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黒木玄

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黒木 玄
くろき げん
人物情報
生誕 秋田県[1]
出身校 東北大学[2]
学問
研究分野 代数学大域解析学
研究機関 東北大学[3][2]
学位 博士(数理学)名古屋大学[4]
特筆すべき概念 「匿名」[注釈 1]による批判の禁止(黒木ルール)[5]
主な業績 黒木のなんでも掲示板[6][7]τ関数量子化[8]
影響を与えた人物 中島啓[9]
学会 日本数学会[2]
公式サイト
黒木玄のウェブサイト
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黒木 玄(くろき げん)は、日本の数学者。学位は、博士(数理学)名古屋大学[4]インターネット黎明期に知識人研究者が集った「黒木のなんでも掲示板」で知られ[6][7]岩田規久男らの「昭和恐慌研究会」[注釈 2]にも参加[6][10]。「匿名」[注釈 1]による批判を禁止する、通称「黒木ルール」も提唱した[5]。また、ソーカル事件の日本への紹介や[6][11]かけ算の順序問題への提言でも実績がある[12][13][14]数学では表現論の研究に取り組み[15][16][17]τ関数量子化でも実績がある[8]。2023年東北大学大学院理学研究科数学専攻 多様体論講座 助教[18][19]

来歴・人物

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秋田県出身[1]秋田県立本荘高等学校を経て[20]東北大学理学部数学科卒業。東北大学大学院理学研究科数学専攻修士課程を修了し、同大学理学部数学科助手に就任(遅くとも1992年には着任。大学院重点化に伴い1995年から大学院所属。法改正により2007年からは助教[3])。東北大学には表現論を専門とする堀田良之宇澤達長谷川浩司らがおり[9][注釈 3]、黒木は数理物理学への表現論の応用、共形場理論量子可積分系などの研究に従事(#学術業績参照)。2007年名古屋大学において論文博士博士(数理学)の学位を取得する[4]

黒木は1990年代初頭から整数論のソフト・データ共有プロジェクトに参画し[21]、1990年代から2000年代にかけてWebサイト上に「黒木のなんでも掲示板」を開設[6][10]。この掲示板には数学者物理学者のみならず経済学者社会学者など多くの分野から研究者や知識人が集っていた。山形浩生田崎晴明岸政彦らが出入りし、栗原裕一郎筒井淳也らも議論を見ていたという[6][7]ソーカル事件が日本で最初に取り上げられたのはこの掲示板と言われ[6]、黒木は村上陽一郎への批判も展開した[22]

黒木は「匿名」[注釈 1]による批判を禁止するルールを提唱し、これは「黒木ルール」として知られた[5]。また、黒木は、山形浩生稲葉振一郎と並んで「リフレ理論を提唱した、ネット黎明期からのネット・カリスマ」と言われており[23]2004年には『インターコミュニケーション』誌で黒木と稲葉との対談が組まれている[24]。また、黒木は岩田規久男原田泰浜田宏一高橋洋一らの参加する「昭和恐慌研究会」[注釈 2]のメンバーであり、2013年4月22日には内閣府経済社会総合研究所開催のセミナーで、「インフレーションはコントロールできるか」と題して講演も行っている[25]

数学分野でも研究では武部尚志と共著論文を執筆し(#論文節参照)、柏原正樹や宇澤達らの研究にも参画した[26][27]。また、オープンキャンパスでは「数学クイズ」を担当し[28]仙台市秋田県の高校生向け数学セミナーでも講師を務めた[29][30][31]。2012年度に小学校の数学教育でかけ算の順序問題が問題になった際には、黒木は各出版社の教科書を調査・検証し、新聞社の取材にも対応している[12][13]

学術業績

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学位論文

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  • 黒木玄 (2007). Twisted Wess-Zumino-Witten models on elliptic curves [楕円曲線上のヴェス・ズミノ・ウィッテン模型] (博士(数理学) 乙第6689号 thesis). 名古屋大学. NAID 500000397393

原著論文

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講究録

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科研費代表者

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  • 1994年度 - 奨励研究A「共形場理論への保型形式論的アプローチ」[32]
  • 1995年度 - 重点領域研究「共形場理論の表現論的研究」[15]
  • 1997-1998年度 - 基盤研究C「可積分系の差分化とその背景の幾何的構造」[33]
  • 2001-2002年度 - 奨励研究A「量子可積分系の表現論的研究」[16]
  • 2005-2006年度 - 基盤研究C「可積分系とモノドロミー保存系の離散化と量子化」[34]
  • 2011-2015年度 - 基盤研究C「量子パンルヴェ系の表現論的研究」[17]

