トヨタ・クラウン
クラウン(CROWN)は、トヨタ自動車が生産する大型の高級乗用車。国産車を代表する車種のひとつである。
概要
- 1955年の発売以来、モデルチェンジを繰り返し、現在のモデルは12代目となる。公用車や企業の社長車、タクシー、ハイヤー、自動車教習所の教習車などにも多く使われている。名前は「王冠」の意味であり、初代から現行型までフロントグリルの車種別エンブレムにも使用されている。
- トヨタが想定している競合車種は、日産・フーガ、ホンダ・レジェンドなどである。自動車情報誌等には価格帯による比較でレクサスISやスカイライン等も検討対象としているものもあるが、ユーザー嗜好が異なることに加え、公用車や多くの企業に社用車として用いられることも多いという特殊性を鑑み、トヨタ内では競合とは設定していない。また輸入車では、メルセデス・ベンツ Cクラス・Eクラス、BMW・5シリーズ、アウディ・A6などを標的とする。
- 車体形状は現在セダンのみだが、以前はステーションワゴン、ライトバンもあった。かつての主流モデルは、ボディスタイルを優先してドアの窓枠を省略した4ドアピラードハードトップタイプのセダンであったが、1999年発売の170系から、乗降性や静粛性能の改善のため窓枠を持つ一般的なセダンとなった。セダンには、マークII80系をベースに車体を5ナンバーサイズ及び中型タクシーの枠内に納め、耐久性やランニングコストを重視したクラウンコンフォート、さらにこれをベースに装備及び内外装を充実化したクラウンセダンというモデルがある。前者はタクシーなどの営業車専用モデル、後者は一般ユーザー向けモデルとしても市販されているものの、主に公用車や個人タクシー向けである。
- かつて「いつかはクラウン」のキャッチコピーに代表されるように高級車としての認識を持たせることに成功した。また、信頼性や耐久性の高さから、タクシー・ハイヤー、教習車、パトロールカー等の業務用車両や公用車として使われることが多い。
歴史
初代(RS型-S30系:1955年-1962年)
- 1955年1月に登場。他の日本国内メーカーが国外メーカーとの提携により乗用車作りの手法を模索するなか、トヨタは純国産で高級乗用車を作り上げた。観音開きのサイドドアが外観上の最大の特徴である。同年末には、真空管式カーラジオ・ヒーターなどを装備し、当時の高級車の概念を具体化した「トヨペット・クラウン・デラックス」が登場している。
- エンジンは1953年に先行登場したトヨペット・スーパーから流用されたR型1500cc, 48psである。またフロントサスペンションは国産初の前輪独立懸架方式である。当初から純自家用として設計されたため、トラックシャシーを用いた実質的な兄弟車である「トヨペット・マスター」も同時発売された。
- デビューしてから約1年後の1957年には「ロンドン-東京五万キロドライブ」という、当時としては壮大な計画が実施される。これにより耐久性が実証され、「ロンドンからトヨペットで」のキャッチコピーで話題をさらった。また、豪州ラリーに出場して見事完走。総合47位、外国賞3位の成績を残した。
- 1958年10月のマイナーチェンジでは、オーバードライブが採用され、1959年10月には、ディーゼル車が追加された。1960年10月のマイナーチェンジでは小型車規格の拡大に伴い、デラックスに3R型1900ccエンジンを搭載したモデルが登場している。また、同時に国産乗用車初のAT車「トヨグライド」を搭載した。1961年4月にはスタンダードにも1900ccモデルが追加された。
輸出仕様(RS-L型)
アメリカ合衆国に輸出・販売された左ハンドル仕様である。販売名は「トヨペット・クラウン(Toyopet Crown)」。今日に続くトヨタの対米輸出車の第1号であり、トヨタ自動車工業(当時)とトヨタ自動車販売(当時)の共同出資により設立された米国トヨタ自動車から1957年10月に発売された。搭載エンジンは、当初1500ccであり、後に1900ccに変更された。パワー不足や高速走行性能の不備により、1960年12月までには販売中止となった[1]。
2代目(S40系:1962年-1967年)
- 1962年9月に登場。新しい小型車規格に合わせ、先代より長く幅広いボディが与えられ、近代的なルックスへ生まれ変わった。デザインは当時のアメリカ車の影響を強く受けた美しいものであり、フォード・ファルコンを手本にしたという。キャッチコピーは「クラウンによせられる信頼」。「この王者の貫禄。堂々たる風格の中に、素晴らしい高性能を秘めて走る、トヨペット・クラウン・デラックス」と謳っている。
- バリエーションはこれまでのセダンに加え「カスタム」と呼ばれるワゴンが加わり、3車種いずれにもトヨグライド車が用意された。
- また、商用モデルのバン、ピックアップ、ダブルピックには「マスターライン」の別名が与えられている。エンジンは当初4R型1900ccのみで、リアサスペンションは、スタンダードがリーフリジッド、デラックスが4リンクリジッド&コイルスプリングで、運輸省指定の車両型式は、それぞれ、「RS40」、「RS41」となった。
- 初期型は「涙目」と呼ばれるテールランプとトヨタの頭文字である「T」をモチーフとしたジュラルミン製のフロントグリルが特徴的である。1年後の1963年9月にはグリルの大型化とテールランプの形状変更が行われ、同時にトヨグライドは完全自動化された。また1964年4月には、上級車種の「クラウン・エイト」(VG10型)が登場している。クラウン・エイトは通常モデルのボデーを前後左右に延長・拡幅して新開発のオールアルミV8エンジンを搭載したもので、この後登場するセンチュリーのパイロット・モデルというべきものであった。
- 1965年7月のマイナーチェンジでは、デラックスとスタンダードの中間に位置する個人ユーザー向けの「RS40-B」(後に「オーナースペシャル」となる)が追加されるとともに、外観もフラッシャーのバンパー埋め込みやテールランプのデザイン変更が行われた。さらに同年11月には新開発のM型,2000cc6気筒エンジンが追加された。この6気筒モデル(MS40型)にはデラックスのほかに、フロントディスクブレーキ、ツインキャブ、フロアシフト、タコメーター等を装備したスポーティーグレードの「S」も用意された。その後の「アスリート」や「ロイヤルツーリング」などの祖先といえるグレードである。
