齊藤誠 (経済学者)
生誕 |
1960年7月24日(64歳) 愛知県名古屋市 |
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国籍 | 日本 |
研究機関 |
ブリティッシュコロンビア大学 京都大学経済学部 大阪大学大学院経済学研究科 一橋大学大学院経済学研究科 名古屋大学大学院経済学研究科 |
研究分野 |
マクロ経済学 金融経済学 財政学 金融論 |
母校 |
京都大学経済学部 マサチューセッツ工科大学 |
博士課程 指導教員 |
John C. Heaton オリヴィエ・ブランチャード |
影響を 受けた人物 | 西村周三 |
受賞 |
紫綬褒章 日本経済学会・石川賞 石橋湛山賞 日経・経済図書文化賞 エコノミスト賞、他 |
齊藤 誠(さいとう まこと、1960年(昭和35年)7月24日 - )は、日本の経済学者。専門は、マクロ経済学・金融経済学・財政学・金融論。名古屋大学大学院経済学研究科教授、一橋大学名誉教授。Ph.D.(マサチューセッツ工科大学、1992年)。愛知県出身。
人物
[編集]実証分析の功績をあげた50歳以下の研究者に贈られる、日本経済学会・石川賞を2007年に受賞した。
一橋大学での講義は主に「マクロ経済学」「金融ファイナンス」「金融経済論」などを担当する。講義やゼミナールでの指導は厳しいことでも知られる[誰によって?]。
略歴
[編集]- 1979年3月 奈良県立奈良高等学校卒業
- 1983年3月 京都大学経済学部卒業
- 1983年4月 - 1987年8月 住友信託銀行勤務
- 1987年9月 - 1988年8月 スタンフォード大学経済学部客員研究員
- 1988年9月 マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程入学
- 1992年6月 マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程修了(Ph.D.取得)[2]
- 指導教官 John Heaton オリヴィエ・ブランチャード
- 1992年7月 - 1995年6月 ブリティッシュコロンビア大学経済学部助教授
- 1995年7月 - 1998年3月 京都大学経済学部助教授
- 1998年4月 - 2001年3月 大阪大学大学院経済学研究科助教授
- 2001年4月 - 一橋大学大学院経済学研究科教授
- 2001年4月 - 2002年3月 大阪大学社会経済研究所客員教授
- 2001年10月 - 2003年9月 日本銀行金融研究所国内客員研究員
- 2003年5月 ボッコーニ大学(en:Bocconi University)経済学部客員教授
- 2005年1月 - 2005年7月 ブリティッシュコロンビア大学経済学部客員教授
- 2005年4月 - 2006年3月 日本ファイナンス学会理事
- 2005年4月 - 2008年3月 日本経済学会常任理事
- 2006年10月 - 2008年9月 東京大学公共政策大学院客員教授
- 2010年10月 - 2012年3月 東京大学公共政策大学院客員教授
- 2019年4月 - 名古屋大学大学院経済学研究科教授[3]、一橋大学経済研究所非常勤研究員[4]
- 2024年4月 - 一橋大学名誉教授[5]
受賞
[編集]- 2001年 第44回日経・経済図書文化賞 『金融技術の考え方・使い方:リスクと流動性の経済学』
- 2002年 第3回NIRA大来政策研究賞 『社会福祉と家族の経済学』
- 2005年 平成16年度不動産学会学会著作賞(学術部門) 『不動産市場の経済分析:情報・税制・都市計画と地価』
- 2007年 第2回日本経済学会・石川賞(日本経済学会)
- 2008年 第48回エコノミスト賞(毎日新聞社) 『資産価格とマクロ経済』
- 2011年 第17回財団賞(全国銀行学術振興財団)
- 2012年 第33回石橋湛山賞(石橋湛山記念財団) 『原発危機の経済学:社会科学者として考えたこと』
- 2014年 紫綬褒章[6]
主張
[編集]日本の低生産性企業は低金利で延命させるべきではなく、金利を上げて淘汰すべきであると主張している[7]。
