2014年J1最終節
2014年J1最終節(2014ねんJ1さいしゅうせつ)では、2014年12月6日に行われたJリーグ ディビジョン1 (J1) の最終節について触れる。
本項目では、主に優勝がかかったガンバ大阪 (G大阪) 、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、ACLの出場がかかる柏レイソル、サガン鳥栖、そして残留がかかる清水エスパルス、大宮アルディージャについて触れる。
最終節までの経緯
[編集]序盤戦はまず、広島・鹿島・神戸・浦和の4チームが抜け出すが、途中で広島が低迷し、変わって鳥栖が上位に上がる。その4チームが前半戦を引っ張った。
しかし後半戦に入ると、不調に陥った神戸が優勝争いから後退。変わって上位に上がってきたのが、川崎とG大阪であった。特にG大阪は、前半戦終了時点で浦和と勝ち点差が16あったが、主力の活躍もあり、一気に巻き返してきた。そんな中、上位争いを演じていた鳥栖が突然監督の尹晶煥を解任。首位を走っていたチームが低迷したが、なんとか上位争いには踏みとどまった。これにより浦和が完全に抜け出し、このまま優勝かと思われたが、その後成績が安定せず、徐々にG大阪と鹿島との差を縮められる。
迎えた第32節。浦和とG大阪の直接対決。浦和は勝てば文句なしでの優勝が決まる状況だったが、88分に佐藤晃大に先制点を許すと、アディショナルタイムにも倉田秋に決められ0-2で敗戦。この結果、浦和とG大阪の勝ち点差は2に縮まった。鹿島は川崎と対戦。前半終了間際に遠藤康が先制ゴールを挙げると、53分には赤崎秀平が追加点。試合終了間際に1点を返されるも、2-1で勝利し、浦和との勝ち点差を縮めた。
33節は、浦和がアウェイで鳥栖と、G大阪はホームで神戸と対戦。G大阪はこの試合、前半37分に宇佐美貴史が先制ゴールを挙げると、前半43分にはパトリックが決めて追加点。後半4分に再び宇佐美が決めて3-0。後半25分に神戸の小川慶治朗に決められ1点を返されたが、そのままゲームをクローズし、3−1で勝利を収めた。
一方の浦和は、攻め手を欠いて前半をスコアレスで終えるが、後半24分に李忠成がペナルティーエリアで倒されPKを獲得、しかもこのプレーで鳥栖の菊地直哉が一発退場。先制のチャンスかつ数的優位という盤面を作った。このPKを阿部勇樹がしっかり決め先制に成功。その後攻めあぐねてしまったが、ピンチのシーンもGK西川周作が止め、逃げ切り成功かと思われた後半アディショナルタイム。鳥栖はコーナーキックを得ると、最後は小林久晃が決めついに鳥栖が同点に追いつく。その後すぐにタイムアップ。鳥栖は負ければACL出場の可能性がほぼ0%だったが、引き分けたため望みを繋いだ。一方の浦和はここに来て痛すぎる引き分けとなってしまい、G大阪と勝ち点差で並ばれ、しばらく守ってきた首位をG大阪に明け渡す結果になった。
鹿島は残留を争うセレッソ大阪と対戦。33分にカイオが先制点を挙げると、59分と67分に赤崎が立て続けに決め3−0。69分に1点を返されるも、80分に柴崎岳がダメ押しゴール。4-1で勝利を収め、優勝への望みを繋いだ。逆にC大阪はこの敗戦でJ2降格が決まってしまった。
柏は第28節の鹿島戦から5連勝し、一気に順位を上げた。そして33節の清水戦に勝利して6連勝となり、鳥栖と並んで総得点数で上回り4位に浮上した。
一方下位の争いは、初勝利が第10節で、その後なかなか反撃の糸口を掴めなかった徳島ヴォルティスが第29節でC大阪に1-3で敗れ5試合を残してJ2降格が決定。残る2枠を甲府・仙台・清水・大宮・C大阪で争うこととなり、C大阪は前述の通り鹿島に敗れ1試合を残して降格が決定。仙台は徳島に2-1で勝利し1試合を残し残留が確定、甲府も広島に2−0で勝利し2試合を残して残留を確定させた。清水は柏に敗れて勝ち点を積むことが出来なかったが、大宮もアディショナルタイムに被弾し土壇場で勝ち点1を逃し、清水は引き分け以上で残留という状況に対して、大宮は最終節勝ってなおかつ清水が敗れた場合のみ残留という厳しい状況になってしまった。
第33節終了時の暫定順位
暫定順位 | クラブ | 勝点 | 試合 | 勝利 | 引分 | 敗戦 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ガンバ大阪 | 62 | 33 | 19 | 5 | 9 | 59 | 31 | +28 |
