高橋真琴
高橋 真琴(たかはし まこと、1934年〈昭和9年〉8月27日[1] - 2024年〈令和6年〉11月17日[2])は、日本の画家、漫画家、イラストレーター[3]。大阪府大阪市出身[4]、千葉県佐倉市在住[5]。男性[1]。
来歴
[編集]1934年大阪市住吉区で3人兄弟の長男として生まれる。1947年東中学校に入学し図書室で少女雑誌「ひまわり」掲載の中原淳一や蕗谷虹児の絵に憧れて、叙情画に興味を持つようになる。1950年(昭和25年)大阪市立泉尾工業高等学校色染科に入学[1]。
1953年(昭和28年)[3]、榎本法令館より『奴隷の女王』で貸本漫画デビュー[6]。その後は大阪の日の丸文庫やあかしや書房などで貸本少女漫画を手がける。
1957年(昭和32年)、雑誌『少女』(光文社)にて「悲しみの浜辺」で雑誌デビュー。1958年(昭和33年)より「あらしをこえて」「東京〜パリ」(原作:春名誠一)「プチ・ラ」(原作:橋田寿賀子)などのバレエ漫画を続けて発表する。この頃よりぬりえ、文房具・衣服などのデザインも手がける[3]。
アトリエを東京都文京区に移す[7]。『なかよし』『マーガレット』『よいこ』などの少女誌・幼女誌の表紙、挿絵、絵物語を執筆。
1963年(昭和38年)、千葉県佐倉市上志津にアトリエを移す。1987年に「真琴画廊」を開廊(現在は閉廊)[7]。
1992年(平成4年)、初の個展を開催。好評を受け、以後、定期的に東京と関西で新作を発表する。
2013年(平成25年)、ロリータ・ファッションブランド「Victorian maiden」とコラボレーション。
2015年(平成28年)11月2日、真琴画廊を法人化し真琴画廊株式会社設立(2021年4月清算[8])、後に著作権等管理会社の真琴アート株式会社を2023年6月に設立[9]。
2016年(平成29年)、ファッションブランドアナスイのカジュアルブランド「ドーリーガールバイアナスイ」とコラボレーションの商品(高橋真琴のイラストの少女が着ているワンピースや、アクセサリーなど)を発表した[10]。
2017年(平成30年)2月、ファッションブランドのジェニーファックスと高橋とのコラボレーションアイテム「MACOTO WITH JENNY」が発売された[11]。また同年9月、「2018年春夏パリコレクション」でコム・デ・ギャルソンとのコラボレーションを発表した[12]。
2018年(平成30年)4月1日、1963年より在住している佐倉市の“佐倉親善大使”に任命される[7][13]。
2020年(令和2年)3月、公式ホームページをリニューアル。2019年にやや体調を崩したが回復したことを併せて報告。以後、意欲的に創作活動を行っていることを伝えた[14]。
2021年(令和3年)、高橋が親善大使を務める千葉県佐倉市のふるさと納税のお礼状にイラストが用いられた[5]。
2022年(令和4年)、米寿を迎えたことを祝い「米寿記念 高橋真琴展」を四季に合わせ4会場(春の章:池袋東武、夏の章:日本橋三越、秋の章:名古屋松坂屋、冬の章:大丸心斎橋)で開催。
2023年(令和5年)、画業70周年を記念し「高橋真琴展〜麗しの微笑み〜 少女画を描き、画業70周年」展覧会を高松三越で開催。なお、四国で高橋の展覧会が行われるのは初めてである[15]。8月23日 - 28日に日本橋三越でも開催された。
2024年(令和6年)、卒寿(90歳)を迎えるにあたり3月から11月にかけて「高橋真琴 卒寿記念展 お姫さまの夢の国」を4会場(東京(有明、新宿)・兵庫(夙川)・大阪(梅田)で開催する。
2024年11月17日、食道胃接合部がんのため死去[2]。90歳没。
作風
[編集]主に童話のヒロイン、雑誌のカラーページなど、少女を題材とした作品を手がける。緻密な装飾的描写と、華やかで繊細な彩色を特徴とする。
1995年(平成7年)にはじめて刊行された画集『あこがれ』の帯に「少女の瞳にはじめて星が輝いたあの日」とあり、イラストの少女の瞳に星を描いた最初の作家と言われているが、1957年の雑誌デビュー以前に、手塚治虫や石森章太郎が発表した漫画のキャラに星が描かれているものがあるため、真偽は定かではない[16]。しかしながら、高橋の持ち味である繊細なタッチで輝きを表現した瞳は「瞳に星を入れるスタイルを“完成させた”」と評されている[7]。