- カスタム、スタンダード、オーナースペシャルの3グレードには1966年3月に6気筒エンジンが追加された。同年11月に最後のマイナーチェンジを受け、最上級グレードとして「スーパーデラックス」が追加された。翌1967年9月にMS50系・RS50系にモデルチェンジする形で生産終了した。
- 2004年1月に、トミーテックより1/64スケールモデル「トミカリミテッドヴィンテージ」のバリエーションとして発売された「トヨペット クラウン」は、この2代目クラウンの初期型(デラックス)である。
3代目(S50系:1967年-1971年)
- 1967年9月に登場。トヨタ自動車工業(トヨタ自工)が前年に完成させたデザイン・ドームから生まれた最初の車種である。「日本の美」を追求したスタイリングは先代よりさらに低く、長くなり、曲面ガラスの採用によって安定感を増した。
- 先代・先々代で築き上げた法人ユーザーからの評価に加え、この代からは個人ユーザーもターゲットとすべくトヨタは大々的なキャンペーンを行う。ボディーカラーを法人需要をイメージさせる黒から、高級感と清潔感のある白へとイメージチェンジを図り、現在も広告史に残る「白いクラウン」のキャッチコピーでキャンペーンを展開した。このキャンペーンは結果として大成功を収め、同クラスでクラウンは圧倒的なシェアを獲得し、月販も4000台から6000台と、名実共に国産高級車をリードする存在となる。
また個人ユーザーをターゲットとした新グレード「オーナーデラックス」を設定し、イメージキャラクターに山村聡を起用。デラックスに準じた内外装や装備を持ち、88万円(東京・大阪店頭渡し)という高級車としては安価な価格で販売された。このグレードの設定により、クラウンは「ハイオーナーカー」としての顔も持つことになる。
新聞広告では「白いクラウンは幸せなハイライフの象徴、しかもお求めやすい価格です」と謳い、「ハイライフ」の言葉は流行語となった。当時のテレビCMも、雪原をバックに山村聡と白いオーナーデラックスを登場させるなど、新聞広告と共通のイメージに仕上がっていた。なおこのキャンペーンは、当時まだ目の向けられなかった中高年マーケットの開拓を促すきっかけともなった。
- なお、このクラウンに使用されたホワイトカラーは2004年に発売されたクラウン生誕50周年記念車(S180型)に「メモリアルホワイト」として復刻されている。
- ボディバリエーションは先代と変わらないが、この代から商用車系(バン、ピックアップ)にもクラウンの名が与えられるようになった。カスタム(ワゴン)はリアドアが横向きに改められ、さらに横向きのサードシートが設けられ8人乗りとなった。メカニズム的には、その後長く用いられるペリメーターフレームが初めて採用された。静粛性はロールス・ロイスより静かだと自負するフォード・ギャラクシーを目標とし、これに匹敵する静粛性を得ている。当時のアメリカの安全基準を上回る厳しいトヨタ独自の安全基準を満たし、この当時の乗用車としては最高の安全性を確立したことも特筆される。
- エンジンはM型系を先代より引き継ぐほか、廉価グレードの4気筒エンジンが2000ccの5R型に改められている。グレードはM型搭載車が「クラウンS」「スーパーデラックス」「デラックス」「オーナーデラックス」「スタンダード」、5R型搭載車は「オーナースペシャル」「スタンダード」という構成。クラウンS・スーパーデラックス・デラックス・オーナーデラックス・スタンダードのM型搭載車についてはそれぞれで設定が異なり、ワイドバリエーションに対応した形となった。
スーパーデラックスには電磁式トランクオープナーや完全自動選局式AM/FMラジオ、音叉時計、後席専用の読書灯といった豪華装備が採用されている点が特徴。なおオーナーデラックスを除き、価格は全て据え置きとなった。
セダンの丸型4灯ヘッドランプから角型2灯ヘッドランプとなり、スポーティーさと個性を主張したエクステリアが特徴的で、グレードは「HT」「HT-SL」の2つのみ。これによりクラウンSは消滅した。SLにはパワーウィンドウ・タコメーター・軽合金の特注ディスクホイールなどが標準装備され、またオプションでレザートップ装着車も選択することができた。
- 1969年には、ハードトップにも「スーパーデラックス」が追加されている。同時にセダンのスーパーデラックスのみ前席の三角窓が廃止された。
4代目(S60、70系:1971年-1974年)
1971年2月に登場。この代から正式名称が「トヨペット・クラウン」から「トヨタ・クラウン」に改称されている。
その滑らかなスタイリングから一般に「クジラ」「ナマズ」とも呼ばれる。ボディバリエーションはピックアップが廃止され、4ドアセダン、2ドアハードトップ、カスタム(ワゴン)/バンの3本立てとなった。
登場初期のキャッチコピーは「エレガンツ・クラウン―世界が見つめる」。3代目は「白いクラウン」キャンペーンやハードトップの追加で個人ユーザー層を開拓し大成功を収めたが、この4代目は顧客の要望に応え、車種バリエーションを大幅に拡充、性能・装備のグレードアップや新技術の採用が図られた。
グレードは、4ドアセダン・2ドアハードトップ両方に最上級グレードとして新たに設定された「スーパーサルーン」を筆頭に、セダンが「スーパーデラックス」「デラックス」「オーナーデラックス」「クラウン」、ハードトップは「SL」「スーパーデラックス」「ハードトップ」とセダンに準じた構成となった。またバンにも「デラックス」が設定された。
また装備面ではESC(電子制御式スキッドコントロール装置:後輪のみのABSのはしり)・EAT(電子制御式自動変速機)をSLに、オートドライブをSL、スーパーサルーン、オーナーデラックスにオプション設定したことなどが挙げられる。
