義経 (NHK大河ドラマ)
『義経』(よしつね)は、2005年(平成17年)に放送されたNHKの大河ドラマである。
作品背景と反響
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
44作目のNHK大河ドラマ。平安時代末期の武将で、鎌倉幕府を開く源頼朝の弟、源平合戦で活躍する源義経が主人公のドラマ。若き義経と平清盛の親子的なつながりを表現するなど新しい解釈も見られる。老獪な後白河法皇に翻弄される源平双方の悲哀は従来通り。源義経を大河ドラマの題材にするのは1966年(昭和41年)の「源義経」以来2回目 。放送前の2004年11月から2005年4月まで、オロナミンCのCMに滝沢扮する義経(牛若)が出演していた。東京ドームでのマツケンサンバのコンサートで香取慎吾(カツケン)が、松平健演じる武蔵坊弁慶のモノマネをしていた。
ドラマと史実・定説とのちがい
このドラマでは脚色のため、以下のような史実・定説と異なる描写がいくつも見られる。ただし「うつぼ」などの架空の登場人物については省略する。
題材 | ドラマでの描写 | 史実・定説とされること |
---|---|---|
武蔵坊弁慶の逸話 | 五条大橋での牛若との出会いや安宅の関で偽の勧進帳を読んで切り抜ける話の類(注1)。 | 史実でないとするのが有力である。 |
義経の実母 常盤御前 | 源平戦の間に病死したことになっている。 | 義経追討のときに鎌倉方に逮捕されて尋問され、保身のために義経のことについて情報を漏らしている。 |
安徳天皇の入水 | 壇ノ浦の合戦で入水したのは、すり替えられた弟 守貞親王であることになっている(注2)。 | 安徳天皇は壇ノ浦で入水したとするのが定説。 |
義経の正妻 郷御前 | 頼朝との対立時に鎌倉へ帰されたことになっている。 | 義経一行とともに平泉へ落ち延び、義経自害のときに娘とともに義経に殺されている。 |
木曽義仲の愛妾 巴御前 | 落ち延びて北陸の村で第二の人生を送ったことになっている。 | 鎌倉方に捕らえられて和田義盛の妻になってその子を産み、義盛の挙兵による敗死後は尼僧になったとも伝えられている。 |
伊勢三郎 | 衣川で義経を守って討ち死にしたことになっている。 | 義経一行が平泉に向かうときにはぐれて畿内で捕らえられて梟首された。 |
義経の最期(衣川の館) | 主従で抗戦の後に一人で自刃したことになっている。 | 抗戦せず、正妻の郷御前と実娘を殺して自害している(心中)。 |
- (注1)勿論、古くから歌舞伎などの創作作品で取り上げられている逸話であって、ドラマのオリジナル設定ではない。
- (注2)ドラマでは触れられていないが、史実に即すればその後に後堀河天皇の父親となって承久の乱後に幼い同天皇に代わって院政を行っていたのは実は安徳天皇だったことになる。
あらすじ
平治の乱で平清盛に敗れた源義朝の愛妾・常盤御前は、三人の子を連れて京を逃れるが実母が平家方に捕らえられている事を知り、清盛に出頭する。清盛により、末子・牛若(後の義経)との生活を許された常盤であったが、清盛との関係がその正妻・時子の知るところとなり、常盤は清盛の元を去り、牛若は鞍馬寺に預けられる事になった。清盛を実の父と信じて疑わなかった牛若は、自分がその敵である義朝の子である事を知り、愕然とする。やがて逞しい青年へと成長した牛若であったが、未だ清盛をはじめとする平家方を敵と割り切る事が出来ずにいた。
スタッフ
- 原作・・・宮尾登美子 「宮尾本平家物語」「義経」より
- 脚本・・・金子成人
- 音楽・・・岩代太郎
- テーマ音楽演奏・・・NHK交響楽団
- テーマ音楽指揮・・・ウラディーミル・アシュケナージ
- 演奏・・・東京都交響楽団
- 資料提供・・・村上元三(1966年の大河ドラマ「源義経」作者)
- 脚本協力・・・川上英幸、眞鍋由紀子
- 題字・・・陳孌君
- タイトル画・・・宮田雅之
- 語り・・・白石加代子、柿沼郭(オープニング)
- 時代考証・・・奥富雅之
- 風俗考証・・・二木謙一
- 建築考証・・・平井聖
