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湖の中央部には[[離山]](蓬来島)とよばれる[[半島]]部が突き出ている。離山には、京都府京丹後市網野町木津にある湖秀山献寺が建っていたと言われている<ref>{{Cite book
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|和書|author=梅本政幸
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|title=丹後路の史跡めぐり
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2020年9月27日 (日) 13:11時点における版

離湖

離湖(画像右上)および網野市街地周辺の空中写真。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
所在地 京都府京丹後市網野町小浜
位置 北緯35度41分24.4秒 東経135度2分32.5秒 / 北緯35.690111度 東経135.042361度 / 35.690111; 135.042361座標: 北緯35度41分24.4秒 東経135度2分32.5秒 / 北緯35.690111度 東経135.042361度 / 35.690111; 135.042361
面積 0.35 km2
周囲長 3.8 km
最大水深 7 m
貯水量 0.0013 km3
成因 海跡
淡水・汽水 淡水
プロジェクト 地形
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離湖(はなれこ)は、京都府京丹後市網野町小浜にある

概要

離湖公園から見る離湖
離湖公園
離湖公園から見る離湖
離湖公園
離湖絵図

京都府最大の淡水湖で、網野市街地の東側にある。網野、島津、小浜の三地区にまたがる。離湖は「かつみ」とも呼ばれている。植物プランクトンの多い富栄養湖[1]海岸から約500mの距離にあり、湖の北西側から流出する水路で、かつては日本海とつながっていた湾入の一部であったが、砂州砂丘の発達により、外海から閉ざされ潟湖になった[2]

湖の中央部には離山(蓬来島)とよばれる半島部が突き出ている。離山には、京都府京丹後市網野町木津にある湖秀山龍献寺が建っていたと言われている[3]

水位を低くして、離湖の洪水を防止するために [4]、この湖から万畳山の下をくりぬき、澄之江に水を流して湖の水位を調節する樋越川(「マブ」とも呼ばれる)というトンネル水路が1674年(延宝2年)から3年がかりで掘られた。漂砂のため閉塞されやすかったため、昭和27年(1952年)には新しい水路として新樋越川が開削された[5] 網野町上水道の水源地である[6]

離湖公園には駐車場トイレなどが整備されている[7]

湖畔には、八重桜ソメイヨシノなどのが約300本植えられており、桜の名所となっている。3月下旬から4月上旬にかけて、離湖桜まつりが開催される。4月から6月にかけて源五郎鮒釣り、釣りなどで知られている[8]

7月には、花火大会として小浜離山弁天祭が開催される[9]

離湖公園

1989年(平成元年)のふるさと創生事業の際には、離湖を公園として整備する要望が多かった[10]。網野町は1990年度(平成2年度)から1992年度(平成4年度)までの3か年をかけて離湖公園を整備し、1993年(平成5年)4月4日には竣工式が開催された[10]

総面積は2.6ヘクタール[10]。既存の展望台を展望広場に再整備し、離湖古墳の発掘地点には説明看板などが設置された[10]京都府立網野高等学校生徒有志がリサイクル活動を行い、その収益金によってシダレザクラが記念植樹されている[10]

  • 芝生広場
  • 展望広場
  • 子供広場
  • フィールドアスレチック

地理

丹後半島は、海岸段丘の高さから洪積世において傾動隆起を成したものと推測され、隆起の後の沈降によって久美浜湾が生じたと考えられている [11]。この時、網野付近にも海が侵入し、離湖と浅茂湖はその入江の一部が砂丘によって閉ざされて生じた潟湖と考えられている[12]。 また、砂丘だけでなく八丁浜など砂州の成長によって入江が閉ざされたと見られている[13]。 離湖の周囲は3.8キロメートル、最大水深は約7メートルである[14]

自然

田中正明が1999年の調査によって魚類では、コイ,フナ類,ソウギョ,ブラックバスを、また植物では、ヨシ、ガマ、ヒシ確認し報告している[15]

文化財

離湖古墳

離湖古墳石棺

離湖古墳は、離湖に向かって島状に突き出した丘陵、離山にある離山古墳から40メートル南の丘陵頂部に位置している。 網野町が、離湖一帯を公園として整備するため、平成2年(1990年)度から離山古墳の発掘調査が行われた。離山古墳調査の終了間近に、その南側の台地を念のため調査したところ、長持形石棺の底石や副葬品の刀、短甲などが出土した。そのため、古墳であることが明らかとなり、この台地を「離湖古墳」と命名した。 しかし、調査の期間や予算の都合により、墳丘等外部施設の調査は次年度に繰り越しとなった。翌、平成3年(1991年)度に離湖古墳全体の調査が行われ、墳丘の南北の裾から埴輪が出土した。しかし、この古墳は後世に削平された形跡が見られ、築造当時の墳形、規模は確定できなかった[16]