1971年4月には、2600ccエンジン(4M型)を搭載したモデル(3ナンバー登録)が登場し、高級車化に拍車がかかった。
初代セリカを髣髴とさせる(特にハードトップ)時代を先取りしたスピンドル・シェイプ(紡錘形)と呼ばれる丸みを帯びたスタイルが最大の特徴であったが、あまりにデザイン先行であったスタイリングがユーザー層(当時のユーザー層は現在と違い大変保守的な思想のユーザー層が殆どだったといわれている)に敬遠されたうえ、特徴的なフロントグリルは通風性が悪くオーバーヒートを起こしてしまうなど実用性の問題もあり、同時期にモデルチェンジして姉妹車となったセドリック/グロリアの後塵を拝した(ちなみに後にも先にもセドグロの後塵を拝したのはこの代だけである)。1973年2月のマイナーチェンジではボデー同色一体型だったバンパーをクロームの大型にしたりするなど「高級車クラウンらしく」するリデザインが施されたが、人気の回復には至らなかった。そのためか「クラウン史上最大の失敗作」と言われている。
マイナーチェンジ時のキャッチコピーは「あなたにとって大事な人は…」「大事な人を大事にはこぶ こんどのクラウン」。またこの時に、3代目から同車のCMに出演していた山村聡と共に吉永小百合がイメージキャラクターとして起用され、CMには6代目最終モデルまで出演していた。
なお、CMや新聞広告・パーツカタログ用として使われていた『クラウン』のロゴ(カタカナ表記)はこの代から書体が一新され、8代目まで使われる息の長いものとなった。
5代目(S80-100系:1974年-1979年)
- 1974年10月に登場。キャッチコピーは「美しい日本のクラウン」。先代の反省からか、一転して重厚感を強調したスタイリングに改められた。ボディバリエーションはこれまでの4ドアセダン、2ドアハードトップ、カスタム(ワゴン)/バンに加えて、4ドアピラードハードトップが加わった。
- 先代まで2000cc車(5ナンバー登録)、2600cc車(3ナンバー登録)共に最上級グレードは「スーパーサルーン」の名称だったが、2600cc車の最上級グレードに「ロイヤルサルーン(Royal Saloon)」のグレード名が初めて与えられた。デビュー当初はセダンのみの設定であり、2ドアハードトップ、4ドアピラードハードトップにはマイナーチェンジ時から設定された。
- この代から、タクシー用スタンダードは当時まだ大型であったタクシーメーターをインパネを改造することなくセンタークラスター(車載機器を取り付ける枠)をタクシー専用に対応させ、またタコグラフをスピードメーターの左隣にビルトイン可能になった。オプションの冷房は他グレードがエアコンであるのに対し、吊り下げ式クーラーである。
- 5代目は同時期の国産他車種の例に漏れず、年々厳しくなる排ガス規制に翻弄されたモデルである。一方、4輪ディスクブレーキの新採用(2600ロイヤルサルーン)、車速感応式のパワーステアリング、オーバードライブ付き4速オートマチック(1977年に追加。世界初)、ディーゼルエンジン車の復活(1977年)+オーバードライブ付きオートマチック(1978年、ただし北海道地区は設定無し)など、安全・燃費対策の為の新装備が多数設定されていたのも特長である。なお、先代から設定されたESCは新設計となり、作動時のフィーリングを向上させている。
- 上級指向ニーズに対応すべく、この頃のトヨタ車の例に漏れずエクストラインテリアを採用した「スーパーサルーン・エクストラ」が1977年に設定され、そのコラムシフト車にはラウンジシートが採用された他、ハードトップにはデラックスをベースに、タコメーター/チェック柄部分ファブリックシート/ウッドステアリング・シフトノブ/アルミホイールが装備されたデラックス・カスタムエディションも設定された(飾りホイール標準のSグレードもあり)。
- ちなみに、カタログなどで使用された英字表記の『CROWN』ロゴは、この代から11代目まで全く同じ物が使われていた。
6代目(S110系:1979年-1983年)
- 1979年9月に登場。キャッチコピーは「日本の薫り」「美しい日本の新しいクラウン」。スタイルはキープコンセプトであるが、より直線的なイメージとなった。エンジンは上級グレード(ロイヤルサルーンとスーパーサルーン)が2600ccから2800ccの5M-EU型に変更されている。その他はガソリン2.0LのM-EU型.M-U型。LPGの5R-U型、ディーゼル2.2LのL型を搭載。
1980年6月にはクラウン初のハードトップ系に電動スライド式のシェード付のガラスサンルーフムーンルーフがオプション設定された。
1980年11月には排ガス対策が一段落したなか、パワーアップに力が注がれたのと日産セドリック/グロリアに対抗してSOHCターボ車(M-TEU型エンジン)が追加される。同時に既存モデルはパワーウインドにウインドロックが追加され、STDを除く5ナンバー車はバンパーガードのコーナー部分の大型化がされた。ロイヤルサルーンには完全自動空調の前後独立温度調節可能なマイコンオートエアコンが設定(セダンと4ドアハードトップコラムシフトのラウンジシート車)。ステーションワゴンにパワーウインド・飾りホイール&ラジアルタイヤを装備した25周年記念特別仕様車が200台限定で発売。
- 1981年8月のマイナーチェンジではフロントグリル・テールランプデザインが変更されセダン(STD除く)/ワゴンは異型2灯式ヘッドライトに変更され、フォグランプが追加された。(ハードトップ全車とセダン/ワゴンの中級グレード以上)先にソアラに採用された2800ccDOHCエンジン(5M-GEU)&ECT(電子制御式オートマチック)搭載車が追加され、2000ccのベーシックエンジンも長年使われたM-EU型から1G-EU型に変更されたと同時に5代目以来の上級グレードのスーパーサルーンエクストラを追加。同時に従来からの5M-EU搭載の2.8L車、2.0LのM-U型・M-P型(LPG)・5R-U型(LPG)は引き続き継続。
