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2019年世界陸上競技選手権大会・男子4×100mリレー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第17回世界陸上競技選手権大会
男子4×100mリレー

決勝レース中、最終走者へのバトンパスシーン
会場ハリーファ国際スタジアム
開催日10月4日 予選
10月5日 決勝
参加選手数15か国 68人
優勝記録37.10
メダリスト
金メダル  アメリカ合衆国 アメリカ合衆国
銀メダル  イギリス イギリス
銅メダル  日本 日本
« 20172022 »

2019年世界陸上競技選手権大会・男子4×100mリレー(2019ねんせかいりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい・だんし4かける100メートルリレー)は、2019年世界陸上競技選手権大会の種目の一つ。カタールドーハハリーファ国際スタジアムを会場に、2019年10月4日に予選、10月5日に決勝が行われた。アメリカ合衆国がシーズン世界最高かつアメリカ新記録の37秒10で金メダルイギリスがヨーロッパ記録の37秒36で銀メダル日本がアジア記録の37秒43で銅メダルをそれぞれ獲得した[1]

レース経過

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予選

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予選は現地時間の10月4日21時5分から行われた。1組の開催国カタールが棄権し、2組15国の参加により行われた[2]。決勝進出条件は、各組上位3国と記録上位2国の計8国であった。

予選1組[3]は第5レーンのアメリカと第6レーンのイギリスが早々に抜け出し、最終コーナー通過の時点までこの2国が先頭を争う展開となった。しかし、アメリカは3走マイク・ロジャースと4走クレイボン・ギレスピー英語版のバトンパスのタイミングが合わず、危うくテイクオーバーゾーンを超過しかかり失速[4]。シーズン世界最高の37秒56を記録したイギリスが1着で予選通過[5]、2着にブラジルが入り、3着でゴールインしたアメリカはビデオ判定の結果4走へのバトンパスはゾーン内と認められ、着順での決勝進出を決めた[4]

予選2組[3]は上位チームの競り合いとなり、4走へのバトンパス時点では第6レーンのフランスがわずかにリード、これを南アフリカ・日本・中国の順で追う形となった。アンカー勝負でフランスを逆転した南アフリカのアカニ・シンビネが、日本のサニブラウン・アブデル・ハキームとの競り合いを制し[5]1着で予選通過。日本が2着に入り、中国はアンカー謝震業が最後にフランスのムハマドゥ・ファル英語版を抜き逆転で3着に入った。

予選2組終了の結果、2組4着のフランスと2組5着のオランダが記録順で残り2枠の決勝進出を決めた。2組5着のオランダと6着のカナダは、記録は同じ37秒91ながら、より精密な計測の結果0秒005差で着順が決まり、カナダは予選敗退となった[6]。カナダの記録37秒91は1組3着で予選通過を果たしたアメリカの38秒03を上回っており、37秒台の記録で決勝に進めないのは4×100mリレー史上初のことであった[6]。予選終了後、1組4着のイタリアは改めてアメリカのリレーゾーン超過による失格を訴えて抗議し、またカナダも、アメリカが失格の場合タイムで上回る自国に決勝進出の権利が与えられるべきだと抗議したが、審議の結果アメリカのバトンパスは正常と判定され、両国の抗議は却下された[4]

決勝

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決勝は現地時間の10月5日22時15分から行われた。予選からオーダー変更を行ったのは、2レーンのフランス(4走:ムハマドゥ・ファル英語版クリストフ・ルメートル)、4レーンの日本(1走:小池祐貴多田修平)、8レーンのアメリカ(4走:クレイボン・ギレスピー英語版ノア・ライルズ)、9レーンの中国(4走:謝震業別舸英語版)の4か国であった[1]

