自己免疫性肝炎
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自己免疫性肝炎 | |
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概要 | |
診療科 | 消化器学, 肝臓学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | K75.4 |
ICD-9-CM | 571.42 |
DiseasesDB | 1150 |
MedlinePlus | 000245 |
eMedicine | med/366 |
MeSH | D019693 |
自己免疫性肝炎(じこめんえきせいかんえん、英Autoimmune hepatitis:AIH)とは、免疫システムの異常により、肝臓に障害が起こる自己免疫疾患の一つ。厚生労働省が難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)で定義する指定難病である。
疫学
[編集]中年以上の女性に多く好発する。日本においてはHLA-DR4が高頻度に認められている。
検査
[編集]血液検査にて以下を呈していく。
- 血清トランスアミナーゼ
- アスパラギン酸アミノ基転移酵素(ASTまたはGOT)・アラニンアミノ基転移酵素(ALTまたはGPT)が高値を示す
- IgG高値を示す
- 主に以下の5つの自己抗体が高値を示す
- 抗核抗体(anti nuclear antibody:ANA)
- 抗平滑筋抗体(anti smooth muscle antibody:SMA)
- 肝腎ミクロソーム抗体1型(liver kidney microsome antibody type 1:LKM-1)
- 肝可溶性抗原抗体(soluble liver antigen antibody:SLA)
- 他にも肝サイトゾル抗体1型(liver cytosol antibody type 1:LC-1)等が高値を示す
病理
[編集]肝生検を行うことで以下の病理所見が特徴的とされている。
診断
[編集]基本的に、国際自己免疫性肝炎グループ(International Autoimmune Hepatitis Group:IAIHG)の診断基準と厚生労働省の診断基準が広く用いられている。
項目 | 基準 | 点数 |
---|---|---|
抗核抗体(ANA) or 抗平滑筋抗体(SMA) 抗核抗体(ANA) or 抗平滑筋抗体(SMA) 肝腎マイクロゾーム抗体(LKM) SLA抗体(SLA) |
40倍以上 80倍以上 40倍以上 陽性 |
1点 2点 2点 2点 |
IgG | >正常上限 >1.1倍 |
1点 2点 |
肝生検 | 適応像 典型像 |
1点 2点 |
ウイルス性肝炎が存在しない | (+) | 2点 |
6点以上:疑診(probable AIH) 7点以上:確診(definite AIH)
- 自己免疫性肝炎の診断指針・治療指針(厚生労働省 2013年)
- 他の原因による肝障害が否定
- 抗核抗体陽性ないし抗平滑筋抗体陽性
- IgG 高値(>基準上限値1.1倍)
- 組織学的に肝組織の interface hepatitis や形質細胞浸潤の確認
- 副腎皮質ステロイドが著効
- 典型例:上記1を満たし、2〜5のうち3項目以上を認める
- 非典型例:上記1を満たし、2〜5 の所見の1~2項目を認める
分類
[編集]以前は、自己抗体の検出パターンによって以下の4つの分類が用いられていた。
- 1型:抗核抗体(ANA)
- 2型:抗平滑筋抗体(SMA)
- 3型:肝腎ミクロソーム抗体1型(LKM-1)
- 4型:肝可溶性抗原抗体(SLA)
最近では以下が用いられている。
- 1型自己免疫性肝炎(Type 1 AIH)
- 自己抗体として、ANA・SMA・SLA等が陽性
- 2型自己免疫性肝炎(Type 2 AIH)
- 自己抗体として、LKM-1・LC-1等が陽性 小児・若年者に多く重症型を呈する場合が多い
治療
[編集]基本的にアメリカ肝臓学会(American Association for the Study of Liver Diseases:AASLD)作成の治療ガイドラインが広く用いられている。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 肝炎情報センター
- 大平弘正、本邦における自己免疫性肝炎の現状と課題 肝臓 2015年 56巻 5号 p. 167-178, doi:10.2957/kanzo.56.167
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班 自己免疫性肝炎分科会・原発性胆汁性胆管炎分科会 田中篤、大平弘正、高橋敦史 ほか、改訂自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎診療ガイドライン 肝臓 2018年 59巻 4号 p. 211-216, doi:10.2957/kanzo.59.211
- 自己免疫性肝炎(指定難病95) - 難病情報センター
- 95 自己免疫性肝炎 (PDF) - 厚生労働省