- 1982年8月には96馬力を発揮する2.4Lターボディーゼル(AT車は電子制御型2L-TE、MT車は分配型2L-T)搭載車が追加される。
- このモデルの後期型4ドアハードトップは、3ナンバー車のフロントグリル中央が前方へ突き出た様式が鬼面のような形相であることから一部では「鬼クラ(鬼面のクラウン)」もしくは「ベンツマスククラウン」と呼ばれ、初代ソアラ、クレスタ同様に暴走族に好まれた。
- この6代目にはクラウン史上最後となる2ドアハードトップが存在し、ルーフ後部をレザー貼りとしたランドウトップがオプション設定されていた。「トーニング」と呼ばれるツートンカラー/運転席パワーシートはS110系で初めてクラウンに採用された他、クルーズコンピュータ(後期型から“ナビコン”も選択可能となる。ただし北海道仕様は6代目では設定無し)、ソアラで初採用されたエレクトロニック・ディスプレイメーター(デジタルメーター、後期型のハードトップ系ターボ車から)などの先進的な設備も採用された。また、オーディオの電子チューナーもこの代から採用された。モデル末期には、ブロンズガラス、エレクトロニック・ディスプレイメーター(1G-EU搭載車はこのモデルのみ)を装備したお買い得な特別仕様車「エクレール」も登場している。キャッチコピーは「ちょっと誇らしく」。
- またセダンには主として法人タクシー専用グレードである「タクシースタンダード」も設定されている。このグレードはインパネがタクシー専用設計がされており冷房装置も吊り下げ式クーラーとなっている。
7代目(S120系:1983年-1987年)
- 1983年9月に登場。現在も語り継がれる「いつかはクラウン」のキャッチコピーはこのときに生まれている。CM出演は無かったが、ナレーションで石坂浩二がこのキャッチコピーを唱えた。またラジオCMで「高性能を意識すること無く、それでいて意のままになる走りがあります」と表現していた(石坂は以後も永らく各車種のCMの末尾に、1984年初頭から1989年頃にかけて使われたコーポレート・ステートメント「Fun To Drive」に続けてトヨタ販売店の名前・「トヨタです」「トヨタオートです」「トヨタビスタです」というコールを担当した)。サブキャッチコピーは登場時が「ロイヤル・ツインカム」、1985年9月のマイナーチェンジ時は「ロイヤル・パフォーマンス」である。
- セダン・4ドアハードトップ共に、「クリスタル・ピラー」と呼ばれるCピラー周りの樹脂処理がスタイリングの特徴である。また4ドアハードトップの3ナンバー車のみ、クラウンを象徴する「王冠」のエンブレムがグリル上端に配置されていたが、マイナーチェンジで中央に配置される形へと戻っている。
- ボディバリエーションは2ドアハードトップが廃止され(1981年に登場したソアラが実質的な後継車となる)、4ドアセダン、4ドアハードトップ、ワゴン/バンの3本立てとなっている。この代から、現在まで最高級グレードとして君臨する「ロイヤルサルーンG」が登場した他、2000DOHCを搭載する5ナンバーのロイヤルサルーン、ハードトップ後期モデルではスーパーサルーンの替わりにスーパーセレクトが設定され、ワゴンにはスーパーサルーン(後期はスーパーサルーンエクストラ)など、多岐に渡るグレード展開がなされた。またパッケージオプションとして、足回りが専用となるスポーティータイプの「Sパッケージ」も設定された。
- エンジンは上から5M-GEU 2800DOHC、 1G-GEU 2000DOHC、 M-TEU 2000SOHCターボ、 1G-EU 2000SOHC、 M-PU 2000SOHC・LPG6気筒、 3Y-PU 2000OHV・LPG4気筒、 2L-T 2400SOHCターボディーゼル、 2L 2400SOHCディーゼル。110型まで設定されていた5M-EUは廃止された。サスペンションもDOHCエンジン車にはクラウン初の後輪独立懸架が与えられた。
- 1984年8月には上級グレード(ロイヤルサルーンG、ロイヤルサルーン)のエンジンが2800ccから3000ccの6M-GEU型に変更され、ディーゼルには2L-THE(オートマチック車)が追加された。キャッチコピーは「ロイヤル・ツインカム3000」。
- 1985年9月のマイナーチェンジでは、2000ccDOHCエンジン+スーパーチャージャーの1G-GZEU型エンジン搭載車(日本初のスーパーチャージャー搭載車となった)が加わり、引き換えにSOHCターボのM-TEU型搭載車が廃止された。
- メカニズム面で従来型と大きく異なるのはリアサスペンションにセミトレーリングアーム式コイルばねを採用し、4輪独立懸架となり「フルフローティングボデー」と謳っていた(ただしこれはロイヤルサルーン以上のみに採用された)。
- なお特別仕様車として、前期型のみスーパーエディションをベースとした「エクレール」が先代に引き続いて設定された。後にスポーティーグレードとなる「アスリート(Athlete)」の名称もこの時に初登場するが、当時は「特別企画車」として発売されていた。前期型はスーパーエディションをベースに1G-GEUを搭載したものだったが、後期型ではスーパーセレクトをベースに1G-GZEUを搭載したものとなる。両方ともフロントスポイラーや専用のサスペンションが装備された。
- LPG仕様の営業車モデルも最上級グレードに「スーパーデラックス」が追加され、個人タクシー・ハイヤーのグレードアップを行うきっかけにもなった。
- このS120系から次のS130系にかけてハイソカーブームが爆発し、若年層にも支持されるようになる。免許を取って最初に乗ったクルマがクラウン、という例も少なくなかった。
- 歴代クラウンの中で最も角ばったボディを持っていることから旧車乗りからは「戦車クラウン」と呼ばれ、根強いマニアもいる。
8代目(S130系:ハードトップ1987年-1991年/セダン1987年-1995年/ワゴン・バン1987年-1999年)
- 1987年9月に登場。メインキャッチコピーは「満たされて、新しいクラウン。」「日本の誇りと歓び」。サブキャッチコピーは「“いつかはクラウンに”その想い、今こそ。」「いつまでも、クラウン。」と,先代の名コピーを継承したものであった。