レースは、アメリカの1走クリスチャン・コールマンがスタートダッシュに成功しアメリカが先行[7]。日本の多田も好スタートを切った[8][9]。フランスは1走と2走のバトンパスに失敗し途中棄権した。4走へのバトンパスの時点でアメリカ、日本、イギリスの順となり、アメリカの4走ライルズがさらにリードを広げて1着でゴール。アメリカ新記録かつ世界歴代2位の37秒10で、この種目で2007年大阪大会以来の金メダルを獲得した[7]。最終ストレートでイギリスのネサニエル・ミッチェル=ブレークが日本のサニブラウンを逆転し、37秒36のヨーロッパ記録で銀メダル[10]。日本も37秒43でアジア記録を更新し、銅メダルを獲得した[11]。オランダは6番手でゴールラインを越えたが、リレーゾーン超過により失格が宣告された。

本種目の結果、決勝レースを完走した6か国が2020年東京オリンピックにおけるこの種目の出場権を獲得した[12]

日程

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時刻はカタール時間UTC+3

開始時刻 ラウンド
2019年10月4日 21:05 予選
2019年10月5日 22:15 決勝

結果

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WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
| Q 順位による通過 | q 記録による通過| DQ 失格| DNF 途中棄権| DNS 棄権| R 163.3(a) レーン侵害| R 170.7 テイクオーバーゾーン外パス

予選

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決勝進出条件:各組上位3着(Q)+記録上位2着(q)

1組

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順位 レーン 出場国 走者 記録 備考
1 6 イギリスの旗 イギリス アダム・ジェミリツァーネル・ヒューズリチャード・キルティネサニエル・ミッチェル=ブレーク 37.56 Q, WL
2 2 ブラジルの旗 ブラジル ロドリゴ・ド・ナシメント英語版ヴィトール・ウーゴ・ドス・サントス英語版デリック・シウバ英語版パウロ・アンドレ・デ・オリベイラ 37.90 Q, AR
3 5 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 クリスチャン・コールマンジャスティン・ガトリンマイク・ロジャースクレイボン・ギレスピー英語版 38.03 Q, SB
4 4 イタリアの旗 イタリア フェデリコ・カッタネーオ英語版マルセル・ジェイコブスダヴィデ・マネンティ英語版フィリッポ・トルトゥ 38.11 NR
5 7 ジャマイカの旗 ジャマイカ オシェイン・ベイリーヨハン・ブレークラシード・ドワイヤータイケンド・トレーシー英語版 38.15 SB
6 8 ガーナの旗 ガーナ シーン・サフォ=アントウィ英語版ベンジャミン・アザマティ=クワク英語版、マーティン・オウス=アントウィ、ジョセフ・アモア英語版 38.24 SB
- 3 トルコの旗 トルコ ケイハーン・エゼー、ジャック・ハーヴェイエムレ・ザフェル・バーンズラミル・グリエフ DQ 163.3(a)
- 9 カタールの旗 カタール DNS

2組

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順位 レーン 出場国 走者 記録 備考
1 4 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 タンド・ドゥロドゥロ英語版サイモン・マガクウェクラレンス・ムンヤイ英語版アカニ・シンビネ 37.65 Q, AR
2 5 日本の旗 日本 小池祐貴白石黄良々桐生祥秀サニブラウン・アブデル・ハキーム 37.78 Q, SB
3 9 中華人民共和国の旗 中国 蘇炳添許周政英語版呉智強英語版謝震業 37.79 Q, NR
4 6 フランスの旗 フランス アモリ・ゴリタン英語版ジミー・ヴィコメバ=ミカエル・ゼゼ英語版ムハマドゥ・ファル英語版 37.88 q, SB
5 3 オランダの旗 オランダ ヨリス・ファン・ゴール英語版タイミル・ブルネット英語版ヘンスリー・パウリナ英語版チュランディ・マルティナ 37.91 q, NR
6 2 カナダの旗 カナダ ギャヴィン・スメリー英語版アーロン・ブラウンブレンドン・ロドニー英語版アンドレ・ドグラス 37.91 SB
7 7 ドイツの旗 ドイツ ユリアン・ロイス、ヨシュア・ハルトマン、ロイ・シュミット英語版、マーヴィン・シュルツ 38.24 SB
- 8 ナイジェリアの旗 ナイジェリア エノック・アデゴケ英語版ウシェオリツェ・イツェキリ英語版オゴ=オゲネ・エグウェロシェイェ・オグンレウェ英語版 DQ 170.7