2 | 浦和レッズ | 62 | 33 | 18 | 8 | 7 | 51 | 30 | +21 |
3 | 鹿島アントラーズ | 60 | 33 | 18 | 6 | 9 | 64 | 38 | +26 |
4 | サガン鳥栖 | 57 | 33 | 18 | 3 | 12 | 40 | 33 | +7 |
5 | 柏レイソル | 57 | 33 | 16 | 9 | 8 | 46 | 40 | +6 |
最終節
最終節のカードは以下の通り。全て15時30分キックオフ。
- 鹿島アントラーズvsサガン鳥栖(茨城県立カシマサッカースタジアム)
- 大宮アルディージャvsセレッソ大阪(NACK5スタジアム)
- 清水エスパルスvsヴァンフォーレ甲府(IAIスタジアム日本平)
- 浦和レッズvs名古屋グランパス(埼玉スタジアム2002)
- 徳島ヴォルティスvsガンバ大阪(鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム)
- アルビレックス新潟vs柏レイソル(12月8日に延期。会場はデンカビッグスワンスタジアム→カシマスタジアムに変更)
浦和は引き分けでも優勝できる可能性があり、浦和引き分け以上・G大阪負けで浦和の優勝が決まる。しかしG大阪は得失点差という有利な要素があり、どちらも同じ結果だとG大阪の優勝となる。鹿島は勝利が最低条件で、なおかつ浦和とG大阪が両方敗れれば優勝という状況にあった。
一方の残留争い・ACL争い。清水は引き分け以上であれば大宮の結果に関わらず残留が決まる。大宮は勝って清水が敗れないと降格が決まる。鳥栖のACL出場は翌日の柏の結果次第ではあるが、鳥栖はまず勝てばACL出場に大きく近づく。柏は鳥栖のスコアの2点差以上で勝つことが条件となる。
前半
[編集]まず最初に動いたのは埼スタ。2分いきなり得たコーナーキックから槙野智章が頭で合わせて先制ゴールを決め、浦和が優勝へ向けて一歩前進する。
次に試合が動いたのはカシマ。6分に高橋義希が決めてACL出場を狙う鳥栖が先制する。一方鹿島は優勝へ痛い先制点を許す。
一方鳴門大塚では、G大阪が序盤から徳島を攻め立てる展開となるが、意外にも徳島の守備陣が踏ん張りゴールがなかなか奪えない。
そんな中、今度は残留争いが動く。大宮が21分に金澤慎のゴールで先制する。
その後は動きはなく全会場前半終了。
状況は、鳥栖と大宮、そして浦和が1点リード、その他の会場は全てスコアレスという展開。
- 前半終了時点での各試合の途中経過
- 鹿島 0-1 鳥栖
- 大宮 1-0 C大阪
- 清水 0-0 甲府
- 浦和 1-0 名古屋
- 徳島 0-0 G大阪
後半
[編集]このまま行くと優勝出来ないG大阪は、ハーフタイムに阿部浩之を下げて倉田秋を投入して攻撃を強めるが、それでも徳島の守備陣を崩す事ができない。
そして後半先に動いたのは大宮。50分にムルジャが追加点をあげて2点リードとする。しかし清水が点を取られなければこのまま勝っても残留できない。
甲府は55分にキリノを、清水は57分に長沢駿を投入しどちらも攻撃的に行く作戦に変えた。
一方鹿島も動く。53分に豊川雄太を下げ、中村充孝を入れて攻撃体制を整える。
そのまま何事もなく70分が経過した全会場だが、浦和の試合が終盤に動く。
後半2枚替えをしてきた名古屋の攻撃に苦しめられ、72分に耐えきれず牟田雄祐に決められついに試合を振り出しに戻されると、89分には左サイドを永井謙佑に独走されゴール右隅に豪快に決められ1−2。試合は終盤に名古屋が逆転する展開。そのままタイムアップを迎えた。
一方、先にスコアレスで試合を終えていたG大阪は、まだゲーム終了の情報が試合終了時点で入ってきていなかったが、数分後に浦和の試合終了が伝えられた瞬間、G大阪の選手陣が狂喜乱舞した。2005年に優勝してから9年の月日を経てタイトル奪還を達成した。この年はカップ戦と天皇杯もものにし目標としていた三冠を達成した。
そして全会場試合終了。この結果、鳥栖は暫定4位浮上。そして清水と大宮もそのまま終わり、清水の残留が確定した。何度も降格の危機がありながら残留し続けてきた大宮だったが、ついにJ2降格となってしまった。
翌々日行われた新潟vs柏は、2−0で柏が勝利。これで柏はシーズン7連勝で締めくくり鳥栖を交わして4位に浮上。前述の通り柏が総得点の差でACL出場を決めた。一時は優勝争いもしていた鳥栖だったが、ACL出場さえも達成出来なかった悔しいシーズンとなってしまった。