ただし漫画家を始めた当初は、若さゆえほかの漫画家に闘争心を燃やすあまり徹夜することも多かった。「結局最後は自分との闘いになる」との理由で考えを変えたという)。荒木のこのような規則正しい生活は『週刊少年ジャンプ』で『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を長寿連載していた秋本治を見習ってのことで、締め切りも今まで破ったことがないという[21]

2012年時点でも荒木は手書きにこだわっており、机の上にはパソコンやモニタなどは置いていない[注釈 2]が、画材には強いこだわりはなく、ぺんてる筆ペンゼブラGペン、シャープペンシル、下書き用に青鉛筆(キャラクターを描く際のアタリを描くことに用いる。)があれば十分だという。またペン入れには開明書液を使っているほか、30年前に父親が製作した卓上製図板を現在でも使い続けている[22]。下書き前には、青鉛筆をカッターナイフで削ることから始める。これは漫画家デビューの時から行なっている行為らしく、「儀式」のようなものであると語る。この行為から、執筆作業に対しての気持ちが入っていく面もあるという[要出典]

仕事の開始前には、自分で豆を挽いてコーヒーを淹れることが習慣だという[2]

健康

単行本の著者近影は10数年間ほとんど変わらず若々しさを保っており、『ユリイカ』で10年越しにインタビューを行った斎藤環は荒木について「当時と比べてまったくお変わりないですね。むしろ若返ったくらいで驚くばかりです。さすが波紋の使い手というか……」と作品にちなんで驚きを表すも、それに対して荒木は「着実に老化しており、週刊連載が量的にきつくなったから月刊に移った」と語っている[23]

体力維持のため50歳を過ぎてもジムでのトレーニングや水泳を欠かさず、ご飯はひとめぼれを食べる。また独自の健康法として冬でも冷水のシャワーを浴びるという[24]ものがあったが心臓への負担の考慮から現在はやっていないと述べている[25]

年譜

作品リスト

漫画

太字は連載作品。●:『ゴージャス☆アイリン』収録、○:『死刑執行中脱獄進行中』収録、◎:『岸辺露伴は動かない』収録、☆:単行本未収録。

単行本

発行は注記のない限り全て集英社

画集

  • JoJo6251 荒木飛呂彦の世界(1993年)
  • JOJO A-GO!GO!(2000年)
  • JOJOVELLER(2013年)
  • JOJOnicle(2018年)

その他

テレビ出演

関連人物

こせきこうじ
荒木が生まれて初めて肉眼で目撃した漫画家はこせきこうじで、手塚賞赤塚賞授賞式の場であった。荒木はこせきの『県立海空高校野球部員山下たろーくん』第5巻に文章を寄稿しており、同作品について「『ジョジョ』を描く上でどの作品よりも影響を受け、最も尊敬している作品である」「漫画のヒーローは心の底に誰よりも熱い気持ちを持ち、目的を持って成長すればいい、という事を教えられた」と書いている。
高橋和希
遊☆戯☆王』の原作者で荒木のファン。『ジョジョ』を見たことが漫画家を目指すきっかけになっており、『遊☆戯☆王』の劇中カードゲーム『マジック&ウィザーズ』の原型は実在するカードゲームと『ジョジョ』の世界観である「スタンド」に由来し、メインキャラのメインカードはスタンドに近い設定で「精霊」と呼ばれている他、世界観は『ジョジョ』のPart3以降を元に製作している(コマ割りや舞台など)。高橋曰くPart3から『ジョジョ』に嵌ったとコメントしている。
武論尊原哲夫
北斗の拳』の原作者と作画担当者。ジャンプ時代の同期で交流も深い。そのため北斗の拳関連の企画に積極的に参加している。
宅八郎
友人。過去に何度か雑誌で対談している。
アシスタント

脚注

注釈

  1. ^ 授賞式の際の映像が1981年(昭和56年)5月25日NHK特集『わが青春のトキワ荘〜現代マンガ家立志伝〜』にて放送された。この中で手塚治虫は荒木の作品について「大変興味がある」「早く上京して来て下さい。東北出身は少ないから」というコメントを残している。
  2. ^ 2012年の原画展で荒木の仕事机が再現されており、杜王新報にも写真が載っている。

