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越百山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
越百山


仙涯嶺から望む越百山

地図
標高 2,613.24[1] m
所在地 日本の旗 日本
長野県上伊那郡飯島町
木曽郡大桑村
位置 北緯35度40分46秒 東経137度48分12秒 / 北緯35.67944度 東経137.80333度 / 35.67944; 137.80333座標: 北緯35度40分46秒 東経137度48分12秒 / 北緯35.67944度 東経137.80333度 / 35.67944; 137.80333[2]
山系 木曽山脈(中央アルプス)
種類 褶曲隆起
越百山の位置(日本内)
越百山
越百山の位置
プロジェクト 山
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越百山(こすもやま)は、長野県上伊那郡飯島町木曽郡大桑村にまたがる標高2,614 m[3][注釈 1]。北には南駒ヶ岳、南は奥念丈岳へと続く木曽山脈(中央アルプス)南部の主稜線上にある。別名が越百岳(こすもだけ)[4][5]

概要

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周辺の木曽山脈の山域は1951年昭和26年)11月22日に長野県の中央アルプス県立自然公園(後の中央アルプス国定公園)に指定された[6]。山頂の南にある南越百山(標高2,569 m)から北側が高山帯で、その南側が亜高山帯となる[5]。稜線一帯は領家変成帯に属し灰白色の伊奈川粗粒花崗閃緑岩で構成されている[4]。山頂には、大きな花崗岩の岩と三等三角点(点名「越百」)[1]がある。山頂付近は風化した砂礫地の森林限界で、アオノツガザクライワツメクサトウヤクリンドウヒメウスユキソウなどの高山植物が見られる[4]。その下部では針葉樹林にダケカンバなどが混じり、林底にはクマザサや亜高山植物が分布している[4]ハイマツに覆われた山の上部はならだかな女性的な山容である[7]。山頂は見晴らしが良く、東に赤石山脈(南アルプス)とその稜線越しに富士山、周辺の中央アルプスの山々、西に白山御嶽山乗鞍岳穂高岳などを望むことができる。日本三百名山[8]および信州百名山のひとつに選定されている。

登山

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登山道

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越百山へ登るには、多くの峰(例えとして百もの峰)を越えていかないとたどり着けないということから、この名が付いたという説がある[4]。木曽山脈主稜線の縦走路の他に、伊那側と木曽側の双方からの登山道がある。積雪期には稜線で、東の伊那側に雪庇が張り出すことがある[9]

中央アルプス縦走ルート

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山頂は、中央アルプスの主稜線にあり南北の縦走ルートとなっている[10][11][12][13]。北から南へ、空木岳 - 南駒ヶ岳 - 仙涯嶺 - 越百山 - 南越百山 - 奥念丈岳 - 安平路山 - 摺古木山などの山が連なっている。中央アルプスの縦走路は北から南越百山までは整備されているが、南越百山より南は昭和30年代に大規模に樹木が伐採されてから深い笹藪に覆われるようになり[14]、登山ルートが不明瞭であるため熟達者向けのルートとなっている[12][15]。このため中央アルプスを北から縦走する場合、ヤブ山に近い南越百山から安平路山までのコースを避けて越百山を縦走の終点とする人が多い[7]

伊奈川ダムからのルート(越百山新道)

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山頂付近の高山帯にはトウヤクリンドウなどの高山植物が自生している。
  • 伊奈川ダム - 福栃橋登山口 - 下のコル - シャクナゲ尾根 - 上のコル - オコジョ平 - 七合目(御岳展望台) - 水場分岐 - 越百小屋 - 越百山

山頂から西の延びた遠見尾根に登山道がある[13][16]。伊奈川ダムの先の今朝沢(けさざわ)林道の福栃(ふくとち)橋に登山口がある。越百山新道は、大桑野路会(おおくわのぼろうかい)により、1979年昭和54年)に完成した登山道である[16]。途中に「下の水場」と「上の水場」と呼ばれる水場がある。「上の水場」から先の登山道は、シラビソコメツガなどの背の高い針葉樹林帯で、福栃山の北斜面を巻いた先の福栃山と越百山の鞍部に越百小屋がある。小屋からは北側に南駒ヶ岳を望むことができる。針葉樹林帯ではイワウチワゴゼンタチバナシャクナゲトリカブトバイカオウレンなどの花が見られる。1992年平成4年)に、大桑村が越百避難小屋の隣に越百小屋を建設し、入山者が増えている。麓の大桑村では越百山村民登山が行われている。

与田切渓谷からのルート

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  • 中小川避難小屋 - 乙女の滝 - 相生の滝高巻き道 - 三段の滝 - カモシカ落し - 飛竜の滝展望地 - 旧避難小屋跡 - 木曽山脈主稜線 - 越百山

飯島町長野県道220号千人塚公園線先の林道に中小川避難小屋がある。周辺には「シオジ平自然園」がある。その先に中小川沿いの与田切渓谷の登山道がある[13][17]。このルートは大正時代に麓の青年会により開拓が行われた[18]。カモシカ落し[4]と呼ばれる難所などには、梯子や鎖が設置されている。越百山と南越百山との鞍部の木曽山脈の主稜線の縦走路に合流する。

周辺の山小屋

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中央アルプスの有人の山小屋は、完全予約制となっている。駒ヶ岳頂上山荘にのみキャンプ指定地がある。最寄りの山小屋は越百小屋である[15][19][20]。袴腰山と浦川山との鞍部には1959年(昭和34年)に建てられた、旧安平路避難小屋がある[21]