- 4ドアセダン、4ドアハードトップ、ワゴン/バンの3本立ては変わらないが、4ドアハードトップには3ナンバー専用「ワイドボデー」が追加されている。それまでの3ナンバー車の常識(この130系のセダンやワゴン含めて)が「5ナンバー枠のボディ+大型のバンパー・サイドモール」でサイズアップされていたのに対し、大型のバンパーは勿論、ドアやフェンダーまで3ナンバー車専用としたこの試みは画期的であったが、ワイドボデーによる室内空間の拡大はみられなかった。デザインは従来の面影を色濃く残しながらも、当時のトレンドに沿い曲線を巧みに織り交ぜたものとなっている。
- 装備・技術面ではエアサスペンション(ロイヤルサルーンG)、エレクトロマルチビジョン(ジャイロによる自立航法を利用した地図表示機能を含む集中制御装置)などが目新しい。エンジンは上から7M-GE 3000DOHC、 1G-GZE 2000DOHCスーパーチャージャー、1G-GE 2000DOHC、 1G-E 2000OHC、 2L-THE 2400SOHCターボディーゼル高出力仕様(AT用)、 2L-TE 2400SOHCターボディーゼル(MT用)、2L、2400SOHCディーゼル、3Y-P 2000OHV、M-P 2000OHC
- 翌1988年9月に2000ccのベーシックエンジンがハイメカツインカムの1G-FE型へ変更された(バンは1G-Eのまま)。キャッチコピーは「誇りと歓び-わがクラウン」。ATシフトロックシステム採用。1G-GE、1G-GZEを改良し、出力向上。
- 1989年8月のマイナーチェンジではセルシオに先行してV8、4000ccエンジンの1UZ-FEが搭載された。1964年に登場したクラウン・エイトを除くと初のV8搭載車であり,後のクラウンマジェスタの源流となる。フロントグリル、フォグランプ、リアテールランプ、ステアリングのデザインなどが変更された。同時期に税制が改められ、税額がナンバー区分ではなく排気量で決定されるようになったため、ワイドボディの2000cc車(2000ロイヤルサルーン・ワイドボデー)も登場している。3000cc7M-GEがレギュラーからハイオク対応化。また6気筒LPGのエンジンも長らく搭載されたM型にかわってツインカム24LPGの1G-GPに換装された。バンも1G-FEに換装した。
- モデル末期の1990年8月には1JZ-GE型エンジン搭載の2500ccモデル(セダン/ハードトップ/ワゴン)も追加され,次世代への準備が整えられていった。2500ccのロイヤルサルーンが登場で、3ナンバーの2000ccDOHC(1G-GZE)搭載車のロイヤルサルーンと5ナンバーの2000DOHC(1G-GE)搭載車のロイヤルサルーンは廃止されて、スーパーチャージャー車はハードトップの5ナンバーのみとなった。またワゴンの3ナンバー車(2500ロイヤルサルーン)も登場した。1975-77年まで存在していた「2600カスタム」以来である。
- グレードはロイヤルサルーンG、ロイヤルサルーン、スーパーサルーンエクストラが基本となる。ハードトップにはスーパーセレクト、スーパーエディション,セダンにはスーパーサルーン、スーパーデラックス、デラックス、スタンダードが加わる。ワゴンはロイヤルサルーン、スーパーサルーンエクストラ、スーパーデラックス。バンはスーパーデラックス、デラックス、スタンダードである。前期型のハードトップのみ,スーパーセレクト等にロイヤルサルーン譲りのスーパーチャージャー、ジャガードモケット内装、アルミホイール、専用フロントアンダースポイラーなどを奢った特別仕様車「アスリート」が設定された(1989年2月登場)。ロイヤルサルーンに近いものであった。1989年8月のマイナーチェンジでアスリートL(3000 7M-GE)として正式なカタログモデルとなる。
- グレードだけでなく搭載エンジン、トランスミッションの種類、またパッケージオプションや特別仕様車等も多く、ラインアップは膨大なものとなった。
- 時はバブル全盛期であり、月間販売台数で一時カローラを上回ったこともあった。販売台数も1988-90年は国産車・トヨタ車の販売ランキングではカローラ・マークⅡに次ぐ第3位を記録。1990年は歴代・過去最高の205259台を記録した。特にV型8気筒エンジン搭載モデルは、現在では安く入手できることから、今もなお人気がある。この代のクラウンが同期のセドリック、グロリア、シーマと共にVIPカーブームの土台を作ったといってもいいだろう。
- 1991年10月に4ドアハードトップは140系にフルモデルチェンジされたが、セダン・ワゴン・バンは130系が大規模なマイナーチェンジを受けて継続生産(特にセダンはボディ全体の大半以上のスキンを刷新し外見だけに限ればほとんどフルモデルチェンジに近い。またワゴン・バンはフロントノーズ周辺のみのスキンを刷新)された。4000㏄1UZ-FE型エンジン廃止、3000cc7M-GEを2JZ-GEに換装。セダンは1995年12月の150系の登場と共にモデルチェンジ、ワゴン・バンにおいては1999年12月の170系クラウン・エステート登場まで継続生産された。
- このモデルのセダン、ワゴン、バンのヘッドライト、バンパーをタクシー純正パーツ(丸目ヘッドライト、メッキバンパー)に交換する改造が一部で流行している。またこれらの改造車も含め純正ベンコラ車(ベンチシート・コラムシフトの車両)は販売台数が少ないため改造車・グレード関係なく中古で高く流通している。
- 1997年4月 ワゴンの2500cc1JZ-GEをVVT-i化。
- 1999年12月15日 後継車のクラウンエステートの登場の伴い、ワゴンは生産終了した。(バンも生産終了)
9代目(S140系:1991年-1995年)