- 衣装考証・・・小泉清子
- 芸能考証・・・橋本裕之、野村万之丞
- 所作指導・・・猿若清三郎
- 殺陣武術指導・・・林邦史朗(本編にも出演)
- 馬術指導・・・田中光法
- 舞指導・・・野村万蔵、小笠原匡、松本幸龍
- 香指導・・・岩本砂重子
- 笛指導、和楽器指導・・・稲葉明徳
- 琵琶指導・・・友吉鶴心(本編にも出演)
- 仏事指導・・・山田亮匡
- 書道指導・・・望月暁云
- 京・御所ことば指導・・・小林由利(本編にも出演)
- 駿河ことば指導・・・小杉幸彦
- 撮影協力・・・岩手県江刺市、茨城県水海道市、群馬県妙義町、沼田市、南牧村、神奈川県三浦市、山梨県小淵沢町、富士吉田市、京都市、毛越寺、三十三間堂、厳島神社
- 舞楽・・・東京楽所
- 製作統括・・・諏訪部章夫
- 演出・・・黛りんたろう(他のディレクターと担当回については放送日程に記載)
義経紀行
- 語り・・・平野啓子
- ソプラノ独唱・・・森麻季
- フリューゲルホルン演奏・・・セルゲイ・ナカリャコフ
- ピアノ演奏・・・松下奈緒
- 京胡演奏・・・呉汝俊
出演
義経をめぐる人々
- 牛若→遮那王→源義経(上井聡一郎→神木隆之介→滝沢秀明(タッキー&翼))
- 武蔵坊弁慶(松平健)
- うつぼ(守山玲愛→上戸彩)
- 伊勢三郎(南原清隆(ウッチャンナンチャン))
- 駿河次郎(うじきつよし)
- 喜三太(伊藤淳史)
- 佐藤忠信(海東健)
- 佐藤継信(宮内敦士)
- 鷲尾三郎→鷲尾義久(長谷川朝晴)
- まごめ(高野志穂)
- 千鳥(中島知子(オセロ))
- 千鳥の父・杢助(水島涼太)
- 萌(尾野真千子)
- 侍女・つる(石浜加奈恵)
- 今若(中村陽介)
- 乙若(吉川史樹)
- 侍従・藤次(花ヶ崎浩一)
- 侍女・萱(西川美也子)
- 農夫・弥十(岡本敏明)
- 静(石原さとみ)
- 磯禅師(床嶋佳子)
- 一条長成(蛭子能収)
- 源義朝(加藤雅也)
- 常盤(稲森いずみ)
源氏
- 源頼朝(池松壮亮→中井貴一)
- 北条政子(財前直見)
- 源範頼(石原良純)
- 亀の前(松嶋尚美(オセロ))
- 大江広元(松尾貴史)
- 三善康信→善信(五代高之)
- 和田義盛(高杉亘)
- 藤原行政(本多隆)
- 梶原景季(小栗旬)
- 牧の方(田中美奈子)
- 北条宗時(姫野恵二)
- 北条義時(木村昇)
- 北条時定(西脇礼門)
- 安達盛長(草見潤平)
- 比企尼(二木てるみ)
- 仁田忠常(上杉陽一)
- 土肥実平(谷本一)
- 三浦義澄(小倉馨)
- 安田義定(真実一路)
- 堀親家(徳井優)
- 天野遠景(真夏竜)
- 二宮友平(中垣浩二)
- 渡辺学(瀬野和紀)
- 近藤親家(水野純一)
- 平塚良郷(伊東達広)
- 木曽義仲(小澤征悦)
- 巴(小池栄子)
- 巴後夫・藤太(小杉幸彦)
- 中原兼遠(森下哲夫)
- 樋口兼光(堤大二郎)
- 今井兼平(古本新之輔)
- 根井行親(市川勉)
- 楯親忠(山崎秀樹)
- 源仲綱 (光石研)
- 木曽義高(富岡涼)
- 余田実信(蔵本隆史)
- 大姫(野口真緒)
- 侍女・深井(藤田むつみ)
- 侍女・桂(小林千晴)
- 侍女・楓(杉山佳穂)
- 那須宗高(今井翼(タッキー&翼・友情出演)
- 湛増(原田芳雄)
- 船乗り・島蔵(野口寛)
- 船乗り・東風平(竹下浩史)
- 土佐坊昌俊(六平直政)
- 船所正利(坂部文昭)
- 富樫泰家(石橋蓮司)
- 井家八郎(得丸伸二)
- 大内頼兼(浦山迅)
- 大炊頼兼(大木正司)
- 新宮十郎義盛→源行家(大杉漣)
- 梶原景時(中尾彬)
- 北条時政(小林稔侍)
- 源頼政(丹波哲郎)
奥州藤原氏
- 藤原秀衡(高橋英樹)
- 秀衡妻・桔梗(鶴田さやか)
- 藤原国衡(長嶋一茂)
- 藤原泰衡(渡辺いっけい)
- 藤原忠衡(ユキリョウイチ)
- 佐藤元治(加世幸市→大出俊)
- 河辺高経(坂西良太)
- 伊賀良目高重(石田圭祐)
- 照井高道(草野裕)
- 金剛忠綱(天野勝弘)
- 河田守継(青山義典)
- 阿部正宗(佐藤正浩)
- 赤田次郎(小林勝彦)
- 関戸弥平(秋間登)
