警備区域 (自衛隊)
警備区域(けいびくいき)は自衛隊法施行令第14条および第27条に定められた陸上自衛隊の方面隊、海上自衛隊の地方隊が災害派遣など各種の任務を行い、そのために必要な情報を収集し、関係機関との調整を行なう区域である。なお、航空自衛隊は警備区域が定められていないが、防空識別圏の区域区分として「防衛区域」を設定している。
概要
[編集]警備区域は、陸上および海上においてそれぞれ全国および周辺海域を5つに区分する形で設定されている。但し、陸上自衛隊と海上自衛隊の警備区域は一致していない。さまざまな任務は当該警備区域を担任する方面隊、地方隊が行い、他の方面隊や地方隊、自衛艦隊から増援を受ける必要がある場合は、形式的には防衛大臣の命令が必要である。(方面総監、地方総監の上位の指揮官は防衛大臣であることによる。方面総監へは、陸上総隊司令官を通じて調整・命令が下達される。)
陸上自衛隊では警備区域を師団・旅団が担任する警備地区[1]、さらに師団等隷下の連隊などが担任する警備隊区[2]に区分している。大阪府北部など一部の地域は警備隊区を師団が直轄する場合があり、その場合は実務担任部隊として、連隊等が実務を担任する。隊区と担任する部隊を駐屯地祭などでは「(地域名)の防衛・警備(・災害派遣・広報)を担任する」という形で紹介する場合が多い。具体的な区分分けについては各部隊記事、および外部リンク「防衛省防災業務計画」内「都道府県別災害派遣連絡窓口一覧表」(Pp.51-79)を参照されたい。
航空自衛隊の防衛区域は日本の防空識別圏を4つに区分する形で設定されており、それぞれの防衛区域ごとに航空方面隊が、レーダーによる監視や対領空侵犯措置などの任務を行っている。
陸上自衛隊の警備区域
[編集]自衛隊法施行令別表第二に定める陸上自衛隊の警備区域は以下の通り。なお、警備区域内の地方協力本部(3自衛隊の共同機関)は方面総監の指揮監督を受ける。
部隊 | 名称 | 責任者 | 区域 |
---|---|---|---|
北部方面隊 | 北部方面区 | 北部方面総監 | 北海道 |
東北方面隊 | 東北方面区 | 東北方面総監 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
東部方面隊 | 東部方面区 | 東部方面総監 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県 |
中部方面隊 | 中部方面区 | 中部方面総監 | 富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
西部方面隊 | 西部方面区 | 西部方面総監 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
海上自衛隊の警備区域
[編集]自衛隊法施行令別表第四に定める海上自衛隊の警備区域は以下の通り。なお、陸地に属する部分は、海上自衛隊の行動に必要な限度において、それぞれ警備区域の区域であるものとされている。
部隊 | 名称 | 責任部隊 | 区域 |
---|---|---|---|
大湊地方隊 | 大湊警備区 | 大湊地方隊 | 北海道及び青森県の区域並びに青森県と秋田県の境界線が海岸線と交わる点から二百七十度に引いた線と青森県と岩手県の境界線が海岸線と交わる点から九十度に引いた線との間にある北海道及び青森県の沿岸海域 |
横須賀地方隊 | 横須賀警備区 | 横須賀地方隊 | 岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都(沖の鳥島を除く。)、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県の区域並びに青森県と岩手県の境界線が海岸線と交わる点から九十度に引いた線と三重県と和歌山県の境界線が海岸線と交わる点から百七十度に引いた線との間にある東京都(沖の鳥島を除く。)及びこれらの県の沿岸海域 |
呉地方隊 | 呉警備区 | 呉地方隊 | 東京都(沖の鳥島に限る。)、大阪府、兵庫県(豊岡市及び美方郡を除く。)、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県(山口市、防府市、下松市、岩国市、光市、柳井市、周南市、大島郡、玖珂郡及び熊毛郡に限る。)、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、大分県及び宮崎県の区域並びに三重県と和歌山県の境界線が海岸線と交わる点から百七十度に引いた線及び宇部市と山口市の境界線が海岸線と交わる点と福岡県と大分県の境界線が海岸線と交わる点とを結んだ線と宮崎県と鹿児島県の境界線が海岸線と交わる点から百七十度に引いた線との間にある東京都(沖の鳥島に限る。)、大阪府及びこれらの県の沿岸海域 |
佐世保地方隊 | 佐世保警備区 | 佐世保地方隊 | 山口県(山口市、防府市、下松市、岩国市、光市、柳井市、周南市、大島郡、玖珂郡及び熊毛郡を除く。)、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県及び沖縄県の区域並びに島根県と山口県の境界線が海岸線と交わる点から三百十五度に引いた線及び宇部市と山口市の境界線が海岸線と交わる点と福岡県と大分県の境界線が海岸線と交わる点とを結んだ線と宮崎県と鹿児島県の境界線が海岸線と交わる点から百七十度に引いた線との間にあるこれらの県の沿岸海域 |
舞鶴地方隊 | 舞鶴警備区 | 舞鶴地方隊 | 秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、兵庫県(豊岡市及び美方郡に限る。)、鳥取県及び島根県の区域並びに青森県と秋田県の境界線が海岸線と交わる点から二百七十度に引いた線と島根県と山口県の境界線が海岸線と交わる点から三百十五度に引いた線との間にある京都府及びこれらの県の沿岸海域 |
航空自衛隊の防衛区域
[編集]航空自衛隊が設定している防衛区域の大要は以下の通り。なお、各航空方面隊は航空総隊の隷下部隊であり、航空総隊司令官の指揮・監督を受けている。
部隊 | 名称 | 責任部隊 | おおよその区域 |
---|---|---|---|
北部航空方面隊 | 北部防衛区域 | 北部航空方面隊 | 北海道~東北北部地域の領空および周辺空域 |
中部航空方面隊 | 中部防衛区域 | 中部航空方面隊 | 東北南部~四国東部地域の領空および周辺空域 |
西部航空方面隊 | 西部防衛区域 | 西部航空方面隊 | 中国、四国西部~トカラ列島地域の領空および周辺空域 |
南西航空方面隊 | 南西防衛区域 | 南西航空方面隊 | トカラ列島~先島諸島地域の領空および周辺空域 |
脚注
[編集]- ^ “陸上自衛隊の警備区域に関する訓令(昭和35年陸上自衛隊訓令第4号)” (PDF). 防衛省・自衛隊(防衛省 情報検索サービス). 2017年10月28日閲覧。
- ^ “陸上自衛隊の警備区域に関する達(昭和35陸上自衛隊達第62―1号)” (PDF). 防衛省・自衛隊(防衛省 情報検索サービス). 2017年10月28日閲覧。