決勝

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順位 レーン 出場国 走者 記録 備考
1位 8 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 クリスチャン・コールマンジャスティン・ガトリンマイク・ロジャースノア・ライルズ 37.10 WL, NR
2位 7 イギリスの旗 イギリス アダム・ジェミリツァーネル・ヒューズリチャード・キルティネサニエル・ミッチェル=ブレーク 37.36 AR
3位 4 日本の旗 日本 多田修平白石黄良々桐生祥秀サニブラウン・アブデル・ハキーム 37.43 AR
4 6 ブラジルの旗 ブラジル ロドリゴ・ド・ナシメント英語版ヴィトール・ウーゴ・ドス・サントス英語版デリック・シウバ英語版パウロ・アンドレ・デ・オリベイラ 37.72 AR
5 5 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 タンド・ドゥロドゥロ英語版サイモン・マガクウェクラレンス・ムンヤイ英語版アカニ・シンビネ 37.73
6 9 中華人民共和国の旗 中国 蘇炳添許周政英語版呉智強英語版別舸英語版 38.07
- 2 フランスの旗 フランス アモリ・ゴリタン英語版ジミー・ヴィコメバ=ミカエル・ゼゼ英語版クリストフ・ルメートル DNF
- 3 オランダの旗 オランダ ヨリス・ファン・ゴール英語版タイミル・ブルネット英語版ヘンスリー・パウリナ英語版チュランディ・マルティナ DQ 170.7

脚注

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注釈

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参照

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  1. ^ a b 4x100 Metres Relay Men Results - Final|IAAF World Athletics Championships, DOHA 2019”. IAAF (2019年10月5日). 2019年10月7日閲覧。
  2. ^ 4x100 Metres Relay Men Startlist|IAAF World Athletics Championships, DOHA 2019”. IAAF (2019年10月4日). 2019年10月5日閲覧。
  3. ^ a b 4x100 Metres Relay Men Results - Heats|IAAF World Athletics Championships, DOHA 2019”. IAAF (2019年10月4日). 2019年10月7日閲覧。
  4. ^ a b c 繰り上げ連発の影響?リレーで抗議続発 イタリア、カナダが米国の失格訴えるも却下”. デイリースポーツ (2019年10月5日). 2019年10月5日閲覧。
  5. ^ a b サニブラウン、リレーデビュー戦は「新鮮味があってリラックスして走れた」 決勝は史上空前の37秒台決戦へ…”. スポーツ報知 (2019年10月5日). 2019年10月5日閲覧。
  6. ^ a b リレー侍、史上最難関も予選突破 リオ銅カナダ敗退”. 日刊スポーツ (2019年10月5日). 2019年10月5日閲覧。
  7. ^ a b 男子リレー、米国新で6大会ぶり金=世界陸上”. 時事通信 (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。[リンク切れ]
  8. ^ リレー侍、示した層の厚さ「どの4人が入っても」9秒台小池外しスタート巧者の多田”. デイリースポーツ (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。
  9. ^ 多田修平と白石黄良々、力走と好連係 男子400継/陸上”. サンケイスポーツ (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。
  10. ^ 日本男子400mリレーで銅、米国が金メダル 世界陸上”. AFPBB.com (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。
  11. ^ サニブラウン「あいつらは速い」リレー侍銅メダル”. 日刊スポーツ (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。
  12. ^ 男子400メートルリレー 日本は「銅」37秒43アジア新で 世界陸上”. 毎日新聞 (2019年10月6日). 2019年10月7日閲覧。