- 1991年9月登場。キャッチコピーは「すべては、クラウン」。ボディはすべて3ナンバー化した。この代から従来の4ドアハードトップは「ロイヤルシリーズ」と呼ばれ、アスリートLに代わるスポーティーグレードとして「ロイヤルツーリング(Royal Touring)」が登場し、5速ATを搭載した。また、新たに上級モデルとして「クラウンマジェスタ(CROWN MAJESTA)」が発売され、クラウン史上初のモノコックボディを採用した。セダン、ワゴン/バンについては、先代の130系が大幅なマイナーチェンジを受けて継続生産された。
- この代から、先代まで最廉価グレードとしてのスーパーエディションが廃止された。グレードは、上からマジェスタC、B、A、ロイヤルサルーンG、ロイヤルサルーン、ロイヤルツーリング、スーパーサルーンエクストラ、スーパーセレクト。
- 初期のCMはマジェスタとの連合CMであった。
- ロイヤルシリーズは、前期型のリアスタイルが「クラウンに相応しくない」という批判が殺到した。ナンバープレートをバンパーに配し、テールランプを横一文字に繋げたスタイルは当時のV30系カムリやE100系カローラ、T170系-190系コロナなどに見られた手法ではあったが、クラウンの場合はマジェスタとの差別化とはいえ、かえって安っぽく見えるスタイルとなってしまった。そのため、4代目のS60/70系(クジラクラウン)程ではないが失敗作のレッテルを貼られてしまう結果となった。
- S140系前期モデルでは後席ドア後ろにあるCピラーに王冠のオーナメント(エンブレム)が無い。同時期に販売されていたS130系セダンも同様だったが、クラウンの王冠マークをステイタスとする一部のオーナーから不評で、パーツを取り寄せて貼り付けるオーナーもいた。(ハードトップの後期モデルから復活。)
- その為、早くも登場から1年後の1992年10月には、「車格感の向上」の為、木目調センターパネルの全車採用、グリルメッキの明色化、ドアハンドルがボディー同色塗装からメッキされたものになるなどの小変更が実施されている。
- 同時にロイヤルサルーンなど130系から継承されたグレード群を「プレステージサルーン」シリーズ、ロイヤルツーリング系グレードを「オーナープレステージ」シリーズと呼称する様になる。前者は4席重視の伝統的高級車。後者は前席重視、オーナードライバー志向の新感覚高級車という振れこみであった。
- 1993年8月にマイナーチェンジを受け、不評だったリアスタイルは先代の130系後期型に似たイメージへ戻された。キャッチコピーは「新しいクラウンが、動き出す。」「あの人が、乗っている」。2400㏄ターボディーゼルエンジンを2L-THEから2L-TEに換装。
- 1993年12月、1G-FE搭載車復活。
- 廉価グレードに「スーパーセレクト・ロイヤルエクストラ」を追加。ロイヤルサルーンには手が出ない、しかしせっかくクラウンを買うのだから、というオーナーのために、エンブレムはスーパーセレクトの「SuperSelect」は一切無く、「Royal」のみで、Royalのあとにエクストラを表す「E」という単独エンブレムが付いている。ロイヤルエクストラのオーナーがエンブレムを交換してロイヤルサルーンにしているというケースも少なくない。
10代目(S150系:ハードトップ1995年-1999年 セダン1995-2001年)
- 1995年9月登場。キャッチコピーは「美しく、走る」。「どこから見てもクラウン」。この代の最大の特徴は、ロイヤルシリーズにもようやくフルモノコックボディーが採用されたことである。これにより、先代モデルと比較して100kg以上の軽量化に成功した。保守的で、120系や130系を思わせる角張ったスタイリングのロイヤル系は、人気が高い。一方マジェスタは個性的なデザインで、その後のクラウンに新たなデザイン性を追求させる契機となった。ハードトップ(個人向け、その他)、セダン(法人・公用車、キャブ仕様、その他)のフルラインナップ化(スタンダード-ロイヤルサルーンG)はこのモデル以来、行われていない。バブル崩壊の煽りを受けてコスト削減が進み、ロイヤルサルーンGにあったエアサスペンションは廃止。プラットフォームは1クラス下の90系マークIIをベースとしている。
- 主力となるハードトップはグレードが整理され、それまで「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーセレクト」の名称だった廉価グレードは全て「ロイヤルエクストラ(Royal Extra)」に統一されている。
- 1995年12月 セダンをフルモデルチェンジ/クラウン初の4WD車追加。
- ちなみに、3Lの2JZ-GEエンジンは、当初からVVT-i搭載である。
- 1997年8月にマイナーチェンジを実施。キャッチコピーは「クラウンを教えてください」。衝突安全ボディGOA採用、SRSサイドエアバッグ採用、VSC(横滑り防止機構)の装備拡大等、安全面で大きく進歩した。装備の面でも7インチワイド画面を採用したエレクトロマルチビジョン、マルチリフレクター式ヘッドランプディスチャージヘッドランプ(ロイヤルツーリングのみ、ロイヤルサルーンは特別限定車で採用)、クラウン初となるオプティトロンメーターの採用(ロイヤルサルーンGのみスペースビジョンメーター)など、現代に通ずる装備が用意される事となった。また、ロイヤルツーリングの外観には16インチアルミホイールとゲート式シフトレバーが採用され、ロイヤルサルーンとの差別化が図られた。
- 1998年8月 1G-FEがVVT-iに換装され160馬力へパワーアップ/3000ccにも4WDが追加/純正メーカーオプションのエレクトロマルチビジョンのナビはDVD化された。
- 後期型からは、CMキャラクターとしてバイオリン奏者の諏訪内晶子、モデル末期にはバレリーナの草刈民代が起用されていた。なお、クラウンのCMに女性のイメージキャラクターが設定されたのは吉永小百合(S60系-S110系まで)以来である。
- ちなみに、歴代クラウンはほぼミニカーとして発売されているが、唯一この10代目モデルのみミニカーの発売がされていない。(但し1/24自動車プラモデルのみフジミ模型製が4ドアハードトップロイヤルシリーズ、マジェスタ共に前期型が製品化された)