日本経済について「1997-2002年の金融危機と異なり現在(2013年)の日本は劇薬が必要なほどの危機にない」と述べ、2013年現在の物価下落(デフレーション)も緩やかに安定しているとみている[8]。また「日本の生産年齢人口1人当たりの労働生産性は他の先進国よりも高い伸びを示している」とし「すでに非常に豊かな国になってしまった日本は、それに見合った競争力が必要である」と述べている[8]。
日本のデフレーションについて「デフレは続いているが、年率1.1%程度の軽微なものだ」と述べている[9]。また、日本のデフレの原因について「資源価格の上昇と競争力の低下による海外への所得流出にある」とし「金融政策で克服するのは難しい」と述べている[8]。
日本銀行の巨額の日本国債買い入れによる量的金融緩和政策(量的・質的緩和政策)は「市中に資金が回らないため実体経済にはあまり影響がなく、物価が上がるとはなかなか思えない」と指摘している[8]。巨額の債務を抱えた日本経済の実態を反映し、長期金利が反転急上昇するリスクに対して「金利が連続的に上昇するのは問題ないが、(一気に)0.5パーセントなど非連続に上昇すれば本当に大変だ」と警戒した[8]。
著作
[編集]単著
[編集]- 新しいマクロ経済学-クラシカルとケインジアンの邂逅(有斐閣 1996年10月 ISBN 4641067902)
- 経済政策とマクロ経済学-改革への新しい提言(日本経済新聞社 1999年10月 ISBN 4532131790)
- 金融行政システムの法的考察 : 日独の比較を中心に、行政法各論の位置から(日本銀行金融研究所 2002年)
- 先を見よ、今を生きよ-市場の政策の経済学(日本評論社 2002年6月 ISBN 4535552940)
- 金融技術の考え方・使い方-リスクと流動性(有斐閣 2000年7月 ISBN 4641160988)
- 成長信仰の桎梏 消費重視のマクロ経済学(勁草書房 2006年12月 ISBN 4326550546)
- 競争の作法 いかに働き、投資するか(ちくま新書 2010年6月 ISBN 9784480065513)
- 原発危機の経済学(日本評論社 2011年10月 ISBN 9784535556874)
- 財政規律とマクロ経済:規律の棚上げと遵守の対立をこえて(名古屋大学出版会 2023年10月 ISBN 9784815811365)
共著
[編集]- マクロ経済学(岩本康志、太田聰一、柴田章久)(有斐閣 2010年4月 ISBN 9784641053724)
- 金融機能と規制の経済学(岩本康志、前多康男、渡辺努)(東洋経済新報社 2001年10月 ISBN 4492681132)
他にも著書多数。
出典
[編集]- ^ “京都大学ニュース退職教員最終講義(西村周三 経済学研究科教授)”. 2015年7月8日閲覧。
- ^ SaitÅ Makoto (1992). Essays on the risk premium in the US financial market (Thesis). 2022年5月29日閲覧。
- ^ 「齊藤 誠」researchmap
- ^ 特任教員/客員教員/客員研究員/非常勤研究員平成31(2019)年度-一橋大学経済研究所
- ^ 名誉教授、名誉博士PDFファイル(294KB)一橋大学
- ^ “平成26年春の褒章受章者 東京都” (PDF). 内閣府. p. 2 (2014年4月29日). 2014年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月11日閲覧。
- ^ 田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、132頁。
- ^ a b c d e インタビュー:デフレ、金融政策だけで克服困難=斉藤誠・一橋大教授Reuters 2013年4月5日
- ^ 齊藤 誠 一橋大学大学院経済学研究科教授 低生産性・高コスト構造を自覚せよダイヤモンド・オンライン 2010年10月18日
参考文献
[編集]- 齊藤誠. “履歴書”. 2013年1月29日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 齊藤誠 (@makotosaito0724) - X(旧Twitter)
- SAITO MAKOTO SEMINAR - ゼミの公式サイト
- 一橋大学大学院経済学研究科教員紹介
- 一橋大学研究者情報