JR貨物DB500形ディーゼル機関車
JR貨物DB500形ディーゼル機関車 | |
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DB500-1(2エンド側から見た姿) DB500-51(西大分駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 日本貨物鉄道 |
製造所 | 北陸重機工業 |
製造年 | 2016年 -[1] |
製造数 | 4両 |
運用開始 |
0番台:2017年3月 - 50番台:2021年10月 - |
投入先 |
0番台:下関駅 50番台:西大分駅・延岡駅・竜王駅 |
主要諸元 | |
軸配置 | A-A |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 7,650 mm |
全幅 | 2,824 mm |
全高 |
0番台:3,670 mm 50番台:4,050 mm |
運転整備重量 | 26.9 t |
台車 | 二軸車 |
固定軸距 | 3,500 mm |
車輪径 | 860 mm |
軸重 | 13.45 t |
燃料搭載量 | 500 L |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 |
水冷4サイクル直列6気筒ディーゼルエンジン 0番台:いすゞ6HK1XQA-01S 50番台:ボルボ製(燃料電子制御式) |
制動装置 |
自動空気ブレーキ・留置ブレーキ 基礎ブレーキ:片押し式踏面ブレーキ |
保安装置 |
0番台:ATS-SF 50番台:ATS準備工事 |
最高運転速度 | 25 km/h |
設計最高速度 | 40 km/h |
定格出力 |
0番台:250PS(184KW)/ 2,000rpm 50番台:285PS(210KW)/ 2,200rpm |
最大引張力 | 6,730 kgf |
備考 | [2][3] |
DB500形ディーゼル機関車(DB500がたディーゼルきかんしゃ)は、日本貨物鉄道(JR貨物)が2016年(平成28年)から導入している液体式ディーゼル機関車である。制作は北陸重機工業が担当した。
概要
[編集]JR貨物では大規模な貨物駅には、入替専用機であるHD300形や本線・入替え兼用のDD200形を投入していたが、本形式は小規模な貨物駅での入替専用機として投入された[2]。
北陸重機工業が専用線向けに製造している機械扱いの2軸液体式ディーゼル入替動車(車籍がないいわゆる貨車移動機)をベースとしているが、車両構造や保安装置を法令に適合させた鉄道車両扱いとし[4]、信号機(絶対信号機)や自動列車停止装置を用いて保安度を向上させている。
2024年(令和6年)現在4両が導入されているが[4]、2016年(平成28年)に導入された0番台(1)と、2021年(令和3年)以降に導入された改良型の50番台(51 - 54)の2グループが存在する[3]。
構造
[編集]0番台と50番台で若干の差異がある。
車体
[編集]全長7.65mのL型1運転台方式の車体を持ち、1エンド側のボンネット内にエンジン1台を搭載し、2エンド側が運転台となっている。
軸配置はA-Aの2軸である[2]。平坦線において、最大500 tのコンテナ貨車の入れ換え可能な性能を有する[2]。 車体は耐候性鋼板製である[2]。 運転台は自動車同様のペダル方式の主幹制御器と、デスク上にブレーキ弁(手で操作)を有する[2]。2エンド側で通常貨車と連結するため、2エンド側は前面の窓を大きくすることで、連結作業を容易としている[4]。また、運転台は空調装置付きである[4]。
50番台では、前面ステップの幅を縮小(連結時の作業性向上のため)、前照灯をLEDとする改良がなされている[3]。
機器類
[編集]機関
[編集]0番台はいすゞ製の直接噴射式エンジン(国交省二次規制相当の排出ガスレベル)を採用している[4]。50番台は機関がボルボ製の燃料電子制御式エンジン(EU3次排ガス規制対応)となり、環境性能向上とともに出力がやや向上している[3][4]。加えて空気圧縮機を機関付属形とすることで、機関ボンネットの小型化を図った[3]。
保安装置
[編集]0番台では自動列車停止装置(ATS-SF形)及び緊急列車停止装置(EB装置)を装備する[2]。
50番台は、新たに保安装置としてTE装置、防護無線および信号炎管を搭載した[3]。一方で0番台と異なり、ATSは準備工事のみとした[3]。
運用
[編集]0番台
[編集]1号機は門司機関区に配置され[5][6]、2016年(平成28年)10月に落成後、各種試験を行い、2017年(平成29年)3月ダイヤ改正より下関駅構内での入換作業に使用されていたDE10形を置き換え、運用されている[2]。
下関駅構内での入換作業自体は操車による誘導で実施しているが、その際に入換信号機(絶対信号機)を用いる場面があることから[5]、貨車移動機ではなく車籍を持つ本形式での置き換えとなった。
50番台
[編集]3両(51 - 53)製作され、門司機関区に配置の上、2021年(令和3年)から西大分駅・延岡駅で車籍のない貨車移動機に代わって使用を開始している[3]。51, 52号機が西大分駅、53号機が延岡駅で運用されている[7][8]。また、50番台では次世代バイオディーゼル燃料の試験も実施している[4]。
また、2024年12月1日には50番台の第4番目として54号機が山梨県竜王駅に留置されているのが確認されている。
脚注
[編集]- ^ “日本貨物鉄道株式会社殿に機関車を納入致しました。”. 北陸重機工業. 2017年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会『R&M : Rolling stock & machinery』(2017年5月号) pp. 12-15,76
- ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』2022年4月号研究と開発「DB500形式50番代液体式内燃機関車の概要」pp.51 - 54
- ^ a b c d e f g 白濱 (2024), p. 37.
- ^ a b 鉄道ファン編集部・JR貨物、2017、「CAR INFO」、『鉄道ファン』57巻(通巻676号(2017年8月号))、交友社 p. 65
- ^ 鉄道ファン編集部、2018、「車両のうごき 2017-2018」、『鉄道ファン』58巻(通巻687号(2018年7月号))、交友社 p. 62
- ^ “DB500形50番台が西大分駅に搬入される|鉄道ニュース|2021年9月14日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2021年10月23日閲覧。
- ^ “DB500形50番台の運用開始|鉄道ニュース|2021年10月13日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2021年10月23日閲覧。
参考文献
[編集]- 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』
- 2017年5月号研究と開発「DB500形式内燃機関車の開発」(JR貨物車両部技術開発室 西村 敏治)
- 2022年4月号研究と開発「DB500形式50番代液体式内燃機関車の概要」(日本貨物鉄道株式会社鉄道ロジスティクス本部 神田 吉孝)
- 白濱, 慶昭「JR貨物における最近の車両開発について」『JRガゼット』第82巻第9号、交通新聞社、2024年9月1日、36-39頁。