画像 名称 所在地 標高
(m)
収容
人数
備考
摺鉢窪避難小屋 摺鉢窪カール 2,560 30 無人小屋
越百小屋 福栃山と越百山
との鞍部
2,340 30
中小川避難小屋 中小川の林道沿い 1,350 20 無人小屋
安平路避難小屋 安平路山とシラビソ山
との鞍部
2,120 15 無人小屋

地理

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周辺の山

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木曽山脈主稜線の南部に位置する。山頂からは西南西に尾根が延び、西南西1.2 kmには福栃山(標高2,436 m)がある。山頂の南0.6 kmには南越百山があり、西北西7.0 kmには糸瀬山がある。

東の伊那谷側の上空から望む木曽山脈と、木曽谷の西奥は御嶽山と飛騨山脈
西側の小秀山から望む中央アルプスの周辺の山、右端側の越百山付近が木曽山脈の森林限界の南限である。
山容 山名 標高
(m)[1][2]
三角点等級
基準点名[1]
越百山からの
方角と距離(km)
備考
南駒ヶ岳から望む空木岳 空木岳 2,863.71  三等
「駒ケ岳」
北北東 4.6 日本百名山
越百山から望む南駒ヶ岳 南駒ヶ岳 2,841 北北東 2.6 日本二百名山
越百山から望む仙涯嶺 仙涯嶺 2,734 北東 1.6 せんがいれい
仙涯嶺から望む越百山 越百山 2,613.24  三等
「越百」
0 日本三百名山
越百山から望む南越百山 南越百山 2,569 南 0.6
南越百山から望む奥念丈岳 奥念丈岳 2,303 南 2.6
南越百山から望む安平路山 安平路山 2,363.14  三等
「二ツ薙」
南南西 6.0 日本二百名山

木曽山脈(中央アルプス)の主な山は、木曽山脈を参照。

源流の河川

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伊奈川ダム

以下が源流となる河川で、太平洋へ流れる[15][22]。山頂の5.9 km西には関西電力伊奈川ダムがある。

  • 越百川、ケサ沢 - 木曽川水系伊奈川の支流
  • 与田切川 - 天竜川水系、上流部の中小川に乙女の滝、相生の滝、飛竜の滝などのがある[17][22]。東山麓の飯島町飯島には「信州の名水・秘水」のひとつの『越百の水(こすものみず)』がある[23]

交通・アクセス

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メディア

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関連画像

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越百山からの展望

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越百山の風景

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脚注

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注釈

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  1. ^ GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は2,613m。

出典

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  1. ^ a b c d 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年6月21日閲覧。
  2. ^ a b 日本の主な山岳標高(長野県)”. 国土地理院. 2012年6月21日閲覧。
  3. ^ “標高値を改定する山岳一覧 資料1”. 国土地理院. https://www.gsi.go.jp/common/000091072.pdf 2014年3月26日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f 新日本山岳誌 (2005)、990頁
  5. ^ a b コンサイス日本山名辞典 (1992)、203-204頁
  6. ^ 長野県の自然公園・県自然環境保全地域” (PDF). 長野県 (2015年3月31日). 2016年11月18日閲覧。
  7. ^ a b 日本の山1000 (1992)、441頁
  8. ^ 日本三百名山 (1997)、159頁
  9. ^ 平成24年 長野県警春山情報 中央アルプス”. 長野県警察本部地域課. 2012年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月21日閲覧。
  10. ^ アルペンガイド (2000)、125-132頁
  11. ^ 中央アルプスを歩く (2000)、70-78頁
  12. ^ a b アルペンガイド (2000)、150-153頁
  13. ^ a b c 諸国名山案内 (1994)、98-105頁
  14. ^ 中央アルプス (2004)、76-78頁
  15. ^ a b c 木曽駒・空木岳 中央アルプス (2012)
  16. ^ a b アルペンガイド (2000)、118-120頁
  17. ^ a b アルペンガイド (2000)、121-124頁
  18. ^ 中央アルプス (2004)、73-75頁
  19. ^ 『山と溪谷2011年1月号付録(山の便利手帳2011)』山と溪谷社、2010年12月、170-171頁。ASIN B004DPEH6G 
  20. ^ アルペンガイド (2000)、118-120頁
  21. ^ 中央アルプス (2000)、185-186頁
  22. ^ a b 地図閲覧サービス(越百山)”. 国土地理院. 2012年6月21日閲覧。
  23. ^ 信州の名水・秘水一覧”. 長野県 (2013年8月27日). 2016年11月17日閲覧。
  24. ^ 小さな旅:今回の旅 【わが道 深く誇らしく】”. NHK. 2016年11月19日閲覧。

参考文献

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  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 今野岳志『南ア・中ア・八ガ岳』山と溪谷社〈諸国名山案内〉、1994年8月。ISBN 4635021459 
  • 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月。ISBN 4620605247 
  • 津野祐次『中央アルプスを歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、2000年3月。ISBN 4635170748 
  • 垣外富士男、羽場崎清人『中央アルプス』山と溪谷社〈ヤマケイ アルペンガイド20〉、2000年4月。ISBN 4635013200 
  • 『中央アルプス』信濃毎日新聞社、2004年2月1日。ISBN 4784099662 
  • 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 『東海・北陸の200秀山 下(東海・信州編)』中日新聞社、2009年10月、50-51頁。ISBN 9784806205999 
  • 『木曽駒・空木岳 中央アルプス』昭文社山と高原地図2012年版〉、2012年3月16日。ISBN 978-4398758392 
  • 『新・分県登山ガイド(改訂版) 長野県の山』山と溪谷社、ISBN 978-4-635-02365-8
  • 『中央アルプスの山旅 地形・地質観察ガイド』飯田市美術博物館

関連項目

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