フィロ
フィロ | |
---|---|
バクラヴァ | |
別名 | Filo pastry, phyllo, fillo |
種類 | ペイストリー |
主な材料 | 小麦粉生地 |
フィロ(FiloまたはPhyllo)は、中東やバルカンの料理において、バクラヴァやブレク等のペイストリーを作るのに用いられる、非常に薄く、イーストを含まない生地である。ギリシア語で「葉」を意味するφύλλοという言葉に由来する[1][2]。多くのフィロの層を重ね、オリーブ油を塗った上で焼いてペイストリーを作る。
概要
[編集]歴史
[編集]現在主流である生の生地を紙のように伸ばす製法は、オスマン帝国時代のトプカプ宮殿が発祥とされる。バクラヴァは恐らくフィロを用いる最初の料理であり、13世紀の書物に登場する。
名前
[編集]トルコ料理ではユフカ( Yufka )、エジプト料理では Gollash、アルバニア料理では fli、または Fliaなど、多言語・多文化で使用される料理素材であり、さまざまな名前で呼ばれている。
製法
[編集]小麦粉、水、そして少量の油または酢から作られるが、デザートに用いるものでは卵黄を加えることもある。手作りするには、小麦粉を常にふるい続けながら1枚の薄く大きいシートに伸ばすことが必要になる。
フィロを自動で生産する機械は1970年代に完成し、現在市場に出ているものはほとんどが機械で作ったものである。生のものや冷凍のものをスーパーマーケットで購入することができる。
利用
[編集]ペイストリーを作る時には、フィロを薄く伸ばし、オリーブ油または溶かしバターを塗って、層を重ねる。パフやクロワッサンでは、複数の層を厚い生地の層に重ね、何度も折りたたんで伸ばすことにより、薄い生地を作ることができる。
関連する技法
[編集]非常に薄いペイストリーのシートは、北アフリカのマルスーカのように生地の塊を熱した面に押し付けて作ったり、南インドのプーサ・レクルゥのように非常に薄い生地を焼くことによっても作られる。
応用
[編集]層を重ねたり、畳んだり、巻いたり、ひだを付けたり、また様々なフィリングを入れたりして、様々に用いられる。フィロを使う有名なペイストリーには、以下のようなものがある。
- バクラヴァ - 刻んだナッツを入れ、シロップか蜂蜜で甘みを付けたフィロを重ねる。
- バニツァ - 卵、チーズ、フィロをオーブンで焼いたブルガリア料理
- ブレク - オスマン帝国に由来するフィロのパイ
- ビュルビュル・ユヴァス - ピスタチオとシロップを加えたトルコのデザート
- ブガツァ - ギリシアの朝食で食べられるペイストリー
- カセロピタ (κασερόπιτα, kasseropita) - フィロとカセリチーズから作るギリシアのパイ
- スパナコピタ - ギリシアのほうれん草パイ
- ティロピタ - チーズを詰めた、ブレクに似たギリシアのパイ
- ガラックトボウレコ - フィロとセモリナカスタードから作るギリシアのデザート
- Bundevara - カボチャを詰めたセルビアの甘いパイ
- ギバニッツァ - フィロ、チーズ、卵から作るセルビアの料理
- Zelnik - バルカンのパイ
- パスティッツィ - リコッタチーズまたはエンドウマメを詰めたマルタのペイストリー
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Oxford Dictionaries.
- ^ Alan Davidson (2014). The Oxford Companion to Food. Oxford: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-967733-7. p. 307.
参考文献
[編集]- Perry, Charles. "The Taste for Layered Bread among the Nomadic Turks and the Central Asian Origins of Baklava", in A Taste of Thyme: Culinary Cultures of the Middle East (ed. Sami Zubaida, Richard Tapper), 1994. ISBN 1-86064-603-4.
- Engin Akın, Mirsini Lambraki, Kosta Sarıoğlu, Aynı Sofrada İki Ülke: Türk ve Yunan Mutfağı, Istanbul 2003, ISBN 975-458-484-2.