書籍
[編集]- 『あこがれ』 成美堂出版、1995年 ISBN 978-4-8751-9405-7
- 『あこがれ 高橋真琴画集』 復刊ドットコム、2016年 ISBN 978-4-8354-4265-5 - 漫画「プチ・ラ」掲載
- 『少女ロマンス 高橋真琴の世界』 PARCO出版、1999年 ISBN 978-4-8919-4599-2
- 『もりのおともだち』 小学館、2000年 ISBN 978-4-0975-8117-8
- 『MACOTOのおひめさま』 PARCO出版、2001年 ISBN 978-4-8919-4624-1
- 『ゆめ少女』 小学館、2001年 ISBN 978-4-0968-1412-3
- 『愛のおくりもの』 美術出版社、2003年 ISBN 978-4-5681-0349-6
- 『おひめさま えほん』 ブッキングISBN 978-4-8354-4089-7
- 1.シンデレラ 2003年12月6日 ISBN 978-4-8354-4076-7
- 2.しらゆきひめ 2003年12月6日 ISBN 978-4-8354-4077-4
- 3.おやゆびひめ 2003年12月6日 ISBN 978-4-8354-4078-1
- 4.にんぎょひめ 2003年12月11日 ISBN 978-4-8354-4079-8
- 5.ねむりひめ 2003年12月11日 ISBN 978-4-8354-4080-4
- 『うろこひめ』 主婦と生活社、2004年 ※絵:高橋真琴、文:嶽本野ばらISBN 978-4-3911-3030-0
- 『高橋真琴の少女ぬりえ 世界のおひめさま』 講談社、2006年 ISBN 978-4-0621-3676-1
- 『高橋真琴の少女ぬりえ 日本のおひめさま』 講談社、2006年 ISBN 978-4-0621-3677-8
- 『パリ〜東京/さくら並木 完全復刻版』 小学館、2006年 ISBN 978-4-7780-3023-0
- 『高橋真琴のまんがアンデルセン 人魚姫・マッチ売りの少女・野の白鳥』 復刊ドットコム、2010年(底本:「マッチ売りの少女」1977年・集英社刊)ISBN 978-4-8354-4536-6
- 『MACOTOPIA 高橋真琴 喜寿記念画集』 復刊ドットコム、2011年 ISBN 978-4-8354-4759-9
- 『ペローとグリムのおひめさま シンデレラ』 学研プラス、2011年 ※絵:高橋真琴、文:八百板洋子 ISBN 978-4-0520-3377-3
- 『にんぎょひめ―アンデルセンのおひめさま』 学研プラス、2012年 ※絵:高橋真琴、文:八百板洋子 ISBN 978-4-0520-3578-4
- 『日本と中国のおひめさま かぐやひめ』 学研プラス、2013年 ※絵:高橋真琴、文:八百板洋子 ISBN 978-4-0520-3843-3
- 『夢見る少女たち』 PIE International、2013年 ISBN 978-4-7562-4380-5
- 『ベストオブ劇画タカラヅカ』 復刊ドットコム、2014年 ※表紙 ISBN 978-4-8354-5070-4
- 『真琴の美学』 復刊ドットコム、2015年 ISBN 978-4-8354-5196-1
- 『高橋真琴 ぬりえブック 少女と美しい風景』 玄光社、2016年 ISBN 978-4-7683-0730-4
- 『ロマンティック乙女スタイル』 PIE International、2017年 ISBN 978-4-7562-4964-7
- 『高橋真琴の宝石箱』 講談社、2021年 ISBN 978-4-0651-9116-3
- 『高橋真琴のお姫さまとヒロインたち Etoile』パイインターナショナル 2022年 ISBN 978-4-7562-5601-0
その他
[編集]- 完全復刻版『影・街』(石川フミヤス、草川秀男、久呂田まさみ、さいとう・たかを、桜井昌一、佐藤まさあき、高橋真琴、辰巳ヨシヒロ、松本正彦)小学館クリエイティブ、2009年、ISBN 978-4-7780-3107-7
- 『バレエ・マンガ ~永遠なる美しさ~』 (京都国際マンガミュージアム 高橋真琴、牧美也子、北島洋子、上原きみ子、山岸凉子、有吉京子、萩尾望都、槇村さとる、曽田正人、水沢めぐみ、水野英子、魔夜峰央)太田出版、2013年、ISBN 978-4-7783-2201-4