出典

  1. ^ a b c d 知事メッセージ 荒木飛呂彦氏によるイラスト
  2. ^ a b 杜王新報
  3. ^ 「次号予告」『週刊少年ジャンプ』1980年52号、331頁
  4. ^ [1]
  5. ^ a b c d e f g 石井洋「人物研究 荒木飛呂彦」『Men's Non-no』2002年7月号、160頁-163頁
  6. ^ a b c d 吉田大助「荒木飛呂彦 12000字インタビュー」『QuickJapan』Vol.75、90頁-98頁
  7. ^ a b まんが天国 マンガのチカラ「荒木飛呂彦先生インタビュー その2」(2009年4月11日時点のアーカイブ
  8. ^ a b <インタビュー>荒木飛呂彦『ジョジョ』シリーズでともに歩んできたプリンスを語る”. 2022年1月4日閲覧。
  9. ^ 荒木飛呂彦、ロックフェスをするなら誰を呼ぶ?”. BARKS. 2022年1月4日閲覧。
  10. ^ 加藤幹郎「法外なもの、不均衡なもの、否定的なもの」『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号、84頁-96頁
  11. ^ a b c d e f g h 斎藤環「書き続ける勇気 荒木飛呂彦インタビュー」『ユリイカ』1997年4月号、135頁-143頁
  12. ^ 『QuickJapan』Vol.75、巻頭ページ(文・吉田大助)
  13. ^ a b 暮沢剛巳「Stand and Distortion」『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号、97頁-103頁
  14. ^ まんが天国 マンガのチカラ「荒木飛呂彦先生インタビュー その3」(2009年5月19日時点のアーカイブ
  15. ^ 「男たちの奇妙な愛情!?『ジョジョの奇妙な冒険の平行世界』」『ユリイカ 11月臨時増刊号 総特集☆荒木飛呂彦 -- 鋼鉄の魂は走りつづける』青土社、2007年11月25日、11頁。ISBN 978-4-7917-0170-4 
  16. ^ a b イズミノウユキ「ヘヴン・ノウズ・ハウ・ザット・ビジョン・イズ」『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号、146頁-172頁。ただし、「斜めになったコマ」の分析自体は 「メビウス・ラビリンス」 を元にしたもの。
  17. ^ a b c 斎藤環ほか「徹底討議 男たちの奇妙な愛情!?」『ユリイカ』2007年11月臨時増刊号、8頁-34頁
  18. ^ 『NHK高校講座』2012年7月26日放送『第15回 美術(8) 漫画はやっぱりおもしろい ~人物~』
  19. ^ 「男たちの奇妙な愛情!?『ジョジョの奇妙な冒険の平行世界』」『ユリイカ 11月臨時増刊号 総特集☆荒木飛呂彦 -- 鋼鉄の魂は走りつづける』青土社、2007年11月25日、15頁。ISBN 978-4-7917-0170-4 
  20. ^ 箱根駅伝、順大アンカーの「ジョジョ立ち」ゴールが話題に”. J-CASTニュース. 2020年3月19日閲覧。
  21. ^ a b まんが天国 マンガのチカラ「荒木飛呂彦先生インタビュー その1」(2009年3月26日時点のアーカイブ
  22. ^ 杜王新報 p7
  23. ^ 「男たちの奇妙な愛情!? 『ジョジョの奇妙な冒険の平行世界』」『ユリイカ 11月臨時増刊号 総特集☆荒木飛呂彦 -- 鋼鉄の魂は走りつづける』青土社、2007年11月25日、9頁。ISBN 978-4-7917-0170-4 
  24. ^ 杜王新報 p11
  25. ^ 朝日新聞「Be」2013年9月14日
  26. ^ a b c d e f g h 『JOJOnicle』より
  27. ^ Cell - Archive
  28. ^ 小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを(2009年1月31日時点のアーカイブ
  29. ^ 雑誌大賞 第3回受賞作品
  30. ^ “『ベストドレッサー賞』に菅田将暉、松下奈緒、『ジョジョ』荒木氏ら”. ORICON STYLE. (2016年12月1日). https://www.oricon.co.jp/news/2082236/full/ 2016年12月1日閲覧。 
  31. ^ “「いわて人間讃歌」イラストについて(岩手県)”. https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/1011956/1011957.html 
  32. ^ 同展公式サイト国立美術館で漫画家の個展を開催するのは手塚治虫東京国立近代美術館で回顧展を開催して以来28年ぶり2人目。かつ存命中の漫画家の展覧会の開催は初めてのことである。)
  33. ^ 東京2020公式アートポスターに注目。山口晃、浦沢直樹、荒木飛呂彦らが制作 美術手帖
  34. ^ “2025年日本国際博覧会 ロゴマーク最優秀作品 決定”. 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会. (2020年8月25日). https://www.expo2025.or.jp/news/news-20200825/ 2020年8月30日閲覧。 
  35. ^ “「マンガ郷いわて特別賞」に荒木飛呂彦さん 岩手との縁が「新たな冒険」に”. 盛岡経済新聞. https://morioka.keizai.biz/headline/3455/ 2022年2月11日閲覧。 
  36. ^ “漫画家 荒木飛呂彦先生デザイン 和の守(わのおまもり)奉告祭”. 熊野本宮大社公式サイト. http://www.hongutaisha.jp/%E6%BC%AB%E7%94%BB%E5%AE%B6-%E8%8D%92%E6%9C%A8%E9%A3%9B%E5%91%82%E5%BD%A6%E5%85%88%E7%94%9F%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%80%E5%92%8C%E3%81%AE%E5%AE%88%EF%BC%88%E3%82%8F%E3%81%AE%E3%81%BE/ 2019年9月19日閲覧。 

参考文献

外部リンク