朝廷
- 後白河法皇(平幹二朗)
- 丹後局(夏木マリ)
- 平知康(草刈正雄)
- 藤原基房(中丸新将)
- 任子(楊原京子)
- 藤原成親(森源次郎)
- 西光(向雲太郎)
- 藤原成経(宮内宏道)
- 平康頼(内田龍磨)
- 大膳大夫信成(木村彰吾)
- 俊寛(村松卓矢)
- 静憲(壌晴彦)
- 以仁王(岡幸二郎)
- 高倉天皇(馬場徹)
- 安徳天皇(市川男寅)
- 守貞親王(水谷大地)
- 後鳥羽天皇(三俣凱)
京の人々
- 覚日律師(塩見三省)
- 学僧・持覚(齊藤尊史)
- 学僧・瑞雲(吉澤宙彦)
- 侍女・手古奈(上原美佐)
- 孤児・五足(北村有紀哉)
- 孤児・烏丸(高橋耕次郎)
- 孤児・むじな(後藤和夫→川島大)
- うつぼの兄・大日坊春慶(荒川良々)
- 朱雀の翁(梅津栄)
- お徳(白石加代子)
- 盗賊・黒漆(大村波彦)
- 盗賊・不動(清水宏)
- 盗賊・赤目(飯泉征貴)
- 盗賊・白鷺(池田鉄洋)
- 金売り吉次(市川左團次)
- 吉次の妻・あかね(萬田久子)
- 十蔵(中西良太)
- 熊七(江良潤)
- 禅林坊(赤星昇一郎)
- 順慶(大島宇三郎)
- 鬼一法眼(美輪明宏)
平家
- 平知盛(森聖矢→阿部寛)
- 明子(夏川結衣)
- 平宗盛(伊藤隆大→鶴見辰吾)
- 経子(森口瑶子)
- 領子(かとうかずこ)
- 平重衡(岡田慶太→細川茂樹)
- 輔子(戸田菜穂)
- 建礼門院徳子(中越典子)
- 平維盛(賀集利樹)
- 平資盛(小泉孝太郎)
- 平時忠(大橋吾郎)
- 平頼盛(三浦浩一)
- 平盛国(平野忠彦)
- 建春門院滋子(中江有里)
- 池禅尼(南風洋子)
- 大庭景親(伊藤敏八)
- 田口教能(新井康弘)
- 平清宗(塩顕治→渡邊邦門)
- 清宗妻・律子(堀有里)
- 能子(山口愛→後藤真希)
- 清盛生母・鶴羽(堀越美穂)
- 平貞光(竹本美知敏)
- 平家貞(来須修二)
- 平田家継(伊藤聡)
- 侍女・真砂(辻葉子)
- 平重盛(勝村政信)
- 時子(松坂慶子)
- 平清盛(渡哲也)
放送
放送日程
第1回と最終回は1時間拡大版である。第36回は衆議院選挙特番の為地上波7:15~8:00の放送である。
放送回 | 放送日 | 題 | 演出 | 視聴率(ビデオリサーチ調べ) |
第1回 | 2005年1月9日 | 運命の子 | 黛りんたろう | 24.2% |
第2回 | 2005年1月16日 | 我が父清盛 | 黛りんたろう | 25.5% |
第3回 | 2005年1月23日 | 源氏の御曹司 | 木村隆文 | 25.9% |
第4回 | 2005年1月30日 | 鞍馬の遮那王 | 黛りんたろう | 23.6% |
第5回 | 2005年2月6日 | 五条の大橋 | 黛りんたろう | 26.9% |
第6回 | 2005年2月13日 | 我が兄頼朝 | 木村隆文 | 24.0% |
第7回 | 2005年2月20日 | 夢の都 | 木村隆文 | 23.6% |
第8回 | 2005年2月27日 | 決別 | 黛りんたろう | 22.2% |
第9回 | 2005年3月6日 | 義経誕生 | 黛りんたろう | 24.3% |
第10回 | 2005年3月13日 | 父の面影 | 柳川強 | 22.7% |
第11回 | 2005年3月20日 | 嵐の前夜 | 柳川強 | 22.6% |
第12回 | 2005年3月27日 | 驕る平家 | 木村隆文 | 19.6% |
第13回 | 2005年4月3日 | 源氏の決起 | 木村隆文 | 19.0% |
第14回 | 2005年4月10日 | さらば奥州 | 黛りんたろう | 20.1% |
第15回 | 2005年4月17日 | 兄と弟 | 黛りんたろう | 21.9% |
第16回 | 2005年4月24日 | 試練の時 | 柳川強 | 19.9% |
第17回 | 2005年5月1日 | 弁慶の泣き所 | 柳川強 | 20.7% |
第18回 | 2005年5月8日 | 清盛死す | 木村隆文 | 19.0% |
