M-3Sロケット
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M-3Sロケット3号機実物大模型(JAXA/ISAS内之浦宇宙空間観測所KS台地) | |
機能 | 人工衛星打ち上げ |
---|---|
製造 | 東京大学宇宙航空研究所 日産自動車 |
開発国 | 日本 |
大きさ | |
全高 | 23.8メートル (78 ft) |
直径 | 1.41メートル (4 ft 8 in) |
質量 | 48,700キログラム (107,400 lb) |
段数 | 3段 |
積載量 | |
低軌道への ペイロード |
300キログラム (660 lb) |
関連するロケット | |
シリーズ | ミュー |
派生型 | M-3SII |
打ち上げ実績 | |
状態 | 引退済 |
射場 | 内之浦宇宙空間観測所 |
総打ち上げ回数 | 4 |
成功 | 4 |
失敗 | 0 |
初打ち上げ | 1980年2月17日 |
最終打ち上げ | 1984年2月14日 |
特筆すべきペイロード | たんせい4号 |
M-3Sロケット
M-3Sロケット(ミュー3エス)は、東京大学宇宙航空研究所と後継機関の文部省宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、以下、東大、ISAS)が日産自動車宇宙航空事業部(以下、日産)と共同で開発し、日産が製造、東大とISASが運用した科学衛星打ち上げ用の3段式の固体燃料ロケットである。
技術的特徴
[編集]L-4Sに誘導制御装置を付加したL-4SCロケット(5機打ち上げ)のうち、4号機、5号機を用いて開発が行われた。 第1段目が無誘導であったM-3Hロケットの第1段に、TVCとSMRCによる誘導制御機能を付加したもの。SMRCは、ノズルが左右に2つ付いた小型の固体燃料ロケットで、ロケット本体が燃焼中、SMRCの燃料も常時燃焼している。そして常時燃焼している噴出ガスは、内部の電磁弁によって、左右のノズルに振り分けて噴出されることによりロールの制御を行う。SMRCの実用化には、電磁弁が焼けないような低温の燃焼ガスを長時間、高圧で噴出させる固体燃料が必要であり、宇宙研が開発した独自の技術である。SMRCは第1段目の4枚の尾翼の先端に装着されている。
「Satellite」・「Sphere」を意味している、L-4Sロケット、M-4Sロケット末尾アルファベット「S」とは異なり、本機の末尾のアルファベット「S」は、「Super Performance」の頭文字「S」である。
仕様
[編集]括弧内は参考としてM-3Hのもの
- 全長:23.8m(23.8m)
- 直径:1.41m(1.41m)
- 重量:48.7t(48.7t)
- 低軌道打ち上げ能力:300kg(300kg)
- 公称性能諸元一覧
段数(Stage) | 第1段 | 補助ブースタ | 第2段 | 第3段 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
諸元 | 全長 | 23.8m | 8.9m | 2.5m | 2.6m | |||
代表径 | 1.41m | 0.31m | 1.41m | 1.14m | ||||
各段点火時質量 | 48.7t | 11.0t | 1.4t | 1.5t | ||||
固体 ロケット モータ |
モータ名称 | M-13 | SB-310 | M-22 | M-3A1 | M-3A2 | M-3A3 | M-3A4 |
全長 | 14.98m | 5.17m | 4.87m | 1.54m | 1.52m | |||
ケース材料 | HT-200 | HT-140N | HT-200 | Ti-6Al・4V (α+β) | ||||
推進薬 | BP-30B | UP-10 | BP-22B | BP-20B | BP-27B | |||
モータ質量 | 32.4t | 0.484t | 8.69t | 1.26t | 1.24t | 1.22t | 1.31t | |
推進薬重量 | 27.1t | 0.34t | 7.22t | 1.08t | 1.16t | |||
真空比推力 | 240sec | 219sec | 277sec | 284sec | 289sec | |||
平均真空推力 | 1,147kN | 133kN | 357kN | 66.9kN | 63.3kN | |||
有効燃焼時間 | 55sec | 5.5sec | 55sec | 45sec | 52sec |
打ち上げ実績
[編集]名称 | 打上げ日時 (JST) |
成否 | 積荷 | 重量(kg) | 目標軌道 近-遠地点軌道傾斜角 |
衛星の軌道 近-遠地点軌道傾斜角 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1号機 | 1980年2月17日9:40 | 成功 | たんせい4号 (MS-T4) |
185 | 略円 - 近518km,遠720km,傾斜角39° | 略円 - 近521km,遠606km,傾斜角39° | 試験衛星 |
2号機 | 1981年2月21日9:30 | 成功 | ひのとり (ASTRO-A) |
188 | 略円 - 近562km,遠734km,傾斜角32° | 略円 - 近576km,遠644km,傾斜角31° | 太陽物理学衛星 |
3号機 | 1983年2月20日14:10 | 成功 | てんま (ASTRO-B) |
216 | 略円 - 近495km,遠634km,傾斜角31° | 略円 - 近497km,遠503km,傾斜角32° | X線天文衛星 |
4号機 | 1984年2月14日17:00 | 成功 | おおぞら (EXOS-C) |
207 | 略円 - 近324km,遠1233km,傾斜角75° | 略円 - 近354km,遠865km,傾斜角75° | 中層大気観測衛星 |