離山古墳

離山古墳は、離湖に突き出した丘陵北側の最も高所(海抜28メートル)に位置する[17]直径15メートル、高さ2.2メートルの円墳であり、北に開口する横口部のある無袖型の竪穴系横口式石室の埋葬施設をともなう古墳 [18]。古墳時代後期築造といわれる[19]
墳丘は地山を整備した後、盛り土を行っているが、盛り土の規模は不明確である。石室はほぼ真北に開口し、玄室と横口部を合わせた全長359センチメートル、幅は最狭69センチメートル、最大幅100センチメートルで奥へいくほど広くなる構造。高さは89センチメートル[20]。全くの単独墳であり、被葬者はこの地域一帯を治めた首長と考えられる[21]

出土遺物

  • 土器 土岐器(高杯6 壷1)、須恵器(高杯1 杯身9 杯蓋9 提瓶1)
  • 装身具 琥珀玉1、菅玉9、ガラス玉2
  • 鉄器 鉄斧1

所在不明 金輪1、菅玉2、ガラス玉1、鉄器 京都大学所蔵 須恵器杯蓋身それぞれ1
昭和24年7月に地元の青年達が郷土の歴史を知る目的で発掘[22]
昭和28年、京都大学調査団による写真撮影が行われる。
昭和30年、網野町内有志による離山各所への石仏建立時に墳丘上にも建てられたので、この時石室が埋められたと思われる [23]
昭和46年、網野町が町水道工事で掘削すると土器片が発見されたことをうけ、網野町教育委員会が発掘調査を行うと弥生時代前期から古墳時代の土器が出土した[24]
平成2年

岡1号墳

岡1号墳は、古墳時代中期から後期に造られた岡古墳群(4基)のうちのひとつである。 岡1号墳は、7世紀前半に建造されたものであり、岡古墳群の中では最も新しい。 京丹後市網野町小浜にあり、1号墳のみ離湖畔に移築保存された[25]。 墳丘の規模は不明であるが,横穴式石室があり、6体の人骨、環頭太刀など多数の副葬品、 肉付きのままの馬の脚部も発掘された[26]。 京丹後市の指定史跡である[27]

発掘の歴史: 日本海と離湖の間の砂丘の中から発掘された[28]。 近くには、日本海側最大級の前方後円墳がある[29]。 1951年に新樋越川の工事により発見され、1951年から1953年まで京大の樋口教授による発掘調査が 行われた[30]。 1953年から54年には京都府教育委員会、1965年には網野町教育委員会が調査を行った[31]

出土物: 石室規模は全長10.8m,玄室6.6m,入口幅は1.2m,石材は地元の万畳岩が使用されている。 追葬が行われたと思われる6体の人骨、鉄器類(環頭太刀1、鉄鏃26、刀子3、毛抜きなど) 玉類(瑠璃製勾玉3、碧玉製管玉5,水晶製の切子玉とそろばん玉各1)馬具類(釣手2、工具2、 しおで金具2、飾り金具7, 一組の鏃)須恵器(有蓋高杯4、無蓋高杯2、有蓋浅鉢2、長頸壺1など) また、馬の前足の大腿骨(肉付き)が発掘されたことは特徴的である。 死者への捧げものではないかと推察される[32]

龍献寺

龍献寺石碑

離湖にはかって龍献寺(りょうごんじ)が存在した。1276年建治二年)、永平寺の五世義雲が観音霊場巡礼のため成相山に登山したところ、異端を感じる方角があり、現地を訪れたところ、そこは網野小浜地区の美しい湖があるところだった。村民が離湖にあった離島に建立したのが龍献寺の起源である。当時は丹後国第一の大寺として知られ、[33]曹洞宗、本尊は釈迦牟尼如来、山号は湖秀山である[34]。丹後に末寺38ヶ寺、孫末寺13ヶ寺を有していた[35]。 なお2020年の離湖には龍献寺の跡地を示す石碑のみで、寺そのものは竹野郡網野町木津に移っている。 1631年寛永八年)に岡田村滝上に移され、1683年天和三年)、竹野郡網野町木津に移された[34]。 離湖から龍献寺がなくなった経緯は諸説ある。 ひとつは、江戸時代のはじめ、宮津藩京極高国が離湖で漁を行い、寺の境内で焼いて食べたところ、寺の僧がこれをとがめたところ、高国の怒りを買い、寺が焼き払われたしまった。寺の僧は捕らえられることを恐れ、木津に逃れている。湖底に残された石灯篭は当時のものであると言い伝えられている[36]。 他の説では、1625年寛永二年)、宮津藩主京極高広が母、惣持院の弔いのため、宮津に智源寺を創建した。その際宮津領内のすべての寺院に智源寺の末寺となることを強要した。これに古くから格式のあった龍献寺は反発、そのため藩主により1631年寛永八年)、寺は焼かれたという記載も示されている[37]。 離山には「弁天さん」と呼ばれる神社がある。かっては7月14日に弁天まつりが行われ、龍献寺も関わった。弁天まつりは復活し、離湖で「ナイヤガラ」と呼ぶ約30メートル幅の花火を行った[38]