11代目(S170系:1999年-2003年)
- 1999年9月登場。キャッチコピーは「21世紀へ、人生の新しいドアを。」「21世紀へ、このクラウンで行く」「新世紀クラウン」。このモデルから、プラットフォームがプログレ、X110系マークIIと共用化された。
- ボディ剛性をより強化するため、ピラードハードトップからドアサッシュ(窓枠)を持つ通常のセダンボディに変更。自動車関係者やユーザーの一部から登場時「トヨタは法人に力を入れるのか」と揶揄された。また、従来からのスポーツグレード「ロイヤルツーリング」の名称が廃止されたことで「アスリート」の名称が復活し、14年振りにターボ搭載車も加わった。また、ロイヤルではヘッドランプがマルチリフレクター式から従来のハロゲンへと戻されている(ディスチャージヘッドランプはアスリートのみの設定)ほか、ロイヤル・アスリート共にフロントグリルとヘッドライトを分割したことで、同時期のセルシオを思わせるようなエクステリアとなった。
なお、クラウンセダンは2001年8月まで先代の150系が継続生産された。
- 2000年4月 ロイヤルエクストラに1G-FE搭載の2000cc車追加。
- 2001年8月のマイナーチェンジでは、ロイヤルサルーンにトヨタ独自のマイルドハイブリッドシステム<THS-M>を搭載するグレードが用意され、国土交通省低排出ガス車認定制度で50%低減レベル、八都県市指定低公害車認定で優-低公害車☆☆ を獲得している。キャッチコピーは「新しい技術は、恒にクラウンから」。マイナーチェンジ時から、ロイヤルにもディスチャージヘッドランプが設定されている。アスリートには17インチアルミホイール&45扁平タイヤのオプションが設定されたほか、フロントグリル・リアテールランプの形状が変更され、よりスポーティーな印象となる。その他、ロイヤル系もサイドとリアのアンダー部分が黒からボディカラーに変更された。アスリートにもブラックのボディカラーを追加。(ロイヤル系は以前から設定あり)
- この代にはヤマハ発動機の手により「アスリートVX」というスープラの足回りを移植し300psにパワーアップしたエンジンを持つモデルが限定で登場している。
前期のCMキャラクターには、仲代達矢が起用された。クラウンのCMキャラクターに男性が起用されたのは山村聡(S50系-110系まで)以来。初期のCMでは『若者たち』のオーケストラバージョンがBGMとして演奏されていた(同曲はCD化されなかった)。アスリートについてはロイヤルシリーズとは別にCMが放映されていた。キャッチコピーは「アスリートだけが知る領域がある。」「be an athlete」。
- 後継の12代目 S180系が2003年12月に登場した後も、S180系がマイナーチェンジするまで警察のパトカー向けに生産が継続されていた。(ベースは2000ロイヤルエクストラで内装がパトカー専用になっている)また、一部の警察ではアスリートGの捜査用パトカー(幹部用)が導入されている。
12代目(S180系:2003年-)
- 2003年12月22日に登場。「静から動への変革」をテーマに「全てをゼロから発想するクルマ造り」を行い、プラットフォーム、エンジン、サスペンションといった主要コンポーネントを全て一新した。特にエンジンは、長く使われた直列6気筒に代わり、この12代目からV型6気筒のGRエンジン(歴代クラウンとしては初のV6エンジン)に切り替えられた。変速機は2500ccが5AT、3000ccがセルシオに搭載されているシーケンシャルシフト付の6ATが搭載された。
- かつては「いつかはクラウン」のキャッチコピーに代表されるように、憧れと終着点としての目標だったが、上級車のセルシオやクラウンマジェスタの登場で最上級車ではなくなった事や、中年向けのイメージをずっと引きずったままでユーザーの対象年齢の高齢化が問題となっていた。
その結果、「ZERO CROWN(ゼロ・クラウン)」としてイメージを一新させている。ただし、「ZERO CROWN」は車名ではない(但し、テレビ・ラジオCMや各マスメディアなどでは「ZERO CROWN」として広告が打たれている)。また、クラウンのエンブレムも形状が新しくなっている。
- 従来の保守層向けの「ロイヤル」シリーズと、先代から設定されていたスポーティモデルの「アスリート」シリーズという2本立ては変わらないが、オーソドックスな高級感を持つロイヤル、輸入車と肩を並べるスポーティーセダンとしての顔を持つアスリートと、それぞれの個性を明確にした。
- 数代に渡って続いた保守的なエクステリアと決別し、低く短いフロントや長いホイールベース、CD値0.27を達成した流麗なボディや「書の勢い」をモチーフとしたサイドビューを特徴とする、それまでのクラウンからは考えられないほどスポーティーで若々しいものとなった。プラットフォームの一新により走行性能・操縦性を重視したアスリートはもとより、それまでは乗り心地を重視していたロイヤルでも、輸入車に引けを取らないスポーティーな走りが楽しめるようになった点も大きな特徴である。
- このように、大胆な変貌を遂げ、最初こそ一部のクラウンファンからは「こんな貫禄の無い車はクラウンじゃない」などと不評もあったが、結果的には以前のような中年層だけではなく、クラウンの課題であった若年層からも支持を得て、大ヒット作となった。
- 2004年7月5日には、上級モデルのクラウンマジェスタがモデルチェンジして、エンジンはセルシオと同じく4300ccのV型8気筒に一本化され、車体にクラウンのロゴマークは入っていない。これは2006年にセルシオがレクサスブランドに移行するにあたり、クラウンマジェスタがセンチュリーに次ぐトヨタブランドの最上級車種となるため、それを強く象徴させるためにトヨタエンブレムにしたとされている。このモデルでは、いっそうプラットフォームの共用化が進み、X110系マークIIの後継モデルとされるマークXとGRS180クラウン、UZS186クラウンマジェスタまでホイールベースはまったく変わらず2850 mmとなっている。