第19回 | 2005年5月15日 | 兄へ物申す | 木村隆文 | 19.6% |
第20回 | 2005年5月22日 | 鎌倉の人質 | 黛りんたろう | 19.7% |
第21回 | 2005年5月29日 | いざ出陣 | 黛りんたろう | 21.0% |
第22回 | 2005年6月5日 | 宿命の上洛 | 柳川強 | 21.7% |
第23回 | 2005年6月12日 | 九郎と義仲 | 柳川強 | 18.9% |
第24回 | 2005年6月19日 | 動乱の都 | 木村隆文 | 20.9% |
第25回 | 2005年6月26日 | 義仲最期 | 木村隆文 | 19.3% |
第26回 | 2005年7月3日 | 修羅の道へ | 一木正恵 | 18.7% |
第27回 | 2005年7月10日 | 一の谷の奇跡 | 黛りんたろう | 19.5% |
第28回 | 2005年7月17日 | 頼朝非情なり | 柳川強 | 16.9% |
第29回 | 2005年7月24日 | 母の遺言 | 黛りんたろう | 18.5% |
第30回 | 2005年7月31日 | 忍び寄る魔の手 | 大関正隆 | 17.3% |
第31回 | 2005年8月7日 | 飛べ屋島へ | 一木正恵 | 15.3% |
第32回 | 2005年8月14日 | 屋島の合戦 | 木村隆文 | 16.9% |
第33回 | 2005年8月21日 | 弁慶走る | 大関正隆 | 18.1% |
第34回 | 2005年8月28日 | 妹への密書 | 黛りんたろう | 15.4% |
第35回 | 2005年9月4日 | 決戦·壇ノ浦 | 黛りんたろう | 21.1% |
第36回 | 2005年9月11日 | 源平無常 | 一木正恵 | 18.8% |
第37回 | 2005年9月18日 | 平家最後の秘密 | 木村隆文 | 18.4% |
第38回 | 2005年9月25日 | 遠き鎌倉 | 大関正隆 | 16.3% |
第39回 | 2005年10月2日 | 涙の腰越状 | 黛りんたろう | 15.7% |
第40回 | 2005年10月9日 | 血の涙 | 一木正恵 | 13.5% |
第41回 | 2005年10月16日 | 兄弟絶縁 | 柳川強 | 15.5% |
第42回 | 2005年10月23日 | 鎌倉の陰謀 | 柳川強 | 13.5% |
第43回 | 2005年10月30日 | 堀川夜討 | 大杉太郎 | 15.3% |
第44回 | 2005年11月6日 | 静よさらば | 木村隆文 | 16.5% |
第45回 | 2005年11月13日 | 夢の行く先 | 木村隆文 | 16.3% |
第46回 | 2005年11月20日 | しずやしず | 黛りんたろう | 15.6% |
第47回 | 2005年11月27日 | 安宅の関 | 柳川強 | 15.0% |
第48回 | 2005年12月4日 | 北の王者の死 | 木村隆文 | 16.9% |
最終回 | 2005年12月11日 | 新しき国へ | 黛りんたろう | 19.7% |
総集編スペシャル
2005年12月24日、25日に放送。滝沢が義経と邂逅する新撮映像と主従座談会の一部が番組の前後に追加された。 主従座談会は2005年12月16日(21:15~21:58)、24日(13:05~13:48、再放送)に放送。
- 第1部「義経誕生」(24日19:30~20:45)
- 第2部「軍神降臨」(25日16:45~18:00)
- 第3部「英雄伝説」(25日19:30~20:45)
ソフトウェア
NHK大河ドラマ・ストーリー
- 義経 前編・後編
CD
- NHK大河ドラマ「義経」音楽絵巻(オリジナル・サウンド・トラック) - エイベックス株式会社
DVD
- 義経 完全版 第壱集 - ジェネオンエンタテインメント株式会社
- 義経 完全版 第弐集 - ジェネオンエンタテインメント株式会社
外部リンク
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