ギャラリー

脚注

  1. ^ 『京都大事典 府域編』上田正昭・吉田光邦、平成6年3月15日、433頁頁。ISBN 4473013278 
  2. ^ 岩田貢・山脇正資『地図でみる京都 知られざる町の姿』海青社、2019年1月10日、6頁頁。ISBN 9784860993443 
  3. ^ 梅本政幸『丹後路の史跡めぐり』梅本政幸、昭和47-12-01、117頁頁。 
  4. ^ 『丹後新風土記』丹後広域観光キャンペーン協議会、2008年7月1日、48頁頁。ISBN 9784990351205 
  5. ^ 梅本政幸『丹後路の史跡めぐり』梅本政幸、昭和47-12-01、118頁頁。 
  6. ^ 網野町史編纂委員会『網野町史』京都府竹野郡網野町役場、昭和35-04-15、62頁頁。 
  7. ^ 離湖(はなれこ)”. 丹後広域振興局 丹後土木事務所. 2015年10月15日閲覧。
  8. ^ 『網野町史』山下光太郎、昭和35-04-10、62頁頁。 
  9. ^ 離湖公園 はなれここうえん”. 日本海トラベル. 2015年10月15日閲覧。
  10. ^ a b c d e 「離湖公園が完成 4月4日 竣工式と記念フェスタで完成を祝う」『広報あみの』網野町、1993年4月号、第380号、pp. 10-12
  11. ^ 京都府の自然と名勝、京都府、1951、P17
  12. ^ 京都府の自然と名勝、京都府、1951、P17
  13. ^ 山陰海岸ジオパーク、山陰海岸ジオパーク推進協議会、2012、P18
  14. ^ 山陰海岸ジオパーク、山陰海岸ジオパーク推進協議会、2012、P18
  15. ^ 田中正明『日本湖沼誌Ⅱ』岩坂泰信、2004年、277頁。 
  16. ^ 『京都府網野町文化財調査報告第7集 離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、平成5年3月、p4頁。 
  17. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、4頁。 
  18. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、10頁。 
  19. ^ 佐藤仁威 中江忠宏『丹後の魅力』NPO法人全国まちづくりサポートセンター、46頁。 
  20. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、11頁。 
  21. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、24頁。 
  22. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、6頁。 
  23. ^ 網野町教育委員会『離山古墳・離湖古墳発掘調査概要』網野町教育委員会、8頁。 
  24. ^ 『網野町の遺跡』網野町教育委員会、8頁。 
  25. ^ 京丹後市考古資料 京丹後市資料編 京丹後市 2010年 P212
  26. ^ 京丹後市考古資料 京丹後市資料編 京丹後市 2010年 P212
  27. ^ 京丹後市考古資料 京丹後市資料編 京丹後市 2010年 P212
  28. ^ 山陰海岸ジオパーク ジオサイトガイドブック 山陰海岸ジオパーク推進協議会 2012年 P18
  29. ^ 山陰海岸ジオパーク ジオサイトガイドブック 山陰海岸ジオパーク推進協議会 2012年 P18
  30. ^ 網野町史 網野町史編纂委員会 2012年 P20
  31. ^ 京丹後市考古資料 京丹後市資料編 京丹後市 2010年 P212
  32. ^ 京丹後市考古資料 京丹後市資料編 京丹後市 2010年 P212
  33. ^ 網野町誌編さん委員会編『網野町誌 下巻』網野町役場、1996年、p.125-126
  34. ^ a b 上田正昭・吉田光邦監修『京都大事典 府域編』淡交社、1994年、p.566
  35. ^ 佐藤仁威・中江忠宏著『もっと知りたい伝えたい丹後の魅力』NPO法人全国まちづくりサポートセンター、2008年、p.46
  36. ^ 『丹哥府志』世界聖典刊行協会、1979年、p.361-362
  37. ^ 網野町誌編さん委員会編『網野町誌 下巻』網野町役場、1996年、p.128
  38. ^ 離湖はビュースポット 湖水に映る青空と緑の水絵が心を和ませる 小浜区 京丹後市ホームページ

関連項目

外部リンク

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