- 前期型のCMは、「ZERO CROWN-かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる。-」のキャッチコピーと共に、CMはそれまでのクラウンのイメージから脱却したことを追求し、音楽と映像が巧みに融合した躍動感溢れるもので、「トヨタらしからぬ出来の良いCM」として評判も高かった。この代からはロイヤルシリーズのCMは打たずアスリートのみと思われがちだが、北海道地区で流された第1作目の「大地」篇ではロイヤルサルーンFourが出ている(もともとフルCGで制作されているのでグレードを変える事は容易いと思われる)。また、第4作目の 『WIND of ZERO』篇ではオーストリアでの撮影が行われ、すれ違いのシーンでMR-Sが脇役として登場している。
- エクステリアではロイヤル・アスリート共にヘッドランプのスモーク化や、フロントグリルを従来のイメージを継承しながら立体的なものにし、より精悍なイメージとした。
アスリートは現在の3000ccエンジンからレクサス・IS350と同じ3500ccのエンジン(2GR-FSE)に変更され、出力も315psとなった。3000ccはロイヤル系のみの設定となった。2500ccは従来どおり両シリーズで展開される。2500ccはこのマイナーチェンジで6ATに変更(FRのみ。4WDは従来からの5ATを継続)。純正オーディオのCDデッキにおいてはMP3対応品となり、ナビゲーションはHDD方式となった。
- また、「キーインテグレーテッドウォッチ」という新しい設備も装着された。これは、身につけてスイッチを操作するだけでドアロックの施錠/解除、エンジンの始動/停止などの操作ができる腕時計である。
マイナーチェンジ後約1年間は、CM曲に松本晃彦の『I know your dreams』が使われた。また、2006年9月からは同じく松本が作曲した『The Spiendor』が使われている。それまで松本の曲(オリジナル)は日産・フーガのCMに使われていた。
- 2005年10月頃 S180系クラウンパトロールカーの製造が開始された(翌2006年から納車されている)。このクラウンパトロールカーは、3000ccと2500ccの2つのエンジンが設定されているが、どちらも耐久性や整備性を重視し、直噴仕様ではない3GR-FE(3000)、5GR-FE(2500)が採用された。このうち、2500ccには4WD車も設定されている。トランスミッションは、3000ccが6速ATとなるが、2500ccは5速ATである。
- マイナーチェンジでは、グリルが横基調のストライプから、チェック柄の高級志向に。
- ウインカーが、オレンジからクリアーになっている。
- 特にアスリート系の一部パワーユーザーが独自にリアコンビネーションランプを「4灯化改良」している場合がある。(ノーマル車はロイヤル系・アスリート系ともにリアコンビネーションランプがブレーキング時外側2灯のみ点灯)
- 2005年から中華人民共和国で現地生産が行われている。
13代目(次期モデル)
第40回東京モーターショーに、クラウン・ハイブリッド・コンセプトが出展された[2]。
-
リア
現行型の対抗車種
CM曲
2代目
- モーツァルト「交響曲第34番ハ長調」 第1楽章
7代目
- モーツァルト「交響曲第40番」第1楽章(登場時)
- シューベルト「美しき水車小屋の娘」から「水車職人の花」
- ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(後期型)
- ベルリオーズ「幻想交響曲第二楽章『舞踏会』(後期型アスリート)
8代目
- ポンキエッリ「時の踊り」(歌劇『ラ・ジョコンダ』より)
9代目
- ベートーヴェン「交響曲第九番二短調 第一楽章」の冒頭部分(第一主題)(登場時)
- Michael Nyman(マイケル・ナイマン)「Anohito No Waltz」(後期型)
10代目
- 諏訪内晶子 アルバム「メロディ」から (後期型)
11代目
12代目
- John Harle(ジョン・ハール)「How should I my true love know?(本当の恋人をどうして見分けましょう?)」(前期型)
- 松本晃彦「I Know Your Dreams」(後期型初期) オリジナル曲
クラウンが登場する作品
- ALWAYS三丁目の夕日、ALWAYS 続・三丁目の夕日 - S30系クラウンが登場。
- 007は二度死ぬ - ボンドカーとして登場した2000GTを追いかける車として黒塗りのMS40型クラウンが登場。東京の街中でカーチェイスを繰り広げた末ヘリコプターで吊り上げられ、東京湾に捨てられるシーンがある。このシーンには他にも、スバル360や3代目RT40型コロナが一瞬ではあるが姿を見せ、当時のモータリゼーションを垣間見ることができる。
- 私立探偵濱マイク - 濱マイクの愛車として赤のS40系クラウンが登場。
- 華麗なる一族 - 黒のS40系クラウンが登場。
- 太陽にほえろ! - スコッチ刑事登場編(1976年9月10日)でS50系クラウンを劇中車として沖が運転。その後破壊されたモデルが黒の前期型スーパーデラックスだった。
- ウルトラマンタロウ - 劇中に登場する架空の車両「ウルフ777(スリーセブン)」のベース車両としてS50系クラウンの前期型の2ドアハードトップ・HT-SLが用いられた(後に『プロレスの星 アステカイザー』に黒色塗装を施されて流用される)。
- 七曲署捜査一係 - S150系クラウンが登場。クラウンが登場するのは7代目以来で、覆面車はロイヤルサルーン。
- 歌姫 (舞台) - 山之内一家の親分の送迎車としてS30系クラウンが登場。
- ザ・ハングマン - S120系が登場。
取り扱いディーラー
トヨタ店(東京地区では東京トヨペットでも取り扱い。大阪地区は大阪トヨペットのみで取り扱っていたが、名称変更で2006年8月8日をもって大阪トヨタの販売になった。) 但し、東京地区で個人タクシー用途の車両を購入する場合、東京トヨペットのみの取扱となる。