- 『少女マンガはどこからきたの? 「少女マンガを語る会」全記録』全349頁(本編335頁+索引など14頁)、2023年5月30日第1刷発行、青土社、語る会メンバー12名:水野英子(発起人) / 上田トシコ / むれあきこ / わたなべまさこ / 巴里夫 / 高橋真琴 / 今村洋子 / ちばてつや / 牧美也子 / 望月あきら / 花村えい子 / 北島洋子【※発起人水野以外はデビュー順[17]】、ISBN 978-4-7917-7553-8
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 高橋真琴について|高橋真琴 公式ウェブサイト 真琴アート株式会社
- ^ a b "少女イラストの第一人者、高橋真琴さん死去 大きな瞳にきらめく星々". 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2024年12月16日. 2024年12月16日閲覧。
- ^ a b c 高橋真琴 『少女ロマンス 高橋真琴の世界』 pp.124-125、PARCO出版、1999年
- ^ "画家・高橋真琴さんの輝く瞳の少女絵100点 西宮阪急で原画展". 産経ニュース. 産経新聞社. 2015年9月10日. 2024年12月16日閲覧。
- ^ a b “高橋真琴による乙女なイラストが千葉県佐倉市でふるさと納税のお礼状に”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年5月7日) 2021年5月7日閲覧。
- ^ 辰巳ヨシヒロ 『劇画漂流(下)』 p.424、講談社漫画文庫、2013年
- ^ a b c d “佐倉に移り住んで半世紀以上、少女絵画家・高橋真琴さんが愛する「自然と調和したまち」”. 佐倉市 (2020年7月1日). 2021年10月29日閲覧。
- ^ 真琴画廊株式会社の情報 国税庁
- ^ 会社情報 真琴アート株式会社
- ^ "心ときめく♡高橋真琴の少女画が〈ドーリーガール バイ アナ スイ〉のウエアに". 伊勢丹新宿店 ISETAN PARK net. 2016年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月19日閲覧。
- ^ ヴィレッジヴァンガードHP
- ^ “コム デ ギャルソンと高橋真琴 パリコレから西武渋谷店へ走れ!”. FASHION (2017年10月17日). 2021年10月29日閲覧。
- ^ 佐倉PR大使(佐倉市親善大使) 佐倉市シティプロモーション班
- ^ “真琴だより”. 高橋真琴 公式ウェブサイト 真琴アート株式会社 (2020年3月12日). 2021年10月29日閲覧。
- ^ “高松三越で少女画家・高橋真琴さん作品展 四国初、直筆原稿も”. 高松経済新聞. みんなの経済新聞 (2023年5月3日). 2023年5月5日閲覧。
- ^ “少女マンガはどこからきたの? web展「少女マンガ的表現 - 瞳の星①」”. 明治大学 東京国際マンガ図書館. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “少女マンガはどこからきたの?上田トシコ、むれあきこら50〜60年代の少女マンガ語る書籍”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年6月2日). 2023年6月2日閲覧。 “帯:ジャンルを育てたレジェンドたちの証言 / 1953年の手塚治虫「リボンの騎士」から1972年の池田理代子「ベルサイユのばら」までの期間で、少女マンガというジャンルがいかにして開拓されてきたのかをたどる。”
外部リンク
[編集]- 高橋真琴 公式ウェブサイト 真琴アート株式会社
- 【公式】高橋真琴の広場 (@macotonohiroba) - X(旧Twitter)
- 真琴画廊(高橋真琴)【非公式】 (@makotogaro_unofficial) - Instagram
- 高橋真琴の世界 -佐倉フラワーフェスタの作品ができるまで-(2019/3/4)佐倉市 - YouTube