その他著作

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解説

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記事

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連載

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  • 戸田山和久、黒木玄、西野哲朗、足立聡「ネット上の井戸端会議 研究者同士の交流」、『数学セミナー』第36巻第4-10号、1997年4-10月[注釈 5]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c ここで言う「匿名」には、趣味嗜好をオープンにしているハンドルネームの人やペンネームの作家は含まれない[5]
  2. ^ a b 「昭和恐慌研究会」のメンバーは、岩田規久男、中村宗悦、野口旭若田部昌澄田中秀臣岡田靖安達誠司飯田泰之、中澤正彦、原田泰[35]、および黒木、片岡剛士高橋洋一浜田宏一矢野浩一浅田統一郎、岡野祐介、平野智裕、柳沼勇弥[6][10]
  3. ^ 中島啓助教授として一時期在籍しており、中島は黒木ら表現論の専門家から影響を受けたと言われている[9]
  4. ^ 梶原健、黒木玄、楯辰哉 共著
  5. ^ 数学セミナー4月号、68-69頁5月号、74-75頁6月号、74-75頁7月号、82-83頁8月号、84-85頁9月号、72-73頁10月号、82-83頁日本評論社、2018年6月9日閲覧。国立国会図書館デジタルコレクションで限定公開 - 4月号10月号

出典

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  1. ^ a b Twitter”. 2023年1月13日閲覧。[信頼性要検証]
  2. ^ a b c 黒木 玄”. Researchmap (2018年2月6日) 2018年6月24日閲覧。
  3. ^ a b KAKEN ― 研究者をさがす 黒木 玄(10234593)”. 科学研究費助成事業データベース 2018年6月24日閲覧。
  4. ^ a b c 黒木 2007.
  5. ^ a b c d 佐藤信正 (2007年5月14日). “ブログに実名・住所・電話番号を載せたらどうなる?”. 日経トレンディネット. 2018年7月21日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h 栗原裕一郎さんの「平成の論壇:ニューアカの呪縛」(1)”. 週刊「1億人の平成史」第13回. 毎日新聞出版. 2018年6月9日閲覧。
  7. ^ a b c 岸政彦筒井淳也 (2017年3月3日). “「比較しろ」って簡単に言いますけどね――質的調査VS量的調査”. SYNODOS 2018年6月24日閲覧。
  8. ^ a b 黒木 2013.
  9. ^ a b c 太田啓史「中島啓氏の業績 ―特殊単調体の幾何学と表現論との交叉―」、『数学』第52巻第4号、2000年、395-404頁。
  10. ^ a b c 上念司『経済用語 悪魔の辞典 ―ニュースに惑わされる前に論破しておきたい55の言葉―』、イースト・プレス、2015年、ISBN 978-4781613666Google Booksの検索結果、2018年6月9日閲覧。)
  11. ^ 黒木 1998.
  12. ^ a b 栗山真寛 (2012年11月5日). “2×3? 3×2? 文章題の掛け算の式”. 中日新聞. 教育面. 6面.
  13. ^ a b 上原佳久 (2013年1月25日). “(ニュースQ3) 小学校のかけ算 えっ? 順序が違うと『バツ』”. 朝日新聞.
  14. ^ 黒木 2014.
  15. ^ a b 重点領域研究「共形場理論の表現論的研究」1995年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  16. ^ a b 奨励研究A「量子可積分系の表現論的研究」2001 - 2002年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  17. ^ a b 基盤研究C「量子パンルヴェ系の表現論的研究」2011 - 2015年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  18. ^ 黒木 玄”. 東北大学 研究者紹介. 東北大学. 2023年5月17日(UTC)閲覧。
  19. ^ 教員紹介(講座別)”. 東北大学大学院理学研究科数学専攻. 2023年5月17日(UTC)閲覧。
  20. ^ 黒木 玄”. www.facebook.com. 2023年1月13日閲覧。[信頼性要検証]
  21. ^ 中村憲「整数論のソフトとデータの共有」、『数学』第45巻第3号、1993年、264-267頁。
  22. ^ エレア・メビウス『反実在論の極限』エレア・メビウス、2018年、96、317、330頁。ASIN B07DLBD94W。(“Google Booksの検索結果”、2018年6月24日閲覧。)
  23. ^ 野口旭『エコノミストたちの歪んだ水晶玉 ―経済学は役立たずか―』 東洋経済新報社、2006年、ISBN 4492394575Google Booksの検索結果. 2018年6月9日閲覧。)
  24. ^ 対談 2004.
  25. ^ 経済社会総合研究所(ESRI)セミナー”. 内閣府経済社会総合研究所. 2018年6月24日閲覧。
  26. ^ 基盤研究A「表現論の代数解析」1997-2000年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月24日閲覧。
  27. ^ 基盤研究B「対称対の研究」1998-2000年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月24日閲覧。
  28. ^ 黒木 2009.
  29. ^ ~~高校生のための~~「仙台数学セミナー」”. 公益財団法人川井数理科学財団 (2018年5月25日) 2018年6月24日閲覧。
  30. ^ 「理数学生応援プロジェクト」受託事業「先端的数学・物理学の英才教育プロジェクト」最終報告書”. 東北大学 (2012年2月10日) 2018年6月24日閲覧。
  31. ^ 平成25年度指定スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告書第2年次”. 秋田県立大館鳳鳴高等学校 (2015年3月) 2018年6月24日閲覧。
  32. ^ 奨励研究A「共形場理論への保型形式論的アプローチ」1994年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  33. ^ 基盤研究C「可積分系の差分化とその背景の幾何的構造」1997 - 1998年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  34. ^ 基盤研究C「可積分系とモノドロミー保存系の離散化と量子化」2005 - 2006年度”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2018年6月10日閲覧。
  35. ^ 『昭和恐慌の研究』NCID BA66507200

関連項目

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外部リンク

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